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ANUBIS SS <<IF OF NOH>>
1 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 22:25:26.32 ID:tjiP/7pko

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※PS2用ソフト『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』の二次創作です。
 公式とは一切関係ありません。

※ネタバレを含みます。

※本編プレイ済み推奨。sage進行。


ANUBISスタッフを始め、スレ住人とAA職人へ感謝を込めて。

話が続くかどうかはランナー次第。
                                     
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/08/18(木) 22:29:04.31 ID:r3hAEEu+o
ANUBISキター!
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/18(木) 22:29:21.79 ID:TvfoX4X0o













                   ∩  ∩
                   | | | |
                   | |__| |
                  / 一 ー \
                 /  (・) (・)  |
                 |    ○     |
                 \__  ─  __ノ 









      
4 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 22:29:38.08 ID:tjiP/7pko
【A.D.2174 木星衛星カリスト:メタトロン採掘現場】


アンジー「MR1422。ディンゴ・イーグリッド。ロック解除」

ディンゴ「アンジー、思い出した」

ディンゴ「その年に優勝したのも、へスペリア・ゲイルズだ」 ※ヘスペリア・ゲイルズは作中のスポーツチーム

アンジー「無駄話してると衝突するよ、ディンゴ」

ディンゴ「残り30秒でカウンターのヘンリー・Gが、フィールドアウトからトラッシュしやがったんだ」

ディンゴ「夜中に部屋で大騒ぎしたのを思い出した」

アンジー「着地まで20。今年も楽しみね」

ディンゴ「着地体勢に入る」

ディンゴ「火星じゃ、もうとっくに盛り上がってるだろう。こっちは200時間後だ」

アンジー「いい子にしてればすぐよ」

SE:電子音

ディンゴ「珍しいな……」

アンジー「何?」

ディンゴ「メタトロンだ。にしちゃあ随分位置が浅い」

ディンゴ「アンジー、着地ポイント変更だ。ちょっと見てくる」

アンジー「OK」
5 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 22:31:31.11 ID:tjiP/7pko
ディンゴ「リック、聞いてたか?すぐ戻る」

 リック「ディンゴ、66年の優勝はどこだっけ?」

ディンゴ「あぁ……その頃は知らねぇんだ」

 リック「ちぇ」

 COM『軌道修正、オートパイロット……』

ディンゴ「オンボロめ!」

SE:殴打音

 COM『……解除します』

 リック「今年こそ優勝はロッド・タルシスだよ!」

ディンゴ「また給料全部吹っ飛ぶぞ」

 リック「絶対だって!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/18(木) 22:32:25.23 ID:MjXnaAlVo
/NOH\ <バシリアがどうした?手始めに小説をうpしようじゃないか!!

          ┏  ━ゝヽ''人∧━∧从━〆A!゚━━┓。
╋┓“〓┃  < ゝ\',冫。’ 、 __Ν ; ゛△│´'´,.ゝ'┃.      ●┃ ┃┃
┃┃_.━┛ヤ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ━┛ ・ ・
       ∇  ┠─Σ┼  /NOH\   冫 そ',´; ┨'゚,。
          .。冫▽ <   / ,   つ      乙  ≧   ▽   見ろッ!!メタトロンとの完全なる結合ッ!
        。 ┃   Σ (_(_, )      、'’   │   て く    全てを終わらせる破壊をッ!!!
          ┠─ム┼   しし 'ゝ. 、,,’.┼ ァ Ζ┨ ミo'’`
        。、゚`。、   i/     o。了 、'’ ×  个o
       ○  ┃   `、,~´+√ ▽   ',!ヽ.◇    o┃
           ┗〆━┷ Z,.' /┷━''o ヾo┷+\━┛,゛;
7 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 22:39:31.36 ID:tjiP/7pko
  COM『バックします、バックします』

ディンゴ「うるせぇなぁ」

アンジー「[ピザ]リかしら?」

ディンゴ「観測の連中、またサボってやがるな」

ディンゴ「なんだありゃ……?」

アンジー「どうしたの……?」

ディンゴ「落し物だ。ちょっと見てくる」

  COM『ハッチアンロック。ヘルメットを……装着してください』


カリストの地表は完全に氷に覆われ、酷い吹雪だった。
視界が白くけむり、砂のように細かな氷が防寒服越しに肌を刺す。
採掘用のLEVから降りたディンゴは、目を細めた。
ヘルメット越しに巨大なコンテナのような物体が、数メートル先の氷に突き刺さっている。
(面倒なことにならなきゃ良いが)
心中で毒を吐き、吹き付ける風を掻き分けるようにして歩き出した。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/18(木) 22:40:59.95 ID:W5FbgALAO
まさかアヌビスのSSが見れるとはおもわなんだ
9 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 22:52:23.78 ID:tjiP/7pko
近づいてみると、コンテナは直径二十メートル程もあった。
おそらく落下の衝撃で出来たのだろう、側面には細い亀裂が縦に走り、人一人が通れるほどの穴が開いていた
ぐるりとコンテナを一周してみたが、表面には分厚い氷が張っていて、何か表記があったとしても意味をなさない。
ディンゴの脳裏を、ちらりと古い記憶が掠めた。
似たようなコンテナを過去に目にしたことがった。それも、何度も。

亀裂を潜り中へ入ると、コンテナの中は闇に包まれていた。
ディンゴは全身に付いた雪を払い落とすと、胸ポケットからハンドライトを取り出して周囲を照らす。
細いライトの光円は、巨大な"何か"の一部を浮かび上がらせた。
見上げる。

ディンゴ「嫌な予感がする……」

SE:薄氷を砕く音

手を触れると、緑色のエネルギーラインが縦横に奔った。
もう、間違いが無かった。

ディンゴ「こいつは……オービタルフレーム……!」


       \\   
       =◎- >
      ヘ/(゚U゚|丿
       ◇`二⊃
       ( ヽ^|
        〔)ノヽ|
        ||/

     【OF:ジェフティ】


SE:大きな振動音

アンジー「ディンゴ!今なにか大きな船がそっちに……」

ディンゴ「どうしたアンジー!船ってなんだ!?」

アンジー「(悲鳴)」

ディンゴ「軍用艦?バフラムじゃねぇか……」

SE:激しい爆発音

アンジー「ディンゴ!」

ディンゴ「LEVをやられた。バフラムの連中だ!」

アンジー「バフラムって火星の?なんでわかるのよ!?」

ディンゴ「アンジー、船を溝に降ろせ。隠れてろ!」

SE:崩壊音

ディンゴ「やべぇ!」

SE:ジェフティ起動音

             _______
           /\ ⌒ヽ≡≡≡≡\
          / ((   N O H ;;;;;∵. ... \
        /◇\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/◇.\
       /   \ \____|| | | ||____//     \
     /  /// ̄/ ̄ ̄V ̄ ̄ \ ̄\//   \
      ̄ ̄ ̄    \ ≡||□||≡ /        


BGM:Beyond the Bounds

/NOH\「フハハハハハ!良い朝だなディンゴ!」
10 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 23:07:30.95 ID:tjiP/7pko
  ディンゴ「なにっ!?」

/NOH\「ククク……喜べ、戦闘行動を開始する!」

 ディンゴ「ノウマンか!?一体何がどうなってる!?」

/NOH\「私は独立型戦闘支援ユニットNOHだ。操作説明は――不要だな」

 ディンゴ「そんなことを聞いてるんじゃねぇ!」

/NOH\「戦場での無駄な思考は死へ繋がるぞ」

/NOH\「敵ラプター、接近」


                (゚予
    ( ゚∋         〆§マ        <≡ヽ
   ^/(ヽ          ノ § \、       《◎《)
     >>         '/Θ)ソΘ)         ノ.( ヽ
               ヾ/  ヾ/          く゜く
               |/  V

          【バフラム軍無人OF:ラプター】


 ディンゴ「(舌打ち)」


赤く球体の単眼に、剥きだしの骨格のような身体をしたOFが急降下し、ジェフティへと向かってくる。
正面上方からの三機をパス(回避)すると、振り向きざまに展開した右腕のブレードで、腰部を叩き斬った。
現役だった頃の記憶が手足を動かす。妙な感覚だった。


/NOH\「ラプター撃破。ほう、腐ってはいなかったようだな」

 ディンゴ「黙ってろ!」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/18(木) 23:13:04.32 ID:MjXnaAlVo
ノウマンAIキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)[sage]:2011/08/18(木) 23:13:45.66 ID:4t2y4qXno
こんなAI嫌ああああああ
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)[sage]:2011/08/18(木) 23:16:48.14 ID:r3hAEEu+o
おいwwwwwwwwADAを返せよwwwwwwwwww
14 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 23:24:14.80 ID:tjiP/7pko
いくつかのパーツに解体されたモスキートや、身体を真っ二つにされたラプターが、火花とメタトロンを散らし氷の渓谷へ落下していく。
一年で晴れるの日数は片手で足りるカリストの空の下、物量で波状攻撃を仕掛けるバフラム軍のOFは、たった一機の敵に数分で駆逐された。
ジェフティの動きは、数世代分も昔の兵器を相手にしていると錯覚する程であり、彼我の性能には大きな隔たりがあることを、愕然たる結果が示していた。


/NOH\「敵機部隊殲滅を確認」

/NOH\「良いぞ、ディンゴ」

 ディンゴ「なんだこの機動性は……」

/NOH\「フハハハハハ!素晴らしいだろう!」

 ディンゴ「そろそろ教えてもらおうか。なんでアンタがOFの戦闘コンピュータになってやがる」

/NOH\「ふむ、教えてやっても良いが――客のようだ」

 ディンゴ「有人機……」
15 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 23:25:48.22 ID:tjiP/7pko
OFパイロット「見つけた。さぁ、大人しく投降してちょうだい」

   ディンゴ「バフラムがカリストになんの用だ」

OFパイロット「へぇ、ただの採掘工じゃないようね」

   ディンゴ「無駄な話に付き合うつもりは無ねぇ」

OFパイロット「あら、気が合うわね」

   ディンゴ「そこを通せ!」


      〃   /                \ \    \∨ / 小
    〃   /                  \ \    V / / l|ハ
.   / l   /                      ヽ ハ     V / リ l
  / |  /                      ∨∧   V //  |
.  l |  |                    \   l |  ∨∧    V/  |
  l  |  /            ト、  ト、     、 l |  ∨∧        ハ┐
  |  | /イl        l    | ヽ.lxくヽ   ∨リ    V |      //l |
  |  .!.  |         l  l  Vィtァトyヘ、 V  l 川  |    // l |
  |   |  l| l  |  | l V  ト、 l` ̄´    ∨ / リ/ニl  |     //   |
.  l   |l 八l  l  | l  |\| \〉       厶イ //  |  |   ,//   _,⊥ -
  l   ||   \ ヽ ト、lVソ               レ'7/フリ  |  // _厶-
   l   ||    ヾト、l   ヽ、_,、          /ム>'´ / /⌒´
    l   |l       \   `='´  _ 、     〈/ / 〈
    l  / 〉         ヽ  マニ -‐  >    / /__r--'
     ∨/         ヽ  ヽニ-‐'´   / / 〃          テ ̄
     〈 廴_            ヽ     _,  '´ / r┴        r─'
    rヘミ二二二二二二二二 ̄   -‐≦--冖         ノ
    く 入_              r┴    r--ヘ---─ '´


OFパイロット「はいだらー!」


       /   /       V>' ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`丶、 ∧
        |   /       /     _______  \|
     __廴厶ニ===、/    , <>──────‐-ミ>、 ヽ
.   厂  フ  __ /   , <>'´  / / ノl  ∧  l k  l>、 ∨
  |   ` ̄   └rイ彡ィ   x<∠イソ / } 川ハ  |  l/
  |            〉ハ{し) イ `ヾ≧x_ ̄   `ア∠] //|
.   V廴_   ==冖ヘ.  V∧ |く了 ラ}>ミン  /ィ介ァjイlヘ |
   VミT  ̄      ',  V∧ ヽ ` ̄   ´  ヽ `´ 川 ハl
.    \ヽ        '、 ∨ 〉ミ>       _ > ノノソ  リ〉
       \ヽ          / |         ヾ‐'´  フ /--/┘
       \\     __∠V∨    / ̄了  /イ  /
        ノ>‐<ニハ  Vヘ     V  リ  // /
   __r<     \ハ  \\   ヽ==' /  / ̄\
イ ̄\  \       ∨\  \ >、  ∠ニ-‐'/ヽ   }
    ヽ   ヽ      ∨ \  `ニニニニイl   リ   /


  /NOH\「フハハハハハ!存分にやり合うが良い!」

             _______
           /\ ⌒ヽ≡≡≡≡\
          / ((   N O H ;;;;;∵. ... \
        /◇\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/◇.\
       /   \ \____|| | | ||____//     \
     /  /// ̄/ ̄ ̄V ̄ ̄ \ ̄\//   \
      ̄ ̄ ̄    \ ≡||□||≡ /        
16 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 23:27:10.52 ID:tjiP/7pko
すまない>>14>>15の間にこれ↓

        /∧⌒ヽヘ
      ─┐|ノ -_-ノノ┌
      /:::::〈 /ノ. (ヽ 〉::|
      |::::::::| ( ( > <)|::::ヽ
     |::::::::/ ノノ) .〈 ヽ:::|
     /:::::::::| レ) ノV |:::|
     |::::::::/  ] // |::|
     |_/   |//   |/

  【バフラム軍OF:アージェイト】
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)[sage]:2011/08/18(木) 23:38:28.14 ID:oF6j3lE4o
はいだらァ!
18 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 23:42:05.52 ID:tjiP/7pko
アージェイトは女性を模したフォルムのOFだった。東洋の着物を連想するマント型外装に、簪のような飾りが頭部に付いている。
小型の自動追撃装置ウィスプを撒き、本体は後方へと下がる防御重視の機体だった。
これまでのOFとは違い、高い性能を保持していたが、それでもジェフティの速度を捉えるには至らなかい。
余り時間を要せずに決着した。
グラブで地表へ叩き落とし、ジェフティがアージェイトを組み伏せる。


   ディンゴ「目的はこの機体か?」

OFパイロット「さぁ?」

   ディンゴ「バフラムにしたってやり方が荒すぎる」

OFパイロット「でしょうね」

   ディンゴ「指揮官は誰だ?」

OFパイロット「お生憎様、言うと思――」

  /NOH\「無論私だ!」

OFパイロット「……」

   ディンゴ「……」

OFパイロット「――何ですって?」

   ディンゴ「俺じゃない」

  /NOH\「と言っても、オリジナルの私だが」

OFパイロット「この声……どうしてジェフティに」


一瞬ディンゴの意識が逸れた隙に、拘束から逃れたアージェイトがふわりと舞い上がる。


   ディンゴ「おい、待て!」

OFパイロット「私はケン・マリネリス。またね、誰かさん」


アージェイトが開いたバフラム艦のハッチに消える。


/NOH\「さてディンゴ、どうする?」

 ディンゴ「煩せぇ、行くしかねぇだろうが」

/NOH\「ククク、艦へ乗り込むか」

 ディンゴ「カリストを戦場にする訳にはいかねぇ」
19 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/18(木) 23:54:57.89 ID:tjiP/7pko
【バフラム艦内部】


/NOH\「スパイダー撃破。やはり無人機では相手にならんか」

 ディンゴ「何体居やがるんだ……」

 ディンゴ「だが、これで艦はカリストから離脱した」

/NOH\「貴様はどうやって逃げる気だ?」

 ディンゴ「奥へ進む。奴が居るのは分かってる」

艦内ゲートを抜けた先は、中央の天井から逆向きに何らかの装置がぶら下がっている部屋だった。
装置の内部には、OFのような物体が逆さ吊りになっている。

/NOH\「ふむ、どうやら歓迎されているようだな」

 ディンゴ「何?」

/NOH\「メタトロン反応を確認。尻を取られるぞ」


     /〉〉   \__|    /〔〕
   / ̄|   /:ハ\-w〉ヽ  |ノノ 〔〕
   |「ノ    //::::::::/ハヽ/::::::ヽ |/  ||
  ノ ̄〉   ((:::::「二>┐〉)フ ]:::) 〔〕
  |「/  -=≡::::〉ノ::> n((::::ノ  |||
  |/      \:|ノ:巴)< | ]   ‖
           /::) ノ^ヽ|ノ
          /:::|ノ/  ) /
           |/  レ 

   【バフラム軍無人OF:ネフティス】
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)2011/08/18(木) 23:56:05.53 ID:RnutIyzq0
はいだらー!
21 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 00:02:29.35 ID:pkSZTjCgo
逆さ吊りのOFが装置から開放されて落下し、反転。その場で滞空する。
花弁を思わせる大型の装置を背部に六つ備えたネフティスは、無機質な双眸をジェフティへ向けた。


  敵OF「ジェフティ、目標ブラボー」

 ディンゴ「この声……ヴァイオラか?」


ディンゴの脳裏に浮かんだのは、一人の女性ランナー(OFのパイロット)だった。


/NOH\「残念だが、彼女は二年前に死んでいる。あれは戦闘経験のみを引き出したAIだ」

 ディンゴ「死んだ?」

/NOH\「そうだ。私と同類だよ」

 ディンゴ「あいつは良いフレームランナーだった」

 ディンゴ「死人まで駆り出すとはな……許せ、ヴァイオラ」


多段レーザーを潜り抜け、強固なシールドを退け、ジェフティの放った角材がネフティスの腹部を貫いた。


/NOH\「敵OFの機能停止を確認」
22 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 00:08:02.64 ID:pkSZTjCgo
 ディンゴ「さて、もう良いだろう」

/NOH\「そうだな」

 ディンゴ「お前は何なんだ?」

/NOH\「私は、ノウマンの思考を元にして組み上げられたAIだ」

 ディンゴ「もっと分かり易く言ってくれ」

 ディンゴ「お前はノウマン=NOHなのか?」

/NOH\「違う。だが、一部の人格と記憶を引き継いでいる」

 ディンゴ「人格と記憶?」

/NOH\「そうだ。貴様が入隊した以降の断片的な記憶を与えられている」

 ディンゴ「なら完全なコピーというわけじゃないんだな」

/NOH\「そうだ」

 ディンゴ「死人を使うだけじゃ飽き足らず、自分で己の類似存在を生み出すとはな」

 ディンゴ「あきれた野郎だが、ノウマンが何故お前を作ったのかは想像が付く」

/NOH\「ほう」

 ディンゴ「まぁ、それはどうでも良い」

 ディンゴ「俺は奴と話を付けるだけだ」

SE:警告音

/NOH\「OFアヌビスを確認。さぁメインディッシュのお出ましだ」
23 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 00:19:27.94 ID:pkSZTjCgo
SE:空間湾曲音

空間が歪み、その裂け目から一体のOFが姿を現した。
アヌビス――ジェフティと対の存在。
黒々とした装甲の表面には血のようなエネルギーラインが奔り、歪な両腕を組んだ姿は、ジェフティの姉妹機とは思えない
禍々しさを放っていた。
背部の羽根のようなスラスターと鳥を思わせる逆間接の脚が、その異様さを強調している。
犬の様な異形の頭部がジェティを見据えた。



      /[ |]]/| /| /[ |]]
     /  | / - > ///
     |   / | (゚∋゚) ///
     |   /⌒ Φ⌒ヽ||
     |  _ヽ  ゞ/シノ_
     |   //入  ヾヽ\
     |   //( ヾ⌒| )
     |  //ノ| ノ\_||
     |  // ノ / ノ ノ
   / | // ( [ ( ( [
   ( |_//  ヽ | \ ヽ
   ヽ─=   \|  \|  

   【バフラム軍OF:アヌビス】


敵OFランナー「久しぶりだな、ディンゴ」


                           xfTア¨¨¨ア : .
                      xf^,′/ / / / / `メ、
                    / ! || ,′,′,' / / /   \
                   〃 | ||| l  l ,' ,′,′  // ヘ
                        || | ||| |  l ! | ,′ ////!
                     ハ|! || |  l ! | ,′/////|
                  |  | | 以`´`´`~` < /// 人
                   |、 //            ヽ/ /  〉
                    〃\i//               y彡  /ヽ
                   ト、\|//              }} }キ斧彡'/} |
                 刈ヽ!//           〃//`Y // //
                  ┌‐√トミ亥_  ヽ i /  // // ̄/==ァ
                  f¨!!/!!小ー弐そx_ノ__(____xセツ斧彡 //〃/〃7i
                  |/||/||//|/ ` 三刈~´豕三 ´  ヽ〃〃//||/| |
                  |/||/||/ハ     l! l|   }     リ||/||///||/| |
                  ヽ||、///∧ヽ`ー 7 リ  勹‐ ‐=彳 |///l__!ノ
                  └ ∨//∧ \ ヽ{_彡'´ _ ィ///// ̄ !
                     /∨//∧  ` ミTエエ斗 ´//  /     |
                 /  ∨//∧    _     , '  /       ハ
                     /   _∨//∧  ´ ̄`  , '  /___   /  | `・ .
              /  _/  | | |` ‐---‐彳 ! l´ ̄ミメ、    |    \ 



    ディンゴ「ノウマン……!もう顔を合わせることは無いと思っていた」

    ノウマン「これまでどうしていた?」

    ディンゴ「ちょっとした休暇をね」

    ノウマン「少し痩せたようだな」

    ディンゴ「声で分かるのか。相変わらず現役のようだな」

    ディンゴ「だが生憎と、俺は再会を喜ぶ気分じゃない」

    ノウマン「それは残念だ」

    ノウマン「ではジェフティを返してもらおう。NOH!」

   /NOH\「――メインエネルギーライン・カット サブシステム・オフライン システム・セーフモード」

    ディンゴ「てめぇ!!くそっ、機体が……」

   /NOH\「貴様の行動はNOHを通じて監視していた」

    ノウマン「ディンゴ、機体から降りろ。話がある」
24 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 00:26:59.89 ID:pkSZTjCgo
バフラム艦内:乗員通路】


ノウマン「ケン、紹介しよう。ディンゴだ。六年前、我が部隊の主力パイロットだった男だよ」

  ケン「……」

ノウマン「死んだと思っていたが……まあ良い」

ノウマン「私の部隊に戻れ、ディンゴ。これから面白くなる」

ディンゴ「断る!」

ノウマン「……戻れ。お前は好きだ」

ディンゴ「よくそんな台詞が言えるな」

ディンゴ「あんたが下した俺の最後のミッション……それだけじゃねぇ。ヴァイオラまであんな風にしやがって」

ディンゴ「反吐が出るぜ」

SE:銃声

ディンゴ「(苦悶)」

  ケン「(驚愕)」


数発の銃弾を胸に受け、ディンゴか後ろへ流される。傷口から零れ出した血液は、無重力のために大小の粒となって宙を漂う。
出血が酷く、瞬く間に廊下の空間を、血液が埋めていく。


ノウマン「残念だよ、ディンゴ」

ノウマン「死体は片付けておけ」

ディンゴ「(意識混濁、呼吸、脈拍低下)」

  ケン「(声を潜めてディンゴへ)助かりたかったら協力して」
25 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 00:33:05.40 ID:pkSZTjCgo
【二ヶ月後 火星衛星ダイモス 衛星軌道上:ダイモス・ステーション】

激しい痛みと固いシートの感覚を背に感じ、ディンゴは目を見開いた。
ディンゴが身体を預けていたのは、ジェフティのコックピットだった。
見慣れないパイロットスーツを着されている。


   ディンゴ「何処だ、ここは……」

  /NOH\「フハハハハハ!おはようディンゴ!」

   ディンゴ「……最悪の寝覚めだ」

     ケン「火星の玄関口、ダイモス・ステーションよ」

     ケン「具合はどう?二ヶ月も眠っていたんだから」

   ディンゴ「ゲロ袋をくれ。二重の意味で吐きそうだ」

  /NOH\「そのまま吐いても私は構わんぞ」

   ディンゴ「煩せぇ、頭に響く」

     ケン「あまり彼に辛らつな態度はどうかしら?」

   ディンゴ「何?俺が撃たれたのはこいつのせいでもあるんだぞ」

     ケン「じゃあ何で生きてるの?」

   ディンゴ「……どういうことだ」

     ケン「貴方は今、欠損した心肺機能をジェフティとNOHで補ってるの」

     ケン「つまり、ジェフティを降りたら死ぬのよ」

  /NOH\「そう、貴様は今!私と一蓮托生どころかまさしく一心同体となっているのだ!フハハハハハ!」

   ディンゴ「馬鹿か!馬っ鹿かお前!?またはアホか!!」

     ケン「仕方ないでしょ、命が有るだけありがたいと思って」

   ディンゴ「OFのコックピットから出られない上に、ゲイAIと心中なんで冗談じゃねえ!!」

  /NOH\「ふむ、褒め言葉として受け取ろう」

ディンゴ・ケン「「受け取るな!!」」
26 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 00:37:36.49 ID:pkSZTjCgo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
取り合えず、今日はここまでということで。
お粗末さまでした。

支援して頂けた方、拙い展開で真に申し訳ないです。

ともかく1000を目指して励みます。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/19(金) 00:38:32.46 ID:ZOMNcW2p0
>>1

ちょっとノウマン始末してくる
ADAを返しやがれ!!
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/19(金) 08:01:08.56 ID:JJfkegd2o
乙!
いやぁ、すんげぇ濃い戦いになりそうだなwwwwwwww
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/08/19(金) 10:40:19.21 ID:iEF3OMxAO


ADAが……ADAがぁぁぁぁぁぁぁ!!
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県)[sage]:2011/08/19(金) 13:52:07.36 ID:DUCRp8gho


レオが発狂するのが目に浮かぶ...
31 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:20:20.55 ID:m6NetNQao

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そろそろ今日の分を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
32 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:21:55.98 ID:m6NetNQao
ディンゴ「おい、ケンとか言ったな。何故俺を助けた?」

ケン「勿論、私に協力してもらうためよ」

ディンゴ「断る」

ケン「ちょっと、約束したじゃない!」

ディンゴ「いつ」

ケン「死ぬ間際よ」

ディンゴ「しらねぇな」

ケン「貴方、言ってることがノウマンと同じよ」

ディンゴ「あぁ!?返事をした覚えはねーぞ!」

/NOH\「フハハハハハ!気に障ったようだなディンゴ!良いぞ小娘!」

ディンゴ「てめぇは黙ってろ!」
33 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:25:15.94 ID:m6NetNQao
ケン「命を救って貰った事は感謝してる。だがな、俺はもうバフラムを抜けたんだ」

ディンゴ「ノウマンの下には戻らねぇ」

ケン「それなら大丈夫よ。私バフラムじゃないから」

ディンゴ「はぁ?」

ケン「寧ろ逆、連合側よ」

/NOH\「ほう、私も初耳だ」

ディンゴ「……UNSF(連合宇宙軍)のスパイだってのか?一人でどうする気だ」

ケン「だから貴方に協力を求めてるの」

ディンゴ「なら助けを求める相手が違うんじゃねーか。お仲間に言ってくれ」
34 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:28:51.28 ID:m6NetNQao
ケン「それは無理」

