◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:46:13.99 ID:1pLG7N/mo<>カードファイト! ヴァンガードのSSです。アニメや漫画のキャラは登場せずユニットと主人公の話になります。
【注意事項】
・舞台は惑星クレイとなりますが、オリジナル設定が根底にあります
・ユニットの性格・役職などは勝手なイメージを押し付けます
・作者はスレを立てるどころかSSを投稿するのも初めてで、至らない点も多いと思います。なんかやっちまってたらご忠告頂けると助かります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1335030368(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
<>男「惑星クレイでカードファイト」【ヴァンガード】
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:47:50.02 ID:1pLG7N/mo<> 地球によく似た惑星クレイ。その惑星に住む生命、ユニット達を導く先導者(ヴァンガード)となり、敵と戦い勝利する。
ヴァンガードとは、そういう設定のカードゲームだったはずだ。
男(いやいやいや。これは夢じゃない。イメージでもない。現実だよな)
目を覚ますとそこは城――玉座の真ん前だった。
寝惚け眼の男の視線の先には、見覚えのある男の姿が。
アルフレッド「よく来てくれた。異界の盟友、我らがヴァンガードよ」
騎士王アルフレッド。カードゲーム、ヴァンガードの設定における一国の王だ。
男(おいおい、カードにのめりこみ過ぎてとうとうおかしくなっちゃったか俺? 騎士王マジイケメン)
<>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:49:42.24 ID:1pLG7N/mo<>
〜〜〜〜
男「……つまり、俺は領土戦争の為にこの惑星クレイに呼び出されたと。で、ロイヤルパラディンの、その、ヴァンガードというのになれと」
アルフレッド「うむ。先導者殿は我らの呼び掛けに応えられた。同志として共に戦おう」
男(そういや夢の中でエレインちゃんprprとかやってた気がする)
男「あの、そもそもどういう事なのかまだよく分かってないというか……」
男の戸惑いに、騎士王は泰然と笑みを浮かべて向かい合った。
アルフレッド「それを説明する役目は私のものではない。ただクランの代表として先導者殿に挨拶するのがしきたりのようなものでな」
言葉尻に重なるように、騎士王が男の肩越しにその向こうへと目を向ける。視線に釣られるように振り向けば、開け放たれた扉の向こう、手を体の前で絡め控えめに佇む少女がいた。
若葉色の髪につんと尖った耳――エルフの少女だった。
アルフレッド「君をこのクレイに召喚した巫女だ。名はエレインという」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:50:25.00 ID:1pLG7N/mo<> 男(エレインちゃんprprprprprprprprprpr)
アルフレッド「彼女は此度の先導者殿を導く役目を持つ」
男(え、何? 何その胸のわっか? 誘ってんの? この俺を誘ってんの? とんだ淫乱エルフだ!)
アルフレッド「君が知りたい事の答えは、私よりも彼女の方が詳しいだろう」
男(あぁー、足の間に首突っ込みたい。あのヒラヒラの奥に広がる景色が純白の輝きか、漆黒の闇か確かめたい)
アルフレッド「まずは、彼女に部屋を教えてもらうのがよいだろう。騎士の宿舎の一室を先導者殿の部屋として空けてある」
男「……rpr」
アルフレッド「えっ」
男「えっ」
アルフレッド「……今、何か?」
男「いえ、なんでもありません」キリッ <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:50:56.68 ID:1pLG7N/mo<> 騎士王の疑いが募る前にと、男は立ち上がり扉に向かう。その表情はあらゆる疑惑を邪推に変える鉄壁の堅物っ面であった。騎士王には背中しか見えていないが。
失礼――無駄にイケメンな声で退室を告げる。冷や汗をかきながら。
男(危うくリミットブレイクするところだった……ダダ漏れにならないようにしなければ)
騎士王からは追及も非難もなく、ただ労いの言葉がかけられた。心の中でだけ胸を撫で下ろす。
目の前には暴走の原因、エレインがいる。なんとか気持ちを落ち着け、出来る限りの力で最高の笑顔を作る。
男「君が色々教えてくれるんだよね?」ニコッ
エレイン「申し訳ありません先導者様。聞こえていました」
男「」
エレイン「ぺろぺろ……とは、何でしょう」
男「」
絶望であった。ただ、絶望であった。
惑星クレイでの青春が終わった瞬間である。男は回想する――クラスで人気のあの子に告白し玉砕した日を。「え、きもちわるい……」と言われた失意の日を。
男「う、おおぉおぉお……」
エレイン「せ、先導者様……?」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:51:31.43 ID:1pLG7N/mo<> ダメージ、甚大――だが何とか誤魔化せと男の中の冷静な部分が告げる。エレインは意味が分かっていなかった、ならば、どうとでも言える。
てめぇの身体を舐りまわしたいんだぜへっへっへという気持ちを一かけらたりとも表情に乗せず、今一度最高の笑顔を形作る。頑張れ虚勢。
男「ぺろぺろとは……そう、俺達の地球で『貴方は可憐ですね』という意味だ!」
嘘は言ってない、嘘は。
エレイン「では、インランというのは……」
男「男性の視線を引く、とても美しい方という意味だ!」
エレイン「純白だとか、漆黒だとか……」
男「貴方の事をもっと知りたいですという意味だ!」
なんという事だ、出し抜けに畳みかけるようにナンパする男になってしまった――どうにも居心地が悪そうに一歩下がるエレインに笑顔を向けながら、男の絶望はさらに深まる。
男(あぁ、エレインちゃんやっぱこういうのに慣れてないんだなぁ汚れないなぁマジ萌える)
現実逃避であった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:51:57.52 ID:1pLG7N/mo<> エレイン「……では、こちらへ」
ふいと顔を背けるエレインの頬が赤かったのは、やはりそういう事に慣れていないからだろう。心なしか距離も空けられている気がする。
これだけで嫌われはしないだろう。だが少なくとも気軽に話す事は難しくなってしまった。
男(prprとか考えなきゃよかった……)
〜〜〜
エレインに連れられて城の外へと出ると、そこは正門ではなく裏手の方のようだった。所々で木剣を振るう屈強な戦士や、獣を指揮する人々の姿が夕日に照らされている。
俺は本当に惑星クレイに来たんだなぁ――男は実感しながらエレインの背を追って行く。彼女はあれから一度も振り向いてはくれない。
エレイン「先導者様がお住まいになる騎士宿舎は城下にあります。もう少しで着きますので」
男「ちょっと気になってたんだけど……城の中に客用の部屋があったりしないのか?」
いや、別に不満がある訳じゃないんだけどさ。そう付け足す間に城壁の裏門を抜けた。
石造りの街並みが目に飛び込んできて、今更ながらにくらくらした気分になる。
エレイン「確かに、先導者様に快適に過ごしていただくなら他にも部屋はありましょう。しかし貴方の使命、その為には騎士達との距離が近い方が都合がよろしいのです」
男「と、いうと?」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:52:24.05 ID:1pLG7N/mo<> エレイン「先導者――ヴァンガード達の戦いとは、即ち我々クレイの住民(ユニット)を象った札により優劣を定める儀式」
男(え、カードゲームなの?)
エレイン「その札となった時の自身の能力など、我々は把握していません。なので先導者様には自身の率いる部隊(デッキ)の全てを選択する義務と権利があります」
男(え、なんかややこしい)
エレイン「つまり……先導者様は騎士を一人ひとり見定め、自身の部下として認めさせる事が必要となります」
エレインの言葉を噛み砕いて考えるとつまり、男はヴァンガードというカードゲームを、本場も本場の惑星クレイで行わなくてはならないようだ。
それもカード集めはパックを買ってはい終わりではない。ユニット達と交流を深め、共に戦う事を認め合わなければならない。
男(……あれ? ちょっとまて)
先を歩く背を見つめ、そして思い至る――ヒールトリガー。デッキにとってほぼ必須。なければないで組めない事はないが、勝率は確実に落ちるだろう。
つまり……男個人の心情の為だけではなく、ヴァンガードファイトという領土戦争に勝ち抜くためにもエレインとの仲を深める事が必要となったのだ。
男(ど、どないせぇと)
勝利の為だと頭を下げれば聞いてくれそうなタイプだが、それは最終手段だ。そんな事をしてしまえば余計にギクシャクしてしまう。
部下になるというのに話しづらいのも嫌だし、やはり正攻法で仲良くなるべきだろう。
男(……明日考えよう)
男は考える事をやめた。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:52:57.45 ID:1pLG7N/mo<> エレイン「着きました。こちらの105号室が先導者様の部屋となります」
辿り着いたのは、城から少しの所にある洋館風の建物である。辺りを見れば小奇麗な建物が多いように感じた。
後から聞いたところによれば、この辺りは役所などの施設が固まった地区らしい。城に近い場所なので道理だ。
男「ありがとう、エレイン」
エレイン「……明日は別の者がお迎えにあがると思います」
エレインは最後まで顔を見せずに去っていった。出来るだけ気にしないようにし、両開きの扉を開く。
そこはエントランスだった。ふと振り向いて壁を見ればそこにはポストがある。101から109、それに201かえあ209号室。全部で18室か。
左右に位置する螺旋階段を登れば吹き抜けになっている二階に通じているようだが、自分は105号なので関係ない。階段の脇を通り抜け、その扉を開く。
そこにあるのは執務机とベッドが一つ。窓は夕日とは逆になっているようで、淡い程度の光が机の上を照らしていた。
男「……寝よう」
とりあえず、何も考えたくない。考える余裕がない。男は何も気にせずベッドに飛び込んだ。
〜〜〜
チュンチュンと小鳥が鳴き交わす。朝日が大窓から差し込み、男の眠るベッドも明るく照らした。
遠くで響くのは鼓笛隊の演奏か。鋼の音は騎士達の剣戟か。犬の遠吠えなども聞こえる気がする。
男「……あと、五分」
お約束を果たしたところで――男の部屋の扉が、勢いよく開け放たれた <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 02:53:25.46 ID:1pLG7N/mo<> 今日はここまで。
一応展開は考えていますが、希望があれば出来るだけ沿いたいと思っています。ゆるい安価スレみたいなノリでデッキ作っていくのが一応の理想。
初スレなので更新間隔はどうなるか分かりませんが、質より早さでやっていきたいなと。とりあえずヴァンガードSS流行れ! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<>sage<>2012/04/22(日) 05:26:15.91 ID:Hg64odOAO<> そんなことよりデュエルしようぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/22(日) 07:16:15.27 ID:e21K1UGDO<> ヴァンガSS記念パピコ <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 16:30:06.83 ID:1pLG7N/mo<> >>11
ヴァンガードファイトしようぜ!
という訳で投下します
???「起きなさい、起きなさいったら」
べしべしと頭を叩かれる。甲高い少女のような声音が耳を突き――次の瞬間、顔に鋭い痛みが奔った。
男「いだー!」
飛び起きる勢いでその手をはねのけ、痛むこめかみの辺りを押さえる。
男「ちょっ、ちょっ、どうなってんの!?」
???「はい、鏡」
男「あんがと!」
差し出される手鏡の柄を握ると、なんだか粘り気のある液体の感覚。しかしそんな事に構っている場合でもなく、鏡に自分の姿を映す。
デコには、見事なひっかき傷が出来ていた。
男「……ッ!?」
戸惑いのまま振り向くと、そこにはやはりカードの中で見覚えのある姿。ピンク色の毛並みに、人間で言うツインテールに髪(?)を結った獣。
ハイドッグ、ふろうがるだった。
ふろうがる「先導者さんは寝坊助ね。そんな事でやっていけるの?」
男「スタンドトリガーにスタンドさせられた……」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 16:30:37.55 ID:1pLG7N/mo<>
〜〜〜
男は考えていた――自分が何をするべきかという事を。
極端な事を言えば、自分にロイヤルパラディンの為に戦う義理はないのだ。そしてあくまで自分本位な考えで行くならば、なによりも優先して帰る方法を探したいところ。
惑星クレイもいい所だが、やはり生まれ育った地球に帰りたい。というか、家族と近代文化が早くも恋しい。
ので、聞いてみる。
男「なぁ、俺って帰れるのか?」
ふろうがる「義務さえ果たせばね」
宿舎の前の通りで伸びをしながらふろうがると話す。どうやら騎士達はとうに登城しているらしくこの場にはふろうがると自分しかいない。
彼女は昨日エレインが言っていた案内役らしい。城の人々にはエレインよりも顔が利くのだそうだ。それもどうなんだ犬。
男「義務って言うと、例の戦争って奴?」
ふろうがる「そう、先導者はその勝敗にかかわらず呼ばれた理由さえ果たせば帰る事が出来るわ。まぁ、私達としては勝ってもらわなきゃ困るんだけど」
条件ははっきりした。別にカードで戦うのならば危険はないだろうし、やってもいいだろう。
昨日は状況が呑み込めずに混乱していたが、少しは気持ちが落ち着いた。ようはこの惑星クレイでユニット達と仲良くなり、その上で一回カードをすれば片が付くのだ。
ふろうがる「とりあえず、城に行きましょ。騎士を見繕わなきゃいけないんでしょ?」
男「あ、うん。まぁ……」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 16:31:39.75 ID:1pLG7N/mo<> ふろうがるの後に付き、昨日の道を逆に辿る。
さて、とりあえずヴァンガードをするとなれば必要なのはデッキである。そしてカードを集める為にはユニット達と仲良くなる必要がある。これがどうにも厄介だった。
男(例えばスタンドトリガーはこのふろうがる以外にもシャロンと小妖精の鼓笛隊があるが、シャロンは難しいだろうな)
鼓笛隊はともかく、静かなる賢者シャロンは数々の試練を突破しなければ会う事も出来ないだとかそういう設定があったはず。つまりシャロンの入手にはかなりの努力が必要という事だ。
他にも守護竜であるソウルセイバードラゴンや、王であるアルフレッドをデッキに加えるのは難しいだろう。
男の知る限りロイヤルパラディン最強のデッキの軸であるマジェスティロードブラスターはそもそも存在しているかどうかが怪しい。設定から言って戦争の末期に現れるのではないだろうか。
男(しかもそう全部効率よくデッキに最適なカード集められるとは思えないし……汎用性あるカードか、纏めて仲間にできる状況で呼び掛けた方がいいよな)
最低限必要なカードはFV(ファーストヴァンガード)となる一枚と、トリガー16枚。それに各グレードのカード。
バロミデスやガラハッドのように複数のカードに跨っているユニットがどうなるかは分からないので、出来れば安牌を狙っていきたい。
男(どこのどいつかは知らんけど、相手も同じ条件でやってるんだ。ジエンドだのなんだのが飛び出す事はないだろうし、やれるだろ)
そうこう考えている内に城に着いた。裏門から入れば、昨日と同じように訓練する人々や獣の姿が見える。
違う所と言えば彼らを照らすのが夕日から朝日に変わった事ぐらいだ。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 16:32:13.59 ID:1pLG7N/mo<> ふろうがる「……さ、どうする?」
男「いや、どうするって……どうするんだ?」
ふろうがる「知らないわよ。先導者さんがどんな部隊(デッキ)を作りたいか、それ次第ね。一応名前を言ってくれれば案内は出来ると思うけど」
男「ふぅむ」
ふろうがる「あ、でも騎士は前線に出てる人とかも多いから、どうなるかは分からないわよ。まぁその駐屯地とかに行けば随伴の騎士もいるだろうし遠征って言うのもありだけど……」
困った。
なんというか、道筋がない。何をやってもいいというと迷ってしまう。やはり初めはおとなしく「ギャラティンさんチーッス!」しておくべきか? というかそのノリになりそうだからむしろ会わない方がいいのか?
