SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/17(土) 10:26:33.75 ID:j2GBJ3qyo<>番外「ああ眠い。ねぇ何か面白いことしてよ。チョーカーのスイッチ入れたら爆散しちゃうのとかどう？」
一方「しねェよ。眠いなら寝てりゃァいいだろ」
番外「暇だなぁ。ほんとにどうかしてるよ」
番外個体には暇の使い道がわからない。
何の目的もない時間というものをすっかり持て余していた。
彼女の作られた目的は殺しという夢のないものだったが、目的には違いなかった。
それがシンプルではっきりしたものだった分いまの状態がどうにも落ち着かない。
学園都市に使い潰されない手を探るという名目で一方通行と手を結んだ番外個体。
それも彼の凱旋とともに一応は果たされた。
いまできることと言えば、フレメアの時のように闇が再び動くことがないか気を巡らせることくらい。
平穏な時間の使い道など知らない。生きるつもりのなかった先を得ても困ってしまう。<>番外個体「家出する」一方通行「はァ？」
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/17(土) 10:28:10.23 ID:j2GBJ3qyo<> 一方通行も平穏を持て余しているのは番外個体と同じだろうが、日常に馴染もうと努力する気はあるようだ。
隙あらば雑用を押しつける黄泉川に文句は言いつつ、何だかんだで言うことを聞いている。
0831のあと、彼は一度打ち止めとの穏やかな日常を過ごしている。
けれどそれは一月しか続かず、彼は0930の事件で最終信号を救うために
戦った。そしてより深い闇に引き戻されたと聞いている。
日常復帰のリハビリは、もう二度と平穏を失うつもりはないという彼の意思表示なのかもしれない。
一方通行には打ち止めという日常に帰る動機がある。それが番外個体には気に入らない。
馴染むもなにも番外個体は血の臭いのしない日常というものを知らない。
学習装置からの知識はあっても経験はなく、どうすれば馴染んだことになるかピンとこない。
黄泉川は何かと買い出しだの家事の手伝いだのを言いつけてくる。
それは番外個体たちを平穏に慣れさせる訓練のつもりなのだろう。
番外個体だって日常に馴染む必要性は感じている。
けれど、人と同じ振る舞いをしていれば日常にいることになるのか？この場違い感が薄まるのか？
平穏に馴染んだ先が、一方通行には見えているのだろうか。
打ち止め「お昼寝するの？ミサカもー！ってミサカはミサカはあなたの懐にもぐり込んでみたり」
番外「番外個体にでも相手してもらえ。暇なんだとよ」
打ち止め「むむ。ならばリベンジ！今日こそ番外個体に勝つのだってミサカはミサカはゲームのセッティングを始めてみたり！」
番外「おチビはマゾなわけ？やだ親御さん、あなたの変態が大切な最終信号にうつっちゃってるよぉぎゃはは！」
一方通行が守りたいのは打ち止めが笑っている世界だ。
彼女といるためなら似合わないおつかいにだって出掛けるし、彼女がいなければまずここにいないだろう。
打ち止め「ミサカだって負けっぱなしじゃないもん！」
番外「おチビは次の手が見え見えなんだよ。ほーらロックしたぞぉ？」
打ち止め「ううううー！」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/17(土) 10:29:15.66 ID:j2GBJ3qyo<> 二人がプレイしているのは対戦型シューティングゲーム。
番外個体が打ち止めの後ろにつける。ここから通常弾で体力を削り、溜めビームで決着がつくのがお決まりのパターンだ。
番外「あと何発踏ん張れるかなぁ？」
打ち止め「まだまだー！勝負は最後までわからないんだからってミサカはミサカは急上昇から背後を狙ってみたり！」
番外「ぎゃはっ全部口から出てたら勝てっこないって！」
打ち止めは動きが素直すぎて、パターンにはめられていることも気付いているか怪しい。
適当に何戦か相手をすればぶーたれながら大人しくなるだろう。そうしたらうとうとし始めた一方通行で遊ぼう。
何をすれば効果的に嫌がらせられるか考えつつ、そろそろ一回戦は終わりが見えてきた。
そこへ、
一方「…オイ、大人気ねェんじゃねェの」
ボソッと、番外個体にだけ聞こえるくらいの声で一方通行が言う。
寝たように見えて戦況を把握していたらしい。
いつもそうだ。打ち止めのことがあいつの頭から消えたことなんてないのだ。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:30:40.46 ID:j2GBJ3qyo<> 番外「何、おチビに勝たせてあげろって？さすが親御さんやっさしいー！
ひいきですぁ！？ぎゃははは！」
一方「…」
急にゲームがどうでもよくなる。
遊んでやれって言ったのは・・
打ち止め「よっしゃー今度はミサカがロックオン！反撃の時はきたりーー！
ってあれ？なんで番外個体逃げないのってミサカはミサカは首をかしげてみたり」
打ち止めの連射を受けて、動きを止めた番外個体の機体の体力ははごりごりと削られていく。
番外「んー。不憫なそのボディに免じて、今日は最終信号に花をもたせてあげようかな☆」
打ち止め「不憫じゃないもん！ミサカのちんまりボディには未来への希望が詰まってるの！って
ミサカはミサカは現時点での勝負ありは断固認めないんだからー！」
