VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 17:50:51.96 ID:rxXXtK/AO<>
頬を二筋の汗が伝う。

ある夏の夕方、というには少々遅い、夕暮れ時。
あれほどけたたましく鳴いていた蝉はなりを潜め、代わりにひぐらしが鳴き始める季節。
とはいえ、昼の熱はまだまだ現役と言わんばかりにアスファルトに暑さを焼きつけていた。

今は殆ど沈んだ太陽の残り火が、やけにモダンな造りのマンションを照らす。


さやか「ただいまぁ!…っても誰もいないか」

さやか「はぁぁ…クーラーのリモコンちゃんはどこ行ったかなぁ〜っと」


彼女の両親は共働きで、家に帰る事自体が稀だ。
つまり実質一人暮らし状態である。

さやか「えーと…あった!こんちくしょう、座布団に隠れてるとは…」

さやか「温度設定24度の背徳冷房スイッチオン!…ふはははっ涼しい!ヤバい涼しい!!」

さやか「あああああ涼しい!…爽やかじゃあ〜……あぁぁぁぁぁ…いきててよかった…」

さやか「ふぅ〜……そろそろ28度設定にするか…ご飯も作らなくちゃ…」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1345971051
<>さやか「…あたしだって、独りでできる」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 17:52:08.61 ID:rxXXtK/AO<> さやか「今日のご飯は…ブタコマがヤバいからこれにするか。あとサラダと〜、ナスの味噌汁かな」


手早く冷蔵庫から材料を取り出し、調理にかかる。


さやか「まずはショウガをすり下ろして、ニンニクをスライス」

さやか「袋にお肉とさっきのやつを入れて揉む!そしておもむろに調味料をぶっこむ!」

さやか「んで揉む!ヒャッハー!どうしたどうした豚野郎!醤油まみれじゃねぇか!ギャハハハ!ショウガ汁も浴びちまってるとかはしたねぇナァおらおらおら!」

さやか「…はぁ〜。んで、冷蔵庫に放置。ご飯を研いで水に浸けておこう。」

さやか「サラダは…レタスと、残り物のポテトサラダでいっか。ついでにトマトとキュウリ…うーんオーソドックス。」

さやか「レタスをよく洗って…あ、ちょっと傷んでる…まぁいっか、ここだけむしって、水をきって…ざく切り。」

さやか「盛り付けたらトマトを櫛形に切って飾る。…あ、ポテトサラダ。これも載せる。マヨをちょっと飾って完成!」

さやか「冷蔵庫に突っ込んだら炊飯器のスイッチを入れて、あー、お風呂洗ってこよう」


ひたすら独り言をブツブツ言いながら家事をこなして行く様は、ちょっと哀れである。


さやか「まぁこんなもんか。」
さやか「さて料理の続きだ」


こうして、とある女子中学生の日常の夜は更けていく。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 17:52:59.73 ID:rxXXtK/AO<> さやか「あーサッパリした!着替え着替えーっと」


風呂から上がると手早く身体を拭き、着替えを手にする。
まずはパンツ、そして――


さやか「…げ」


ブラジャー。彼女のそれは、いわゆるスポブラと呼ばれる物である。
そのスポブラを着用しかけたまま、彼女は固まっていた。


さやか「き…きつ…い…?」

さやか「なんかいつもよりきつい…気がする…」

さやか「げぇぇぇ、まさか太ったぁ!?」


脳裏に近頃入り浸っている先輩の家と、先輩の手作りケーキをむさぼる自分が浮かぶ。


さやか「うっわ…あたしってホント馬鹿…」

さやか「マミさんに言って、明日からケーキは我慢しようかな…」

さやか「ダイエット…しなくちゃ……ん?メール?」


ふと目をやると、携帯がチカチカとLEDを点滅させて受信を主張していた。
ブラジャーは着用せずに手早く着替え、携帯を掴んで更衣室を出る。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 17:53:28.87 ID:rxXXtK/AO<> さやか「えーと…あれ、マミさんだ」

さやか「何々…“こんばんは、明日みんなで私の家でお茶をしませんか?新作のケーキができたので、ぜひ試食してみてほしいの。今回のはちょっぴりはりきっちゃって、自信作なのよ”」

さやか「な…な、…マミさんこのタイミングは無いっすよ!?」

さやか「写メが添付され…て……」


写真を表示させると、そこには全力で「私を食べて」と主張する、煌びやかでいて慎ましく、上品に飾り付けされたマミ手作りのチョコレートケーキが写っていた。


さやか「…ダイエットは明後日から頑張ろう、うん」


ダメな方向に決意を固めた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/26(日) 17:57:24.69 ID:zcZWQ48IO<> 。で終わるのは良くないよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/26(日) 17:57:52.30 ID:zcZWQ48IO<> …は二個にした方が良いよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/26(日) 18:01:10.19 ID:v7Rtqu9go<> 三点リーダは何年も前からあったからな。
面倒な議論で埋まるのが嫌ならとりあえず二つにした方がいいな。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 18:02:59.03 ID:rxXXtK/AO<> 次の日、さやかとまどかはマミの住むマンションを訪ねていた。
一人暮らしには広すぎる一室。
そのリビングの真ん中に据えられたらガラスのテーブルの上に、それは鎮座していた。


まどか「うわぁぁ…おいしそう」

さやか「これはヤバいっすね…今すぐかぶりつきたいわぁ」

マミ「うふふ、ありがとう。今お茶が入るからね」

さやか「うおおおお預けプレイッ!」ジュルリ

まどか「さやかちゃん、落ち着いて」

マミ「さあ、紅茶が入ったわよ。今ケーキを切るからね」

さやか「うおおおおおおおお」
まどか「さやかちゃん…」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 18:10:22.21 ID:rxXXtK/AO<> 手早く切り分けられるケーキをみつめ、爛々と目を輝かせる。時々口の端からよだれが垂れそうになる。


マミ「さ、召し上がれ!」

さやか「待ってましたぁぁ!いただきまーす!」

まどか「いただきます!」


まずは一口。
適度な柔らかさに仕上げられたスポンジがふわりと溶け、滑らかなクリームとチョコレート、そして隠し味の洋酒の芳醇な香りが口いっぱいに広がる。


さやか「めちゃうまっすよマミさん!!危険なくらい美味しいです!」

まどか「もうさやかちゃんったらがっつかないの!…でも、本当に美味しいですマミさん」

マミさん「ふふ、ありがとう」
さやか「おかわりっ!」


ダイエットとは一体なんだったのか。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 18:20:18.67 ID:rxXXtK/AO<> さやか「はぁ〜……おいしかったぁ……幸せだぁ」

まどか「幸せだねぇ〜……」

マミ「ありがとう、そういって貰えると作ったかいがあるわ」

マミは幸せそうに微笑み、後輩達を見つめた。


さやか「あっ」

マミ「?どうしたの、美樹さん」

さやか「いや、あの〜……ダイエットしようと思って、せめて一切れでやめようとしてた事、すっかり忘れてました……」

マミ「あらまぁ、そうだったの……でも、全然太ってないと思うわよ?」

さやか「いやぁ実は……」


苦笑いしながらゆうべ起こった衝撃の事実を伝えた。


マミ「なるほどね……」

さやか「それで、明日からのダイエットを決意したわけです」
マミ「美樹さん、それってもしかしたら胸が成長したせいかもしれないわよ?」

さやか「ふぇっ!?」


意外な答えに、思わず奇声を上げてしまった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/26(日) 18:23:52.06 ID:rxXXtK/AO<> ここで一旦切ります。

指摘ありがとうございます!
初めてのSSなので至らぬ点など多いので、気づいた事がありましたら指摘していただけたらありがたいです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/08/26(日) 18:27:50.63 ID:X5YtfEtj0<> 乙
シリアスかと思ったらほのぼのだった、何を言ってるか(ry <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/26(日) 18:29:55.00 ID:zcZWQ48IO<> 頑張ってね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/26(日) 20:31:15.37 ID:ODdYlGgDO<> 乙
スレタイの意味は果たして… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/08/27(月) 02:20:17.03 ID:aw2fmyLvo<> よく考えたらメインキャラで独り暮らしじゃないのってまどかだけなのか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 02:40:20.84 ID:YNbbm5jIO<> いやいや <> 1<><>2012/08/27(月) 20:10:59.49 ID:AUFtzTKAO<> マミ「だって、他の服は別にきつくなってはいないのでしょう?」

さやか「ま、まぁそうですけど……だからって胸が成長したとは……」


急に気恥ずかしくなって、頭を掻く。
顔が熱くなるのを感じた。


マミ「うふふ、私もね、経験あるのよ。ちょっと測ってみましょうか。鹿目さんも手伝ってくれないかしら」

まどか「はいっ!私服とか押さえてますね!」

さやか「うぇっ!?マ、マミさん!?まどかっ!?」

まどか「さやかちゃん、上着捲っていいかな?」


まどかが上目遣いでたずねてくる。


さやか「いやあのまどかさん?流石のさやかちゃんでもちょっぴり恥ずかしいかなーって?」

マミ「美樹さん、これは必要な事なの。あなたの胸の将来がかかっているのよ」

まどか「そうだよさやかちゃん。ブラジャーを着けなかったり、着けていてもサイズが合わなかったりしたら将来垂れちゃったりするんだよ?」

まどか「私もマミさんも別にさやかちゃんのおっぱいを見たい訳じゃ無いの。ただ、さやかちゃんのおっぱいが心配なだけなの。さやかちゃんが垂れ乳になっちゃったら、それはとっても悲しいかなって……だめ、かな?」

さやか「いや、別にだめって訳じゃ〜……」


まどかの小動物を思わせる潤んだ瞳に圧倒され、曖昧に答えてしまった。
その瞬間、さやかはまどかの眼が怪しく光るのを見た気がした。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/27(月) 20:12:41.60 ID:AUFtzTKAO<> まどか「マミさんっ!聴きましたか!?」

マミ「ええ鹿目さん。これは承諾とみていいわね」

さやか「えっ」

マミ「カーテンはしっかり閉めたわ。巻き尺の用意もバッチリよ」

まどか「さすがですマミさん!さやかちゃん、捲るね?」

さやか「えっ、あっ!?だ、今日は着けてないからぁっ!?」

さやかが慌てて何か叫ぶが、二人は聞く耳を持たずに恐るべき手早さで脱がせていく。


まどか「……さ、さやかちゃんのおっぱい……」

マミ「美樹さん、ノーブラだったのね……」

さやか「だから恥ずかしかったのにぃ……」

まどか「マミさん、事態は予想以上に急を要するみたいですね」

マミ「ええ、そうね。これは危険だわ」

まどか「さやかちゃん、今日は体育が無かったから良かったけど、もし万が一ノーブラで体操着なんて着ちゃった日には……」

マミ「クラスの男子から注目を浴びる事になるでしょうね」

まどか「そ、そんな想像しただけで私…っ!!」

さやか(服がたくしあげられっぱなしで胸がスースーする……)
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/27(月) 20:15:13.90 ID:AUFtzTKAO<> さやか「あの〜……お二人さん?」

マミ「ハッ!?そうね、すっかり本来の目的を忘れる所だったわ。美樹さん、ちょっと測らせてもらうわね」


我に戻ったマミが巻き尺でさやかのバストを計測する。
紙製の巻き尺は、ちょっぴりひんやりとしていた。

マミが顔をさやかの胸に近づけて値を読む。
息がかかってくすぐったい……


マミ「ええと、アンダーが70……トップが84.5ね。大体15センチ差って事は」


まどか「Cカップですね!」

マミ「美樹さん、よく今まで小さいスポブラで我慢できたわね?」

さやか「うぅぅ……ゴメンナサイ」

まどか「さやかちゃん、別に謝らなくてもいいんだよ?」

マミ「こうしちゃいられないわ。……美樹さん、今お金は持ってるかしら?」

さやか「え、今ですか?えーと、多分5000円くらいはあると思います」

マミ「なら充分ね。買い出しに行きましょう」

さやか「ええっ!?今からですか!?」

マミ「モチロンよ!事態は急を要するのよ。ね、鹿目さん」

まどか「はい、マミさん。しかも明日は体育があります、しかも走り幅跳びです」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/27(月) 20:17:29.42 ID:AUFtzTKAO<> マミ「それは……危険よ、危険過ぎるわ」

まどか「助走をつけるために走るさやかちゃん、揺れるCカップ。ジャンプして捲れ上がる……ッ!?嫌あァァァッ!?」

マミ「鹿目さん、考えちゃだめ!美樹さん、それを防ぐ為に私達が今やらなくちゃならない事をしましょう。さあ立って!駅前のデパートに行くわよ!」

さやか「は、ハイッ!」


また二人の勢いに押さえてしまった。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 20:33:55.42 ID:H2GkSxBSO<> スレタイでほむらがギリギリしそうだなと思った

別の意味でギリギリしそうだった <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/27(月) 20:37:42.76 ID:AUFtzTKAO<> 美滝原は、元はただのありふれた住宅街だった。

しかし新幹線が通るようになってからはここ数年で開発がどんどん進み、駅周辺はさながら都心のような様を呈するようになった。

寂れた商店街は煌びやかなショッピングモールに、駅ビルはデパート街に。

その影響もあってか、治安も悪化したりしたが今は大分落ち着いた。


マミ「さ、着いたわ」

さやか「うほぉ〜……ランジェリーショップ……」

マミ「そ、ランジェリーショップ。ここ、メジャーなサイズならセットで1000円で買えるからお得なのよ」

まどか「私、こういうお店初めて来ました!」

さやか「あたしもです」

マミ「うふふ、これからお世話になると思うから、場所を覚えておくといいわよ」

さやか「はい!」

マミ「とりあえず今日はC70って書いてあるのを……そうね、三点ほど買いましょうか」

まどか「さやかちゃん、こんなのはどうかな?」


まどかが早速見繕って来たみたいだ。


さやか「水色の生地にレースとリボン……」

まどか「上条君もきっと気に入ると思うよ?」

さやか「まっまどかぁ!?」


顔が一気に赤くなる。


マミ「あら、ボーイフレンド?妬けちゃうわぁ」

まどか「ほら、前に話したさやかちゃんの幼なじみの男の子です」

さやか「恭介はそんなんじゃなくてっ……!」

マミ「あら美樹さん、謙遜しなくてもいいのよ?でもそんなボーイフレンドがいるなら、今度は二人で来てみたらどうかしら」

さやか「マミさぁん……」


今なら本当に顔から火を吹けそうな気がした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/27(月) 20:40:05.09 ID:AUFtzTKAO<> 今日はここまでです。
1日5レスを目標に頑張ろうと思います。
感想ありがとうございます、とても励みになります! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 20:59:35.32 ID:zI2NYAFPo<> 目標はもっと高く持とうぜ
10だ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/27(月) 21:13:40.18 ID:g2URQ4aDO<> 乙
自分のペースでいいから頑張って <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/08/28(火) 00:50:28.21 ID:jnfte2M5o<> 乙 <> ◆seBU5sxaI.xt<><>2012/08/28(火) 21:35:46.32 ID:3scdud1AO<> 女性のショッピングには時間がかかる。

それが三人組で、更にマネキン役がいるとなれば尚更である。

まどか「さやかちゃん、次はこれね!」

マミ「美樹さん、よく似合ってるわ!やっぱり水色が素敵ね」
店員「お客様、とても似合ってらっしゃいますね!サイズの方はいかがですか?」

さやか「えっと、あのぉ……」

二人に店員を加えたまさにマシンガントークな言葉の嵐にしどろもどろになってしまう。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/28(火) 21:36:24.92 ID:3scdud1AO<> まどか「マミさん、やっぱりさやかちゃんにはこれとあれとそれが良さそうですね」

マミ「そうね……じゃあ、その三つにしましょうか」

店員「お買い上げっありがとうございまーす!」

さやか「は、はひぃ……」

まどか「さやかちゃん、大丈夫?」

マミ「さ、お会計済ませ……ッ!?」


瞬間、マミの表情が緊張したものになる。

長年の経験から、よく慣れたが親しみたくはない感覚。


マミ『……美樹さん、感じたかしら?』


マミがテレパシーで話しかけてくる。


さやか『はい、マミさん。……近い、ですね』

まどか「マミさん?ま、まさか……」

マミ「美樹さん、ごめんなさい。急用を思い出したから、お先に失礼させていただくわ。」

まどか「わっ私もついて行きます!」

マミ「ありがとう、鹿目さん。じゃあ美樹さん、またね」

さやか「はい!」

さやか『お会計済ませたら直ぐに追います!』

マミ『お願いするわ』
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/08/28(火) 21:36:59.50 ID:3scdud1AO<> 会計を済ませ、店を出る。


さやか「魔翌力は……あっちから来てる」


気持ちを切り替え、追跡する体制に入る。

魔女の魔翌力に集中する。空間を読む。糸を手繰るイメージ……


さやか「!?」


急に魔翌力が混ざり出す。魔女が増えた……!?