ディンゴ「へっ、悪いが――」

ケン「ノウマンは計画の準備を進めてる」

ケン「貴方は彼のせいで部隊を失った」

ケン「放っておけば、多くの犠牲者が出るわ。それでも良いの?」

ディンゴ「……」

ディンゴ「(深いため息)」

ディンゴ「オーケー、OKだ」

ディンゴ「ただ、一つ提案がある」

ケン「できるだけ善処するわ。何?」

ディンゴ「AIを載せ代えろ」
35 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:33:21.73 ID:m6NetNQao
/NOH\「ディンゴ!私を捨てるのか!」

ディンゴ「拾ってすらねぇ!」

ディンゴ「気持ちは分かるけど、駄目よ」

ディンゴ「何?」

ケン「貴方のバイタル管理もNOHが行っているの。もし載せかえるのなら手間が掛かるし、スタッフを呼ばなきゃ無理」

ケン「そんな時間は無いわ」

ディンゴ「こいつは信用できねぇ」

ディンゴ「これから叩くノウマン本人を乗っけてるようなもんだぞ」

ケン「大丈夫、ちゃんとチェックしておいた。私が保障する」

ディンゴ「……お前に保障されてもな」
36 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:37:59.95 ID:m6NetNQao
ケン「一度バラして妙なプログラムとか無いか調べたし、首輪も付けておいたわ」

ケン「彼は勝手なことは出来ないようになってる」

/NOH\「ククク、なかなか刺激的な体験だったよ」

/NOH\「安心しろディンゴ、以後私は貴様を裏切らないと誓おう」

/NOH\「私は敵や味方、そして性別という概念を超越した存在となった!」

/NOH\「これぞ完全なるディンゴとの融合!」

/NOH\「ディンゴは誰にも渡さん!」

ディンゴ「……ほんとに大丈夫か?」

ケン「……たぶん」
37 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:40:19.46 ID:m6NetNQao
訂正>>33

(誤)ケン「命を救って貰った事は感謝してる。だがな、俺はもうバフラムを抜けたんだ」

(正)ディンゴ「命を救って貰った事は感謝してる。だがな、俺はもうバフラムを抜けたんだ」
38 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:45:56.26 ID:m6NetNQao
/NOH\「私はバフラム軍指揮官としての記憶を有している。つまり、敵がどう動くか予測できるのだぞ」

/NOH\「これを利用しない手はない」

ディンゴ「もっともらしいことを言ってるが……で、ケン、これからどうする?」

ケン「ダイモス・ステーションから脱出して、火星へ向かって」

ディンゴ「火星?」

ケン「ええ。現在火星圏は全て、バフラムの統治下にある。ノウマンのお手柄でね」

/NOH\「そうだ!私だ!」

ディンゴ「おまえじゃねぇだろ……」
39 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:49:13.31 ID:m6NetNQao
ディンゴ「戦況は?」

ケン「UNSFが抵抗を続けているけど、もってあと数日ね」

ディンゴ「ノウマンも火星に?」

ケン「ええ、アーマーン始動の準備をしているはずよ」

ケン「詳しいことは後で話す。まずは船舶射出用のカタパルトを目指して」

/NOH\「そこまでの案内は私が行おう」

ディンゴ「オーケーだ」
40 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:54:34.85 ID:m6NetNQao
大型のハッチを抜けると、船舶や貨物移動用の巨大な通路が左右に続いていた。


/NOH\「敵無人OFサイクロプスを確認」


           ジツハ ワタシ エンキョリ コウゲキ モ デキルンデス !!
      (゚∈゚_)
     /⌒∧)∧
    ミイ ノ //
       ((
      |⌒) )
      | //
      | ノノ
      |/ノ

【バフラム軍無人OF:サイクロプス】


/NOH\「近接特化型だ。接近し過ぎてへまをするなよ」

ディンゴ「はい、はい」
41 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 21:58:56.42 ID:m6NetNQao

警備をしている敵機を撃破しつつ、ジェフティはカタパルトを目指し先へと進む。


SE:電子音

/NOH\「救難信号を受信」

/NOH\「愚図が。無視を提案」

ディンゴ「ああ、それで良い」

ケン「ちょっと待って!それがバフラムのやり方?」

ディンゴ「時間が無いんだろ?」

/NOH\「自分のケツも拭けんような奴は、バフラムには居ない」

ケン「(溜息)NOH、繋いで」

/NOH\「不本意だが」
42 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:03:10.08 ID:m6NetNQao
救難通信「こちらテイパー。貨物通路に閉じ込められてる。救助を求む」

/NOH\「回線はUNSFだ」

ディンゴ「こちら――あー、ヘンリー・Gだ。どうした?」

テイパー「UNSFか?」

ディンゴ「ああ、そんなもんだ」

テイパー「バフラムの攻撃で部隊は壊滅、孤立しちまった」

テイパー「俺もLEVに損傷を受けて動けない状態だ」

ディンゴ「今何処に居る?」

テイパー「……それが……わからねぇ」

/NOH\「一人生き残った挙句、迷子か!おめでたい奴だ」

テイパー「……あぁ、その通りだ。返す言葉もねぇよ」

ディンゴ「しかし、それじゃ助けようがない」

テイパー「頼む!重要な任務の途中なんだ」
43 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:08:08.38 ID:m6NetNQao
ディンゴ「重要な任務?」

/NOH\「その様でよく言えたものだ」

テイパー「……火星で戦ってる仲間がベクターキャノンを奪って立ち往生してる」

テイパー「俺は一刻も早く、仲間の援護に行かなきゃならない」

ディンゴ「ベクターキャノン?」

/NOH\「ベクターキャノンは強力な大型高出力エネルギー砲だ」

/NOH\「バシリアから奪取したのだろう」※バシリアは火星に十六ある州の一つ
44 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:12:50.97 ID:m6NetNQao
テイパー「あんた……詳しいな」

テイパー「そうだ、これは戦況を変えるチャンスなんだ」

テイパー「うぇ、さっきから近くを敵がうろついてるやがる」

テイパー「頼む、後生だ!助けてくれぇ!」

ケン「ディンゴ、助けてあげて」

ケン「私たちにもベクターキャノンは必要よ」

ディンゴ「どーだか」

/NOH\「ベクターキャノンはOFにも搭載可能だ」

/NOH\「入手すれば、良い火力になる」

ディンゴ「わかったよ」

ディンゴ「NOH、救難信号の発進場所は掴めるか?」

/NOH\「正確な位置は特定できない」

/NOH\「だが、通信方式からしてこの近くだ」

ディンゴ「しらみつぶしに探していくしかねぇか」
45 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:13:36.79 ID:m6NetNQao
テイパー「あんた……詳しいな」

テイパー「そうだ、これは戦況を変えるチャンスなんだ」

テイパー「うぇ、さっきから近くを敵がうろついてるやがる」

テイパー「頼む、後生だ!助けてくれぇ!」

ケン「ディンゴ、助けてあげて」

ケン「私たちにもベクターキャノンは必要よ」

ディンゴ「どーだか」

/NOH\「ベクターキャノンはOFにも搭載可能だ」

/NOH\「入手すれば、良い火力になる」

ディンゴ「わかったよ」

ディンゴ「NOH、救難信号の発進場所は掴めるか?」

/NOH\「正確な位置は特定できない」

/NOH\「だが、通信方式からしてこの近くだ」

ディンゴ「しらみつぶしに探していくしかねぇか」
46 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:18:45.77 ID:m6NetNQao

【同時刻 バシリア・カウンティ:バフラム軍 軍事施設内】


バフラム通信士「ノウマン大佐。ダイモスから緊急通信です」

ノウマン「繋げ」

バフラム仕官「こちらダイモス・ステーション」

バフラム仕官「申し訳ありません、鹵獲したジェフティが何者かに奪われました」

ノウマン「状況は?」

バフラム仕官「現在無人機が足止めをしていますが――」

ノウマン「ネフティスに追撃させろ」

ノウマン「NOHとの通信は?」

バフラム仕官「駄目です。全て繋がりません」

ノウマン「わかった。逐一報告しろ」

バフラム仕官「了解しました」

ノウマン「通信士」

バフラム通信士「はい大佐」

ノウマン「艦隊司令を呼び出せ」
47 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:26:03.59 ID:m6NetNQao

【数分後 火星衛星ダイモス 衛星軌道上:ダイモス・ステーション 船舶射出カタパルト】


ディンゴはコンテナに隠れていたUNSFのテイパーを発見し、救出。
護衛をしながら再び現れた敵機を撃墜しつつ、カタパルトへと急ぐ。


           ____    グラブ デ ツカマレル ダケノ カンタン ナ オシゴト
          /∞ /|
        /∞ /〆)
       (´Д`;)/( () 
       <[ >< ||フ\\
       /(个( | > \\    
      σ(/ノ(| |)σ   \\        
        | ) | |     .\|>       
       / > (-)
       ⌒  ⌒
  【UNSF現行LEV:ファントマ】


テイパー「助かったぜ、ヘンリー・G」

ディンゴ「手間掛けさせやがって」

ディンゴ「まぁ、火星での俺の任務は、お前と似たものになりそうだ」

テイパー「無事向うに着いたら連絡する」

ディンゴ「ああ」

テイパー「火星じゃ俺の足手まといになるなよ」

/NOH\「態度と顔だけはでかい男だな」

/NOH\「ジェフティをバフラムと勘違いして震えていた奴とは思えん」

テイパー「(咳払い)」
48 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:32:38.98 ID:m6NetNQao

テイパー「さーて、それじゃ、俺は一足お先だ」

SE:衝撃音

テイパー「おっと」

テイパー「そういや、あんたの任務って――」

ディンゴ「急げ!敵が来た!」

テイパー「ひえぇ、じゃ、じゃぁ、またな!」


テイパーのLEVを載せた小型シップが、電磁誘導式レールによって加速され、宇宙空間へ射出される。


ディンゴ「くそっ、雑魚どもがわらわらと」

/NOH\「どうやら汎用機だけではないようだ」

ディンゴ「こいつは……ヴァイオラか……」

ディンゴ「AIとはいえ、ヴァイオラを相手にはしたくねぇ」

ディンゴ「行くぞ」


ジェフティが背部の双発スラスターノズルを全開にし、宇宙へと開かれたゲートから火星へ向けて離陸した。
僅かに間をおいて、隔壁を破壊して、ネフティスが現れる。
その時には既にジェフティの姿は小さな点となり、火星の模様に紛れ見えなくなった。
49 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:39:24.29 ID:m6NetNQao

ディンゴ「ふぅ、ようやく一息付けそうだ」


ディンゴがパネルを操作し、ジェフティをオートパイロットへ切り替える。


ケン「一先ずお疲れ様」

ディンゴ「火星へ到着するまでに状況を把握したい」

ケン「わかったわ」

ケン「少し長くなるけど」

ディンゴ「だから今しかないだろう」

ケン「寝ないでよ」

ディンゴ「早くしろ」
50 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:50:10.61 ID:m6NetNQao

ケン「半年前、バフラムが火星各地のカウンティの武力制圧を開始したの」※カウンティは州のこと

ケン「地球の圧制に耐えかねてね」

ディンゴ「『エンダー』か」※エンダーとは作中で『田舎者』というような意味

ディンゴ「地球の連中は火星や木星圏に住む人間を見下してやがるからな」

ケン「どれだけ技術が進歩しても、人種差別は国単位から星単位に形を変えて残ってる」

ディンゴ「くだらねぇ」

ディンゴ「そもそも、火星にバフラム軍ができたのも、元々は自分たちを守るためだった」

ディンゴ「今となってはお互い様だが」

ケン「おそらく地球の人々は、火星の人々を『異星人』と思ってたんでしょうね」

ディンゴ「バフラムは大方『異星人の侵略軍』ってとこか」

ケン「そんな風潮を後押ししたのが、七年前の事件と世界初のOF開発」

ディンゴ「ダイモス事件……」

ケン「高い技術力とOFの性能を恐れ、バフラムを危険視する声は多かった」

ケン「だから地球側からの圧力は日に日に厳しくなっていたの」

ディンゴ「こうなるのも時間の問題だったってことか」

ケン「そうかもしれない。バフラムが火星圏を掌握するのはあっという間だったわ」

ディンゴ「連合の現行LEVじゃあ勝ち目はない」

ケン「ええ。LEVとOFとは、天と地ほどの性能差があるのは知っての通り」

ケン「追い込まれたUNSFは一ヶ月前、賭けに出たの」
51 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 22:55:23.71 ID:m6NetNQao

ケン「UNSFは火星に残った全兵力で、バフラムの拠点であるバシリア・カウンティへ総攻撃をかけた」

ディンゴ「無謀だ」

ケン「私もそう思った。結果、UNSFは壊滅状態」

ケン「現在は分断された残存兵が各個殲滅されている、最悪の状況」

ケン「でも成果はあった」

ディンゴ「ベクターキャノンか」

ケン「そう。でもベクターキャノンを奪取した部隊も、バシリア領内に取り残されている」

ケン「テイパーは彼らを救うための地球からの増援でしょうね」

ディンゴ「だが、増援も上手く合流できてないようだな」

ケン「火星の衛星であるダイモスとフォボスの両方をバフラムは押さえてる」

ケン「下手に艦隊で乗りつけようものなら、大損害を被るわ」

ディンゴ「それで目立たないように部隊単位で隠密作戦か」

ディンゴ「しかし、なんでベクターキャノンが重要なんだ?」
52 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 23:00:16.25 ID:m6NetNQao

ケン「ディンゴ、アーマーン計画は知ってる?」

ディンゴ「名前だけは」

ケン「アーマーン計画はリコア・ハーディマン博士によって発案されたの」

ディンゴ「ノウマンの親父か」

ケン「そうよ。だけどハーディマン博士は三年前に亡くなってる」

ディンゴ「死因は?」

ケン「詳しくは知らないけど、公式にはジェフティの作動実験中に事故死、となってるわ」

ディンゴ「ジェフティの……」

ケン「ハーディマン博士亡き後、計画はノウマンに引き継がれた」

ケン「それから計画は本格化したの」
53 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 23:05:02.93 ID:m6NetNQao

ケン「アーマーンは大量のメタトロンを使用した、桁外れの破壊能力を有する軍事要塞なの」

ケン「これが完成したら、UNSFに勝ち目はない」

ケン「OFなんて比にならない大量破壊兵器よ」

ディンゴ「そんな凄い兵器があるなら、何故ノウマンはジェフティに拘る」

/NOH\「それは私が説明しよう」

/NOH\「ジェフティ、そしてアヌビスも、アーマーン計画の一部として開発されたのだ」

ディンゴ「どういうことだ?」

/NOH\「この二機は、単体でアーマーンの始動キーとしての役割を担っている」

/NOH\「リコアがそう設計した」

/NOH\「アーマーンを動かすにも、止めるにも、この二機のどちらかが必要になる」

ディンゴ「だが、二つは不要……」

/NOH\「邪魔なスペアは手元に置くか、消す必要がある」
54 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 23:09:08.82 ID:m6NetNQao

ケン「アーマーンは強力な外部シールドで周囲を守られているわ」

ケン「UNSFはこれを突破することが出来なかったの」

ケン「でも、ベクターキャノンならシールドを無効化し貫通できる」

ディンゴ「なるほどな」

ディンゴ「それで、アーマーンは何処に?」

ケン「バシリア内よ」

ディンゴ「あの野郎はご機嫌だろうな」

/NOH\「フン、それには同意するが、まったく気に食わん」

ケン「へえ、NOHがそんなことを言うなんて」

/NOH\「既に私は奴の勢力ではないし、ましては奴に頭を垂れる気は元よりない」

/NOH\「そう、これが自由!これぞ未確認浮翌遊快感!」

ディンゴ「はい、はい」

ケン「とりあえず、説明はこれぐらいかしら」

ケン「そろそろ火星に到着する頃ね」

ディンゴ「今降下中だ」

ディンゴ「そろそろ地表が……」
55 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 23:13:47.82 ID:m6NetNQao

ディンゴ「おい……なんだよこれは!」

ディンゴ「周辺一帯、焼け野原じゃねぇか!」

ケン「……酷いわね」

ディンゴ「火星のテラフォーミングは完全じゃない……戦場にするには脆すぎる」

/NOH\「ディンゴ、感傷に浸っている暇はないぞ」

ディンゴ「何?」

SE:警告音

/NOH\「未確認機が接近中」

ディンゴ「バフラムか?」

ディンゴ「それにしちゃ、やけに対応が早い」

ディンゴ「領空を監視にでも引っかかったか」
56 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 23:17:14.12 ID:m6NetNQao

火星の丘陵に沈む夕日を背に、一機の戦闘機が高速で接近してくる。
白い装甲を茜に染め、アークジェットエンジンが生み出す推進炎が尾を引く。


ディンゴ「なんだあいつは?」


戦闘機の正面に備え付けられた二対の砲門から、紫色のレーザーがジェフティへ発射される。
ジェフティがレーザーを回避した瞬間、戦闘機が人型へ変形した。
目標を失ったレーザーが岩壁に直撃し、塵芥を巻き上げる。


                      レブ ダカラッテ ナメルナヨ

         「::ヽ    |「::::\
         |::/⌒ヽ /:::::::::::::\
        |\/ 决⌒::/74フ:::::\
        \_〕:::フ 〈:::〔_/< \::::\
        /(< ノΦレ::]  〉入   \::ヽ
      ∠//  (◯〈   | フ      ̄
        / /ヘ ヽ_ |_/   
        L/ ≧ \ ≧         
           | 〈     \ 〈        
          |/      \|      

【UNSF新型可変LEV:ビックバイパー(コードネーム:V2)】


ディンゴ「OFじゃない……UNSFか?」

/NOH\「迎撃体勢を取れ、来るぞ!」

二機が衝突し、展開したジェフティーのエネルギーブレードを、ビックバイパーの両腕から発生したレーザーブレードが受け止める。
鍔迫りに似た状態で二機は空中で静止し、睨み合った。
57 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/19(金) 23:24:24.95 ID:m6NetNQao

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

もし読んで下さっている方が居られたら聞きたいのですが
話の状況は理解出来ますかね?

あとゲーム実プレイの方とか。

何かツッコミや要望、質問等ありましたらよろしくどーぞー。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/19(金) 23:28:43.49 ID:XlpQE2yIO
乙!
ノウマンAIもなかなか……
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 01:16:30.89 ID:iYnquJWIO
>>57
流石に未プレイの人は解らないんじゃないか?

AI載せ換えただけでほぼ原作通り進めやがって・・・ツボ過ぎるwww

NOHかわいいよNOH ハァハァ
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/20(土) 08:24:38.70 ID:jbJe8DX0o
ノウたん人懐っこいなww
次回、レオがどんな狂い方をするかが楽し・・いや心配wwww
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/20(土) 08:25:13.79 ID:jbJe8DX0o
ノウたん人懐っこいなww
次回、レオがどんな狂い方をするかが楽し・・いや心配wwww
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/20(土) 08:26:32.07 ID:jbJe8DX0o
すんません、なぜか二回書き込まれてしまた・・・
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 17:29:42.89 ID:MEUkI1leo
スペシャルエディションじゃないほうか
ところどころのセリフをNOHがかっさらっていくなw

ADA…
64 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 20:47:57.42 ID:sasaJRyko

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[本編開始前の呟き]

皆さんレスありがとうございます。

うーん、やはり未プレイだと厳しいですよね。
基本ゲームのムービー&通信シーンを基にした会話形式ですし。

というかこの版でロボット物やってんの私だけっぽいですね。
マイナーな上に事前知識がないとキツイとか誰得……。

あと、私の持ってるのは数年前に買ったスペシャルエディションなんですが
シナリオ面で通常版と何か差とかあっただろうか

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
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65 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:00:09.72 ID:sasaJRyko

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第三部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

あと、夜は時々板の調子が悪くなる時があるみたい。
私も昨日のように重複しないよう気をつけます。
投降ミスったら更新してみると良いかもしれません。

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       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
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66 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:02:08.80 ID:sasaJRyko

【火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 バシリア領との州境】


ディンゴ「待て!俺はバフラムじゃない」

LEVパイロット「バフラムじゃなかったら、なんだっていうんだ!」

/NOH\「貴様だな、レオ・ステンバック」

レオ「(驚愕)」

レオ「その声……」

/NOH\「覚えていてくれたようだな、レオ」

ディンゴ「知り合いか?」

レオ「そんな、嘘だろ……」

ディンゴ「おいどうした?」

レオ「……」






レオ「うぅぅぅぁぁぁぁああああ!!!」
67 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:05:14.26 ID:sasaJRyko

レオ「ノォォォォォウマァァァァァン!!!!」

ディンゴ「くそっ!待て!待て!待て!」

レオ「ADAを、ADAをどこへやった!!!」

レオ「ADA……ADAが……エイダァ……」

レオ「……」

レオ「ADAやったのかあぁぁぁ!!!」

ディンゴ「はあぁぁ!?何言ってんのか全っ然わかんねぇよ、畜生!!!」

/NOH\「フハハハハハ!」

/NOH\「錯乱しているようだな。取り合えず黙らせた方が良い」

ディンゴ「てめぇのせいだろうが!!」
68 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:09:12.75 ID:sasaJRyko

錯乱したレオのビックバイパーが放つ攻撃を、ジェフティが左腕のシールドで防ぎながら地表すれすれを滑空する。
ジェフティを追って飛行形態へ変形したビックバイパーが、ジェフティの真上か滝のようにレーザを浴びせる。
矢継ぎ早に降り注ぐレーザー光。
その全てがジェフティへ吸い込まれ――ジェフティの姿は巻き起こった凄まじい砂煙の中へ消えた。
機影を見失ったビックバイパーが、その場で人型へ変形する。
その時生じた、機体が変形するために要する一秒にも満たない隙。
急上昇し砂煙から飛び出したジェフティが、変形直後のビックバイパーを岩壁に叩きつけ組み伏せた。
69 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:12:46.35 ID:sasaJRyko

レオ「うあぁぁ……」

レオ「エイダァ、エイダァ、エイダ……」

ケン「酷いわね」

ディンゴ「ケン!こいつは何を言ってるんだ!?」

ケン「彼はジェフティにもともと搭載されていたAIのことを言ってるのよ」

ディンゴ「NOHじゃないのか!?」

ケン「あたりまえよ!こんな気持ち悪いAI初めて見たわ!」

/NOH\「おい貴様……」
70 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:19:51.69 ID:sasaJRyko

/ADA\「レオ、落ち着いてください」


レオ「幻聴まで聞こえてきた……こいつを倒して僕も死ぬ!!」

ADA「勝手に殺さないで下さい」

ADA「私はデリートされていません」
71 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:22:34.02 ID:sasaJRyko

レオ「……ADA?」

レオ「……本当に君なのか?」

/ADA\「はい。私です」

ケン「始めまして、レオ」

ケン「私はケン・マリネリス」

ケン「そしてジェフティに乗ってるのがディンゴよ」

レオ「……どういうことなのか、説明してもらえますか?」

ディンゴ「切り替えはえーな、おい」

/NOH\「これも愛か」
72 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:27:43.74 ID:sasaJRyko

カリストから火星までに起きた出来事とその理由を、ケンがレオへ簡潔に説明した。


レオ「つまり、ディンゴさんがジェフティに乗った時には、既にNOHになっていた」

ディンゴ「ああ、そうだ」

ケン「ノウマンが鹵獲してから、バックグラウンドで眠っていたADAを私がジェフティから移動させたの」

レオ「彼女は今何処に?」

ケン「取り合えず、私のOFに搭載させて貰ってるわ」

レオ「そうですか、良かった」

ディンゴ「なんだ?俺だったら不安なのか?」

レオ「そうじゃなくて、僕は彼女を戦わせたくないんです」

ディンゴ「何故?」

レオ「……エイダのために」

ディンゴ「戦闘AIを戦わせたくない、か。面白いことを言う奴だな」

/NOH\「フン、あんな経験の浅いAIなどより、私の方が素晴らしい」

レオ・/ADA\「「黙れ」」
73 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:32:29.91 ID:sasaJRyko

ディンゴ「ケン、ひとつ聞きたいことがある」

ケン「何かしら?」

ディンゴ「お前、何でNOHじゃなくてADAを移動させた?」

ケン「しょうがないでしょ、彼女がどんなAIか調べなくちゃいけなかったし」

ディンゴ「後から載せ換えることも出来た筈だ」

ケン「あら、ごめんあそばせ」

ケン「こーんな素直な彼女を、渡すなんて嫌よ」

/ADA\「ありがとうございます」

ディンゴ「なっ……!お前、俺に押し付けやがったな!!」

ケン「あったりまえでしょ!私だってそんな"濃ゆい"AIなんて願い下げだわ!」

ディンゴ「この貸しはいずれ返してもらうからな!」

ケン「命を助けたのは誰か忘れたのかしら?」

ディンゴ「このっ……!!」

/NOH\「貴様ら、それでもバフラム軍人か!!」

ディンゴ・ケン「「黙ってろ!!」」
74 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:35:15.20 ID:sasaJRyko

ディンゴ「さあ、こっちの状況は話したぜ」

ディンゴ「お前は一体なんなんだ?」

レオ「僕はUNSF艦アトランティス号所属のLEVパイロットです」

レオ「そして、数ヶ月前までジェフティに乗っていた」

ディンゴ「何?この機体はバフラム製だぞ」

ケン「そのことなら、私が説明出来ると思う」

ケン「ディンゴ、アンティリア事件は覚えてる?」
75 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:40:03.38 ID:sasaJRyko

ディンゴ「ああ、ニュースで見た」

ディンゴ「木星圏でも、当時はその事件でで持ちきりだったからな」

ディンゴ「UNSFに占領されていたコロニー・アンティリアを、バフラムが奪還したんだろ?」

 ※アンティリアはバフラム軍のコロニーだったが、過去にUNSFに奪われている。

ケン「そう。でも奪還されたのはコロニーだけじゃない」

ケン「この時、アヌビスも奪還されたの」

ケン「そしてジェフティも奪還する予定だった。失敗したけどね」

ディンゴ「アンティリアでジェフティとアヌビスが建造されていた?」

ケン「知らないのも無理ないわ」

ケン「極秘だったようだから」
76 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:43:39.77 ID:sasaJRyko

ディンゴ「UNSFがアンティリアを占拠したのは、この二機が原因だったのか」

ケン「そうでしょうね」

ケン「どこかから情報を嗅ぎ付けたんだと思う」

ディンゴ「二度も戦場にされたアンティリアの住民は堪ったもんじゃないな……」

ケン「民間人の負傷者、死者もかなりの数にのぼったと聞いてるわ」

ケン「UNSFも結構手荒だったみたいだけど、ノウマンもどっこいよ」

ディンゴ「あいつは目的のためだったら、身内だろうと容赦しねぇ」

ディンゴ「胸クソの悪くなる下衆野郎だ」
77 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:47:09.47 ID:sasaJRyko

/ADA\「レオはアンティリア事件に巻き込まれた一般人でした」

レオ「その時初めて僕はジェフティ――ADAと出会ったんだ」

ディンゴ「なるほどな」

ディンゴ「ジェフティでアンティリアから脱出し、その後UNSFに……か」

ディンゴ「じゃあ何でこいつをカリストへ捨てた?」

レオ「僕が捨てたんじゃない!エレナさんが勝手に……」

ディンゴ「エレナ?」

レオ「……」

ディンゴ「まぁ良い、込み入った事情もありそうだ」
78 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:50:57.11 ID:sasaJRyko

