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HTML化した人:lain.
安価で1〜数レスで読めるやつを書く。
1 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 19:55:49.81 ID:d+lRYXRL0
基本的にアニメネタは無しの方向で行きたいと思っとります。
安価に当たった人は、自分が思った単語を適当に書き、俺が1〜数レスで読み切れる物を即興で書きます。

エロネタは挿入なしなら書けると思います。

安価
>>3

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342608949
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2012/07/18(水) 19:59:26.40 ID:eM9/H4+so
梅昆布茶
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 19:59:31.57 ID:Bmj//y+6o
姉妹百合イチャエロ
4 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 20:29:22.05 ID:d+lRYXRL0
>>3
タイトル「しまゆり」

ある夏の日だった。
寝苦しい熱帯夜が続き、今日も私は毛布にくるまりながらゲームをしていた。
時計の針は既に深夜の1時をさしているが気にしない、うるさくはないから文句は言ってこないはず。
だから、ノックが聞こえたのは私にも予想外で、思わず変な声を出す羽目になったのだ。

「・・・・・・お姉ちゃん」

妹だった。ちなみに私は高校生で、妹は中学生だ。

「んっ、何だ妹か・・・こんな時間に何か用事?」

「・・・」

妹は無言で私に歩み寄ってくる。
別に不気味とは思わなかったが、何か様子がおかしいと思い、取り敢えずベッドから身を起こすことにした。
ギシリとベッドが小さく軋む音をあげる。

「どうしたの・・・?なんか悩み・・・・・・んむっ・・・!?」

突然私は妹に口を塞がれてしまう。
こんなことは予想すらできず、私はただ混乱に内心狼狽えるばかり。
なにがなんなのか理解する暇すら無かった。それだけ手際良く、妹は私の口を塞いだのだ。

「・・・好きっ」

そう言うと妹は口を塞いでいた手を離す。
大声を出そうと思ったが、それはまた妹に遮られた。
妹は唐突にキスをかまし、私の口をまた塞いだのだ。

「ん・・・ぅっ・・・」

「ふっ・・・ぅ!?んぅ・・・!」

叫ぼうとしてもかき消される私の声。
この妹の変わりように、私の混乱はますますひどくなるばかり。
妹のキスはさらにヒートアップし、いつの間にか、舌と舌がねっとりと絡み合うディープキスになっていた。

「ん・・・ちゅぅっ、お・・・へぇひゃん・・・ちゅむっ」

「むぅっ・・・!ん・・・ふぅっ!・・・ちゅ」

次第に言葉では言い表せないような、満足感が頭を支配する。
今までの混乱は麻痺していき、妹をただ求めようとする最低な欲求だけで得られる快感を求めていた。

「ふあっ・・・ちゅっ、・・・んっ・・・ぷはっ・・・」

妹が私の口をようやく離した。
口からはだらしなく、唾液が長く糸を引いている。

「はぁっ、んはっ・・・な、なんで・・・こんなこと・・・っ」

私の口から当然の疑問が小さな嗚咽とともに漏れた。
妹は、あくまで純粋に微笑む。
それは天使のようで悪魔のようだった。この二つが合わさる事は、俗に言う矛盾だ。
だが、その複雑な表情はそうとしか言い表せなかった。

「だから・・・私・・・おねえちゃんが好きなの・・・」

「そんなこと言われても・・・私たち家族・・・それ以前に女同士なんだよ?」

「関係ないよ。私は好きなんだから・・・・・・」

私がそれに反論する前に、妹はもう一度軽い口づけをする。
それから慣れた手つきで、唾液で汚れた私のお気に入りのパジャマを脱がしてゆく。
この慣れた手つきが妙に恐ろしいのだ。抵抗する暇さえ与えられず、私は上半身裸になっていた。

「やっぱり・・・大きい・・・」

「ば、馬鹿・・・っ、何やってるのかアンタわかってるの・・・!?」

「分かってるよ、意味は違うかもしれないけど、セックスだよ。お姉ちゃん」

軽々とそんな大それたことを言うものだから、私は思わず呆れてしまった。
どうやら本当に私のことが好きなようだ。だがそれは困る、主に私が。
私だってちゃんと彼氏がいるわけだし、こういうのはキチンとしたステップでやりたかったのだ。女の憧れというやつなのかもしれない・・・、否定はしない。
だがこの妹は・・・・・・、私を求めている。
私は応えるべきなのだろうか?・・・だが、そんなことはお構いなしのように、妹は私の乳房をゆっくりと舌でねぶっていた。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 20:46:59.16 ID:ZnTxbnayo
終わり?
この>>1は出来る
6 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 20:59:39.44 ID:d+lRYXRL0
つづき

「こ、こら・・・、ァッ・・・ふあぁっ・・・」

意思とは裏腹に、なんとも情けのない声が出る。
胸に集中するこそばゆい快感に、私は体を震わせた。

「お姉ちゃん・・・かわいい・・・・・・ちゅっ・・・ちゅうぅっ」

子供のように私の胸に吸い付く妹は、満足したような笑みを浮かべた。
私が感じていることに対して機嫌でも良くしたのだろう。

「す、吸わない・・・でっ・・・、あひぃっ・・・!?甘噛みするなぁ・・・っ」

いつのまに妹はこれほど変態になっていたのだろう。姉として不甲斐ない。
妹はいろいろな攻め方で、私を気持ちよくさせる。
その面でも、責められっぱなしでは姉として情けないだろう。

「どう?・・・私、この日のために友達と練習したんだよ・・・」

「あっ・・・!んぅっ・・・!・・・なんてこと、やってんの・・・ぉ・・・っ」

「上手いでしょ?お姉ちゃんホント可愛いね・・・こうやって・・・かりっ・・・」

「ひあぁッ!・・・噛まな・・・んあぁッ!」

「これやるたびに、お姉ちゃん体震わせちゃって・・・・・・可愛い・・・っ」

妹の手が、ゆっくりと下腹部にのびていく。
細い指が、胸のラインから、腹部の中心、そして・・・私の一番大切な所まで。
くすぐるように、静かに、ゆっくりと伝ってゆく。

「お姉ちゃん、濡れてるよ・・・?これでもやめてって言うの?」

私の頭は快感に支配されていて、もはや何も言う気すらなかった。
というより、言わせなくした、と言ったほうが妥当だろうか?
とにかく、私は何も言えなかった。

「ふふっ・・・じゃあ、気持ちよぉく・・・してあげるから」

「え・・・ま、待って・・・・・・!」

時すでに遅し。
私の中に、妹の蝋細工のように綺麗な指が、ゆっくりと2本まとめて挿入された。

「あひぃッ!?ふあぁッ!」

「とうとう・・・入ったんだ・・・私の指・・・っ」

いやらしい水音が、鳴り始める。
私が感じている証拠なのだ。・・・まったくもって情けない。
そんな自責の念さえ、私にはとうに無かった。
自ら快感を求めるように腰を僅かに動かしているくらいなのだ。そんなものは、とうにどこかへ消えてしまっていた。

「お姉ちゃん、腰動いてるねっ・・・私も頑張らなきゃ」

「が、頑張らなくて・・・ひうぅッ、いい・・・から・・・あぁッ!」

「そんなこと言っても・・・、こんなに汁が垂れてるし・・・あーこれシミになっちゃうかもね」

「はひぃッ!・・・そ、そこ・・・ら、らめぇえぇッ!」

「あ、ここがお姉ちゃんの・・・性感帯?・・・だっけ。・・・よくわかんないけど・・・ここを攻めれば・・・」

そんな時だった、私たちにとって、一生忘れられない出来事が起こったのは。
閉められていたドアが勢い良く開かれ、私と妹は驚きで身が数センチぐらい飛び上がる。

「お前たち!こんな時間にうるさ・・・・・・いぞ」

父がいた。私たち・・・父も含め、皆が、呼吸することすら忘れる位に、硬直していた。
それから初めに動いたのは父だった。・・・ゆっくりと扉が閉まり、父がすすり泣く声が聞こえた。

「・・・ごめんなさい、お姉ちゃん!」

「・・・もういいよ」

こうして私たちの色々な意味で道を踏み外した夜は、幕を閉じたのだった。
                                     Fin

7 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 21:01:54.91 ID:d+lRYXRL0
終わりました。

まさか最初から全力でくるとは思わなかったです。
書いてる自分も楽しめました。読んでくれる方も楽しんでくれたら幸いです。


>>9
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 21:02:22.44 ID:Bmj//y+6o
素晴らしいな。乙
安価下
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 21:02:48.52 ID:5yi5NlxIO
かりんとう
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 21:02:52.52 ID:qpyY9gGSO
不撓不屈
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)[sage]:2012/07/18(水) 21:13:34.39 ID:OxxiSUiPo
これは良スレ
12 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 21:28:45.55 ID:d+lRYXRL0
>>9
タイトル「かりんとう紳士」



こうやって病院のベッドに横たわり、何かのチューブを付けられているということは、私はそう長くないらしい。
ふと、外を見やると、子供たちが昔と変わらず、外で遊んでいた。・・・現代には珍しい。
そういえば・・・・・・思い出すのも億劫だが、かなり昔のことだ。・・・老人であるこの私がまだ小学生の頃だから、軽く5〜60年前くらいだろうか。
夕焼けに染まる空き地で、あの子供達と同じように友達と遊んでいたときだ。
その紳士はやってきた。

「君たち・・・、ここら辺に、田辺さんって人は住んでいるかい?」

終戦して少し経った頃の話だから、軍服に身を包んだ男はそう珍しくはない。
軍服に身を包んだ初老の男が、あの時現れたのだ。
しかし無垢だったあの頃は疑いもしないで、その田辺の家に案内したことを覚えている。

「ああ、ここが田辺さんの家か、ありがとう君たち」

初老の男性は子供の私たちに律儀に頭を下げると、田辺の家の玄関をノックする。
その手に握られていたのは一通の手紙だ。・・・今となっては予想がつく、田辺家の誰かが戦死したのだろう。
だが子供の頃の私たちには予想すらできなかったのだ。無垢すぎて。

「・・・どなたですか?」

少し汚れた衣服を身にまとった、団塊世代の母親が玄関口から顔を出した。
ここら一帯の子供たちには有名で、よくお菓子をくれる人柄のいい人だったことを、今でもかすかに覚えている。

「・・・残念なお知らせですが・・・・・・、おたくの息子さんは・・・」

「もう・・・・・・言わないでください・・・・・・・・・・・・ひぐっ」

母親にしかわからない悲しみなのだろう。
その母親の目に浮かんでいた涙は、子供の私でも、心に来る何かがあった。

それからしばらくして、遊んでいた友達たちと別れて、その初老の男性と私で、少し喋っていた時だ。

「君たち、家族はいるかい?」

「うん、いるよ。お父さんはいないけど、お母さんと、お兄ちゃんが」

「・・・なくなったお父さんを、誇りに思っているかい?」

「ううん。僕はお父さんはあまり好きじゃないんだ」

「どうしてだい?国のために立派に戦ったんだろう」

「そのことはよくわからないけど、一緒にいてくれなかったし・・・・・・」

その言葉を聞くと、初老の男は肩を震わせて俯いた。
・・・泣いていたのだ。その頃、何で泣いていたかはよくわからなかった。だが、罪悪感胸が張り裂けそうになったことは確かだ。