マミは交戦中なのか反応がない。


さやか「……あたしだって、独りでできる」


最初に感じた方向とは反対側に駆け出す。

もう一つの魔翌力をより強く感じる方へ。

夏の終わりの夕方の空には、急な雨雲が立ち込め始めていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>saga<>2012/08/28(火) 21:37:49.75 ID:3scdud1AO<> さやか「はぁっ、はぁっ、はぁっ……ッ!」


ひたすらに駆ける。

ただ魔力を感じる方へ、がむしゃらに駆ける。

今まではずっとマミや杏子、時にはほむらと一緒に戦ってきた。

しかし今は杏子もマミもいない。

魔法少女ではないが、まどかもいない。

さやかは、完全に独りでの戦いは初めてだった。


さやか「……ッもうちょい右かな……はぁっ、はぁっ」


肉体を魔力で強化し、可能な限りの速度で駆ける。

ふいにポツリと何か冷たいものが頬に当たった。


さやか「げ、雨……?」


見上げれば、今や街を覆うまでになった黒雲が雨を降らせ始めようとしていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>saga<>2012/08/28(火) 21:38:45.73 ID:3scdud1AO<> さやか「……ここだ」


街の外れの、日の当たらない路地。

美滝原の開発の裏側。

余った資材やゴミがそこらに転がったまま、放置されていた。
そんな所に、それはあった。


さやか「……よし。」


青の閃光が身を包む。

光が収まった時には、そこには騎士を思わせる装束を身に纏った彼女がいた。


さやか「行くぞっ」


両手で頬をパシンと叩いて気合いを入れ、一思いに結界へと飛び込んだ。 <>
◆seBU5sxaI.xt<><>2012/08/28(火) 21:41:21.13 ID:3scdud1AO<> キリが良いので、今日はここまでです。
PCから書き込む事があるかもしれないので、一応トリップをつけてみました。
途中saga付け忘れて化けちゃいました、ゴメンナサイ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/28(火) 21:44:16.18 ID:i/BMGFiDO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/28(火) 21:51:17.60 ID:t43rfi7DO<> もしかして:見滝原 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2012/08/28(火) 22:04:19.28 ID:3scdud1AO<> >>34
ぶへwwwwwwwwww思いっきり勘違いしてました、ありがとうございます!

申し訳ありませんが、今までの美滝原を見滝原に脳内変換お願いします…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sagesaga<>2012/08/29(水) 10:03:48.17 ID:7gqnG7LKo<> メル欄にsaga入れないと魔力とか相殺するとか出ないよ
魔翌力になっちゃう <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長野県)<>sage<>2012/08/29(水) 10:04:34.30 ID:7gqnG7LKo<> って見たら途中で直してたな
失礼した <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/08/29(水) 23:46:57.19 ID:dc1vAOFvo<> 結界の中は、実に混沌としていた。

パステルカラーな空間には所狭しとガラス玉のような目玉が飾られている。

所々につけまつげの残骸みたいな物が浮いていた。

使い魔もいるにはいるのだが、遠巻きに眺めるだけで近づいてはこなかった。


さやか「なんか……見つめられているみたいで気味悪……っ」
さやか「……ちゃっちゃとケリつけて帰ろう」


なんとなく視線を気にしながらせかせかと進む。

ゴシック調のドアにかかったレースのリボンを切り裂き、開く。


さやか「……げ」

さやか「目玉の次は、髪の毛か……ってうぉわっ!」

目の前を巨大な針が横切った!

慌てて周りを見ると、じわじわとカツラのような使い魔がとり囲み始めていた。


さやか「おっけーおっけー、今度のは攻撃してくるってワケね!ばっちこいやあぁ!!」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/08/29(水) 23:48:17.19 ID:dc1vAOFvo<> 飛来する針を斜めに跳んでかわし、一気に距離を詰めて叩き斬る。

更に振り返りざまにもう一匹!


さやか「もういっちょ!……くはっ、今のはヤバかったぁ」


死角から放たれた針をすんでの所でかわす。

リンボーダンスみたいな格好をしてしまった。

ちょっと恥ずかしい。


さやか「いや恥ずかしがってる場合じゃないぞ自分……よしっ六匹!」


仲間がやられたのを見てか、使い魔が怯む。


さやか「今だ……突っ切る!」

一気にトップスピードへと達して駆け出す。

うなりくねった通路を飛ぶように走る。

途中襲い来る使い魔を一太刀でいなし、壁を跳び、使い魔を蹴って弾丸のように一気に魔女を目指す。


さやか「……ここだ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/08/29(水) 23:48:54.50 ID:dc1vAOFvo<> 一際大きく、豪華な扉をみつけた。

大きく息を吸い込み、


さやか「ヘーイたのもーっ!!」ドーン


ドアを蹴破る。

ひしゃげたドアノブが吹っ飛んでいったが気にしない。




魔女は部屋に入ってから視線を上げた先にいた。

天井から生えたかのように、ぶら下がっていた。

頭は無く、脚は蜘蛛のような女性の上半身。

色とりどりの布を纏っている。


さやか「うへぇ、気持ち悪っ……」


思わず顔をしかめてしまう。


さやか「とりあえず……先手必勝!」


まずは相手の機動力を削ぐ!

無駄に広い部屋の壁を駆け上がり、脚を目指して一気に切り込む。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/08/29(水) 23:50:13.80 ID:dc1vAOFvo<> 魔女「ギギャアァァア゛!!」

さやか「うおっとぅ!」


振り回された脚を少々大振りにかわす。


さやか「もう一発……ッ!?」

魔女「ギギギィィィ!」


突如、魔女がこちらに向かって高速で突っ込んできた。


さやか「移動できるのかよっ!?」

魔女「ブア゛ッ」ドスン

さやか「うひっ!?」


魔女はひたすら突進を繰り返す。


さやか「はぁ、はぁ……近づけない……っ」


いつもならマミ達の支援があるが、今日は無い。

ソロでの戦闘訓練もしておけばよかった……


魔女「ギギャァァ」

さやか「……なんか今バカにされた気がする」

魔女「ギギィイ゛!」ドスン

さやか「ああもうっ!なるようになれっさやかちゃんダイレクトアターック!」


空中に飛び上がり、空間に魔法陣を展開し蹴りつけ剣を構え、飛び込む。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>saga<>2012/08/29(水) 23:50:54.10 ID:dc1vAOFvo<> 魔女「ギギィッ」


しかし、先ではまってましたとばかりに魔女が迎撃の姿勢をとる。


さやか「……なーんてねっ」


衝突直前でまた魔法陣を展開させ、真上に飛び上がる。


魔女「グギァァァアアア゛!?」


更にまた魔法陣、また魔法陣。

不規則に飛び回り、時に剣を突き立て相手を翻弄する。


魔女「ギ……ギィィィ……ッ」

さやか「そろそろ……終わりにしてあげようか!」

ダンッ

さやか「さやかちゃんアルティメットスラッシュ!」


さやかちゃんアルティメットスラッシュ、相手は死ぬ。


さやか「またつまらぬ物を斬ってしまった……」


鞘の必要の無い剣を、わざわざチンと音を立てて仕舞った。


さやか「ふはぁ〜……緊張したぁ……」


息を抜いてその場にへたり込む。


さやか「さて、グリーフシードはーっと」


魔女狩りの報酬を探して辺りを見回す。


さやか「う〜ん……ハズレ?」

さやか「なんだよぅ頑張ったのに!けちー!」

さやか「はぁ……帰りたい……結界早く解けないか……な……!?」


背後に異変を感じた時には、彼女の背骨と肩は無くなっていた。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/08/29(水) 23:51:28.39 ID:dc1vAOFvo<> 今日はここまでですー。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/30(木) 00:08:13.42 ID:ta1PP8Uho<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/30(木) 13:39:33.77 ID:mgIcX2iOo<> 背骨が……ない……だとっ………!? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/08/30(木) 13:40:37.21 ID:xANQJ9Leo<> 背骨ソードか <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)<>sage<>2012/08/30(木) 15:36:35.12 ID:8JbeWeavo<> 背骨エクスカリバーと言う物がだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/30(木) 17:46:04.09 ID:4yCxb6ado<> 真の魔法だなww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/08/30(木) 19:20:55.23 ID:E9qy1ju0o<> あれ?コレ痛覚遮断すれば実質対価なしで背骨エクスカリバー使えんじゃね?


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/08/30(木) 23:02:13.62 ID:7+/N8GqQo<> ナルトでそんなやついたよな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/08/30(木) 23:14:15.82 ID:hQpDHkoyo<> 清麿だっけ <> ◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/08/31(金) 00:11:15.97 ID:ljk0OIcoo<> それは、雨の降りそうな午後の事だった。

初めての、独りでの魔女狩り。

初陣からずっと先輩達に見守られながら戦ってきた彼女にとって、最初の援護の無い状態での戦闘。

かのワルプルギスとの戦いのときでさえ、仲間と共に戦い、仲間が助けてくれていた。

心の支えになってくれていた。


今回は、それがない。



さやか「あ……ぐぅ……っ」


うつ伏せに倒れこむ。

急な激痛が精神を蝕む。

身体が焼けつくように痛い。


痛い……どこが……?



首から下の、感覚が、無い。



魔女「ゲギビャヒャヒャ!!」



粘ついた魔女の声が背後から聞こえる。

倒さなくちゃ。

こいつを放っておいたら、たくさんの人が被害に遭う……! <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/08/31(金) 00:12:06.91 ID:ljk0OIcoo<> さやか「倒さな……くっちゃ……!」


痛覚を遮断し身体を起こそうとするが、まるで力が入らない。

筋肉がその動き方を忘れてしまったように……


さやか「動け……動かないと……マミさんを待ってたら、逃げちゃうかもしれない……

さやか「あたしだって、独りでやれるんだ……っ!」


一気に魔力を身体中に循環させる。

青の魔方陣が次々と展開されて傷口を覆い始める。


さやか(ダメだ……傷が深すぎる……止血程度にしか……っ)

魔女「ギィィィァァアア!」ダンッ

さやか(魔女が突っ込んでくる!?)

さやか(治癒が圧倒的に間に合わない……あたし……だめだった……)


さやか(お父さん、お母さん……ごめんなさい……)



死を覚悟した、その瞬間だった。

<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/08/31(金) 00:13:01.74 ID:ljk0OIcoo<>

結界内に、破裂音が響いた。


聞き覚えのある音だった。

辺りに硝煙のにおいが漂う。


魔女「グギャッ!?」


更にもう2発。そしてとどめに1発。


魔女「グ……ギィィイ……ィ……」


ドサッと背後で何かが崩れ落ちる音がする。


さやか「助かった……の?」


結界が溶け出す。

何も起こらなかったかのように、彼女の流した血溜まりさえ消え去っていく。


結界の外は、雨だった。

夕方から急速に満ち始めていた黒雲は、今や見滝原の空を完全に覆っていた。


さやかはまだうつ伏せから起き上がる事ができず、ちょうど水溜りに頭を突っ込んでいる体勢になってしまった。

背後から、ゆっくりと水を蹴りつけながら近づく音がする。


さやか「マっマミさん……来てくれたんですね!」 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/08/31(金) 00:13:38.55 ID:ljk0OIcoo<>
さやか「あはは、あたしいいところまで行ったんですよ?でもちょっとしくじっちゃいま……」


言いかけたところで、背後の人物がさえぎるように言葉を発した。



ほむら「美樹さやか。私の手を煩わせないでと言ったはずでしょう」


さやか「ほむ……ら……?」


雨粒が地を叩く音だけが、辺りに降り注いでいた。



−−−−−−−

さやかは、未だにほむらと和解できずにいた。

いや仲直りする機会は幾度と無くあったのだが、なんとなく彼女はまだほむらを信じきられずにいたのだ。

なぜなら彼女にとってのほむらは、GSの為には手段も選ばない上にマミを見捨てようとした奴、そんな奴だった。

もちろん、今はその疑いも晴れているのだが。

しかし、ほむらは目的だったワルプルギスの夜を倒すと何も言わずにどこかへ消えてしまった。

結局、和解へは至らずに今に至っていた。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/08/31(金) 00:14:17.25 ID:ljk0OIcoo<>
視界がふいに浮き上がる。ほむらがさやかを抱えあげた。


さやか「ちょっ、やめてよ!なにするのよ!」

ほむら「別に何もしないわ。ただ、このまま放っておくと面倒な事になるから回収するだけ」

さやか「はあ!?回収ってなにそれ!っていうか大体アンタ今までどこ行ってたのよ!

ほむら「あなたに話す必要はないわ」

さやか「なにそれムカツク!まどかとかすっごい心配してたんだからね?ってゆーかあたしを抱えてどこに行こうっていうのよ!」


ぎゃあぎゃあと喚きながら抵抗を試みるが、いかんせん身体が言うことをきかないので喚くだけになってしまっている。


ほむら「……はぁ……。あなたって本当にバカなのね、美樹さやか。」

さやか「ば、バカって言った方がバカなんだぞっばーかばーか!」

ほむら「……うるさいわね。少し黙りなさい」

さやか「あんたが離してくれたら黙るわよ」

ほむら「美樹さやか。あなた、今の自分の状態を客観的にみてみなさい」

さやか「……ほえ?」

ほむら「上半身は胸を残すのみに抉られている上、ほんの少し残った腹の肉と皮でぎりぎり下半身がぶら下がっているだけ。しかも本人は血塗れなのに、ピンピンしてる」

ほむら「これを一般人が見たらどう思うかしら……?」

さやか「うぐ」

ほむら「まどかや巴マミでも同じ。助けに来るのが遅れた事を悔やむでしょうね。まどかは必ず泣くでしょうね、このグロい物体のために」

さやか「うぐぐ……うん?」

ほむら「というかこんな物体をまどかに見せられないわ」

さやか「結局まどかなんかい!」


ほむら「と、いうわけで大人しく回収されなさい美樹さやか」

さやか「……くやしいけど、お世話になるしかないか……ってわすれてた!ほむら、そこの小屋の屋根の下にある袋も持ってきてよ」

ほむら「?なにかしらこれ」

さやか「あ、っちょ……開けないで!」


制止もむなしく、袋のセロハンテープは引き剥がされる。


ほむら「……」

さやか「……」

ほむら「……チッ」

ほむら「まぁいいわ。これで3日は洗濯された下着を着ることができるわよ。ま、ブラジャーはつけられないでしょうけど」


そういって袋を乱暴に閉じ、髪をかきあげるほむらはちょっぴり悔しい顔をしていたような気がした。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/08/31(金) 00:16:08.86 ID:ljk0OIcoo<> 今日はここまでです。

背骨エクスカリバーとはなんじゃいと思って検索してみたら……
素敵なエクスカリバーですねコレ。グロいけど。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/08/31(金) 07:43:19.07 ID:5rkr11Dao<> 乙
そりゃ舌打ちしたくなるよなwwwwww <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/01(土) 00:06:33.81 ID:j+EShHxAO<> ほむら「よっこい……しょっと」

さやか「ぶへっ!?」


ドサリと布団へ投げ出される。

さやか「ちょっと!もうちょっと丁寧に扱ってよ!」

ほむら「布団があるだけ感謝して欲しいわ」

さやか「アンタねぇ……」イラッ
ほむら「大きな声を出さないで頂戴。一応、廃屋って事になってるんだから」


思わず噛みつこうとするが、さらりといなされてしまう。



さやか「……ねぇ」

ほむら「何」


立ち去ろうとするほむらを呼び止める。

彼女は振り返らずに返事だけを返した。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>Saga<>2012/09/01(土) 00:07:07.42 ID:j+EShHxAO<> さやか「あんた……あたし達の前からいなくなってからさ、ずっとどうしてたの?」

ほむら「……答える義理はないわ」

さやか「なにそれムカつく」

ほむら「……」


はぁ、と大きなため息をひとつ。


ほむら「あなた、自分が助けてもらった事を忘れてはいないでしょうね」

さやか「ぐっ……確かに、そうだけどさ」


じゃあ、と念を押され、


ほむら「いちいちくちごたえしないで頂戴。頭が痛くなるわ」
さやか「それとこれとは話が違うじゃん!」

ほむら「うるさいわね!あなたに私の何がわかるっていうの!?大体私がどんな思いで……っ!」


声を荒げ、肩で息をしながらもぐっと何かをこらえる。


ほむら「……食事を用意してくるわ。それまで静かにしていなさい」

さやか「……」


ほむらがドアを開けて去って行く。

通り過ぎた後の扉は、少々荒く閉じられた気がした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>Saga<>2012/09/01(土) 00:07:59.55 ID:j+EShHxAO<> さやか(静かにって言われてもさ……)

さやか(まだやっと肩の付け根が再生してきたくらいなんだよね……)

さやか(魔翌力は……確認できないけど、あんま余裕ないかも)

さやか「あはは……調子に乗りすぎちゃったかなぁ、あたし」

ほむら「正にその通りね」

さやか「うぎゃ!?いつの間にっ」

ほむら「油断しすぎでしょあなた……」


呆れたように言いながら、何かの袋をむいて口元に差し出して来た。


ほむら「ほら。消化器系は再生しているんでしょう。食べなさい」

さやか「カロリーメイト……?」

ほむら「食べないなら引っ込めるわよ」

さやか「た、食べます食べますいただきます!」


慌ててほむらの手からカロリーメイトをかじる。


さやか(フルーツ味……)

さやか「……んぐ、そういやこれって出どころは?」

ほむら「安心しなさい。ちゃんとお金を出して買ってきた品よ」

さやか「そっか。……ん、ごちそうさまでした」

ほむら「お粗末様」


さやかが食べ終わるのを確認すると、今度は自分の分を開けて食べ出した。


さやか「……もしかして、いつもこんなの食べてるの?」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/09/01(土) 00:09:31.96 ID:j+EShHxAO<> ほむら「?何か問題でもあるかしら。」

さやか「いや……あんたがそれでいいなら別にいいけどさ」

ほむら「要領を得ないわね」

さやか「なんでもない」

ほむら「そう」

さやか「…………」

ほむら「……ちょっと、あんまり見つめないでよ」

さやか「あ、ごめん。……他にできることなくって」

ほむら「……」


最後のひとかけらを口に放り込み、よく噛んで、飲み込む。


ほむら「……はぁ。ごちそうさま」


空になった袋を丸めて、部屋の隅にあったくずかごへ投げ入れる。

さやか(おお、ジャストミート )