番外「まぁつまり現時点では残念だよね☆」
打ち止め「きいいいいいいい！！おんなじクローンでこの格差は納得いかないって
ミサカはミサカはヨシカワーーーー！！」
研究者のところへ直談判しに行くようだ。また胡散臭い豊胸グッズをかっぱらってくるのだろう。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:31:30.13 ID:j2GBJ3qyo<> さて。
狸寝入りを決めようとしている一方通行へ番外個体はニマニマと笑いながら這い寄る。
番外「おんなじクローン、だってさ？
ねぇ親御さん、ミサカ最終信号に勝ちをあげたよ？このミサカのほうが妹だっていうのにさ！」
やっぱり小さいほうがかわいいわけぇ？この変態っ！」
一方「・・・そんなんじゃねェよ」
一方通行は何の気なしに言ったのだろう。
一度も番外個体に勝ったことのない打ち止めをほんの少し気の毒に思っただけだろう。
そのほんの少しの気持ちの傾きが、今日はやけに気に障る。
番外「あなたはいいよね。居場所があってさ」
一方「あァ？」
番外「最終信号がいるから、ここに帰ってきたんでしょう？
・・・もしこのミサカだけだったら、ここにいなかったでしょう？」
一方「何言ってんだ、オマエ」
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:32:24.52 ID:j2GBJ3qyo<> 本当にそうだ。
こんなことを言うつもりじゃなかった。このミサカと最終信号への扱いの差を引き合いに出して
からかい倒してやるつもりだったのに。
いつもより息がしにくい気がする。家具や天井が迫ってくるような気がする。
なんだかすごく居心地が悪い。
けれど口は止まらない。
番外「ていうかさっきみたいなのってしょっちゅうだよねぇ。ひ・い・きっていうのぉ？
ミサカが最終信号みたいにくっつこうとしたら絶対押しのけるでしょ？」
一方「オマエがやると嫌な予感しかしねェからな」
番外「・・・あなたは、このミサカより最終信号のほうが大切なのよね」
一方「だからオマエさっきからおかしいぞ」
一方通行が戸惑っている。ここのところ番外個体のあしらいに慣れてきた彼にしては
なかなかいい反応だ。
そう、番外個体は一方通行を困らせないために行動したことがない。
だからこれからの行動だってそうなのだ。
出所不明の切迫感に押し切られ、番外個体は宣言する。
番外「ミサカ、家出する」
一方「・・・はァ？」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:33:37.72 ID:j2GBJ3qy0<> 今日の投下は終わりです。
初SSになります。よろしくお願いします。
一週間以内にまた来れると思います。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:36:03.38 ID:5Pm+8I+DO<> ん？
別所で書いてたのの上げ直しなのか？
つーか本人か？ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:42:13.77 ID:j2GBJ3qy0<> 本人です。上げ直しですが話は少し変わります。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:45:31.52 ID:5Pm+8I+DO<> おお、変更点楽しみ
取り敢えず前の読み返してくるわ
がんばれー <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 10:50:21.96 ID:g5kfTxbAO<> 乙
一方さんの話し方だけど『ん』は片仮名の『ン』だぞ
所でワーストたんの家出先って上条さんとこだけしかなくね？ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 11:20:10.43 ID:8TWx6Y6eo<> 地の文ちょっと変じゃね？
｢〜だと聞いている｣のとこ
俺がおかしかったらすまん <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 12:48:33.69 ID:KfdrM47IO<> 色々あるっしょ
浜面んとことかクロにゃんとことかおねーたまんとことか
とにかく期待してます <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 13:12:55.31 ID:Twdfe2u8o<> >>13
俺のところと言わないあたりに紳士性を感じた <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 15:17:23.78 ID:CWrKH4KB0<> 乙
>>13
＋俺の家ですね待ってます。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 21:29:27.05 ID:3tUcxJYAO<> ワーストちゃんは俺の嫁
側室はレッサー <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/17(土) 23:43:49.13 ID:DrVHnyOro<> >>2