男「……なんかこう、騎士王とか駄目っすかね?」
ふろうがる「……いや、案内するのはいいけど、交渉するのはあんた自身だからね?」
男「oh...」
ふろうがる「騎士王様ってば人がいいから、頼み込んだらもしかしたら戦ってくれるかもしれないけど」
とりあえず騎士王の件は保留にしておく。あまり上策ではない事は確かだった。
男(さてならばどうするかとりあえずG(グレード)3から集めるか? いやでも気楽に話せるのってケツアゴさんとかちょうちょさんとか微妙なのしか思いつかねぇ……)
???「うわーん、ふろうがるー!」
いきなりの背後からの声に驚き、飛び上がる男。その間に一人の女が赤い髪をなびかせ、男の脇を通り抜ける。
そのままふろうがるを抱き上げ、涙目で頬ずりし出すその女は…… <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 16:33:04.88 ID:1pLG7N/mo<> ふろうがる「はいはい、アカネ。今度はどうしたの?」
男(アカネちゃんprprprprprprprprprprpr)
アカネ「ガラハッドさんがまた盗んだどらんがるで走り出した―! セイランさんに怒られる―!」
男(え、何その腋のガードの甘さ? ノーガード? ノーガードですか? よーしパパ張り切ってペロペロしちゃうぞー)
ふろうがる「また放浪し出したの、あの男……先導者が召喚されたって言うのに……」
男(ベルトを引っこ抜きたい。ずり落ちるズボンを必死に押さえながらも鞭を手放さずに困った顔するアカネちゃんが見たい)
アカネ「うん、だからこそ試練が必要だとか言って……って、え、あれ、この人が?」
男「p……ペットブリーダーさんこんにちは!」
何とか誤魔化した。胸を撫で下ろす。
が、その言葉にアカネは髪を振り乱して怒る。胸にふろうがるを抱いたまま。
アカネ「ペットじゃないよ! ハイドッグ達は時に人より賢く鋭く強く、何より信頼を旨とする何よりも確かな私達のパートナーなんだよ!」
男「え、あ、ごm」
アカネ「それをペットって! ペットって何さ! ペットってあれだよね保護者と保護される側の関係だよね! 違う違う違うんだよ! 貴方は何も分かってない」
男「あの、えtt」
アカネ「例えばそう、このふろうがる! この子は嬉しい時も辛い時もセイランさんに怒られた時も全て分かち合ってきた私の親友! 対等! 絆パワー!」
<>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/22(日) 16:33:49.43 ID:1pLG7N/mo<> ふろうがるの目が言っていた――『ごめん、こういう子なんだ』。
男も目で答えた――『あぁ、こういう子なんだな』。
アカネ「ハイドッグに何かを求めるのならば、自身が求められるようなブリーダーにならなければならない! だから私は……」
男(な、なんか語りだした……ッ!? やばい、こいつはクレイジーだ。いくら見た目がエロかろうがデッキに入れづらい……!)
ハイドッグブリーダーアカネ――そのカードの能力はハイビーストをコールする事。ハイビーストを主軸にデッキを組むならば入れたい所ではある。
しかしハイドッグで有用なカードとなれば……と考え、男は気付く。
男(……! ばーくがるだ)
地球のヴァンガードではFV禁止の措置が取られている強力なカード、ばーくがる。だがこの惑星クレイにそのようなルールが存在するのだろうか。
分からない、だが一考の余地はあるだろう。
男(初めに探すべきなのは……やっぱり、ばーくがるかな)
アカネの講釈が天高らかに響く中、男のデッキ構築が始まろうとしていた。
今日はここまで。小刻みにやっていきたいなと。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/22(日) 21:21:35.25 ID:2Wsn61FFo<> 乙
ブラブレさんはどうなるかきになるぜぇ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/04/23(月) 23:38:50.43 ID:5TDKbx4AO<> 俺得スレ発見
盗んだどらんがるで走り出すガラハッドがツボだった <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 00:38:23.78 ID:QxvMqvZJo<> 一応色んなユニット出したいと思いますが、選択肢次第で出ない奴とかもいますのでご了承ください。という訳で今回安価あります。
では、投下開始します。今回は前二つよりさらに短い。
アカネの語気が少し弱まったところを見計らい、男は口をはさむことに決めた。
男「あの、ばーくがるってどこにいるかな……?」
男としては何気ない言葉のつもりだった。ふろうがるにはユニットの居場所を聞いていいとは言われていたし、アカネもブリーダーならば知っているだろうと踏んだからだ。
しかしその瞬間、空気が凍る。アカネもふろうがるも触れられたくない場所に触れられたようだった。
アカネ「……あの子が従順だから、良いように使おうって事?」
男「え、いやそんな」
アカネ「機械化されたハイドッグは強いもんね! あんたみたいな何も知らない奴にはお似合いかもよ!」
弁解する暇もない、アカネは肩を怒らせて去っていった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 00:38:53.67 ID:QxvMqvZJo<> ふろうがる「ごめんね、先導者さん」
男「いや、それはいいんだけど……なんか地雷踏んだ?」
ふろうがる「まぁ、ね。私らにとってもブリーダーにとっても、あいつの事件は苦い思い出だから」
ばーくがるの設定を思い出す。過去に重傷を負い機械化した――と。
男「……悪い、無神経だった」
ふろうがる「アンタが知る訳ないし、知ってたとしても実感はないだろうし。あれはアカネが大人げないわ」
とりあえず、ばーくがるに関わるならば相応の覚悟は必要なようだ。何かの片手間に出来る事じゃない、事情が重すぎる。
ふろうがる「……悪いけれど、しばらくここで待っててくれる? 他の案内役を呼んでくるから」
あんな話の後じゃね……と、ふろうがるは曖昧に笑う。
彼女の言葉に承諾し、男は芝生の上に座り込んだ。
〜〜〜
男は考える。自分の待遇について。
彼ら惑星クレイの住民、ロイヤルパラディンにとって先導者とは何なのだろう。
少なくとも最後の希望だとか、最強の切り札だとか、そんな大層なものではないはずだ。
アルフレッドやエレインは礼を尽くしてくれたが、アカネはふろうがるは案外横柄な態度だった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 00:39:39.09 ID:QxvMqvZJo<> 男(なんか思ってたより、歓迎されまくってる様子もないしな……)
人が詰めかけたり、そういう事も無い。歩けばちらちらと視線を感じる事はあれど、大々的に何かがあったわけでもない。
珍しい異邦人ではあっても待ち望んだ英雄ではない、そんな感じだ。
男「ま、チヤホヤされたい訳じゃないけど……」
と、呟いた時。
まさにチヤホヤと擬音が付きそうなほどすっげぇキラキラした目で見つめてくるお団子頭の女の子が目に入った。
男「……えっと」
天使の羽とトランペットを持つ少女……スターダスト・トランペッターだ。
ぺったん「ど、どうもっ、先導者様! ふろうがるさんより案内役を、お、仰せ仕りましたっ!」
羽をばっさばっさと落ち着きなく動かしながら顔を紅潮させている彼女は間違いなくこちらに憧れの視線を向けていた。
とんだ見当違いだった。もしかしたらアカネやふろうがるの方が例外なのかもしれない。
男「あの……」
ぺったん「はひっ!」
噛んた。
男(うわぁうわぁ、これは逆に対応に困るぞ……っていうかいきなりすぎてprprのタイミング逃したぺったんprpr) <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 00:40:14.51 ID:QxvMqvZJo<> 男「いや、さ。ふろうがる達は凄いフランクだったのに、君は緊張してるんだなって」
ぺったん「あ、あの、はい! 私は、信じてますから!」
顔を真っ赤にし、トランペッターは力説する。
ぺったん「先導者様は、騎士王様の言うとおり、血を流さずに戦いを終わらせられる人だって! 私、信じてますから!」
疑問が解けた。
仲間をわざわざ集めなければいけない理由も、期待されていない理由も、あまり態度よく接してもらえない理由も、全ては一つの答えで済む。
信用されていないのだ。一人ひとり納得させていかなければ、カードだけで戦うという事を信用されないのだ。
男「……なるほどなぁ」
アルフレッドは無血の戦いを目指しているという設定があった。なるほど、ならばヴァンガードファイトで勝敗を決められるならばこれ以上の事はないだろう。
エレインもトランペッターもそれは同じなのだろう。アカネやふろうがるは、そんな理想を素直に全て信じられないというだけだ。
男(なら、やっぱりデッキ組むのは本腰入れないとな……信じさせるだけの奴だって思ってもらわなきゃならない)
ぺったん「先導者様?」
男「いや……うん、やってやるさ。俺が俺の戦い方で戦争を終わらせてやるよ」
ぺったん「はい!」
可愛い女の子に信じられればやる気も出てくるってものだろう。男は決意する、ただ適当に過ごさずに勝利を目指すという事を。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 00:41:07.53 ID:QxvMqvZJo<> しかしそうなれば、どのようにしてカードを集めていくかが問題になる。トランペッターは随分と入れ込んでくれているが、残念ながらそれほど強力なカードではない。
一日一日を考えて過ごさなければならない。
男「ぺったん……アカネやふろうがるはどこにいるか分かるか?」
ぺったん「ぺったん……?」
また迂闊すぎる男だった。
男「……これから共に戦うかもしれない仲間だからな! あだ名で呼べば距離が縮まるぞぅ!」
ぺったん「光栄です先導者様!」
心が痛い、嗚呼痛い。
ぺったん「アカネさんは北方へ遠征しているガルモールさんへの補給部隊となっているみたいです。何があったのか、どうやら一足先に出発したみたいですね」
ぺったん「ふろうがるさんはばーくがるさんに会いに行くと言っていました。南方の砦に駐留している一軍に配属されていますから、こちらも王都から離れています」
ぺったん「あ、あと、ガラハッド様は出来れば自分を追ってほしいと言ってました。シャロン様の神殿の試練に挑んでいらっしゃるそうです」
提示された選択肢は三つ。そしてこれ以外にも城を探索していくという方法もある。さて、どうするべきか……
男「よし……」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 00:42:55.28 ID:QxvMqvZJo<> 今日はここまで。実は二回目は幾つかある選択肢からサイコロで決めてたんですが、人がいるようなので安価やっておきます。
これからも安価はあるかもしれませんが、頻度はそれほど多くありません。
それでは、今回の安価ではFVが決まる事になります。あと、それ以外にも何枚か仲間になるユニットが確定します。
>>27
1、アカネと仲直りするためにもガルモールのいる北方に向かう
2、当初の目的通りばーくがるをデッキに加えるため、南方の砦に向かう
3、ガラハッドの求めに応え、シャロンの神殿に向かう
4、ぺったんと戯れながら城内を探索する
5、荒ぶる魂を抑えきれずに街へ飛び出す
ちなみにぺったんなど弱いFVとなった場合、他のグレードで強いカードが入ったりします。逆にばーくがるだと多少は産廃掴む事になる。
以上。特にレスなければまたサイコロで決めます。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)<>sage<>2012/04/24(火) 02:19:31.99 ID:hvkDzfsK0<> 2 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/24(火) 08:17:18.64 ID:EwMoa9auo<> ばーくがるか…
昔はバロミセイバーにいじめられたなぁ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/04/24(火) 15:58:24.12 ID:laH8BlzAO<> 乙。
5は何が来たんだろうか?
ぶれいぶか、まさかのぐらいむ? <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 22:12:02.33 ID:QxvMqvZJo<> >>28
TD環境のロイパラの弱さが懐かしくなったあの日……いやぁ、流石バロミさんだ!