ほむら「さて、美樹さやか。服を脱がすわよ」

さやか「はひっ!?」


本日何度目かわからないとぼけた声が出た。


さやか「ちょっ、なにすんのさ!?」


抵抗虚しく上着を剥かれてしまった。


ほむら「この制服はもう使えないわね……」

さやか「ちょっと聞いてる?……うぇっ、ナルホド……」


差し出された何かをみて納得する。

彼女の手には、真っ赤に染まった元制服がつままれていた。

どうやら、魔女の一撃を食らった弾みで変身が解けていたらしい。


ほむら「スカート、脱がすわよ」

さやか「う、うん……」


ほむらの細い指がしなやかにスカートを脱がせてゆく。


ほむら「これはこんど焼却炉に投げ込んでおきましょう」

さやか「……あ、そのままゴミに出したら猟奇事件になっちゃうのか」

ほむら「あら、よくわかってるじゃない。……よっこらしょっと」


ふわっと身体が持ち上がる。


さやか「ん、どこへ行くの?」
ほむら「お風呂よ」

さやか「お、ありがたいかも」

その瞬間、ほむらがニヤリと笑った気がした。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/09/01(土) 00:10:01.63 ID:j+EShHxAO<> さやか「お風呂って……」

ほむら「ここよ。文句ある?」

目の前には、川が広がっていた。

いわゆるネイチャーである。


ほむら「廃屋に電気やガスが通ってるとでも思ったのかしら?」

さやか「ぐっ……」


そう言われると、なにも返せない。


ほむら「見つかるといけないしさっさと入るわよ」

さやか「下着は?」

ほむら「あら、脱ぎたいの?」
さやか「何でもないデス」

ほむら「ま、私は脱ぐけどね」
さやか「オイ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<><>2012/09/01(土) 00:10:33.37 ID:j+EShHxAO<> 今日はここまでです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)<>sage<>2012/09/01(土) 01:21:56.46 ID:TQlRzi3S0<> ネイチャーホムラかwwwwwwww <> ◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/02(日) 03:28:29.74 ID:4KlRFFeKo<> 怪我のこともあり、ほむらは先にさやかの血糊付きの身を丁寧に洗ってから来る時に包んできた毛布にくるみなおすと、自分も川に入って体を洗い始めた。

その間手持ち無沙汰になったさやかは、じっとほむらが水浴びする様を眺めていた。


川の水は、若干人里から離れた上流というだけあってか比較的澄んでいるように見えた。



さやか(……そういえば、雨。いつの間にか上がってたんだ)


ふと気がついて空を見上げる。



さやか(なんていうんだっけ、こういうの。……上弦の、三日月?)

さやか(水に光が反射して……)


ほむらが髪を払い、雫が飛び散る。

川に落ちた雫は波紋を作るが、すぐに流れに掻き消されてゆく。


さやか(ちょっと、幻想的、かも……)



川の水は、さらさらと音を立てて過ぎ去ってゆく。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/02(日) 03:29:17.91 ID:4KlRFFeKo<> 次の日、朝。

ガラスの無い窓から直接差し込んでくる朝日で目覚めた。鳥の鳴く声が聞こえる。


さやか「ふぁ〜……おふぁよう……」

さやか「……おはよう。怪我は……背中の真ん中くらいまで再生したわね」

さやか「いひひ〜、さやかちゃんの再生力をみたか!」

ほむら「一晩かかってこれだけじゃ先が思いやられるわね」

さやか「うぐっ……手厳しい……」


夕べと同じ内容の朝食(チョコレート味)を摂ると、ほむらは立ち上がって私服に着替えた。


さやか「あれ?今日って学校は……」

ほむら「それはイヤミかしら。私が学校に通える身だと思う?」

さやか「……ゴメンナサイ」

ほむら「…………まあいいわ」


彼女はワルプルギスを倒した後、忽然と姿を消していた。

表向きの世間ではスーパーセルの唯一の被害者として扱われており、遺体はあがらなかったが波にさらわれて死亡したことになっている。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/02(日) 03:29:51.67 ID:4KlRFFeKo<> さやか(あの時のまどかの取り乱しようといったらなかった。もちろん、私達も捜索した。けど、結局みつからなかった)

さやか(生きてる事はわかっていた。だって、あいつを倒した後みんなで抱き合って喜んだんだもん)

さやか(正直、わけがわからなかった。それと同時に、怒りがこみ上げてきた。理由は、バカだからわかんないけど……)

さやか(なんで、みんなに心配をかけるような事をするんだって。まどかを、悲しませるような事をするんだって)

さやか(それに、なにより……ううん、これはいいや)


ほむら「なにボーっとしてるの。暇があったら再生に集中しなさい。……SGは、浄化しておいたから」

さやか「あ、う、うん!……ありがと」

ほむら「浄化に使ったコレだけど。あなたからQBに食わせてくれないかしら」

さやか「いいけど……なんで?」

ほむら「……アイツの顔を見たくないのよ」

さやか「そっか……わかった。あたしのかばんに入れておいてよ」


ほむらはさやかのカバンにGSを投げ込むと、外へ出ようと扉に手をかけた。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/02(日) 03:30:37.90 ID:4KlRFFeKo<> さやか「どっ、どこいくの?」

ほむら「……あなたに言う必要はないわ」

さやか「あ、えっとあのほら……そう、長く出かけるならお昼ご飯どうしよう、とか……」

ほむら「……ハァ……あなたって……まあいいわ、ちょっと魔女を探しに行くだけよ。もっとも、今の時間では見つからないでしょうけど……」

さやか「……そっか。いってらっしゃい」


ほむらは一つため息をついて髪を掻き揚げると、軋む扉を開けて朝日の中へと溶け込んでいった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/02(日) 03:31:54.04 ID:4KlRFFeKo<> ほむらの棲家は、見滝原の郊外に建っているうち捨てられたボロアパートの一室にあった。

夜にはあまり気がつかなかったが、コンクリート製の壁にはところどころ亀裂が走っているようだ。

木製の床の上には粗末なカーペットが敷いてあり、窓からは木々が生い茂っているのが見える。というか窓から枝が侵入しつつある。

その元・ワンルームアパートの一室の真ん中に、さやかは寝転がされていた。

ふとんの傍にはゆうべ一時的に布団の上に敷かれていたらしいブルーシートが丸まっている。中を覗けば血みどろの制服を発見する事ができるだろう。


さやか「……暇だ…………」

さやか「回復に集中……っていっても限度があるし。痛覚はまだ遮断してるけど」


布団の中でもぞもぞと脚を動かす。

そこで、ふと気がついた。

気がついてしまったのだ。


さやか(しまった)



さやか(トイレに行きたい) <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/02(日) 03:33:38.95 ID:4KlRFFeKo<> 今回はここまでですー。

この所改行ミスが多くてゴメンナサイorz
もっとよく確認してから投稿せねば…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/09/02(日) 04:14:20.87 ID:8muK2eNCo<> おつ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします <>sage<>2012/09/02(日) 11:44:49.40 ID:N/xrSLK00<> 乙
面白いしほむほむ可愛い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<><>2012/09/02(日) 18:13:20.81 ID:owRKE2450<> おつ <> ◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/03(月) 02:10:26.22 ID:DY54yplxo<>
慌てて部屋の中を見回す。が、目的のものは見当たらない。



さやか「そういえば……この部屋、トイレが無い!?」


ボロアパートだと共用トイレみたいな物が部屋の外に備え付けられていることが多いのだが、さやかはそれを知らない。

どっちにしろ、水道の通っていないこの状況では大差はなかったかもしれないが。


さやか「どういう事よ……というか普段どうしてるの……!?」

さやか「まさか……ペットボト、ル」

さやか「いやいやいやいやそれはないでしょーあたし!きっとコンビニトイレか何かだよ、うん」

さやか「……あれ、コンビニトイレだと詰んでないか?あたし……」

さやか「とりあえず布団から這い出よう、そうしよう」

さやか「耐えてくれよあたしの膀胱!もぞもぞの用意はおーけー、いくぞ!よいっ……しょっ……と!」

さやか「うし、秘技布団抜けの術!なんちゃって」

さやか「立つのにも一苦労だな…………ってあれ、脚……動かせてる……?」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/03(月) 02:12:48.38 ID:DY54yplxo<>
二本足で立ってから気がつく。

夕べは感覚さえなくなっていた身体に、血がめぐっているのがわかるようになっていた。


さやか「うっほぉ、あたしすげー!全然気がつかないうちに再生してたようひょー!!魔翌力回復バンザイ!!ありがとうほむら!ありがとうグリーフシード!」

さやか「よし、あとは腕だけになるのか。今ならあと3本くらいなら生やせる気がする!」

さやか「ぐぬぬぬぬぬ……チョエー!!!!」ズボォ


生えかけの腕の先端から、勢い良く残りのパーツが生える。


さやか「お、ピッ○ロさんごっこできるじゃん」


ぐりぐりと新しい手を動かしてみる。


さやか「こりゃ今度まどかにも見せてあげなくっちゃね」

さやか「さて……トイレ、どうしようかね……」


木の床を軋ませながら、扉を開けて外をうかがう。



さやか「……コンビニ、というかそもそもお店の類、むしろ人気が全く無い……」


外には、見滝原の郊外から更にはずれた場所にある山のふもとが広がっていた。

アパートの裏にはゆうべ水浴びした川が流れている。


さやか「あっはっはっは、今日も見滝原マウンテンはキレイだなぁー!」


自暴気味に笑って誤魔化す。


さやか「……回収された時、魔翌力がやばかったとは言え……なんで気がつかなかったんだろうあたし……」

さやか「…………」

さやか「……ネイチャー、か……」

<>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/03(月) 02:14:13.05 ID:DY54yplxo<>
さやか「はぁーサバイバルだわこりゃ……よくあいつはこんなとこに住めるな……」


部屋に戻ってきて独りごちる。


さやか「今何時なんだろ。時計……は無いし、携帯……も、電池切れだ……」

さやか「……あれ、さっきのGSにメモがくっついてる」


”私のことは、誰にも言わないで。”


さやか「なんだこれ?直接言えばいいのに。なんか、すっごいまわりくどいな……」

さやか「……まどか、あいつが生きてるって知ったら大喜びするだろうなぁ」

さやか「……なんで、生きてるって知られたくないんだろう」

さやか「いなくなった理由も教えてくれないし……訊かれたく、ないみたいだけど」

さやか「…………」

さやか「……はやく、帰ってこないかな……」




さやか「どこ行っちゃったんだろ。迎えに行こうかな……魔女の気配、全く無いけど」

さやか「太陽が、あーんなに高いところにある。普段は全然気にしてなかったなぁ」

さやか「川に魚でも捕りに行こうかな。あ、でもガス無いんだっけ」

さやか「…………」

さやか「あーーー暇だ!暇!!すること無い!」

さやか「……マミさん、心配してるだろうな……まどかも、泣いちゃってたりして」

さやか「…………」


ふと、外でかすかな物音がした。


さやか「!!」ガバッ

さやか「お帰りなさい!!」バーン


勢い良くドアを開けると、大きなカラスが驚いて飛び去って行くのが見えた。


さやか「……なんだ、カラスかぁ……」

さやか「ほむらぁ……早く帰ってこいよぉ……」

さやか「見滝原への道……わからないじゃんかぁ……」


膝を抱えて、部屋の隅にうずくまる。床が軽く軋む音を上げた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/03(月) 02:14:43.05 ID:DY54yplxo<>
更に時は過ぎ、太陽が橙の光を放ち始める。


さやか「……まだ帰ってこない」

さやか「昼くらいには戻るって言ってたのに」

さやか「……まさか、魔女にやられちゃったとか?」

さやか「いやいやいや、あのほむらに限ってそんな事はないだろっ!無敵のザ・ワー○ドみたいな事できるじゃん!」


勢い良く頭を振って考えを散らばす。


さやか「でも……それにしても、遅い」

さやか「…………」


『――樹さん』


さやか(……ん?なんか聞こえたような……)


『美樹さん!――こにいるの――』


さやか「ま、マミさん!?……テレパシーだ!!」


さやか『マミさん!!ここです!ここにいます!』

マミ『美樹さん!?美樹さんなのね!どこにいるの!?怪我は無い?』

さやか『ここですここ!木のめり込んだアパートの中です!!怪我は回復しました!』

マミ『えっ木!?めりこんだってどういうこと!?回復したって事は一回怪我したのね!?』

さやか『木がめり込んでるやつです!ここです!背骨ごとゴッソリ喰われてたみたいです!』

マミ『えっ!?く、喰われたって……あと、ここ、じゃわからないわよ!』

さやか『あっ……えっと、見滝原マウンテンが目の前にあります!』

マミ『マウンテンの方ね、わかったわ!』



さやか「んもー、マミさんったら……木がめりこんでるアパートなんて一軒しかないのに」


ふぅー、とため息をつく。


さやか「……探してて、くれたんだ」

さやか「もしかしたら、一晩中探してたのかな……悪いことしちゃったな……」

さやか「……ほむら、帰ってこなかったなぁ」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/03(月) 02:16:03.83 ID:DY54yplxo<>
マミ「美樹さーん、ここにいるのー!?」

さやか「あっ、マミさん!いまーす!ここにいまーす!」


すぐ近くからマミの声が聞こえる。

慌てて立ち上がり、外に出ようとして立ち止まる。


さやか「……」

さやか「……メモでも残していこう」


”マミさんが迎えに来てくれたので、帰ります。昨日はどうもありがとう 美樹さやか”


さやか「んー、味気ないけどまあいっか……」

マミ「美樹さーん!」

さやか「はいはーい!今いきます!」


扉を開いて、外に飛び出す。

50mほど先で、マミが手を振っているのが見えた。


夕暮れの光がさやかの影を部屋の壁に映し、闇に消えた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<><>2012/09/03(月) 02:17:18.94 ID:DY54yplxo<> 今日はここまでです。
またsagaわすれちゃったぜ……さやかちゃん可愛い…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/03(月) 11:28:07.04 ID:UxbPUsqg0<> うむ
いい感じだ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/03(月) 13:42:13.19 ID:pzw40cFDO<> 乙! <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:11:43.04 ID:PwWCAfDHo<>
さやか「――はぁ〜っ疲れた!!」


息をついてベッドへダイブする。

やっぱり自宅はいいものだ、と思いながら慣れた布団の感触をかみしめる。


さやか(あの後……マミさんと合流してから、すんごい質問攻めにあった)

さやか(一応ほむらの事は伏せながら、それっぽく話を作ってみたりして)

さやか(マミさんには、すっごく怒られちゃった。まどかにも怒られた)

さやか(……でもやっぱり、帰ってこられる場所があるって、いいなぁ……)

さやか(ほむらは……結局帰ってこなかったな)

さやか(…………)

さやか(……今度、あの辺りに探しに行ってみようかな)


枕に頭をうずめ、うとうととまどろむ。開け放った窓から吹き込む風が涼しい。


さやか「……あ。そうだ、グリーフシード!」

さやか「あった!うほー、すっごい黒ずんでる。……なんのGSなんだろ、これ」


手に持ったそれをぐりぐりといじってみる。星空のような模様、歯車、逆さまの道化帽みたいな飾り……

<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:12:40.19 ID:PwWCAfDHo<>
さやか「……え、これってまさか……!?」


それらには、見覚えがあった。

忘れもしない、3ヶ月前のあの悪夢。

ほむらが失踪する直前の、戦い。


ワルプルギスの夜。

今手に持っているそれは、確かに彼女のものだった。


さやか(確か、みんなのSGを回復してもなお余裕があったからほむらが持っていったんだよね。一番の功労者として……)

さやか「ってやばいじゃん!真っ黒だよコレ!?マジで孵化する5秒前ってか!うっひょぉぉぉきゅうべえー!!!!」


あわてて白饅頭を呼び出す。そいつは5秒と経たない間に、開け放たれた窓から姿を見せた。


QB「やぁ呼んだかい?」

さやか「コレの処理お願い!」ポイッ

QB「お安いご用さ。きゅっぷぃ」

さやか「はぁー焦った……ありがとQB。さっさとどっか行きな」

QB「どういたしまして。じゃあね、さやか」


白い影が再び窓から去って行く。


さやか「はぁー焦った……復活されたらかなわないもんね……」

さやか「……そういえばほむらのストックってどうなってるのかな」

さやか「今度探しに行くときに、お礼も兼ねて一つ持っていけたらいいな……」


見滝原の夜は更けていく。空には、ほんの少しだけ欠けた月が浮かんでいた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:13:33.72 ID:PwWCAfDHo<>
さやか「ふぁぁぁぁ……朝か……」