＞番外「番外個体にでも相手してもらえ。暇なんだとよ」
これ一方だよな？ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:27:05.66 ID:Z7kV7J2Jo<> >>1です
誤字すみません。ご指摘の通りです
以後気をつけるようにします
それでは本日分投下します
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:27:51.09 ID:Z7kV7J2Jo<> 番外個体は気の向くまま歩き出す。
他の学区に行ってみるのもいいかもしれない。
学区が変われば雰囲気もけっこう変わるものだという。
番外「げ、手持ちがないじゃん」
ファミリーサイドはお小遣い制を採用していない。
一方通行は人生を何度も遊んで暮らせるほどの手持ちがあるし、
芳川は研究者時代の蓄えを切り崩しているようだ。
打ち止めはお金を持たせるとすぐ菓子類に変えるので申告制。
番外個体も誰かに頼めば多分もらえる。
ただなんとなく言い出しそびれ、無邪気に駄菓子代をねだる打ち止めを見送っていた。
番外「ていうか出掛けるときは一方通行が財布だしね」
買い物に行かされるときは大抵一方通行と一緒で、帰りは屋台に寄って買い食いする。
行くのは番外個体のチョイスで甘味系ばかり。
カフェイン中毒者にクリームがどっさりのクレープやらアイスクリームやらを押し付けて、
それを渋い顔でちびちび食べる様を見るのが番外個体の定番の娯楽になっている。
番外「でもなんだかんだ食べるんだよね…いやいや」
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:28:48.75 ID:Z7kV7J2Jo<> とりあえずわかったのは移動手段が徒歩のみになったということだ。
どこまで行きたいと希望があるわけでもないが、少し気分が落ちる。
見えてきたのは公園。景観の維持と子供達の遊び場の確保のためにあちらこちらに作ってあるもののひとつだ。
歩き疲れたらこういう場所で休むのもいいだろう。きっとまたあるし、と通り過ぎようとしたところで。
番外「ん？」
ピリッと微かな刺激が走る。
よく知っている力。近くに電撃使いがいるのかもしれない。それにしても近しい…
番外「あ」
勘のまま振り向いた番外個体の視線の先にいたのは、公園の茂みからこちらを眺めるよく知った顔の少女だった。
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:30:04.98 ID:Z7kV7J2Jo<> 番外「えっと」
？「見つかってしまっては仕方がありませんね。
いえ隠れていたわけではまったくありませんが、とミサカはあなたの鋭さに驚きつつ歩み寄ります」
そう言いつつずんずん近寄ってくる。顔に驚いた風がまるでない。
？「初めまして。ミサカは検体番号10032号、通称御坂妹です。
あなたが上位個体のいう番外個体ですね？とミサカはにこやかに自己紹介と相手の確認を同時にこなします」
全然笑ってない。
番外「あー、そうだよ。ミサカが第三次製造計画の番外個体。最終信号以外の旧妹達に会うのは初めてだよ」
御坂妹「旧とは心外です。第三次製造計画はあなたを生み出した後凍結されたのでしょう？
とミサカはミサカが第一線にいることをアピールします」
番外「知ってるんだ？ああ、ミサカネットワークか。おチビもおしゃべりだよねぇ」
御坂妹「上位個体にはバックアップを頻繁にとる習慣がありますから。
それにミサカ達にとっても他人事ではありません。
計画が進行していれば処分されていたかもしれないのですから、とミサカはあったかもしれない未来に震える肩を抱きます」
震えてもいないし肩も抱いていない。感情表現を言葉に投げすぎだ。
こいつの話し方は説明には便利でも会話には向いていない。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:30:51.63 ID:Z7kV7J2Jo<> 番外「まぁねぇ。でもミサカネットワークは壊れないよ？むしろ性能向上の機会だったじゃん」
御坂妹「え？」
番外「あ、直接体験した記憶を失うのはやっぱ痛いか」
御坂妹「ああ、なるほど、とミサカは懐かしさを覚えつつ納得します」
番外「うん？」
御坂妹「あなたがミサカ達の末の妹だという話です」
抑揚に欠ける声の中に呆れたものを感じ、番外個体はなんとなくおもしろくない。
お姉さん風を吹かせたがるのは打ち止めだけではなかったのか。
御坂妹「さて、立ち話もあれですし移動しませんか？あなたを案内しておきたいところがあるのです、とそれとなくミサカは話題を変えます」
番外「全然それとなくないよ。まぁいいか、ミサカ何にも予定ないし付き合うよ。どこ行くの？」
御坂妹「病院です、とミサカは簡潔さを心がけながら答えます」
番外「えー」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:31:33.70 ID:Z7kV7J2Jo<> 御坂妹「学園都市のミサカ達が身を寄せているところです。腕のいい医者がいるんですよ。
あなたも一度顔を出しておいた方がいいでしょう、とミサカは後輩にナイスアシスト」
番外「病院ってミサカみたいなのが行っても大丈夫なわけ？」