まぁ俺もいじめられた側ですが
>>29
5はぐらいむのつもりでした
この時代ではマジェが居ないのと同様、うぃんがるもぶれいぶになってません。ぺったんもスタコぺったんじゃないし
一応はシャドウパラディン登場前辺りの時間軸をイメージしてもらえればと思っています
では、選択肢2という事で進めます。王道√と相成りました。ここからはオリジナル設定が全開。
投下始めます。
スターダストトランペッターと別れ、男は城の外れを目指していた。
南方の砦へ向かうにはハイドッグ部隊と共に南下するのが一番いいと聞いたからだ。
男(目ぇキラキラさせてたぺったんには悪い気はするが……)
勝利を目指すと約束した。ならば勝利への最善手を打つべきだろう。
それに個人的にばーくがるが気になり始めていた。ロイヤルパラディンに穿たれた傷の一つがそれだというならば、自分に何とかできないかという思いもある。
男(先導者ってのがどれほど大層なもんかは分からんが、少なくとも外から来た人間として意見は言えるだろ)
考えながら歩いていると、ふと幾台かの馬車のようなものとハイビーストたちの一団が見えた。どうやら、探しているのはあれで間違いなさそうだ。
そしてその中に見覚えのある桃色の毛並みも見つける。
男「ふろうがる、お前もう出たんじゃなかったのか?」
ふろうがる「馬鹿ね、戦場に一人で走っていくほど命知らずじゃないわよ……で、ここに来たって事は、ばーくがるの事?」
素直に頷く。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 22:12:37.16 ID:QxvMqvZJo<> ふろうがる「……あんまり半端な覚悟で首突っ込まない方がいいわよ? この話は私も含めて、忘れたい人が多いから」
男「その覚悟が出来てるって事だよ。俺は真剣にやるつもりだ」
このような深い問題に首を突っ込む事は、ロイヤルパラディン全体に波風を立てる事になるかもしれない。そうなればその原因である男と友好的に接してくれる人も限られてしまう。
諸刃の剣なのだ。上手く立ち回れなければ最悪デッキが組めなくなる可能性もある。
ふろうがる「まぁ、分かってるんならいいわ。隊長に挨拶してきなさい」
ふろうがるが馬車の方を鼻先で差す。馬車に上半身を突っ込み、何らかの準備をしているらしい男の姿が見えた。
ふろうがる「セイラン! 先導者さんのお出ましよ!」
声で気付いたか、そいつは馬車から抜け出し、ぬっとこちらを見る。筋骨隆々で背が高く、いかにも精悍な顔立ち。
騎士と言われればそれで信じてしまいそうだが男はこの人物をユニットとして知っている――ハイドッグブリーダー セイラン。
セイラン「おう、そいつが先導者殿か!」
セイランは男を見るな否や、豪快な笑顔を浮かべる。
セイラン「はっはっは、ひょろいなぁ先導者殿! 肉食えよ、肉!」
男「はははは……いやぁ、普段から戦争やってるような環境じゃないもんで」
男(体育会系だ、めっちゃ体育会系だ)
よしよしと手近にいたハイドッグを撫でながら、セイランは男に手招きする。
セイラン「まぁ、車に乗りな。食料は補給分も積んであるから先導者殿の分もあるはずだ」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 22:13:26.06 ID:QxvMqvZJo<>
〜〜〜
馬車のような乗り物はまさしく馬車と似たようなものであったが、それを牽くのはハイドッグ達だった。
比較的大きめのハイドッグ達は地球にいた馬など遥かに凌駕する力を持つ。彼らは辛い様子もなく街道を駆け抜けていく。
周囲には同じ速度で沢山のハイドッグ達が並走している。その中にはふろうがるの姿もあった。
セイラン「目的地まで……そうさな、休憩と野営を入れても二日ほどで着くだろう」
男(早くもお尻痛い……)
現代人には辛い所であった。
馬車は小型であり、他の馬車には名も知らぬハイドッグブリーダーたちが居れどここにはセイランと男だけだ。
セイラン「ときに、先導者殿よ。あんたはばーくがるを部隊に入れたいようだが?」
男「あ、あぁ。そういえばセイランもハイドッグブリーダーだし、なんか関係あるのか?」
セイラン「関係も何も、奴を仕上げたのはこの俺よ、はっはっは」
豪快に笑い、そして寂しそうに少し顔を俯ける。
セイラン「……なぁ、先導者殿? ハイドッグブリーダーにとって一番の喜びとはなんだと思う?」
男「は……? あー、いや、えっと、良いハイドッグを育てられた時……とか?」
セイラン「それだけでは答えとして不十分だな」
セイラン「自分の手掛けた最高のハイドッグが、最高の騎士の隣に並び立ち、最高の連携を持って聖域連合を守る……それが俺らには、どんな宝より尊く美しく見えるのよ」
そうしてセイランは目を細め、馬車の天蓋を見つめる。
そこに失くしてしまったものを幻視するように、何か懐かしいものでも見るかのように。
セイラン「ばーくがるとリュー……あの二人は、その最高の連携を見せてくれるはずだったんだがな」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 22:14:01.57 ID:QxvMqvZJo<>
〜〜〜
巨竜の咆哮が響き渡る。空間ごと鳴動させるかのようなその威容に、向かい合う騎士達は浮足立った。
誰もが立ちすくむ中、先頭に立つ一人の騎士が歩み出る。
白き鎧に白き刃。心に宿すは曇りなき勇気。背後に立つ騎士達を一瞥し、微笑みを浮かべた。
――オオオオオッォオオォオ!
竜はもう一度吠え、空へと舞いあがった。
空とは竜の戦場だ。人間如きが侵せる筈のない絶対の聖域。
騎士、それがどうした――竜は勝利への確信と共に、愚かにも前に出た白い鎧を焼き尽くそうと炎を吐く。
骨まで溶かす竜の炎に、剣と鎧で武装しただけの騎士が敵うはずがない。それにもし生き残っていたとしても空にいる竜を相手にどうするというのか。
それは、竜の驕りだった。基礎が違う人を、ただ愚かと切り捨てた竜の油断であった。
もしそれだけで戦いが決まるのならば、ドラゴンエンパイアとユナイテッドサンクチュアリは伯仲する訳がないのだから。
――ハァっ!
裂帛の気合と共に、白い騎士は刃を振るう。それだけで炎は剣閃に沿って両断された。
竜の瞠目――しかし、騎士にとっては当たり前の事実である。勇気を込めたこの刃、慢心した竜の炎如き切り捨てられない道理があるものか。
――行くぞ、皆
白い騎士の瞳が無言の内に告げる。騎士達の心に灯ったのは勇気。竜という強大な存在にも立ち向かっていけるという心。
竜は山脈を越え続々と戦場に集っている。だが騎士達にはもう恐れる事はない。
「この砦を超えさせるなッ! 勇気あるロイヤルパラディンの英傑たちよ、私に続け!」
<>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/24(火) 22:15:08.83 ID:QxvMqvZJo<>
〜〜〜
竜が飛び去り撤退を始める。騎士達は歓声を上げ、ある者は負傷者の応急手当、ある者は簡単な補修へ向かい、ある者は勝利の感慨に放心する。
今回は死者が出なかった。その事に指揮官たる白い騎士は胸を撫で下ろす。
???「よっ、リューの大将! 相変わらず、こっちが勇気湧いてくるようないい啖呵だな!」
ノリ軽く、白い騎士の首に手を回す配下の騎士。どうやら彼は積極的に前線に出たらしく鎧に傷は多いが、それほど深い傷は負っていないようだった。
リュー「……ケイ、今は戦場だ。私の事は本名で呼ぶな」
ケイ「へいへい、そいつぁ悪かったよ……ブラスター・ブレード」
時を経て、未来を夢見る騎士は勇気の兵装を携えていた。
今日はここまで。ブラブレさんの活躍書きたくて他の部分削りましたサーセンw
能力的にリューがブラスターブレードだと思っています。少なくともこのSSではそういう設定。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/25(水) 08:35:18.88 ID:Bv+r+pkuo<> 乙
リュー=BBか
俺もそう考えたことはあるな <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:18:24.43 ID:0d8E11Wyo<> 投下開始します
よくある話であった。
リューとばーくがる、二人は相棒だった。リューが従騎士であった時から二人は仲が良く、息が合い、誰もがその将来に期待したものだ。
そして、その二人が正式に戦場に出る事になった初の戦い――孤立した一人と一匹は、片方だけは確実に生き残るための選択をした。
ばーくがるが囮になり、リューが仲間を呼びに行く。結果、一人は無傷で逃げ延び、一匹は深い傷を負った。
セイラン「あれは誰か一人が悪かったわけじゃない……全員がミスをしたんだ」
セイラン「斥候は敵部隊の編成を見落とし、指揮官は対応力を欠いた陣を敷いた。そして俺は、あいつらに孤立した時の戦い方なんてまだ教えていなかった」
その戦いはロイヤルパラディンの歴史に残る大敗となった。ばーくがるが生存したのも奇跡のようなものだ。
そしてその戦いに何を思ったか、見習い騎士であったリューは必至で技を磨き、誰よりも先に立つ勇気ある騎士となった。
セイラン「勇気の兵装を受け継いでブラスターブレードを襲名はしたが……ばーくがるとは距離が空いたままさ」
これで話は終わりだとばかりにセイランが腕を組む。
馬車の前方に砦が見えてきた。どうやら、もうすぐ着くようだ。
男「つまり、ブラスターブレードは置いて逃げたって事で負い目を感じてるのか。でも、ばーくがるの方はそんなに恨んでたりするのか? 自分で決めた事だろ?」
セイラン「さぁな」
男「さぁな、って……」
セイラン「そこらへんは実際にばーくがるに会って確かめてくれ」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:19:05.02 ID:0d8E11Wyo<>
〜〜〜
砦の傍に馬車を付け、積み込んでいた物資を騎士と打ち合わせながらハイドッグ達が運ぶ。それを指揮するのはセイラン率いるブリーダー達だ。
こうしてみているだけでも、騎士とハイドッグとブリーダー、三者には信頼関係が築かれているように見える。
戦場や立場は違えど、皆同じ国を守るための戦士なのだ。
男「……やっぱ俺出る幕ないな」
非力な現代人では混ざるだけ効率が悪くなる。あとお尻痛い。
ふろうがる「何? 作業でもして気を紛らわせようと思ったの?」
男「おっと、見くびるなよ。俺はクレイに来てから女の前以外で失敗した事がないんだぜ?」
ふろうがる「……」
ふろうがるが前足でくいっと自分を指す。
男「残念ながら獣姦の趣味はない」
ふろうがる「何よ、失礼しちゃう。私もあんたなんて趣味じゃないわよっ」
男「そりゃ良かった」
流石にハイビーストはprpr出来ない。
男「……で、ふろうがるは作業に参加しなくていいのか?」
ふろうがる「私も飛び入り参加で元々頭数に入ってないしね、引き続きあんたの案内役よ」
男(なんかエレインちゃんとかぺったんよりもこいつに縁あるなぁ、男心が複雑だぜ) <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:19:45.54 ID:0d8E11Wyo<> 男(あれは……ケイか。まぁ設定上ブラスターブレードの部下だし、そいつがいるらしいここにいない道理はないよな)
ちょっと道端で友人に出会ったとでもいう風な気楽な様子で、ケイはこちらに歩み寄る。
ケイ「ちっす、あんたが先導者だな? 先導者だろ? うおーすげー、なんかワッケわかんねぇ服着てんなぁ」
男「え、あぁ、ユニクロ……」
ケイ「ゆにくろって様式なのか、すげぇ! あ、ってか俺のこと知ってる? 俺、そっちでも有名?」
男「友誼の騎士ケイって名前で……」
ケイ「友誼! いいねぇ、まさに俺って感じだ! ははっ、ま、いっちょよろしく、先導者さんよ!」
男(ノリ軽ぅ……)
まさに立て板に水、休まず口を動かし続けるケイに男は圧倒される。
しかし次の瞬間、ケイは途端に真面目な表情になった。
ケイ「……んでよ、あんたマジなの?」
男「は?」
ケイ「てめぇの国でもなんでもないのによ、マジでやる気あんのかって聞いてんだよ」
ケイの眼光が男を射抜く。軽薄そうに見えたがやはり実力ある騎士、その威圧感は本物だった。
ケイ「はい出来ませんでしたでも先導者自身が困らないのは知ってるぜ。逆に言えば頑張った所で何もない。そんなんで本気出してくれるなんて、そんな無邪気に信じられるかよ」
その言葉に対する回答は、男の中に一つしかなかった。
腰が引けて、上手く舌が回らない。剣を持っている――容易く自分を斬り殺せる相手に凄まれるのは恐ろしい事だ。それを実感する。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:21:33.42 ID:0d8E11Wyo<> うわあああああコピペミスったあああああ
37と38の間に以下の文章があると思ってください、すいません
そうして二人で手持無沙汰に砦の入り口にいると、こちらに手を振る騎士の姿があった。
白銀の鎧に楯のような籠手を持つ、一見軽薄そうな表情の騎士。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:22:32.99 ID:0d8E11Wyo<> 男「……義理はない、けど、約束したんだよ」
ケイ「約束?」
男「その、無邪気に信じてる……鼓笛隊の女の子と約束したんだ。俺が戦争を終わらせるって」
女の子。その言葉の瞬間、ケイの射殺すような眼が笑みの形に変わった。
ケイ「……ごぉかくッ!」
男「は?」
ケイ「いやいやいや! 大義の為だ(キリッとかやったら嘘くさ過ぎて何も言えなかったけどさ、女の為とか正直すぎるだろ先導者!」
男「いや、女の為ってそんな……」
ケイ「ところであの気の強いアカネの腋を触って女らしい悲鳴とか聞いてみたいよな」
男「それ凄く分かる」キリッ
たったの一言で意気投合した。男と男が分かり合うのに、それ以上の言葉は必要なかった。
固く、固く握手を交わす。
ふろうがる「はいはい馬鹿な事やってないで」ガリガリガリ
男「いでだだだ!」
ケイ「あだぁっ!」
二人そろってスネを引っかかれた。痛い。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:22:57.33 ID:0d8E11Wyo<> ふろうがる「この事はアカネに報告させてもらうから」
男「ごめんなさいふろうがるさんこれ以上嫌われたくないです勘弁してください」
ケイ「もうやめてくれあの鞭は食らいたくないんだ俺はマゾじゃない」
どうやらケイは常習犯らしかった。
男『……ところで、腋もいいが俺としてはあの胸の間に来るネクタイも中々だと思うんだが』
ケイ『……ッ! なるほどな、よく見ればそこもエロスだ……まったく、性に関しても先導者とは恐れ入るぜ』
ふろうがる「何よからぬ目線してんのよ」バリバリバリ
男・ケイ「あばばばばば」
アイコンタクトでも見破られた。痛かった。
ケイ「ま、まぁとにかくだ! 俺はあんたが気に入ったぜ、先導者! よければ俺もあんたの部隊に入れてくれよブラザー」
男「あぁ、それなんだけど……能力的にはブラスターブレードが居ないとダメなんだよブラザー」
そうだ、真面目にデッキの事を考えるとするならばブラスターブレードが必要になってくる。
ばーくがるはふろうがると組んでも利用は出来るが、その効果を最大限に発揮するにはリューとブラスターブレードが必要だ。
その二人が同一人物となればカードも一緒に手に入るという事になるのだろう。
デッキを最高の形にするためにはブラスターブレードの説得が必要になるのだ。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:24:01.12 ID:0d8E11Wyo<> 男「なぁ、ケイ。あんたからブラスターブレードに話を通してもらえないか? そっちの方がスムーズに進むと思うんだが」
ケイ「あー、無理無理。我が指揮官殿は頭が堅いからな、そういう方法じゃガードは崩せねぇよ……それに、多分仲間には出来ないぜ?」
男「な、なんで?」
ケイ「部下思いの上司だからなぁ……お前の部隊に入るとなればお前に付き従うのが規則だから、この戦場は全部任す事になっちまう。それで死人が増えるのは嫌だろうよ」
初耳であった。
男(え、え? デッキに入った奴って他の戦場行ったりできないの? マジ?)ヒソヒソ
ふろうがる(儀式に立ち会わなきゃいけないから長期間離れるのは無理ね。ってかエレインに聞かなかったの?)ヒソヒソ
男(あぁ、あの大参事prpr事件のせいでペース狂わされて伝え忘れたんだろうな……)
となると、さらに話が難しくなった。騎士を引き抜くともなれば責任は重大である。
男「……心が折れそうだぁ」
ケイ「まっ、頑張れよブラザー。とりあえずお前の部屋は女騎士の部屋の隣、覗き穴付きの所にしとくからよ」
男「是非お願いします」キリッ
ふろうがる「はいはい」バリバリバリ
男・ケイ「あばばばばばばば」
その日の内に穴は補修された。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 00:25:03.11 ID:0d8E11Wyo<>
〜〜〜
砦の騎士も、新たに配属されたハイドッグ達も、そして先導者たる男も寝静まった頃――
砦の傍、月光を輝く機会の身体全身に受け佇む一匹のハイドッグがいた。
短剣を咥えて離さないそのハイドッグには表情がない。ただ置物のように月を見上げていた。
彼の隣に、白い騎士が肩を並べるように立ち、同じように月を見上げた。
BB(ブラスターブレード)「お前も、あの先導者について考えているのか……ばーくがる」
あくまで独り言のように、ブラスターブレードは隣のばーくがるへ呟いた。
そしてすぐに、滑稽だったと笑う。
ばーくがる「……」
ブラスターブレードを見上げるその顔には表情がない。金属に覆われた顔は能面のようだ。
BB「そうだったな。お前はもう私を睨む瞳も、私を非難する喉も持ってはいないのだ」
Barkと名付けられるほど見事だった吠え声も、もう聞く事はないのだ。
あの敗戦はばーくがるから多くのものを奪った。そしてそれはもう取り戻す事などできない。
ばーくがる「……」
BB「私を……俺を、そんな目で見るなよ。なぁ、ばーくがる。俺はもう失わないために勇気の剣をとったのだから」
BB「お前のような奴をもう増やさない。今の俺は弱き者を守る剣だ。もう決してあのような事はしない」
ばーくがる「……」
BB「許せとは言わん。ただ……」
言葉に詰まる。辛そうに、ブラスターブレードは拳を握りしめた。
その様子を傍目に、ばーくがるは砦へと去っていく。その顔に、やはり表情はない。
失ったものの大きさを改めて噛みしめ、白い騎士は空を仰いだ。
今日はここまで。ケイが好きな人ごめんなさい。あとミスしてすいません。
実験的にカッコの後ろに半角カナの効果音とか入れてみました。これから軽いシーンでは出来るだけ台詞以外の文章削って読みやすくしたいと思います。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/26(木) 12:46:44.92 ID:DBDELc1eo<> 乙
ここからの展開に期待
僕はフローレスたんをprprしたいです(^q^) <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/04/26(木) 15:58:32.75 ID:6EWx5oxAO<> 乙。
声も表情も失ったばーくがるは何を想うのか?