伸びをして、ベッドから起き上がる。今日は学校だ。

顔を冷水で洗い、髪を整える。


さやか「さ、朝ごはんだ」

さやか「ついでにお弁当も作るよ!まずは定番のから揚げから」

さやか「昨夜漬けておいた鶏肉を取り出しまして、片栗粉をはたきます」

さやか「よ〜く熱した油に……どぼん!どぼん!」

さやか「本当は二度揚げとかすると美味しいんだけど……時間もないし面倒なので一度で揚げちゃいます」

さやか「はい出来上がり。お次は卵焼きに取り掛かります」

さやか「卵を割って、お砂糖少々しょうゆ少々塩少々がマイジャスティス」

さやか「ちちちーっと混ぜたら卵焼き用のフライパンに油を敷いて、じゅぅぅぅ〜っと焼くべし!」

さやか「よっ……ほっ……」

さやか「……はい出来上がり!うーんいい香り」

さやか「あとはー……ほうれん草でも添えようかな」

さやか「お湯を沸かして、ほうれん草を茹でます。ついでにブロッコリーも茹でます」

さやか「茹ったら適当に切って、このままだと味気ないので炒めちゃいます」

さやか「フライパンに短冊に切ったベーコンとバターをよーく炒めて、いい感じになったらほうれん草を投入!」

さやか「さっと炒めて味を確認したら、はい出来上がり。かんたーん」

さやか「弁当箱にぎゅっと詰めて」

さやか「余りは朝ごはんになるのです。本日のお味噌汁はなめこでございます。いただきまーす」

さやか「……かーっ!うンめェーッ!!」


もぐもぐとご飯を食べながら考える。

ほむらは、ひとりぼっちで寂しくないのかな……
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:14:19.77 ID:PwWCAfDHo<>
放課後、教室。


まどか「さやかちゃん、一緒に帰ろ?」

さやか「あー、ごめんまどか……昨日休んじゃったから先生に呼び出されてるんだ。仁美と先に帰っててよ」

まどか「そっかぁ……じゃあ先に帰ってるね、ばいばいさやかちゃん」

仁美「さやかさん、また明日」

さやか「おう、また明日ね!ばいばーい」


手を振って友人達と別れる。


さやか「……はぁー、どうやって言い訳したものか……」


さやかは、前にも一度失踪したことがあるので先生もピリピリしているようだった。

必死で言い訳を考えながら、独り職員室に向かう準備をする。


恭介「あれ、さやか。もしかして、職員室かい?」

さやか「うん、昨日無断欠席しちゃったから……」

恭介「……心配、したんだよ。アレ、なんだろう」

さやか「あはは、鋭いね恭介は……うん、アレなの」


上条恭介は、さやかの事情を知っている。というより、偶然知ってしまった、といった方が正しいか。


恭介「まさかとは思うけど、もうあんな戦い方はしてないよね」

さやか「もちろんだよ。約束、したじゃん」

恭介「……そうだね。約束してたっけ」

さやか「んもー、恭介が言い出した約束じゃん!……まぁとりあえずそういうこと。じゃ、ちょっくら先生に怒られてくるわ」

恭介「あぁ、引き止めて悪かったね。……それじゃ、また後で」

さやか「うん、また後で!」


軽く手を上げて会釈する。

いざ、戦場(職員室)へ赴かん。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:15:46.15 ID:PwWCAfDHo<>
上条恭介がさやかの事情を知ってしまったのは、さっきも言ったが偶然によるものだった。

偶然、夜の街角で失踪していた妙な装いの幼馴染を見かけ、追ってみたら結界に巻き込まれた。

ただそれだけだった。

本当に偶然としか言いようが無かった。

そこで彼が見たものは、串刺しにされ、身体を喰われ、血を浴びながら奇妙な生命体を穿つさやかの姿だった。

敵の口に自らの腕を喰わせ、相手を捕縛し斬る。突き刺さった敵の身を素手で千切り、煩わしそうに投げ捨てる。

彼は耐えられなかった。

そして、気がつけば叫んでいた。

さやかの手が止まる。驚いたように目が見開かれる。油断し、敵に頭を貫かれる。が、即座に再生する。


そんなさやかを見て、彼は恐怖した。拒んでしまったのだ。


近づこうとしたさやかの動きが止まる。伸ばしかけた手が引っ込められる。

やっぱりそうだよね……とちからなく彼女は笑った。今まで見たことの無い表情。全てを諦めた笑顔だった。

それはハッとするほど、儚く、美しくみえた。

ふと、彼女の背後で何かが蠢くのが見えた。

さやかは動きもせずに、それを受け入れた。背中から敵のナニカが貫通している。

彼女の名前を叫ぶ。

さやかは目を細め、彼に一振りの剣を渡すと再び一身で敵陣に躍り出た。

剣の持ち手は、血で濡れていた。
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◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:16:42.70 ID:PwWCAfDHo<>
しばらくすると、奇妙な風景は溶けるように消え去った。

彼女は、目の前に倒れていた。

慌てて駆け寄ろうとするが、足が言うことを聞かない。

なんとかたどり着くと、名前を呼ぶ。……返事が無い。

まさか、死んでしまったのか。さやか、さやか、さやか。何度も呼ぶ。

彼女がぴくりと反応を示す。


さやか「……うるさいなぁ」

恭介「よ、よかった……生きてたんだね」

さやか「……生きてる?そんなわけないじゃん。あたし、ゾンビだもん」

恭介「……何を言ってるんだい?……確かに、さっきは驚いたけど――」

さやか「あたしは!!もう死んでるの!!!……あたしの魂、もうこの身体にないんだよ……見て、これ。この石ころが、あたしなの」

さやか「さっきも、見たでしょ?この身体がいくら傷つこうと、構いはしないんだ。痛みだって全然無い。回復だってすぐにできる」

さやか「あはははははは!便利だよねぇ!戦いに向いてるってゆーの?……まさにゾンビ、だよね……気持ち悪い、よね……」

恭介「…………」

さやか「……ごめんね。もう行かなくちゃ。できれば、恭介には知られたくなかったけど……クラスのみんなには内緒だよ?なんちゃって」

恭介「……待ってくれ、さやか。正直、僕には何がなにやらさっぱりわからない。けど、僕は……僕は、どうすればいい?」

さやか「え?」

恭介「ずっと、考えてたんだ。この腕の事。さやかの事」

さやか「……関係ないよ」

恭介「いや、あるだろう!だって、奇跡も魔法もあるって言われた日の晩にだよ、その奇跡が都合よく起こると思うかい?」

さやか「実際に起こったんだから仕方ないじゃん!」

恭介「……さやかは、僕をいじめているのかい?」

さやか「……え?」
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◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:18:34.27 ID:PwWCAfDHo<>
恭介「何も知らない僕だってわかるよ。今のさやかが普通じゃないことぐらい。そしてそれが、きっと……自分でいうのもアレだけど、僕のせいだって事も」

さやか「……恭介のせいじゃ、ない」

恭介「…………僕さ、このあいだ。さやかが失踪する直前にさ、志筑さんに告白されたんだ」

さやか「へ、へぇ〜。よかったじゃん!ふたりとも……お似合い……じゃない……」

恭介「断ったよ」

さやか「……へ?」

恭介「断った。……僕には、気になってる人がいるからね。そう言ったんだ」

さやか「そ、そっか……仁美、ふられちゃったんだ……仁美、何か言ってた?その……恭介の好きな人、について」

恭介「……ばっちり当てられちゃったよ。僕の好きな人。それからはずっとその人の話でもちきりさ。彼女には、悪いことしちゃったな」

さやか「うっわぁー、ひどい男!振った上に他の女の話するとか考えられない!」

恭介「あはは、手厳しい……それでね、さやか。僕が好きな人なんだけどね」

さやか「……うん」

恭介「そいつはすごいおせっかいで、一度信じ込むとひたすら突っ走って……ちょっぴり、バカで……でも、曲がったことが大嫌いで」

恭介「時々周りが見えなくなることもあるけど、根はすごくいい奴なんだ。他人に優しくて、自分には厳しくて。自分を捨てて誰かを護ろうとできる、そんな人なんだよ」

恭介「正直、僕なんかにはもったいないよ。……僕は、その人になにもしてあげられない。何もできない。あんなに、僕のことを支えてくれていたのに……」

さやか「そっか……恭介にも、そんなに想える人が、いるんだ……」

さやか(なにこれすごい濁る)

恭介「あはは。今日もね、その人の家に訪ねて行ったんだ。不在だったけど」

さやか「ふ、ふ〜ん……」

恭介「……さやか」

さやか「な、何?」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:21:37.98 ID:PwWCAfDHo<>
恭介「僕は、正直に言うとその人にはずっとコンプレックスを持っていた。いつも明るくて、周りを照らしていて」

恭介「一度、その人に辛く当たってしまったことがある。……それでもその人は僕を見守ってくれた。支えてくれた」

恭介「正直、志筑さんに告白されたとき、受けてしまおうかとも考えた。その人の影から逃げるために」

恭介「でも、それじゃだめだと思ったから断った。そんな気持ちで付き合うのは、志筑さんに申し訳が立たないからだ」

恭介「だから断った。僕は、今まで支えてくれてきたその人を、今度は僕が支えたい」

恭介「……僕の腕が治ったのも、その人のお陰だと、今確信した」

さやか「…………っ」



恭介「さやか。僕は、ずっと君のことが好きだった。今でも、その気持ちは変わらない」


さやか「……え?」

恭介「あの時、辛く当たってしまってすまなかった」

さやか「え、ちょ、何言ってるの恭介!?」

恭介「さっきさやかはこう言ったよね。魂は、もうその身体には無いのだと」

さやか「……うん」

恭介「だからなんだっていうんだよ!さやかはさやかじゃないか!!」

恭介「もし君がさやかじゃないとしたら、今僕は誰と話をしているんだい?」

さやか「え、えーと……?あたし、かな……?」

恭介「ほらやっぱりさやかじゃないか。魂が無いからって自分を下非しないでよ。僕のすきな人を貶さないでくれ!!」

さやか「う、うん……?わかった……?」



ほむら「美樹さやか。見つけたわよ……」ゼーハー

マミ「美樹さん……と、どなたかしら?」

杏子「あれ、お前……もしかして例のぼっちゃんじゃないのかい?」

さやか「み、みんな!?」

まどか「みんな〜、走るの早いよぉ〜」パタパタ

さやか「まどかまで……どうしたの!?」

ほむら「どうしたの、じゃ無いわよ……ハァ……」

マミ「美樹さん、自分の状況を忘れてしまったの?」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:22:44.82 ID:PwWCAfDHo<>
まどか「さやかちゃんのばか!もう2日もいなくなっちゃってずーっと心配してたんだよ!?」ギュッ

さやか「……ごめん、まどか……ごめん、なざい……!!」

さやか「うぅぅ……ぐすっ……ぇぐっ……」

まどか「ほむらちゃんも、マミさんも、杏子ちゃんも……一緒に探してくれたんだよ」

さやか「ご、ごめんなざい、マミざん、ぎょうご、それに……転校ぜ……じゃなくって、ぼむらぁぁぁぁぁぁ」

ほむら「!?」

まどか「さやかちゃん、鼻水すごいよ?」フキフキ

ほむら「……ふん。まどかに感謝する事ね」

まどか「あはは、ほむらちゃんったら……さやかちゃん、ほむらちゃんたらね、すっごい焦っちゃって面白かったんだよ?」

ほむら「ま、まどか!?」

まどか「ウェヒヒヒ!」


恭介「さやか……君は、いい友達をたくさんもったね」

さやか「ぎょうずげぇ……」



その後、みんなに茶化されたり浄化されたりしながら、さやかは帰ってきた。

もうすぐ、ワルプルギスが来るらしい。

それを過ぎても平和に暮らせるよう、いくつかの約束事と共に二人の恋は成就した。

ある春の出来事だった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/05(水) 03:23:31.87 ID:PwWCAfDHo<> 今日はここまでですー。
乙をありがとうございます!ニヤニヤしちゃいます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage<>2012/09/05(水) 05:06:55.53 ID:xU8GKrmgo<> 乙。
やっぱ恭さやは見ててニヤニヤするな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/05(水) 05:07:05.41 ID:U6uXiUGWo<> 乙
ニヤニヤする>>1を見たいだけなんだからねっ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/09/05(水) 06:42:15.59 ID:geW5AStPo<> 乙 <> sage<><>2012/09/05(水) 07:33:47.30 ID:sLURq9Ev0<> 乙

さやかが元気なSSは読んでいて幸せ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/09/06(木) 00:36:08.89 ID:Pfrzzj6Yo<> 乙
ゲームの恭介にこれくらいの補正があったらなぁ <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/06(木) 03:15:07.86 ID:VCLKZNQRo<>
さやか「――ハイッ!ハイッ、はーい、失礼しました〜」


ぺこぺこと頭を下げながら職員室の扉をぴしゃりと閉める。


さやか「ぶるあぁぁぁ……疲れたぁ……」


上を向いて息をはき、肩に手をやりポキポキと鳴らす。

先生には今まで何度も怒られたが、どうにも慣れないものだ……


恭介「よっ、さやか。お説教はちゃんと染み込んだかい?」

さやか「恭介ぇ!?……もしかして、待っててくれたの?」


まさかさっきの醜態を見られてはいやしないかとヒヤリとする。


恭介「まぁね。さっき、また後でーって言ったじゃないか」

さやか「それは今晩練習を聴きにいく予定があるからで……」

恭介「なんだい、僕が待っていたらいけない理由でもあるのかい?」

さやか「そういうわけじゃ、ない、けど…………結構待たせちゃったでしょ?」

恭介「いや別に?ほら、一緒に帰ろうよ。僕の杖さばきを見せてあげよう」

さやか「よーしじゃあ競争かな〜?」

恭介「おう、受けて立とうじゃないか。僕はどんなハンディキャップだって超えて見せるさ」

さやか「あはは、実に頼もしいですなぁ!」


そんなやりとりをしながら下駄箱へ向かう。

人のいない広いホールに、幸せな笑い声がこだました。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/06(木) 03:15:57.21 ID:VCLKZNQRo<>
恭介「♪〜」

さやか(”主よ、人の望みの喜びよ”)

さやか(ふんわりとした、幸せな曲……心がとっても落ち着くのがわかる)

さやか(…………♪〜)


音が、特別にあつらえられた練習室の壁に吸い込まれてゆく。

この音楽をホールで聴くことができたなら、どんなに素敵なことだろう……

軽く目を閉じて聴き入る。

身体中に静かな旋律が染み込んでいくかのような錯覚すら覚える。



最後に軽い余韻を残し、演奏は終了された。

恭介が軽く頭を下げる。


さやか「……すごい。やっぱり恭介はすごいや」パチパチ

恭介「あはは……ありがとう、さやか」

さやか「これ、こんどの演奏会でも弾くんだっけ?」

恭介「ああ。例によって見滝原ホールでね」

さやか「ホールかぁ……すっごく、楽しみかも」

恭介「その時は特別チケットを用意して待ってるよ」

さやか「約束だよ?」

恭介「もちろんさ」


そう言って微笑みかける。


さやか(……反則だろ、これ……)

恭介「?」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/06(木) 03:16:44.57 ID:VCLKZNQRo<>
さやか「あっ……もうこんな時間!?」

恭介「ほんとだ……送っていこうか」

さやか「あはは、大丈夫だよ〜」


そう言って手をひらひらと振る。


さやか「それに、いざとなったらあたしの逃げ足なら誰にも捕まらないさー」

恭介「そりゃそうだけどさ……ってまず逃げ足を披露する様な状況になる前提がまずおかしいだろ」

さやか「はいはい、心配性な恭介君だこと」

恭介「君って奴は……まぁいい。……気をつけて帰るんだよ?」

さやか「ん。じゃあまた明日学校で」

恭介「また明日ね」


大きく手を振って別れた。

玄関で恭介が苦笑いしているのが見える。


さやか「う……ちょっぴり肌寒いな……」


そろそろコートを出すべきだろうか。ついこのあいだまであんなに暑かったのに……

そんな事を考えながら、空を仰ぐ。


さやか(――もう、秋なのかなぁ……)


見滝原の明るい夜空では、星はあまり浮かんでいないように見えた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/06(木) 03:17:22.32 ID:VCLKZNQRo<>
上条家から自宅に帰るまでのあいだに、さやかは鹿目家の前を通る。

暖かい家庭をそのまま現したかのような家族を思い浮かべ、自然と顔がほころんでしまう。

ちょっぴり、羨ましいけど……




さやか「――っ!……まさか、この感覚……!?」


急に背筋が寒くなったような感覚がさやかを襲う。

忘れもしない嫌な感じ。

魔力が急速に一点に集まって、変換されていくかのような……


さやか「魔女……!!」


脳裏に前回の魔女が浮かぶが、頭を振って考えを散らす。

ソウルジェムを使い、結界を探知する。

ソレは、程なくすぐ近くの公園の裏で見つけられた。


さやか『――マミさん、聞こえますか?結界を見つけました』

マミ『了解したわ。今どこかしら?』

さやか『まどかの家の近くの公園の裏です。あたしは、先に入って探索します』

マミ『わかったわ。……くれぐれも無理はしないようにね』

さやか『ラジャーです』


さやか「今度こそ……いくぞっ」


頬を両手でパシンと叩き、いつもの気合を入れる儀式をする。

青の装束を身にまとうと、さやかは独り結界へと乗り込んで行った。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/06(木) 03:18:11.93 ID:VCLKZNQRo<>
結界の中を進む。


さやか「なにこれ……中途半端に傷ついた、使い魔……?

さやか「それとも元々こういうのなのかな……」


ひたすら数で押してくる使い魔達を剣で切り裂きながら、中央を目指し走る。


さやか「……そうだ、閃いた!さやかちゃんトルネードアタック!!」


両手に剣をもち、腕を広げてコマのようにぐるぐると回転しながら敵に突っ込む。

数だけの使い魔ははじかれるなり斬られるなりして消えていった。

が……いかんせんこれは……


さやか「目が回る……うぇぇ……」


この技はナシだな、と心に決めて普通に進むことにした。



さやか「――着いた」


ひときわ大きな扉の前に出た。豪華絢爛な装飾をされたそれは、禍々しい気配を放っている。

扉に手をかけようとしたその時――

ドカン!!