「・・・、君の言うとおりだよ。・・・みんな万歳特攻して死ぬのがお国のためだというが、そんなことは無い・・・ッ」

「・・・」

「君の周りの人がどう思おうが、その考えは立派・・・とても立派だよ・・・」

私はただ黙って頷くしかできなかった。
だが、あの時のことを今思うと、涙が出てくるのだ。
初老の男は、カバンの中から、数本の小さな棒を取り出した。

「かりんとうだよ。・・・今じゃ貴重品だ」

「かりんとう?」

「一口、食べてみるといい」

かりんとうを知らなかった私は、言われるがままに、そのお菓子を口に入れた。
・・・今まで食べたことのない味。甘味。
世の中にはまだこんなものがあったのか。あのとき私は感動で胸がいっぱいになっていた。
13 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 21:44:30.32 ID:d+lRYXRL0
つづき

「これはとっておきなさい。・・・くれぐれも、軍の人にもらったとかは言っちゃダメだ」

「う、うん!」

その言葉に裏があるということを、私は疑いもせずに頷いた。
そう、この言葉には裏があったのだ・・・。

「じゃあね、またいつか会えるといいが」

「じゃあねーおじさーん!」

私は元気よく手を振って、初老の男を見送った。
その時男に浮かんでいた、希望に満ちた顔。
私のような考えを持つ世代が、これからの日本を担っていく事に希望を持っていたのだろうと、今は思う。

それが私が見た最後の表情だった。

数日後、近所の母親たちが集まり、雑談しているところを偶然聞いてしまった。
それさえ聞かなかったら、私は・・・・・・。

「知ってます?あの、田辺さんのところに言った軍人の人」

「あぁ、あのおじさまね。・・・その人が?」

「なんでも軍の食料のかりんとうを横領してたらしいのよ。自分勝手な話よね」

「はー、恥知らずの軍人もいたもんだ」

私は怒りを抑えられなかった。
怒りに手が震え、顔が真っ赤になっていた。
足が勝手に動き出し、一番近い日本軍の基地へ窒息しそうになるまで、全速力で走った。
自分の中の何かが警鐘を鳴らしていた。
おじさんが危ない。その一心で、軍の基地に駆けていったのだ。

「おじさーーーーん!!」

処刑台に立たされる、初老の男。
脇には拳銃を持った死刑執行人が待機している。
私は思い切り呼びかけたが、まるで皆が私がいないかのように、処刑は厳かに行われた。



その日以来、私は何もかもを今の仕事・・・・・・言えないが、それに捧げてきた。
我武者羅に生きてきた人生だったが、悔いはない。
・・・かりんとうをくれたあのおじさんのところに、もうすぐ行けるのだ・・・。

・・・ナースコールは、押さなくていい。ただ、逝かせてくれればよかった。
心臓の痛みが強くなり、目の前がゆっくりと霞む・・・・・・。

目の前が完全な闇に支配される。
おじさんは、いつもと変わらない、悲しげな笑みで、今日もかりんとうを分けてくれる。
あの甘さは、いつまでたっても忘れないよ。・・・かりんとう紳士。

                               Fin
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/07/18(水) 21:48:09.57 ID:6te5t6gK0
絶望先生の久藤准みたいだな
15 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 21:49:07.37 ID:d+lRYXRL0
終わりました。

ちょっと疲れました。今日はあと1つでラストにしたいと思います。


ちょっと遠めで
>>17
16 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 21:50:25.51 ID:d+lRYXRL0
遠目じゃなかった・・・
>>20
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 21:50:35.19 ID:qpyY9gGSO
>>1乙。ksk
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/07/18(水) 21:50:36.82 ID:6te5t6gK0
姉弟のイケナイ関係
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2012/07/18(水) 21:51:23.93 ID:3k/rLpbAO
空から落ちてくる幾千のふんどし
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/07/18(水) 21:51:30.63 ID:bMNGG+MJ0
オーパーツ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/18(水) 21:55:39.71 ID:5pjtU4sAO
>>1に老婆心ながら忠告
接続詞を含まない単語に限定しないと安価はどんどん長くなるから気をつけられたし
22 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 22:20:03.43 ID:d+lRYXRL0
>>20
タイトル「オーパーツオパンツ」


「おい!なんだこれは!」

我々発掘隊・・・と言っても私と隊長の二人だけだが、未開の地に足を踏み入れまる3日。
とうとう何かを発見したらしい。隊長が珍しく興奮気味にまくし立てている。

「おお・・・!この見事なまでの純白なトライアンゴゥ!これこそ、オーパーツッ!」

「・・・それ、私のパンツじゃないですかっ!なんで持ってるんです!?」

私は憤慨して、隊長の手から私の下着をひったくる。
ああ、なんでこんな男が隊長なんだ。私は何度ついたかわからないため息を吐く。

「オーパーツがオパンツだったとは計算外だったよ」

「うるさいですよ隊長!さっさと進まないと、食料が底をついてしまいますから!」

こんなダジャレ男にも、昔憧れていた時期があったんだな。その頃の私を叱ってやりたい。
勿論、その人柄だ。恋愛感情なんてない。

「しかし、君もたくましくなったな・・・、今では歴とした・・・」

「・・・これも隊長のおかげですかね・・・」

「そうだろうな、この俺が夏にふたりっきりでやったアレが効果を発揮したんだろう」

「ただの隊内ラジオ体操でしたよね。自由参加形式だったから私と隊長しかいませんでしたけど」

「そうだったな。・・・まあ、進むとするか・・・。夜が来る前に寝床だけは見つけておかないと」

私たちは、鬱蒼と茂る背の高い草をかき分け、先の見えない道を進んだ。
隊長の言うとおり、夜までには寝床を見つけないとならない。
未開の土地なのだから、どんな危険が潜んでいるか解らないからだ。

「しかし・・・ここは不思議だな」

「ええ、熱帯雨林に適した気候ではないですしね。おかげで涼しいですが」

「ああ。・・・いったいなにがそうさせているのか。・・・ふむ・・・」

「私は恐らく地下に何らかのエネルギー源があり、それが熱帯雨林としてこの森を成立させてるのではないかと思いますけど・・・」

「その節も一理あるが・・・まあいい。とにかく進むぞ」

それからというもの、たいして会話もなく、夜になり無事に寝床を見つけることができた。
岩場がちょうど影を作っており、二人分が寝泊まれるスペースになっている。
女のお前が耐えられるのか、などと前にほかの隊員から言われたが、私としては別に関係ない。結果として軟弱だったのはその隊員だったわけだ。リタイアして、本国に帰還した。

「・・・ん?」

交代をして見張りをしていた隊長が、声を上げた。

「・・・んぅ・・・どうしたんですか?」

眠い体に鞭打って、私は無理やり体を起こした。
何らかの野生生物が、私たちを狙っているのだろうか?

「様子を見てくる。・・・ここを動くなよ」

「・・・ふぁい・・・」

「シャキっとしろ」

眠気の残る私に、隊長は小さく喝を入れた。
おかげで少しだが目が覚めた。・・・確かに暗がりに何か蠢く影がかすかに見て取れる。四足歩行の動物・・・だと思う。

隊長はひとり私を残し、草むらの暗がりへ消えていった。
・・・なんとも心細い。
だが、ここで動けなくなるほど、私は怖がりではない。一応あの男に並以上には鍛えられている。

「う、ぐあぁああぁぁあぁあああぁッ!」

その時、隊長の・・・断末魔なのだろうか。私は声のした方向を条件反射的に向いてしまった。
意識がそちらに取られてしまい、警戒していた前方の注意がそらされてしまう。

つづく
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 22:20:30.14 ID:qpyY9gGSO
タイトルwwwwww
24 :名無しNIPPER[sage]:2012/07/18(水) 22:21:06.89 ID:XN4S6FQm0
やはりお前は久藤准
25 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 22:38:06.20 ID:d+lRYXRL0
>>21 了解です。忠告ありがとうございます。
あとこの話ですが、グロ注意で。



「きゃあぁッ!?」

私の体に何かが飛びかかってきた。
身構えてなかったせいか、私は軽々しく押し倒される。
私としたことが迂闊だった、だが、後悔先に立たずだ。・・・反撃を・・・。

「・・・ッ!?」

思わず私は息を呑む。
私を押し倒した、見たこともない、おそらく肉食系の動物の口から、何者かの手がちらりと覗いている。

「た、たいちょ・・・うッ・・・?」

私は、反撃も忘れ、思わず名前をつぶやいてしまう。
それが命取りになったのだろう。
肉食獣の獰猛さを感じさせる、無数の牙が、白い肢体を容赦なく血で染め上げる。

「い・・・あぐぅうぅッ!・・・はあっ・・・あ・・・」

間髪いれずに二発目の攻撃。
鋭い爪が私の喉を切り裂いた。鮮血が勢い良くあふれ出る。
一気に目の前の風景が、ネジ曲がる。

「・・・ぁ・・・っ」

私は・・・なにをされているんだろう。
おそらく、この肉食獣のエサにでもなってるのだろう。
意識はなかったが、死ぬ前の感覚が何故かハッキリと・・・、わかった。
そこに手が存在する。という感覚が無くなってくる。
腹部も食い裂かれたようで内側から冷える感触が伝わる。

・・・最後に聞こえたのは、野獣の遠吠え。
妙に人間味のある声が、他者を威圧する、恐ろしさを兼ね揃えていた。

「ンアッーーー!!(遠吠え)」



・・・・・・。


「おい、朝だぞ起きろ」

見慣れた天井と、兄の顔。
また、起こしに来てくれたのだろう。
それよりも、私の部屋に無断で入ったことにちょっと恥ずかしさを覚える。

「お前・・・、寝汗すごいな」

「・・・死ぬ夢を見た・・・から」

兄は、呆れた顔で淡々と述べた。

「そりゃそうだろ。この・・・ドクロ?オーパーツって言うんだっけ」

「ああ、それはクリスタルスカル。今の技術じゃこんなものは作れないんだよ」

「こんなの持ってたら嫌でも死ぬ夢見るだろ・・・。さ、母さんが怒る前にとっとと起きろ」

結局、私が死んだのは夢だったわけだ。・・・月曜日。なんて陰鬱な響きだろう。
私は兄に無造作に手渡されたクリスタルスカルに頬ずりすると、階下へ降りていった・・・・・・。


                             Fin

26 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 22:44:42.93 ID:d+lRYXRL0
終わりました。
後半眠くて何書いてたかわかんなかったです。あとオーパーツ要素全くなくてごめんなさい。

明日も部活か・・・たまげたなあ。

また明日の夜に来る予定なんで、その時もまたお付き合いしていただけたらありがたいです。

>>24
久藤准 さんですか。何かの本の作家さんですかね。
似させてはいないつもりなんですが・・・。まあ、文才無い自分が作家さんに似るってことはそうそうないでしょうし。

ついでに明日のお題決めておきましょうかね。

>>31
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/18(水) 22:45:36.79 ID:5pjtU4sAO
ksk
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 22:46:44.56 ID:Bmj//y+6o
乙。この手のスレの>>1は途中で飽きて失踪する事があるから怖い

安価下
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/18(水) 22:54:05.75 ID:5pjtU4sAO
ksk
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/18(水) 22:54:31.53 ID:5pjtU4sAO
ksk
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/18(水) 22:54:33.56 ID:8aBBobSWo
>>28
その時はその時よ、それもまた良し

安価はハーバー・ボッシュ法
32 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/18(水) 23:11:30.94 ID:d+lRYXRL0
>>31
ハーバー・ボッシュ法・・・。アンモニアがどうのこうのってやつでしたよね。
頑張ります。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 00:31:34.66 ID:S5FdY7JKo
面白いな

1が飽きてやめる以外にこのスレの終わり方が分からないんだが
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 01:48:39.56 ID:wOslQ4bGo
>>31
お前学生だろw
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)[sage]:2012/07/19(木) 02:39:15.99 ID:aBZxetUdo
>>31
IDが微妙にハーバー・ボッシュっぽいのはたまたまか?
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/19(木) 06:18:50.64 ID:1nQwb8bAO
まさかの理系ネタ