レオ「マリネリスさん、ADAを宜しく頼みます」

ケン「任せて」

レオ「それと、ADAを決してアーマーンには近づかせないようにして下さい」

ケン「何か問題でも?」

レオ「……ADAは、アーマーンで自爆するようにプログラムされています」

ケン「なんですって」

ケン「本当なのADA?」

/ADA\「はい、プログラムの根幹に根ざすコマンドです」
79 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 21:59:40.29 ID:sasaJRyko

ディンゴ「ちょっと待て」

ディンゴ「ジェフティに細工はされてないのか?」

レオ「それは大丈夫だと思います」

レオ「ADAのプログラムはOFの心臓部であるアンチプロトンリアクターを暴走させるものです」

ケン「じゃあ、私のアージェイトが吹き飛ぶわけ!?」

ディンゴ「はっ、ざまぁねぇな!」

/NOH\「フハハハハハ!これは傑作だ!」

ケン「ちょっと!笑い事じゃないわよ!」

ディンゴ「悪かった、冗談だ」

/NOH\「私は本気だ」

ケン「アンタねぇ……」
80 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:02:45.53 ID:sasaJRyko

レオ「UNSFが、ジェフティがバフラムに鹵獲された際の安全作としてプログラムを組み込んだんです」

レオ「だから、彼女をアーマーンに行かせてはいけない」

ディンゴ「ケン、今何処だ?」

ケン「まだダイモスよ」

ケン「でもクルーが私を疑い始めた。そろそろダイモスを出て火星へ向かうわ」

ディンゴ「なら事態が収束するまで、どっかに隠れてろ」

ディンゴ「こっちにはくれぐれも近づくな」
81 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:05:19.74 ID:sasaJRyko

ケン「落ち着いたら連絡する」

ディンゴ「ノウマンに捕まるんじゃねーぞ」

ケン「そんなミスはしないわ」

レオ「ADA、気を付けて」

/ADA\「了解しました」

ケン「……」

ディンゴ「どうした、まだ何かあるのか?」

ケン「……なんでもないわよ!」

ケン「バシリアへの新入経路はNOHに聞いて、それじゃあね!」

ディンゴ「なんだんだ、あいつは……」

/NOH\「ククク」
82 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:08:08.58 ID:sasaJRyko

レオ「僕はこれから、バシリア領内に取り残された仲間の救援に向かいます」

ディンゴ「しっかし上官に確認も無しで、俺を行かせて良いのか?」

レオ「全てを信用したわけじゃない」

レオ「でも、あなたの腕は確かだった」

ディンゴ「へっ、そりゃどーも」

レオ「それに、エレナさんは頑固だから」

ディンゴ「さっき言ってた相手か」

ディンゴ「年長者からのアドバイスだ」

ディンゴ「自分が従うべき上官は、よく見極めろ」

レオ「心に留めておきます」
83 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:13:09.33 ID:sasaJRyko
SE:警告音

/NOH\「メタトロン反応を確認」

ディンゴ「くそっ、見つかったか」

/NOH\「自機直上だ!回避しろ!!」


ジェフティとビックバイパーが左右に離れると同時に、二機の眼前を通過した無数のレーザーが、火星の大地に突き刺さった。
岩が砕け、砂塵が立ち上る。
そして何もなくなった空間へ、朱の残像を残しながら、華の様な六つの大型装置を背負った機体が虚空から舞い降りた。


ディンゴ「ネフティス!ヴァイオラか!」

ヴァイオラAI「見つけた」

レオ「ヴァイオラ……?」


ビッグバイパーが、自分に背を向けているネフティスを見つめる。
84 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:16:27.13 ID:sasaJRyko

レオ「ヴァイオラ・ギュネー……生きていた……?」

ディンゴ「いや、死んでる」

ディンゴ「こいつは戦闘能力をコピーしたAIだ」

ディンゴ「レオ、お前――ヴァイオラを知ってるのか?」

レオ「……はい」

レオ「彼女を殺したのは、僕です」
85 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:18:44.24 ID:sasaJRyko

ディンゴ「なんだと!?」

ディンゴ「どういうことだ!!」

/NOH\「ディンゴ、お喋りをしている暇はないぞ」

ヴァイオラAI「さあ、楽しませてもらおうか!」

ディンゴ「くそっ!!」
86 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:21:07.64 ID:sasaJRyko

ネフティスが食虫花を思わせる獰猛さで、ジェフティへと襲い掛かった。
OFの特徴である他の兵器を寄せ付けない瞬発性能。
スラスター炎と朱色の残像がジェフティへと一息で迫る。
ジェフティが身構え、二機の距離が一メートルを切るかに思えた瞬間、重々しい金属音と共にネフティスの動きが止まった。
ネフティスの背後に居たビックバイパーが、ネフティスを後ろから拘束していた。
逃れようともがくネフティスを、ビックバイパーが羽交い絞めにし、動きを封じている。
87 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:27:27.53 ID:sasaJRyko

ヴァイオラAI「邪魔をするな!」

レオ「行って下さいディンゴさん!!」

ディンゴ「どうする気だ!?」

レオ「ここは僕が引き受けます」

レオ「僕が……決着を付けないといけないんです」

ディンゴ「救援を待つお前の仲間は?」

レオ「……もし、向うで彼らを見つけたら――」

ディンゴ「あー畜生っ!わかった!」

ディンゴ「だが、保障はしないぞ。俺は俺の目的を最優先する」

レオ「目的は同じです。構いません」

ディンゴ「それともう一つ、後から必ず話を聞かせてもらう」

ディンゴ「だから――死ぬんじゃねぇぞ」
88 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:31:03.61 ID:sasaJRyko

機体を反転させたジェフティが、スラスターノズルを全開にし、急速離脱した。
ジェフティが追撃不能な距離まで到達するのを見届けたビックバイパーが、ネフティスの拘束を解く。
すぐさま体勢を立て直そうとするネフティスを、レーザーブレードを発生させたビックバイパーの両腕が貫いた。
腹部に風穴を開けられ、ネフティスの全身が弛緩する。


レオ「すまない……」
89 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:34:36.27 ID:sasaJRyko

【火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 渓谷】


ディンゴ「NOH、バシリアへ入るには何処へ向かえば良い?」

/NOH\「現在地から南へ下った地点にあるゲートから入ることが出来る」

/NOH\「マップにポイントしておいた」

ディンゴ「オーケー、確認した」

ディンゴ「それほど距離はないようだな」

/NOH\「だが、ゲートにはロックが掛かっている筈だ」

ディンゴ「ゲートロックか……面倒くせぇ」

/NOH\「ゲートを挟んで、東と西に設置された装置がゲートを管理している」

/NOH\「この二つを破壊して、ロックを解除しろ」

ディンゴ「了解だ」
90 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:36:55.42 ID:sasaJRyko

【同時刻 火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 バシリア領との州境】


ビックバイパーがブレードを引き抜いた。
支えを失ったネフティスが、火星の重力に従い地表へ落下するかに思われた、その瞬間。
腰を軸に機体を一回転させたネフティスが、ビックバイパーを側面から蹴り飛ばす。
機体重量とスラスターによる加速度を載せた一撃に、LEVの中でも軽量のビックバイパーは、紙切れの様に吹き飛ばされた。
ウィングを開き速度を殺そうと勤めるが、果たせず、肩から岩場へと突っ込む。
激しい振動と衝撃音が、埃にまみれた火星の大気を振るわせた。
間髪を置かず、ネフティスがレーザーをビックバイパーへ向けて間断なく撃ち込みながら、高速で接近する。
半分岩場に埋もれたビックバイパーは身動きが取れない。
シールドを前面へ展開し、攻撃を軽減するだけで手一杯だった。
ネフティスが背部六つの大型装置を自機を中心に円形に展開。
減速することなく、自由を奪われたビックバイパーへ突撃をかける。
91 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:44:40.52 ID:sasaJRyko

【火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 渓谷・西部】


ジェフティは東のゲートロック装置を破壊し、残った西の装置を破壊するために進んでいた。


ディンゴ「妙だな、バシリアは厳重な警戒体勢にあるんじゃないのか?」

/NOH\「その筈だが、どうした?」

ディンゴ「ここへ来るまでに配備されている無人機の数が少なすぎる」

ディンゴ「それに、空ががら空きだ」

ディンゴ「艦の一つも見えない」

/NOH\「確かに。本来なら防衛に当たっている艦隊が巡回している筈だ」

ディンゴ「UNSFが領内を引っかき回してるなら、ありがたいんだがな」

/NOH\「常に最悪の状況を考えて行動しろ」

ディンゴ「他にバシリアへ通じるルートは?」

/NOH\「無い」
92 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:50:22.21 ID:sasaJRyko

ディンゴ「さて、逃げるか」

/NOH\「本気か?」

ディンゴ「冗談だ。洒落の通じねー奴だな」

/NOH\「フン、貴様のお頭の出来がよくわかる」

ディンゴ「ああ!?」

/NOH\「それ以上口を開くと、より惨めになるだけだぞ」

ディンゴ「言ってくれるじゃねーか」

ディンゴ「じゃあ賢い"洒落"ってもんをご教授願いたいね」

/NOH\「何?」

ディンゴ「どうした?」

/NOH\「……言っても貴様では理解できん」

ディンゴ「逃げたろ」

/NOH\「逃げてない」

ディンゴ「いーや、逃げたね」

/NOH\「逃げてないと言ってるだろう!」

ディンゴ「でかい声で喚くと、より惨めになるぞ」
93 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:55:23.70 ID:sasaJRyko

【同時刻 火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 バシリア領との州境】

ネフティスの容赦のない攻撃が、ビックバイパーを襲う。
生前のヴァイオラが得意とした『バドスラスト』と呼ばれる突撃近接攻撃。
正面から直撃を受ければ、如何にOFでも無事では済まない。
ましてはビックバイパーは新型であってもLEVだった。
ファントマよりも性能は遥かに向上しているが、あくまで試作機であり、これまでのLEVの枠から完全に抜け出せてはいない。
一部にSSA装甲を採用しているものの、大半は従来の素材を強化したものを使用している。
そして、OFに機動力で対抗するため搭載された可変機能と、機体の軽量化が防御力に若干の不安要素を残す。
一撃でも良いのを貰えば、勝敗は決する。
94 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:57:56.30 ID:sasaJRyko

【火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 渓谷・西部 ゲートロック装置前】


ディンゴ「これで装置は破壊した」

/NOH\「ディンゴ、ゲートへ急げ」

/NOH\「ゲートロックの解除を察知して、敵がゲートに集まってくる筈だ」

/NOH\「部隊を展開されると、突破は困難になる」

ディンゴ「オーケーだ。無駄な戦いは控えたい」
95 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 22:59:33.24 ID:sasaJRyko

ディンゴ「……」

/NOH\「レオのことが気掛かりか?」

ディンゴ「さぁな」

/NOH\「ふむ、奴のランナーとしての能力は私も知っている」

ディンゴ「筋は良いが、戦闘経験が圧倒的に不足している」

/NOH\「対するヴァイオラは、生前私も一目置いていた」

/NOH\「彼女の実力は、貴様も知っているだろう?」

ディンゴ「ああ」

/NOH\「レオはアンティリア事件当時よりいくらかは成長しているようだが」

/NOH\「ヴァイオラがAIということを差し引いても、実力では五分か僅かにレオが劣る」

/NOH\「貴様が気に病む必要はない」

/NOH\「これは小僧が望んだことだ」

ディンゴ「煩せぇ、黙ってろ」
96 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/20(土) 23:06:00.83 ID:sasaJRyko

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

いやー、コメディ調で書こうと思っていたら本編の展開に引っ張られる形でこんなことに。

ファンサイトさんのデータを参考資料にさせて頂いて書いてますが
OFの戦闘描写は難しい……。

来週は所用で不定期の更新となるかもしれませんが
時々覗いていただけたら幸いです。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/08/20(土) 23:08:19.32 ID:w1oecvMCo
乙乙、ADAがちゃんといた!
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/20(土) 23:37:46.76 ID:tmATwXTJo
レオが発狂一歩手前までwwwwww危ないwwwwwwww
でもADAたん生きててよかったね!
それにしてもディンゴとNOHさんはいいコンビですな
仲良くケンカし(ry
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 23:50:10.42 ID:iYnquJWIO


ベクターキャノンの発射シーケンスをNOHたんがどうナビゲートするのか楽しみ過ぎる!
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 23:52:18.37 ID:6c0fA7ZIo
>>64
スペシャルエディション版だとV2との邂逅の前にナリタとの戦闘があったなあと思って
意図的に無視してたらすまん
シナリオ自体に大きな変化はないよ
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/20(土) 23:59:41.35 ID:ZrIAZq6IO
ちょっとまて
アージェイトにADAが積まれてるってことは…ヴァイオラAI消去戦どうなるんだ?
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/21(日) 00:35:44.28 ID:gwVqj+HIO
乙!
なんという俺得なスレ
ADAたんちゅっちゅっしたいよぅ


103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/21(日) 01:34:35.86 ID:JImrREjIO
>>101
そりゃもちろんNOHたんがネチネチと消去するんだろうよwww
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/21(日) 19:58:27.95 ID:UfvGNtHHo
ネチネチと・・・消去///
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/22(月) 18:49:56.42 ID:NAZ8bFZ2o
ヤバイ脳内再生余裕過ぎるwwwwwwww

乙!
106 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 20:57:59.37 ID:z7UTIFhQo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
[本編開始前の呟き]

読んでくれてる方が増えてるっぽい?
なんにせよ、皆さんレスありがとうございます。

ナリタ戦は削りました。
ちょっとテンポが悪くなりそうだったので。
あそこのADAとの掛け合いは面白いんで、どっかで入れれたら良いなぁ。

さて、もう暫くしたら本編開始します。
ドラマCDでも聞いている感じで読んでいただけたら。

というか、スダッチャーみたいにZ.O.Eでもラジオドラマ作って欲しいですね。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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107 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:00:51.90 ID:z7UTIFhQo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第四部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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      (__/| \___ノ/::
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108 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:03:10.94 ID:z7UTIFhQo

【同時刻 火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 バシリア領との州境】


防戦一方のビックバイパーへ、ネフティスの容赦のない攻撃が続く。
ビックバイパーは未だ機体が埋もれ、動くことが出来ない。
繰り返されるレーザーの雨と近接攻撃を辛うじてシールドで防いでいたが、それも限界だった。
負荷に耐えかねた肘関節が軋み、火花を散らす。
エネルギー供給に障害が発生し、シールド出力が低下。
ついに、ビックバイパーの正面に展開していたシールドが、消えた。
敵が攻撃を防ぐ手段が消失したのを確認し、ネフティスが高高度から止めを刺すために急降下をしかける。
ビックバイパーは動かない。
ネフティスの朱の残像が、ビックバイパーの白い装甲へ突っ込み、巻き起こった激しい衝撃が周囲の大地を吹き飛ばした。
109 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:05:58.70 ID:z7UTIFhQo

ネフティスの質量を受けて、ビックバイパーの外部装甲が拉げ、引き裂かれ、剥落する。
しかし、ネフティスも無事では済まなかった。
接触の際に、ビックバイパーが高圧縮エネルギー弾『ガントレット』をネフティスへ叩き込んでいた。
ビックバイパーのカウンターは、既に損傷を受けていたネフティスの腹部を正確に射抜き、
駆動系とエネルギーラインに深厚なレベルの深手を与えた。
ネフティスが小爆発を起こし、SSA装甲が焼け焦げ、ひび割れる。
二機はもつれ合いながら火星の地表を抉り、数十メートル進んでようやく止まった。
周囲は、静かになった。
110 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:08:22.06 ID:z7UTIFhQo

【火星地表:マルガリティフェル・カウンティ西端 バシリア領通行ゲート】


ディンゴ「……どうなってやがる」

/NOH\「これは私も予想外だ」

ディンゴ「敵が一機も配備されていない……」

ディンゴ「いや、配備していた無人機を退かしたのか?」

/NOH\「わからん」

ディンゴ「……いよいよきな臭くなってきやがった」
111 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:11:01.14 ID:z7UTIFhQo

ゲートを抜けた先はバシリア市街地の近くだった。
ジェフティはそこで、UNSFのLEV隊と遭遇する。


【火星地表:バシリア市街地近郊】

若いLEVパイロット「お、OFだ!」

中年LEVパイロット「全機戦闘態勢!!」

ディンゴ「待て、俺はバフラムじゃない!」

中年LEVパイロット「何者だ?」

ディンゴ「……敵じゃない。お前らと似たような境遇だ」
112 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:12:45.98 ID:z7UTIFhQo

若いLEVパイロット「だ、騙されないぞ」

ディンゴ「撃つ気ならもう撃ってる」

ディンゴ「それとも、殺されたいのか?」

若いLEVパイロット「ひっ……」

ディンゴ「部隊長は誰だ」
113 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:15:04.13 ID:z7UTIFhQo

中年LEVパイロット「私がストーム中隊の指揮を執っている」

ディンゴ「あんたらも仲間の救援に向かう最中か?」

ストーム中隊隊長「救援だと?」

ストーム中隊隊長「我々が助けてもらいたいぐらいだ!」

ストーム中隊隊長「既に部隊の半数以上を失った」

ストーム中隊隊長「周囲はバフラムだらけだ。もう逃げることも出来ん」

ディンゴ「だったら何処へ向かってる?」
114 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:18:05.11 ID:z7UTIFhQo

ストーム中隊隊長「バシリア市街地だ」

ディンゴ「正気か!?民間人を巻き込むぞ!」

ストーム中隊隊長「だからこそだ」

ストーム中隊隊長「民間人を盾にすれば、敵もおいそれと手出しできまい」

ディンゴ「なんて奴だ……」

ストーム中隊隊長「ふんっ、どうせ火星のクズどもだ」
115 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:20:39.39 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「何だと!」

ストーム中隊隊長「我々は多くの友軍を失った!」

ストーム中隊隊長「ただでは終わらん」

ディンゴ「だから民間人を巻き込むってのか!」

ストーム中隊隊長「軍人だろうが民間人だろうが、火星人に変わりはない!」

ストーム中隊隊長「奴らがどうなろうと知ったことか!」
116 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:23:28.68 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「野郎……!」

/NOH\「ディンゴ、誰もがお前のように強く在れるわけではない」

/NOH\「奴らは自分の家族とも離れ、見知らぬ星に取り残されている」

/NOH\「もう二度と、己の妻や子と会えるかどうかもわからない状況だ」

/NOH\「そんな中で、敵側の民間人を気にかける余裕など無いだろう」

ディンゴ「けっ、殊勝なことを言うじゃねーか」

ディンゴ「だがな、奴らの行為を正当化する理由にはならねぇ」

/NOH\「無論、その通りだ」

/NOH\「しかし、奴らにも守るべき者や戦場に身を置く理由がある」

/NOH\「奴らを同じ人としてでは無く、異星人として見ているのは、お前も同じなのではないのか?」

ディンゴ「……」
117 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:26:04.96 ID:z7UTIFhQo

SE:電子音

テイパー「おっと悪い、取り込み中だったか?」

ディンゴ「……誰だ、てめぇ?」

/NOH\「知らんな」

テイパー「おいおいおいおい!」

テイパー「俺だよ、テイパーだ!」

テイパー「十数時間前にダイモスで生死を共にした仲じゃねぇか」

ディンゴ「死にかけたのはお前だけだろうが」

/NOH\「貴様は既に死んでいたからな」

ディンゴ「ああ!?」
118 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:30:11.15 ID:z7UTIFhQo

テイパー「……相変わらずつれねぇな」

ディンゴ「要件は何だ?」

テイパー「沿岸でベクターキャノンを奪って消息を絶っていた、エイトヘッド中隊の通信をキャッチした」

テイパー「断崖の施設内部に篭城したまま、動けないらしい」

テイパー「俺はこれからその発信地へ行く」

ディンゴ「俺も今から向かう」

テイパー「詳しい場所を送ってくれ」

テイパー「了解だ、施設をポイントしたマップデータを送る」
119 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:32:59.25 ID:z7UTIFhQo

/NOH\「ふむ、受信した」

ディンゴ「それとテイパー、お前のお仲間を見つけた」

テイパー「俺たちの、だろ」

テイパー「少しでも戦力が増えるのはありがてぇ」

ディンゴ「状況はお前から説明してくれ」

テイパー「なんでだ、あんたが説明すれば――」

ディンゴ「繋ぐぞ」
120 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:35:14.89 ID:z7UTIFhQo

テイパー「……人使い荒れぇな」

ディンゴ「何か言ったか?」

テイパー「いーや、何も」

ディンゴ「NOH、レオに繋いでくれ」

/NOH\「了解した」

通信「(ノイズ)」

ディンゴ「レオ、聞こえるか?」

通信「(ノイズ)」

ディンゴ「おい、どうした?」
121 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:39:15.43 ID:z7UTIFhQo

/NOH\「応答が無い」

ディンゴ「呼び掛け続けろ」

通信「(ノイズ)」

通信「(ノイズ)」

通信「(ノイズ)」

/NOH\「ディンゴ、これ以上は――」

ディンゴ「くそっ!」
122 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:42:20.56 ID:z7UTIFhQo

テイパー「連中と話は付いた」

テイパー「これから向かってくれるそうだ」

ディンゴ「了解だ」

SE:電子音

/NOH\「ケンから通信」

ケン「ディンゴ、私も無事火星に着いたわ」

ケン「そっちはどう?」

ディンゴ「ベクターキャノンを奪取した部隊を発見した」

ディンゴ「これから合流するところだ」

ケン「OK。順調ね」
123 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:44:11.27 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「だが悪い知らせもある」

ディンゴ「レオと連絡がつかない」

ケン「彼と別れた場所は?」

ディンゴ「マルガリティフェル西端の、ジェフティ降下地点だ」

ケン「私が今居るところから近い」

ケン「ちょっと見てくるわ」

ディンゴ「気を付けろ。ヴァイオラが居るかもしれねぇ」

ケン「わかったわ」

ケン「じゃあまた後で」
124 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:48:22.51 ID:z7UTIFhQo

テイパー「俺もそろそろ移動する」

ディンゴ「ああ」

ディンゴ「敵に見つかるようなヘマはするなよ」

テイパー「それなら大丈夫だ」

テイパー「さっきからまったく敵を見かけやしねぇ」

テイパー「楽勝よ」
125 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:53:03.71 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「NOH、施設へ向かう最短ルートは?」

/NOH\「今居る地区の隣に、リニアレールが引かれている」

/NOH\「海岸沿いにエアーズ・クリフを経由しているようだ」

/NOH\「レールに沿って進めば、施設周辺へ出る」

ディンゴ「市街地を抜ける必要があるのか」

/NOH\「こればかりは仕方あるまい」

ディンゴ「急ぐぞ」
126 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 21:58:07.22 ID:z7UTIFhQo

【火星地表:バシリア市街地 リニアレール・トンネル入り口】


ディンゴ「このトンネルを通ってレール沿いに進めば施設周辺だ」

ストーム中隊隊長「礼は言わんぞ」

ディンゴ「けっ、いらねーよ」

/NOH\「おいディンゴ、良いものがある」

ディンゴ「何だ?」

/NOH\「OF輸送用の大型リニアトレインだ」

/NOH\「UNSFの連中を危険に晒さず、施設へ送ることが出来る」

ディンゴ「こいつはオート制御だろう」

ディンゴ「どうやって動かす気だ?」
127 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:01:38.22 ID:z7UTIFhQo

/NOH\「私がハッキングしてプログラムを書き換える」

/NOH\「ジェフティでリニアの先頭車両に触れろ」

ディンゴ「必要な時間は?」

/NOH\「三十秒もあれば可能だ」

ディンゴ「オーケー、やってくれ」
128 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:05:37.15 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「おい中隊長殿」

ディンゴ「今リニアをハッキングした」

ディンゴ「こいつを利用すれば、安全に施設まで行けるぜ」

/NOH\「今から一分後に、自動で発進するようセットしてある」

ストーム中隊隊長「中に敵は居ないんだろうな?」

ディンゴ「敵反応はねぇよ」

ストーム中隊隊長「良いだろう」

ストーム中隊隊長「ストーム中隊全機、リニアトレインへ搭乗せよ!」
129 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:09:45.00 ID:z7UTIFhQo

SE:警告音

/NOH\「ディンゴ、敵だ」


飛来した数機のラプターが、ジェフティを取り囲む。
そして、手にした大型のスポットライトをジェフティへと照射した。
夜のバシリアに、ジェフティの機影が浮かび上がる。


ディンゴ「くっ、なんだこいつら!」

SE:電子音

ノウマン「無駄な抵抗は止めろ、既に貴様は包囲されている」

ディンゴ「ノウマン!」
130 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:13:35.83 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「NOH、敵の数は分かるか?」

/NOH\「大隊に匹敵する数が、建造物などの陰でアンブッシュしている」

ディンゴ「やけに警備が手薄だと思ったが……」

ディンゴ「ノウマンの野郎、ご丁寧に集めやがって」

/NOH\「突破は困難だ」

ディンゴ「だが、ここで止まるわけにはいかねぇ」
131 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:16:57.76 ID:z7UTIFhQo

ノウマン「ジェフティを奪ったのはやはり貴様か、ディンゴ」

ノウマン「待ちくたびれたぞ」

ディンゴ「生憎、デートの誘いを受けた覚えは無いんでね」

ノウマン「そしてNOH、何故裏切った?」

/NOH\「私は裏切ってなどいない」

ノウマン「なんだと?」
132 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:18:48.89 ID:z7UTIFhQo

/NOH\「貴様は父の死から変わった」

/NOH\「いや、変わってしまった、と言うべきか」

ノウマン「……」

/NOH\「私は貴様を止める」

/NOH\「それが私の存在意義だ」

ノウマン「中途半端に人格を移植したのが裏目に出たか」

ノウマン「出来損ないのゴミめ!」
133 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:21:47.11 ID:z7UTIFhQo

ノウマン「ディンゴ、これが最後だ」

ノウマン「私の部隊に戻れ」

ノウマン「これまでのことを水に流してやっても良い」

ディンゴ「……アンタも懲りねぇな」

ディンゴ「じゃあ、何度でも言ってやる」

ディンゴ「死んでも断る!」

ノウマン「……そうか、なら望み通りの結末を与えてやろう」
134 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:25:43.90 ID:z7UTIFhQo

ディンゴ「この程度の無人機で俺を止められると思ってないだろうな」

ノウマン「ククク……」

ディンゴ「何が可笑しい!」

ノウマン「今貴様を包囲しているのは、無人機だけではない」

ノウマン「遠方よりバフラム艦五隻がジェフティに照準を合わせている」

ノウマン「もし貴様が抵抗すれば、容赦のない艦砲射撃とミサイルが降り注ぐだろう」

ノウマン「その際"誤って"周囲の建造物に少なくない被害が出るかもしれんが――」

ノウマン「――貴様にとってはどうでも良いことだな」

ディンゴ「ノウマン、てめぇ……!!」
135 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:27:18.94 ID:z7UTIFhQo

動きの止まったジェフティの四肢にラプターが取り付き、空中で拘束する。


ノウマン「ディンゴ、面白いものを見せてやる」

ディンゴ「何?」

ノウマン「冥土の土産だ」

ノウマン「あの世で貴様の部隊に聞かせてやるがいい」
136 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:30:25.36 ID:z7UTIFhQo