さやか「っ!?」


中から大きな爆音が響いてきた。


さやか「誰か既に戦ってるの!?」


慌てて扉を開く。

直後、すぐ傍で爆音が轟き、思わず耳を塞いでしまう。


さやか「な、何……っ」


目を上げると、遠くで誰かが倒れているのが見えた。

見覚えのある黒髪は、重そうに体を持ち上げて――


さやか「ほむら……?」

ほむら「――っ!!」


暁美ほむらは、しくじった、というように顔をゆがめた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/06(木) 03:19:43.68 ID:VCLKZNQRo<> 今日はここまでですー。
乙や感想ありがとうございます!!
ニヤニヤがとまらなくて導かれそうです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/06(木) 04:59:29.53 ID:g86UsWYFo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/09/06(木) 07:20:57.86 ID:cf7X9F4ao<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/09/06(木) 14:36:14.70 ID:f8BNeXqY0<> 乙
続きが楽しみ過ぎる <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/07(金) 02:44:50.22 ID:pI58OLGmo<>
さやか「あんた、だいじょー……ッ!」


ほむらの元へ駆けようとするさやかの前髪を魔女の蔓がかすめる。


ほむら「馬鹿!直線で走るんじゃないわよ!!」

さやか「え、何聞こえな――うおっとぉっ!」


地面から貫こうと突き出してきた根をすんでのところでかわす。

魔女は標的をさやかに切り替えたようだ。


さやか「お、もしかしてあたし狙われてる?」

ほむら「美樹さやか、後ろ!」

さやか「うほいっ!――サンキュー助かった!」


振り回される蔓を大きく跳んで避け、ほむらの元へたどり着く。


さやか「はい、到着!――っと、ゆっくり回復させてはっ、くれないみたい、だねっ!」

ほむら「っ!?」


おもむろにほむらを回復しつつ抱えてその場から跳び退る。ちなみにいわゆるお姫様だっこというやつである。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/07(金) 02:45:16.97 ID:pI58OLGmo<>
さやか「ちょっとあんためちゃくちゃ軽くない!?ちゃんと肉……そういえば食べてなかったわね」

ほむら「余計なお世話よ……用が済んだらさっさと下ろしてちょうだい」

さやか「なっ、せっかく人が回復してやったのになんて言いぐさだコイツ!」

ほむら「……治療には礼を言うわ」

さやか「素直なのは素直で逆に気味悪いかも……」

ほむら「」イラッ


ほむらを下ろし、魔女に向きなおる。

いびつな紙の花をがらくたの塊に貼り付けたような姿をした魔女がガチャガチャと音を立てて回転する。

と、同時に二人の足元から根が飛び出すのを合図にばらばらの方向に駆け出す。

縄跳びのように蔓を飛び越え、葉を斬り裂き、花を蹴って散らす。

空中に魔方陣を展開して自在に跳び、相手を翻弄しつつダメージを与える。


さやか「ダメだ、近づけない……っ!マミさん、早く来てよぉ」

ほむら「……!巴マミも来るの!?」

さやか「うん、結界をみつけてすぐに連絡したからもうすぐだと思う!」

ほむら「まずいわ……」

さやか「え?」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/07(金) 02:46:00.64 ID:pI58OLGmo<>
ほむら「美樹さやか、悪いけど私はここで一旦引かせてもらうわ」

さやか「え、ちょ、なんで!?」

ほむら「鉢合わせたくないからよ!」

さやか「それこそなんでなのさ!せっかく生きてるのに何で身を隠すの!?」

ほむら「――ッいえるわけ、ないでしょう!!」

さやか「そんなの納得できない!」

ほむら「…………っ」



マミ「美樹さん、遅れてごめんなさい!到着した……わ……」

マミ「――暁美さん……?」

ほむら「っ……!!」


強固な扉を破壊して、マミが姿をあらわす。

そして、ほむらの姿を見て固まった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/07(金) 02:46:54.77 ID:pI58OLGmo<>
マミ「暁美さん……暁美さんなのね!?よかった、生きていたのね……!!」

ほむら「近づかないで!!」

マミ「」ビクッ


思わず駆け寄ろうとするが、大声で制され驚いたように立ち止まる。


ほむら「……最悪よ」


固まっているマミを迂回し、破壊された大穴から逃げるように去る。


さやか「待って……っ!?」


後を追おうとするが、魔女の攻撃によってさえぎられてしまう。


マミ「……美樹さん、とにかく今は魔女よ!一気に決めちゃいましょう!」

さやか「……はい」


大穴からはなれ、再び魔女の元へと飛び込む。

数分後、魔女はティロフィナーレの爆音とともに消え去った。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/07(金) 02:47:45.62 ID:pI58OLGmo<> ちょっと短いけど今日はここまでです。
楽しんでいただけるものを書けるよう、精一杯がんばります! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/07(金) 03:47:07.37 ID:BGV+Z8Q1o<> 乙

続きが気になるっ……! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2012/09/07(金) 03:54:15.47 ID:bU2ijOA60<> 乙
ほむら精神的に追い詰められてんな…大丈夫か <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/07(金) 04:40:18.36 ID:IAo+QYWQo<> 乙
短くてもペースが速いので嬉しい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(大阪府)<>sage<>2012/09/07(金) 22:46:41.38 ID:fcLhzvJFo<> 乙 <> ◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/08(土) 01:41:16.16 ID:zUJJcqkNo<>
結界が解け、辺りに静寂が戻る。

小さく高い音を立ててアスファルトにグリーフシードが突き立った。


マミ「ふう……暁美さんを追うには大分時間がたっちゃったわね……」


不安定そうな針のみで直立するそれを、さやかが屈んで拾う。パンツが見えそうでギリギリ見えない。


さやか「……マミさん、このGS……もらってもいいですか?」

マミ「ええ、いいけど……どうしたの?」

さやか「このあいだ、あたしが怪我した時……ほんとは、ほむらが看護してくれたんです」

マミ「……なるほどね。合点がいったわ」

さやか「嘘ついててすみませんでした」

マミ「いいのよ。あの様子だと口止めされていたんでしょう?何か訳ありみたいだし……」

さやか「…………」


変身を解いてGSを見つめる。


さやか「マミさん。あたし、これからほむらを探しに行きます」

マミ「気持ちはわかるけど……今日はもう遅いわ。明日、一緒に探しましょう」

さやか「でも……っ!」

マミ「闇雲に探しても、暁美さんは隠れてしまうと思うわ。事実、彼女はそういう事に長けているようだし……」

さやか「……っそう、ですよね…………じゃあ、今日はもう帰ります。お疲れ様でした」ペコリ

マミ「お疲れ様。また明日、ね」


会釈してマミと別れる。



さやか「――無力だなぁ、あたしって」

さやか「悩んでいる友達を分かってあげる事すらできない……」

さやか「……なんで、隠れなくちゃいけないんだろ」

さやか「――明日、まどかにも話そう」

さやか「きっと、これってあたしだけで考えていい事じゃないはずだ」

さやか「杏子……は、きっとマミさんから連絡が行くだろうし」

さやか「…………」

さやか「……ほむら。今度は、あたしの番だ……!」


ぐっと拳を握り締め、決意をする。


それぞれの思いを胸に、見滝原の夜は更けていく。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/08(土) 01:42:08.61 ID:zUJJcqkNo<>
チュンチュン

さやか「んぇ……朝……?」


ぼりぼりと腹を掻きながら目をこする。


さやか「ねむ……いま何時ー……っ!?」

さやか「やばっ!もうこんな時間!?」

さやか「ああんもう何で目覚まし時計は鳴らなかったのさ!……って昨夜夜更かししたから止めたんだった」

さやか「とにかく支度支度!!」


着替えながらどたばたと廊下を駆けて洗面所に飛び込む。

顔を洗って手早く髪を整え、今度はキッチンへ。


さやか「今日のさやかちゃんキッチンはお休み!お昼は購買確定だわ、今月厳しいのに……んもーッ!!」


トーストを焼いてマーガリンを塗り、牛乳で流し込む。


さやか「……ぷはっ!ごちそうさまでした!」

さやか「いってきまーす!!」


最後にドアの鍵をきちんと閉めて、さやかは慌しく走っていった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/08(土) 01:43:13.24 ID:zUJJcqkNo<>
さやか「ごめんまどか、仁美!おはよう!」


ぜえぜえと息をきらせながら、待っていてくれた二人に挨拶をする。


まどか「さやかちゃんおそーい!」

仁美「美樹さん、おはようございます。早速ですが、走りますわよ!」

さやか「うぇぇぇ……ばっちこい、だ……!」ゼーハー


若干よろけそうになるのを持ち前の持久力とこっそり魔力で補う。いざとなったらまどかも抱えて走らなくちゃいけない……



先生「はーいじゃあ出席をとりまーす」

さやか「――ちょっと待ったぁぁぁあああああ!!」バーン


ガラスの扉を足で思い切りスライドさせて開く。割れないのが不思議なくらいだ。パンツは見えた。

さやかは、両脇にまどかと仁美を抱えていた。

教室にどよめきが広がる。上条は呆れたとばかりに頭に手をやり、嘆いた。


さやか「ぜぇ……ぜぇ……」

まどか「さ、さやかちゃん……」

仁美「想像以上にスリル満点でしたわ……」

先生「美樹……さん……?」

さやか「せ、セーフです……よね……?」

先生「い、一応……」

さやか「よかっ……たぁ……」

まどか「さやかちゃん!?」


崩れ落ちそうになるさやかを二人で支え、席へと運ぶ。


先生「ごほん……えーと、改めまして……出席をとりまーす」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/08(土) 01:43:57.45 ID:zUJJcqkNo<>
チャイムが鳴り昼休みを告げると、生徒達は思い思いの場所で昼食を摂り始める。

さやかとまどかは、屋上でマミと会議を開いていた。


さやか「……と、いうわけなの」

まどか「ほむらちゃん、生きていたんだ……!」

マミ「ええ。でも、彼女自身はどうにもワケがありそうなのよね……」

さやか「はい。……正直あたしには、何がなんだか……」

まどか「ほむらちゃん……」

マミ「QBにも訊いてみたけれど、あの子も口止めされてるみたいで話してくれないのよね」

さやか「あー、やっぱりですか……」

マミ「今一応佐倉さんが捜索していてくれてるけれど、まだ見つかったという連絡は無いわ……」

まどか「…………」

さやか「そんなわけで、まどか。あたし達は放課後探しにでかけるけど――」

まどか「わ、私も行く!!」

さやか「――そう来ると思った。じゃあ、決まりだね」

マミ「ええ。がんばりましょうね、鹿目さん」

まどか「はい!」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/08(土) 01:44:38.86 ID:zUJJcqkNo<>
放課後。

習い事に行く仁美は先に帰っていった。

マミと合流し校門を出ると、赤い髪のポニーテールが草むらでゆれていた。


さやか「杏子!何してるのそんなとこで!?」

杏子「おっせーよ!……センコーは苦手なんだよ」

マミ「はいはい。だからって植え込みに隠れるのはやめましょうね。洗濯する方の気持ちにもなってよ」

杏子「……チッ。はいはい、わかりましたー」

マミ「全く……」

まどか「あはは……」

さやか「それで、杏子。首尾は?」

杏子「ああ……全くよくねーな。痕跡のこの字も見当たらねー。一応、風見野の方も見て回ったんだがやっぱり同じ結果だったよ」

マミ「そう……」

まどか「……ほむらちゃん、どうしちゃったんだろう……」

杏子「正直見当もつかねーな」

さやか「あたしも、ゆうべずっと考えてたんだけど結局わからなかったよ……」

マミ「……とにかく、手分けして探しましょう。今はそれしか思いつかないわ……」

まどか「はい……」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/08(土) 01:45:58.31 ID:zUJJcqkNo<> 今日はここまでです!
明日はちょっとでかけるので、もしかしたら更新できないかもしれません。ゴメンナサイ…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/08(土) 02:02:03.27 ID:ODPXHPEYo<> 乙乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/08(土) 04:41:48.24 ID:ag2nvuB+o<> 乙
現状いいペースだし
無理する必要はないのよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)<>sage<>2012/09/10(月) 09:40:53.63 ID:FHMQPQrw0<> 乙ー
パンツの描写多いなwwwwww <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/11(火) 00:20:26.07 ID:9sKZzWGWo<>
その後、5人はそれぞれにわかれてほむらを捜索する事にした。

まどかは魔法少女ではないため通信手段としてQBを連れて歩いている。

近くの川岸では子供たちがボール遊びをしていた。


まどか「どうして、なんだろうな……」

QB「何がだい?」

まどか「もちろん、ほむらちゃんのいなくなっちゃった理由だよ」

QB「僕としては、わかりかねるね」

まどか「教えてもらってないの?」

QB「一応尋ねたけれど、彼女は答えてくれなかったからね」

まどか「そっかぁ……」


ため息をついて、空を見上げる。

厚く空を覆う雲は、夕暮れの空気を一層薄暗い物にしていた。


まどか「……私のせい、かな……」

QB「なぜそう思うんだい?」

まどか「わかんない。でもなんとなく、そんな気がするの……」

QB「そうかい」


二人の間を一陣の風が吹き抜けていく。

確かな秋の訪れを思わせるそれは、まどかの髪を揺らすと川の流れに葉を落とし去っていった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/11(火) 00:20:57.95 ID:9sKZzWGWo<>
まどか「……ほむらちゃんがいなくなってから、もうどれくらいたったんだろ」

QB「君たちの前から姿を隠してから、約3ヶ月半。正確には3ヶ月と17日だけれどね」

まどか「もう、そんなになるんだ……」


てくてくと歩を進める。市街地からずいぶんと離れてしまったためか、人通りが少なくなってきた。

この辺りはまだワルプルギス戦による影響での破壊の爪痕が残っているようだ。


まどか「…………」


なんとなく、ほむらがそこにいるような気がして瓦礫の中をひょいと覗いてみる。

が、もちろんそこには誰も居なかった――いや、正確には”これから居る予定になる”ようだった。


まどか「グリーフ、シード……!?」

QB「これは……まずい、孵化しかかっている……!」

まどか「ええぇぇぇっ!?」

QB「まどか、僕と契約して――」

まどか『マ、マミさん!さやかちゃん!杏子ちゃん!町外れでGSが孵化しかかってるの!』

マミ『なんですって!?』

さやか『まどか、離れてて!すぐ向かう!』

まどか『うん、わかっ――きゃあぁぁぁぁっ』

杏子『おい、どうした!』

まどか『ど、どうしよう……私、結界に巻き込まれちゃった……!』

マミ『鹿目さん――っ!』
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/11(火) 00:21:25.09 ID:9sKZzWGWo<>
みるみるうちに辺りに結界が展開されていく。

真っ暗な天井、宙に浮く極彩色の床、不思議な色の火の灯ったロウソク、そして使い魔――!


使い魔「キィ!キキィー!」

まどか「きゃあっ!?」

QB「まどか!!」


使い魔がまどかに気がつき、体当たりを仕掛ける。

おもわずその場にしゃがみこんで頭を守り、衝撃に備える――が、しばらくしても衝撃は来なかった。


まどか「……あれ?」


そっと頭を上げて辺りを確認する。

そして、気がつく。

自分の前に、誰かがまどかを庇うようにして立っていた。

それは、黒と紫を基調とした魔法少女の衣装で、黒髪をたなびかせ特徴的な盾を構えた、彼女は……


まどか「ほむら……ちゃん……?」

ほむら「…………」

まどか「ほむらちゃん!ほむらちゃんだよね!?」

ほむら「……人違いよ」

まどか「そんなはず……!」

ほむら「暁美ほむらは死んだ!死んだのよ!!」

まどか「!?」ビクッ


急な大声に思わずビクリと肩を揺らす。


ほむら「……チッ」

まどか「ほ、ほむらちゃん……」

ほむら「そこのあなた。もうすぐ魔女が孵化するわ……この机の下に隠れていなさい」ドスン

まどか「う、うん……」

ほむら「…………」


急に盾から現れてきた机の下に隠れる。途中、まどかを追おうとした使い魔はほむらと思わしき人物によるナイフの一撃で崩れ去っていった。

机の下からちらりと彼女の顔を窺う。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/11(火) 00:21:55.67 ID:9sKZzWGWo<>
まどか(……見れば見るほどほむらちゃんにに見える……というか、本人だよね……?)

まどか(でも、”暁美ほむらは死んだ”って……)

まどか「QB、どういう事なの……?」ヒソヒソ

QB「彼女は暁美ほむら本人で間違いはないよ。彼女が嘘をついているとしか考えられないね」ヒソヒソ

ほむら「そこ、何をヒソヒソ言っているの!?」

まどか「」ビクッ

QB「……来るよ!魔女が孵化する!」

ほむら「……!!」グッ


卵が割れ、魔女が孵る。

黒の奔流が溢れ、漆黒の天井を更に黒く染め上げる。

ロウソクは一層激しく燃え盛り、魔女の誕生の呪詛を紡ぐ。


魔女「クェェ……ン」


禍々しく染め上げた孔雀のような形をしたそれは、静かに舞い降りた。


魔女「クゥ……クェ……クェェェェエエエ!」

ほむら「!!」


魔女がつぎはぎだらけの翼を翻し、宙を舞う。

天井近くまで上がると、そこから自らを弾丸のようにして突っ込んできた!