あと、ガラハッド&どらんがるのその後も気になる <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 23:19:35.87 ID:0d8E11Wyo<> >>44
僕はコミカルレイニーたんを貰っていきますprpr
さて、投下を始めます……と言いたいところですが、実は月・木と帰りが遅くなるのでちょっと一日お休みさせて頂こうと……思っていました!
そんな時、>>45さんのレスが目に留まり、本筋を書くのに集中力が足りなくても、ちょっと肩の力を抜いた番外編なら書けそうだなと。
そんな訳で、シャロンの下へ出掛けたガラハッドはどうなっているのか……という番外編です。
これからも選択肢で選ばれなかったユニットでも希望があれば、こんな感じにフォローしていきたいですね
天井がなく青空がそのまま見える静謐な石造りの間。人を遥かに超える大きさの美女が、静かに本の頁をめくっていた。
胡乱げな瞳を手元に落とし、夢でも彷徨っているのかという風な緩やかな動きで――その本を閉じる。
シャロン「――さて」
静かなる賢者シャロン。彼女はそう呼ばれていた。
シャロン「あなたがこの神殿の奥地まで無意味に来るのは何度目でしょうね……ガラハッド」
彼女の目の前に……というより、足元に居るのは一人の騎士と一匹のハイドッグだ。
ガラハッド「さて、数十は下らないと思いますが。しかし今回ばかりは無意味とも言い切れず」
騎士が見た目に違わぬ深みのある声で答えた。その立ち居振る舞いは熟練、気軽に話しながらも隙などどこにも見当たらない。
どらんがる「……」
その足元には機械化されたハイドッグが座っている。表情も声もなく、彼の足元に忠実に忍んでいた。
シャロン「おや、違うのですか? 貴方が試練を受けたいという理由以外でここに来る事などないと思っていましたが……」
ガラハッド「お戯れを。私とて騎士であり、貴方は賢者です。公的な用事もありますれば、そのような事は決して」
シャロン「しかし貴方がシャロンお姉ちゃんなどと言っていた時期から、試練試練ばかりでしたからね」ニコッ
ガラハッド「……むぅ」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 23:20:31.24 ID:0d8E11Wyo<> 二人は旧知の仲であった。
幼き頃から騎士を目指し、己に試練を課し続けてきた。その結果、試練の騎士とも呼ばれるようになったガラハッド。彼が初めて挑んだ試練がこの神殿なのだ。
人間(ヒューマン)と巨人(ジャイアント)とはその身に流れる時間が違う。ガラハッドが従騎士から放浪の騎士となるまで、シャロンは変わらぬ美貌を保ってここに座っている。
ガラハッド「……ともかく、話を戻しまして」
シャロン「おや、この話はお嫌いですか? あの頃の貴方ときたら、本当やんちゃで……今も、でしょうか」ニコニコ
ガラハッド「戻しまして!」
咳払いし、強引に話を打ち切る。数々の試練を乗り越えた騎士も、この賢者の前では形無しであった。
ガラハッド「シャロン殿、先導者が現れました」
シャロン「……そうですか」
ガラハッド「どのような者かは分かりませんが、彼には私を追うようにと鼓笛隊の少女に言付けてあります。そこで貴方の試練を……」
???「ガラハッド様ー!」
そこまで言った所で、頭の上から声が聞こえた。見上げれば、天使の翼を生やした少女がゆっくりと下降していた。
この神殿には沢山の試練があるが、上空からならば楽に入ることが出来る。そうでもしないといちいちシャロンとコンタクトを取りづらいからだが。
ガラハッド「君は……あの少女か」
ぺったん「ぺったんとお呼びください、ガラハッド様!」
ガラハッド「何だそれは」
ぺったん「先導者様に名付けて頂いた通り名です!」
えっへんと薄い胸を張るトランペッター。さてどうしたものかと困り顔になるガラハッドだが、シャロンはまだ胡乱げに微笑んでいる。
シャロンは掴み所がない女だ。ガラハッドにとって尊敬する知識としての師であると共に、苦手とする女性でもあった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 23:21:04.83 ID:0d8E11Wyo<> ガラハッド「ところで少女……うぬ、否、ぺったんよ。先導者殿はもうこちらに向かっているのか?」
ぺったん「あ、先導者様なら南の砦に向かいましたよ?」
ガラハッド「な……!?」
その時、ガラハッドに衝撃走る。
ガラハッドは先導者を鍛えたかったのだ。まずはシャロンの試練、次は剣術、次は共に放浪と……先導者を鍛え抜き、心身ともに強くしたかったのだ。
『先導者はワシが育てた』したかったのだ。
シャロン「ふられちゃいましたねぇ、ガラハッド」
うふふ、と上品にシャロンは笑う。
ガラハッド「……仕方ない。王都に帰ってきたら素質を見るぐらいの事はさせてもらおう」
ため息をつき、ガラハッドはどらんがるの背を軽く叩く。
そして立ち上がった相棒に跨ろうとして――鎧の裾を掴まれた。
ぺったん「そういえば無断でどらんがるを連れてきたんですよね? アカネさん怒ってましたよ」
ガラハッド「……どらんがるは私の無二の友であり相棒でありその関係に余計なものは」
ぺったん「怒ってましたよ?」
ガラハッド「……むぅ」
ぺったん「それに今から放浪するつもりでしたよね? 駄目ですよ、先導者様が部隊を整えたら残っている騎士の方々が忙しくなるんですから!」
ガラハッド「だ、だが……」
ぺったん「だがもなにもありません! ブラスターブレード様の部隊に行ったから、もしあのお方が前線から引くとなると穴埋めが大変なんですからね!」
ずるずるとどらんがるから引きずりおろされる。
少女に引っ張られる困ったような顔の騎士は、なんとも滑稽であった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/26(木) 23:23:03.25 ID:0d8E11Wyo<> シャロン「やっぱりガラハッドは、女の子に弱いわねぇ」
シャロンの言葉に弁解しようとするが、その暇もなく少女に引きずられるガラハッド。
振り払おうと思えば振り払えるのだが、今回は自分に非があるのだ。大人しく従っておくことにした。
ガラハッド(しかし……ブラスターブレード卿とばーくがる、か)
ちらとどらんがるを見る。ガラハッドの相棒は、表情も声もなくただ引きずられるままの主人についてきていた。
その頭をなでながら、ガラハッドは思う。
ガラハッド(卿もいつか、気付ければいいのだが……な)
空は雲一つなく澄み渡り、気持ちのいい風が吹いてくる。
あの白い騎士の心もそのようになればと、願わずにはいられない。
番外編終了です。明日は普通に前回の続きを投下します。
私男だけど、強いけどヘタレなおっさんって可愛いと思うの。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/27(金) 07:16:12.33 ID:TBx0QnTWo<> 乙
ガラハッドさんSC軸ならそこそこつかうんだがなぁ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/04/27(金) 09:30:15.59 ID:mJNBdJSAO<> 45ですが、本当にガラハッドさんの続きを書いて頂けるとは。
ありがとうございます。
本編も楽しみにしてます。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/04/27(金) 12:13:27.78 ID:RaZIpATAO<> (*・∀・)オマエ タベテイイカ? <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/28(土) 01:17:39.74 ID:IjqPhWsxo<> >>50
ただ同サイクルのツクヨミと比べればSCのタイミングだったりレアリティだったり不遇の匂いがほんのり漂うのが悲しいですね
ガラハッドさん……(´;ω;`)
>>52
超電磁生命体が恨めしそうにそちらを見ている
では、本編投下開始します。
朝目が覚めて、微睡の表層を漂う。
男(結局女騎士の隣じゃなかった……一人部屋だからそれは良かったけど……)
昨日は夜遅くまでケイに晩酌に誘われて大変だった。
未成年である男は酒を飲むことが出来ないというのに、「こっちじゃガキでも飲んでるぜ」と聞いてくれないのだ。
男(結局、飲まずに騎士の飲み会に連れて行かれたしなぁ……二日酔いしない程度に抑えてるったって、酒飲みの空気は辛い……)
そして布団を頭まで被りなおそうとして――ふと、腹の辺りに何かが載っている事に気付く。
首を持ち上げてみてみれば、それは銀色の前足だった。前足、と形容するからには四脚の獣のそれである。
男「……おはよう?」
声をかけてみると、前足の持ち主はそそくさと彼の身体から離れた。
起き上がり見れば、持ち主は行儀よくベッドの脇に座っていた。
ばーくがる「……」
男「おぉう……そっちから会いに来てくれるとは」
短剣を咥えたそのハイドッグは紛れもなくばーくがるである。
展開の唐突さについていけない気持ちはあるものの、男はベッドから立ち上がった。
彼を勧誘するためにここに来たのだ。今が好機である。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/28(土) 01:19:22.47 ID:IjqPhWsxo<> 男「えぇっと……まず、お前、言葉は分かるんだよな?」
こくり。無表情のまま、ばーくがるが頷く。
男「……えっと、顔怖いんだけど。不機嫌?」
ふるふる。無表情のまま、ばーくがるが首を横に振る。
男(……ハイドッグは皆ふろうがるみたいなもんだと思ってたけど、こいつは気難しいのか? 過去に見捨てられたとかで……)
男の考えは見当違いである。
そもそも、ばーくがるに表情を動かす機能は備わっていないのだから。
男(ま、考えても仕方ないか……)
と、男が溜息をついた時。耳元で地球でも聞き慣れていた鬱陶しい音。
男(この世界にも蚊っているのかよ! まぁ恐怖の巨大ハエ男は居るし、居てもおかしくはないけど!)
顔の近くを飛ぶハエを掴もうとするが、逃れられる。ハエの退治に本腰を入れようとした時――銀の旋風が、鼻先を横切った。
男「……!?」
ばーくがるである。あまりの衝撃に、男は起き上がったばかりのベッドの上にぺたんと尻餅をついた。
どうやら、ハエを仕留めたようである。男の前に心なしか誇らしげに胸を張って座っている。
男「お、おぉう……ありがとう。はは……」
腰が抜けた。怖かった。笑い返すが、表情が引きつる。
その様子を見てか、ばーくがるは扉の方へと歩き出す。
男「え、ちょ、おい! 待ってくれ!」
男の呼び掛けにも答えず、ばーくがるは部屋から去って行った。
男(ま、まさか今のビビったので情けないと思われて見放された!? そ、そりゃねーだろ!?)