御坂妹「事実ミサカ達はお世話になっているわけですし。
患者がグレーかどうかなんて今更気にしないでしょう、とミサカはカエル医者の器の大きさをほめます」
番外「カエル？いいけど。本当にあてがないし」
御坂妹「ふむ、今日は上位個体や一方通行はどうしたのですか？
よく一緒に出かけている光景をライブ配信で見かけますが、とミサカはあなた方の日常がミサカネットワークに晒されていることを報告します」
番外「プライバシーも何もないよね。うーん、今日はフリーなの」
御坂妹「そうですか。てっきり家出でもしたのかと思いました」
番外「う！？いや違う違う。一人になりたい時もあるんだって。ていうかあそこはミサカの家じゃないし」
御坂妹「まあいいでしょう。それでは向かいましょうか」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/20(火) 18:32:16.41 ID:Z7kV7J2Jo<> こちらです、と指した方向へ歩き出した番外個体の数歩後ろ、御坂妹の瞳が遠くなる。
御坂妹（このような感じでよろしかったですか上位個体？
いえ、見つからないなんて最初から無理ですって。危険がなければそれでいいでしょう。適当に案内します）
泣く子と上司には勝てない。ダブルできたらもっと勝てない。
打ち止めが泣いたわけではないが、番外個体の言動が引っかかったらしい。
そして周辺にいる妹達を検索した結果、手が空いているのが御坂妹だったのだ。
何かとプライバシーの概念が薄い上司である。
御坂妹（いいですけどね。ミサカも彼女と話してみたいと思っていました）
番外「おーい、案内がないとわからないってば」
御坂妹「はいはい、こちらです」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/20(火) 18:34:36.31 ID:Z7kV7J2Jo<> 短いですが、本日は以上です
1レス分の長さなど読みにくいことはなかったでしょうか？少し心配です
また数日のうちに投下に来るかと思います
ありがとうございました
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/21(水) 23:40:57.42 ID:IkkNnt0to<> 乙 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/23(金) 17:42:42.11 ID:xvL3XiYA0<> 期待 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:07:08.54 ID:zfRDNiQLo<> 本日分投下します！よろしくお願いします <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:07:40.42 ID:zfRDNiQLo<> 冥土返し「ふむ、初めましてだね？」
番外「はあ」
カエル。御坂妹の漏らした通りだ。
少し離れて配置された目。横にむーんと伸びた顔。うん、カエルだ。
冥土返し「さて、番外個体といったね？今預かっている10032号、御坂妹さんとは別のラインのクローンだと」
御坂妹「ええ。特殊な点としてミサカネットワーク上の悪意を特に抽出するように調整されているようです、
とミサカは情報を追加します」
番外「勝手にしゃべらないでくれるかな。その通りだけど」
冥土返し「悪意というのはどんなものを指すんだい？自分の意思で制御できるのかな」
番外「ネガティブな感情全般って感じかな。憎悪に嫉妬、なんでもござれさ。
制御は無理だね、これはミサカの性質。意思でどうこうなるものじゃないよ」
じゃなきゃ打ち止めの嫉妬をくらって一方通行に突撃するような真似はしていないし、
とよみがえる苦い思い出に顔をしかめる番外個体。
カエル医者は彼女の話を聞いて少し考え、
冥土返し「最後に調整を受けたのはいつかな？」
番外「え？ロシアに放り出される前だから、半月経ったかどうかってところかな」
冥土返し「それから調整は受けてないんだね？
・・・ふむ。これはもしかしたらの話なんだけどね？」
番外「うん？」
冥土返し「君の悪意を抽出する性質。じきになくなるだろうね？」
番外「」
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:08:15.45 ID:zfRDNiQLo<> 御坂妹「おや、固まってしまってどうしましたかとミサｋ」
番外「どういうこと！」
御坂妹「・・・」
冥土返し「話を聞くに君は一方通行に効果的にダメージを与えるため、
ミサカネットワークから悪意を取り出すよう脳内物質に細工をされている。
けれどそれはあくまで後天的なものだね？
そして長く生かされる予定ではなかったのなら、長期的な影響は考慮されていないと考えていいだろうね？
人工的な偏りはいつか消えていくだろう。
今まで、そんなことを感じたことはなかったかい？」
番外「・・・それは」
冥土返し「強い感情を抽出するという性質自体は残るかもわからないね？
そのうち君の調整が必要になるときもあるかもしれないから、検査をお勧めするね？
脳内の分泌物の数値もはっきりするだろう」
番外「・・・！！」
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:08:41.29 ID:zfRDNiQLo<> 椅子をはじいて飛び出していく番外個体。