ほむら「動きが直線的よ……!」

まどか「――きゃああああっ!!」

ほむら「まどか!?」


魔女は浮遊していた床の一つと激しく衝突し、その破片が飛び散ってまどかを襲う。


ほむら「……くっ」ダッ

魔女「クェェェェ」


ほむらはまどかの隠れている机に駆け寄り、魔女の攻撃を盾で受ける。


まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「…………っ」


歯を食いしばり、衝撃を耐える。

魔女は何度も離れては体当たりし、辺りの床を削った破片で攻撃したりを繰り返す。

縦横無尽に飛び回り攻撃してくる魔女に、ほむらはだんだんとふらつきを隠せなくなってきていた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/11(火) 00:24:24.44 ID:9sKZzWGWo<>
まどか「ほむらちゃん……!」

ほむら「違うって、言って、いるでしょう……!」

まどか「違わない!ほむらちゃんは、私の大好きなほむらちゃんだよ!」

ほむら「――――ッ!」


魔女の体当たりに合わせ思い切り相手を蹴り上げる。

頭を蹴られる形になった魔女は大きくのけぞり、地に落ちた。


まどか「ほむ――」

ほむら「うるさい!!」


魔女の頭を踏みつけ、ナイフを突き立てようと振りかざし――



魔女の尾が、肩を貫いた。


ほむら「――――」

まどか「ほむらちゃんッ!?」


肩に突き刺さった尾を乱暴に引き裂き、改めて魔女にナイフを突き立てる。

もちろん魔女も黙って刺されているわけではない。踏まれた頭を逃そうとばたつき、尾羽での攻撃を繰り返す。

しかし、ほむらは全く動じずに魔女にナイフを突き立て続ける。何度も、何度も、何度も……

まるで、何も感じてはいないかのように。


まどか「ほむら、ちゃ、ん……?」

ほむら「……」


まどかは、その姿に親友のかつての姿を重ね、戦慄する。彼女が狂い始めた、あの時を思い出す――


魔女「グゥ……グェ……グェェエエエェェェエ!!!」

ほむら「――――」


魔女が一際強く引き絞った尾をほむらの身体に突き刺す。

貫通した尾はほむらの体を浮かせるが、乱入してきた青の一閃により尾は断ち切られ、バランスを崩したほむらは気がつけばまどかに抱きすくめられていた。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/11(火) 00:25:21.22 ID:9sKZzWGWo<> 今回はここまでですー。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/09/11(火) 02:55:58.52 ID:6bMDCIpZo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/09/11(火) 07:46:01.73 ID:/go8DD7go<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/11(火) 09:04:22.18 ID:BTc83Yoko<> 乙
首尾良くワルプル倒して
予定通り姿を消しても
ちっとも幸せそうじゃないねほむほむ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/11(火) 11:28:08.80 ID:D1zvOlK6o<> ループ中なんて強くてニューゲームやってるようなもんだったしな
余裕なんてあるはずない <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:07:28.13 ID:M2PeT1sMo<>
さやか「ほむら、アンタ何やってるの!?」

ほむら「――邪魔しないで」

さやか「バカ!これが黙って見てられるかっていうのよ!」

さやか「何自暴自棄になってるの!?まどかを、守るんじゃなかったの……!?」

ほむら「うるさい……」

さやか「怪我だってこんなにして……痛覚遮断はするなって、あたしに言ったのはあんたでしょう!?」

ほむら「うるさい!!!」

さやか「ほむら!!」


抱きついたまどかを振りほどいて魔女へと駆けていく。


まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「バカ……ッ!」


さやかは、ほむらを助けた時に、彼女のソウルジェムがどす黒く染まっているのを見てしまっていた。

思い切り床を蹴って飛び出し、翼を引きずりながら逃げ出す魔女を追うほむらを抱き止める。


ほむら「離して……ッ!」

さやか「できない!今は治療する!」

ほむら「離してよ……!」

さやか「あんたバカなの!?ソウルジェムが真っ黒じゃない!浄化しなくちゃ――」

ほむら「離せッ!!!」

さやか「――っ!?」


ほむらが思い切りさやかに噛み付く。

噛み付かれた所からは血が溢れ、思わずほむらを離してしまう。


さやか「痛ッ!?ほむ――」

マミ「ティロ!フィナーレ!!」


聞きなれた必殺技名と共に光の砲弾が直撃し、魔女は跡形も無く消え去った。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:07:54.94 ID:M2PeT1sMo<>
まどか「マミさん……杏子ちゃんも!」

杏子「おい……どういう事だよほむら!!」

ほむら「…………」


杏子がほむらの胸倉を掴み、揺さぶる。

だらりと伸ばされたままの腕にさやかが近づき、GSをソウルジェムに押し当てる。


さやか「……はい、浄化完了」

ほむら「!?」

マミ「暁美さん……さっきのは一体何?」

ほむら「……あなた達には関係ないわ」

さやか「――バカ!関係ないわけないじゃない!!……友達が、傷ついているのを見過ごせるわけ、ないじゃない……」

ほむら「…………ッ」ギリッ


ほむらは思い切り杏子の腕を振りほどき、距離を取る。

魔女の結界が、ようやく解ける。

見滝原を覆っていた分厚い雲は、とうとう大粒の雨を降らせはじめていた。

ほむらは、雨に打たれびしょ濡れの瓦礫の上に崩れるように座り込んだ。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:08:20.67 ID:M2PeT1sMo<>
ほむら「フフ……ウフ、フフフ……アハハハ……!…………友達?なにそれ……」


正気を失ったような、見たこともない目をして急に笑い出す。


まどか「――ほむら、ちゃん……?」

ほむら「近寄らないで!!」

まどか「」ビクッ


思わず近寄ろうとするが、一喝されすくんでしまう。

まどかがおろおろとその場で視線を泳がせるのをみて、ふっと笑ってからほむらは口を開く。


ほむら「私はね、まどか。本当はあなたの事が、ずっと……」


ほむら「大ッ嫌い、だったのよ」


まどか「――え……?」

ほむら「巴マミも!佐倉杏子も!美樹さやかも……!みんなみんな、大嫌いだったの!!」

マミ「……!?」

杏子「てめぇ……」


苛立ちを含んだ言葉は矢継ぎ早にまくしたてられる。

大粒の雨が顔に当たり、涙ともつかないような水滴が彼女の顔を幾筋も伝う。


ほむら「ずっとずっと嫌いだった!おせっかいな所も!仲間だとかいって馬鹿みたいにはしゃいでるのも!」

ほむら「ずっとずーっと憎んでた!呪っていた!何もかも、消えてなくなってしまえばいいのに……!」

まどか「ほむらちゃん――」

ほむら「その名前で呼ばないで!!――暁美ほむらは、死んだのよ……!」

さやか「それって、どういう、こと……?」

ほむら「フフ、フフフフフ……ハハハ…はははははは!――バッカみたい!あなた達は知らないくせに!私がどれだけ苦労してきたか!どれだけ苦しんできたのか!!」


雨に濡れ、髪を振り乱しながら大きく口を開けてほむらは笑う。


ほむら「私はね、そう……かつて、ずっと同じ時間をループしていたの。永遠にすら感じるの時間の迷路に取り込まれて」

ほむら「それも全て、鹿目まどか。あなたのせいよ」ギリッ

まどか「――えっ……?」


まどかを思い切り睨みつけたほむらは、ぼそぼそとした口調で話し出す。


ほむら「……私は、かつて心臓病を患っていた。ずっと入院していたの。両親は膨大な医療費のかかる私のために必死に働いてくれていたわ。治る見込みなんて、ほとんど無かったのに……」

ほむら「当時は大きな病院を転々としていたわ。そしてある日、私は学校へ行かせてもらえることになった。今思うと、思い出作りの意味もあったのかもしれないわね……」


息をつき、空を見上げる。

その顔は、とても切なそうで。懐かしい何かを探すかのように、目を閉じ、静かに呼吸をする。


ほむら「そしてそこで、私はある少女と出会った。出会ってしまったの」

ほむら「――それがあなた。鹿目まどか、あなたよ」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:09:30.27 ID:M2PeT1sMo<>
ほむら「あなたは臆病で引っ込み思案な私を明るく励ましてくれた。正直、嬉しかったわ。友達なんて、できると思っていなかったから」

ほむら「かつてのあなたは魔法少女だった。魔女の口付けを受け、結界に取り込まれた私を助け出してくれた。私達は急速に仲がよくなったわ」

ほむら「おかげで美樹さやかや志筑仁美といった友達も増えて、私は幸せな日々をおくっていた」

ほむら「でも、あいつが現れた。……ワルプルギスの夜、よ」


よろけながら立ち上がり、頭痛を抑えるかのように自らの頭に手をやる。


ほむら「あいつの強さは桁違いだった。巴マミは戦死したわ。残されたまどかは、敵わないと知りながら挑み、そして散った――」ギュッ

ほむら「当時の私はまだ契約していなかった。そして私は祈った。鹿目まどかとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私ではなく、彼女を守る私になりたい、と」

ほむら「契約は成立。私は時間を巻き戻し、転校する10日前まで遡れていた。……少なくとも、あの時はそう思っていたわ」

ほむら「あの時は嬉しかったわ。あこがれの魔法少女になれたんだ、私も戦えるんだって。あは、馬ッ鹿みたいね」


まるで演説でもするかのように、朗々と。

手を広げて、目を閉じる。


ほむら「でも、結局まどかは魔女になっては死んでしまった。私は、また時間を巻き戻したわ」


再び開かれたその瞳には、憎悪が詰まっていた。

まどかが小さく悲鳴を上げて身体を抱きしめる。


ほむら「その次は散々よ。誰も私のことを信じてくれない。魔女になる、なんて急に言われても誰も信じてはくれなかったのよ!」

ほむら「でも、でもね……その後、みんな私のことを信じるようになってくれたわ!美樹さやか、あなたが目の前で魔女になってくれたおかげでね!!」

さやか「……っ!!」

ほむら「巴マミは錯乱し、佐倉杏子を殺害したわ。魔女になるなら、みんな死ぬしかないじゃないって!今思えば実に正しいわね」

ほむら「まどかはそんなマミを殺した。最後には、私とまどかだけが残ったわ。そしてワルプルギスがまた来て、そしてまどかは全力を出し切って魔力を使い果たし、死んだ」

ほむら「今でもまだ鮮明に覚えているわ……まどかは、私に頼んだのよ」

ほむら「”QBにだまされる前のバカな私を、助けてあげてくれ”と。そして、”魔女になりたくないから、SGを砕いてくれ”と」


泥だらけになった自らの両手をじっと見つめる。所々切り傷ができて、血が滲んでいる……


ほむら「だから、私はまどかのSGを打ち砕いた。そして、またループへと飛び込んだ」

ほむら「本当に、気の遠くなるような数だけループしたわ。……でも、全部ダメだった」

ほむら「美樹さやか。あなたは時々、私にこう言ったわね。”精神が老けている”と」

ほむら「あなたって時々鋭いわ。まさにその通りよ」

ほむら「まあ、正確には精神だけじゃなくって魂も老けているんだけどね」


自嘲的に笑い、さやかを睨みつける。


まどか「ほむらちゃ……」

ほむら「何度も言わせないで!!暁美ほむらは死んだのよ!私が殺したの!!」

まどか「……!?」


ほむら、という名前に反応して彼女は叫ぶ。

まどかは理解できなかった。ほむらは死んだ。ほむらちゃんが、ほむらちゃんを、殺した……?
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:09:57.10 ID:M2PeT1sMo<>
ほむらは再び語りだす。自らの過去を。過ちを。そして、呪いを。


ほむら「――ねぇ、まどか。パラレルワールドって知ってる?平行世界とも言うわね」

ほむら「私はね、ずっと時間を巻き戻してると思っていたわ。……でも、本当は違った」


すっと腕を持ち上げ、盾を地面と平行に掲げて見せる。


ほむら「私の本当の能力は、時間停止と……平行世界の移動。それだった」

ほむら「平行世界にいる別の私の身体を乗っ取って、あたかも時間をまき戻したかのように錯覚させるのよ」

ほむら「傑作でしょ!ずーっと、私は私を殺し続けてたの。つい最近まで、私自身も知らなかったわ!!あははは、本当にバカみたい!!」


彼女の瞳は狂気を纏う。黒い焔を宿し、光を消し去ったかのような瞳だ。


ほむら「うふふふ、ふふふ、あは、あは、あははははは!はははははは!!」

ほむら「あは、あは……あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」ガンッ

ほむら「笑い声は嫌!嫌なの!!!」ガンッガンッ


頭を抱えていた腕を思い切り振り上げ、瓦礫に叩きつける。


マミ「暁美さん!?」

ほむら「私をその名前で呼ばないで!!!」ザクッ

マミ「痛っ!!」

杏子「マミ!?――てめぇ!!」


杏子がほむらを殴りつけようと駆け出す。が、まどかが庇うようにほむらに覆いかぶさった。


杏子「まどか、そこをどけ!」

まどか「嫌!」

ほむら「――ッ」

まどか「ぁあああああッ!?」


まどかが脚をおさえてうずくまる。そこからは、鮮血が流れ出ていた。


さやか「まどかっ!?」


すぐにさやかが駆けつけ治療を始める。


さやか「まどかに何するんだよ!?」

ほむら「――鹿目まどか!あなたの馬鹿な願いのせいで、私は今までずっと苦しまなければならなかった!」

ほむら「私はあなたのせいで人を殺した!何人も殺した!!殺さざるを得なかった!!!」

ほむら「私はあなたが、大ッ嫌いなのよ――!!」


乾いた音が辺りに響いた。

さやかがほむらの頬を叩いたのだ。


ほむら「――あは、ははは……」フラフラ


ほむらは驚いたように目を丸くしていたが、ふと気がつくとふらふらと立ち上がりどこかへと歩いて行った。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:10:29.77 ID:M2PeT1sMo<>
マミ「あ、暁美さ――」

杏子「放っておけよ、あんな奴!」

さやか「まどか、大丈夫?」

まどか「うん、私は平気だよ……マミさんは?」

マミ「私は大丈夫よ。魔法少女ですもの」

さやか「それにしても、あいつ……」

杏子「ああ……元々底の知れないやつだったが、まさかあんなだとは思いもしなかったよ……」

まどか「何か、理由があるはずだよ……」

さやか「まどか、あんた何言ってるかわかってるの!?たった今、あんたを刺したんだよ?」

まどか「でも……!」

マミ「鹿目さん、気持ちはわかるけど……正直、今の暁美さんは危険だわ」

まどか「マミさんまで……」

杏子「……アタシだって、あいつの事……信じてもいいと、思っていたさ……」

さやか「…………畜生……ッ」

マミ「美樹さん、何処へ行くの?」

さやか「帰ります。正直、頭が混乱して……整理する時間が、欲しいんです」

マミ「……そうね。鹿目さんは、一旦私の家へ来てもらおうかしら。今すぐ家に帰るのも心配だわ」

杏子「あいつが襲ってこねーとも限らねぇしな」

まどか「……はい…………」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 00:11:11.24 ID:M2PeT1sMo<> 今日はここまでです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/12(水) 00:39:59.36 ID:sDiWGAJuo<> 乙乙

ワルプルギスの夜を倒してもここまで絶望せざるをえない理由が気になる… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/09/12(水) 00:45:44.98 ID:RVKLPM37o<> いやまあ普通の人間なら狂うわな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)<>sage<>2012/09/12(水) 01:17:44.42 ID:mUVVZQBXo<> 結局別の世界の仲間たちを救えたわけじゃなく、いくつもの世界の自分の失敗を突きつけられてるわけだからな… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/09/12(水) 08:40:29.48 ID:JvehEj2To<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/12(水) 09:11:23.60 ID:k/QuqdZMo<> 乙
ループの方法論に話が広がるとは思ってなかったのぜ
自分を殺したから絶望したというのも腑に落ちないし
なんか理由があるのかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/12(水) 17:51:42.40 ID:qPVm7SU9o<> 聞いてもいないのに自分語りを始めちゃうマジ小物のほむらちゃんの直後に
何か理由があるんだよとか言っちゃうまどかの頭が心配だ <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 23:22:37.98 ID:M2PeT1sMo<>
さやかは3人と別れ、帰路を歩きはじめた。

傘はささない。

なんとなく、熱く焼けそうな頭の中まで冷やしてくれそうな気がして。

身体が重い。

濡れてはりついた衣服が、とても煩わしい……


さやか(ほむら……)

さやか(どうして、こんな事になっちゃったのかな)

さやか(あたし、もうわかんないよ……)

さやか(何を疑っていいのか、何を信じていいのか……)

さやか(わかんないよぉ……)


自然と足が止まる。目をギュッと閉じると、何か熱いものが顔を伝うのがわかる。

震える身体を抱きしめるようにしてじっと耐える。

胸が痛む。心臓が張り裂けてしまいそうだ――


さやか(……はは、まどかにはこんな姿見せられないや……)


ぐしぐしと顔を拭うが、涙は次から次へと溢れ出て次第と嗚咽になる。

幸か不幸か、雨のおかげで誰も近くにはいなかった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 23:23:14.66 ID:M2PeT1sMo<>
頭の中では、”大嫌い”という言葉がほむらの声と共にぐるぐると回っている。

自分が嫌われている事は、ずっとわかっていると思っていたのに。

覚悟しているつもりだけだったというのか。


さやか(だめだ、あたし……結局自分のことしか考えてなかった)

さやか(今だってそうだ。ほむらの事考えてるつもりで、でもやっぱり自分のこと考えてる)

さやか(……改めて、まどかってすごい子だって思う)

さやか(あたしには真似できない。できる気がしないよ……)


胸の奥が、チリリと焦げるような感覚がした。


さやか(あんな事言われて、あんな事されて。でも、ほむらを信じてる)

さやか(もちろん、手放しで良い事だとは言えない。けど、それはまどかの良さでもあるんだ)

さやか(あたしだって、まどかの信じるほむらを信じたい。でも……)


大嫌いと言い放った、ほむらの瞳を思い出す。

狂気の篭った、暗い紫の瞳。

思い出すだけで背筋が寒くなる。


さやか(……あの目は本気だった。なんとなく、だけど。まるで、魔女みたいな……)


さやか「――あれ?」


一つの点にふと気がつく。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 23:23:48.42 ID:M2PeT1sMo<>
なぜ、ほむらはあれほど絶望していても魔女になっていないのだろう?