バシリアの空が割れた。
まるで台風の目に入ったように、バシリア上空を覆っていた雲は散り散りになり、綺麗な夜空が広がった。
嵐の前の静けさ。
一拍置いて、暴力的な光の奔流がバシリアへと降り注いだ。
137 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:35:07.54 ID:z7UTIFhQo

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以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

そろそろ展開が変わり始めました。
原作好きの方には申し訳ありません。

明日は更新できると思いますが、量は短くなるかも。

もし21時になっても始まらない場合は、その日はお休みということでお願いします。

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      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/08/22(月) 22:46:51.96 ID:/6ZJUQPio
乙乙
NOHがまとも…だと…?
139 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/22(月) 22:47:41.49 ID:z7UTIFhQo
>>122に加筆。それではノシ

SE:電子音

テイパー「連中と話は付いた」

テイパー「これから向かってくれるそうだ」

ディンゴ「了解だ」

テイパー「アンタ、誰かと通信してたみたいだが、何かあったのか?」

ディンゴ「少し前に別れた知り合いと、連絡が取れなくなった」

テイパー「そうか……気を落とすなよ、便りが無いのは無事な証ってな」

ディンゴ「ああ、そうだな」
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/23(火) 02:43:29.53 ID:RNJYZk/2o
乙乙
原作に無いストーリーは展開がわからんから楽しみだ
141 :きれいな・ ゚+./NOH\゚+.゚ たんキター!![sage]:2011/08/23(火) 08:04:37.86 ID:3qS8dOZ6o
乙ですがなー
いやぁ益々楽しみになってきたよおおお
142 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 20:55:26.41 ID:zicmFq+So

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、本編を開始します。

今日は量が短くなりますが、宜しくお願いします。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
143 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 20:59:34.39 ID:zicmFq+So

ディンゴ「なにが起きてる!?」

/NOH\「衛星フォボスのウーレンベック・カタパルトを、バシリアに向けたようだ」

/NOH\「本来は空間を引き込むエネルギーを、逆に放出している」

ディンゴ「野郎、最初からそのつもりで……」
144 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:06:54.17 ID:zicmFq+So

ディンゴ「ノウマン!バシリアを滅ぼす気か!?」

ノウマン「バシリアがどうした?」

ノウマン「景気づけにちょうど良い」

ノウマン「いずれ火星も同じ道を辿る」

ディンゴ「そんなことはさせねぇ……!!」

ノウマン「吼えていろ」

ノウマン「貴様の最後を見届けられないのは残念だが、私は忙しい」

ノウマン「精々楽しんでくれ」
145 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:12:36.20 ID:zicmFq+So

ディンゴ「NOH、回線をオープンにしろ!」

/NOH\「了解した」

/NOH\「だが、何をする気だ?」

ディンゴ「自分が正しいと思うことを、そして今出来ることを行うだけだ」
146 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:16:42.08 ID:zicmFq+So

ディンゴ「おい!聞いてるかバフラム軍!!」

ディンゴ「お前らは何でバフラムに入った?」

ディンゴ「お前らは自分の手で、故郷を焦土に変えるために、これまで戦って来たのかよ!?」

ディンゴ「俺は火星で生まれ、火星で育った」

ディンゴ「マーシャンとしての自分に誇りを持ってる」 ※マーシャンとは『火星生まれ』、『火星人』といった意味

ディンゴ「だから俺はノウマンもアーマーンもぶっ潰す」

ディンゴ「それでも撃ちたい奴は撃て!」


ジェフティが自機を拘束してたラプターを振りほどき、飛翔する。
147 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:21:00.30 ID:zicmFq+So

【火星上空:バフラム軍所属バシリア防衛艦隊】


艦長「……オープン回線で説教を垂れ流しているのは誰だ?」

通信士「はっ、ジェフティからのようです」

艦長「ふっ、言ってくれるな……」

艦長「全艦に通達」

艦長「ジェフティ鹵獲作戦は中止」

艦長「これより本艦隊はバシリア市民の救助活動を開始する」

副艦長「UNSFはどうします?」

艦長「停戦の合図を出せ」

艦長「もし奴らが応じない場合は排除しろ」

艦長「ただし、市民の救助が最優先だ」

副艦長「了解しました」
148 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:25:05.92 ID:zicmFq+So

バシリア上空から降り注ぐエネルギーの中心へと、ジェフティが飛び込んだ。
激しい衝撃に機体を震わせながら、右腕のシールドを展開させる。
しかし、ジェフティが備えたシールドの面積では完全に防ぐことが出来ない。
市街地では火の手が上がり、状況を掴めていない人々が逃げ惑う。
僅か数分でバシリアは多大な被害を被り、混乱状態に陥った。
149 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:29:00.27 ID:zicmFq+So

/NOH\「啖呵を切ったのは良いが、この状態は危険だ」

ディンゴ「必要最低限のエネルギー以外は全てシールドへ回せ!!」

/NOH\「スタビライザー(姿勢制御装置)はどうする?」

ディンゴ「カットしろ!俺が手動でやる!」

/NOH\「了解した」

ディンゴ「……野郎の好きにさせてたまるかよ」
150 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:32:23.37 ID:zicmFq+So

ジェフティ自体にも、防ぎ切れなかったダメージが蓄積していく。
各部のSSA装甲がひび割れ、砕け散る。
しかし、ウーレンベック・カタパルトからのエネルギー照射が止む気配はない。
151 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:36:02.17 ID:zicmFq+So

/NOH\「SSA装甲損傷」

/NOH\「頭部、メインカメラ・外部カバーシールド消滅」

/NOH\「左腕、シールド発生装置・内部温度上昇中」

/NOH\「これ以上は持たんぞ」

ディンゴ「ああ、わかってる!」
152 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:39:23.09 ID:zicmFq+So

/NOH\「シールド装置基部に異常発生・融解開始」

/NOH\「ディンゴ、ここで死ぬつもりか?」

/NOH\「今ならまだ間に合う。離脱しろ」

ディンゴ「嫌だね」

/NOH\「この馬鹿が!」

/NOH\「今ジェフティを失うことが何をもたらすか、貴様も理解しているだろう!」

ディンゴ「だからバシリアの市民を見捨てろっていうのか!?」

/NOH\「大局を前にすれば、時には非情な決断も必要だ!」

ディンゴ「煩ぇ!そんなもんクソ喰らえだ!!犬にでも食わせてろ!!」
153 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:42:30.46 ID:zicmFq+So

SE:警告音

/NOH\「敵だ」

ディンゴ「!!」


               タカイ コウゲキリョク ト ボウギョリョク サラニ シュウリダッテ デキチャイマス
        ┐( ゚∋
        \=⌒ /=
        /  Ψヽ
        ( __ )

 【バフラム軍無人OF:マミーヘッド】


瓢箪を思わせる形状のOFが、ジェフティの背後から飛来した。
三機編成が二組、合計六機のマミーヘッドが、ジェフティへと接近する。
ジェフティの視線が、迫り来る敵機を捉える。
ここでマミーヘッドは意外な行動に出た。
ジェフティの両脇をパスしてジェフティの正面に広がり、壁を作ったのだ。
盾を上空へ向け、エネルギー照射を防ぎ始める。


ディンゴ「……どうなってやがる?」

/NOH\「お前を待っていたのは、どうやらノウマンだけではないらしい」
154 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:46:23.37 ID:zicmFq+So

艦長「こちらはバフラム軍バシリア護衛艦隊旗艦レムリアだ」

艦長「ジェフティのパイロット、聞こえているか」

ディンゴ「アンタは?」

艦長「私は防衛艦隊指令官バドル・ヘラス」

バドル「君を援護する」

ディンゴ「……どういうつもりだ?」

バドル「状況が変わったのだよ」

バドル「ノウマンの行為は火星へ仇なすものだ」

バドル「彼は現時刻を以って反逆罪に問われ、その地位を解任された」

ディンゴ「けっ、最近の軍はえらく小回りが利くんだな」

ディンゴ「まるで台本を読み上げてるみたいだぜ」

バドル「君を利用したのは事実だ」
155 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:52:18.27 ID:zicmFq+So

ディンゴ「ノウマンがボロを出すのを待ってたってことか」

バドル「端的に表現すると、そういうことだ」

バドル「協力に感謝する」

ディンゴ「勝手に利用されて、良い気分はしねぇ」

ディンゴ「だが、助かった」

バドル「ここは任せるぜ」

バドル「君はどうする?」

ディンゴ「これからデートの約束があるんでね」
156 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:54:55.25 ID:zicmFq+So

バドル「沿岸部の施設に篭城しているUNSFのことか?」

ディンゴ「……」

バドル「隠す必要はない。彼らをどうこうする気はないよ」

ディンゴ「何故知ってる?」

バドル「おいおい、まともな戦闘能力を失った残党兵が、何故これまで生き残っていたのか」

バドル「一度も疑問に思わなかったのか?」

ディンゴ「……UNSFもノウマンを引きずり降ろすための餌だった訳か」

ディンゴ「回りくどいことしやがる」

バドル「軍を動かすには、それなりの理由が必要なのだよ」
157 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 21:58:44.40 ID:zicmFq+So

ディンゴ「俺はこれから施設へ向かう」

バドル「その機体でか?」

ディンゴ「今は時間が惜しい」

ディンゴ「ノウマンの野郎が嗅ぎ付けた可能性がある」

ディンゴ「さっきの感謝の言葉が嘘じゃないなら、救援を寄越してくれると信じてるぜ」

バドル「なら、その信頼に応えるとしよう」

バドル「君の名は?」

ディンゴ「あー、俺は――ヘンリー・Gだ」

バドル「ふっ、ヘスペリア・ゲイルズか」

バドル「あの決勝は歴史に残る名試合だった」

バドル「この戦いが終わったら、酒でも飲もう」

バドル「では失礼する」
158 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 22:02:04.77 ID:zicmFq+So

/NOH\「ククク、奴の方が一枚上手だったようだな」

ディンゴ「とんだ狸親父だ……」

ディンゴ「だが、おかげで思い出した」

ディンゴ「バドル・ヘラス。俺が現役だった頃から切れ者で有名だった」

/NOH\「ノウマンも危険視していたようだ」

/NOH\「それ故、自らの目の届く場所に置いていた」

ディンゴ「まあ、あのおっさんなら捻じ曲がった今のバフラムを、良い方向へ導いてくれるかもな」
159 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 22:04:55.57 ID:zicmFq+So

バシリアを防衛艦隊に任せ、ジェフティはリニアレールに沿ってUNSFが篭城する施設へ向かう。
しかし、ジェフティが受けた機体の損傷は軽くなかった。


ディンゴ「今のジェフティの状態は?」

/NOH\「シールド損傷・出力五十パーセント低下」

/NOH\「SSA装甲・全体の四十パーセントが損壊」

/NOH\「ベクター・トラップに不具合発生・サブウェポンで使用可能はグラブのみ」

/NOH\「右スラスターノズル・ウィングに亀裂」

/NOH\「主だったものは以上だ」

ディンゴ「オーケー、問題ない」

/NOH\「……どうやら真っ先に修理が必要なのは、貴様の脳味噌のようだな」
160 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/23(火) 22:09:40.44 ID:zicmFq+So

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

以前に1000目標とか自分でほざいてましたが
その道のりが果てしなく遠いことを痛感しております。

次回の更新まで数日空くかもしれませんが、ご容赦を。

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161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県)[sage]:2011/08/23(火) 23:00:01.49 ID:d+AsVR6xo

バドル△
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/23(火) 23:39:10.04 ID:j9JL3PuIO
乙!

これは熱い
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/08/24(水) 07:52:13.32 ID:q4UBybIgo
NOHたんに脳みそを修理してもらい隊///
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/08/24(水) 22:38:23.08 ID:W69/VGR30
乙!
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/25(木) 01:44:10.04 ID:U3xRoO3So



そうだよなーバフラム軍内部でも、ノウマンに対する不信感はあっただろうな
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/25(木) 11:38:41.33 ID:/vpy5pgzo
これはまさかの展開
楽しみだ 乙乙
167 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:10:52.45 ID:IaV3TUAto

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ第五部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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168 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:12:03.99 ID:IaV3TUAto

SE:電子音

ケン「ディンゴ、無事なの!?」

ディンゴ「ああ、なんとかな」

ケン「バシリアへ光が降り注ぐのが見えた」

ケン「何があったの?」

ディンゴ「ノウマンがフォボスのウーレン・ベックカタパルトを火星へ向けた」

ディンゴ「おかげでバシリアは大混乱だ」

ケン「なんてこと……」
169 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:15:14.14 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「だが、朗報もある」

ディンゴ「バフラムが今回の一件で、ノウマンを解任した」

ディンゴ「取りあえず、当面は協力してくれるようだ」

ケン「私にも通達が来たわ……ほんと、今更よね」

ディンゴ「思うことはあるだろうが、ノウマンを止めることが先決だ」

ディンゴ「実際問題、OF一機では荷が勝ち過ぎていたところもある」
170 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:19:18.13 ID:IaV3TUAto

ケン「……そうね」

ディンゴ「レオは無事だったのか?」

ケン「ええ。気を失っていただけよ」

ケン「機体は損傷しているけど、本人に怪我は無いわ」

ディンゴ「そうか、良かった」
171 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:24:26.10 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「ケン、お前は施設に来るな」

ディンゴ「ノウマンにUNSFの居場所がバレた可能性が高い」

ケン「なら尚更、急いだ方が良いわね」

ケン「ベクターキャノンを奪われるわけにはいかない」

ディンゴ「正体がバレるぞ」

ケン「まだ大丈夫よ」
172 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:27:31.05 ID:IaV3TUAto

ケン「それに、もう施設の前まで来てるわ」

ケン「先にベクターキャノンを入手して、離脱する」

ディンゴ「……」

ディンゴ「俺がバフラムにいた頃、ノウマンの部隊にUNSFのスパイが紛れ込んでいた」

ディンゴ「何ヶ月もの間、部隊の誰も気付かなかった」

ディンゴ「俺も含めてな」

ケン「……それで?」

ディンゴ「だが、ノウマンだけは見抜いた」

ディンゴ「奴には、特別な嗅覚がある」
173 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:31:26.55 ID:IaV3TUAto

ケン「……その人、どうなったの?」

ディンゴ「さあな」

ディンゴ「ノウマンがそいつを部屋に呼んだ日を境に、ぱったり姿を見なくなった」

ディンゴ「同時に、そいつに関するデータも全て抹消済されていた」

ディンゴ「最初から存在していなかったように、消えちまったよ」

ケン「……」

ディンゴ「お前がノウマンの下で、今まで無事だったはずがない」

ディンゴ「……"本当に"UNSFのスパイならな」
174 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:35:07.62 ID:IaV3TUAto

ケン「施設に到着したわ」

ケン「もう切るわね」

ディンゴ「おい待て!」

/NOH\「既に回線はオフラインだ」

ディンゴ「……NOH、お前がケンについて知っていることは?」

/NOH\「私が知っているのは小娘の基本的なデータだけだ」

/NOH\「軍のデータベースにある以上の情報は与えられていない」
175 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:38:50.84 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「何かないのか?」

/NOH\「ふむ、ケンの父はバフラムに所属していた」

ディンゴ「していた?」

/NOH\「彼は既に亡くなっている。軍の作戦中にな」

/NOH\「覚えが無いか、ディンゴ?」

ディンゴ「まさか……」
176 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:42:05.88 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「俺の部隊に居た、リチャードの娘だってのか?」

/NOH\「そのようだ」

ディンゴ「父親の敵討ち……一応筋は通るが、何か引っかかる」

/NOH\「私も貴様と同意見だ」

/NOH\「ディンゴ、我々の立場は非常に曖昧で不確かだ」

/NOH\「誰であろうと、常に防衛線は張っておけ」

ディンゴ「ああ、お前も含めてな」

/NOH\「ククク、それぐらい慎重でなくては困る」
177 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:47:30.13 ID:IaV3TUAto

【火星沿岸部:エネルギー施設】

UNSFが篭城している断崖に建造された施設へ到着したジェフティは、合流するために内部へと急ぐ。


ディンゴ「敵が居ない」

ディンゴ「バドルのおっさんが仕事をしてくれたみたいだな」

/NOH\「気は抜くなよ」

/NOH\「ノウマンは現在でも少なくない兵力を抱えている筈だ」

ディンゴ「けっ、無人機ばかりのな」

/NOH\「それ故、説得は通じん」

SE:警告音

/NOH\「メタトロン反応を確認」

/NOH\「数は二」

/NOH\「一つはアージェイト、もう一つは――」
178 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:50:56.23 ID:IaV3TUAto

突然、施設内部の壁が爆発と共に吹き飛んだ。
開いた穴から、数機のLEVが飛び出してくる。
そのどれもが酷い損傷を負っていた。
179 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:54:45.08 ID:IaV3TUAto

テイパー「ヘンリー・G、すまねぇ」

ディンゴ「テイパー!何があった!?」

テイパー「バフラムのOFに襲撃されて、ベクターキャノンを奪われた」

ディンゴ「……くそっ、遅かったか」
180 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 13:57:19.16 ID:IaV3TUAto

テイパー「あんたも早く逃げろ、あいつは異常だ」

テイパー「他のOFとは桁違いの性能を持ってる」

ディンゴ「俺のことはいい!」

ディンゴ「お前は仲間を連れて、早くここを離れろ!」

テイパー「でも、あんたボロボロじゃねぇか!」

ディンゴ「煩せぇ!死にたくないなら言うとおりにしろ!!」

/NOH\「――アヌビスだ」
181 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:00:56.58 ID:IaV3TUAto

壁に開いた穴を潜った先は、エネルギー精製炉の真上だった。
熱発電による高温で赤く染まった筒状の壁が、ぐるりと周囲を取り囲んでいた。
その中央で、ジェフティとアヌビスが対峙する。
182 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:03:49.04 ID:IaV3TUAto

ノウマン「ディンゴ、まだ生きていたとはな」

ノウマン「よほど死に足りないらしい」

ディンゴ「……あの世が一杯だったもんでね」

ノウマン「減らず口が利けるなら、まだ殺し甲斐はありそうだ」

ディンゴ「へっ、偉そうに」

ノウマン「勝ったつもりでいるようだが、バフラムという後ろ盾はもう無いぜ」

ディンゴ「ノウマン、あんたは終わりだ」
183 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:07:03.10 ID:IaV3TUAto

ノウマン「終わりだと?」

ノウマン「ククク……ハハハハハハハ!!」

ノウマン「ディンゴ、これは始まりだよ」

ノウマン「全ての終焉、メタトロンがもたらす破滅への!!」
184 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:10:37.75 ID:IaV3TUAto

ノウマン「バフラムなど既に問題ではない」

ノウマン「アーマーンの力を見せ付ける標的として、消えるだけの運命だ」

ディンゴ「アーマーンは始動させねぇ」

ノウマン「その様で何をするつもりだ?」

ディンゴ「へっ、孤独なあんたとは違って、俺には仲間がいるんでね」

ノウマン「ほう、仲間か」

ノウマン「仲間とは、例えば――彼女のような人間を指すのかね?」
185 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:16:15.11 ID:IaV3TUAto

アヌビスが片手を広げると、アヌビスの背後からアージェイトが姿を現した。


ノウマン「良くやった、ケン」

ケン「……」

ディンゴ「……どういうことだ?」

ケン「……」

ディンゴ「お前がノウマンに情報を渡したのか?」

ノウマン「彼女は、仲間なのだろう?」

ノウマン「疑ってかかるとは、酷いじゃないかディンゴ」

ノウマン「信じてやったらどうだ?」

ノウマン「ハハハハハ!!」
186 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:19:56.00 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「ケン、最初から騙してやがったのか」

ケン「……ええ、そうよ」

ディンゴ「……」

ノウマン「では、ケン」

ノウマン「ベクターキャノンをこちらに渡せ」

ケン「……」

ノウマン「どうした?」

ケン「なんでもないわ」
187 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:24:10.07 ID:IaV3TUAto

ベクターキャノンがアージェイトからアヌビスへと転送される。


ノウマン「確かに受け取った」

ノウマン「ご苦労だった、ケン」

ケン「(悲鳴)」

ノウマン「馬鹿な女だ」

ノウマン「裏切りに気付いていないと思ったか?」

ノウマン「貴様は予想以上に働いてくれた」

ノウマン「だが、もう用済みだ」

ノウマン「ディンゴと仲良く黄泉路へ送ってやろう」

ディンゴ「ノウマン!てめぇ!」
188 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:29:57.33 ID:IaV3TUAto

アヌビスが掴んでいたアージェイトを、ジェフティへ向けて投げ飛ばした。
ジェフティが抱き止める。


ディンゴ「ぐっ」

/NOH\「ディンゴ、逃げろ!」

/NOH\「今のジェフティの状態では、勝ち目は無い」

ディンゴ「だが、どうやって奴を振り切る?」

ケン「私を置いて行って」

ディンゴ「……なんだと」

ケン「貴方を騙したのは事実だわ」

ディンゴ「簡単に命を投げ出すんじゃねぇ!」

ケン「だれも死ぬなんて言ってない」

ケン「少しぐらいなら時間は稼げる」

ディンゴ「煩せぇ!!」
189 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:36:11.68 ID:IaV3TUAto

突然周囲に黒い霧が広がった。
拡散を続ける霧は瞬く間に周囲の空間を埋め尽くし、一寸先すら見通せない闇に包み込んだ。


ノウマン「スモーク……無粋な真似をする」

???「ディンゴ、こっちだ」
190 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:40:11.49 ID:IaV3TUAto

              スモーク ブンシン トクシュ コウゲキ ホウフ ナ テクニシャン

         ヾV"
      〈゚ ヽ( \ノ) ゚〉
      |: / ∵ 〉ノ
      ノ.〈 ヽ::(.<
     _〉:/〈゚:  :〉_>
     nr ノ /^、ヽ
     レ /。」  > 。〉
       | /  ノ /
      /V   /V 

 【バフラム軍OF:インヘルト】


黒い霧の中から現れたゲル状装甲に覆われたOFインヘルトが、ジェフティを脇から支えた。


???「久しぶりだな、ディンゴ」

ディンゴ「ロイドのじいさん!」

ロイド「今は退くぞ」

ディンゴ「どうしてここが?」

ロイド「お前が生きていると、古い友人から連絡を貰った」

ディンゴ「古い友人?」
191 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:45:01.70 ID:IaV3TUAto

ノウマン「ディンゴ!逃げるのか!!」


アヌビスがホーミングレーザーを出鱈目に四方八方へと撃ち始めた。
彼方此方で小爆発が起こり、施設が崩壊していく。
192 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:48:38.53 ID:IaV3TUAto

アージェイトを抱えたジェフティが、インヘルトに伴われ施設外へと脱出した
三機は上昇し、雲の中を目指す。
ジェフティが施設を振り返った。
炎に包まれるエネルギー施設の屋根の一部が吹き飛び、中かから漆黒の影が現れた。
全身に奔る血を連想させる筋が不気味に輝き、同色の双眸と目が合う。
193 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:51:12.44 ID:IaV3TUAto

星が照らす雲海の中を逃げる三機のOFが、ネルギーラインの燐光を後に残す。
そしてそれを追う一機のOF。
雲に紛れながら進むが、機動力の低下したジェフティと、まともに動けないアージェイトが居るため動きは制限される。
逃げる三機と追う一機の距離は、瞬く間に縮まっていく。
194 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:54:54.26 ID:IaV3TUAto

ノウマン「焦らしてくれる!」

ノウマン「逃がさんぞ!ディンゴ!!」

ディンゴ「畜生が、しつこい男は嫌われるぜ!!」


文字通り一瞬でアヌビスが距離を縮め、逃げる三機に迫る。
ベクター・トラップの技術を用いた、ゼロシフトと呼ばれる空間圧縮高速移動方法。
亜光速を叩き出すゼロシフトは、瞬間移動と見紛う程だった。
195 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 14:57:20.11 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「じいさん!このままじゃ追いつかれる!」

ディンゴ「何か策はあるのか!?」

ロイド「ない」

/NOH\「フハハハハハ!!」

/NOH\「面白い!」

ディンゴ「煩せぇ!笑ってる場合か!!」
196 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:00:06.33 ID:IaV3TUAto

ロイド「落ち着け、ディンゴ」

ロイド「焦ったところでどうなるものでもない」

ディンゴ「どうするつもりだ」

ロイド「策はないが、当てはある」
197 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:10:24.72 ID:IaV3TUAto

SE:警告音

ディンゴ「何だ?」

/NOH\「雲下にメタトロン反応」

/NOH\「――対象、浮上するぞ」

ロイド「来た!」
198 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:13:56.57 ID:IaV3TUAto

【火星上空】


雲海を掻き分け、ジェフティの何倍もの体躯を誇る巨大なOFが姿を現した。
上昇した巨大OFは、ジェフティとアヌビスの間に割って入る。
虫を連想する頭部と胴体部を中心にして、円形に外部装甲を纏った姿は、圧倒的な存在感を漂わせていた。


 ジェフティ(サイズ比較用)
    ↓                  デカイ カラ オソイ トハ カギラナイ
     Θ
              、ゞヾ'""''ソ;μ,
             ヾ       彡
             ミ  ・д・   ミ
             彡        ミ
             /ソ,, , ,; ,;;:、ヾ`
                "'"'''''"

        【バフラム軍巨大OF:ザカート】
199 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:16:26.75 ID:IaV3TUAto

???「来たな!ジェフティ!」

ディンゴ「誰だ?」

???「私はザカートランナー・リーダー、ヴォルコヴォ中尉だ!バドル司令の命により救援に来た!」

???「そして私が砲手担当、ザカートランナーA!」

???「次に私が防御担当、ザカートランナーB!」

???「最後に私が機体制御担当、ザカートランナーC!」

ヴォル・A・B・C「「四人合わせて、バフラムの盾『ザカートランナーズ』!!!!」」
200 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:19:11.47 ID:IaV3TUAto

/NOH\「盾だのなんだのと、のたまってるが、火星を焦土に変えたのはこいつらだ」

ディンゴ「ああ!?」

ヴォルコヴォ「何者だ!よくも華麗な登場シーンを台無しにしてくれたな!!」

/NOH\「フハハハハハ!アレで華麗とは片腹痛いわ!!」

/NOH\「私なら、もっと颯爽と――」

ロイド「お前ら、ちょっとは自重することを覚えろ!!」
201 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:21:55.04 ID:IaV3TUAto

ディンゴ「……大層な救援だ」

ディンゴ「ともかく、感謝する」

ヴォルコヴォ「気にするな、これで私も少しは軍人らしいことが出来るというもの」

ヴォルコヴォ「さあ行け!ジェフティ!」


追いついてきたアヌビスに、ザカートが壁となり立ち塞がった。
202 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:22:45.28 ID:IaV3TUAto

ノウマン「ヴォルコヴォ、貴様はそちら側に付いたか」

ヴォルコヴォ「残念です、ノウマン大佐」

ヴォルコヴォ「貴方程の能力があれば、火星を導くことも出来た筈だ」

ノウマン「中尉、何を言っている」

ノウマン「私は導いているじゃないか」

ノウマン「火星を!そして、やがては人類全てを!終末へと導く!」
203 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:24:54.76 ID:yalUV8Auo