どんな話になるか全然予想つかんな
37 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 07:09:57.78 ID:FaEzTzJY0
出かける前に一回

タイトル「ハーバー・ボッシュ法の恋」

理系学生として、私はそれなりに勉強はしてきたつもりだった。
成績はそれなりで、別に提出物の提出状況が悪いわけでもない、至って普通の学生だ。

「おーい、理子」

10分間の休み時間、座席で教科書などの整理をしていると、後ろから馴染みのある声が私の名前を呼ぶのが聞こえた。
彼は私の・・・友達と言ったほうがいいだろうか。
初めてこの学校に来た時から、やたらと仲良くしてくる男の子だった。

「どうしたの?・・・」

私は男が手に持っている、一冊のワークノートを見て呆れた。
家庭課題に全く手をつけていない。驚きの白さだ。

「な?頼むわ」

「・・・はい、間に合うわからないけどね」

私は大人しく私の家庭課題を渡した。
ここで拒むと、面倒事になるのは私がよぉく知っている。
少し前、今と同じように男は家庭課題を忘れ、私に見せてくれとせがんで来たことがあった。
私は少しいたずらしてやろうと思い、それを拒否したのだ。
そうしたら彼は・・・情けなく、土下座し、大声でいろいろとまくし立てたのだ。
私のご機嫌を取る言葉だろうが、その時は恥ずかしくてたまらなかった。
何故恥ずかしかったのかは知らない。・・・その時彼が言った言葉が思い出せないからだ。

「ありがとな、・・・よーし、速攻で終わらしてやんよ!」

威勢だけはよかったが、この10分間に終わるものとは私はあまり思えない。
仮に10分フルに使っても、終わるかどうかはギリギリのラインだ。・・・まあ、答えを写すだけなら5分でも終わるか。
なんだか・・・少しだけ腹が立っていた。
・・・なんで腹を立てる必要があるんだ。男のことはどうでもいいはずだ。
最近、男のことばかり考えてる気がする。・・・なんてテンプレートなんだろう、これは恋なのか?

授業開始のチャイムがなる。
しかし私は、ワークを男に貸したことすら忘れ、叱られ、恥をかく羽目になったのだった。

つづく。


時間が足りなかったので、続きは帰ってきてからです。すんまえへぇ〜〜ん!
38 :名無しNIPPER[sage]:2012/07/19(木) 07:13:01.79 ID:MosmW2bi0
久藤准ってのはさよなら絶望先生に出てくる
やつ
携帯電話 とかのお題?で感動ストーリーを即興で語る
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 07:46:08.85 ID:/hulpb1I0
委員長(女)黒幕
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 13:00:31.51 ID:S5FdY7JKo
久藤なんてどうでもいいですわ、知らないですしおすし

1の帰りが待ち遠しいな
41 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 14:11:44.54 ID:FaEzTzJY0
ただいま戻りました。
今日はアツゥイ!ですね。
つづき

7時限目、授業終了のチャイムが鳴った。
私は今日習った、ハーバー・ボッシュ法の項目に蛍光ペンで線を引くと、教科書とノートを閉じる。
窒素と水素を冷やしたものを超臨界流体状態で直接反応させてアンモニアを発生させるものだ。
・・・どことなく恋に似ている。冷やした、といった表記を熱なんかに変えると・・・。
私は何を考えているんだろう・・・、バカバカしい。これも男のせいだ。

「あの・・・理子さんよ・・・あの時は悪かったな」

男が申し訳なさそうに、化学のワークを手渡してきた。
どこか微笑を浮かべている気がする・・・私は少しだけふくれて言ってやった。

「・・・気にしてないからいいけど、でも今度からやめてよね」

「ああ、・・・ところで、もしよかったらさ・・・今日も・・・」

「・・・ゲームセンター?・・・よく飽きないわね」

「まあ、な」

男は何か後ろめたそうに言う。
何か私に隠しているのだろうか?・・・まあ、どうでもいいか。
最近の私の日課は、男とゲームセンターに行くことだった。
男は決まってUFOキャッチャーにお金を費やすのだが、今現在の戦績は全敗だ。
何がそこまで彼を駆り立てるのだろうか。・・・不思議である。

「いいわ、暇だし・・・お金は貸さないわよ」

「おう、そこまで俺は落ちぶれてねーよ!」

私と男は、帰り支度を手際良く済ませると、並んで昇降口へ向かう。
道中の他愛のない話。・・・何故か心地が良かった。
ここまで私は男に依存していたのか・・・。私は気づかないふりをしていただけなのかもしれない。

「ねえ、男・・・手、つないでもいい?」

私は男にそう声をかけ、すぐさま失敗したと思った。
・・・なんてことをやらかしたんだ。これでは私が男を好きみたいじゃないか。
先ほどのハーバー・ボッシュ法が頭を過ぎる。

「あ?・・・別に構わないけど、お前からって初めてだな」

「そ、そうだった・・・?まあ、いいじゃない」

「ああ、いいよ、ほら」

差し出した手が、男の大きな手に優しく、かつしっかりと握られる。
ああ・・・これがハーバー・ボッシュ法なのか。
私と男が・・・両思い状態で直接反応して・・・・・・もうどうでもいいか。

「さ、着いた・・・今日こそは・・・」

男はゲームセンターについたとたん、私の手をなんの前触れもなく離した。
私の満たされたような感覚が、シュンと消えてゆく。

「何つれない顔してんだよ、ほら、早く行こうぜ」

「わ、・・・わかった」

男性って、みんなこんな感じなのか。
鈍感で、人の気持ちも考えない・・・。別に鈍感が悪いわけではないけども。
私は今までと一変した重い足取りで、喧騒に満ちたゲームセンターへ足を踏み入れた。

ゲームセンターはいつもと変わらず、熱気で包まれていた。
よくこんな暑い中を通い続けているものだ。・・・私は自分で感心してしまう。

「よーし・・・今日は絶対・・・!」

昨日もその台詞を聞いた気がする、と喉元まで声が出かかったが、私は抑えることにした。
それを言っては折角の彼の絶望した顔が見れない。

「うわあああ・・・・・・ここで落ちるのか・・・!」

早速失敗した。だが一回だけで諦める彼ではないと私は知っている。
彼は躊躇なくコインを入れると、ゆっくりと操作棒を操った。
 つづく
42 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 14:41:34.27 ID:FaEzTzJY0
つづき

UFOキャッチャーが、ゆっくりと右に動き、そして下がる。
どうやら狙っているのは、女物のヌイグルミのようだ・・・。私以外の人にあげるのだろう。
私はそう思うと無性に邪魔をしたくなった。

「ふーっ・・・」

男の耳に軽く息を吹いてやる。

「ぬわーーーーーっ!?・・・・・・ああああ!落ちてやがる!」

「ふふっ・・・やっぱり男をいじるのは面白いわ」

「勝手にいじるんじゃねーよ・・・。よし、もう一回・・・」

流石にこれ以上邪魔しては、怒らせてしまうかもしれない。
今回は大人しく引き下がることにした。・・・ぬいぐるみをとった時の男の笑顔も見てみたいものだ。

「おっ・・・ここらへん結構いいんじゃ・・・!?」

ちょうどヌイグルミの頭をUFOキャッチャーが鷲掴みにするような位置にあった。
これは期待してもいいと思う。・・・ようやく一勝だ。

「おお!この安定したスタイル!絶対行ける!」

ヌイグルミはしっかりと頭を掴まれて、持ち上がる。
そして、ゆっくりと投入口に移動してゆく・・・。ああ、これが取られたら、男はほかの女のところに行くのか・・・。
私としては別に構いはしない。・・・だけど無性に腹が立つ。
結局ヌイグルミが無事に投入口に落とされると、男は飛び上がって喜んだ。
獲得したヌイグルミを抱え上げ、クルクルと回る。・・・子供じゃあるまいし。

「獲ったどーーーー!」

「おめでとう、で、誰に渡すの?」

「理子だよ!ほら、苦労してとったんだから大事に使えよ!」

私は驚いて、素っ頓狂な声を上げるが、幸いここはゲームセンター。周りには聞こえない。
私は軽く震えた手でヌイグルミを受け取る。
・・・デフォルメされたアザラシのようなヌイグルミで、結構な大きさだ。携帯に付けるストラップではないことは確かだろう。

「これ・・・いいの?・・・私が貰っても」

「ああ、・・・そんでさ・・・聞いてくれるか?」

「な・・・なに?」

男は、なにかを覚悟したかのように、大きく深呼吸した。
私は動けずにいた。彼が何を言うのか予想は出来ても、それを私が否定しているのだ。・・・うまく説明ができないほど、私の頭はこんがらがっていた。

「好きだ!」

「は、はあっ!?」

「前も言ったけど、好きだ!俺、このぬいぐるみ取ったら、言おうと思ってたんだぞ!」

「え、・・・ちょ・・・」

男は強引にも、私に抱きついた。
感覚の全てで、私は男という存在を感じていた。
嗅覚、視覚、触覚。・・・その他もろもろ。
また頭にはハーバー・ボッシュ法が浮かび上がる。
二人が直接反応して、恋という物質を発生させる・・・。こんなものとは無縁だと思っていた。

「あ・・・悪い、お前の返事も聞かずに・・・」

男は今更になって頭を下げて謝った。
私は・・・うまく返事ができないでいた。・・・感涙とは、こういうことを言うのか。意図しない嗚咽が、私を喋らせなかった。

「・・・ごめん、だけど、俺は好きなんだ」

「・・・別に・・・嫌じゃないわ・・・・・・、こ、こんな性悪女だけど・・・よかったら・・・」

「・・・理子・・・」

「付き合ってくだ・・・・・・付き合ってあげるわ・・・・・・!」

こうして、また一つハーバー・ボッシュ法に基づいて、恋という物質が発生した。・・・昔においても現代でも、それは恋愛物質の発生に最も重要な手法なのかもしれない・・・。
                              Fin
43 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 14:44:37.16 ID:FaEzTzJY0
終わりました。
強引な終わらせ方でしたけど、いかがだったでしょうか。
最後の文の一部だけ、wikiの方を使わせてもらいました。wikiの編集者様ありがとうございます。
あとこんなにコメントを貰ったのは初めてです。励みにさせてもらっています。

次のお題
>>49

44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 14:49:09.08 ID:/hulpb1I0
委員長(女)黒幕
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 14:52:32.75 ID:/hulpb1I0
この時間なのに安価が遠い……
46 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 14:53:19.78 ID:FaEzTzJY0
ごめんなさい。

>>48で。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 14:56:20.11 ID:/hulpb1I0
ksk
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 14:56:49.05 ID:obYOzuGSO
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 14:57:12.57 ID:/hulpb1I0
委員長(女)黒幕
50 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 15:00:39.51 ID:FaEzTzJY0
>>48

「鋼」で承りました。昼寝してからやりたいと思います・・・すみません。
51 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 16:39:18.04 ID:FaEzTzJY0
タイトル「鋼の心」

俺は冴えないただの武士だ。しかし、城下町からの評判はなにかと良い。・・・俺としては普通に仕事をしているだけなのだが。
多分、他の武士が怠けているのだろう。それほど仕事がなされていないのだ。

「おう、武士男じゃないかあ・・・先日はどうもねえ」

この前の見回りで茶をご馳走させてもらった老婆が、ニコニコとしながら頭を下げた。
確か、噂では体調を悪くしていると聞いていたが、そのような感じは微塵も感じられない。