いやむしろ、何が彼女をあれまでの絶望に至らしめたのだろうか?


ずぶ濡れになった袖で、顔を思い切り拭う。

降り注ぐ雨の下では全く効果を成さなかったが、いくらか気分がすっきりしたような気がする。


さやか(考えろ……)

さやか(理由はなんだ?)

さやか(さっきほむらが言っていた事は、全てが事実なのか?)

さやか(でも、あれほどで嘘って事はないだろうし……少なくとも、ほむら自身は事実だと信じてるって事かな)

さやか(だとしたら……考えられるのは)

さやか(…………)

さやか(わからん!さっぱりわからん!)


ポカポカと頭を叩くと、水滴が飛び散った。

考えながら土手を歩く。

雨は依然としてやむ気配はなかった。


さやか(……ほむらは何て言ってた?)

さやか(むしろ、何故あれを話した?)

さやか(嫌いなら、話さなければいいのに。――本当は、知ってほしかった?)

さやか(つまり、本心ではない?……いや、そんな事はないだろう)

さやか(本心であって本心でない)

さやか(もしかして、本人も混乱している?)

さやか(あの捨て鉢な戦い方。まるで、前のあたしを見てるみたいだった)

さやか(この間一緒に戦ったときは、あんなじゃあなかっ、た――)

さやか(――待てよ)


頭の中が急にすっと冷えだす。

まるで、絡まった糸の端を見つけたような感じがした。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 23:24:54.11 ID:M2PeT1sMo<>
さやか(なんで、あいつは姿を見せた?何故見つかるような危険をおかした?)

さやか(考えろ、考えろあたし……)

さやか(……)


さやか「もしかして……まどか?」


ゆうべ、ほむらと遭遇した時はまどかの家の近くだった。

今日は、まどかが結界に飲み込まれてしまった。

なんとなく偶然とは思えない……


さやか(でも……そうなると、最初はどうなる?)

さやか(あたしが油断して怪我をした時……なんで近くにいた?もし、ずっとまどかの近くにいたのだとすれば矛盾が生まれる)

さやか(いやそもそも……あのタイミング自体が怪しいのかな?)

さやか(確かにできすぎてはいる……あんまり疑いたくはない、けど……)

さやか(もし魔女があそこにいることを知っていたとしたら?もし、あの魔女が危険であることを知っていたとしたら)

さやか(まどかとマミさんの向かった先の魔女が、あまり危険でないと知っていたとしたら?)

さやか(……わからない。危険でない魔女なら、自分で狩ってGSにできたはず)

さやか(そもそも、あいつの時間停止があれば大抵の魔女に遅れは取らない……)

さやか(……あれ?)

さやか(…………)



頭の中の霧が晴れてゆく。

点と点が線になる。


さやか「……、あ――」


線と線は像を成す。


さやか「もしかして、もしかしたら……」


絡まった糸が、ほどけた。



さやか「わか、った……かも……?」


<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/12(水) 23:26:05.82 ID:M2PeT1sMo<> 今日はここまでです!
自分の稚拙な考えで書いているので、矛盾などありましたら申し訳ありません、仕様ですorz <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(長屋)<>sage<>2012/09/12(水) 23:43:35.84 ID:T/EjxlD/o<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/13(木) 02:20:09.82 ID:B/GcBy/ro<> 乙
さやかちゃんでも分かったというのに俺ときたら… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/13(木) 09:15:09.16 ID:/9GcLm3Vo<> 乙
ま−、ほんとにまどかを嫌いになったら
それで魔女化って気もするしな
先を楽しみにしておく <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/13(木) 10:58:01.14 ID:bYwER6nIO<> 乙 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:26:00.61 ID:5844UuPAo<> 大体最後まで書けましたので、これから一気に投下したいと思います。

といってもまだ終わりきってはいないので途中で一回補充タイムを取ります。

では、少し長くなりますがどうか最後までお付き合いしていただけたら嬉しいです。 <>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:26:27.55 ID:5844UuPAo<>
考えにいたった瞬間、背筋がぞくりと冷たくなる。

まさか、そんなまさか――でも、もしかしたら……


さやか「……――っ!!」


慌てて踵を返し、駆け出す。

行き先は、もちろんほむらの元へ。

直感が告げている。急がなければ、取り返しのつかないことになると。

駆けながら、条件の確認のためにマミへテレパシーを飛ばす。


さやか『――マミさん!このあいだ、一緒にランジェリーショップへ行った時に戦った魔女って!』

さやか『もしかして、もしかすると……使い魔の育った奴じゃありませんでしたか?』

マミ『美樹さん!?びっくりしたわ、どうしたの急に?』

さやか『お願いします!ワケは後から話します!』

マミ『よくわからないけれど……ええ、そうよ。あれは確か、薔薇園の魔女だったわ』

さやか『……やっぱり!』

まどか『さやかちゃん?何かわかったの!?』

さやか『たぶん、だけど……あたしの直感だけど、たぶんわかったと思う』

さやか『それで、もしあたしのカンに間違いがなければ、だけど』


さやか『ほむらの奴、あいつ、今……自殺しようとしてる!』


まどか『――えっ!?』

杏子『あんだって!?』

さやか『もちろん、確証はないけど……その可能性もあるってだけだけど、なんとなくそんな気がしてならないんだ』

マミ『美樹さん、悪いけど話についていけないわ……』

さやか『あ、ご、ごめんなさい……』

マミ『別に責めている訳じゃないわ。ただ、理由が知りたいの』
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:27:03.77 ID:5844UuPAo<>
テレパシーで会話しながらも、身体は雨の中を槍のように突き進む。


さやか『――簡潔に言いますね。あいつは今、自分のことを重荷だと思い込んでいます』

マミ『……どういうこと?』

さやか『数日前から、計3回。あいつと結界の中で遭遇しました。けれど、一回も時間停止の魔法を使った気配がありません』

さやか『そして、武器。得意の重火器は使用せず、ナイフと身体強化で戦っていました』

さやか『これだけじゃ証拠としては弱いですけど……もし、一昨日。あたしがほむらのボロアパートで待ちぼうけを食らった日』

さやか『もしあの日、本当はちゃんとお昼までに戻ってくる予定だったとしたら』

さやか『もしあの日、”なにかしらの事象を見透かす”、もしくは”知りたくない事柄を見せ付ける”ような能力を持った魔女と戦っていたとしたら』

さやか『そして、その時に残りの重火器を使い切っていたとしたら?』

さやか『昨夜、まどかの家の近くの公園裏でほむらと遭遇した時、爆発音が聞こえました』

さやか『あれはたぶん、手製の爆弾の音です』

さやか『あいつはダメージを受けていました。そもそも時間停止があれば、あそこまで手酷くはやられないと思います』

さやか『それこそ、ワルプルギス級でもない限り』

さやか『でも実際はそんなに強いとは言えませんでしたよね?あの魔女』

マミ『そ、そうね……』

さやか『武器を調達できず、酷いダメージを受ける理由。それが、あたしには時間停止が使えなくなったからだとしか思えないんです』

杏子『あー……ちょっと強引なような気もするけど、確かになぁ……』

さやか『それにね。それが正しかったなら、いなくなった理由もなんとなくわかる気がするんだ――』
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:27:30.49 ID:5844UuPAo<>
――――――――――――
―――――――――


見覚えのある路地。

元々日中でも日の当たらないそこには、今も変わらず余った資材やゴミがそこら中に転がったまま放置されていた。

その中にある、一軒の屋根付きの小屋。さやかが下着の入った袋を置かせてもらった場所だ。

外から見ただけでも狭いとわかるそこにそっと近づく。

ドアに耳を押し当てると、押し殺したような泣き声がかすかに聞こえた。


さやか(間違いない……ここだ――)


深呼吸をひとつ。ついでに、もうひとつ。

ドアノブをそっと握り、力を込めて錆びたドアを押し開く。


「――ッ!?だ、誰ッ!?」


さやか「よ、ほむら。間に合って、よかった……」


左手を上げて会釈する。


ほむら「美樹、さやか……!?」

さやか「あーあ、ずいぶんと泣き腫らした目をしちゃって。せっかくの美人が台無しだぞー」

ほむら「何よ、何の用なの!?私に嫌がらせでもしにきたの!?」

さやか「あは、その逆。あんたを迎えに来た」

ほむら「はあ!?」


ほむらは思いっきりワケが分からないという様な顔をして睨み付けた。


さやか「ほむら。あんた……死ぬつもり、でしょ」

ほむら「――ッ!?」


ほむらが右手に持っていたナイフを取り落とした。

それは、穴だらけの畳に鈍い音を立てて突き刺さる。


さやか「ごめんね、今まで気がついてあげられなくて」

さやか「ごめんね、力になってあげられなくて」

さやか「あたし、馬鹿だからさ……うまく言えないけど」

さやか「本当に、ごめん……ごめんね……」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:27:59.53 ID:5844UuPAo<>
眼をぎゅっとつぶって頭を下げるさやかを、ほむらは冷たい瞳で睨みつける。


ほむら「……それで、何の用?何も用がないなら帰って欲しいんだけど」

さやか「あはは、やっぱりほむらは手厳しいなぁ……でも、それはできないよ」

さやか「帰るなら、ほむらも一緒じゃないと」

ほむら「悪いけど、それはできない相談よ。誰があなた達なんかと――」


さやか「ほむら。あんた、時間停止の魔法、使えなくなっちゃったんでしょ?」

ほむら「――はぁ!?あなた、何を……ッ」


さやか「4日前。あたしは、人形の魔女に殺されかけた。でも、実際はあんたが助けてくれた」

ほむら「……偶然よ。自意識過剰もいいところだわ」

さやか「うーん、確かに偶然もあるといえばあるんだけど。でも、あんたは知っていたんだ」

さやか「まどかとマミさんが向かった先の魔女が、使い魔の育った不完全な魔女であるという事を」

さやか「そして、この辺りに出る強力な魔女の存在を」

ほむら「――!?」

さやか「ほむら。あんた、本当はいままでずっとまどかの事見守っていてくれたんでしょう?」

さやか「だから、あの時近くにいて魔女の出現を感知できた」

さやか「相手は比較的弱い魔女だった。……でも、狩らなかった」

さやか「このあいだ、あたしに使ってくれたGS。あれ、ワルプルギスのでしょ」

さやか「あれ以来GSを手に入れることができていないとしたら」

さやか「あれ以来魔女を狩ることができないでいたとしたら」

さやか「もちろんこれはあたしの推測でしかない、けど……」

さやか「もし時間停止が使えない状態にあったとしたら。兵器の補充もできないワケだし」

さやか「だからあんたは魔女を見過ごすしかできなかった」

ほむら「……」

さやか「で、あんたは魔女の結界へマミさんが飛び込んでいくのを見守るまどかを見守っていたワケだ」

ほむら「」イラッ

さやか「ご、ごめんごめん。……で、その後。あんたも別の場所で魔女が結界を開くのを感知した」

さやか「さっきも言った通り、あんたはこの辺りには強力な魔女がいることを知っていて、あたしがそっちに方向転換してそっちの魔女へと向かうのを見てしまった」

さやか「まどかは結界の外だし、マミさんならあの魔女相手にまず負けはしないだろうという事もわかっていた」

さやか「……だから、あんたは心配して――あたしを追ってくれた」

ほむら「……あなた本当に馬鹿なのね、美樹さやか」

さやか「あはは……でも、結果としてあたしは命が助かったんだ」

さやか「あの時はお礼を言いそびれたけど。本当に、ありがとう……おかげで助かったよ」

ほむら「礼を言われても全く嬉しくないわ。大体言いがかりもいいところよ」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:28:35.30 ID:5844UuPAo<>
さやか「……あんたさ、本当はワルプルギスの夜を越したら死ぬつもりだったでしょ?」

ほむら「は?……いきなり何を言い出すのかと思ったら……あなたの頭は想像以上に残念なようね」

さやか「……でも、それでしか理由がつかないんだ」

ほむら「大体、私は今現在こうして生きているわ。冗談も甚だしいわ」

さやか「うーん、そういわれちゃうと、ちょっと言い辛いけど……」

さやか「…………」


ごくり、とつばを飲み覚悟を決める。


さやか「ほむら。あんたは今まで何度も自分のSGを砕こうとした。でも、失敗に終わった」


ほむら「――――ッ!!!」


ほむらの顔がさっと紅潮する。怒りの形相でさやかを思い切り睨みつけていた。


ほむら「あなた、言っていい事と悪い事が――」

さやか「ご、ごめん!でもさ、こうでも言わなきゃあんた素直にならないだろうし……」

ほむら「言い方ってのを考えなさいよ馬鹿!」

さやか「――本当にごめん。触れられたくない事だよね。あたしも、こんな事……人の心に土足で上がるような真似をして申し訳なく思ってる」


その場に正座し、深く頭を下げる。いわゆる土下座である。

雨の中を走ってきたせいで濡れきった髪から雫が滴り、畳にいくつものシミを作る。


さやか「でも、でもね……お願い、聞いて。ほむら……」

ほむら「嫌!聞きたくないわ!」

さやか「あたしは、あんたに生きていて欲しい!まどかも、もちろんマミさんも杏子も……そう思ってる」

さやか「誰もあんたを重荷だなんて思わない!だれもあんたを邪魔になんて思いもしない!」

ほむら「嘘を言わないで!大体、あんたたちにそう思われたところで何の特にもならないわ!!」

さやか「誰も、誰一人としてあんたを責めはしない、責める資格なんてないんだ!」

さやか「みんなに、無理やり嫌われようとしなくていいんだよ……!!」

さやか「だから、どうかお願い……ほむらは、もっと自分のことを大切にして……!」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:29:02.64 ID:5844UuPAo<>
ほむら「――馬鹿な事を言わないで。私はあなた達の事なんか、大ッ嫌いなのよ!!!」

さやか「……それは、いつから?」

ほむら「……ずっと昔から、よ。あなた達が知り得もしないくらいね」

さやか「……それ、嘘でしょ」

ほむら「何を言って、――」


透き通った青の瞳はほむらの紫の眼を見つめ返す。

まるで心の中まで見通されてしまいそうなそれに、ほむらの動きは縫いとめられてしまった。

それを確認すると、さやかは一度眼を閉じ深呼吸してから話し出した。


さやか「一昨日の昼頃。あんたは、本当はボロアパートに戻ってくるつもりだった」

さやか「でも、それはできなかった」

さやか「何故なら、魔女の結界に取り込まれてしまったから」

ほむら「――――ッ!?」

さやか「これは、本当の本当に推測っていうか飽くまでもあたしのカンでしかないんだけど……」

さやか「あんたは魔女に”過去の事実”を見せられた。そして、残っていた全ての重火器を使い切ってしまったか、あるいは使わざるを得なくなってしまった」

さやか「あんた、さっきこう言ってたよね。”つい最近まで、私自身も知らなかった”って」

さやか「それってつまり、一昨日まで……だよね?」

さやか「だって、あたしを助けてくれた時にはあんな殺気は感じなかったから」

ほむら「――勘違いよ」

さやか「そうかも、しれない。だけど、これだけは言える」

さやか「あたしは、あたし達は。ほむらの事を、大切に思ってる」

さやか「だから……どうかお願い」

さやか「あたしの大切な友達を、ほむらを、ひとりぼっちにしないで……!」

ほむら「――――」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:30:34.76 ID:5844UuPAo<>
刹那。


薄汚い小屋の中が一変する。

壁紙の剥がれ落ちかかった壁は消え、どこまでも浅くひたすら広い湖に変化する。

遠くにはうっすらと森が見え、更にその先にはアルプスのような山脈までをも確認することができた。

穴の開いた天井は突き抜けるように青い空が広がり、白い雲が泳ぐ。


さやか「――何、これ!?」

ほむら「……あ、あぁ……ああぁぁああああぁあ゛あ゛あ゛…………!!!」


突然、ほむらが顔を青ざめさせて悲鳴を上げる。

ガクガクと小刻みに震える膝は、恐怖と絶望を必死で耐えていた。


さやか「ッ!?ま、まさかほむらのソウルジェム――ッ無事だ、よかった……ってぜんぜん良くないし!何よここ!?」

ほむら「あいつ……あいつが来るわ……!」

さやか「あいつって……まさか魔女!?」

ほむら「ゃめ、て……っ、あぁあ、ぁたし、もう嫌だ……嫌……嫌……!」

さやか「ほむら……っ大丈夫、大丈夫だよ……あたしが、ついてる……落ち着いて、大丈ぶ……ぅおっ!?」


足元の水がさざめき、波紋をつくりだす。

大小異なるそれは一つ一つに映像を映し出す。


ある物は、幼い黒髪の少女を。

ある物は、桃色の弓矢を。

ある物は、見たことも無い巨大な魔女を。

ある物は、砕け散ったソウルジェムを。

ある物は、ソウルジェムがグリーフシードへと変わる瞬間を。

ある物は、ベッドで寝ていた少女が急に苦しみだす様を。

少女の亡骸を。

入れ替わるように紫の光が灯る瞬間を。

再び動き出す心臓。命。そしてまた再び、死。

苦しみ、亡骸、蘇生。砕けて、砕いて、また、死。そして蘇生。


晴れているはずの空からは雨が滴り、ささやくような呪詛を唱える。

それらは今や、広い湖一面に広がって不協和音を奏でていた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:49:15.04 ID:5844UuPAo<>
ほむら「ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……!」