足音を聞きながら、じっと話を聞いていた御坂妹がため息をつく。
冥土返し「ちょっと話が急すぎたようだね？」
御坂妹「なんとなく動揺する心理はわかるような気もしますが。
とりあえず追いかけますとミサカはこれにて失礼します」
冥土返し「君の調整は午後からだから、忘れないようにね？
・・・御坂妹さん。彼女は妹達の悪意を拾うと言ったね？
その悪意とはなんなんだろうね？」
御坂妹「本人が言うにはネガティブな感情全般だと・・」
酸いも甘いも、の大人が一年も生きていない自分になぜそんなことを。
いぶかしげな気配が伝わっただろうか、カエル医者は苦笑いしながら、
冥土返し「いやぁ、ネガティブとかポジティブとか簡単に白黒つけられる感情なんてあるのかと思ってね？
憎悪は強い関心の表れだし、嫉妬は憧れの裏返しだ。
感情というエネルギーをどこから観測するかというだけの話だね。
・・・彼女が拾っているのは、一体何なんだろうね？」
御坂妹は無表情のまま聞いている。
急速に形作られた彼女たちの心は日々変化している。
感情とは番外個体だけではなく妹達全体のキーワードでもあった。
冥土返し「おっと、最近話が長くなってきた気がするね？それじゃ、行ってらっしゃいお姉さん」
御坂妹「ええ、言われるまでもなく」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:12:43.80 ID:zfRDNiQLo<> 病院の出入り口。番外個体はしゃがみこみながらカエル医者の言葉を頭の中で繰り返す。
悪意を取り出すという性質。それが薄れていくという。
（今まで、そんなことを感じたことはなかったかい？）
それをいうなら、ファミリーサイドで一方通行と暮らしているあの状況こそがなによりの――
番外「そんなことない！だって、いつだってあいつが嫌な思いをするように！」
ロシアでは本気で殺しにいった。
どうすれば一方通行の心がおれるのか手に取るようにわかったし、それを実行するのにためらいはなかった。
今は？
あの憎悪は、日常の嫌がらせに落とし込めるほどかわいらしいものだったか？
番外「暗闇の五月計画。ミサカは、ミサカが使い潰されないためにあいつと手を組んだんだ。
だから今殺すわけにはいかないんだ。そう。だから嫌がらせで済ましてあげてるの。
本当はこんなんじゃ・・・」
御坂妹「ここでしたか」
番外「！」
御坂妹「飛び出していかれては迷子になってしまうと心配していました。
今日は医者とは顔合わせが目的だったわけですし、もう出てしまって差し支えはないでしょう。
ミサカももう少し時間があります。どこか行きたいところはありますか？
案内しましょう、とミサカはサービス精神を発揮します」
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:13:10.00 ID:zfRDNiQLo<> 番外「・・・あの、カエル医者の話」
御坂妹「じきに悪意を抽出しなくなるという話でしたね。
あくまで推測でしょうが、聞いていておかしいところはなかったように思いますが」
番外「ミサカ、悪意がなくなったらどうなるのかな」
御坂妹「目つきの悪さが改善されるのではないでしょうか。・・・冗談ですよ。
そう悪い話でもないのでは？一方通行と協力関係にある今、その性質の必要性は薄いでしょう。
それに、あまり気分のいいものではないのではないですか？
意思とは無関係に悪意を拾ってきてしまうというのは、とミサカはあなたの心情を想像します」
番外「そりゃいい気分じゃないよ。悪意なんだから」
御坂妹「では」
何が問題なのでしょうか。と尋ねる御坂妹の口調には、確認作業のような響きがある。
番外「・・・御坂妹はさ。実験が終わったとき、どんな気持だった？」
<>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:13:35.79 ID:zfRDNiQLo<> 御坂妹「あの人が、一方通行を倒してからの話ですね。
不思議な感覚でした。ずっと実験スケジュールのことだけ考えてきましたから、
それがなくなってしまって何をすればいいのかわかりませんでした。
空いた時間の使い道なんて学習装置から入力されていませんから、
とミサカはリストラされた仕事人間のようにつぶやきます」
番外「・・・今は、どうしてるの？その空いちゃった時間」
御坂妹「特にどうというほどのことはありません。
調整がなければ自由時間ですし、気の向くまま出かけています。
他の個体も好きにしているようですよ。
そうそう、抜け駆けしてダイエットに励む個体もいて、しかもその方法をミサカネットワークに流さないのです。
けしからんと思いませんか、とミサカは」
番外「・・・怖くない？」
御坂妹「え？」
番外「ミサカ達、ひどい理由だったけど、生まれた理由があったじゃない。それがなくなっても平気なの？」
御坂妹「ミサカ達が作られたのは研究者たちの都合です。頓挫した計画に縛られる理由はないでしょう。
それこそ悪意を取り出すあなたのこと、研究者たちに与えられた存在理由なんて真っ先に破り捨てそうなものですが、
とミサカはさりげなくあなたをじゃじゃ馬扱いします」