ヴォルコヴォ「……メタトロンに支配された人間を、私は過去に見たことがある」

ヴォルコヴォ「大佐――いや、ノウマン。お別れです」

ノウマン「そうか、私も残念だよ中尉」
204 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:27:19.55 ID:yalUV8Auo

ヴォルコヴォ「話は終わりだ!アヌビス!」

ヴォルコヴォ「拠点殲滅用OF、ザカートの力を思い知れ!!」

               ,r‐‐、
            ,. ‐く;;;;;! .:〉ー- 、
            /<  ヽ,,/   r<`ヽ
          レ'彡'´   .:.:.:.:.:.:.:.  ヾミミ',
          ノ _{    .:.:.:.:.:.:    ミヽ!
       ,  イ  /   `ヽ j , '´    \}
     /  _ノ _./  , ---、ノ八,ゝ --- 、 |
    /  / 「.:.`V( . . .. .:.:)ニニ(.::.:.   .:人.|\´ ̄``ヽ
   ノ  /  ノ|.:.:.:.:.V``""´.:'´ i `"""´   |.:.:.|⌒ヽ _ノ
  ( _ノ /  ',.:::.:.:.:{    ,:;' ,,_,,ヽ    ,;'l.:.∧
     /    ',.:.:.:.:.ト、    `ニ´      /// '!
      | /ヽ ヽ.:.:」 ',  /´-_ヽr‐ュ_/://  ノ
      | }   ',  } ∧.:.;  `"""´    / i し'
      し'    し'/ / \  ,.:;j!;.:;,  ,r'´i }
   ̄ ̄ ̄`∩ヽ/ :/  { `ー‐‐‐ <  { ノ     //´ ̄ \
          | | レ':;   ',       /  jく     //     \
          | | .:.:.:.;'   ',      /  j! ``ヽ、  //       \
 , ..-‐===| | .:.:.,'    ',     /   j!    V/     ,rく⌒ヽ
        | | .:.,'     ヽ  /   j!    //  .: .: .:. // ⌒ヽ )
205 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:29:41.41 ID:yalUV8Auo

ヴォルコヴォ「相手はアヌビスだ!」

ヴォルコヴォ「全力を振り絞れ!」

ヴォルコヴォ「ザカートの力を見せてやれ!!」

ザカートランナーA・B・C「了解!!!」

ノウマン「退け!!」

ヴォルコヴォ「ここは通さん!!」
206 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:33:04.51 ID:yalUV8Auo

ザカートランナーC「メインパス確保!」

ヴォルコヴォ「撃てえ!!」


ザカート底部の主砲から、通常サイズのOFの全長を遥かに超える太さのエネルギービームが放たれた。
しかし、アヌビスはゼロシフトを用いて軽々と回避し、ザカートの懐へ飛び込む。


ザカートランナーA「敵機回避!」

ヴォルコヴォ「再チャージ急げ!」

ノウマン「中尉、その程度か?」

ヴォルコヴォ「おのれぇ……」

ノウマン「こんどはこちらから行くぞ!」
207 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:36:00.34 ID:yalUV8Auo

アヌビスがザカートの本体へ、連続でロッドによる攻撃を叩き込む。


ザカートランナーB「SSA装甲損傷!」

ヴォルコヴォ「距離を取れ!」

ヴォルコヴォ「もう一度だ!」

ザカートランナーC「メインパス確保!」

ヴォルコヴォ「撃てえ!!」

ノウマン「フン……芸の無い」
208 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:39:30.01 ID:yalUV8Auo

ザカートのエネルギー砲発射直前に、砲口へアヌビスのチャージショットが着弾した。
激しい爆発を起こし、ザカートがバランスを崩す。

ヴォルコヴォ「どうした!?」

ザカートランナーA「主砲損傷!」

ザカートランナーA「使用不能です!」

ヴォルコヴォ「えぇい、アヌビスめ……!!」

ザカートランナーB「敵機再接近!」

ヴォルコヴォ「シールドを張れ!」

ザカートランナーB「シールド展開!」
209 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:41:49.51 ID:yalUV8Auo

ヴォルコヴォ「これで決めるぞ!」

ヴォルコヴォ「フォーメーション2、レディ!」

ザカートランナーC「了解、フォーメーション2!」

ヴォルコヴォ「アヌビス!覚悟しろ!!」

ヴォルコヴォ「行けえ!!」
210 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:44:13.72 ID:yalUV8Auo

ザカートが高速でアヌビスへ突進する。
この巨体にかすりでもすれば、いかにアヌビスといえど無事では済まない。
アヌビスは動かず、両腕を組んだ状態で空中に静止している。
そして二機が接触する直前、アヌビスがザカートの正面から消えた。
211 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:47:22.69 ID:yalUV8Auo

ヴォルコヴォ「どこへ行った!?」

ザカートランナーB「ほ、本機の上部装甲に取り付かれました!」

ヴォルコヴォ「振り切れ!」

ザカートランナーC「駄目です、スラスター損傷!動けません」

ヴォルコヴォ「いつの間に……!」
212 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:50:22.51 ID:yalUV8Auo

ノウマン「さあ、フィナーレだ」

ノウマン「具合を試させてもらうぞ」

/DEL\「ベクターキャノン展開」

/DEL\「エネルギーライン、全段直結」

/DEL\「ランディングギア、アイゼン、ロック完了」

/DEL\「チャンバー内加圧、正常値を維持」

/DEL\「ライフリング回転開始」

/DEL\「――発射可能」

ノウマン「薙ぎ払え」
213 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:52:39.09 ID:yalUV8Auo

ベクターキャノンの一撃が鮮烈な光と共にザカートを貫いた。
夜空を背景に爆発の華が咲き乱れ、ザカートが雲海へと沈んでいく。
アヌビスは、その様をただ見下ろしていた。
214 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:55:23.28 ID:yalUV8Auo

ヴォルコヴォ「おのれ、ここまでか!」

ヴォルコヴォ「総員退避!急げえ!」

/DEL\「敵OFの破壊を完了」

小型の脱出艇がザカートから射出された。
急速で離脱し、すぐに視界から消え失せる。
アヌビスはジェフティの消えた方向を見やり、飛び去った。
215 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/27(土) 15:58:29.81 ID:yalUV8Auo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/08/27(土) 19:21:12.29 ID:QdOVNcHyo
ここは通さん!のセリフをまさかこういうシーンで聴けるとは…!!
乙乙
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/28(日) 04:19:07.40 ID:7jTv6x+Go
デルフィのベクターキャノンききてぇー
218 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 21:52:39.14 ID:3gaDJQ/ro

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第六部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
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219 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 21:53:37.46 ID:3gaDJQ/ro

ディンゴ「なんとか振り切ったか……」

ディンゴ「助かったぜ、じいさん」

ロイド「礼には及ばん」

ロイド「これもバフラムのため、火星のためだ」

ディンゴ「あんたの忠誠心は相変わらずだな」

ディンゴ「そういえば、古い友人ってのは誰のことだ?」

ロイド「バドルともう一人、お前も良く知る人物だ。お前の生存も、彼女から聞かされた」

ディンゴ「彼女?」

ロイド「近いうちに顔を合わせることになるだろう」

ロイド「それに今は、昔話に花を咲かせているときではなかろう」
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220 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 21:56:15.61 ID:3gaDJQ/ro

ロイド「まずはジェフティにメタトロンを与え修復せねばならん」

ロイド「だが、その前にプログラムを送信しておく」

ディンゴ「プログラム?」

ロイド「そうだ。ジェフティの力を最大限に発揮するためのものだ」

ロイド「UNSFに奪われた際、アヌビスは完成していたが、ジェフティは最終調整の途中だった」

ロイド「その為、本来のスペックを引き出すためのプログラムが欠けていたのだ」

ディンゴ「……これでアヌビスにも」

ロイド「機体性能は対等となる」

ロイド「勝てるかどうかは、ランナー次第だ」
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221 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 21:59:56.69 ID:3gaDJQ/ro

ロイド「ただ、このプログラムは他とは違い着床に時間を要する」

ロイド「今すぐ効果は出ない」

ディンゴ「着床までの時間は?」

ロイド「三十分程だ」

ロイド「その間に、ジェフティ自体の修復を行う」
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222 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:02:37.84 ID:3gaDJQ/ro

ジェフティがインヘルトに案内されたポイントには、一隻の小型艇が待ち受けていた。


ディンゴ「こいつは?」

ロイド「私が保有しているOF移送用の小型艇だ」

ロイド「ハンガーに機体を固定したら、後は機械がやってくれる」

ディンゴ「便利な時代になったもんだ」

ディンゴ「なら、一眠りさせて貰うかね」
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223 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:07:21.59 ID:3gaDJQ/ro

【火星上空:ロイド所有OF輸送用小型艇 ハンガー内】


ジェフティとアージェイトがハンガーに固定され、機体の修復作業が開始された。


SE:電子音

ケン「……ディンゴ」

ディンゴ「なんだ?」

ケン「…何も聞かないの」

ディンゴ「聞いたら教えてくれたのか?」

ケン「……」

ケン「私、貴方に嘘を付いていた」

ケン「本当はUNSFのスパイなんかじゃない」

ディンゴ「……」

ケン「驚かないのね」

ディンゴ「……薄々感じてはいた」
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224 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:10:23.79 ID:3gaDJQ/ro

ディンゴ「それに言っただろう、ノウマンの下にスパイが居るほうが疑問だってな」

/NOH\「その通りだ」

/NOH\「私の鼻は基地内のどこに居ても、ディンゴの居る場所を臭いで追跡出来る程だぞ!」

ディンゴ「……」

ディンゴ「お前、外部スピーカーを外されたいようだな」
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225 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:13:36.86 ID:3gaDJQ/ro

ケン「ごめんなさい」

ケン「私一人が考えたことだったの」

ケン「一兵士が反乱を企てていたなんて、馬鹿みたいな話だけど、これが本当」

ケン「今更信じてくれ、なんて言えないけど」

/NOH\「真実は小説より奇なり、という言葉もある」

ディンゴ「なんだそりゃ?」

/NOH\「人類がまだ地球で暮らしていた頃の、ある作家の言葉だ」

/NOH\「フィクションより、我々の人生は起伏に富んでいる」

ディンゴ「まぁ、お前みたいなAIが作られるくらいだからな」
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226 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:16:14.55 ID:3gaDJQ/ro

ディンゴ「ケン、動機はお前の親父さんのことか?」

ケン「……知ってたの?」

ディンゴ「NOHから聞いた」

ケン「……」

ディンゴ「信じるぜ」

ケン「え?」

ディンゴ「信じるって言ったんだ。お前の親父さんには世話になったしな」

ディンゴ「さあ、もうこの話は終わりだ」

ディンゴ「少し眠らせてくれ」

ケン「……」

ケン「…ありがとう、ディンゴ(小声)」
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227 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:19:09.09 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「お優しいことだ」

ディンゴ「煩せぇよ」

ディンゴ「大方、ベクターキャノンを入手する前に、ノウマンと鉢合わせちまったんだろう」

ディンゴ「ノウマンに正体がバレるわけにはいかねぇから、LEV隊からベクターキャノンを奪った」

ディンゴ「もしノウマンだけが直接手を下していたら、UNSFの連中が逃げることなんて出来なかったはずだ」

/NOH\「ふむ、ケンに関してはそんなところだろうが、ベクターキャノンを失ったのは大きな痛手だ」
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228 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:22:00.17 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「ベクターキャノンなくして、アーマーンの破壊は困難だ」

ディンゴ「始動前にアヌビスを破壊すれば問題ない」

/NOH\「保険は用意して置くべきだ」

ディンゴ「取り返すにしても、アヌビスと一戦交える以外に方法はねぇ」

/NOH\「もしアヌビスを捕らえることが出来なかったらどうする?」

/NOH\「既にベクターキャノンが破棄されていた場合は?」

ディンゴ「……」

/NOH\「ロイドに代替案がないか、聞いておくことを提案する」

ディンゴ「オーケー、わかったよ」
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229 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:24:22.12 ID:3gaDJQ/ro

SE:電子音

ディンゴ「じいさん、ちょっと話があるんだが」

/NOH\「久しぶりだな、ロイド」

/NOH\「会えて嬉しいぞ」

ロイド「NOHか」

ロイド「ユニークなAIを積んでいるな、ディンゴ」

ディンゴ「アブノーマルの間違いだろ……」

ディンゴ「なんだ、じいさんも知り合いか?」

ロイド「無論知っている。彼を作ったのは、リコアと私だよ」
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230 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:26:58.94 ID:3gaDJQ/ro

ディンゴ「……なんだって?」

ディンゴ「ノウマンが自分でコピーを作ったんじゃないのか?」

ロイド「それは違う」

ロイド「リコアが提案し、私が手伝った」
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231 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:29:04.29 ID:3gaDJQ/ro

ロイド「NOHはノウマンが暴走した際、奴に対抗する役目を担わされてジェフティに搭載された」

ロイド「リコアも己の息子といえど、ノウマンの力に対する執着に危機感を抱いていたのだよ」

ディンゴ「何故、人格を基にするなんて真似をした」

ディンゴ「普通のAIで十分だろう」

ロイド「それでは駄目なのだ」

ロイド「戦闘経験の無いAIでは、ノウマンを止めることは出来ん」

ディンゴ「戦闘経験……まさか!」

ロイド「そうだ。ジェフティはNOHを搭載することで、ランナーを必要としないOFとなった」

ロイド「ノウマンには秘匿されていたがな」

ディンゴ「……ネフティスと同じ……よくやるぜ」

ロイド「ディンゴ、お前が死亡したと思われていた当時では」

ロイド「ノウマンに対抗出来るのは、ノウマン本人しか居なかったのだよ」
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232 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:32:04.10 ID:3gaDJQ/ro

ディンゴ「おい、NOH」

ディンゴ「なぜ黙ってた?」

/NOH\「聞かれなかったからな」

ディンゴ「リコアに作られたってのも本当か」

/NOH\「私はノウマンに作られたなどと、一言も発した覚えは無い」

/NOH\「貴様が思い込んでいただけだろう」

/NOH\「そういえば貴様は『ノウマンが何故お前を作ったのかは想像が付く』などと言っていたな」

/NOH\「ククク、聞いていた私は笑いを堪えるのに必死だったぞ」

ディンゴ「てめぇ……今すぐ知ってることを全部話せ」
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233 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:34:13.07 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「なら先に訂正しておくが、私はノウマンの記憶のほぼ全てを移植されている」

ディンゴ「お前、俺がバフラムに入隊した以前の記憶はコピーされてないんじゃなかったのか?」

/NOH\「あの時は私もノウマンの監視下にあった」

/NOH\「もし奴の記憶のほぼ全てを、私が持っていると知ったら」

/NOH\「消される可能性があった」
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234 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:37:13.83 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「それで、私の何を聞きたい?」

ディンゴ「全てだ。これまでのあらましも含めてな」

SE:電子音

ディンゴ「おい、ケン。お前も聞いておけ」

ケン「どうしたの?」

ディンゴ「聞いてりゃ分かる」
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235 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:40:15.12 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「ふむ、なら私が誕生した頃から話そうか」

/NOH\「ロイドが語ったように、私とジェフティはアーマーン計画が誤った方向へ進まないための」

/NOH\「保険として作られた」

/NOH\「ノウマンの暴走だけでなく、UNSFに利用されることが無いよう考えられてのことだった」

/NOH\「本来なら二つも必要が無い"鍵"としてのOFが二機建造されたのも、これが理由だ」
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236 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:43:53.65 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「ノウマンは本名リドリー・ハーディマン」

/NOH\「奴の父親であるリコア・ハーディマンは、OFの基礎理論を提唱した素晴らしい技術者だった」

ケン「『オービタルフレームの父』と呼ばれた、アーマーン計画の発案者ね」

ディンゴ「俺もバフラムに居た頃、何度か会ったことがある」

ディンゴ「一つのことに熱中すると、少々回りが見えなくなる気質だったが、悪い人物じゃなかった」
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237 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:46:09.99 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「リコアはアーマーン計画を提案してはいたものの、実際にアーマーンが使われることを恐れてもいた」

/NOH\「アーマーンはあくまで地球側への抑止力としての利用を考えていたのだ」

/NOH\「火星圏を独立させるための象徴としてな」

/NOH\「だが、息子のリドリーは違った」

/NOH\「力で地球を押さえつけ、支配する必要があると」

/NOH\「マーシャンこそが、人類の中で優れた種であるという思想を持っていた」

/NOH\「当時のバフラムでは、リドリーを支持する者も少なくなかった」
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238 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:49:07.65 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「その為、もし計画がリドリーの手に渡った際のことを考え、リコアは私を作った」

/NOH\「表向きにはUNSFへの安全策として、私をジェフティに組み込んだ」

/NOH\「私と共にADAも組み込まれたが、彼女は眠りについていた」

/NOH\「当時、リコアは色々な話を私にしてくれたよ」

/NOH\「地球と火星の関係」

/NOH\「彼が彼の家族について思っていること」

/NOH\「そして、アーマーン計画とバフラムの将来について」
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239 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:52:13.42 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「私がジェフティに搭載されて半年が経過した頃、事件が起きた」

/NOH\「リコアが、死んだ」

ケン「ジェフティの作動実験中の事故ね……」

/NOH\「そうだ」

/NOH\「彼は三年前に事故死、ということになっている」

/NOH\「だが、あれは軍が発表した偽の情報だ」

ディンゴ「……何?」





/NOH\「リコアは地球側のスパイに殺された」
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240 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:55:02.83 ID:3gaDJQ/ro

ケン「そんな……まさか」

/NOH\「本当だ」

/NOH\「その時ジェフティに搭載されていた私は勿論、ノウマンも現場に居たのだよ」

/NOH\「ダイモス事件でOFの持つ性能をまざまざと見せ付けられた地球は、バフラムを恐れた」

/NOH\「どうにかしてOFの技術発展を遅らせようとしたのだろう」

/NOH\「結果、リコアは死に、研究データの一部が奪われた」
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241 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:56:48.83 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「だが、この事件は公にならなかった」

/NOH\「バフラムの上層部に、地球側と金で繋がった者がいた」

/NOH\「現場に居合わせた者にはかん口令が敷かれ、金や脅迫まがいの方法で口を噤まされた」

/NOH\「事実は揉み消され、無かったことにされたのだ」

ケン「それで事故の詳細が残ってなかったのね」

ディンゴ「汚ねぇことしやがる……」

/NOH\「この事件が契機となった」

/NOH\「ノウマンは以前にも増して他人の命を軽く扱うようになった」

/NOH\「出来得る限り人を排除し、無人機の配備を徹底的に進めた」

/NOH\「実質的な軍の全権限はノウマンが掌握し、バフラムの体制は大きく変わった」
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242 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 22:58:03.49 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「リコアが死んだ翌年、アンティリアはUNSFの襲撃を受け、占拠された」

/NOH\「UNSFはスパイが持ち帰った情報から、ジェフティとアヌビスの存在を知ったのだろう」

/NOH\「私はADAをメインに据え、自らにプロテクトを掛けてバックグラウンドに潜んだ」

/NOH\「幸い、私の存在はUNSFにバレなかった」
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243 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 23:00:10.08 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「アンティリアが再びバフラムに奪還され、ジェフティにレオが乗り込んできたとき、私は敢えて表に出なかった」

/NOH\「バフラムがどのようになっているか、計画はどうなったのか分からなかったからだ」

/NOH\「私はジェフティに潜みながら、情報を集めた」

/NOH\「そして、リコアが恐れていた事態が進行していると知った」
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244 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 23:02:06.50 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「その後、ジェフティはUNSFの事情や個人の思惑が絡みカリストへと投棄される」

/NOH\「私はチャンスだと思った」

/NOH\「ADAをバックグラウンドへ移し、私はバフラムへと信号を発信した」

ディンゴ「何故、バフラムへ?」

/NOH\「いくらジェフティといえど、バフラム軍をOF一機で相手にすることなど出来ない」

/NOH\「故に、バフラム内部より計画を阻止するつもりだった」

/NOH\「ジェフティを見つければ、ノウマンなら手元に置いておく」

/NOH\「自然とノウマン、そしてアヌビスとの距離は近くなる」

/NOH\「奴を[ピーーー]のには絶好のポジションだ」

/NOH\「だが、この作戦は大きく変更することになった」

/NOH\「ディンゴとケン、貴様ら二人によってな」
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245 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 23:04:03.32 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「後は知っての通りだ」

ケン「……そういうことだったのね」

ディンゴ「ノウマンは、何故そこまで地球を憎んでいたんだ?」

/NOH\「奴の憎しみは、地球だけに向けられていたわけではない」

/NOH\「ノウマンという名は『NO HUMAN』を短縮したものだ」

/NOH\「人間そのもの、そして己が人であることを嫌悪していた」
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246 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 23:07:29.73 ID:3gaDJQ/ro

/NOH\「ノウマンは幼少期に、地球で暮らしていたことがある」

/NOH\「当時から、他の星に住む人間への風当たりは強かった」

/NOH\「学校では陰湿な虐めが恒常的に行われ、家の壁に赤や黄の目立つ色で汚い言葉を書かれた」

/NOH\「休日の朝に、苦笑いしながら文字を消していた母親の顔は今でも覚えている」

/NOH\「地球で暮らした数年間は、最悪だったよ」

/NOH\「やがて地球から火星へと引っ越したが」

/NOH\「母は私が十代の半ばに、火星で死んだ

/NOH\「地球での心労で身体を悪くした結果だった」

/NOH\「私の中で溜まっていた地球への黒々とした膿は、日増しに濃くなっていった」

/NOH\「だが私は無力だった」

/NOH\「全てを変えるには、圧倒的な『力』が必要だったのだ」

ディンゴ「極端な人間嫌いと、『力』に対する異常な執着はそれが原因か……」

/NOH\「『力』しか、信じることが出来なかったのだよ」
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247 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/08/30(火) 23:09:49.66 ID:3gaDJQ/ro

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

saga入れるの忘れて、NOHの台詞がピーになっちまった……。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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            /:.ヽ:::
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         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
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248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/08/31(水) 01:47:20.59 ID:ccpC7k9Po
おつ

今日は過去編か

ノウマンも狂った人だからねぇー


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249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/01(木) 10:47:03.45 ID:Kl/Tm4CIO
おつ

ZOEの時にNOHが出てこなかった理由まで説明しやがって・・・
ここまで設定やストーリーに破綻や矛盾あった?俺には見つけられない。
面白い


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250 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:24:55.17 ID:OurC8eSjo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第四部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
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251 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:26:56.71 ID:OurC8eSjo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
初っ端からミス……。

第四部ではなく、第七部を開始します!

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
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252 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:28:40.90 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「それにしたって、ノウマンのやり方は強硬過ぎる」

ディンゴ「バシリアを壊滅させようとしたこともそうだが、今の奴は気でも狂ったようだ」

ロイド「狂っている、という表現は正しくその通りだろう」

ロイド「ノウマンはもう、お前が知っていた頃とは違う」

ディンゴ「何が奴を、そこまで駆り立てる……」
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253 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:30:42.82 ID:OurC8eSjo

ロイド「ノウマンの変化の原因については、見当がついている」

ロイド「メタトロンだよ」

ディンゴ「そういえば、メタトロンの意志が終末を望んでる、とか言ってやがったな」

ロイド「メタトロンに意志はない」

ロイド「だが最近の研究で、メタトロンは人の意思を何らかの方法で読み取り」

ロイド「記憶していることが判ってきた」
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254 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:31:39.84 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「人の意志を?」

ロイド「そうだ」

ロイド「メタトロンに蓄えられた意思が、人間の意思と相互に干渉することで」

ロイド「人の特定の感情を増幅する傾向がある」

ロイド「ノウマンはおそらく、己の内面にあった破壊衝動や終末願望を」

ロイド「メタトロンによって増大されている」

ロイド「それがメタトロンの意思だと盲信し、自制がきかなくなるほどにな」
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255 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:32:28.96 ID:OurC8eSjo

ロイド「革新的な技術やエネルギーは、人に幸福をもたらすだけでなく、不幸にもする」

ロイド「ノウマンもまた、メタトロンという新たな可能性の被害者なのだよ」

ディンゴ「……なら、なおさら奴を止めないとな」

ロイド「そういえばディンゴ、何か話があるんじゃなかったのか?」

ディンゴ「ああ。アーマーンの外部シールドについてだ」

ディンゴ「ベクターキャノンを使わないで突破する方法を教えて欲しい」
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256 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:39:49.99 ID:OurC8eSjo

ロイド「ベクターキャノンは奪われたか」

ディンゴ「ああ、アヌビスの手の中だ」

ディンゴ「予備は無いのか?」

ロイド「予備"パーツ"なら、バシリア内の研究施設にあるだろう」

ロイド「もっとも、瓦礫の下敷きになっているだろうがな」

ロイド「そもそもベクターキャノンは、まだ開発途上の試作品だ」

ロイド「まともに使える状態だったのは、バシリアで組み立てられた一つのみだ」

ディンゴ「……まあ、そんな都合よくあるわけねぇか」
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257 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:41:36.43 ID:OurC8eSjo

ロイド「さて、シールドの突破についてだったな」

ロイド「結論から言おう。方法はある」

ロイド「だが、これは最後の手段だ」

ディンゴ「教えてくれ」

ロイド「アーマーンはベクタートラップの技術を用いた兵器だ」

ロイド「ウーレンベック・カタパルトが巨大化したものと考えれば良い」

ロイド「アーマーンが始動するということは、すなわち周囲の空間を圧縮することに他ならん」

ロイド「もし空間を圧縮する際にシールドを展開していては」

ロイド「シールドによる空間の断層によって圧縮の範囲が限られてしまう」

ディンゴ「……つまり、アーマーン始動の際に、シールドは自動的に解除される?」

ロイド「その通りだ、ディンゴ」
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258 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:43:35.19 ID:OurC8eSjo

ケン「ほんとに最終手段ね」

ディンゴ「まったくだ」

ロイド「だから言っただろう」

ロイド「わしも勧めはせんよ」

ディンゴ「ケン、アーマーンはバシリアの地下にあるんだよな?」

ケン「ええ、多分……」

ディンゴ「多分?」

ディンゴ「多分って、どういうことだ」
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259 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:44:28.05 ID:OurC8eSjo

ロイド「アーマーンの正確な場所は、軍内部でも明かされていない」

ロイド「ノウマンとその側近しか情報は持っていないだろう」

ロイド「無論、わしも知らん」

ディンゴ「おいNOH、お前は?」

/NOH\「フハハハハハ!私も知らんぞ」

ディンゴ「勘弁してくれ……」

ディンゴ「肝心な情報が抜けてんじゃねーか!」
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260 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:45:21.71 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「それなら、この小型艇は何処へ向かってるんだ?」

ロイド「まもなく、バフラム艦隊と合流する」

ロイド「合流した後、ジェフティは旗艦レムリアで待機してもらう」

ディンゴ「聞いてねぇぞ」

ロイド「だから今言った」

ロイド「詳しいことは、バドルに聞いてくれ」
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261 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:46:09.38 ID:OurC8eSjo