「いえいえ、ところで最近体調が優れないらしいですが・・・薬屋で薬でも頂戴してきましょうか?」

老婆は刹那少し驚いたようにキョトンとしたあと、かっかっかと豪快に笑う。
・・・元気そうだ。

「最近暑かったからねえ!薬なんて大げさだよぉ!かっかっか!」

どうやら最近の暑さが原因だったようだ。・・・まあ、元気そうなので大丈夫だろう。
俺は一言お大事に、と別れを告げ、町の見回りを再開した。

・・・今日も暑い。容赦なく照りつける太陽が、さらにそう感じさせる。
額に浮かんだ汗を掌で拭い、ふと、空を見上げた。
雲ひとつ無い、快晴の空。今日も一日中暑くなりそうだ・・・。

「おい爺さぁん!?金目のもん出せや!」

「や、やめるんじゃ!とっととどっか行け!」

強盗か・・・厄介事が多い町だ。
ちょうど家と家の間の死角、ひ弱そうな爺さんが絡まれている。
相手は数人のガラの悪い連中だ。おそらくどこかの悪徳商人の手下だろうか。
俺は戸惑うことなく、老人を助けることを選ぶ。・・・まあ当然のことだ。

「おい、やめてやれ」

俺は極めて冷静に、話し合いでの解決をしようと、できる限り言葉を選び言った。・・・つもりだ。

「おう、なんだお前?俺らに指図したよな?」

「こいつ、袋叩きにしちまおうぜ!」

どうやら相手は、数で優位に立っていると思ったようだ。こっちに闘志丸出しで向かってきている。
これだからこう言う奴らの対処は疲れるのだ。言葉では解決できないのだろうか・・・。
俺は帯刀していた刀を抜くことも、拳を構えることもしなかった。
・・・・・・男たちはさんざん俺を殴った挙句、俺の持ち金を奪い、消え去った。
殴られた箇所が鈍い痛みを放っている・・・。・・・無駄に力の強い連中だ。
俺は脇腹を押さえてやっとの思いで立ち上がり、絡まれていた老人のもとに近づく。

「怪我はないですか?」

「は・・・鋼の心だ・・・」

老人が何かを呟く。
俺の耳は普段そんなことを気には止めないのだが、何故かこの時だけ、妙に引っかかった。・・・俺はどういう意味なのか聞いてみることにした。

「鋼の・・・心?・・・一体どういう・・・」

「頼む!後生だ・・・!ワシの、刀を貰ってくれないか!!」

老人は、疑問に答える前に土下座をし、そう頼んできた。・・・どういうことだ?
見ての通り、俺は帯刀しているのだ。刀は家に何本かあるが、今はそれほど使う機会はない。
つまり、正当防衛の戦いでもない限り、無用の長物なのだ。・・・それをもらって欲しい?
理由を聞いても、貰ってくれと何故か懇願するばかりだったので、とりあえず俺は老人の家に向かった。

老人の家に着いた。
どうやらこの老人、鍛冶屋を営んでいるらしい。壁にはいくつかの鞘に収められた刀が立てかけられている。
そのいくつかの刀からは、何かの力を感じた。他者を威圧するような、そんな威圧感を覚えた。
この刀は普通の刀ではないのだろう。・・・刀に詳しくない俺でも、並みの刀とは違う、そんな気迫を肌で感じている。
刀一つ一つに、老人の熱い魂がこもっている。・・・そう確信できた。


つづく。

52 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 18:30:35.03 ID:FaEzTzJY0
俺は鍛冶屋の老人に改めて話を聞いていた。
老人によると、今までの刀とは双対をなす、新たな刀を作ったそうだ。
今までの全体的なテーマが、攻撃性、そして威圧だったらしい。・・・平たく言えば、鬼の剣だ。
そして、新たに作ったこの刀、鋼を鍛えに鍛え、頑丈な刀身を実現したその名も“鋼山”。
全体的なテーマである攻撃的な要素をすべて捨てた。
そして代わりに、何かを守るような、太陽の暖かみ、しっかりと芯の通った・・・安定感。
その新しくできた刀は、普通の人間では扱えないそうで、鍛冶屋として嘆いていたところ、老人は俺を見つけた。・・・といった経緯だ。

「頼む・・・、何度も言うが、貰ってくれ。この鋼山を」

「・・・」

俺は明らかに返事に迷っていた。
普段なら、何事も即決する俺だが、・・・何故か迷いが生じている。
気まずい沈黙が、俺と老人の間に流れる・・・。

「・・・わかりました」

俺は意を決して、口を開いた。
差し出された刀を受け取り、刀身を少し鞘から出す。
美しく、ギラギラと輝く銀色の刃が、顔を覗かせている。

「ありがとう・・・じゃが、この刀。絶対に誰にも渡すな。・・・お前だけの、ただ一つの刀だ」

老人は俺に強く念を押した。・・・言われなくてもわかっている。
この刀は、なにか・・・強い使命感を俺に与えてくれている。
柄の部分を握り締めると、何故か力が湧いてくる・・・・・・、俺は不思議でならなかったが、当然だ、といったような感覚もあった。矛盾しているが。

「・・・それでは、な」

「・・・」

老人はそれだけ言うと、家の奥に消えていった。


しばらくして聞いた話だが、あの老人は病気だったらしい。
不治の病で、もう立つことすらままならぬ状態だったそうだ・・・、意識すらなくしていたらしい。

俺はそれを聞いて、なにか燃えるような感覚を感じたのだ。・・・託されたこの刀を、どう使うべきか・・・少しは理解できた気がする。
さあ・・・合戦だ。
俺にできた大切な人・・・いや、大切な人々を守るために、俺はどれだけ殺すことになるのか・・・。
伝説の刀、鋼山を握り締め、俺は戦場へ向かった・・・・・・・・・。

                         Fin
53 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 18:35:37.65 ID:FaEzTzJY0
終わりました。
鋼ということで、イメージとしては鍛冶屋なんかが思い浮かんだので、時代劇風な話となりました。
楽しんでいただけたかなあ、と疑問に思うところです。


次のお題
>>57
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 18:40:48.47 ID:yTxe+zjFo
ksk
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 19:25:31.77 ID:gmriKxfKo
ksk
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 19:26:20.24 ID:yTxe+zjFo
ksk
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/19(木) 19:26:26.83 ID:1nQwb8bAO
胡蝶
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 19:30:22.26 ID:gmriKxfKo
阿耨多羅三藐三菩提
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 19:36:40.33 ID:gmriKxfKo
むう、取れなんだ。まあいいか

>>31だったんだが面白かった!そうきたか!
まあ第一回を読んで「男と超臨界反応した理子ちゃんのアンモニア生成か・・・!」と思ったのは内緒だ
60 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 20:13:26.27 ID:FaEzTzJY0
>>57
これは難しいですね、しばらく待っててください!

胡蝶を最初ゴマって読んだことは秘密
61 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 20:36:01.43 ID:FaEzTzJY0
>>57

タイトル「気高き胡蝶のプライド」

胡蝶舞の踊り手、それが私。
背中に煌びやかに光る羽を、ひらひらと魅了するように私は舞う。
その時、観客から漏れる声が、何とも言えないほど快感だった。
なんと言えばいいのだろうか。・・・美しきモノに魅了される観客に、私もまた魅了されているのだ。
その時が一番輝いている瞬間だと私は自負している。

「今日もお疲れさま、ほら差し入れ」

舞台裏で、私の師匠が水の入ったペットボトルと少し大きめのタオルを持参してやって来た。
汗をかいた身としては、とてもありがたい差し入れだ。丁寧にお辞儀をして、私はそれらを受け取った。

「しかし、舞ちゃん。私はいろいろな生徒を見てきたけどさ、やっぱり舞ちゃんって何か違うよね」

「そうでしょうか?」

「そうだよ。んー、なんていうのか・・・執念?そんなものを感じるんだよね」

執念・・・か。答えでもあり答えでない、微妙なところだ。
確かに私は胡蝶舞に固執しているが、それ自体に固執しているわけじゃない。
私は胡蝶舞を生業としているのだ。・・・それがなければ私が私でないというだけだ。

「まあ、私も舞ちゃんみたいな弟子をもって嬉しいかな。綺麗だし、そのキツめな性格。胡蝶のために生まれてきたようなもんだね」

そこまで褒められると、煽てられていると理解していても、つい、いい気になってしまう。
私は口元を緩ませ、少し笑った。

「ほら、舞ちゃん。衣装乱れてるよ。エロいから、はい直して!」

「あ、はい・・・」

師匠の指摘を受けて、艶やかな衣装の隙間からチラリと見えていた乳房に私はようやく気付く。・・・情けない・・・。
結局のところ、師匠は私の数枚上手を行っている。
それは当然だったか・・・。じゃなければ師匠なわけがない。
時々、私は師匠との立場が近すぎて親友と思ってしまうことがある。・・・それ以上に思うこともあった。
彼女は、私より上手く・・・私よりも楽しんで踊っているのだ。
これほど恋焦がれた人物が私の人生上にいただろうか?・・・なんどもこれまで自問自答を繰り返したが、いた記憶がない。

「さ、次は私と共演だったよね。頑張ろう、舞ちゃん」

「はい、師匠!」

私はしっかりとした返事で答えると、表舞台に舞い踊った・・・。
豪華絢爛ながら、目立ちすぎる衣装ではない、花という主役と合わさることで、初めて本当の美しさになる。
まさにそれは・・・蝶という比喩が的を射ているくらい、彼女たちは蝶だった・・・。

                            Fin

62 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 20:40:03.21 ID:FaEzTzJY0
終わりました。
胡蝶に関してはあまり詳しくなかったので、ちょっと辛かったです。
今回はちょっと勉強があるので次でラストとします。

>>66
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 20:40:42.04 ID:yTxe+zjFo
ksk
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 20:41:06.70 ID:gmriKxfKo
ksk
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 20:41:14.69 ID:yTxe+zjFo
ksk
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)[sage]:2012/07/19(木) 20:41:46.24 ID:2BbozOXr0
無限のエネルギー
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/07/19(木) 20:41:59.28 ID:1nQwb8bAO
純粋理性批判
68 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/19(木) 20:55:34.10 ID:FaEzTzJY0
すみません。宿題が思ったより長いので今日はこれにて終了です。
>>66さんには申し訳ないですが、明日必ず書きます。本当にごめんなさい。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/19(木) 21:03:05.40 ID:gmriKxfKo

また明日〜 待ってる
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/20(金) 01:20:34.23 ID:9FCvgwzIO
71 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/20(金) 22:07:56.88 ID:QLGToUf+0

タイトル「神が与えた無限の自由」

私たち人間という種族は、常に自然の理に逆らって生きて来たのかもしれない。
その罪が、地球に残された資源が枯渇なのだろう。世界各国で貧困と戦闘が爆発的に発生したのだ。
平和主義である日本も例外ではなかった。
見下ろすかのように建設された高層ビルはもはや見る影もなくボロボロだ。
ゴミが無かった清潔な街並みも、死体が辺りにいくつも打ち捨てられている。

「はぁ・・・はぁ・・・」

私は、6発装填のリボルバーをかたく握り締めながら、かつては大通りだった通りを走り抜けている。
邪魔な瓦礫を飛び越え、ただ一直線に走り抜ける。
たまに頬をかすめる銃弾が、私をさらに恐怖に駆り立てる・・・。
暴徒に襲われている私の最後の手段は、私が殺すか犯されてから殺されるか。・・・二つに一つしかない。
足の筋肉がこれ以上は走れないと悲鳴を上げている。・・・知ったことではない、とにかく状況を逆転するような場所にたどり着く必要がある。
どこか倒壊したファストフード店等がいいかもしれない。・・・ちょうどそこにかつて人の出入りが頻繁にあっただろう世界的に有名なハンバーガーショップを見つけた。
なんて幸運なんだろう。私は迷わず倒壊した店の廃墟に飛び込んだ。
脱兎の如くカウンターまで駆け、身をひそめる。
頼りになるのは、6発の弾丸、そしてリボルバー。