番外「・・・」 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage saga<>2011/12/30(金) 16:15:03.18 ID:zfRDNiQLo<> ぐずるようにしゃがみ込んだままの番外個体。
御坂妹はじれることなく質問に答えを返す。少しずつ話が本題に近づいていくのを感じていた。
御坂妹「また話しこんでしまいましたね。移動しましょうか。案内したいところを思いつきました」
こちらです、と促す御坂妹に、番外個体はひどく億劫気に立ち上がった。 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 16:16:06.98 ID:zfRDNiQLo<> 今日の投下はここまでです
次の投下は年が変わってからになると思います
ありがとうございました！ <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 16:18:34.09 ID:WAK1Z4D/o<> おつう
よいお年を <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/30(金) 19:26:06.62 ID:UFsTBFlzo<> おつー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/15(日) 21:44:00.80 ID:tW9IfsTDo<> まーっだかなー <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:24:51.03 ID:IHCjjiBLo<> 明けましておめでとうございます！！
放置していて本当に申し訳ありません
投下いたします！お付き合いいただけますと幸いです <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage<>2012/01/18(水) 00:25:19.94 ID:IHCjjiBLo<> 番外「・・・ミサカね、一方通行を[ﾋﾟｰｰｰ]ために生まれたんだよ」
御坂妹「そうでしたね」
番外「うん。ミサカネットワークから悪意を拾うのも、あいつに効果的だからそういう風に調整されたの。
でも、ミサカ一方通行と手を組んじゃった。だから・・・」
御坂妹「もう不要、と。ならばカエル医者の言ったことは都合が良いのではないのですか？
もう自分の意思とは無関係に悪意を振りまくことはなくなります、とミサカはメリットを指摘します」
番外「うん、そうなんだけど、そうなんだけどね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:25:56.23 ID:IHCjjiBLo<> 修正
番外「・・・ミサカね、一方通行を殺すために生まれたんだよ」
御坂妹「そうでしたね」
番外「うん。ミサカネットワークから悪意を拾うのも、あいつに効果的だからそういう風に調整されたの。
でも、ミサカ一方通行と手を組んじゃった。だから・・・」
御坂妹「もう不要、と。ならばカエル医者の言ったことは都合が良いのではないのですか？
もう自分の意思とは無関係に悪意を振りまくことはなくなります、とミサカはメリットを指摘します」
番外「うん、そうなんだけど、そうなんだけどね」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:26:31.88 ID:IHCjjiBLo<> 御坂妹「一方通行、ですね。
一方通行のために生まれ、一方通行のことだけを考え、一方通行を殺すためだけに生きていた。
あなたの性質は一方通行のためにある。一方通行本人にはマイナスにしかならないのが皮肉ですが」
番外「・・・」
御坂妹「それを失うことに抵抗があるということは・・・おや、つなげて言うと一方通行のために生きていたいになｒ」
番外「はああああああ！？何それ！どこから受信したのその電波！ないないないないありえない！！」
御坂妹「急に元気になりましたね。元気なのはいいことです、とミサカは華麗なスルースキルを発揮します」
番外「できてない！スルーできてないよ！」
御坂妹「おや、あなたもツッコミ属性ですか。ミサカ達もみんなそうなんです。
血は争えないとはこの事ですね、とミサカは姉妹の絆に微笑みます」
番外「いいや嘘だね！他の個体がどうでもあんたはボケだね！
ぱっと見ツッコミっぽい分タチが悪いよ！」
御坂妹「おや、このミサカに個性を認めてくれるのですね。
御坂妹という呼称を得ているとはいえ、まだ個性化が足りないと悩んでいたところです、
とミサカは新たな可能性に顔を輝かせます」
番外「言うほど目に光がないね。
御坂妹って呼び方はずいぶん安直じゃない？言ったらミサカ達みんな御坂妹だよ」
御坂妹「む。この呼称はあの人にもらった大切なものなのです。
安直なのは仕方がありません。
彼はミサカをお姉さまの本当の妹だと思ってそう呼んだのですから、とミサカはこの呼び方の特別さを訴えます」
番外「あの人って、上条当麻？」
御坂妹「そうです。あなたもミサカ達の記憶を共有はできるのですね、とミサカはあなたの機能を確認します」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:28:04.16 ID:IHCjjiBLo<> 番外個体もミサカネットワークから記憶を読み取ることができる。