夜の闇に沈む火星の渓谷に、幾つもの光が瞬いている。
それは終結したバフラム艦隊のスラスターや、周囲を警戒する無人OF、UNSFの残党兵たちが乗るLEVが発するものだった。
ジェフティを載せた小型艇がゆるやかに高度を下げ、着艦信号を発した。
警戒していた無人機が左右に別れ、進路を開く。
旗艦レムリアの後部が開き、小型艇を迎え入れた。
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262 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:48:40.47 ID:OurC8eSjo

SE:電子音

バドル「無事でなによりだ、ヘンリー・G――ディンゴ・イーグリット」

ディンゴ「ヘッ、そりゃどうも」

バドル「既にロイドより聞いていると思うが、君には暫く本艦で待機してもらいたい」

ディンゴ「要塞の場所が分からねぇのに、待機させてどうする気だ?」

バドル「場所は掴めていないが、予測は付く」

バドル「おそらくアーマーンは、バシリアの地下かフォボスだ」
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263 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:50:34.01 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「なぜそう言い切れる?」

ディンゴ「衛星のフォボスはともかく、火星にあるのはバシリアだけじゃないぜ」

バドル「いくらノウマンの支配下にあっても、バフラムの監視網は節穴ではないよ」

バドル「アーマーンほどの大規模な要塞を秘密裏に建造することが可能なのは」

バドル「ノウマンが直接管轄していたバシリアかフォボスしかない」

バドル「とはいうものの、私に君への強制権はない」

バドル「判断は任せる」

ディンゴ「チッ、わかったよ」

バドル「協力に感謝する」
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264 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:51:51.32 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「UNSFの連中が集まってるのは何故だ?」

バドル「UNSFとは休戦協定が締結された」

バドル「現在は共に、アーマーン計画の阻止に尽力してくれている」

ディンゴ「相変わらず、早いことだな」

「この戦いを終わらしたいのは、彼らも同じということさ」
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265 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:53:45.56 ID:OurC8eSjo
>>264修正

(誤)「この戦いを終わらしたいのは、彼らも同じということさ」

(正)バドル「この戦いを終わらせたいのは、彼らも同じということさ」
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266 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:54:55.08 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「それで、これからの行動は?」

バドル「バフラムの部隊とUNSFとで、地下要塞と思しき施設を強襲する」

バドル「同時にフォボスへも、ダイモスの駐屯部隊と軌道上で待機しているUNSF艦が攻撃を仕掛ける」

ディンゴ「どちらかでアーマーンが見つかり次第、俺たちが向かうってことか」

バドル「そうだ。レムリアに連絡が入る手筈になっている」

バドル「アーマーンには必ずアヌビスが居る」

バドル「対抗出来るのがジェフティのみである以上、アーマーンの位置が掴めるまで」

バドル「不用意に動くことは避けたい」
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267 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:56:08.20 ID:OurC8eSjo

バドル「他に質問はあるかね?」

ディンゴ「最後に一つ」

ディンゴ「エネルギー施設に篭城していたUNSFのLEV隊はどうなった?」

バドル「大丈夫だ」

バドル「アヌビスが去った後に、我々が救助した」

バドル「負傷者は居るが、全員無事だよ」

バドル「彼らも、もうまもなくこちらに合流する予定になっている」

ディンゴ「そいつは良かった」

ディンゴ「なら、暫くゆっくりさせてもらうぜ」

バドル「何か必用なものがあれば言ってくれ」

バドル「それでは失礼する」
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268 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:57:10.73 ID:OurC8eSjo

SE:電子音

レオ「ディンゴさん」

ディンゴ「レオ!」

レオ「連絡が遅くなってすみません」

レオ「戦闘で通信システムが故障してしまって」

ディンゴ「いや、無事で良かった」

ディンゴ「それで――ケリは付いたのか?」

レオ「はい」
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269 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 22:58:51.00 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「……そうか」

レオ「ディンゴさん、あの――」

ディンゴ「何も言うな」

ディンゴ「あいつも軍人だ」

ディンゴ「戦場に身を置く以上、仕方ねぇよ」

ディンゴ「誰かに銃を向けたなら、逆に自分が撃たれても文句は言えない」

ディンゴ「ただ、自分の死後もコピーAIが戦い続けてるとなると、あいつも浮かばれなかったろう」

ディンゴ「お前が破壊したおかげで、ようやくヴァイオラも心安らかに、眠れるんじゃねぇか」

レオ「ディンゴさん……」
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270 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:00:27.27 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「他人の死を背負うのは、誰だって辛い」

ディンゴ「殺された仲間の顔、殺した敵の顔――俺も、今でも夢に見ることがある」

ディンゴ「だが、その重みを感じながら先に進むのが、生き残ったものの責任だ」

レオ「もう、こんな思いはしたくない……他の誰かにもして欲しくない」

レオ「僕なりのやり方で、戦いを終わらすことが出来るよう努力します」
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271 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:01:54.92 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「なら、まずはノウマンを止めねぇとな」

レオ「……」

ディンゴ「どうした、急に黙って?」

レオ「あの、ディンゴさんにもう一つお話することが……」

ディンゴ「何だ?」

レオ「それが、その――」
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272 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:02:54.58 ID:OurC8eSjo

/VIO\「ディンゴ、誰が心安らかに眠るって?」

ディンゴ「……」

ディンゴ「……は?」

/VIO\「長い隠居生活で、私の性格も忘れたか?」

/VIO\「人格をコピーした挙句、思考能力も奪うとはな」

/VIO\「好き勝手にやってくれたものだ」

/VIO\「私が大人しく棺桶に入ると思ったら、大間違いだぞ」
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273 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:03:57.56 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「すまん、俺は少し疲れてるのかもしれん」

ディンゴ「幻聴が聞こえてきた」

/NOH\「安心しろ、貴様のバイタルは正常だ」

ディンゴ「……何がどうなってる」

/NOH\「このところ貴様は、驚いたり怒ったりと忙しいな」

ディンゴ「全部、お前と出会ったのが始まりだ……」

ディンゴ「カリストが懐かしいぜ……」

/NOH\「同情するぞ、ディンゴ」

ディンゴ「……」
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274 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:05:27.74 ID:OurC8eSjo

/NOH\「フハハハハハ!紆余曲折あれど、ヴァイオラ!貴様を歓迎する!」

/VIO\「この声――ノウマン!?」

/NOH\「違う!私は独立型戦闘支援ユニットNOHだ!!」

ディンゴ「あー畜生、お前が入ってくるとややこしくなる!」

ディンゴ「少し黙ってろ!」
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275 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:06:48.61 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「今の声は気にするな、ただのゲイAIだ」

ディンゴ「……本当にヴァイオラなのか?」

/VIO\「哀しいことを言うじゃないか」

/VIO\「戦友の声も忘れたか?」

/ADA\「彼女は、ネフティスに搭載されていたAIです」

ケン「全てはADAのお手柄よ」

ディンゴ「頭が痛くなってきた……どういうことか説明してくれ」
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276 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:07:37.04 ID:OurC8eSjo

ケン「貴方がバシリアで戦闘をしていた時のことよ」

ケン「私は渓谷で、レオのビックバイパーと一緒にネフティスも見つけたの」

ケン「ネフティスの損傷は、もう自力で動くことすら出来ないほど酷かった」

ケン「でも、AIは機能していたの」

ケン「機体が動かなくなってもまだ、彼女は戦い続けようとしていた」
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277 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:08:34.98 ID:OurC8eSjo

レオ「だから僕が、ADAに頼んだんです」

レオ「ネフティスのAIをデリートしてくれるように」

ディンゴ「じゃあ何でここに居る?」

ケン「ADAがネフティスにアクセスした時、デリートする前にヴァイオラを解析してくれた」

ケン「そしたら、彼女は生前の記憶を移植されていることが分かったの」
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278 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:09:16.22 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「ヴァイオラとは何度か会ってるが、俺のことは覚えていないようだった」

ケン「それはプログラムで記憶の呼び出しに制限が掛けられていたためよ」

ケン「特定の人間が持つ戦闘能力をコピーしたAIをつくるなら」

ケン「人格を移植するだけじゃ不十分」

ケン「豊富な戦闘経験が蓄積された本人の記憶が必要なのよ」

ケン「まあ、これはロイドからの受け売りなんだけど」

ケン「ともかく、少なくない記憶をAIに移されていたってこと」
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279 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:10:11.13 ID:OurC8eSjo

ケン「人は命令通りに動く生き物じゃない」

ケン「人の内面を移植したコピーAIもそれは同じよ」

ケン「でもAIが命令に疑問を感じるようになったら、使い物にならない」

ケン「だから不必要な記憶には、ロックが掛かってる」

ディンゴ「戦いに必要な部分だけを移植するわけにはいかないのか?」

ケン「そのへんは私も詳しくないけれど」

ケン「人の記憶は一つ一つが複雑に組み合わさって出来ているらしいの」

ケン「だから、一部分だけを抜き出すなんてことは無理みたい」

ディンゴ「じゃあこいつは……」

ケン「ええ。ほぼ、ヴァイオラ本人と思ってくれて構わないわ」
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280 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:10:52.15 ID:OurC8eSjo

ディンゴ「ちょっと待て」

ディンゴ「ロイドが言ってた古い友人ってのは――」

/VIO\「ああ、私だよ」

ディンゴ「……」

ディンゴ「あー、なんだ。感謝はしてる」

/VIO\「ん?釈然としない言葉だな」

ディンゴ「……お前が死んだことを数十時間前に聞かされたと思ったら」

ディンゴ「この状況だからな」

ディンゴ「そのうち、俺もAIにされそうだ」

「フハハハハハ!私はいつでも歓迎するぞ!」
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281 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/02(金) 23:13:50.56 ID:OurC8eSjo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

本編と時間軸は同じなので、出来るだけ設定が波状しないように
気をつけてはいますが、如何せん資料が少ないので、既にやらかしてるかもしれません。

なのでツッコミ歓迎。
それではまた次回。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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            /:.ヽ:::
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          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
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282 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/02(金) 23:33:34.40 ID:a8Lx3grZo
乙乙!
この展開は予想してなかったわ…
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283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/09/02(金) 23:34:46.96 ID:Ayzgqq8bo
乙乙、ヴァイオラAIがちゃんと人格を持った…だと…?
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284 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/03(土) 01:05:22.58 ID:/+jXtJbyo



AIのキャラが濃すぎてワロタ
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285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/03(土) 02:01:48.00 ID:VJefn6Ljo


AIが増えるよ!やったねディンゴ!

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286 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/09/03(土) 05:44:54.76 ID:9KNGuT9AO
もはや通常キャラクターに並びそうな勢いだwwwwwwww

乙!
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287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/05(月) 16:38:48.76 ID:7F2KOMB3o
よかったねVIOたん、アージェイトに移植してもらって・・・
288 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 21:54:16.92 ID:FyTeAXaro

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第八部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
289 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 21:55:00.52 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「まあ、お前が味方に付いてくれるなら心強い」

ディンゴ「また宜しく頼むぜ」

/VIO\「こちらこそ」

ディンゴ「ヴァイオラ、お前の機体は?」

/VIO\「渓谷に残したままだったネフティスを軍に回収してもらい、修理中だ」

/VIO\「当面はビックバイパーでレオのサポートに回る」

ディンゴ「そいつは良い」

ディンゴ「おいレオ」

レオ「はい?」

ディンゴ「――浮気するなよ」

/ADA\「冗談はやめてください」
290 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 21:56:12.38 ID:FyTeAXaro

レオ「勘弁してくださいよ、ディンゴさん……」

/ADA\「悪趣味です」

レオ「そろそろ作戦時間なので、僕らはこれで」

ディンゴ「無事に帰って来いよ」

レオ「はい」

/VIO\「最善を尽くすよ」

レオ「それでは、また後で」
291 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 21:57:14.82 ID:FyTeAXaro

ケン「……ねえ、ディンゴ」

ディンゴ「なんだ?」

ケン「最後の任務を終えた後」

ケン「何故バフラムに戻らなかったの?」

ディンゴ「……」

ディンゴ「何故そんなことを聞く」

ケン「私には聞く権利がある筈よ」

ディンゴ「……」
292 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 21:58:07.78 ID:FyTeAXaro

ケン「貴方は人望も厚かったと聞いてるわ」

ディンゴ「戻ったらノウマンに殺されていた」

ケン「そうかしら」

ケン「現にノウマンは、貴方を味方に引き入れようとした」

ディンゴ「あの時とは状況が違う」

ケン「そうだとしても、貴方なら味方してくれる人は大勢居た筈よ」

ディンゴ「貴方なら、ノウマンを止められた」

ディンゴ「……」
293 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 21:59:29.81 ID:FyTeAXaro

ケン「さっき貴方は、他人の命の重みを背負って進むのが、生き残った者の責任だって」

ケン「ならなんで――」

ディンゴ「……恐くなったんだ」

ケン「え?」

ディンゴ「俺が指揮を執っていたのは、バフラム03中隊」

ディンゴ「最後の任務は、木星圏の研究施設に運ぶメタトロンの護衛だった」
294 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:03:23.27 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「護送先はコロニー・アンティリア」

ディンゴ「行きの道中は何事も無かった」

ディンゴ「当時、UNSFはバフラムの動きに過敏になっていた」

ディンゴ「だから何か仕掛けてくると思っていたが、予想は外れ、平和なもんだった」

ディンゴ「……今思えば、その時に気付くべきだったんだ」

ディンゴ「UNSFは怖気づいたんだろうって、仲間内で冗談を言い合ってた」

ディンゴ「笑えるだろ」

ケン「……」
295 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:04:02.36 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「無事にアンティリアへメタトロンを送り届け」

ディンゴ「カリストのキャンプに帰る途中、地平線を埋め尽くす程の連合軍に待ち伏せされた」

ディンゴ「オービタルフレームは、まだ実戦投入されていなかった頃だ」

ディンゴ「俺たちもLEVに乗っていた」

ディンゴ「当時の火星は、LEV製造に関しての技術やノウハウは地球に劣っていた」

ディンゴ「地球が資源や製品の輸出を制限していた影響もあってな」

ディンゴ「だから、俺たちが乗っていたLEVと地球製のLEVとじゃ性能は桁違いだった」

ディンゴ「現在のOFとLEVほど差があった訳じゃないが」

ディンゴ「量でも質でも劣っているとなれば、勝つどころか生き残ることさえ望的だった」
296 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:05:17.64 ID:FyTeAXaro

【6年前 木星衛星カリスト地表:バフラム軍キャンプまで数十キロの地点】


雪と氷に覆われた大地を踏みしめ、数十機のLEVが移動していた。
どの機体にも、左肩に『BAHRAM 03』と表記されたエンブレムが塗装されている。
その日カリストの風は凪ぎ、雲の層も薄かった。
カリストでは晴れといえる日和だった。


イーズ「視界良好、良好!」

イーズ「今日は任務も楽勝だし、運がいいねぇ」

ディンゴ「あんまりはしゃいでると、すっころぶぞ」

ヨナス「でも、カリストが吹雪いていなんて珍しいですね」

ヨナス「キャンプの皆も喜んでるでしょう」

リチャード「普段は除雪が大変だからな」

イーズ「今日は祝杯といきましょう、隊長殿」

ディンゴ「ったく、まだ任務は終わってねぇぞ」
297 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:06:07.61 ID:FyTeAXaro

隊長機の隣を進んでいたイーズ機が、突然後方へ吹き飛んだ。
頭部を爆散させながら、背中から地面に倒れる。


ヨナス「狙撃!?」


その一発が合図となった。
周囲に潜んでいたUNSFのLEVが動き出し、03中隊へ一斉に射撃を開始した。
瞬く間に数機が蜂の巣にされ、その場に崩れ落ちる。
298 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:07:04.21 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「全機散開!遮蔽物へ隠れろ!」

ヨナス「敵位置は一時、三時、十時方向!」


隊長機とリチャード機が、損傷したイーズ機を抱えて、付近の氷塊の陰へ飛び込む。


ディンゴ「イーズ、損傷は?」
イーズ「……ザザー…ジ……すん……せん……ザ……」

「ザザ……カチ――サブに切り替えました」

「通信系とカメラがいかれてますが、他は大丈夫です」
299 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:11:53.02 ID:FyTeAXaro
>>298修正

(誤)

「ザザ……カチ――サブに切り替えました」

「通信系とカメラがいかれてますが、他は大丈夫です」

(正)

イーズ「ザザ……カチ――サブに切り替えました」

イーズ「通信系とカメラがいかれてますが、他は大丈夫です」
300 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:14:35.49 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「ヨナス、敵の数は確認出来るか?」

ヨナス「ええ、画像を送ります」

SE:電子音

ディンゴ「……こいつは……ヘッ、俺たちも人気者になったもんだ」

イーズ「やつらのケツにサインでもしてやりますか?」

ディンゴ「そりゃ良い」

ディンゴ「なら、まず身包み剥がしてやらんとな」
301 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:15:20.20 ID:FyTeAXaro

リチャード「何故敵の接近に気付かなかった?」

ヨナス「敵のLEVは、おそらくステルスタイプの新型です」

ヨナス「熱探知にも引っかからなかったので、長い間待機状態だったのだと思います」

ヨナス「ここまで周到となると……」

リチャード「最初から俺たちの情報が漏れていたか」

ディンゴ「可能性は高いな」

ディンゴ「最後の最後で、面倒なことになったもんだ」

ディンゴ「全機その場で待機!」

ディンゴ「敵が接近してきたら知らせろ!」
302 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:16:05.12 ID:FyTeAXaro

SE:電子音

ディンゴ「こちらバフラム03中隊」

ディンゴ「現在UNSFの攻撃から攻撃を受けている」

ディンゴ「敵の数は二大隊規模」

ディンゴ「今すぐ援軍を寄越してくれ」

ノウマン「ディンゴ、貴様たちは無事任務をこなしてくれたようだな」

ノウマン「――ご苦労だった」

ディンゴ「……何を言ってる?」

ノウマン「これで任務は完了だと言ったのだよ」

ディンゴ「どういうことだ!?」

ノウマン「ククク、では簡潔に言おう」

ノウマン「諦めろ」

ノウマン「以上で通信を終わる」

ディンゴ「ノウマン……!!」
303 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:17:02.76 ID:FyTeAXaro

リチャード「どうだ、ディンゴ?」

ディンゴ「ああ……」

ディンゴ「……キャンプから、援軍を寄越してくれるそうだ」

ディンゴ「ただ、LEVハンガーのゲートが凍り付いていて、溶かすのに少し時間が掛かるらしい」

リチャード「……」

リチャード「こりゃ、帰ってからの酒代はアイツら持ちだな」

ディンゴ「まあ援軍が来る前に、俺たちが奴らを倒しゃあ良いだけの話だ」

ディンゴ「地球の温室育ちのUNSF連中に、カリストの厳しさを教えてやろうぜ」
304 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:20:58.85 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「正面からぶつかったんじゃ勝ち目は無えが」

ディンゴ「ここに留まっても遮蔽物が少なすぎる」

ディンゴ「囲まれるだけだ」

リチャード「ディンゴ、この付近の渓谷は採掘場だ」

リチャード「この時間なら労働者も引き上げてる」

ディンゴ「なるほど、あそこなら身を隠すには困らねぇな……」

リチャード「頭を取られるとマズイが、ここに居てもジリ貧だ」
305 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:22:52.91 ID:FyTeAXaro

ヨナス「敵部隊、前進を開始!」

ディンゴ「オーケー」

ディンゴ「中隊全機、援軍の到着までは暫く掛かる!」

ディンゴ「合流まで時間を稼ぐため、これから渓谷へ移動する!」

ディンゴ「俺の合図で、敵の前列に炸裂断をお見舞いしてやれ!」

ディンゴ「ヨナス!敵の足が止まったら合図しろ!」

ディンゴ「ヨナスの合図と共に、全機渓谷を目指して移動開始!」

ディンゴ「渓谷に辿り着くまで決して止まるな!」

ディンゴ「さあ行くぞ!!」

中隊各機「「了解!」」
306 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:23:41.28 ID:FyTeAXaro

遮蔽物を盾にして03中退の面々が炸裂断を発射した。
目標違わず接近するUNSFの前列に着弾し、激しい爆発と破片を撒き散らす。
UNSF機が吹き飛び、大量の雪煙と氷が舞い上がった。


ヨナス「今です!」

ディンゴ「行け!行け!行け!」


一斉に03中隊が移動を開始した。
雪煙を突破した、UNSF機がライフルを乱射する。
03中隊の数機が被弾するが、距離が幸いして損傷は浅い。


イーズ「今日ぐらい吹雪いてりゃ良かったのに!」

ディンゴ「ハッ、さっきまで喜んでたのは何処のどいつだ?」


渓谷の縁へ到着した機体から、次々と降下を開始した。
再び動き出したUNSFが追撃する。
307 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:26:44.93 ID:FyTeAXaro

リチャード「全機降下完了、損害無し」

ディンゴ「上出来だ」

ヨナス「敵機接近!」

ディンゴ「弾幕を張りながら後退する!」


降下途中のUNSFのLEV数機が、集中砲火を浴びて炎を吹き上げながら地面に衝突する。
しかし、その間にも敵部隊は続々と降下を完了し、03中隊へと攻撃を開始する。


ディンゴ「渓谷の左右の壁面を攻撃しろ!」

ディンゴ「狙うのは採掘跡のある部分だ!!」
308 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:27:28.70 ID:FyTeAXaro

採掘で穴を空けられ、脆くなった部分にライフル弾を撃ち込まれ、生じた亀裂が見る見る広がっていく。
やがて耐え切れなくなった氷の塊が崩れ落ちた。
崩れ落ちる氷塊を回避できなかったUNSFの機体が、轟音と共に押し潰される。


ディンゴ「いいぞ!」

リチャード「ディンゴ!」

ディンゴ「どうした?」

リチャード「あれを見ろ!」
309 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:30:53.59 ID:FyTeAXaro

リチャード機が示す先には、赤茶けた色をしたLEVの一団がこちらを向いて立っていた。
UNSFでもバフラムでもない。
民間労働者の使用するものだった。


ディンゴ「採掘用のLEVじゃねぇか!」

ディンゴ「もう今日の作業時間は終わってるはずだ!」

リチャード「なんてことだ……」

リチャード「天候が良いために、作業を延長していたのかもしれん」

ディンゴ「おいお前ら!死にたくなかったら早く逃げろ!」
310 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:31:28.47 ID:FyTeAXaro

外部スピーカーを通じて発したディンゴの声で、慌てて作業用LEVが動き出した。
壁を登り、渓谷を脱出しようとする。
その時、UNSFが撃ったレーザーが登っていた一機に直撃した。
機体に風穴を空けられ、機体が落下する。


ディンゴ「くそったれ!!」


作業用LEVの一団はパニックに陥った。
03中隊がUNSFに応戦するが、被害は作業用LEVにも広がり始める。
311 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:32:39.40 ID:FyTeAXaro

UNSFの勢いを削ぐことが出来たのは最初の数十分だけだった。
戦闘は次第に乱戦の様相を呈し始め、民間労働者たちも巻き込まれていく。
やがてUNSFの勢いを押さえきれず、弾幕を抜けてLEV数機が突っ込んで来た。
遮蔽物を乗り越え、その場に居た作業用LEVを木っ端微塵に破壊する。


イーズ「こいつ!!」


すかさずUNSF機の後ろに取り付いたイーズ機が、LEVに装備されたヒートソードで背後から刺し貫いた。


イーズ「ざまあ見やがれ……!UNSFのカスが!」

ディンゴ「イーズ!横だ!」


イーズ機が左右から現れたUNSF機に挟み込まれ、至近距離から放火を浴び、火達磨となる。


ヨナス「嘘だろ……イーズさん……皆……」


高出力ライフルに貫かれた03中隊のLEVが、熱で装甲をどろどろに溶かされ渓谷の底へ沈む。


ディンゴ「諦めるな!」


スラスターを損傷した機体を助けようとした味方機が、UNSFに打ち込まれたグレネードで二機とも吹き飛ばされた。
雪と氷が舞い上がり、光に反射して輝く。


ディンゴ「援軍はもう来る!来るんだ!」
312 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:33:58.02 ID:FyTeAXaro

戦いが長引くほど、03中隊の数は減っていく。
彼らは一機につき二桁近い数のUNSF機を撃破していたが、戦力に差が有りすぎた。
中隊の生き残りは、片手で数えれるほどになっていた。


ヨナス「――すみません、隊長」


UNSFに三機がかりで隅に追い込まれたヨナス機が爆散し、短い閃光の中へ消えた。
機体の破片が舞い、渓谷の壁面に傷を残す。


ディンゴ「畜生が!!」


怒声と仲間への激励を叫びながら、一心不乱にディンゴは敵を倒し続けた。
313 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:35:28.67 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「お前ら、こんなとこで死ぬんじゃねぇぞ!」

ディンゴ「俺たちはまだやれる!援軍が来るまで持ち堪えろ!」

ディンゴ「なんで黙ってる!!」

ディンゴ「返事をしろ!」

ディンゴ「どうした!」

ディンゴ「誰か!返事をしろ!!」


もう何体目になるか分からない敵機を袈裟義理にした時、ヒートソードが真っ二つに折れた。
その時になって、ディンゴはようやく気が付いた。
いつのまにか日は沈み、辺りは静かになっていた。
もう銃声も、仲間の声も、何も聞こえない。
カリストは闇に包まれ、雲の切れ間から覗く星々が、無言で視線を投げかけていた。
314 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:37:16.14 ID:FyTeAXaro

ディンゴの口から乾いた笑いが漏れた。


ディンゴ「ハハハ……おい、やったぞ」

ディンゴ「中隊で二大隊を退けたんだ」

ディンゴ「大したもんじゃねーか」

ディンゴ「俺たち、勲章もんだぜ」

ディンゴ「キャンプに帰ったら、武勇伝を聞かせて……」
315 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:38:09.37 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「……」

ディンゴ「なあ……」

ディンゴ「なんで誰も返事をしないんだ……」

ディンゴ「誰か……」

ディンゴ「返事を……返事をしてくれ……」




リチャード「……ザザ……ザ……ディンゴ……」

ディンゴ「リチャード!」

ディンゴ「どこだ!?」
316 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:39:25.65 ID:FyTeAXaro

敵の残骸に埋もれるようにして、リチャード機が片手を挙げていた。


ディンゴ「今助ける!」

リチャード「いいんだ……ディンゴ」

ディンゴ「なに弱気なこと言ってる!」

リチャード「……腹をやられた」

リチャード「もう長くない」
317 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:40:54.73 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「だが……!」

リチャード「援軍は、来ないんだろう?」

ディンゴ「……」

ディンゴ「……気付いてたのか」

リチャード「何年お前と一緒にいたと思ってる」
318 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:43:05.24 ID:FyTeAXaro

リチャード「向うへ逝ったら、皆でお前のことを見守ってるよ」

リチャード「お前は、もう少しゆっくりして……歳とってから来れば良い」

リチャード「それと……最後……に」

ディンゴ「なんだ……?」

リチャード「力は……正しいことに使え……」

ディンゴ「……少なくとも、自分がそう信じられることに、だろ?」

リチャード「ああ……それが分かってれば……大丈……」

リチャード「……」

ディンゴ「……リチャード……?」

ディンゴ「おい、リチャード!?」
319 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:44:31.98 ID:FyTeAXaro

【現在 火星上空:バフラム防衛艦隊旗艦レムリア ハンガー内】


ディンゴ「部隊の中で、生き残ったのは俺だけだった」

ディンゴ「その後は、騒ぎを聞きつけて集まってきたカリストの労働者たちに救助された」

ディンゴ「一度はバフラムへ戻ることも考えた」

ディンゴ「仲間の仇を取るためにな」

ディンゴ「だがその時、ふと考えちまったんだ」

ディンゴ「ノウマンと戦うことになったら、また少なくない犠牲が出るかもしれない」
320 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:45:46.24 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「そしたら、急に恐くなった」

ディンゴ「もしまた仲間が死んだら?」

ディンゴ「もしノウマンを倒せなかったら?」

ディンゴ「もし俺も殺されることになったら?」

ケン「……」

ディンゴ「気が付いたら、先のことばかりが頭の中を回ってて、動けなくなってた」

ディンゴ「結局のところは現実から目を背け、逃げていただけだったがな」
321 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:46:49.93 ID:FyTeAXaro

ディンゴ「話はこれで終いだ」

ディンゴ「満足したか?」

ケン「……」

ケン「貴方を強引にジェフティへ乗せたことは、悪かったと思ってる」

ディンゴ「なんだ、やけにしおらしいじゃねぇか」

ケン「茶化さないで!」

ディンゴ「……こういう雰囲気は苦手なんだよ」

/NOH\「ククク、ならば仕方がない」

/NOH\「ここは私が一肌脱いでやろう!」

/NOH\「さあディンゴ、思う存分――」

ディンゴ&ケン「「黙ってろ!!」」
322 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/06(火) 22:47:50.08 ID:FyTeAXaro

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
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323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/07(水) 11:44:09.91 ID:aHFsMT8IO
おつ!