追おうとする男だが、残念ながら足が役に立たない状況である――見事に顔から床にぶち当たった。
男「……痛い」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/28(土) 01:19:50.22 ID:IjqPhWsxo<> だが、それだけで諦める訳にはいかない。
足が動かぬのならば、腕を使えばいい。そう、人間の移動手段は一つではないのだ。
男「舐めんなあああぁぁぁ! こっちは腹くくってきてんだよぉ!」
後日、騎士の間で匍匐前進で高速移動する男の噂が流れた。
〜〜〜
砦の補修も人員の整理も物資の補給も一段落し、夕日が半分地平に隠れようかという頃。
ブラスターブレードとケイは砦近くの開けた場所で、戯れ程度に刃を打ち交わしていた。
ケイ「ってな訳でさ、リューさん。俺が見る限り、あの先導者は中々だ」
ケイが踏み込み、一息に剣を振るう。それを自身の名と同じ刃で受け流すブラスターブレード。
BB「……お前に言わせれば、大体の奴がいい奴になるだろう」
ケイ「そう言うなって。女との約束を下心なく果たそうとする奴は信用出来るんだよ」
BB「その感覚は、私には分からん」
攻守反転、次はブラスターブレードが剣を振り下ろした。籠手で受け止め、ケイは空いた片手で隙を狙う。
BB「私は先導者にそこまでの価値を見出せん。自身の戦いを捨ててまで全てを託さねばならないなど……」
ケイ「民の前に立ち守るはずの騎士の名折れ……ってか?」
腹部を狙って振るわれるケイの刃――しかしそれが届く前に、否振るわれるより遥か前にブラスターブレードの脚がしなる。
不意打ちに重ねた不意打ち。ケイの身体は跳ね跳び、地に膝をつく。
なんとか倒れぬようにと堪えたケイの鼻先に白い刃が突き付けられた。
ケイ「……参りました。いやぁ、やっぱ大将には敵わねぇな」
BB「お前は守った後が甘いんだ」
二人同時に刃を収め、立ち上がるケイにブラスターブレードが手を貸す。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/28(土) 01:20:39.26 ID:IjqPhWsxo<> その時、砦の方角から拍手の音が響いた。
セイラン「相変わらずの腕前だな、リューよ」
BB「セイラン殿か……何の用だ。うぃんがるがこの戦場にいない今、私と貴方に接点などないと見えるが」
セイラン「さて、そいつぁどうかな。少なくとも、俺はうぃんがるだけがお前の相棒だとは思っていないが」
ブラスターブレードの瞳が鋭さを帯びる。それを受け流すように、セイランは肩を竦めた。
BB「今の私にその資格はない。それぐらい、貴方にも分かっているだろう」
セイラン「――いつまでそうやって逃げているつもりだ」
一歩踏み出すブラスターブレード。その表情は最早敵に向けるそれである。
応えるように、セイランも一歩踏み出し腕を組む。
ケイ「おい、大将!」
BB「黙っていろ、ケイ。これは俺の問題だ」
肩を掴もうとするケイの腕を振り払い、改めてセイランに向かい合う。
BB「俺が逃げているだと……」
セイラン「あぁ、逃げてるね。敵に立ち向かう勇気はあっても、仲間と向かい合う勇気はないらしいな」
BB「向かい合う事なら、何度もしてきたッ!」
感情をそのまま吐き出すように、叫ぶ。
BB「何度も詫びた! 何度も悔いた! 何度も許しを乞うた!」
BB「だが、ばーくがるは何も返してはくれないんだ! あぁそうだ、顔も声も俺に奪われたのだからな!」
BB「そうして最後には、耐えかねたように俺の前から立ち去るのだ! もう、何度も……そう、何度も……」
それは絶望。それは勇気の騎士の心に刺さった棘。
友を見捨てたという思いが、今も彼の中には渦巻いている。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/28(土) 01:23:00.02 ID:IjqPhWsxo<> セイラン「今こそ、もう一度向かい合う時だ。先導者が来ている今こそな」
BB「……お前も、ケイも、なぜ見ず知らずの異世界の人間にそこまで肩入れする。ばーくがるに先導者の事を教えたのもお前か?」
セイラン「あれはふろうがるがやった事だ。だが、俺は正しいと思っている」
BB「……俺も、お前も、誰も救えなかったばーくがるが! そんな簡単に……ッ!」
男「バッカヤロオオオォォオォ!」
夜の闇を切り裂き、先導者の声が木霊する。
この場の誰もが目の前に集中しすぎて気付いていなかったが、彼の姿は砦とは逆の方にあった。何故か服が擦り切れたり擦り傷だらけだったりはするが、間違いなく彼だ。
そしてその後ろには、ばーくがるがついていた。
ばーくがる「……」
男の叫びの後、場は静まり返っている。誰もが動けない中、男は手を前に突き出した。
そこには、『ばーくがる』と記されたカードが握られている。
男「こいつはな……初めっから、救われてるんだよ」
今日はここまで。多分次かその次くらいでばーくがる/ブラスターブレード編終了です。
入手カード:『ばーくがる』
ブースター第六弾、限界突破が発売ですね。グランブルーが目当てでしたが、運良く結構揃ったのでなるかみも組む事にしたり。
しかしこのSSはゴルパラもなるかみも出ないという。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/04/29(日) 00:11:06.82 ID:TeSQCMcAO<> 乙。
ついにカード登場か。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:47:00.38 ID:SuUAqLA7o<> 投下開始します。今回台詞よりも文章だらけです
友を守る。
ハイドッグにとってこれほどの喜び、これほどの栄誉があるだろうか。
人とハイドッグは違う生き物である。
人は先導を喜びとする、ハイドッグは追従を喜びとする。人は名誉を大切にする、ハイドッグは敬譲を大切にする。
人とハイドッグは違う生き物である。
しかし、だからこそ無二の友にもなれるのだ。
友を守って死を迎えたのは本望であった。死の恐怖よりも彼を失わずに済んだ喜びの方が勝っていた。
ただ一つ心残りがあった。未来を夢見るあの心優しき友の将来に、自分の死が影を落としはしないかと――
男「ま、まてー!」
ばーくがる「……」
追う先導者の声に従い、ばーくがるは立ち止った。相応しい者の命令に従う、それはハイドッグの矜持である。
匍匐前進で砦の外まで追いかけてきていた男は、そこで頭から地面に突っ伏した。
自分が生還した事を知った時、戸惑いがあった事は事実だ。だがそれよりも、やはり晴れやかな気持ちがあった。
自分が死を逃れた事が嬉しかったのではない。友を傷つけずに済んだことが、何よりも嬉しかったのだ。
男「……律儀に止まったなお前。俺に失望したわけじゃねぇの?」
ばーくがる「……」フルフル
だが、それは見当違いであることを知った。
友はまず自分を見ると――怯えたのだ。喜び手を取り合うでもなく、怯え、避け、向き合わなくなってしまったのだ。
あぁ、当然だろう。自分が生きているかどうかが問題ではない。自分を見捨てたという事実そのものが、あの心優しき友にとっては問題なのだから。
むしろ結果を突き付けられる今の方が辛いぐらいだろう。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:47:34.48 ID:SuUAqLA7o<> 男「……まさか、お前さ」
大丈夫だよと吠えたかった。しかし今の自分にはそれも許されない。
気にしてないと笑みたかった。しかし今の自分にはそれも許されない。
男「お前、俺がビビったのを気にして……?」
ならば、悔いる彼の前から立ち去るしかなかった。自分が目の前にいれば彼は余計に辛くなってしまうのだから。
我ながら逃げ癖がついたものだと、ばーくがるは思う。だがそれが友の為になるならばとそうしてきた。
しかし目の前の男は、違う答えを持っていたのだ。
男「そんな事、気にすんなよな!」
驚愕。表情がまだ残っているのならば目を丸くしていた所だ。
男「俺はお前を部下に……仲間にする為にここに来てるんだよ。それなのに遠慮ばっかしてちゃダメだろ」
男「言いたい事を言い合えてこそ、友達で仲間ってもんだろ?」
それは人間の答えであった。付き従うもの、ハイドッグには決して出せぬ結論であった。
彼が辛そうにしていても、向き合ってその原因を共に取り除けばいい――気づいてしまえばなんて単純な答え。
あぁ、目の前の男は人間だ。自分が従うべき存在だ。自分の道を示してくれる先導者だ。
ばーくがる「……」
日が傾きかけた空に向かって、声もなく吠える。
決意の咆哮。それと共に、先導者の手に輝きが舞い降りた。
<>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:47:58.28 ID:SuUAqLA7o<> 〜〜〜
BB「救われている……だと……!?」
男「あぁそうだよ、ブラスターブレード……いや、リュー。あんたが逃げる必要はどこにもないんだよ」
セイランとケイを取り残し、二人は向かい合う。その間にはばーくがるが居た。
BB「それはどういう……」
男「まぁ、俺と言い合うより直接の方が早いだろ」
男の言葉に促されるようにばーくがるが歩み出た。
ブラスターブレードの足が一歩分下がる。
ばーくがる「……」
BB「……やめろ。そんな目で、俺を見るな……!」
ばーくがるの瞳は何も写してはいない。
ブラスターブレードが見ているものは、空っぽの瞳に映る怯えた自身であった。
BB「やめてくれ……!」
声もなく、顔もなく。ただ透明なその様子は彼の心理を反射する。
ブラスターブレードが怯えているのは自分の中の罪悪感にだ。
ばーくがる「……」
さらに一歩、歩み寄る。
BB(あぁ、そしてここで去るんだな……そんなに俺が憎いのか。そんなに俺を苦しめたいのか。あぁ、そこまでの罪は確かにあるさ)
項垂れる。ブラスターブレードの心は今度こそ折れてしまいそうだった。
セイランの言った通り、自分の勇気は敵にしか通用しないのか。剣をとり落とす。もう何も考えたくはなかった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:48:31.87 ID:SuUAqLA7o<> しかし――ブラスターブレードの脚に、硬質の感触が擦り寄った。
ばーくがるが、彼の足元にいた。
BB「な……」
ばーくがる「……」
理解が追い付かない。
そもそもばーくがるは自分を憎んでいるはずではなかったのか。それがなぜ、こうして足にすり寄ってきているのか。
まるで、そう――自分が未来の騎士と呼ばれていたあの頃のように。
セイラン「その短剣を見ろ」
セイランに促され、硬直していたブラスターブレードはゆるゆると視線をばーくがるの口元に向ける。
自分が託し、共に戦っている時からずっと使い続けている短剣だった。
あぁ、自分はこんな事にすら気づけなかったのか。こんなものすら見えないほど、彼を恐れていたのか。
セイラン「お前を憎んでいる奴が、いつまでもお前との絆を手放さないなんてあるものかよ」
足から力が抜ける。膝をつき、そのままの勢いでばーくがるの頭を抱きしめた。
この脱力は決して悪いものではない、憑き物が落ちたような気分だった。
BB「俺は、もう二度と何も失わぬように強くなったつもりだった……だが、そもそも何も失ってはいなかったのだな……」
一筋こぼれた涙を誰にも見せぬよう、深くばーくがるを抱き寄せる。
この涙を知るのは無二の友だけだ。
BB「感謝する……先導者殿」
男「い、いや、やめてくれよ。そもそも俺にはお前らを仲間にしたいって下心もあるんだからさ」
慌てたように手を振る先導者を見て、ブラスターブレードも立ち上がる。
正直な男だ。だが少なくとも、腹に一物抱えるタイプよりは信用できる。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:49:02.23 ID:SuUAqLA7o<> ケイ「な、大将。良い奴だったろ、先導者は」
BB「あぁ。今度ばかりはお前が正しかったな」
彼には特別な才能など何もないのだろう。聖人でも悪魔でもなく、ただ平々凡々な男なのであろう。
だがそうであるのに他国の為に尽力し、真正面から向き合える。それは騎士としてとても好ましい人間に見えた。
ケイ「んじゃ、先導者様の部隊に入っとくか? あんたが行くなら俺もついていくぜ」
BB「しかし……この砦を他の者に任せるのは……」
ケイ「なぁに、次に奴らが攻めてきた時に徹底的にぶちのめしてやりゃいいんだよ。そうすりゃ余裕も出来んだろ」
普通ならば策ですらない荒唐無稽な言葉だった。
しかし彼の足元で、ばーくがるが吠えるように天を睨む。
セイラン「今度こそ見せてくれよ。最高の騎士と最高のハイドッグの最高の連携をな」
にっと微笑むセイランに一度頷き、先導者の前に膝をつく。
彼は大層慌てているようだった。
BB「先導者殿! 私を貴方の部隊に加えては頂けないだろうか」
男「へぁっ!? え、あ、おう!」
BB「――感謝する、先導者殿。次の戦が終われば必ず王都に駆けつけると誓おう」
男「……あぁ、よろしくな、ブラスターブレード」
BB「我が光り輝く勇気の剣は弱きの為に。貴方にこの国の未来を託そう」
<>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:49:46.64 ID:SuUAqLA7o<>
〜〜〜
ふろうがる「でもあんた、ウケるわねぇ。『へぁっ!?』って何よ、『へぁっ!?』って」
男「うるさいなぁ」
帰りの道は二人旅、野宿も合わせて結構かかるが仕方ない。
ふろうがると先導者は、馬車で駆け抜けた道を逆に辿っていた。
ふろうがる「で、それが今回手に入れた儀式の札?」
男の手には『ばーくがる』と『未来の騎士リュー』のカードが四枚ずつあった。
男「まぁ、四枚入るか不安だったけどこれでそれも解消されたし。後は……」
ちらっとふろうがるの方を見る。
ふろうがる「えー? なに、結局私が必要ー?」
男「うわぁムカつく……」
ふろうがる「いいのよ? ちゃんと頼めば、私も仲間になってあげるのよ?」
男「……お願い、ふろうがる」
ふろうがる「あーら聞こえなーい!」
男「お願いしますふろうがるさん!」
こうして茶番の末、男の手にまた一つ、輝きが舞い降りる。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 01:50:57.35 ID:SuUAqLA7o<> 〜〜〜
目の前に広がる光景はある者にとっては悪夢であった。
空を覆う竜の部隊は、今までにない規模だ。敵にとっても今回の作戦に力を入れている事は明白であった。
しかしそれだけで怯みはしない。勇気の剣は、より輝きを増している。
「行くぞ、ばーくがる」
過去の友の咆哮はもう聞こえない。しかし鋼鉄の頼もしい姿が傍らにはあった。
勇気の騎士とその友は、疾く戦場を駆け抜ける。
これでばーくがる編終了です。次回からは城に戻って話が進みます。
入手カード:『未来の騎士リュー』『ふろうがる』 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/29(日) 11:49:51.48 ID:KWcKvHASo<> 乙
そして祝極限突破発売!