それはあくまで番外個体からの一方的なものだ。
司令塔である打ち止めのコマンドを弾くため、ミサカネットワークからの干渉は受け付けない。
そこをすり抜けてくるのは悪意のみ。
上条当麻に関する記憶も見ようと思えば見られる。
彼が深く関わった最後の実験は、誰であろう隣を歩く御坂妹が体験した記憶だ。
番外「知ってはいるけど、あんまり共有するの気が進まないなぁ」
御坂妹「なぜですか？」
番外「たぶん、ミサカネットワークから上条当麻への悪意が検出されないから、かなぁ？
このミサカはどうしたって悪意にひかれるタチだから」
御坂妹「なるほど。彼はあの実験のとき、ミサカは替えの利かない存在だと言ってくれました、
とミサカは彼の言葉を思い出します」
番外「そんなことも言ってたかね。
そうそう、御坂妹、あの戦いのとき一方通行に敵意を持ったよね？
そっちのほうがミサカ興味深いな。
もしかしたらあれがミサカネットワークに流れた最初の悪意だったかもしれないよ」
御坂妹「あなたはブレているようでブレませんね。
ええ、確かにあのときミサカは怒りを覚えた、と思います、
とミサカは感情体験の乏しさから自信少なめに答えます」
番外「あれが初っていうのが意外だよねぇ？
一万回以上も無惨に殺されてさぁ？10032回目未遂でやっとって。
被害者は加害者を恨んで当然なのに」
妹達への呆れと一方通行への嫌悪を同時に表わす番外個体。
そんな彼女を御坂妹は不思議そうに見つめる。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:29:17.89 ID:IHCjjiBLo<> 御坂妹「・・・あなたは、もしかして感情の動機までは読み取れませんか？」
番外「うん？」
御坂妹「ミサカがあのとき怒りを覚えた、言葉の通り覚えたのは、
ミサカ自身に危害を加えられたからというわけではないのです。
それもゼロとは言いませんが、とミサカはあのときの心境を告白します」
番外「じゃあ、なんで」
御坂妹「大切なたった一人を傷つけられたからです。
ミサカの価値を教えてくれたあの人を傷つけることは、だれにも許しません。
そしてあのときあの人を傷つけていたのが一方通行だったというだけです、
とミサカはあの人への思いの丈を吐露します」
番外「・・・実験で殺された恨みは？」
番外個体は、自分の拾う悪意は実験に由来していると当然のように信じていた。
経験を積み、あの戦いでようやく悪意が花開いたのだと。
なのに、危害を加えられたことへの怒りはないと？
御坂妹「先ほどの言い方では語弊があったでしょうか。どこから説明しましょう。
実験に対するミサカ達のスタンスからでいいでしょうか？とミサカは確認します」
番外「・・・うん」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:30:28.37 ID:IHCjjiBLo<> 御坂妹「今のミサカ達が実験当時を振り返ったものですので、そう思って聞いてくださいね。
当時は実験に従うことしか頭になかったものですから、とミサカは前置きをします」
御坂妹の口はなめらかに動く。番外個体と出会ったとき、彼女はこの話をしようと決めていた。
彼女が第三次製造計画によるミサカネットワークの性能向上に言及したときから。
御坂妹「まず、一方通行とミサカ達の関係をミサカ達は加害者と被害者というものとは捉えていません。
彼とミサカ達は、当時等しく実験動物だったのですよ」
それが殺す側と殺される側に分かれていただけです。と御坂妹は淡々と続ける。そこに自嘲の色はない。
御坂妹「彼と全ミサカは共犯です。
ミサカ達が実験を拒否していれば彼が血みどろの道を歩むことはなかったかもしれない、その可能性をふいにしました」
番外「そんなの終わったから言える話だ！あいつがいなければ実験は始まらなかった！
ミサカはこんな、こんな未来のない生を受けることなんてなかった！！」
喉を切り裂くような声で番外個体が吠える。なぜそんな涼しい顔をしている。なぜ怒らない。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:31:18.18 ID:IHCjjiBLo<> 御坂妹「番外個体。あなたは今怒っていますか？」
番外「怒ってるよ！あんたがあんまり寝ぼけたこと言うからさぁ！あいつのこと恨んでないって！？
頭おかしい。狂ってる！」
ミサカネットワークから御坂妹の怒りは流れてこない。この感情は番外個体自身のものだ。
御坂妹「番外個体。あなたはとても感情が豊かですね」
番外「はぁ？」
御坂妹「どうしてでしょうね。あなたはミサカ達の中で一番生まれてからの時間が短いのに。
使用した学習装置の違いでしょうか？とミサカは首をかしげます」
そんな話はしていない。再び怒鳴ろうと息を吸う番外個体をさえぎるように、
御坂妹「ああ、一方通行への悪意の話でしたね。
実験で妹達10031号までを殺されたこと、恨んでないとは言っていませんよ」
番外「え？え？」
むしろ逆です。と御坂妹は混乱する番外個体の横顔をじっと見つめながら続ける。
彼女の表情を見逃さないように。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:32:06.17 ID:IHCjjiBLo<> 御坂妹「ミサカ達は、一方通行の行ったことを許すことはありません。