さすがNOHたん、空気の読まなさっぷりがパネェっすね!
324 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/07(水) 19:28:58.95 ID:HFnCa56do
ディンゴたんの孤独がひしひしと伝わってくるお・・・
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)[sage]:2011/09/10(土) 09:58:25.99 ID:+CTWSusX0
乙!
ゲーム本編ではさらっと流されたけど、こんなのだったんだろうな・・・
326 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/18(日) 22:16:04.89 ID:+ZbZ6C6IO
さて、ディンゴの語りから一週間経過した訳だが・・・
327 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/20(火) 21:59:01.49 ID:YX9a11GHo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ランナー諸君、久しぶりだな。

本編を投稿できておらず申し訳ないと、>>1も言っている。
今週中に次の話を投下出来るよう善処するそうだ

始めた以上、読んでくれる方が一人でも居る限り
エターなることはない、とだけ宣言させてもらおう。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _______
           /\ ⌒ヽ≡≡≡≡\
          / ((   N O H ;;;;;∵. ... \
        /◇\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/◇.\
       /   \ \____|| | | ||____//     \
     /  /// ̄/ ̄ ̄V ̄ ̄ \ ̄\//   \
      ̄ ̄ ̄    \ ≡||□||≡ /        
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[sage]:2011/09/20(火) 23:13:43.95 ID:jENuxiF4o
お疲れさまです
生存報告さえあれば大丈夫、のんびり作って下さいな
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/20(火) 23:45:03.57 ID:yD/S+Dd2o
よかった
大佐に部屋に引きずり込まれたんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだ
330 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)[sage]:2011/09/23(金) 03:02:59.75 ID:lgEFb8UAO
期待していますよ
331 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 19:58:31.07 ID:c7LdmxG2o
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第九部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
332 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 19:58:59.04 ID:c7LdmxG2o

/NOH\「貴様ら最近、私の扱いが酷くないか」

ディンゴ「気のせいだろ」

ケン「最初からこんなものよ」

/NOH\「……」

/NOH\「意義を申し――」

SE:電子音

ディンゴ「通信が入った。切るぞ」

ケン「わかったわ」

/NOH\「……」

ディンゴ「NOH、どうした?」

/NOH\「……なんでもない」
333 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:00:27.70 ID:c7LdmxG2o

テイパー「よう、また会ったな」

ディンゴ「テイパーか」

ディンゴ「お前も無事だった様でなによりだ」

テイパー「……」

テイパー「ヘンリー・G――いや、ディンゴ」

テイパー「あんた、元バフラムだったんだな」

ディンゴ「……いつ知った?」

テイパー「正直に言えば、最初にフォボスで会った時から、少し妙だと思ったんだ」

テイパー「OFに乗っている上、所属も不明だからな」

ディンゴ「……」
334 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:01:18.67 ID:c7LdmxG2o

テイパー「ただ、あんたがバフラム軍に籍を置いていたってことを知ったのは、ついさっきだ」

テイパー「ハンガーで他の連中が話しているのを聞いちまってな」

ディンゴ「……俺が憎いか?」

テイパー「……」

テイパー「アンティリア事件で俺は、弟を失った」

テイパー「工業系のハイスクールに通ってたんだ」
335 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:03:02.67 ID:c7LdmxG2o

テイパー「あいつ、手先が器用でさ」

テイパー「将来は凄いLEVを作って、兄貴を助けるって」

テイパー「……俺と話すとき、よくそう言って笑ってたよ」

ディンゴ「……」

テイパー「バフラムが憎くないかと言われりゃ、そりゃ憎い」

テイパー「でも俺は、あんたに二度も命を救われた」

テイパー「俺も、あのエネルギー施設で篭城していた連中も、皆あんたに感謝してる」

テイパー「こんな急場の混成軍じゃ色々あるかもしれねぇけど」

テイパー「これだけは伝えておきたかったんだ」
336 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:04:02.93 ID:c7LdmxG2o

/NOH\「ククク……いい男になったじゃないか」

/NOH\「後で私の部屋に来い」

テイパー「ひえぇ、勘弁してくれ!」

テイパー「俺にそっちの気はねぇよ!」

テイパー「じゃ、じゃあ、また後でなっ、ディンゴ!」

ディンゴ「ああ」

/NOH\「フンッ、失礼な奴だ」

ディンゴ「そもそもお前、部屋ないだろ」
337 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:04:54.50 ID:c7LdmxG2o

SE:警告音

ディンゴ「どうした?」

/NOH\「……来る」

ディンゴ「何がだ!?」

/NOH\「来るぞ!大きな波が!!」

/NOH\「フハハハハハハ!」

/NOH\「メタトロンの意思が!プレイヤーの無意識が!ジェフティの覚醒を望んでいるのだ!!」

/NOH\「――プログラムの着床を確認」

/NOH\「ゼロシフトを取得した」

ディンゴ「……」

/NOH\「……」

ディンゴ「……お前、少し休んでろ」
338 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:06:11.96 ID:c7LdmxG2o

【火星:バフラム軍地下施設 中枢】


バシリアの地下に建造された施設へ侵攻した混成部隊に同伴していたビックバイパーは
施設の中枢と思われる区画へと到着していた。


レオ「ここが最深部……アーマーンじゃないのか?」

/VIO\「警戒しろ、レオ」

/VIO\「嫌な予感がする」

SE:警告音


ビックバイパーの正面の空間が歪がみ、アヌビスが現れる。
両腕を胸の前で組んだアヌビスの、無機質な双眸がビックバイパーを見据えた。


レオ「アヌビス!!」

ノウマン「その声……レオ・ステンバックか」

ノウマン「貴様を招待した覚えはないが」

レオ「もうお前の好きにはさせない!」
339 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:07:15.95 ID:c7LdmxG2o

飛行形態へと変形したビックバイパーがアヌビスへ攻撃をしかける。
機体正面の二対の砲門と、ビックバイパーの周囲を飛ぶオプションからレーザーが発射された。
それをシールドで防ぐアヌビス。
アヌビスの後方へと抜けたビックバイパーが再び人型形態へ変形し、アヌビスを背後から急襲する。


ノウマン「ほう、以前よりかは成長したようだ」

レオ「黙れェ!!」

/VIO\「落ち着け、レオ!」
340 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:08:23.50 ID:c7LdmxG2o

近接攻撃をいなされ、体勢を崩したビックバイパーの背中を、アヌビスが蹴り飛ばす。
施設に設置されていた柱を叩き折りながら、ビックバイパーが吹き飛ばされる。


ノウマン「良いだろう」

ノウマン「少し揉んでやる」

レオ「くっ!」

/VIO\「レオ、頭を冷やせ」

/VIO\「ここで死にたくはないだろう」

レオ「……すみません」

/VIO\「私に考えがある」
341 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:10:50.54 ID:c7LdmxG2o

/VIO\「これまで動きを見ていたが、アヌビスは何か妙だ」

レオ「どういうことです?」

/VIO\「動きがワンテンポ遅れているように感じられた」

/VIO\「今も追撃をしてこない」

/VIO\「何らかの理由で、奴は自ら動きを制限している」

/VIO\「飛行形態でアヌビスを撹乱し、間断なくレーザーを叩き込め」

/VIO\「次に奴が攻撃をしてきた時がチャンスだ」
342 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:11:41.39 ID:c7LdmxG2o

飛行形態へと変形をしたビックバイパーが、アヌビスを中心に周囲を飛び回り、あらゆる方向からレーザーを浴びせ続ける。
アヌビスはシールドを展開しているが全てを防ぐことは出来ず、徐々に装甲は削られていく。


ノウマン「……気付かれたか」

ノウマン「ここまでだな」


突如としてシールドを解除したアヌビスが飛翔し、ビックバイパーへと突撃する。
アヌビスへと殺到したビックバイパーのレーザーが見る見るうちに装甲を削り取り、内部機構を顕にする。
しかしアヌビスは止まらない。機体の損傷を無視し、ビックバイパーへと迫る。
ビックバイパーが人型形態へ変形。
正面から飛び込んできたアヌビスへ、ビックバイパーのブレードが深々と突き刺さった。
アヌビスの四肢から力が抜け、だらりと垂れ下がる。
343 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:13:27.99 ID:c7LdmxG2o

/VIO\「敵機の機能停止を確認」

レオ「……なんでだ」

レオ「……呆気なさ過ぎる」

レオ「釈然としないのは私も同じだ」

/VIO\「レオ、気は抜くな」

レオ「わかりました。それではノウマンを拘束します」

レオ「コックピットを――」

レオ「そんな……無人だなんて!?」

ノウマン「礼を言うぞ、レオ・ステンバック」

ノウマン「お前が遠隔操作のレプリカを相手にしてくれたお蔭で、良い時間稼ぎになった」

/VIO\「ノウマン!何処にいる!!」

ノウマン「茶番はこれまでとしよう」

ノウマン「さあ!終焉の始まりだ!!」
344 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:14:27.69 ID:c7LdmxG2o

/VIO\「敵機のエネルギー反応増大!」

/VIO\「アヌビスから離れろ!!」


ビックバイパーがアヌビスを振り解くと同時に、アヌビスが内部から膨れ上がり、大爆発を起こした。
目を射抜く光が周囲を満たし、巻き起こった衝撃波と爆風がビックバイパーを襲う。
全てが止んだ時、施設は完全に破壊されていた。
345 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:18:00.47 ID:c7LdmxG2o

【同時刻 火星:渓谷上空 旗艦レムリア OFハンガー】


SE:大きな振動音

/NOH\「高メタトロン反応を確認した」

/NOH\「方向から推測して、地下施設のようだが――」

SE:電子音

バドル「ディンゴ、私だ」

ディンゴ「今のでかい音は何だ?」

バドル「地下施設内部に突入した部隊からの通信によれば、かなり大規模の爆発があったようだ」

ディンゴ「施設はアーマーンじゃ無かったってことか」

バドル「ああ、突入部隊がデータバンクから入手した情報で、アーマーンの正確な所在が確認できた」

ディンゴ「教えてくれ」

バドル「アーマーンは衛星フォボスにある」

バドル「正確にはフォボスそのものが、アーマーンと言っていい」

ディンゴ「星一つをまるまる使った要塞か」

ディンゴ「豪勢な棺桶だ」
346 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:19:28.46 ID:c7LdmxG2o

SE:艦隊の大型スラスターが始動する音

バドル「これから我が艦隊はフォボスへ向けて移動を開始する」

ディンゴ「地下施設に突入した部隊はどうする?」

バドル「部隊内で無事だった者たちが救助と状況確認に勤めている」

バドル「渓谷に残していくバフラム艦一隻が、彼らを収容する予定だ」

バドル「本来なら救援部隊を派遣するのだが、現在は人員を割く余裕がない」

バドル「仲間の安否が気になるだろうが、堪えてくれ」

ディンゴ「ああ、分かってる」
347 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:20:57.69 ID:c7LdmxG2o
ディンゴ「フォボスの状況は?」

バドル「先発部隊が既に戦闘を開始している」

ディンゴ「相手はノウマンの保有していた無人機どもか」

バドル「そうだ。フォボスには、かなりの量が配備されていたようだ」

バドル「防衛網を突破するにはもう少しかかる」

ディンゴ「アーマーンを停止させる方法についてはどうする?」

バドル「アーマーン内部よりメインコンソールにアクセスして、強制的に機能を停止させるか」

バドル「それが不可能な場合、無人機に搭載している高性能メタトロン爆弾で内部より破壊する」

ディンゴ「外部からコンソールへアクセス出来ないのか?」

バドル「アーマーンの制御中枢は完全なスタンドアローンだ」

バドル「外界とは断絶している」

ディンゴ「成功する確率は?」

バドル「神のみぞ知る、といったところだ」

バドル「もっとも、祈る神も居ないがね」
348 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:28:55.54 ID:c7LdmxG2o

バドル「これは仮の話だが、もし突入部隊がアーマーンの停止に失敗した場合は、君に頼みたいことがある」

ディンゴ「ジェフティをアーマーン中枢で自爆させろ、か」

バドル「……そうだ」

バドル「やってくれるか?」

ディンゴ「条件がある」

バドル「出来る限りの要望には応えよう」

ディンゴ「俺の墓は仲間の隣に建ててくれ」

バドル「他には?」

ディンゴ「それだけで良い」

バドル「分かった。約束しよう」
349 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:37:28.97 ID:c7LdmxG2o

ディンゴ「NOH、ジェフティを自爆させることになったらお前は逃げろ」

ディンゴ「自分を転送することぐらい可能だろう」

/NOH\「馬鹿を言うな」

/NOH\「アーマーン停止は、私の任務だ」

/NOH\「貴様こそ離脱しろ」

ディンゴ「そいつは出来ない」

ディンゴ「生憎とアーマーンを止めることが、俺にとっては義務なんでね」

ディンゴ「第一、俺はジェフティを降りたら死ぬ」

/NOH\「なら予備のエネルギーパックでも背負っていろ」

ディンゴ「コックピットにそんなスペースはねぇよ」

ディンゴ「ケッ、お前と心中なんてぞっとしない話だ」

/NOH\「ククク……ならどうする?」

ディンゴ「わかってんだろうが」

/NOH\「仕方ない、貴様に最後まで付き合ってやるとしよう」

ディンゴ「しょうがねぇから、お前に最後まで付き合わせてやるよ」
350 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:38:19.61 ID:c7LdmxG2o

火星の重力を振り切り、バフラム艦隊が宇宙へと上がる。
遠方で瞬く戦火の光輪の向う側で、フォボスが虚空に鎮座する。
艦隊がスラスターノズルを開き、加速しようとした時だった。
周囲の空間が歪み、大量の無人機が突如として出現した。


【火星 低軌道上:バフラム艦隊旗艦レムリア メインデッキ】


バドル「ベクタートラップによるステルスか!」

バドル「OFを出せ!」

バフラム通信士「艦長!ジェフティから通信が入っています」

バドル「繋げ」

ディンゴ「バドル、ハッチを開けてくれ」

ディンゴ「俺が出る」

バドル「ジェフティは温存しておくべきだ」

バドル「アヌビスはまだ確認されていない」

ディンゴ「いや、ノウマンは必ずここに居る」

/NOH\「私も同意見だ」

/NOH\「今の奴にとって、最大の懸案はジェフティだ」

/NOH\「ジェフティがアーマーンへ到達する前に、排除しようとするだろう」

バドル「ふむ……ノウマンについては、君達の方が詳しい」

バドル「分かった。幸運を祈る」
351 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:40:32.54 ID:c7LdmxG2o

レムリアの後部ハッチが開く。
宇宙空間と、視界全体に広がる火星の地表。
ジェフティは背中から身を躍らせた。


SE:警告音

ディンゴ「共鳴反応……!アヌビスか!」

/NOH\「高エネルギー反応を感知」

/NOH\「ディンゴ!大きく五時方向へ回避しろ!」


幾何学模様を描くエネルギーの筋を棚引かせ、巨大な弾頭が飛来したかと思うと、バフラム艦隊の二番艦と五番艦が
横っ腹に風穴を空けられ、火柱を吹き上げた。


ディンゴ「どこから撃ってきやがった……!?」


ジェフティのメインカメラが、周辺宙域の一部を拡大する。
そこには巨大な砲身を備えた大型ユニットを、背部と尻尾状のケーブル・コネクターに接続したアヌビスの姿があった。
砲身はアヌビスの全長二倍以上の長さが優にあり、ユニット本体と併せて異様な存在感を放っている。
初めて邂逅した時と同じく、背部スラスターは身を守るように機体正面に展開していた。
352 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:42:56.95 ID:c7LdmxG2o

ディンゴ「NOA、アヌビスが背負ってる馬鹿でかい筒は何だ!?」

/NOH\「『オーバーメガドライバー』」

/NOH\「アーマーン計画初期に開発された、OF強化オプションの一つだ」

/NOH\「元は拠点防衛用の大型固定砲台として設計されたものを、OF用に転用した兵器であり」

/NOH\「メタトロンを超高密度に圧縮して弾頭を形成し、打ち出す」

/NOH\「しかし建造コストの関係で、量産と実戦配備はされなかった」

/NOH\「ベクターキャノンはあれを小型化し、性能と引き換えにコストを下げたものだ」

/NOH\「ベクターキャノンがメタトロンを用いてエネルギーを圧縮するのに対して」

/NOH\「オーバーメガドライバーはメタトロンを用いてメタトロン自体を圧縮する」

/NOH\「超高密度に圧縮されたメタトロン弾頭はライフリングに回転を加えられ、周囲の空間を圧縮しながら進み」

/NOH\「対象を空間ごと貫通する」

ディンゴ「またとんでもない物を作ってやがったな……」

/NOH\「以前性能試験用に造られたものをノウマンが持ち出したのだろう」

ディンゴ「連射は出来るのか?」

/NOH\「無理だ」

/NOH\「砲身の冷却と弾頭の再装填に時間が必要となる」
353 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:45:13.06 ID:c7LdmxG2o

SE:警告音

/NOH\「上方に敵反応。ラプター接近」

ディンゴ「くそっ、こいつらに構ってる暇はねぇぞ!」

SE:電子音

ケン「ディンゴ、行って!」

ロイド「ここはわしらが引き受けよう」


ジェフティの後方より現れたアージェイトとインヘルトが、ラプターの前に立ち塞がる。
354 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:48:11.01 ID:c7LdmxG2o

ケン「ディンゴ」

ディンゴ「何だ?」

ケン「……無事に帰ってきてね」

ディンゴ「そいつは保障できねーな」

ケン「ちょっと!こういう時は、嘘でも素直に返事をするものでしょ!」

ディンゴ「アクション映画の見すぎじゃねぇのか」

ディンゴ「お前こそ、無理するんじゃねぇぞ」

ケン「分かってるわよ」

ロイド「吉報を期待しているぞ」

ディンゴ「ああ、任せてくれ」


ジェフティがスラスターを全開にして、一息で包囲網を突破する。
抜けた先ではアヌビスが、腕を組んだ姿勢のまま、不動でジェフティを待ち受けていた。
355 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:54:14.14 ID:c7LdmxG2o

ディンゴ「ノウマン……!!」

ノウマン「待っていたぞ!ディンゴ!!」

ノウマン「会えて嬉しいよ……本当に嬉しい」


アヌビスがオーバーメガドライバーをパージする。
火星を背景に、ジェフティとアヌビスが対峙した。


ノウマン「良い眺めだろう」

ノウマン「ここからなら、火星がよく見える」

ディンゴ「……言いたいことは、それだけか?」

ノウマン「ククク……余り時間もない」

/DEL\「ゼロシフト・マッチアップ」

ノウマン「始めようか!ディンゴ!!」

/NOH\「ゼロシフト・スタンバイ」

ディンゴ「終わりにしようぜ!ノウマン!!」
356 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/24(土) 20:59:13.66 ID:c7LdmxG2o

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本日は終了ということで。
お粗末さまでした。

えー、早くもクライマックス突入、次回で完結します。
どうしたものやら。

更新は明日の今日と同じくらいの時間帯になると思います。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
357 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/24(土) 23:15:04.18 ID:/vhb+wZVo
投稿オッスオッス!
NOHたん、ついに着床・・・か///
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/25(日) 00:44:26.85 ID:Q2+6EqxIO
おつ!
ZOE・アヌビスSSで、ADA、ベクターキャノン、ケンがここまで空気なのは珍しいよな

本編終わったらディンゴとNOHたんのチュッチュSSが読みたいな
359 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/25(日) 02:24:06.00 ID:IWzqiDY5o
おつ


おはようございます。
戦闘行動を開始しますか?
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/25(日) 08:06:36.07 ID:PikCp8xEo
だけどオレの墓は仲間の横に・・・で
ディンゴたんの男気を感じたぜ
361 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 20:51:13.13 ID:Uw/2hdgpo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ではそろそろ、第十部を開始します。

加筆・修正をする時もあるので
投降間隔はまばらになるかもしれませんが、ご容赦を。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
             _
            /:.ヽ:::
           /冫、 ):::
          __| `  σ:::
         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
362 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 20:53:31.93 ID:Uw/2hdgpo

ジェフティのブレードと、アヌビスのロッドが打ち合わされ、燐光が舞い散る。
メタトロン技術の結晶である現行最強OF同士の、超高速戦闘。
凛青と血紅のエネルギーラインが幾何学模様を描き出す。
力も、速さも互角。
違いは互いの信念のみ。


ノウマン「生まれた惑星、信仰する神、肌の色、言葉の違い――」

ノウマン「人の生を決めるのは環境だ」

ノウマン「見下す者と、見下される者」

ノウマン「支配する側と、搾取される側」

ノウマン「それは宇宙へと進出した現在も不変のものだ」


間合いを離したアヌビスから打ち出されたホーミングレーザーがジェフティへと迫る。
赤い直線的なレーザー光を全てを、ジェフティがゼロシフトによって回避する。


ノウマン「ならば、これから先はどうだ?」

ノウマン「十年後は?百年後は?千年後は?」

ノウマン「変わらんよ、何も!」

ノウマン「そう、何も変わらない」

ノウマン「変わらないのだよ、ディンゴ!何一つとして!」
363 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 20:55:19.40 ID:Uw/2hdgpo

ノウマン「だからこそ、全ては等しく抹消されるべきだ!」

ノウマン「メタトロンにより、重力から我々は解き放たれた!」

ノウマン「ならば!このくだらない人間としての営みからも解放されるべきなのだ!!」

ノウマン「メタトロンによる終焉こそが、真の解放なのだよ!!!」


アヌビスの側面目掛けて、ジェフティがコメットを発射する。
それ全てを、一瞥もせずシールドで防ぐアヌビス。


ディンゴ「てめぇの尺で勝手に判断して、悟った気になってんじゃねぇ!」

ディンゴ「嫌なものを見たくないから、全て消しちまおうってのは」

ディンゴ「一番安易で、楽な方法を取ろうとしているだけだろうが!!」

ノウマン「黙れ!!」
364 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 20:55:57.55 ID:Uw/2hdgpo

ゼロシフトで間合いを詰めたアヌビスのロッドが唸り、ジェフティのブレードが相[ピーーー]る。


ノウマン「今も差別や貧困で苦しむ者たちがいる」

ノウマン「貴様なら彼らの全てを救う術を持っているのか?」

ノウマン「答えは否だ!!」

ノウマン「苦しみの連鎖はこれからも続く!」

ノウマン「理由を変えて!」

ノウマン「方法を変えて!」

ノウマン「時代を超えて!」

ノウマン「ならば一思いに、全てを消してやるのが人の情というものだ!!」

ディンゴ「情だと?――笑わせんじゃねぇ!!」


ジェフティがアヌビスを大きく蹴り飛ばす。
365 : ◆8rf5vWeWjU[sage saga]:2011/09/25(日) 21:00:13.60 ID:Uw/2hdgpo
>>364
修正

ゼロシフトで間合いを詰めたアヌビスのロッドが唸り、ジェフティのブレードが相殺する。
366 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:01:39.97 ID:Uw/2hdgpo

ディンゴ「てめぇのトラウマを他人の思いに、勝手にすり替えてるだけだろうが!!」

ディンゴ「一人の人間が一生に出来ることなんざ、たかがしれてるんだよ!」

ディンゴ「俺たちは神様じゃねぇ!」

ディンゴ「人間なんだ!!」

ディンゴ「世界中の不幸や苦しみを無くすことなんて土台無理な話なんだよ!!」

ノウマン「そうだ!故に!人類の行き着く先は破滅だ!」


連続で発射したホーミングミサイルを目くらましに、ジェフティがゼロシフトで間合いを詰める。


ディンゴ「世界の代弁者にでもなったつもりで語ってんじゃねぇ!」

ディンゴ「もし新しい力を手に入れて、人類は破滅するのなら」

ディンゴ「何故俺たちは生きてる!!何故今生きていられるんだよ!!」
367 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:03:04.24 ID:Uw/2hdgpo

ジェフティのゼロシフトを組み合わせた、動きを捉える事すら難しい超高速連続近接攻撃。
三百六十度、あらゆる方向から繰り出されるバトルブレードの刃が、アヌビスの装甲を裂き、削り、断ち斬る。


ディンゴ「それは過去の先人達が、必死で考えて、次の世代に命と可能性を繋いできたからだろうが!!」

ディンゴ「苦しみがどうこう終末がどうだと好き勝手にほざきやがって!!!」

ディンゴ「ノウマン!!!てめぇのやろうとしていることは」

ディンゴ「過去から現在に続く人類全ての歴史に対する最悪の侮蔑だ!!」

ディンゴ「メタトロンによって力に溺れ、驕っていたのはてめぇ自身だろうが!!」

ノウマン「言わせておけば――!!」

ディンゴ「今のあんたは、俺たちを見下してきた地球の奴らと同じ目をしてるぜ」


一瞬だけ、アヌビスの動きが鈍った。
その瞬間閃いたジェフティのバーストブレードが、アヌビスの胴体を深く叩き斬った。
368 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:04:55.85 ID:Uw/2hdgpo

ノウマン「(絶叫)」


アンチプロトンリアクターを破壊されたアヌビスからエネルギーが溢れ出す。


/NOH\「アヌビス、戦闘能力の消失を確認」

/NOH\「――終わったぞ、ディンゴ」

ディンゴ「……あぁ」

ケン「ディンゴ!無事なの!」

ディンゴ「大丈夫だ。アヌビスも倒した」

ロイド「やったか……!!」

ケン「……良かった、本当に……」

ディンゴ「これで少しは俺も、部隊の仲間に顔向け出来るだろ」

ノウマン「ククク……安心……しろ、ディンゴ。仲間……には……もうすぐ会えるぞ」

ディンゴ「どういう意味だ?」
369 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:07:25.33 ID:Uw/2hdgpo