12箱あけてもブロンドエイゼル二枚かよ… <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 23:32:36.55 ID:SuUAqLA7o<> >>66
2箱で両方ともヴァミだった俺の勝ち組臭ドヤッ
友人のゴルパラと戦ってみたところ、スペライが結構成功するんでエイゼルはピンでも回ってましたよ。まぁガルモールある事前提ですが
では、投下始めます。今回は隙間の話なのでかなり短いです
男「平和だ……」
騎士寮に割り当てられた自分の部屋で、男はベッドに寝転がっていた。
帰り道は辛かった。長い間歩き続けなければいけなかったし、野宿の辛さというものも実感できた。風呂に入った時のさっぱり感は忘れられない。
文明が恋しくなるが、しかし使命感がなくなったわけではなかった。
男「でも今日は流石におやすみだ……」
帰って泥のように眠ってから一日、男は怠惰に過ごしていた。
ふろうがる「寝てんじゃないわよ」バリバリバリ
男「ふぎゃあ!」
だが、そんな日々が長続きする訳もなく。
男「お、お前……段々遠慮なくなってきてないか?」
ふろうがる「男は優しくしてるとつけあがるのよ」
無駄にいい女オーラを漂わせるふろうがるを跳ね除け、男は起き上がる。
男「で、何の用なんだよ?」
ふろうがる「ブラスターブレードとケイが帰還したわ。城であなたを待ってる」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 23:33:11.27 ID:SuUAqLA7o<>
〜〜〜
アカネと出会った裏門辺りに彼らは居た。
ケイ、ばーくがる、そしてブラスターブレード。
ケイ「よっ、兄弟」
先頭に立っていたケイが気さくに片手を上げる。それに応え、男も歩み寄る。
男「今日からよろしくな、二人……っていうか、三人とも?」
ケイ「ははっ、まぁ細かい所は気にすんな」
BB「私としては、三人と扱ってほしいがな」
二人の騎士の笑顔と共に、男の手に光が舞い降りる。
四枚1セットのカードが一組、男の手に揃った。
男(よっし……これでG2の憂いはなくなったって言えるレベルだな。あとはG3だが……)
BB「ところで先導者殿、耳に入れておきたい事があるのだが」
男「んぁ?」
BB「古来よりの言い伝えではあるのだが、先導者の率いる部隊は所属する者の絆が大切であるという事だ」
ふろうがる「あぁ、それは私も聞いた事あるわ。確か、絆が運命を変えるだのどうだの」
男「絆が……運命を……」
物凄く直接的に解釈すれば、ユニットの仲が良ければそれだけデッキが回りやすくなるという事だろうか。
ファンタジーだ。だが、自分は今実際にファンタジーの世界に来ているのだ。考えても仕方ない。
男(そもそも仲がいい奴の方が仲間にしやすいだろうし……無理して強い奴を仲間にする理由もなくなったって感じか?)
そうなれば、こちらで情報を集めていくのが無難だろう。
ユニット設定で既に仲のいいキャラなどは把握できているが、流石に人の繋がりはそれだけではないだろうし。
男「ふーむ……ちょっと考えなきゃいけないし、こりゃすぐには動けないかなぁ」
ケイ「おいおい、しっかりしてくれよ。こっちはあの羽根つきトカゲ共を全力でぶっ飛ばしてこっち来たってのによ」
男「とは言われてもなぁ」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/29(日) 23:33:46.42 ID:SuUAqLA7o<> とりあえずブラスターブレードと言って思いつくユニットは幾つかあるが、それについても熟考しなくてはいけないだろう。
仮に彼を中心に添えるだけの構成になった場合、それは果たして絆と呼べるのか。微妙な所である。
BB「先導者殿。すぐさま動くわけではないのなら提案があるのだが」
男「ん?」
BB「先導者殿も帯剣してはどうだろうか?」
男「はっ?」
男にとってあまりにも突拍子もない言葉であった。
自分が剣を持ったところでどうなるのか、ぶっちゃけ振り上げて振り下ろすだけで腕が攣りそうである。
BB「いや、何も戦えという訳ではない。ただ指揮官が良い剣を持つという事は士気の向上にも繋がるからな」
男「あぁー……なるほど、見栄ね」
BB「一人、すぐに良質な武器を揃えられる者を知っている。あまり褒められた男ではないが、その部分だけは評価できる」
確かに士気があるというのならば剣を持っておく価値はあるだろう。
ひいては、それが絆になるのかもしれない。
ふろうがる「あら、それなら先導者自身が強くなるのが一番じゃない? 私とばーくがるで、森か何かで鍛えてあげるわよ」
ばーくがる「……」
確かにそれも一つの手だ。頼りがいの無い男だと思われれば仲間になってくれない者もいるかもしれない。
それにこれから色々な場所を回る事を思えば、体を鍛えておいて損はないだろう。
ケイ「ってか、大将も犬っころも真面目すぎだろ……兄弟、町を案内してやるよ。やっぱたまには遊ばないとな」
ケイの提案は魅力的ではあった。ここに来てから城と寮の行き来だけで観光らしいことは何もできていない。
さて、こうなった場合どうするべきだろう――
今回はここまで。
入手カード:『友誼の騎士ケイ』『ブラスター・ブレード』
という訳で、おひさの安価です。今回はトリガー一種が決まる軽い安価です。
1、ブラスターブレードと共に剣の入手に向かう
2、ふろうがるやばーくがると共に体を鍛えに森に向かう
3、ケイに街を案内してもらう
では、明日はお休みしますかも。月・木は無断欠勤の可能性あり。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2012/04/29(日) 23:38:31.87 ID:vSr8He7AO<> 1、ドロートリガー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/30(月) 00:30:06.50 ID:tZKsFA1to<> 乙
1かな
>>67
すまないヴァミは5枚ほどあるんだ…
(・ω・`)
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/04/30(月) 02:57:47.66 ID:2RK+p2KE0<> 2、
たぶんこっちがクリティカルトリガーかな? <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/04/30(月) 22:27:02.66 ID:D+PmRPGTo<> うおおおお今度は安価指定忘れてました! いろいろ不備あってマジすいません!
とりあえず今回は多数決という事で「1」でやらせて貰います。ってか今日は番外編かお休みかだと思いますが。
>>71
こんなに俺と71さんで経済力の差があるとは思わなかった……! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/30(月) 23:32:39.90 ID:FohABbd1o<> なに、気にすることはない
>>73
まあ友達とカードを共有でつかってるからDKVは使わないんですがね
メインデッキはたちかぜですしおすし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/04/30(月) 23:33:54.83 ID:0n6G07lDo<> ヴァミさん結構使うの難しいよな...
インターセプトできない!なぜならっ!てやりたい時に限って盤面埋めようとすると手札にプチブロケード二種類くるんだ... <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/04/30(月) 23:40:22.25 ID:FohABbd1o<> >>75
その通りなんだよなぁ
俺も仮組みしたのをまわしてみたが…
とりあえず醒トリはいらないということはわかった <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/01(火) 00:33:37.51 ID:9wls1iIzo<> >>74
おぉう……茨の道を歩んでますな。そろそろ収録来そうですが
>>75
俺も使ってみましたが、デザートガンナーとヴァミは両立させるもんじゃないって気がしますね、その現象が怖すぎて
っていうかヴァミは前評判ほどぶっ壊れじゃなくて安心したようながっかりしたような
序盤にスタンドしてリアを荒らしまわる夢が捨てられなさすぎる……そんな私は、バランストリガー
って訳で、一応短めのガルモ番外です。ユニット顔見世程度のものですが
雪原の白の上に広がる染みのように、黒の軍勢が押し寄せる。
それは悪魔であった。ユナイテッドサンクチュアリを脅かすダークゾーンの軍勢、その尖兵だ。
彼らの前に立つのはたった一人の騎士だ。蒼い鎧を身に纏った男が仁王立ちしている。
――たった一人で何が出来る。
ある種の油断と共に、悪魔は彼に跳びかかる。
その時、彼の足元で雪が爆ぜた。何か所も何か所も雪が跳ね跳び、そこから弾丸のような勢いで獣が跳躍する。
あるものは悪魔の喉笛に噛み付き、あるものは深々と胸を切り裂き、あるものは身体全体で突進する。
それは、機械化されたハイドッグであった。
――行くぜ、お前ら!
若き騎士の声に応え、彼らは駆け抜けながら陣形を形作る。
一匹一匹が前の一匹をフォローし、絶え間なく襲いかかる。一撃の重さは大した事なくとも、動きを封殺され次第に目を空ける事すら困難になり、一人また一人と沈んでいく。
ブリザード・フォーメーション――雪原を守る騎士とハイドッグの力である。
〜〜〜
戦いが終わり、騎士と獣は本陣へと引き返す。途中で他の部隊とも合流し、結構な規模になっていた。
自身の相棒たるすのうがる達を労いながら、獣騎士ガルモールは笑顔であった。
アカネ「おかえりなさーい!」
本陣の少し手前、雪原の気候に耐える為か厚手のコートを着た彼女の姿があった。
花がほころぶような笑顔に、ガルモールの表情がさらに緩む。
ガルモール「アカネs」
アカネ「皆、大丈夫だった?」
しかし、彼女はガルモールには脇目も振らずすのうがるの方へと駆けていったのだ。
崩れ落ちそうな足を、なんとか気力で持ちこたえるガルモール。騎士たるもの、簡単に膝をついてはいけない。
ギャラティン「……ドンマイ」
言葉少なに、同僚であるギャラティンに慰められた。彼は目を覆い口数も少ない変わり者ではあるが、性根は優しい人間だ。
<>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/01(火) 00:34:07.72 ID:9wls1iIzo<> ガルモール「うおぉおぉ……ギャラティン卿、胸を貸してくれ……っ」
ギャラティン「……ノー」
今度こそガルモールは膝をついた。雪が冷たかった。
アカネ「あ、ガルモール君もお疲れー」
ガルモール「アカネさん……!」
そして立ち直った。これが若さである。
そうこうしている内にアカネ以外のブリーダーや待機していた騎士達が出迎えに来てくれる。雪原で冷えた身体を癒す為、温かい飲み物運んでくれる者もいる。
バロミデス「しっかし、あの悪魔共も懲りねぇよなぁ」
彼自身の体温で周囲を温めながら、出迎えた剣士が呟いた。
サラマンダーたる彼はヒューマンを中心としたロイヤルパラディンにおいて騎士の名を受けられず辺境に飛ばされた。しかしその実力は折り紙つきである。
この雪原の厳しい環境において彼はとても重宝されていた。自然と外敵、二つの強敵と戦わなくてはいけない雪原地方の騎士達の結束は固い。
ガルモール「あれぐらいで懲りるならそもそも襲ってはこないだろうな。来なけりゃ来ないで楽なんだが」
ギャラティン「……ヴァンガード」
ギャラティンの言葉に、全員が反応する。その中でも一番大きな反応を見せたのはアカネであるが。
ガルモール「そういえば……来たんだよな、先導者が。アカネさんは直接会ったんだっけ?」
アカネ「知らない!」
ガルモール「は?」
アカネ「あんな奴、知らない! あんなハイドッグの気持ちも分からない奴に、戦争を終わらせるなんて出来るはずないよ!」
思いっきり拒絶されてしまった。ガルモールとしては話のとっかかり程度にと思っていただけなのだが。
バロミデス「お前も大層運が悪いねぇ、特に女関係は」
ガルモール「ほっといてくれ……」
深く深く、ため息をついたガルモールであった。いつもながら吐く息は白い。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/01(火) 00:34:54.07 ID:9wls1iIzo<> バロミデス「ま、とりあえずだ。その先導者がいー感じに儀式を終わらせれば俺達もこんな辺境から王都に帰れるって訳だ」
ギャラティン「……イエス」
ガルモール「だが、彼が負けた時は……」
バロミデス「そん時は俺らが気張って領地取り返すしかないわな。今以上に忙しくなるだろ」
アカネ「勝てる訳ないし、その時は頼りにしてるよ! すのうがる達!」
ガルモール「あ、あの、アカネさん……俺は?」
アカネ「ん? あぁ、ガルモール君もね」
ガルモール「アカネさん……!」
先導者が王都で仲間を集めている時も、戦い続ける者たちが居た。
ここまで。明日は本編で。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/01(火) 10:05:08.29 ID:nqn9PzTao<> 乙
ギャラティンさんチーッス <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 01:23:17.29 ID:7CZyTango<> 投下始めます。
ちなみに選択肢2はアラバスターオウル、選択肢3は小妖精の鼓笛隊でした
ケイの魅力的な提案を振り切り、男はブラスターブレードと共に街を歩いていた。
城の正門へと連なる大通りである。人通りも多く、活気がある。
男「しかし、なんか見慣れねぇ」
BB「そうは言われてもな。私も常日頃から鎧を着こんでいる訳ではないさ」
苦笑するブラスターブレードは鎧も兜も脱いでいる。普段は人目にさらされる事のない金の髪が風に揺れた。
ただ、その背には変わらず勇気の剣がある。
男「今はプライベートって事か」
BB「そういう事になる」
男「それじゃ、その『私』ってのやめてくれよ。『俺』ってのが素なんだろ?」
BB「……そうだな。なら、今はブラスターブレードではなくリューと呼んでくれ」
そうして話している内に、ブラスターブレードはとある建物の前で立ち止まる。
見上げるほど巨大な建築であった。華美にして豪奢、流石に大きさという点では王城には敵わないが派手さなら十分張り合えるだろう。
男「……なぁ、リュー。ここなのか?」
BB「経営者の趣味が透けて見えるような悪趣味さだろう?」
リューが呼び鈴を鳴らすと、内側からドアが開かれた。しかも可愛い女の子。
彼女はリューの顔を見るや否や、驚いた様子で店の奥へと駆けて行った。
男「……どーゆー事?」
BB「騎士は上客だからな。こういう時は店主自ら相手をするんだ」
しばらくして二人の前に現れたのは、鎧を着こんだ小男だった。
男(……ゴヴァノン)
男にも見覚えがある、ドロートリガー『武器商人ゴヴァノン』だ。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 01:24:00.64 ID:7CZyTango<> ゴヴァノン「へっへっへ、ブラスターブレードの旦那。あんたが来るなんて珍しい」
BB「俺が武器を欲しい訳ではない。彼に儀礼用の剣を見繕ってほしいのだ」
ちらと、ゴヴァノンの瞳が男を捉える。蛇がなめまわすかのような、その視線。
ゴヴァノン「……ほっほぉー。その恰好、あんたが噂の先導者様ですな」
ゴヴァノンは、にたりと笑う。
ゴヴァノン「となれば、旦那。見た目に雄々しいものをとにかく選べばいい訳で?」
BB「あぁ、頼もう」
ゴヴァノンがパチンと指を鳴らす。するとどこに隠れていたのか、可憐な少女たちが店中を飛び回った。
しばらくして、一振りの刀剣がゴヴァノンの手に収まる。
ゴヴァノン「これなんかは如何でしょう? メガラニカで採れる海底の宝石をあしらった、この世に二つとない宝剣でさぁ」
柄に鞘にと蒼い宝石があしらわれた剣だ。鞘から抜けば、刃も美しい銀色に輝いている。
男には剣の実用性というものは分からないが、少なくとも目の前の剣がそこらの美術品と同等程度には美しい事が分かった。自然と感嘆のため息が出る。
BB「気に入ったようだな、先導者殿」
男「え……っ、あ、でもさ! 良く考えたら俺、金も何もないんだけど!」
BB「ここは俺が払っておくさ」
差し出された紙にリューがサインをする。この世界での金の単位は分からない、男はただぼうっとその背中を見つめているしかない。
ゴヴァノン「しかし、ブラスターブレードの旦那も豪儀な事ですなぁ。一等地に屋敷三軒買えるほどの金額を即決とは」
男「ぶっ!」
吹いた。
BB「どうした?」
男「た、っ、たっ、高いわー! なぁ、俺結局そんなに剣振る事も無いんだし、そこまでのものはいらないって!」
BB「気にするな、こんな機会でもないと資産を使う事はないんだ」