ミサカ達は、これ以上は一人だって死んでやることはできません。
なぜならぼろぼろになっても立ちあがってくれたあの人から、
ミサカ達は大切な人が傷つくことの辛さを知ったからです、とミサカは宣言します」
番外「・・・ミサカ達は一人１８万円だって、上条当麻に言ったのはあなただ。
いくらでも替えがきくって、あなたが」
御坂妹「ええ、そうです。死んでいった個体達もきっとそう思っていたでしょう。
ミサカもあの人からもらった言葉でミサカの価値を定めたにすぎません。
結局自発的にはミサカに価値があるとは信じていないのかもしれません、
とミサカはいまだ自尊心というものが未熟であることを白状します」
ですが、と言葉を区切り。
どことなく晴れやかな顔で御坂妹は番外個体を見やる。
御坂妹「これからは、そうではないかもしれません。
ミサカ達がミサカ一人ひとりかけがえのない存在だと心から信じられる日がくるかもしれません、
とミサカは未来に思いをはせます」
未来。生きるつもりのなかった先。
番外個体が持て余すそれに、御坂妹は希望を見るという。
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:33:45.00 ID:IHCjjiBLo<> 番外「どうしてそんなこと言えるの。クソみたいな目的で作られてさ。
用が済んだら殺されてさ。なんで、未来なんて」
御坂妹「あなたのおかげですよ、番外個体」
番外「え・・・？」
御坂妹「先ほども言いましたね。あなたはとても感情が豊かだと」
番外「それは、感情というより悪意を拾ってるだけだよ」
御坂妹「その性質もじきに薄れるのかもしれませんね、とミサカは医者の発言を振りかえります」
番外「・・・」
御坂妹「ですが彼はこうも言いました。ミサカネットワークから強い感情を拾う性質は残るかもしれない、と。
あなたは、ミサカ達に悪意が眠っていることを教えてくれました。
あなたのことを上位個体から伝えられた時・・・そう、うれしかったのです、とミサカは心の動きを口にします」
番外「あなた本当に頭おかしいんじゃない？バグった？」
御坂妹「あなたの存在が、ミサカ達の心が成長していることを教えてくれたのです」
番外「それで出てきたのが悪意？救いがないね」
吐き捨てる番外個体に、御坂妹は穏やかさを崩さない。
御坂妹「悪意だけを抽出する性質はいずれ消え、強い感情を表現する性質が残る。
この意味がわかりますか？とミサカは本人に問います」
番外「何、アイデンティティの消失？」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage saga<>2012/01/18(水) 00:34:55.31 ID:IHCjjiBLo<> 御坂妹「喜怒哀楽。ミサカ達の成長につれてすべての感情があなたを満たすでしょう。
そしてそんなあなたからミサカ達はミサカ達の可能性が広がっていくことを知るのです」
番外「・・・」
御坂妹「きっと、あなたのいう悪意も広がるでしょう。10031号までを失ったことの意味を本当に理解するとき、
一方通行に殺意を抱く個体もいるかもしれません、とミサカは可能性に善悪はないことを示唆します」
可能性。
番外個体は、自分が拾う悪意の正体に気付かされる。
ミサカネットワークに芽吹き始めた感情。彼女が取り出していたのはその一面なのだ。
御坂妹はそれもやがて終わるという。感情そのものを取り出すようになるという。
御坂妹「ミサカはこれからが楽しみなのです。ミサカ達がどんな風に変わっていくのか、まるでわからないのですから」
そして番外個体は、きっととても珍しいものを見た。
ふふ、と御坂妹は確かにほほ笑んだのだ。固いつぼみがほころぶように。
御坂妹「番外個体。あなたは全ミサカの希望です」
<>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)<>sage<>2012/01/18(水) 00:37:55.41 ID:IHCjjiBLo<> 本日の投下はここまでになります
次の投下までに日があきそうな場合は、それだけでも報告に上がろうと思います
またお付き合いいただけたら嬉しいです！
それではまた〜 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/18(水) 02:19:24.93 ID:ttpZ8lpeo<> おつう <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県)<>sage<>2012/01/22(日) 02:33:11.61 ID:795duw9H0<> きてたあ
更新時はageないのね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/02/24(金) 03:09:50.18 ID:deumutk2o<> 追いついた
きてないのね <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)<>sage<>2012/03/18(日) 03:35:25.25 ID:Nlegs11n0<> / / / | /| /:::/:.:.:.:.:.:.:|::::::
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