「ここら一帯をしらみつぶしに探せェ!あの女をとっ捕まえてひん剥くんだ!」

しゃがれた男の声が、店内に響き渡る。
少し様子を伺ってみたが、あいつら全員が銃を所持しているわけではなさそうだ。
・・・ここはリーダー格の男から仕留めるべきだろう。
私はカウンターの脇から顔を覗かせ、リーダー格の男に狙いを定めた。・・・気づかれてはいない。
私の指先に力がこもり、銃声が狭い室内に轟いた。

「うか・・・ッ!!」

男は頭に弾丸を受けて、短い悲鳴を上げ死んだ。呆気ない最後だ。
リボルバーの撃鉄を親指で引き起こし、次の敵に瞬時に狙いを定める。敵が反撃できない僅かな隙を狙い、私はまた引き金を引く。
これも命中、敵は短い断末魔をあげて、床に力なく倒れる。

「いたぞ!覚悟しろッ!」

「ケケケッ!ひん剥いたるぜェ!」

獰猛な肉食獣を連想させる雄叫びを上げて、敵の男たち2人が向かってくる。
だがこちらには銃がある。・・・私は躊躇なく引き金を引いた。
一発、二発・・・すべての弾が吸い込まれるように命中し、男二人を地面に倒す。

「・・・・・・ふぅ・・・・・・ッ」

今日も生き残った。・・・私は安堵のため息をつく。
その後敵の銃を2丁と弾丸数十発を回収して、私はセーフハウスに戻ることにした。

・・・神が与えたこの試練。
少しは私たちが犯してきた罪というものを理解できる。
だが、私たち人間は、“無限のエネルギー”を求め、とうとう地球の中心核に手を出したのだ。
私たちは資源枯渇問題が解決した喜びを分かち合う暇もなく、噴火、地震などの自然災害に襲われた。
その結果、火山灰が常に空を覆い、緑豊かな田舎、農地などは不毛の地と化した。
“無限のエネルギー”・・・それは所詮、絵に書いた牡丹餅だったのだろう。
私はもし時を遡れるなら、私は警鐘を鳴らしたい。
所詮一市民の私の言うことなんて聞かないかもしれないが・・・。

“幸福な生活の裏には、必ず裏が存在する。表裏一体の関係である。
・・・それから最後に一つだけ。
人間なんて、とっとと滅ぼしてしまってください。”

私は無駄だと分かっていても私の悲痛な叫びを、そのテープに納めた。
いつか時が過ぎて、また緑が戻ったとき。・・・これが見つかることを祈って。


「ん?・・・なんだこれ」

遠い未来の綺麗な海辺。散歩中の少年が、とても錆び付いたテープを拾い上げる。
少年はまだ幼い好奇心と、宝物を発見した喜びから、母親に飛びつく。

「母さん!これ見つけたんだよ!」

「あら、・・・汚いわね、さっさと捨てちゃいなさい!」

「でも・・・・・・」

「いいから捨てなさい!」

・・・こうして時代は繰り返される。 人類は、なんて愚かなのか。神である私には、ただの笑いの種だった。
                      FIN
72 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/20(金) 22:13:13.68 ID:QLGToUf+0
終わりました。
日本の周りにメタンハイドレートっていう資源が大量に見つかったそうで、近隣諸国が躍起になってるようで、崩壊とかそういうテーマで書いてみました。
最近は省エネなどの活動が取り組まれていますが、やはり人間が便利を求める限り、私たちは緩やかに崩壊に進んでいくのでしょう。

今日はお題だけ決めておこうと思います。・・・即興で書くといって、なんか日を置くと、書き溜めてるんじゃないかと思われてしまいそうで怖いです。
書き溜めてはいません。一応言っておきます。

お題
>>76
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/20(金) 22:13:23.59 ID:YwKR1p3Mo
ksk
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/20(金) 22:13:35.35 ID:X0eXgNYSO
ksk
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/20(金) 22:14:56.69 ID:YwKR1p3Mo
ksk
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/20(金) 22:17:50.39 ID:joNxPFaP0
泥棒
77 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/20(金) 22:18:45.11 ID:QLGToUf+0
>>76
泥棒で承りました。
気長に待ってくれるとありがたいです。 それではおやすみなさい。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/20(金) 22:19:51.07 ID:joNxPFaP0
79 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/21(土) 09:50:00.05 ID:q6pHdWpn0
タイトル「正義の泥棒」

泥棒といえば、悪のイメージが強い。いや、完全に悪だ。
俺はその職業を生業とした悪者だが、・・・市民からは絶対に盗まない。
標的はもっと別の人間だ。・・・裏に隠れて美味い汁を吸うヤツや、他者を利用した挙句ボロくずのように捨てる最低な奴などだ。
俺は敢えてそいつらから盗むことで、泥棒という行為を正当化しようとしているのかもしれない。
だが、これは俺のプライドだ。

「今夜も性が出るな、男泥棒」

夜。いつもと同じように、俺は標的の家の前で佇んでいる。・・・そこへ俺の同僚が声をかけてきたのだ。
彼女もまた、俺と同じ信念で動く“正義の泥棒”である。

「ああ・・・今日はここをやるんだが・・・ちと、セキュリティが厳しくてな」

「・・・そうか、まあ私には関係ないことだ。せいぜい捕まらないようにしろよ泥棒」

「わかってるよ、お前もな」

俺の同僚の女泥棒はひらひらと手を振って、街灯もない路地裏の闇に溶けていった。
相変わらず闇に隠れるのが上手い奴だ。

さて、どうするか・・・。
今の時間帯は深夜の2時過ぎ。この家の主人は寝ているだろうが、警備システムは不眠不休だ。ずっと稼働している。
取りあえず俺は素早く壁を伝って屋根によじ登る。
この家の間取りは手に入らなかったが、恐らく屋根裏部屋があると俺は見ていた。
身をかがめ、辺りを見渡す。・・・ちょうど出っ張ったところに、屋根裏部屋の窓がある。どうやら鍵は開いているようだ、都合がいい。
ここからなら侵入できそうだ。俺は足音を殺し、屋根裏部屋へ侵入した。

ここにはどうやら照明がないらしい。月のほのかな月明かりが、その部分を切り取ったかのように一箇所だけを照らしていた。
しかし、いともすんなりと入れたものだ。・・・罠の可能性を疑うべきか?
俺が今回盗むものは標的が購入した絵だ。恐らくそこに警備システムが集中しているのだろう。
俺はゆっくりと足を前に運び、屋根裏部屋を出ようとした。

「そこまでだ」

「ッ!?」

男の声が、俺の足を止めた。
振り向けばそこには、月明かりのせいで不気味に照らされた男と、その男が捕らえている・・・・・・女?
女泥棒か・・・?!

「お、男泥棒・・・ッ・・・済まない・・・」

「このヤマは俺たちが引き受けることになった。・・・大人しく引いていただきたい」

・・・またこいつらか。
最近俺たちの仕事を横取りする、気に障る連中だ。おかげで最近は儲けが少なくなっている。

「・・・その要求、ノーと言ったら?」

「この女を殺し、貴様を牢屋にぶち込む」

男は女泥棒の手首を怪力で握り締めた。・・・ギュゥッと言う音がこちらまで届いてきそうだ・・・。

「くぁ・・・ッ・・・!」

「早くしないと、この女の手首をへし折るぞ」

「・・・」

男がさらに力を込める。・・・これが最後のチャンスか。

「あ・・・・・・ッ!」

「・・・分かったよ、そいつを離せ」

「理解が早くて助かるな、“正義の泥棒”・・・・・・フッ、笑わせてくれる。泥棒に善など、存在しないのにな・・・」

男は捨て台詞を吐いて、屋根裏部屋を出ていった。

つづく
80 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/21(土) 10:17:48.49 ID:q6pHdWpn0
「・・・悪かった、まさか捕まってしまうなんて・・・迂闊だった」

「いいさ、お前が悪いわけじゃない」

俺たちは標的の家を抜け出して、俺の隠れ家へ向かっている途中だった。
女泥棒はどうやら今日、俺の隠れ家に泊まるらしい。

「しかし、アイツ等は一体何なんだ?・・・前も私の仕事を横取りして行って・・・」

「・・・俺たちを気に入らない、何か第三者が動いているのかもしれないな」

「ふむ・・・私たちを恨む人数は多いからな・・・その線からあたりをつけるのは・・・少々難しいか」

「まず、何故俺が今日動くとバレたのか・・・。それが疑問だな」

「そうだな・・・・・・ん?そういえば男泥棒、今日は依頼人からの仕事だったよな」

「・・・ああ、結構な金を積んでくれてた」

「・・・私の横取りされた仕事も、依頼人がついていたんだ、・・・ひょっとしたら・・・」

ここまで言われれば、俺も予想はついた。
クライアントが、・・・俺たちを憎む何らかの組織に関与しているのは、おそらく間違いない。
取りあえず今日はもう遅いので、俺たちは隠れ家へ向かった。

「・・・ふう、今日はヒヤヒヤしたぜ。・・・女泥棒、手首は大丈夫か?」

「ああ、・・・少し痛むが」

泥棒にとって手が使えないのは致命的だ。
俺は冷蔵庫から湿布を探し当て、女泥棒の細い腕に貼ってやる。
女泥棒の体が、湿布の冷たさでピクリと震えた。

「うぅっ・・・冷たいな」

「我慢しろよ、ま、良かったな。大したことなくてよ」

「ああ・・・・・・ありがとう、男泥棒」

「気にすんなよ」

その後、俺たちは話もほどほどに、ひとつのベッドに二人で横になり、眠りについた。
明日は、クライアントの元へ向かわなくては・・・。

翌日、俺は単独、クライアントのもとへ向かっていた。
あのあと女泥棒とは一旦別れ、別々に行動しようということになったのだ。女泥棒はしばらく自分の隠れ家で大人しくしているらしい。
まあ昨日あんなことがあった後では、仕方のないことだ。
・・・程なくして俺は依頼主の家に着いた。相変わらず異様な空気に包まれている。

ドアを数回ノックしたあと、見た目の割には軽い玄関の扉のドアノブに手を回し、開く。
依頼主は居間にいるはずだ。・・・敷き詰められた真っ赤なカーペットが、赤い血を思わせる。

「・・・やあ、君か。・・・仕事に失敗したらしいね」

老いた老人が、ゆったりとソファーで寛いでいた。
俺は早速本題に入るべく、立ったまま続ける。

「・・・とぼけるな、知ってたんだろう?」

「チッ・・・気づくのが早いね、やはり君は普通の泥棒ってわけじゃないみたいだ・・・」

その見た目に似合わぬ舌打ち。・・・しかし俺は怯まない。

「何故こんなことをする。・・・俺たちは正義の名のもとに活動しているだけだ」

「・・・君も聞いたろう、“泥棒に善など、存在しない”とね」

「あのバカそうな男に、そうやってふきこんだのはお前か。・・・随分と知能の低い手下を持ってるな」

「いい加減にしたらどうだ。・・・身の程というものを弁えろ」

老人が突然立ち上がる。そして、シワだらけの右腕が上がり、指をパチンと鳴らした。
それが、最後の合図だったのだろう。・・・俺は身構える前に男数人に取り押さえられてしまう。・・・ガッチリと固定されて体は微動だにしなかった。

「悪いが、お前にはここで死んでもらうぞ。・・・私の友人も、相当困っているようでな・・・」

「くっ・・・」

ここまでか・・・。老人は古ぼけた銃を引き抜くと、俺に照準を合わせた。
81 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/21(土) 10:33:16.39 ID:q6pHdWpn0
轟く銃声。・・・俺は激痛に身構えたが・・・その痛みは一向に襲ってくる気配がない。