金ではなく資産と言うあたりが、動く金の大きさを物語っている。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 01:24:28.90 ID:7CZyTango<> 男「で、でも……!」
BB「先導者殿が帰った後には、家宝にでもさせて頂こう。君がここにいた証としてな」
良い笑顔で応えられては、男としても立つ瀬がない。
ならば、と。ゴヴァノンに向き合う。
男「……なぁ、高額商品を買う代わり……って訳じゃないんだが、頼みがある」
ゴヴァノン「あたしにも部隊に入れって事ですかい? そういう話ならお受けしますが」
図星であった。言い当てられ、二の句が継げなくなる。
ロイヤルパラディンのデッキは展開力に優れるとはいえ、出来ればドロートリガーは採用しておきたい。彼は適任であった。
ゴヴァノン「実際あたし自身がボコスカやる訳でもねぇですしね。良い宣伝になるってもんです」
それは本心なのであろう、ゴヴァノンはにたりと笑った。
男の手に輝きが舞い降りる。どうにも翻弄されっぱなしの一日だ。
〜〜〜
自分の部屋のベッドの上で、男は剣を眺めていた。
ブラスターブレードの勇気の兵装などに通ずる能力の類などこそないが、この刃は武器としても有用な方らしい。
護身のために剣も学ばないかと誘われたところだ。
男(まぁ、それは保留としても……とりあえず構成を考えなきゃな)
ある意味厄介と言えるのがケイの存在である。彼は場にブラスターブレードが居なければ意味のない存在だ。
ばーくがる達により比較的出易くなっているとはいえ、それでもG3になる頃にはもう一枚欲しくなってしまう。
男(つー訳であいつらの内の誰かと仲が良ければだが……次は魔法カード、もといガンスロットさんかな)
そうこう考えている内に扉が開いた。
そこにはケイが立っている。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 01:25:04.68 ID:7CZyTango<> 男「おぉ、ブラザー。何をしにきたんだ」
ケイ「いや、っつか部屋近いんだけどな」
男「おぉ、同じ寮だったのか」
ケイ「ま、それはともかく。手紙が届いてたぞ」
それだけ言うと、彼はそそくさと部屋から立ち去って行った。何か用事でもあるのだろうか。
彼に手渡されたそれは、紙を折り畳んでいるだけの簡素な書簡だった。
開き、読む。
――先導者よ、現状に悩み停滞しているのならば賢者の庵を訪れるがいい
――力ある賢者が、君を私の下へと誘ってくれるだろう
――私は君を導く力がある。君に道を指し示すことが出来る
――ただ、私の助けが必要なければ自らの道を行くといい。君は先導者なのだから
――導きの賢者より 盟友に向けて
手紙を一通り読み終わり、畳む。
男「導きの賢者……か」
正直ユニットとしての彼は魅力的ではないが、その内容には興味がある。
さて、どうするべきか
今日はここまで。毎日更新を目指すとどうしても色々荒くなっちゃう。
入手カード:『武器商人ゴヴァノン』
という訳で選択肢です。これでG3と一部のユニットが決まります。FVばーくがるだからどっちも強力ではありませんが。
1、導きの賢者の言葉を頼り、賢者の庵へと向かう
2、自身の決めた選択を信じ、ガンスロッドを探す。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 01:26:14.37 ID:7CZyTango<> っとぉ! 同じ過ちを繰り返している! 危ない所でした
安価は>>86で <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/05/02(水) 03:56:25.55 ID:iL1dFUlEo<> 正直どっちもいらな・・・2でお願いします! <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/02(水) 10:54:49.93 ID:o7XdsBiFo<> 乙・THE・ヴァンガード
魔法…ガンスさんなら妥当といえば妥当だな <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 23:51:08.34 ID:7CZyTango<> >>86
ゼノンさんの産廃っぷりは異常
ガンスロッド√で投下開始させていただきます
ちなみに「1」を選べばデメリットとしてwゼノンorバイロンが入る代わり、過去の世界を見てアルフレッド・アーリーを入手するルートでした
賢者の言葉は魅力的ではあるが、しかし自分で決めた道を貫き通すのが一番だと思った。
自分は先導者だ。悩んだ様子を見せるより、自分の力で物事を切り開く方が信用も得られやすいだろう。そう思ったからでもある。
男「なぁ、ブラスターブレード……ガンスロットって知ってるか?」
BB「あぁ、彼か。この国でガンスロッド卿の事を知らない者はいないだろうな」
今、男は城の裏手で大の字になっていた。
ブラスターブレードの剣術修行は苦しかった。とりあえず素振りなのだが、姿勢が悪ければ何度もやり直させられる。初めの内に癖がついては上達が遅れるから――らしい。
調子に乗って一度勝負を挑んではみたものの、無手の彼に三秒で叩き伏せられた。
BB「ガンスロッド卿は英雄だよ。私の憧れでもある」
ただひとりで戦場に切り込む孤高の騎士。その姿は、勇気の剣で戦場の先駆けとなるブラスターブレードにとってはまさに最終形ともいえる姿だろう。
だがその戦場での勇名とは逆に、彼の評価はそれほど芳しいものでもないようだ。
ここに来る前に同じ話を振ったケイの言葉を思い出す。
ケイ『あぁ? ガンスロッド卿ったらあの死にたがりの突撃野郎か。仲間と足並みそろえず勝手に敵を倒しちまうって言う』
ケイ『一応はあの強さで認められてる所はあるけどな、あいつの下でだけは絶対戦えないね。一度会ったが、こっちと話す気もないようだぜ』
ケイ『式典だって勲章授与だってぶっちが当たり前、あいつに比べりゃバロミデス卿のがよっぽど騎士の称号にふさわしいぜ』
ロイヤルパラディンはヒューマンが中心となって出来た組織だ。騎士の称号を戴くのはヒューマンのみである。
現在の王であるアルフレッドは種族の垣根なく騎士団を作っているが、それでもある種のけじめとしてこの決まりだけは破っていないらしい。
男「……英雄で、嫌われものねぇ」
男はおそらく知っている、ガンスロッドがただの騎士として存在できない理由を。
そしてその理由は恐らく、ブラスターブレードとばーくがるの問題より根が深いだろうという事を。
男「なぁ、ブラスターブレード。あんた、ガンスロッドがどんな奴でも受け入れられるか?」
BB「……どういう事だ? 彼を侮辱するなら、いくら先導者殿とは言えあまり温厚ではいられないぞ」
男「いや……そうじゃなくてさ。例えば、あいつがずっと……皆を騙してここにいるって言ったら、どうする?」
BB「それは……」
男「それは人によっては些細な事かもしれないし、とても大きな事かもしれない。そこら辺の認識は、別世界から来た俺には分からないけど」
BB「彼とは……一度話をしたことがある。言葉少なではあったが、澄んだ目をした方だった。彼は真実、騎士として戦う人だ」
男「そこに嘘はないんだけどな。まぁ、上手く説明できん」
少しは体を休めることが出来た。全身を伸ばしてから、男は跳ね起きる。
男「とりあえず、今はこっちに来てるんだろう? 話してみるさ、出来ればガンスロッドも仲間にしたいんだ」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 23:51:51.41 ID:7CZyTango<>
〜〜〜
ガンスロッドの生まれた家は領地を持つれっきとした騎士だった。よって彼が騎士となるのも必然であった。
彼のように領地を持つ騎士は普段自分の領地を守る事になる。王都に来るのは用事がある時だけだ。
男「んで、丁度それがかみ合ってよかったって事だな」
城の正門前に待てば、白銀の鎧をまとった騎士――ガンスロッドが城の扉を潜って現れた。
彼は三日ほどこちらに滞在するらしい。チャンスはその間だけだ。
男「どうも、ガンスロッド」
片手をあげ、気さくに挨拶する。切れ長の瞳が観察するように男を睨む。
ガンスロッド「……貴方は、何者ですか?」
硬質の声だった。警戒されていると、それだけで分かる。
男「先導者だよ。騎士王に聞かなかったか?」
ガンスロッド「先導者……そうですか」
一度頭を下げ、ガンスロッドは男の脇を通り過ぎようとする。
いきなりの事に驚く男の方を見ようともせず、彼は歩き続ける。
男「ちょ、ちょっと待てよ! 俺はあんたにも仲間になって欲しいって言ってるんだぜ!」
ガンスロッド「私にはそのような大役、似合いません」
彼は振り返るどころか、歩調を緩める事もしなかった。
仕方ない――男の行動は一か八かのものだった、最後の手だ。しかしここまで取り付く島もないのなら今言うしかない。
男は急いでガンスロッドの肩に手をかける。
男「俺は、お前の秘密を知っている」
ガンスロッド「……!」
初めてガンスロッドは歩を止める。
振り返る彼の顔は青ざめていた。
ガンスロッド「それで、どうするのです? 私を脅して従わせようとでも?」
男「違ぇよ。それが理由だってんなら、俺が相談に乗りたいって言ってるんだ」
男には根拠のない自信があった。以前に一つ問題を解決したという事で、積極的に踏み出す気持ちが付いていた。
笑みすら浮かべながら、男はガンスロッドの目を見る。
男「俺は元々その話を知ってるし、話をするには適任だと思わないか?」
ガンスロッド「…………」
男「それに異世界の人間だしよ、後腐れもない。自分で言うのもなんだが、話位なら聞けるしさ」
ガンスロッド「……ッ!」
男「一応仲間にしたいって下心はあるが、それでもそれだからこそ本気で……」
ガンスロッド「…………です」
男「は?」
ガンスロッド「迷惑だと! そう言ったんです!」
男が茫然としている内に、ガンスロッドは城の外へと走り去っていった。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/02(水) 23:54:17.96 ID:7CZyTango<>
〜〜
王都よりほど近い場所にある聖なる森の中心部。
世界樹と呼ばれる、ユナイテッドサンクチュアリを支える巨木――その麓に、一人の少女が跪いていた。
やがて、世界樹の広場に馬の蹄の音が響く。共に暮らすユニコーンかと少女が振り向くと、そこには馬に跨る騎士。
「久しぶりですね……ガンスロッド」
穏やかに少女は微笑む。
「王都に来る機会があったもので……御無沙汰しておりました、エレイン様」
同じく、男に向けたのとは全く違う柔らかな表情で微笑む騎士。
兜を取った彼の耳はつんと尖っていた。目の前の少女と同じように。
今日はここまで
冒頭ではゼノンを産廃と言いましたが、決まればかっこよすぎるお人だと思う。そもそもデッキに入れてる人と当たった事ありませんが、 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/03(木) 09:57:25.02 ID:RqnAf/S1o<> 乙・THE・ヴァンガード
ゼノンは…SPはかざってあるよ…うん <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/05/03(木) 16:33:00.20 ID:t99IKhGAO<> 乙
ガンスロッドは浪漫と言われるのに
ゼノンは産廃と言われネタにもされない。
この差はいったい… <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/04(金) 02:03:25.60 ID:7yTQvJNHo<> >>92
ソウル五枚溜めた時点でゼノンの効果でソウルセイバー引いてホーリーチャージングロアードヤァとかコンボ×運ゲの割にリターン少なすぐるでしょう……
ゼノンさんは「一枚しかめくれない」「6000」「強制」「早期ライドに使えない」「圧縮どころかトリガーが落ちる」と全方面に自重した遠慮の塊やでぇ……
投下始めます。今回はもうほぼ一人語り。
お前はなんだと問われたら、「人間です」と答えるように教育されてきた。
しかし鏡に映る自身の姿に戸惑いを覚える。そのつんと尖った耳は使用人にも祖父母達にもない彼だけの特徴だった。
――ぼくは、なんなのだろう
髪を切る事は許されなかった。友を作る事は許されなかった。
ただ毎日、剣を振り教養を叩き込まれる。彼の生き様はまさに騎士となる為だけのものだった。
――ぼくは、だれなんだろう
愛などここにはなかった。少年の知る愛とは、おとぎ話の中にある虚構のものだった。
エルフという存在を物語の中で知った。彼らは耳が尖って、人より長寿で聡明であるという。
――ぼくと、おなじなのかな
祖父に尋ねた。
彼は顔を真っ赤にして、まだ幼い少年の横面を殴り飛ばした。
「汚らわしい! あぁ、汚らわしい! 貴様も我らを見下すか!」
誰も少年の顔を治療したがらなかった。放っておいた傷はじくじくと痛む。
じくじくと、じくじくと。
――ぼくが、ぼくをさがすいみはあるんだろうか
傷の痛みが引いてきた頃、そう思った。
傷は放っておけば塞がるのだ。ならば余計に広げる必要はない。
僕は無抵抗だ、好きなだけ傷を広げればいい。自分から傷を増やすような真似はしないよ――と。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/04(金) 02:04:28.28 ID:7yTQvJNHo<> ――ぼくは、きしになる
剣を振った。剣を振った。剣を振った。
諦念は痛みを鈍らせる。少年は自身を自身と認識する事をやめた。ただ他人のように、誰かが言うとおりに身体を動かし続けた。
誰かがやれと言ったから強くなる。上達する少年を、祖父を初めとする人々は気味悪げに見つめていた。
――私は、騎士となった
少年は青年となっていた。
その頃にはもう誰も彼に敵うものなどいなかった。
「混血だからだ」「忌み子だからだ」「穢れが力を貸している」「あんな混ざりものなど」
使用人たちは口々に言う。このころには最早公然の秘密だ。家以外では秘密というだけで、ここにいれば青年の境遇は知れ渡っている。
騎士の青年と、エルフの王女。二人は恋に落ち、駆け落ちした。
騎士の家はロイヤルパラディンの守旧派だった。兄弟が死にその家のたった一人の後継ぎとなった彼には恋愛結婚など、そもそも異種との結婚など許されるはずがなかった。
王女の家はかつての騎士団に弾圧された国だった。国内でいがみ合っていたのは遥か過去の出来事だが、長い寿命を持つエルフ達はそれを許してはいなかった。
結ばれないと分かり、実行するしかなかった安易な逃避行。彼らの不幸は、この一帯が騎士の家と同じ考えか、そうでなければ王女の家と同じ考えを持っていた事だ。
結果、二人は命を落とした。二人は二人であったからこそどこにも受け入れられず飢えて命を落とした。
ただ、その亡骸の胸に新しい命を抱いて――
青年はもう全てを知っていた。耳を澄ませば使用人の囁き程度自然に聞こえてくる。
――だが、それがなんだというのだ
既に青年の心は諦念に包まれていた。今更父母がそのような存在だと知っても、一切心動く事はない。
アルフレッド王から騎士と認められた時には心動いたが、やる事自体は変わらない。
戦で剣を振る。それだけならばいつもやっている事と変わらない。青年は確実に戦果をあげていった。
――私は、ただ戦えばいい
自分の死について深く考えた事はない。死ねば死ぬでいいと思っていた。目標もないのだ、死にたくないと思う理由なんてない。
――戦うだけでいいのだ <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/04(金) 02:10:28.18 ID:7yTQvJNHo<>
〜〜〜
世界樹に腰掛け、ガンスロッドは穏やかな表情で風を感じていた。
傍らに座るエレインが、困ったように微笑む。
エレイン「先日の戦も一人で戦ったと聞きましたよ、ガンスロッド」
ガンスロッド「……戦果を挙げたのだから、いいでしょう」
拗ねた子供のようにそっぽを向くガンスロッド。
エレイン「……私は、貴方を心配しているのです」
ガンスロッド「心配など不要です。私はただ、王の為に戦い、王の為に死ねれば……他に、欲しいものなど想像もつきません」
エレイン「私は……」
ガンスロッド「この話はやめましょう……今はただ、心地良く居たいのです」
ガンスロッドは目を閉じる。困ったような顔の彼女から目をそらすように。
ガンスロッド「私の安らぎはここにしかないのですから……」
今日はここまで。
台詞以外が多いから読むのかったりぃって人向けに簡単に纏めますと
祖父「駆け落ちした息子がエルフの王女との間に作った子供とかマジないわ。とりあえず騎士にはなれよ」
ショタガンスさん「言う事聞いてた方が楽だよぉ……ふえぇ……」
〜そして現在〜
ただでさえ天使のエレインさん「あらあら駄目よガンスちゃん、ちゃんとしないと」
やさぐれガンス「アルフレッドの為に死ねれば本望です」
腐(え……っ!? このSSって騎士王×BBじゃなくてガンス×騎士王なの……!?)
