VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage saga<>2011/12/03(土) 15:49:22.09 ID:YI4xFZu30<>――時は絵戸時代。
――各地に散らばる大名たちが覇権を賭けて競い争った戦国時代は終わりを告げた。
――世界に突如現われた謎のカラクリ仕掛けにより、人々の暮らしは一変したのである!
――カラクリ仕掛けはまたたく間に人々の生活に溶け込み、新たな文化を根付かせた!
――その全ての発祥地、もとは関東の不毛な地たる絵戸は、カラクリ仕掛けによる多大な発展の末、今はこう呼ばれていた!
――《ザ・グレート大江戸メガシティ》と!<>女侍「働きたくないでござる! 絶対に働きたくないでござる!」
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage saga<>2011/12/03(土) 15:55:46.53 ID:YI4xFZu30<> 《ザ・グレート大絵戸メガシティ……の端っこ》
男「……ふぅ。あと少しでやっと絵戸か……」
男「長かった……実に長かった……」
山道を下った先には、天下の《ザ・グレート大絵戸メガシティ》の街並みが見える。
地元とはえらい違いだ。全てがハイカラで、まるで別世界。
本当に同じ日の本の国にあるのかと、思わず自問してしまうほどに。
男「ま、何はともあれ……ここから俺の新しい生活が始まるんだもんな……」
呟き、腰元に提げた刀に目をやる。
地元を出てきたときに唯一持ってくることのできた思い出の品は、いつもここで俺を見守ってくれているような気がする。
慈しむように軽く撫でた後、俺は絵戸へと至る最後の道を歩き始めた。
男「……就職先、見つかると良いけどな……」 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage saga<>2011/12/03(土) 16:04:46.33 ID:YI4xFZu30<> 《ザ・グレート大絵戸メガシティ》
男「……うわ」
絵戸に足を踏み入れた俺を待っていたのは、とにかく沢山の人、人、人。
老若男女様々な人達でごった返す絵戸は、まさしくこの国の中心都市だけはあると思わせた。
駆け足で急ぐ、おそらくは会社勤めの侍や、売り子か何かのアルバイトをしている町娘。
軒先で《モビル将棋》を楽しむ老人たちなど、本当に色々な人がいる。
しかし何よりも驚いたのは、これだけの人がいてなお、皆の顔は一様に輝いているということ。
男「絵戸は、すごいなあ……」
そんな陳腐な感想しか抱けなかった。
だが、俺もいずれはこの街で暮らすことになる――というか暮らさねばならない。
職がないということはつまり、生きていく術、糧を得る手段がないということ。
ずっと家に引きこもっているわけにはいかないのだ。故に!
男「よし、まずは住む場所の確保から始めよう!」
気合いを入れ、一歩足を進める――と同時に。
グゥゥゥ
男「……その前に腹ごしらえしよう……」
往来で腹を鳴らすなど……!