「が・・・はぁッ・・・!?」

撃たれていたのは老人だった。脳天から赤黒い血を撒き散らし、地面に倒れる。
手下であろう男たちは、何が起きたのか理解できず、思わず意識が、自分たちの今は無きボスに持っていかれたのだろう。拘束の力が緩まるのがわかった。
俺はその隙をついて、するりと拘束から抜け出し、老人の拳銃を奪う。・・・躊躇なく引き金を引き、手早く四人を葬り去ったあと、俺は玄関の方に銃口を向けた。

「・・・女泥棒」

「遅れてすまなかったな。男泥棒」

女泥棒は、ホルスターに自動拳銃を収納する。・・・今は女泥棒に感謝しなければいけないだろう。

「私もお前も、まだ死ぬわけにはいかないだろう?・・・正義の名の元に、盗み続けよう」

女泥棒は俺にゆっくりと歩み寄り、そう言った。
・・・そして、瞬間的な口づけ。何が起こっているのかあまりよく理解できない。

「・・・そう、盗み続けよう。・・・私と、お前で。一緒に、いつまでも・・・な」

・・・その台詞を聞いたのは、随分と前の話だった。
その頃の俺はただ盗みを働く、悪の泥棒だった。・・・そんな時、女泥棒に会い、一目惚れをした。
朝と夜、何日もの間愛し合って、とある日に彼女はそう言ったのだ。
“私とお前で、正義の名の元に盗もう”・・・と。
それから俺は善の泥棒となったのだ。

こうして、俺たちは今でも盗みを働いている。
仕事の売れ行きは好調だ。・・・たまに少しはヘマもするが、捕まったことは一度もない。
“泥棒に善など、存在しない”・・・確かにこれは否定できない。まったくもってその通りだ。かえようのない事実だ。
だが、俺・・・いや、俺たちにはそんなことなど関係ない。
・・・盗み続ける。・・・これまでも、これからも。二人一緒に。

                               Fin
82 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/21(土) 10:37:14.37 ID:q6pHdWpn0
終わりました。
泥棒ってルパンしか思いつかなかったです。でも書いてて楽しかったです。

私は勉強の旅に戻りたいと思います。夜あたりに戻ってきます。

>>85
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/21(土) 10:40:29.34 ID:e/G0VuQEo
ksk
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/21(土) 10:41:17.52 ID:e/G0VuQEo
ksk
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/21(土) 11:31:31.08 ID:IemqyDkSO
劣等
86 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/22(日) 10:19:50.35 ID:fkbUqMkG0
遅くなりました。
タイトル「劣等の成せる技」

俺は生まれつき、左腕と左手があまり動かない。
医者曰く、左腕と左手を動かす神経が未発達らしく、治ることは現代医学では不可能らしい。
それに、完全な手として形は残っているから、義手は使えない。生まれてからずっと劣等した存在が俺だった。

「男君っ、元気?」

・・・唯一こうして、普通の人間として接してくれているヤツがいるだけ、随分とマシなのだろう。
登校路の途中で、躍動感を覚える長めのポニーテールを揺らして、女が手を振っていた。

「ああ、おはよう。女」

「おはよう!あ、そうだ男君、課題やってきた?」

また忘れたのか。・・・俺は動く方の手でカバンから一冊のノートを取り出し、女に渡した。

「ありがと〜!いつもごめんね!」

女はニコリと微笑み、俺のノートを受け取った。
・・・今日もいい天候だ。気温も暖かいし、柔らかな日差しが、俺たちを見守るようにさしこんでいる。
俺と女は雑談しながら、いつもと同じく学校へ向かった。


授業がある程度終わり、昼休みになった。
最近の昼飯を共にする相棒である、友達と女を探すべく、俺は席を立つ。

「おう、待てよ男!ヘヘヘッ」

・・・移動しようとするところを、柄の悪い連中がそれを制した。
何とも不愉快な笑い声を発しながら、俺の動かぬ左手を掴む。

「ちょっとお話しよーぜ、お話!」

「そうそう、仲良くな!」

俺は抵抗できず、言われるがまま左手を引っ張られ、人が来なさそうな屋上へ連行された。
・・・空はいつの間にかどんよりとした曇り空が広がり始めている。
雲で日差しが遮られ、辺りが薄暗くなっていた。

「男さんよぉ!ちょっと金貸してくれやせんか!?」

「俺たちに恵んでくれよ!」

「ヒヒヒ!」

「・・・」

こいつらはこんな俺の金を貪りにこんな場所まで連れてきたのか。
俺は抵抗する力を持たないことを知って、こんな外道な真似をしているのだろう。俺はそのまま思ったことを言ってやる。

「アンタらは俺みたいな抵抗できない人間から金を取るのか?ただの雑魚じゃねえか」

「あぁ?ナメてんの?」

彼らの今までの態度が一変する。
完全に怒らせてしまったようだ。・・・こういう奴らって怒らせるのは簡単だが、あとが面倒なのだ。
俺は見ての通り抵抗ができないので、必然的に抵抗しないまま殴られ蹴られるのが当たり前である。

「オラッ!」

連中の一人が俺の顔に容赦なく手で穿つ。
俺は殴られた勢いのまま、床に倒れた。

「あーあ。俺らが友好的に接してんのによォ!?お前が悪いんだよお前が!」

倒れた俺を、連中は無慈悲にグリグリと踏みつける。
腹部の痛覚が、明確に俺に痛みを教えてくれた。

「もういいわ、勝手に貰ってくし」

俺の財布の入ったポケットに、連中の一人が無造作に手を入れた。
・・・取るなら取っていけ・・・、二度と目の前に現れるな・・・。

「男ッ!大丈夫か!?」

「男君!ああ・・・!血が出てる・・・っ!」

屋上から階下へ下るドアが勢い良く開けられ、数人の生徒が駆けつけた。
87 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/22(日) 10:46:03.64 ID:fkbUqMkG0
「クソ野郎共!よくも男をッ!」

友人の一人が助走をつけ、不良の一人を勢い良く殴りつける。
不良はその力で床に引きずられるように倒れた。・・・無駄に力だけはあるな。やはり。

「チッ!この・・・ッ!」

不良の一人が悪態をつき、女に殴りかかる。
・・・俺の足は無意識のうちに動いていた。
動かない左腕と、自由に動く右手に力を込める。
左腕は思うように上がらないが、右手はしっかりと俺の意識に呼応し、不良を捉える。

「いっ、いやぁあッ!!」

「うおあァッ!」

女が殴られる既のところで、俺は不良に飛びかかった。不良が倒れた隙を見て、馬乗りになる。
右腕で、先ほどと同じく容赦せずに不良の顔を殴りつけた。
人を殴る感触が直に伝わってくる。
その不良が手に握っていた俺の財布を離した。・・・だが俺は女を殴ろうとしたことが許せない。
俺はさらに二発不良の顔を殴りつける。半ば殺意に近いこの怒りを、その二発に込めた。

「痛えッ・・・!いでぇえっ!!くそォッ・・・!」

最後の不良は、命からがらといった感じで階下へ逃げていった。・・・所詮こんなものか・・・。

「あ・・・男君・・・」

「大丈夫か女・・・怪我とかは?」

「ないけど・・・男君の方がよっぽど酷いケガだよ!ほら、早く保健室に・・・!」

「歩けるか男?・・・ほら、肩貸せ」

・・・。
友人と別れ、女と一緒の保健室、俺は先生の診断を受けて、少し休憩しているところだった。

「殴られた顔と、お腹以外に特に目立つところはないわね。・・・ちょっと女さん、湿布を」

「はい・・・えっと、これですよね・・・男くんちょっと我慢してね、・・・ペタりっと」

冷えた湿布の感覚が、妙に気持ちがいい。
何でこれほど充実感があるのだろうか・・・。たかが喧嘩で。

「ありがとう、男君。助けてくれて」

「・・・どうせ俺は劣ってるんだ。女に怖い思いさせちまったし・・・」

「ううん、男君は劣ってなんかないよ。・・・むしろその逆、あの不良たちより、男君はすごいよ」

「何言ってるんだよ。俺は左手だって満足に動かせない、普通より劣ってるのは一目瞭然だろ」

「その分、男君は優しいよ?いつも宿題忘れる私にノート見せてくれたり、・・・こうやって助けてくれたり」

「・・・」

「聞こえは悪いかもしれないけど、劣っている人だからできる、いいことなのかもしれないと、私は思うよ」

・・・劣っているから成せることか・・・。考えたこともなかった。
例えば目が不自由な人がピアニストになることだってあるのだ。欠点を補うくらいの長所が、必ず存在する。
俺の場合は・・・人格・・・なのか?どうもしっくりこない長所ではあるが・・・。
少なくとも、あの不良たちよりは優れている。
そう言ってくれた女という大切な存在があるだけ、俺に欠点なんてないのかもしれない・・・。いや、絶対に無い。

劣等の成せる技。・・・俺はしばらくしてそのタイトルで本を出してみた。
結果的にその本はベストセラーになり、俺は表彰されるまでに至った。
こうして欠点を持つ俺が、限られた人しか立てない場所に立っている。・・・女はそれを教えてくれた、素晴らしい女性だったのだ。

                                 FIN
88 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/22(日) 10:48:45.18 ID:fkbUqMkG0
終わりました。
正直あまりしっくりこない終わり方で、なんだかあれですね。

昨日に引き続き、私はまた勉強の旅に出かけます。

お題
>>91
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/22(日) 10:49:29.87 ID:M/b4MT9Zo
ksk
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/22(日) 10:49:56.08 ID:M/b4MT9Zo
ksk
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/22(日) 12:17:13.89 ID:DVNHKNOUo
マクスウェルの悪魔
92 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/22(日) 13:10:24.27 ID:fkbUqMkG0
>>91
把握しました。
夜あたりに来れればきます。
93 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/24(火) 19:50:51.65 ID:jSOC0I7N0
ああああ ごめんなさあああい

タイトル「マクスウェルの悪魔のクマ」

故マクスウェルの思想実験、マクスウェルの悪魔。
クマとして生活している俺には関係ないことだが、マクスウェル氏との関係を聞かれればそうでもない。
俺が子グマだった頃、あの人にはよく世話になったものだ・・・。

彼との出会いは今から十数年前。
子グマの俺はその頃既に両親を亡くしており、森をただ一人彷徨っていた。
あの頃は俺に生きがいなど無かった。今でもよく覚えている。

「おや、迷子かな」

嗄れた老人の声。ヒゲを蓄えた白髪頭の老人がそこにはいた。
彼のニッコリとした、暖かな笑顔は、今でも鮮明に蘇る。
子グマといえど、むやみに近づくのは危険だ。彼も充分それを承知していたはずである。
だが、彼は迷うことなく、こちらに歩み寄ってきたのだ。

「・・・もしかして、親無しの子グマかな?」

俺の心を見透かすようなその言動は、熊の俺でも開いた口が塞がらないということを実感できる程、俺は仰天していた。
・・・まあ少しぐらいは世話になってもいいのではないか。
俺は彼に先導され、森を進んでいった・・・。


「むう、肉類が好みなのか・・・それともクマだから魚類か・・・?」

彼の家に着き、俺は部屋を落ち着き無く彷徨いている最中、マクスウェルは戸棚を物色しながらブツブツとつぶやいていた。
俺が落ち着き無く動き回るのは癖だ。新しい環境に慣れるために体を動かしているだけである。