って感じですね。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/04(金) 10:57:16.48 ID:qBFsIYNso<> 乙・THE・ヴァンガード
とりあえず友人とファイトしてみたがノヴァつえぇ… <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/06(日) 00:27:36.75 ID:q8bH58iPo<> 一日空きました、申し訳ありません。とうとうペース落ちてきた。
>>96
獣神とはファイトした事ない……やってみたい……
では、投下始めます。
ばーくがる「……!」
男「あばばばばばばば! ちょちょちょタンマぁ!」
男の叫び虚しく、ばーくがるの訓練用の刃を落とした短剣が振り下ろされた。
頭に直撃。激痛に男はしゃがみこむ。
男「うおおおぉおぉ……犬にすら一矢報いることが出来ない……!」
ケイ「あっはっは。ハイドッグを舐めすぎだよ兄弟」
BB「ハイドッグと騎士に垣根はないからな、実力はそう変わらん」
傍でその訓練を眺めていた二人は、ともに笑う。
ブラスターブレードの訓練の延長であった。最近毎日剣を振ってる気がする、と男はため息をつく。
BB「今日はそろそろ終わりにしようか。我らが先導者様が、筋肉痛で明日腕が上がらない……など、恰好がつかんしな」
男「うへぇ……やっぱ明日もか……」
BB「心身を鍛えるのはいい事だよ」
正直、剣を買った事を真剣に後悔し始めている男であった。
ケイ「ま、とりあえず飯いこーぜ。ばーくがるにはお留守番してもらってさ」
男「おぉ……飯……腹減ったー……」
ケイ「ま、話しときたい事もあるしよ。俺とリューの大将、あんたの部下の騎士が揃ってる内にな」
男「?」
BB「…………」
ケイ「ガンスロッド卿、結局あいつをどうするかって話だ」 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/06(日) 00:28:03.13 ID:q8bH58iPo<> 〜〜〜
肉の焼ける匂いと、酒と煙草の入り混じった臭い。顔を寄せ合わなければお互いの声も聞こえないほどの喧騒だ。
そんな大衆酒場に、三人は居た。
BB「このような所で食事をすることもあるのか……ケイ」
渋い顔で辺りを見回すブラスターブレードは特徴的な鎧を外し、金の髪を曝している。彼の素性に気付く者はこの酒場にはいないようだった。
対し、ケイはにやりと笑う。
ケイ「守るべき民衆の生活を知るってのも大事だぜ? それに、一夜のお供は下町が一番見つかりやすいんだよなぁ」
BB「やめろ、下世話な話をするな」
ケイ「ちぇー、大将は相変わらずお堅いでやんの」
頼んだ麦酒が二人分――そう、二人分――運ばれてきて、ブラスターブレードとケイはそれぞれ手に取った。
男はというと、委縮したまま水を手にしている。
ケイ「なぁんだ兄弟? 暗いぞぉ? スマイルスマイル」
男「俺は未成年だって言っただろォー!?」
ケイ「その、みせーねんってのがよく分からねぇ。飲みたきゃ飲めばいいじゃねぇか」
異世界に彼の理屈は通用しなかった。先に運ばれた食事にちまちま手を付けるしかない。
ケイ「……で、ガンスロッド卿についてだ。今日含めて二日が滞在期間って、お前それ不味いんじゃねェの?」
BB「あぁ……言ってくれれば修行も切り上げたのだが」
男「……いや、それがさ、言いにくい事に……」
男は昨日の経緯を二人に話す。勿論、大事な部分を伏せて。
呼び止めて、拒絶された。しつこく話しかけて自分なりに歩み寄ってみたが、迷惑だと突っぱねられた。
ケイ「……で、ヘタれた我らが先導者様は修行に逃げたと」
男「いや、まぁ……あぁ、そうだよ! 悪いか!」
ケイ「悪いわ! 俺も大将も、あんたの勝利に懸けてここにいるって事を忘れんなよ」
正論であった。水を飲み、落ち着く男。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/06(日) 00:29:34.22 ID:q8bH58iPo<> 男「まぁ、俺は何も逃げる為だけに一日を消費したわけじゃないんだ」
ケイ「その心は?」
男「なんか考えある?」
ケイ「丸投げじゃねぇか」
男「正直すまんかった」
とは言っても、男にも確たる答えがある訳ではない。意見を聞くのは間違った事ではなかった。
BB「しかしケイ、お前はガンスロッド卿を嫌っていたのではなかったか?」
ケイ「あー、個人的には好かねぇよ。この友誼の名に懸けてな。ただ、あんたら二人が信じるなら俺も信じてみてもいいって気になるだけだ」
男「ケイ……」
ケイ「だ・か・ら、お前がしっかりしないといけないんだっての!」
男「ひゃい!」
BB「……しかし先導者殿、俺達に隠している事があるな? 例のこの前の話だ」
ケイ「ぬっ、そんなのあんのか?」
BB「あぁ。ガンスロッド卿の秘密……それを知らねば、我々も助言のしようがないのだが」
二人の視線が集まる。
このことは軽々しく言っていい事ではない。だが、自分一人の力では限界があるのも確かだ。
どうするのが最善か、ここで考えなければならない――
今日はここまで。
今回の安価は「ガンスロッド&○○仲間にできるか判定」。この選択で分岐します。
>>100
1、BBとケイにガンスロッドの事情を話し力を借りる
2、自分の力のみで解決しようと試みる
3、騎士王に頼る
何気に安価がキリ番!
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2012/05/06(日) 00:54:20.45 ID:OP5E4vQa0<> 3、
誰も頼らない彼がなぜ騎士王には忠誠を誓うのか、
それがカギのような気がする。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/06(日) 02:34:18.82 ID:3VCTowXWo<> おっつおっつ
>>97
アズールとアシュラの相性がかなりよくてなぁ
ジェノサイドジョーカーとかドロイドさんと一緒来ると止められんのよ… <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/05/13(日) 02:22:48.21 ID:TkyaltKAO<> 黒鋼の戦機(5月26日発売)発売まで保守。
ロイパラ使いとしてはペンドラゴンに期待。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/13(日) 21:55:42.75 ID:xumTBqHSo<> すんません最近忙しくて書いてなかったらカケナイ病に感染してもうどうしていいか状態で、とりあえず細切れにして生存報告代わりだけ
男「――悪いけど、お前らにも軽々と話せる事じゃないんだ」
それが男の正直な気持ちだった。
ガンスロッドの様子は尋常ではなかった。この国に来て日が浅い男にも、よほどの事なのだというぐらいは分かる。
男(なんか、告げ口みたいで気が引けるしなぁ)
男の言葉を聞き、ケイとブラスターブレードは揃って呆れたような顔をした。
ケイ「お前なぁ、人に助けを求めておいてそれはどうよ」
BB「それほど俺達に聞かれては都合の悪い事なのか?」
男「都合悪いってーかなんてーか……やっぱり、ガンスロッドとまず和解しなきゃ、言っちゃならない事だと思う」
ケイ「……まぁ、そこまで言うならいいけどよ。結局どうするんだ? 卿の事は諦めんのか?」
男「そこなんだよなぁ……」
BB「俺達にも話せないというのなら、騎士王はどうだ?」
男「あー……」
BB「信頼という意味でなら、これ以上のお方はいないだろう。先導者ならそれほど労せずに謁見も叶うだろうしな」
確かにそれは一つの手だ。
実際にあの事を話すかどうかは別にしても、騎士王は確か――設定に置いて、ガンスロッドが忠誠を誓っていると書かれていた。
男「よしっ、行ってくる!」
BB「あ、まてまて。この時間だと――」
ブラスターブレードの制止も聞かず、男は城へと向けて走って行った。 <>
◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/13(日) 21:56:48.15 ID:xumTBqHSo<>
〜〜〜
アルフレッド「さて、話を聞こうか。先導者殿」
男(どうしてこうなった……)
目の前にいるアルフレッドは私服であった。ブラスターブレードと同じく見慣れない。
二人がいるのは私室であった。やはりそれほど大きくもない、豪奢の欠片もない遠慮した部屋だ。
男は焦っていた。こんな風に彼のプライベートに踏み入るつもりはなかったのだ。
しかしどうにも、彼は今日の仕事を終えて部屋に引き返すところだったらしい。それなら明日で……と、そのつもりだったのだが。
アルフレッド『先導者殿の用件となれば、私にとっては急務だよ。部屋でよければ話を聞こう』
という事になってしまったのだ。
ここまでになってしまうとむしろ好意を無下にする訳にもいかない。
男「あー、いや、えっと……」
手持無沙汰に部屋を見回すと、そこには一枚の絵画があった。
赤き空の下に広がる剣の荒野、大地に剣を預けた若き騎士王とその傍らの騎士――カードにおける『アルフレッド・アーリー』に酷似している。
男「これは……」
アルフレッド「若く、まだ愚かだった私だよ。良き思い出でもあり、そして自分への戒めのつもりでもある」
男「愚か……?」
アルフレッド「この時の私は、敵を倒せば平和が訪れると思っていた……和平も、外交も、貿易も、そんなものは日和った考えだと思っていた」
懐かしそうに、アルフレッドは目を細める。
アルフレッド「――そして、無二の友を失った」
男「……それは」
アルフレッド「そこに描かれているのは君の知るリューという男ではない。先代のブラスターブレードだ」
ブラスターブレードとは勇気の兵装の名であり、それを受け継いだ騎士の名。
ならばリューの前にもブラスターブレードがいるのは道理だ。
男「友達が死んだから、今度は一滴も血を流さない戦いっすか? そんな、極端な……」
アルフレッド「そうかもしれん。何分、不器用でな」
苦笑するアルフレッドの表情の奥には、何か複雑なものがあった。
それ以上は踏み込めない。そう判断し、本題に切り込む。
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◆0P69WzWl.g<>saga<>2012/05/13(日) 21:58:38.78 ID:xumTBqHSo<> 男「王は、ガンスロッドの事をどう思っていますか?」
アルフレッド「ほう。先導者殿、今度はアルフレッド卿に目を付けたか」
男「そういう言い方はやめてください。自覚しちゃいるけど、やっぱ気が引ける」
アルフレッド「……あれがどういう存在か、先導者殿は知っているか?」
神妙な表情、空気が変わる。男はつばを飲み込み、頷いた。
アルフレッド「だからこそ、私は彼に期待している」
男「ロイヤルパラディンの因襲を打ち破れるかもしれない、と?」
騎士と、それ以外。
両者に差はないというのが公式の見解だが、やはりそこに軋轢は生まれる。
――汚らわしい
ヒューマンの一部はそう口にする。
――何故平等でないのか
ヒューマン以外の一部はそう口にする。
それはユナイテッドサンクチュアリ、その中でも特にロイヤルパラディンが抱える癌だ。
男「だから、ガンスロットから騎士の号を剥奪していないという事ですか?」
アルフレッド「と、いうよりもな。私は彼に懸け、選択を託しているのだ」
ここまで
>>101
なるほど、こうして見るとノヴァも結構火力高いですね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/14(月) 10:15:13.83 ID:AjqbbxExo<> 乙
生存報告さえしてくれれば大丈夫
ゆっくりいこうぜ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/05/25(金) 15:13:28.04 ID:XzMf/JsAO<> この話を見てると中世っぽいイメージをしてしまうが、
高層ビルが建っていたりと科学も発展していたはず。
一般人がどんな服装をしているのか気になる。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)<>sage<>2012/05/25(金) 15:32:39.37 ID:3xz/2O99o<> 櫂「イメージしろ」
国家とかクランでだいぶ差があるんだろうな
ユニットだけでも着物やら鎧やらスーツやらいるし <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/05/28(月) 19:11:58.54 ID:aZ7KvrTAO<> >>1が来るまで先導者&ブラスターブレードと別れたケイが
どんな一夜の相手を見つけたのかイメージしよう。
ズー出身のワービーストな娘を一晩中モフモフしてるイメージ。
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)<>sage<>2012/07/13(金) 11:16:14.99 ID:QXHpGuwAO<> もう来ないかな?
フレイバーファンとしてはユニット主体の話は応援したかったけど <>