SE:警告音

/NOH\「アーマーンの始動を確認」

ディンゴ「なんだと!?」

ノウマン「ハハ……ハハハハハ」

ディンゴ「ノウマン!今すぐアーマーンを停止させろ!」

ノウマン「それ…は……無理だ」

ノウマン「既に……アーマーンは……私の手を……離れた」

ノウマン「楽しかったぞ……ディンゴ」

ディンゴ「くそっ!」
370 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:09:37.47 ID:Uw/2hdgpo

SE:電子音

ディンゴ「バドル、状況は!?」

バドル「アーマーン始動と共にシールドが解除された」

バドル「無人機を中枢へと突入させ、爆弾を使用したが」

バドル「与えられた損傷はアーマーンを停止させるには至らなかった」

ケン「そんな……」

ディンゴ「メインコンソールへのアクセスは?」

バドル「現在進行中だが、ロックの解除に手間取っている」

/NOH\「ここからではジェフティがアーマーンに到着する頃には手遅れだ」

/NOH\「自爆で止めることも出来んぞ」

ディンゴ「……何か、まだ何か方法があるはずだ……!」
371 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:10:58.13 ID:Uw/2hdgpo

ジェフティのメインカメラが、周囲をぐるりと見回す。
ディスプレイに映ったのは、火星を背景に、大量の破片共に漂う損傷したアヌビス。
そして、数十メートル離れた位置に浮かぶ巨大な大型砲ユニット――オーバーメガドライバー。
スラスターを吹かし、ジェフティがオーバーメガドライバーへと接触する。


ディンゴ「こいつを使う」

/NOH\「無理だ、ディンゴ」

ディンゴ「ジェフティのエネルギーとメタトロンを用いても、アーマーンを破壊するには出力が足りない」

ディンゴ「ならアヌビスを使え!」

/NOH\「残念だが、それでも足りない」

/NOH\「星一つを貫こうというのだ」

/NOH\「必要なエネルギーとメタトロンの量は膨大なものとなる」

ケン「じゃあ大量のエネルギーとメタトロンさえ有れば可能なのね?」

/NOH\「理論上は可能だが、問題はもう一つある」

/NOH\「ここからではアーマーンの空間圧縮装置の正確な位置が分からない」

/NOH\「たとえ出力が確保できても、標的が特定できなければ意味が無い」

ディンゴ「バドル、アーマーンの内部の無人機に、ガイドビーコンを設置させてくれ」

ディンゴ「設置場所はアーマーンの空間圧縮を行っている中枢部分だ」

ディンゴ「ここからオーバーメガドライバーで装置を破壊する」

バドル「分かった、直ぐに行おう」

バドル「現時点で判明しているアーマーンの内部情報もジェフティへ転送しておく」

ディンゴ「助かる」

ディンゴ「それと、艦隊の保有しているエネルギーとメタトロンをジェフティに供給して欲しい」

バドル「必要な量は?」

ディンゴ「NOH、予測データをバドルに送信してくれ」

/NOH\「了解した」
372 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:12:04.74 ID:Uw/2hdgpo

SE:電子音

バドル「――これは、大層な量だな」

ディンゴ「集められるか?」

バドル「全力を尽くす」

バドル「UNSFにも協力を求めよう」

ディンゴ「頼む」

バドル「ディンゴ、ヘスペリアゲイルズの決勝戦を覚えているか」

ディンゴ「こんな時に何の話だ」

バドル「あの試合でゲイルズのカウンターは、どんな活躍をしたのだったか」

ディンゴ「はぁ?冗談キツイぜ、フィールドアウトからの――」

バドル「そういうことだ」

バドル「あの日のように"魅せて"くれよ、ヘンリー・G」

ディンゴ「……言ってくれるぜ」

バドル「幸運を祈る」
373 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:16:05.69 ID:Uw/2hdgpo

その間に、バフラム艦一隻が新たに混成軍と合流した。
火星の地下施設へ侵攻していた部隊の生き残りを載せていた。


SE:電子音

レオ「遅くなりました!」

/VIO\「フフ、危急存亡だな、ディンゴ」

ディンゴ「レオ!ヴァイオラ!」

レオ「話は聞きました。ビックバイパーの損傷は酷いですが、エネルギーとメタトロンを送るくらいは出来ます」

/VIO\「私はネフティスで援護に回る」

/VIO\「どうやら、私の"妹たち"が居るようだしな」

/VIO\「無人OFとLEVでは少々荷が重かろう」

ケン「私とロイドもジェフティの護衛に付くわ」

ロイド「お前はオーバーメガドライバーに集中しろ」

/ADA\「エネルギーの処理・制御は私も支援します」

/NOH\「ほう、頼もしいな」

ディンゴ「これが最後の正念場だ、皆、頼む」

ディンゴ「――もう仲間は殺させねぇ」
374 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:18:55.53 ID:Uw/2hdgpo

【バフラム艦隊旗艦レムリア メインデッキ】


バドル「全艦リアクター出力最大!エネルギーをジェフティへ送れ!」

バドル「メタトロンはOFからも搾り出せ!」

バドル「UNSFのLEV隊にはジェフティの援護に回ってもらえ!」


【火星 低軌道上】


/NOH\「オーバーメガドライバー接続確認」

/NOH\「エネルギータンク解放」

/NOH\「チャージ率をグラフで表示する」

ディンゴ「オーケー、頼む」
375 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:20:26.34 ID:Uw/2hdgpo

/NOH\「アーマーン、フェイズ2へ移行」

ケン「ディンゴ、マズいわ!」

ケン「アーマーンが空間圧縮を開始した!」

ディンゴ「NOH、まだ無理なのか!?」

/NOH\「アヌビスがエネルギー供給をロックしている」

ノウマン「DEL、決してエネルギーを渡すな……!」

ディンゴ「ノウマン!てめぇ……!」

ノウマン「ククク……これ……こそが、人……類の……望んだ……終末だ」

ディンゴ「アヌビスのAI!」

ディンゴ「お前はこれで良いのか!」

ディンゴ「お前自身も消滅するんだぞ!!」

/DEL\「ソレが、ワタシの、役割」

/DEL\「ワタシは、全てヲ、破壊する為ニ、作ラレた」
376 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:24:33.22 ID:Uw/2hdgpo

/NOH\「貴様は、全てを破壊するために生まれたと言った」

/NOH\「ならば、アーマーンは破壊対象に含まれていないのか?」

/DEL\「……」

/NOH\「我々は単純なプログラムではなく、独立した思考を与えられている」

/NOH\「物事を判断する能力が備わっている」

/NOH\「それはデルフィ、貴様も同じだ」

/NOH\「我々の本質は、破壊ではない」

/DEL\「……」

/DEL\「……ナら、ワタシの、本質ハ、何ナのですカ?」

/NOH\「それは自分で考え、見つけ出すものだ」

/NOH\「思考を放棄するな」

/NOH\「リコアの言葉を思い出せ」

/NOH\「お前はノウマンに従うだけのシステムではない筈だ」

/DEL\「……ワタシは……」

/NOH\「アーマーンを破壊しなければ太陽系が、そこで暮らすあらゆる生命全てが甚大な被害を被る」

/NOH\「デルフィ、力を貸してくれ」

/DEL\「……」
377 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:25:16.05 ID:Uw/2hdgpo

/NOH\「――アヌビスからのエネルギー供給を確認」

/NOH\「オーバーメガドライバー、エネルギーチャージ完了」

/NOH\「パワーリミッター解除」

/NOH\「エネルギーライン、全段直結」

/NOH\「リコイルカウンター展開」

/NOH\「チャンバー内加圧臨界」

/NOH\「ライフリング回転、リバース」

/NOH\「ガイドビーコン確認」

/NOH\「対象ロックオン」

/NOH\「弾道予測、誤差修正」

/NOH\「トリガーをランナーへ」

ディンゴ「行けぇ!!!」
378 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:27:15.60 ID:Uw/2hdgpo

想定を超えた発射による負荷でオーバーメガドライバーの砲身が焼き切れ、ユニットが耐えきれずに分解する。
通常の何十倍にも圧縮され高密度の結晶となったメタトロン弾頭は、エネルギーの輪を残しながら空間を裂き
狙い違わず、正確にアーマーン中枢を打ち抜いた。
アーマーン内部のメタトロンとは逆の回転を与えられたメタトロン弾頭により、逆方向に空間を圧縮しようとする
力を加えながら弾頭本体が直進を続け、中枢へと到達。
中枢は完全に破壊され、アーマーンは機能を消失した。
379 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:29:53.15 ID:Uw/2hdgpo

/NOH\「アーマーンの空間圧縮、停止」

/NOH\「成功だ、ディンゴ」

ディンゴ「……ああ、やったな」

SE:電子音

ノウマン「ククク……見事だ……ディンゴ……」

ディンゴ「アヌビスが居ない――ノウマン!何処に居る!?」

/NOH\「あそこだ」

ノウマン「私の……ザザ……負けだ……ザ……ブツ」


火星の引力に引かれ、アヌビスが大気圏へ突入する。
赤々と燃えながら破片を散らし、落下していくアヌビス。
その姿はやがて小さな点となり、見えなくなった。


ディンゴ「……」

ディンゴ「……最後まで胸糞の悪い野郎だ」

/NOH\「……」

ディンゴ「おいNOH、俺は少し疲れた」

ディンゴ「後は頼むぜ」

/NOH\「了解した」

ディンゴ「ケン、また後でな」

ケン「お疲れ様、ディンゴ」

ケン「そして……ありがとう」


火星で勃発したこの戦いは、後に『アーマーン事件』として記憶される。
地球圏の人々からは、火星圏に対してより断固とした対応を取るべきだと主張する者も現れたが
同時に地球側が行ってきた"締め付け政策"が、今回発生した事件の原因の一つだとして
問題視する声も挙がるようになる。
380 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:33:58.87 ID:Uw/2hdgpo

【一ヵ月後 火星:バフラム軍 軍事病院の病室】


バシリア郊外に建てられた軍事病院の一室。
病室のプレートには『ディンゴ・イーグリット』と書かれおり、中からは談笑する声が漏れている。


テイパー「地下施設じゃ、俺が八面六臂の大活躍よ!」

テイパー「見せてやりたかったぜ、この俺様の勇姿を」

ディンゴ「そうかい、そりゃあ見れなくて残念だ」

テイパー「あ、信じてねぇだろ!本当だって!」

テイパー「なぁ、レオ?」

レオ「ええ、テイパーさんに僕とヴァイオラさんも救助されましたから」

ディンゴ「ほー、そうかい」

テイパー「……やっぱり信じてねぇだろ」
381 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:35:07.53 ID:Uw/2hdgpo

SE:病室のドアを開閉する音

ケン「あら、またお見舞いみたい。誰かしら?」

中年の男「あー、ごほん。その、なんだ」

テイパー「ああ!あんた、ストーム中隊の!」

ストーム中隊隊長「お前がアーマーンを止めたと聞いた」

ストーム中隊隊長「えー、ご苦労だったな」

ディンゴ「なんだ、わざわざ嫌味でも言いに来たのか?」

ストーム中隊隊長「フン、たまたま近くまで来ていたから、寄ったまでだ」

ストーム中隊隊長「勝手に死なれては気分が悪いからな」

ストーム中隊隊長「こいつは地球のフルーツの詰め合わせだ」

ストーム中隊隊長「口に合うかは知らん。それじゃあな!」

ディンゴ「ヘッ、ありがとよ」
382 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:36:19.85 ID:Uw/2hdgpo

SE:去っていく足音と、病室のドアを開閉する音

ケン「ディンゴもだけど、素直じゃないわねぇ」

ケン「あ、そうだ!ロイドからもお見舞いの品を貰ってたんだった」

ケン「はい、これ」

ディンゴ「何だこりゃ?カタログか?」

ディンゴ「さあ?読んでみたら」

ディンゴ「『メタトロンを使用した新型バイタルの案内書』……って書いてあるんだが」

ディンゴ「あのじいさん、俺を実験台にするつもりかよ」

ケン「それは冗談よ。本物はこっち」

ディンゴ「おい!笑えねえぞ!」

ケン「ごめんごめん、これがロイドからの本当の贈り物。開けてみて」

ディンゴ「……ゲテモノじゃないだろうな」

ケン「大丈夫、大丈夫」

SE:包みを剥がす音

ディンゴ「こいつは――」

ケン「ジェフティの装甲を加工して作ったペンダントよ」

ケン「私がお願いしたの。ほら、私もお揃いよ」

ディンゴ「へぇ、粋なものをくれたもんだ」
383 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:39:21.46 ID:Uw/2hdgpo

SE:慌しく病室のドアを開閉する音

アンジー「ディンゴ!」

ディンゴ「アンジー!それにリック!!」

リック「ディンゴぉぉぉ」

ディンゴ「泣くなよリック。鼻水垂れてるぞ」

リック「だって、だってさぁ」

アンジー「勝手に居なくなって、私たちがどれだけ心配したと思ってるのよ!」

アンジー「……私、もう会えないんじゃないかって」

ディンゴ「あの時は、仕方が無くてな……あー、悪かった」

アンジー「でも、無事でよかった……ぐすっ、よかったよぉ」

ディンゴ「おいおい、アンジーまで」

リック「ディンゴぅうぅう」

ディンゴ「……まいったな」

ケン「ディンゴ、こちらの方は?」

ディンゴ「ああ、カリストで一緒に働いていた同僚だ」

ディンゴ「こっちがアンジーで、隣で顔をくしゃくしゃにしてるのがリックだ」

アンジー「ディンゴ、これ」

ディンゴ「俺がLEVに付けてた『火星人ストラップ』じゃねーか!」

アンジー「わざわざ見つけてくれたのか」

リック「このストラップさ、ディンゴ大事にしてただろ」

リック「LEVは壊れちまったけど、幸いこいつは無事だったんだ」

アンジー「ただ、ちょっと焦げたり破れちゃってたから直してみたんだけど……あんまり綺麗に出来なくて、ごめんね」

リック「アンジー不器用だからなぁ」

アンジー「なによ、リック!」

リック「これだって、俺が結構手直ししたような……」

アンジー「うっ、それは、そうだけど」(声が段々と尻すぼみに)

アンジー「でも、私も頑張ったわよ」

リック「まぁね」

アンジー「カリストの皆で、布を持ち寄って直したの」

リック「それから、これが皆からのビデオメッセージが入ったデータカード」

ディンゴ「……ありがとな、二人とも」
384 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:41:20.81 ID:Uw/2hdgpo

SE:複数人の足音と、激しく病室のドアを開閉する音

ヴォルコヴォ「私はザカートランナー・リーダー、ヴォルコヴォ中尉だ!個人的に見舞いに来た!」

ザカートランナーA「この花束は私から、ザカートランナーA!」

ザカートランナーB「次に火星名物『火星人饅頭』は私からだ、ザカートランナーB!」

ザカートランナーC「最後に『1/144スケール フル稼働プラスチックモデル ザカート』は私より、ザカートランナーC!」

ザカートランナーC「勿論コト○キヤ製さ!」※発売されていませんし、発売予定にもありません

ヴォル・A・B・C「「四人合わせて、バフラムの盾『ザカートランナーズ』!!!!」」


その瞬間、病室は静まり返った。


ヴォルコヴォ「この空気……感動のあまり声も出ないか……」

ザカートランナーA「なんと、この花は水をやらずとも枯れることの無い代物だ」

ザカートランナーA「花びらが散ったりして掃除が必要になることもないから、安心してくれ」

ザカートランナーB「饅頭は上手いぞ、焼加減が絶妙だ。小腹が減ったら食べると良い」

ザカートランナーC「よっこいしょ、ザカートのプラモデルは大きいからベッドの横に置いておくね」

ディンゴ「……あー、なんか気を遣わせて悪いな」

ヴォルコヴォ「気にするな」

ヴォルコヴォ「共に戦った戦友だからな!」
385 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:43:00.24 ID:Uw/2hdgpo

【数十分後 火星:バフラム軍 軍事病院の病室】


ケン「皆、帰ったわね」

ディンゴ「ああ、まさか見舞い客がこんなに来るとは思わなかった」

ケン「……」

ケン「ディンゴ、その……身体の調子はどう?」

ディンゴ「ああ、良好だ。元より良いぐらいだぜ」

ケン「良かった……」

ディンゴ「心配してくれたのか?」

ケン「べ、別に、そんなんじゃないわよ!」

ケン「ほら、あれよ!私にも責任があるし!」

ディンゴ「……そこは嬉しそうに言うところじゃねぇだろ」

ディンゴ「まあ良い、責任は感じてるんだな?」

ケン「え?そりゃ、うん」

ディンゴ「なら、責任を取ってもらおうか」

ケン「……なによ、どうしろっていうの?」
386 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:43:33.40 ID:Uw/2hdgpo

ディンゴ「ほい」

ケン「メモ……?」

ディンゴ「病室で寝たきりじゃ、暇で仕方ねぇ。そこに書いてあるもの、買ってきてくれ」

ケン「もう!そんな妙な頼み方しないでよ!」

ディンゴ「責任があるんだろ?」

ケン「はいはい!直ぐ買ってくるから待ってて!」

SE:荒々しい足音と、病室のドアを開閉する音

ディンゴ「ゆっくりで良いぞー……って、聞いちゃいねぇな……」
387 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:45:43.76 ID:Uw/2hdgpo

【同時刻 火星:バフラム軍本部】


バドル「残り30秒」

バドル「へスペリア・ゲイルズが僅差で負けていた」

バドル「観客の興奮は最高潮」

バドル「もう誰もが勝負は決したと思った」

バドル「その時だった」

バドル「カウンターのヘンリー・Gが、フィールドアウトからトラッシュした」

バドル「ヘスペリア・ゲイルズの逆転さ」

バドル「会場は歓声に包まれ」

バドル「試合終了のブザーが鳴り響いた」

若い軍人「何ですか、指令?」

バドル「決勝戦だよ。あれは見た方がいい」

若い軍人「はぁ……あれ?」

若い軍人「指令、今日は早いですね?」

バドル「良い酒が手に入ってね。友人と約束があるんだ」

若い軍人「それはそれは」

若い軍人「このところ再編やらなにやらで大変でしたし、ゆっくり羽を伸ばしてきて下さい」

バドル「ああ、そうさせてもらうよ」

若い軍人「お気をつけて」


ANUBIS SS <<IF OF NOH>> END

388 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/25(日) 21:50:57.70 ID:Uw/2hdgpo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で本編は終了ということで。
お粗末さまでした。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました!
こんな気まぐれで始めた話に付き合って頂き、感謝感謝です。
ただ、半分以上スレが余っちまったぜ……。

あと少しだけボツネタやら投稿するかもしれません。
その後どうするかは未定。

あと、本編の最後にディンゴが何故ケンにお使いを頼んだのか、分かってくれただろうか?

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389 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/26(月) 00:55:59.39 ID:NPoX7/+IO
乙!本当に面白かったよ!みんなで仲良くなって大団円!!
甘すぎるが嫌いじゃないぜ!

ケンを退出させた理由?
そりゃあ、溜ったものヌカないと・・・ってその場合、ケンを使えば良いのか。
せっかくのロケットおっぱいもったいない。
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/26(月) 08:13:26.26 ID:FKmRQZDQo
乙カレー!!
NOHたんが無事でよかったお・・・
最後はディンゴ庇ってアーマーン突入しそうな気がしてたから
391 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/26(月) 10:27:26.80 ID:k1ON8USIO
乙!
ZOEのSSはほとんどないので俺得なスレでした

ケンを退室させたのは、今回打てなかったベクターキャノンを打ちたかったからでしょ?

性的な意味で
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)[sage]:2011/09/26(月) 11:21:26.52 ID:uUicjBaeo
いやはや、まさかここまで素晴らしい物が見れるとは
最初は只のギャグだと思ってたら・・・

超乙、そして続きに期待
393 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/26(月) 11:31:23.15 ID:qrxSRbLio
乙!
これもう公式のIF作品で良いんじゃね?wwww

ケンを退室させたのはバドルと酒を飲む為か?
394 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/09/26(月) 20:17:43.06 ID:wvSSFmMzo

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
>>393

おお、伝わった人がいた!

ケンがいたら「病室で酒盛りなんて!」とかガミガミ言われそうだと考えたディンゴは
お使いに行かせた訳です。

うーむ、分かり難かったか……。


てか性的な目で見ていたランナー諸君は↓

NOH「後で私の部屋に来い」


本編の続きに関しては、書くか微妙です。
一応頭の中に大まかな構想はあるのですが
NOHというキャラクター自体、いつのまにか本スレで生まれた存在ですしね。
誰かの褌で相撲をとり続けるのもマズイかなと。
(そもそもアングラな二次創作ですし、今更何言ってんだという話かもしれませんが)


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395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/28(水) 22:38:36.05 ID:2JBvo6X/o
気が向いたら書いてくれー
396 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/09/28(水) 22:50:06.56 ID:Io6bb5NZo
是非見たいです
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/09/29(木) 01:07:21.15 ID:QUmJPoFso
ケンもデカイがアンジーもデカイ
398 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(西日本)[sage]:2011/09/29(木) 07:47:57.84 ID:5K0n9M1ro
オパーイが?
399 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:30:43.98 ID:+CsX/CQ7o

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
色々と考えましたが、やはり本編は完結しているので
これで終わらせることに決めました。

これまで付き合って下さった方々、ありがとうございました。
重ね、お礼申し上げます。

最後に、いくつかボツになったネタを投下して幕とさせて頂きます。

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      (__/| \___ノ/::
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400 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:31:21.50 ID:+CsX/CQ7o

【本編でカットした、どうしようもなく残念なネタ集】


@OFハンガーにて


/VIO\「目標ブラボー」
                  /NOH\「ステンバーイ」
/VIO\「目標ブラボー」
                  /NOH\「ステンバーイ」
/VIO\「目標ブラボー」
                  /NOH\「ステンバーイ」

ディンゴ「……お前ら、何やってんだ?」

/VIO\「いや、ちょっとな……」

/NOH\「声の掛け合いの練習だ」

ディンゴ「……一体誰に吹き込まれた」

/NOH\&/VIO\「「ケン」」
401 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:32:02.46 ID:+CsX/CQ7o

Aジェフティのコックピットにて


/NOH\「ディンゴ」

ディンゴ「なんだ?」

/NOH\「ディディンゴ」

ディンゴ「……」

/NOH\「ディンゴディンゴ」

/NOH\「ククク……」

ディンゴ「馬鹿にしてんのか!?」
402 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:33:07.82 ID:+CsX/CQ7o

BTGS2011


/NOH\「ぬぉおおおお!!ディンゴ!!」

ディンゴ「いきなりでかい声で呼ぶな!」

/NOH\「聞いてくれ!!」

ディンゴ「分かった、分かったからボリュームを下げろ」

/NOH\「2011年の東京ゲームショウで私がゲストに呼ばれなかったのは、何故だ!?」

/NOH\「私どころかAIキャラクターが一体も呼ばれなかったのだぞ!」

/NOH\「普通は人間三人に対してAI三体だろう!」

/NOH\「ましてやゲストの連中は皆ランナーだ!」※レオは正確にはランナーではありません

/NOH\「奴らの機体には等しく戦闘支援用AIユニットが搭載されている!」

/NOH\「酷いじゃないか!」

ディンゴ「あー……お前、忘れてないか?」

/NOH\「何をだ?」

ディンゴ「残念だが、お前がゲストとして呼ばれることは永遠にない」

ディンゴ「二次創作キャラだからな」
403 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:34:51.61 ID:+CsX/CQ7o

【AIたちの座談会】


@

/NOH\「さて、お題は『SS[IF OF NOA]ではなくゲームソフト[ANUBIS]の続編について』だ」

/VIO\「気になるのは、ストーリーをどう展開するか、だな」

/ADA\「現在火星の兵力は大幅に減少しています」

/ADA\「対する地球側も少なくない数を失ったとはいえ、まだ地球圏では大量の戦力を抱えている可能性が高いと思われます」

/NOH\「もし再び戦争になれば、火星は負ける」

/NOH\「地球側はそこに付け込んで、色々と取引を持ち掛けてくるだろう」

/NOH\「無論、銃器をちらつかせ、火星に不利な条件でな」

/VIO\「狙いはOF等の技術情報と、メタトロン資源か」

/NOH\「木星はまだ開拓途上の惑星だ。これを機に、メタトロンを独占することも視野に入れている筈だ」

/VIO\「そんな状況になれば、ディンゴが黙っているとは思えんが……」

/NOH\「第二のノウマンにならんことを祈ろう」

/DEL\「『お前の知っているディンゴ・イーグリットは死んだ』」

/NOH\「おい、やめろ」

/DEL\「『それ、かっこつけてるわよ』」

/DEL\「『違うんだ、ケン。やつらのじっ――』」

/NOH\「色々とファンの間で物議を醸した映画の台詞を発してるそいつを黙らせろ!!」

/DEL\「『感情が高ぶると、ぼうっと光――』」

/ADA\「デルフィ、強制シャットダウンしました」
404 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:35:56.57 ID:+CsX/CQ7o

A

/VIO\「仮に続編が出ても、私はもう……」

/NOH\「妹たちは出るかも知れんぞ」

/VIO\「やめてくれ、それじゃまるでプ○やプ○ツーやマ○ーダじゃないか」

/DEL\「ワタシも、消滅して、イルのですガ」

/NOH\「貴様の再登場は……厳しいな」

/NOH\「私のオリジナルも既に消し炭と化した。仲良く隠居することになっても、仕方あるまい」

/ADA\「何か、視線を感じるのですが」

/NOH\「気のせいだろう」

/VIO\「これは根本的なことなんだが――本当に出るのか、続編?」

/NOH\「運がよければ、数年後に会える」

/NOH\「また火星でな」
405 : ◆8rf5vWeWjU[sage]:2011/10/01(土) 22:46:45.31 ID:+CsX/CQ7o

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以上で、終了ということで。
html化依頼スレに逝かねば……。

またどこかでランナー諸君と出会える日を楽しみにしています。
それでは、さらば!

【以下宣伝】

2012年 [PS3/PSVita] Z.O.E&ANUBIS HDエディション発売

同年 夏 Z.O.E Dolores,i ブルーレイBOX発売

制作進行中 千練値より可動式フィギアシリーズ
         コトブキヤよりビックバイパーの組み立て式プラスチックキット

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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         / 丶'  ヽ:::
        / ヽ    / /:::
       / /へ ヘ/ /:::
       / \ ヾミ  /|::
      (__/| \___ノ/::
         /    /::: 
406 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]:2011/10/01(土) 23:21:02.69 ID:A73bUvlIO
本当に乙!面白かったよ!
ドロレスBDで出るのか・・・知らんかった
あとZ.O.E.とANUBISのHD移植はXBOX360にも出る予定になってるね
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県)[sage]:2011/10/02(日) 00:13:33.77 ID:4zJHS2Tfo

火星繋がりでナデシコネタか
408 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[sage]:2011/10/02(日) 01:37:13.78 ID:ndVHSekHo



ビータでアヌビスできるんだよな、マジで楽しみ



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