「まあいいか・・・好きな方を食べなさい」

彼がポンと俺の前に放ったのは、調理されてない生肉と魚だった。
恐らくどちらを食べるのかわからなかったのだろう。・・・俺はどちらともいただくことにした。

「はは、まさか全部食べるとは・・・。なかなか食いしん坊だなお前も」

蓄えたヒゲをさすりながら、彼は笑った。・・・それからというもの、毎日餌をもらって、笑い合って・・・そんな日々が続いた。
だから、突然彼の体が動かなくなったとき、俺は何かのジョークかと思っていた。
その頃の俺はかなり大きくなっていたが、彼は気にもとめずに、俺を世話し続けた。前日も元気に笑っていたのだ。きっと今はまだ眠っているに違いない。そうだ。

俺の焦りは、そのまま唸り声となって、周りを騒がせた。
俺はこれ以上迷惑をかけまいと、逃げてきた。・・・もう死んでいる人に迷惑・・・なんていうのもおかしいだろうか?俺としてはそれほどおかしくはないことだと思っていた。

こうして、幾年の月日が流れ、今に至る。
今では子持ちの親熊だ。立派な女房を見つけ、子供も逞しく育っている。順風満帆だ。

俺が生を受けているのも、彼のおかげなのだ。
マクスウェルは、悪魔を生み出したが、同時に俺という陽の存在を養ってくれた。
いつかまた、彼に会いたい・・・。
             FIN 

94 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/07/24(火) 19:54:47.72 ID:jSOC0I7N0
終わりました。
取りあえずマクスウェルの悪魔ということで、熱力学第二法則を思考実験で捻じ曲げたお方の物語です。
あとなんか本文で、思考実験が思想実験になってますが気にしないでください。疲れてたんです。
これから結構くるペースが下がると思いますが、生活がかかっているゆえ、お許しくだしあ。


次のお題

>>97
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/24(火) 19:56:47.34 ID:LAf6eqwMo
ksk
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/24(火) 19:57:32.19 ID:LAf6eqwMo
生活がかかってるとは切実だな・・・

ksk
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/24(火) 19:57:42.10 ID:9M3hW8IPo
砂時計
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2012/07/24(火) 19:57:43.72 ID:gb234qyAO
貴介公子
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/07/24(火) 19:57:58.15 ID:/EaNp/ISO
国際法
100 : ◆0wzOTrvyIs[saga]:2012/08/04(土) 20:00:10.19 ID:cYgwbyK+0
めちゃくちゃ久しぶりです。

タイトル「砂時計の寿命」

横たわる私の前で、サラサラと微かな音を立て、砂時計の小さな砂の粒子が落ちてゆく。
砂の色は私から流れ出る鮮血のように鮮やかな朱色。

「どうだね、死ぬ瞬間が分かるだけ、安心感があるだろう?」

鬱陶しいぐらいに頭にまとわりつく、老人の声。私の血が付着している刃物をぎらつかせ、笑っている。
彼はただのイカレたサイエンティストだ。この“管理された街”の寿命の管理を司っている。
私は管理という拷問にはうんざりだ。見えない手錠で手をつながれているようなものだから。

「まあ、君みたいな危ない思想を持つ輩にはわからないだろうなぁ・・・、人はいつ死ぬか予測ができない。その恐怖の中生きていくのが自然ではないかね」

「違う・・・、人の寿命を平気で操る・・・それが許せないのよ私は・・・」

「何を言うかと思えば・・・、傑作だ。どちらも一緒のようなものだろう。どれだけ生存できるか、管理されていないかされているかの違いだ」

ああ言えばこう言う。これではラチがあかない。
体の体温が徐々に低くなっているのを、私は身をもって感じていた。
体の血液が流れ出してゆき、私の体温を奪っているのだ。

「・・・ッ」

奴は私に背を見せて、だらだらと演説を始めている。
・・・今がチャンスだ。私のほぼ感覚のない腕に力を込める。
すぐそこに転がっている古ぼけた銃に向かって、少しずつ腕をのばす。

「“寿命管理”は今日も順調に進んでいる・・・!誰もこれには逆らえない・・・!」

私の腕は力なく銃を握り締める。
そして、どうせ散る命、最後にこういってやった。

「そう・・・ね・・・ッ・・・今日も・・・・・・・・・平常運行よ・・・!」

彼がカッと目を開いてこちらを見た。だがもう遅い。
正確無比な弾道を描き、銃弾は放たれる。
音速の銃弾が老人の骨と皮だけのような体を貫く。

「ぐは・・・あッ!?」

「・・・・・・」

目の前が完全に黒に染められる。
闇が一面を覆う世界の中、私は何故か安心を感じていた・・・・・・。
あのクソじじいに一矢報いたとか、そういうのではない。
やっと、蜘蛛の巣のような管理から解放されたような、安らぎを覚えたのだ。
こんなに早く自由を手に出来るなら、最初から死ねばよかったのだ。

FIN
101 : ◆0wzOTrvyIs[saga]:2012/08/04(土) 20:03:25.87 ID:cYgwbyK+0
終わりました。

砂時計って言うとなんだか砂を入れられた分だけしか時を測れない、といった一種の管理に置かれてるイメージがあったので近未来で管理された世界的なストーリでお送りしました。
テーマである砂時計は少ししか出てませんでしたが、砂時計がこの世界で言う管理された人の寿命です。

>>105
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/04(土) 20:04:25.62 ID:pUNlGLaYo
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/04(土) 20:09:16.55 ID:DWtta30Ko
おひさーで乙ー

「砂時計」だからほのぼの路線価と思いきやそんな事はなかつた

ksk
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)[sage]:2012/08/04(土) 20:10:24.81 ID:UUULOD8V0
拳士の頂
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/04(土) 20:13:04.67 ID:DWtta30Ko
電撃戦
106 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/04(土) 20:14:04.18 ID:cYgwbyK+0
トリップ間違えてた・・・

電撃戦で把握しました。
107 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 18:01:35.73 ID:ZEOgtqUz0
電撃戦は戦略の一種ということですが・・・敢えてここはこれにしました。

タイトル「超電磁砲の夢」

「あー・・・眠い」

そう呟いて、私、御坂美琴は重力に身を任せ、柔らかなベッドに身を投げ捨てる。
ボフっ、と少々重たげな音が鳴って、体重でも増えたのだろうか?と少し不安になるがどうでもよかった。

「お姉さま、またですの?夜遊びも大概にして、ワタクシと・・・」

今は変態黒子の相手をするのも面倒だ。私の意識は次第に夢の世界へと落ちていった。

「まあ、黒子はいつも見ていましてよ・・・」

意味深な発言だが、その時既に意識は夢の彼方。聞こえるわけもなかった。

――――

私は草原に寝そべっていた。
眩しくもなく暗くもない黄昏の空が、心地よい風で私を迎えてくれる。

「・・・ここは」

よく、それが夢である、というようなことが分かる台詞を吐くアニメなどがあるが、そんなことはありえるとは思えない。
そういったわけで、私にはこれが夢だとは認識できていなかった。

「随分と綺麗な場所・・・なんだか落ち着くわ」

私はしばらく空を眺めることにした。どうせ誰にも邪魔されないのだから、好きなだけさせてもらおう。
ゆっくりと漂う雲と、夕暮れ時のやわらかな日差し。
何とも心洗われるではないか・・・。私は晴れた気分になった。

「わーこんにちは、とみさかはみさかは挨拶してみたり」

「・・・?」

誰だコイツは・・・。
私に瓜二つな背の小さい子供が、寝そべっている私の顔を覗き込んで言った。
挨拶されたようだし、私も挨拶で返すことにした。

「こんにちは」

「こんなところで何やってるんですかー、とみさかはみさかは聞いてみたり」

「いや、ちょっとね・・・」

「そうですか、とみさかはみさかは察してみたり」

なかなか語尾に癖のある子だ。そう簡単には忘れまい。
私は上半身を起こして、遠景を眺めてみた。
そよ風に森の木がざわざわと音を立て揺れている。

「ここは気持ちがいいところよね」

「そうですよ!とみさかはみさかは・・・」

「あ、うさぎじゃない」

「最後まで聞いてくれない、とみさかはみさかはしょんぼりしてみたり・・・」

私は無性にそのうさぎを追いかけたくなった。
素早く身を起こして、駆け出す。
うさぎは案の定逃げ出す。

「待ちなさいっ!絶対捕まえてやるわ!」

「あなたの行動は突然すぎて理解できない、とみさかはみさかはびっくりしてみたり!!」

「なんでついてくんのよ!」

「禁則事項です、とみさかはみさかは真似してみたり」

「ま、いいわ!」

晴れた気分で何かに夢中になるって、こんなに素晴らしいことだったのか・・・。
私はどこまでもどこまでも、そのうさぎを追いかけていった。森に入り、途中の池を通り過ぎ、道なき道を草をかき分け進む・・・。

108 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 18:03:07.38 ID:ZEOgtqUz0
「お姉さまっ!お・ね・え・さ・ま・っ!!」

「うーん・・・うさぎ・・・」

「・・・なんだか起こすのも悪い気がしますわ・・・しょうがありませんわね、私が代わりに言っておきますわ」

「・・・兎肉・・・」

「さっきまでのほほんとしていた気分が一瞬で破壊されましたわ」

とはいえ、彼女の寝顔は、どこか笑みを浮かべている。・・・安らかな寝顔だ。
その寝顔は、多分今日一日変わることはないのだろう。
FIN.
109 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 18:06:11.59 ID:ZEOgtqUz0
終わりました。
結構眠たい中書いていた作品だったので、表現がおかしいところがあるかもしれませんがお許しを・・。

電撃戦ということで、本来の意味は、機動力を持つ部隊が戦線を素早く突破して指揮系統を混乱させ敵を倒す戦法のことです。
しかしどうしても電撃戦というと、あの超電磁砲のお方が頭に思い浮かぶわけでございます。お堅い展開を期待されていた方は申し訳ございません。

ちなみに超電磁砲の方はほぼうろ覚えです。まだ漫画1巻とアニメ数話しか見てないのです。ごめんなさい打ち止めとか全然わからないです。
110 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 18:06:53.10 ID:ZEOgtqUz0
おっと安価を忘れた)^o^(

>>113
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/08/09(木) 18:28:37.12 ID:mnzu+4PAO
分度器
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/08/09(木) 18:44:22.61 ID:mnzu+4PAO
えぇ〜、『電撃戦』だから戦野に広がるは鋼鉄の騎士、我が口に広がるは泥濘と鉄錆の如き血の臭い……って感じかと思ったのに

安価はトランジスターグラマー
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/08/09(木) 18:46:32.25 ID:1owczU+SO
怪獣から逃げる市民たち
114 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 19:43:39.67 ID:ZEOgtqUz0
>>112
もう本当許してください。途中までは良かったんです。なのに頭でトーマとみさかが戦ってるんです。

>>113
承りました。結構楽しそうです。
115 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 19:56:21.97 ID:ZEOgtqUz0
タイトル「崩壊の魔人」

199X年―。
世紀末を襲った謎の生命体の襲来は、多くの犠牲を払いながらも人間の勝利という形で終わりを告げた。
しかし、それは崩壊への序曲に過ぎなかったのは、誰にも予想がつかなかっただろう。

――

時は過ぎ去り200X年。勝利の見返りとして手に入れたつかの間の平和を、市民たちは楽しんでいた。
比較的被害の少ない地域に人口が集中し、かつての超過密地域であった東京は今や瓦礫の山である。

「パパぁ、あれ何?」

俺の娘が、無邪気にそう問いかけてきた。
この子は崩壊の中、懸命に守り抜いてきた今は亡き妻と俺の子供だ。

「ああ、どれだい?」

「ほら、あのお山みたいなやつだよー、うごいてる!」

「え・・・・・・ッ!?」

遠くに見える、その異形のシルエットは忘れもしない・・・!
・・・死んだはずの・・・悪魔ではないか!
俺は目を疑った、もう少し目を凝らしてみると、周りには小さな何かが飛んでいる。

「・・・逃げるんだ・・・」

「え?パパ?」

「逃げるんだ!!」

俺は娘を抱えたまま、そのまま全力疾走。どこへ向かおう、なんてことは気にしていない。
奴にとって「どこへ逃げよう」とは「どこで殺そう」と同義なのだ。
ただ、逃げて逃げ続けるしかない・・・!