さやか「……ッ」

さやか「ほむら!こいつらは……っ!」

ほむら「嫌!何も聞きたくない!!」

さやか「ほむら!!お願い、聞いて!大丈夫、こいつらは……嘘を言っている……!!」

ほむら「いゃ、――ッ!?」

さやか「ねぇ、ほむら。あたしってださ、たまには鋭いんだよ?」


さやか「ね?マミさん」

マミ「ええ、そうね。ちょっぴり見直したかも」

杏子「ま、こんな奴の接近に気がつかないようじゃあまだまだだけどな」

さやか「ぎくっ」

ほむら「マミ、杏子……?」


まどか「私もいるよ?ほむらちゃん」

ほむら「まどか……っ!?」


まどかはほむらにそっと近づき、抱きしめる。

その目にはうっすらと涙がたまっていた。


さやか「さて……ほむらも余裕がないみたいだし、さくっとやっちゃいますか!」

マミ「そうね。まずは本体をおびき出しましょう。佐倉さんお願いね」

杏子「あたしからすればこの程度の幻覚……ぬるいって、なァ!!」


杏子が槍を一回転させると空に向かって突き出すように投げる。

虚空を貫くかと思われたそれは、途中で見えない何かに突き刺さった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:51:07.92 ID:5844UuPAo<>
魔女「ギィィィィィィ!?」


杏子「うぇっ!?きもちわりぃ!」

まどか「おっきい蛆虫みたい……やだぁ」

さやか「よくみると羽生えてるね」

マミ「まるで害虫退治ね……」


全長およそ2mはあろうかというそいつは、のたうつように暴れるまわっていた。


魔女「グギギギギギギ」

杏子「はぁ……お前、幻影みせるならもうちょっとまともに作れよな」


杏子が波紋の一つを指差す。


杏子「あたしの親父はプロテスタントじゃねぇっての」

魔女「ギィッ!?」

マミ「やれやれ、ね」


マミも杏子に倣って一つを指差す。


マミ「私の髪は地毛よ」

魔女「グギギギギ」

さやか「全くだよ」


さやかも一つの波紋をビシィっと指差す。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 01:52:09.99 ID:5844UuPAo<>
さやか「あたしは、自慢じゃないけど今まで一度も60点以上を取ったことが、無い!!!」

魔女「ギィィィィィッ!?」


言ってやったぞ!みたいな自慢げな顔で鼻を鳴らす。


杏子「お前……」

マミ「美樹さん……」

ほむら「あなたって、本当に……」

まどか「さやかちゃん、今のは無いよ……」

さやか「うぇぇっ!?」


さやか「と、とにかく!魔女覚悟ぉぉぉぉぉッ!!」

マミ「捕縛(レガーレ)!」

さやか「居合い斬り(アッティモ・タリアーレ)ッ」

杏子「逃がさねぇよ、オラァ!突き刺し(ストリッシャ)!」

まどか「ほら、ほむらちゃんも!」

ほむら「え、えぇぇっ!?……な、ナイフ投げッ!?」

マミ「――ティロ!フィナーレッ!」


結界の中で派手に水柱が上がる。

魔女は断末魔を上げる暇も無く消え去っていった。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 02:18:50.37 ID:5844UuPAo<>
結界が晴れていく。

忌々しい空間が消え去ると同時に、ほむらの体のこわばりはすっと解けるようになくなった。

自然と涙があふれてくる。


まどか「よかったぁ……間に合って……」

ほむら「なんで……!?」

さやか「ふふん、ここに来るまでにテレパスィーであたしが説明したのだ!」

マミ「ごめんなさい、暁美さん……盗み聞きするつもりはなかったのよ?」

ほむら「え?……え?」

杏子「説明するまではよかったんだが、さやかがあたしらにオープンチャンネルで流すからな」

まどか「ほむらちゃん……ごめんね?」

ほむら「え……えっ……?」


さやか「と、とにかく!ほむら!あんた、帰っておいでよ!」

杏子「さやか、お前……ごまかそうと……」

さやか「ギクッ」

まどか「クラスでもほむらちゃんの席、とっておいてあるんだよ?」

ほむら「で、でも……」

マミ「でも、なぁに?」

ほむら「私……みんなに、酷い事……っ!!」

さやか「何かされたっけ?」

まどか「私はわかんないなぁ」

杏子「そういえばマミとまどかはざくっと刺されてたっけな?」

ほむら「!!ご、ごめんなさい……っ!」

杏子「ごめんごめん冗談だよ」

マミ「佐倉さん、めっ!」

杏子「わりぃわりぃ……イテェッ!?」


マミが杏子にデコピンし、杏子は額を押さえて悶える。

デコピンにしては異常な痛がり方に、ほむらは若干の恐怖を覚えた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 02:19:17.50 ID:5844UuPAo<>
まどか「ほむらちゃん」

ほむら「まどか……?」

まどか「いつも、私の事を護ってくれてありがとう」

ほむら「――な、何の事を言っているのかしら」

まどか「ティヒヒ、ほむらちゃんでしょ?いつだったかな……そう、先週。私が人ごみで押されちゃって、ふらついて車道に飛びでそうになった時」

まどか「私の腕を引いて歩道に戻してくれたよね?」

ほむら「……」

まどか「この間、電車に乗ったときも。痴漢さん、やっつけてくれたよね?」

さやか「え、そんな事があったの!?」

まどか「うん……なんか変な手つきだなぁって思ってたら、その人が『グェッ!?』って言ってお尻を痛そうにしてたの」

ほむら「見に覚えが無いわね」

まどか「ふふ……ほむらちゃん、それ、嘘でしょ」

ほむら「……えっ?」

まどか「ほむらちゃんね、いつも何かをごまかしたり嘘ついたりする時にね……左の耳がぴくってするんだよ」

ほむら「……う、嘘おっしゃい」ピクッ

まどか「ほらね!」

さやか「うーん、わからん……」

マミ「あ、なんとなくわったかも」

杏子「マジかよ!?」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 02:19:49.64 ID:5844UuPAo<>
まどか「だからね、ほむらちゃん。私、ずっとほむらちゃんの事信じてたよ」

ほむら「まど、か……」

杏子「帰って来い、ほむら」

マミ「帰ったら暁美さんの帰還祝賀パーティをしなくっちゃね。腕によりをかけるわよ!」

ほむら「杏子……マミ……」

さやか「ほむら。あんたはもうちょっと自分を大切にしなさいな。……友達、でしょ?」

ほむら「さやか……っ」


つい差し出された手をとりそうになるが、ぐっと何かをこらえるようにして体を縮める。


ほむら「でも、でも……私……っ!」

さやか「んー、まだ言うかねぇ……あ、そうだ」

さやか「ね、ほむら。あんた、うちへおいでよ」

ほむら「――ひぇっ!?」

さやか「うちさ、両親ともにいっつも出張に行っててさ。正直寂しいのよね」

さやか「あ、もちろんタダでとは言わないよ?食費光熱費は折半で。料理は当番制ね」

さやか「魔女狩りは……うん、あたしの剣をたーっくさん生成して貸してあげようじゃないか」

さやか「どう?」

ほむら「どう?って言われても……」

マミ「私は美樹さんに賛成ね。正直、うちはすでに野良猫を一匹飼ってるような状況だからちょっと厳しいかも」

杏子「野良猫で悪かったなぁ!」

さやか「あーそこ、夫婦喧嘩はストップー」

まどか「ほむらちゃんさえよかったら、うちも大丈夫だよ?でも、さやかちゃんも一人で寂しいっていつも言ってるから一緒に住んであげてくれたらうれしいな」

ほむら「え、きゅ、急に言われても……」

さやか「あ、そっか。死んだことになってるから戸籍とかどうすっかなー……」

杏子「幻術でどうにかしてやろうか?」

マミ「だーめ。困る人がでるかもしれないでしょ」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 02:20:53.86 ID:5844UuPAo<>
まどか「うーん……川に流されて、記憶を失って路上生活してたって事にするのはどうかな?」

ほむら「えっ」

さやか「あ、賛成!元々似たようなもんだろうしいいと思う」

ほむら「えっ」

マミ「じゃあ、そういう事で一本行きましょうか」

ほむら「えっ……」

杏子「アドバイスは経験者のあたしに任せときな」

ほむら「えっ……えっ?」


さやか「んで、ほむら。あんたはどうしたい?」

ほむら「…………!」


澄んだ青の瞳を見つめ返す。

さっきとは違う目線で。違う感情を込めて。


ほむら「わた、しは……」


ごくり、と唾を飲み込む。


ほむら「みんなと、一緒にいたい……!みんなに護られるだけじゃなくって、みんなを護る、私になりたい……!」

さやか「よし、約束だよ?」

まどか「ね、指きりしよーよ!」

マミ「賛成!久しぶりにやるわねー」

杏子「ちょっと恥ずかしいな……」

マミ「うふふ……」


まどか「ゆーびきーり、げんまん!嘘ついたらハリセンボンのーます!ゆーびきったっ」

さやか「約束は成立だ。君のエントロピーはうんたらかんたら……なんだっけ?」

マミ「正直、既に達成された約束だとはおもうけどね?」

杏子「ま、こういうのは形だけでもやっとくと心の中でけじめがつくってもんだ」

さやか「ああそうだほむら、仁美にもちゃんと謝るんだよ?すっごい心配してたんだからね」

ほむら「うん……うん……!」

まどか「ほむらちゃん、泣いてるの?」

ほむら「泣いてなんか、ないわよ……」

まどか「あ、耳動いた!」




陰気な路地裏にはそぐわない明るい声が響く。


あれほど強く降っていた雨はすっかり姿を消し、代わりにいつのまにか暮れていた夜空にはぽっかりと満月が浮かんでいた。
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 02:45:34.37 ID:5844UuPAo<>
次の日。

見滝原は、かのスーパーセルで行方不明になった少女が実は見滝原郊外でホームレスをしていたというニュースでもちきりだった。

あのボロアパートと路地裏は元居住地だったという事でスポットライトを浴び、発展の不平等さが書き立てられ、結果としてその地区の再開発が進められるようになった。

ほむらの両親へはついさっき連絡がついたようで、彼らは飛行機で文字通りすっ飛んで来るらしい。

今夜、見滝原に着くそうだ。


学校はというと。

もちろん、大騒ぎが起こったのは言うまでも無いだろうけれど。

特に、さやか達のクラスは黒山の人だかり、というには規模が大きすぎる勢いで人が押し寄せていた。

ガラス張りの教室の周りにはカメラを構えた生徒達がびっしり詰まっている。


ほむら「みんな……ご、ごめんなさいね……」

まどか「ほむらちゃんのせいじゃないよぉ」

さやか「ほら、あんたたち!散った散った!……んもー、あいつら野次馬なんていい根性してるよ全く。追い払ってもきりが無いわ」

仁美「まあ、人の噂も七十五日といいますし。しばらくすれば、きっと静かになりますわ」

ほむら「……ええ、ありがとう……」

さやか「そこのあんたッ!今フラッシュたいたでしょ!?」

上条「さやか、頼むからもうちょっとお淑やかにはできないのかい……?」

さやか「これが黙ってられるかってーのよ!」

上条「ハァ……」
<>
◆seBU5sxaI.xt<>saga<>2012/09/14(金) 02:46:20.29 ID:5844UuPAo<>
ほむら「ほんとうにさやかのじゃじゃ馬っぷりには閉口するわね……昨夜はあんなに良い声でないていたのに……」

仁美「…………ッ!?」プルプル

上条「暁美さん、その話……詳しく教えてもらえないかな?できるだけ、細部まで拘って……」

ほむら「ええ。あれはそうね、さやかと一緒にお風呂に入った時だったわね――」

さやか「――!?べ、べつにそれは――ッ!!」

まどか「ほむらちゃんずるーい!私も一緒にお風呂入りたい!」

仁美「で、でしたら是非わたくしの家の大浴場へ!ぜひ!是非!!!」

ほむら「大浴場があるの?ちょっと気になるわね」

まどか「仁美ちゃんちすっごい広いんだよー!また遊びにいきたいなぁ」

さやか「あ、あたしも!」

上条「じゃあ僕も」

仁美「上条君はお風呂は別になりますがよろしくて?」

上条「えっ」

さやか「当たり前だこのスケベ」



とまぁ、こんな感じで。

いつもどおり、ゆるーい感じでわいわいやっている。


願わくば、この平和がいつまでも、いつまでも続きますように。






おわり
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/14(金) 02:48:37.43 ID:wLMZWYNLo<> 乙!
仁美wwww <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/09/14(金) 02:49:03.51 ID:GbKbGllzo<> 乙

恭介最低だwwwwww <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/14(金) 02:50:54.27 ID:5844UuPAo<>
以上で、全文を終わりと致します。

感想を下さった方、意見を下さった方、乙を下さった方、応援してくださった方……

ほんっっっっっっっっっっっっっとーにありがとうございました!!

お蔭様でなんとか完走することができました。

心から感謝しております。

では、さやかちゃん及び魔法少女のみんなが幸せになれるよう、祈りを込めて。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/14(金) 02:51:36.50 ID:prq1H0qLo<> 一言感想を言うなら、恭介がおかしい <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/14(金) 02:56:51.98 ID:5844UuPAo<> >>177
すみません、力不足ですorz
次回への参考とさせていただきます。ありがとうございます! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(不明なsoftbank)<>sage<>2012/09/14(金) 03:16:48.19 ID:nzd3FYGpo<> おつん
すごい面白かった <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/14(金) 03:41:46.05 ID:lB5Wr7HAO<> >>174,175,179
うああぁぁぁぁありがとうございますッ!!
こんな遅くまでお付き合いさせてしまってすみません。
割とガチで手がぷるぷるするほど嬉しいです……!


追伸、さっき書き忘れました事を。

お陰様で無事完結致しましたので、週明けくらいにHTML化依頼を出してこようかと思います。

ここまでお付き合い下さり、本当にありがとうございました! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2012/09/14(金) 03:47:59.10 ID:q2c9jhzio<> 恭介乙
ほむらの心理描写とタイトルはもうちょっとどうにかならなかったのだろうか
さやかの嘘だよが何に対して言われたのかとかも前後の描写と繋がりづらくて読み取りづらい
幻影、ひいてはそれが魔女による精神攻撃だということへの指摘であるのか
よくわかんねーけどほむらの根底にあるだろう足手まといになることへの不安感とかへなのか

細かい設定を脳内描写で補足しすぎて全体的に描写不足に陥って大雑把な展開になってる気がする <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2012/09/14(金) 04:11:43.97 ID:S5mQjgN4o<> 不信との戦いということだろ
おつ <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/14(金) 04:19:37.87 ID:lB5Wr7HAO<> >>181
すみません、タイトルは見切り発車だったのであんまり深く考えてなかったんです……
指摘を詳しくありがとうございます!
とても理解しやすくて、自分もこんなにわかりやすい文を書けたらなぁ、という気持ちでいっぱいです。
特に脳内補足がかかりすぎていたのが自分じゃ全く気づけなかったので、目からウロコ状態です。
本当にありがとうございます!
ナルホド、と唸りながら凄く納得してしまいました。
アドバイスを糧に精進させていただきます! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チリ)<>saga sage<>2012/09/14(金) 04:22:31.15 ID:r2x0gAqK0<> おつです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)<>sage<>2012/09/14(金) 04:44:43.28 ID:2qinvqEvo<> いいさやかだった…
ほむほむほむほむ
乙! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/14(金) 08:55:13.60 ID:4VvqnNYNo<> タイトルと内容の乖離は感じざるを得ない
見切り発車したときはどんな内容にするつもりだったの?

まあ、それはそれとして面白かったよ
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/14(金) 09:28:02.33 ID:o4jM9W0IO<>      ...| ̄ ̄ | < お疲れ様でした とても面白かったです
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
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\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
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.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
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(長屋)<>sage<>2012/09/14(金) 11:31:47.22 ID:YupIZxjXo<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/14(金) 13:24:36.17 ID:QcjU4P5Jo<> 俺はそれなりに合ってると思うけどなぁ、タイトル
一つだけ難癖つけるとしたら、シリアスシーンでもティヒヒ笑いするまどかくらいか

それはそれとして、うろたえると地が出るほむらかわいい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage saga<>2012/09/14(金) 20:15:52.73 ID:jGtv4J9J0<> さやほむも恭さやも極上であった
乙なのである <>
◆seBU5sxaI.xt<>sage<>2012/09/14(金) 20:56:00.00 ID:5844UuPAo<> >>186
最初は、ただひたすら突っ込んで自滅するさやかちゃんをイライラしながらもフォローするほむらを書く予定でした。
でも気がついたら何故かこのような流れになっていて、終着点を考えているうちにほむらの復帰を目指す事にしてみよう!と思い立ちこんな感じになりました。
これを踏まえ、次回はもうちっと筋道をキチンと立ててから書き出すように心がけます。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/09/15(土) 00:29:19.67 ID:Rvdntn9SO<> 乙でした!
良いさやほむだったよ
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(宮城県)<>sage<>2012/09/19(水) 06:50:36.80 ID:NmYdG1T3o<> 乙である。
この恭介は変態と言う名の紳士のような振る舞いだな… <>