気恥ずかしさを覚えながら、俺は何か軽い食事が摂れる場所を探した。
※《モビル将棋》
将棋の駒に脳電波受信チップとマニピュレーターを取り付けたもの。
脳電波送信ヘッドギア《ちょんまげ-02》を装着し将棋をプレイすることで、駒が思った通りに動いてくれる。
ザ・グレート大絵戸メガシティのシニアたちに絶賛流行中の逸品。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage saga<>2011/12/03(土) 16:14:23.50 ID:YI4xFZu30<> 男「ここにするか……」
目をつけたのは、絵戸の少し端にある小さな茶屋。
客入りが少なく、落ち着いて食事が摂れる場所を探した結果ここに行き着いた。
のれんを潜り、店員さんからの案内を待つ俺の目に飛び込んできたのは、とある先客だった。
女侍「ふぁんふぉおふぁわり!」
何と言っているのか分からない……。
それというのも、彼女はまるでリスのように口に物を目一杯ためているからなのだが。
……というか食べながら口を開くなよ……。
絵戸っ子の行儀悪さ(この女だけかもしれないが)に若干辟易した俺は、店員さんの到着を諦め自分で席に着くことにした。
勿論、この行儀悪い女とは距離を取ってだ。
女侍「……むぐむぐ、んぐっ……おい、聞こえなかったのか! 団子おかわりだ!」
ああ、今団子おかわりっていってたのか……。
女侍「なんだ……聞こえていないのか? おい、団子おかわりと言っている!」
客席とはのれんによって隔てられている厨房へと向かって、女が口を開く。
店員さんからの反応はない。どういうことだろう。
少女「……うるさい。今作ってるんだから大人しく待ってて」
そう思っていたら、俺よりも少々若いくらいの娘が厨房からちょこんと顔を覗かせた。
団子女とは顔見知りなのか随分とぞんざいな扱いだ。
少女「……あ、お客さん。ごめんなさい、注文が決まったらそこのボタンでお願いします」
男「あ、うん、ありがとう」
俺に気付いた彼女はそう言って、再び厨房へと姿を消した。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga<>2011/12/03(土) 16:21:25.27 ID:YI4xFZu30<> 女侍「なんだ、私の他に客がいたのか?」
男「……ええ、まあ」
俺の登場に気付いたらしい団子女が、目を丸くしながら言った。
女侍「こんな寂れた茶屋によく来たもんだな。まあ目一杯食べろ。味は保障するぞ」
男「はあ、どうも」
自分の店じゃないというのに随分と上から目線な女だ。
呆れながらメニューへ視線を移そうとした俺の視界、その端に、しかし不思議な物が映った。
男「それ……刀……?」
思わず口に出して問うていた。女の腰には、確かに刀が提げられている。
刀なんて物、普通だったら女性が持っているような代物じゃない。何故こんな女がこれを?
女侍「あぁ、これか? 拾った」
男「ひろ……」
女侍「ふふん、なかなか映えるだろう。なんせ私は顔も良いからな」
ニヤリと口の端を吊り上げて笑う女に、言葉を返すことができなかった。
顔が良いのは確かだが、それを自分で言うのはどうなんだ。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県)<>sage<>2011/12/03(土) 16:38:11.58 ID:XGtz77t20<> 良スレの予感
支援 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>saga sage<>2011/12/03(土) 17:10:19.44 ID:YI4xFZu30<> 男「……いや、それよりも拾ったって」
女侍「うん? ……拾った物は拾った物だ、何か問題が?」
しれっと答える団子女に、呆れ半分怒り半分の感情を抱く。
拾い物だからといって自分の物にしてしまうその思考に呆れ、
武士の魂たる刀を何の覚悟もなしに身につけるその浅薄さに怒りを覚えた。
男「……刀は武士の魂だ。軽々しく自分の物とするなんて」
女侍「なれば元の持ち主は武士の魂を往来に置き忘れる程度の志しか持ち合わせていなかったわけだ」
男「うぐっ」
そう言われると、返せない。屁理屈であると同時に……正論でもある。
くそっ、元の持ち主め、武士の誇りはどうしたんだ馬鹿!
女侍「というわけで、私はこうして刀を身につけているわけだ。ご理解頂けたかな」
男「……」
女侍「はっはっは、現実でもこうして阿呆を論破してやるのはなかなかに気持ちがいい!」
男「……現実?」
女侍「う」
男「なんのことだ?」
女侍「知らないなら知らないで良い。黙って早く注文でもしろ、このおのぼりさんめ!」
絵戸っ子でないからと馬鹿にしやがって……。
とはいえ、空腹の度合いがそろそろピークに達しているのも事実。
団子女があれだけ美味そうに食べていたので、俺も同じく団子1セットを注文することにした。 <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(鹿児島県)<>sage<>2011/12/03(土) 20:40:20.45 ID:XGtz77t20<> 最後に次はいつ更新するか
レスしてくれ <>
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)<>sage<>2011/12/04(日) 01:14:55.48 ID:V63v0XQfo<> 乙 <>
SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)<>sage<>2011/12/24(土) 23:04:28.75 ID:UzkXB3iN0<> え、なに、立て逃げ? <>