程なくして、全国的に警報が発令された・・・。

つづく
116 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/09(木) 20:27:12.22 ID:ZEOgtqUz0
「荷物をまとめた?必要なものは持ったかい?!」

「う、うん、だけどパパ・・・、どうしたの?」

「あまり時間はないんだ、遠くに逃げなきゃ、ここはじきにめちゃくちゃになる!」

あまり娘を脅かしたくなかった。だが、明らかに不信感を抱いている。
俺はやんわりと理由を説明する時間もないので、車の鍵を取り、外へ出た。

・・・、外はまさに阿鼻叫喚。怯える声や、何か怒鳴り散らす声。
初めての出来事に娘も怯えに震えている。

「パ・・・パパ!」

「・・・・・・なあ」

俺はできるだけ優しく声をかけた。

「もし、今パパと別れろ・・・って言われたら、できるかい?」

「・・・ううん、絶対無理だよ」

「パパも同じだ。・・・こんな可愛い娘と別れるなんて、絶対無理だ」

「うん・・・」

「今、パパたちのすぐそばに、パパたちを別れさせようとしてるお化けがいるんだ」

「えっ・・・?!」

「パパは絶対別れたくない。・・・だから、黙って付いてきてくれるかい・・・?」

「・・・うん」

「いい子だ」

俺は最後に自転車を車体に横倒しで載せ、車のエンジンをふかす。
・・・遠くだ。遠くに逃げろ・・・!
表面の冷静な面持ちとは別に、俺は内心焦っている・・・。
渋滞に巻き込まれないうちに、ここから離れるのだ。
俺はアクセルを全開にし、道路に躍り出た。
タイヤが甲高い音を立て悲鳴を上げるが、俺はアクセルを踏み続けた。
幸運なことに、道路はかなり空いていた。今日が平日の昼間だからだろう。
瞬間的にかかる加速のGで、体がシートに押さえつけられる。
あの化物は、まだ遠くの郊外地域を襲っているが、いずれにせよ、ここには来るのだ。

「しっかり掴まってるんだよ!」

上り坂を、アクセル全開で登ってゆく。上り坂が終わると同時に、フワリと一瞬宙に浮くような感覚。
車のサスペンションが軋み、衝撃がダイレクトに伝わってくる。
怯んでいる暇はない。ハンドルを右に回し、急カーブ。タイヤが白煙を上げて叫ぶ。
そしてひたすら直進。窓を開けて叫びたいくらいだ・・・!
いつの間にかハンドルは手汗で濡れており、かなり滑りやすい状態になっていた・・・だが、知ったことではない。
逃げて、逃げ続けるのだ。

しばらくして、俺と娘は街を出た。
あとからカーラジオで聞いた話だが、あの街は壊滅してしまったようだ。
空軍の攻撃も虚しく、全く歯が立たなかったそうだ。
それもそのはずだ。以前も人類の攻撃は全く効かなかったのだから。
なら何故、葬りさることができたのか。・・・マグマである。
あの化物をマグマに落とすことで、人類は平和を取り戻したはずだ。・・・もう一度、マグマに落としてやればいい。
そうすれば、多少の時間稼ぎかもしれないが、平和を取り戻せるのだ。

・・・夜の高速道路は、やけに不気味だ。
車一台もおらず、やけにスイスイと走れてしまっている。
まあおかげで遠くに逃げ延びることができるのだから、嬉しい限りだ。

「パパ、お腹すいた・・・」

「ん?・・・あ、ああ、そこの茶色の大きいカバンにカンパンってやつが入ってるよ、パパの分もとってくれるかい?」

「うん、はい!」

今まで緊張感で、空腹なんて忘れていた・・・。今になって腹から虚しくグゥという音がなっている。
俺は娘から受け取ったカンパンをかじりながら、夜の高速道路を突き進んだ・・・。
取りあえず目指すのは海外である。最寄りの空港へ行くのだ。

つづく。

お風呂行ってきます。
117 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/08/24(金) 08:19:02.58 ID:d5cUt+1Q0
空港に着いた。
幸いなことに今は人も疎らで、それほど混雑もしていないようだ。
逃げるなら今のうちだろう。

「パパ、飛行機乗るの?」

「ああ、飛行機に乗ってパパの友達の所へ行くんだよ」

これは本当だった。
カナダには俺の古い親友がおり、以前の襲撃で行動を共にした奴だ。
困ったことがあればいつでも来い・・・。なんて頼もしいのだろうか。
俺は小奇麗な受付カウンターに並び、カナダ行きのチケットを受け取る。
これでしばらくは大丈夫だろう・・・。ようやく俺は安堵のため息をついた。
緊張にこわばっていた筋肉の力が解放されるように、妙な脱力感が俺にのしかかった。
あと30分もすれば出発だ。それまで休むとしよう。
俺は最寄りの椅子に座り、目を瞑る。視界が黒く染まり、意識がだんだんと遠のいて・・・。

「う、うわあぁああぁッ!?」

突然聞こえた男性の悲鳴。俺の遠のいていた意識は引っ張られるように、現実に戻る。

「・・・!?」

そこには異形の形をした・・・昆虫だろうか。
簡単に言えば、人間サイズぐらいの蚊といったらわかりやすいだろうか。
それが2〜3匹突如として現れた。何の前触れもなかった。
無意識のうちに、俺は娘の手をとった。

「パパ!?」

「ッ・・・!」

俺は何も言わず、娘の手を取り飛行機の搭乗口めがけて駆け出した。

絶望がその場を一色に染め上げる。
虫の左腕と右腕にそれぞれついている、鋭い爪が、容赦なく周りの人間を赤く、染め上げる。
118 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/09/05(水) 20:07:15.44 ID:dK/F3CD+0
おたませ。なかなか完結できないので試行錯誤の末・・・


耳障りな虫の羽音が絶え間なく聞こえる。虫嫌いの人にとってはこのうえない地獄絵図だろう。
そんな悠長なことを考えている暇はない。今は逃げ延びるために搭乗口へ向かわなくてはならない。

娘の小柄な体を背中でおぶり、俺はただ足を動かす―。

「ッ―!?」

声にならない絶叫が、俺の口からかすかに漏れた。
俺と娘を睨みつける禍々しい巨大な昆虫が、ちょうどハチの針を巨大化させたような鋭い針で俺と娘を貫いたのだ。

俺の胸部をそのまま貫通し、娘の可愛らしい頭部を貫く。
激しい激痛よりも、娘が殺されたという衝撃的な事実のほうが、はるかに俺の中で勝っていた。

「ァ・・・・・・嘘・・・だ・・・・・・ろ・・・・・・・・・」

叫び。しかし、嘘ではなく現実なのだ・・・。
胸の激痛が、俺を今頃になって襲う。胸に灼熱の炎を食らったようだった。

手が弱々しく娘の無残な死体に触れる。
冷酷な死の冷たさ。これが、もう少しで俺にも訪れるのだ。

俺は最後の力を振り絞り、仰向けになる。この行為自体に特に意味はない。
だが・・・俺には意味があった。

天からの迎え。優しく微笑んだ、いつか死んだ彼女が、ゆっくりと迫る。
それはまさに神々しいという言葉が妥当だった。
背中に光を背負った八百万の神のようだ・・・―。

俺たちは、やはり滅ぶ運命にあったのだろうか・・・?
俺たちは、幸せをこうも簡単に奪われるほど、弱い存在だったのか・・・?

今、死んだ今となっては、どうでもいいことだった・・・。
119 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/09/05(水) 20:08:26.12 ID:dK/F3CD+0
終わりました。 DEAD END

ずぅーーーーーーーーっと待たせてしまって本当ごめんなさい。今まで忙しかったのです。


>>122
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/05(水) 20:09:13.79 ID:NfuSUoxBo
おひさー

ksk
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/05(水) 20:11:24.53 ID:NfuSUoxBo
ksk
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/09/05(水) 20:11:33.32 ID:3MIQcSwW0
ショタコン痴女とショタ
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/09/05(水) 20:12:46.03 ID:raggscjF0
剣で出来ている正義の味方が逆行
124 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/09/05(水) 20:22:10.84 ID:dK/F3CD+0
>>120
お久しぶりです。今まで本当ごめんなさい。

>>122
久々のエロいただきました。 頑張ります。
125 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/09/05(水) 20:39:32.03 ID:dK/F3CD+0
タイトル「魅惑の放課後」

「せ・・・先生・・・っ」

「ん・・・むぅっ・・・・・・・ちゅぅっ・・・・・・・んはっ・・・なぁに?男君?」

「やっぱり・・・だめだよこんなの・・・・」

彼は私の教え子。現在小学5年生。
最近よく宿題を忘れるので、放課後に少しだけ注意しようかと思って残らせておいた。
そして私が職員室から戻ってくると、彼は教室のど真ん中で堂々と自慰の最中。
それを私が今、可愛がってあげている。・・・いきさつを簡単に説明するとそんなところ。

「男くんが宿題出さないのが悪いんでしょう?・・・それに教室であんなことしてるなんて、先生がっかりよ・・・・・・はむっ・・・」

「あひぃっ・・・・!ごめんなひゃぁ・・・・・・ぃッ!」

随分と可愛い声で喘ぐ・・・。これまた鼻血噴出レベル。
まあ、私は俗に言うショタコンというやつで、彼はまさに私の趣味にぴったりと当てはまる人物なわけだから、襲わない手はない。
こうして宿題を口実にしてやろうと思っていたけども、男君が自慰してたおかげでさらにやりやすくなった。

「ん・・・ちゅむ・・・・・・」

「ひあぁ・・・!・・・先生やめへぇ!なんか出・・・っ!」

突然彼のアレが脈打つと、私の口内に子供らしく少量の精液を撒き散らした。
口の中にかなり独特な風味が広がる。

「ふぁ・・・あぁ・・・ッ・・・」

「女の子みたいね、男君は・・・・・・これで懲りたでしょう?ちゃんと宿題やってきてね」

「・・・ふ・・・ぁい・・・」

弱々しい返事だったが、取りあえず私は満足した。・・・この後のことを考えていなかったからだ。

――

翌日・・・。
今日は宿題の提出日だが、男君は勿論宿題出すだろうなぁ・・・と思っていたが今日も彼は何も出さなかった。白濁液だけはいっちょ前に出すのに。
・・・多分私が悪かったのだろう。罰としてフェラなんて何考えてるんだろう。・・・今度筆おろしでもしてやろうか・・・。
性的な快感が病みつきになり、彼はさらに宿題を出さなくなってしまったのだった・・・。
私はかなり満足だからそれでいいのだけども。

FIN
126 : ◆Er92JFIrVc[saga]:2012/09/05(水) 20:41:22.12 ID:dK/F3CD+0
終わりました。オナ禁中に書いたせいか妙に息子がギンギn(ry
書いてる途中に思ったんですが、俺にはショタコンの素質がないようです。でもおねショタっていうジャンルは好きですよ。


>>129
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)[sage]:2012/09/05(水) 20:43:36.46 ID:B0muCvZAO
ksk
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2012/09/05(水) 20:43:58.72 ID:zpOH6qVW0
加速ですの
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2012/09/05(水) 20:45:43.63 ID:NfuSUoxBo
ピースメーカー



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