マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 19:23:45.10 ID:cOEQcqmm0<>
西暦2009年2月。
地球人類と異星巨人種族「ゼントラーディ」とのファースト・コンタクトを機に、第一次星間大戦が勃発。
1年余りに渡る戦いは、地球を死の星へと変貌させ、そこに住まう生命の大半を死滅に追いやった。
アイドル歌手、リン・ミンメイの貢献により決戦に勝利した人類は、文化に共鳴する一部のゼントラーディ人と共に、荒廃した地球環境の再生を目指した。
また、星間戦争の再発に備え、全宇宙への種の保存・拡散を目的とした「銀河播種計画」を立案。
巨大な居住艦を中核とした、大規模移民船団が次々と結成され、人の住むことのできる惑星を探して銀河の方々へと旅立っていった。

西暦2069年。
旗艦、サクラガオカ1を中核とした、第27次新マクロス級超長距離移民船団マクロス・サクラガオカは、移住可能な星を求め、銀河の中心を目指し、航行を続けていた。
 船団内の居住スペースには、かつての地球と同じ環境が整えられ、1500万人余りの住民が生活を送っていた。

今、そのマクロス・サクラガオカ船団のメイン居住艦、サクラガオカ1の中で、1年に1度行われる、インディーズバンドの集まる、ライブイベントが行われようとしていた。
それは銀河ネットワークへも配信され、プロへの登竜門とされているイベントであった。
<>唯「マクロスS」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<><>2011/06/08(水) 19:53:20.88 ID:+90CL/AAO<> wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 19:54:56.55 ID:cOEQcqmm0<>
   第1話 遭遇!
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 19:58:19.95 ID:cOEQcqmm0<>
―――

春菜「私は今、インディーズ界で注目の女子高生バンド、放課後ティータイムの楽屋の前に来ております。
ライブが30分後に迫っておりますが、彼女達はどうしているのでしょう。
早速楽屋に潜入してみたいと思います」


女性レポーター、岡田春菜がドアを開け、楽屋に入ると、賑やかな声に出迎えられた。


唯「あ〜んりっちゃん、ずーるーいぃ!
イチゴショートは私が狙ってたのにぃ」

律「いつも言ってるだろ?
早い者勝ちだって」

紬「まぁまぁ唯ちゃん、チーズケーキもおいしいわよ」

春菜「えぇ、これはいったいどういうことでしょうか?
まもなくライブだというのに、放課後ティータイムの皆さんは、お茶を楽しんでいるようです。
とりあえず、インタビューしてみましょう。
あのう、リーダーの律さん」


春菜が、黄色いカチューシャをつけた茶髪の少女、リーダーでドラム担当の田井中律に話しかけると、少女は振り返り、こちらも楽しくなるような笑顔で応える。


律「はい?」
あぁ、レポーターの人ですね。
聞いてますよ。ようこそ」

春菜「あ、ありがとうございます。
それより、これはどういうことなんでしょうか?」

律「へ?」

春菜「もうすぐライブだと言うのに、こんなことしててよろしいんですか?」

律「あぁ、これ?
リラックスだよ、リラックス」

春菜「リラックス……ですか」


春菜が怪訝な顔で問い返すと、ヘアピンで前髪を留めた茶髪の少女、ギター担当の平沢唯が、人懐っこい笑みを浮かべ答える。


唯「そうそう、いい演奏するためにはリラックスしておかないとね」

春菜「はぁ、なるほど」

唯「リラックスにはムギちゃんのお茶とお菓子が一番なんだぁ」

春菜「そうなんですか」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 19:59:11.50 ID:cOEQcqmm0<>
春菜「なんか、バンド名そのまんまって感じですよね」

律「うちらいっつも放課後にお茶しててさ。
バンド名、そっからつけたんだ」

春菜「ははは、安直ですね」

律「悪かったな」

春菜「いえ、すみません」


冗談っぽく律に睨まれ、春菜は恐縮した。


春菜「ところで、放課後ティータイムといえば、楽曲のすばらしさだけでなく、
可変戦闘機アマデウスでのアクロバットをしながらのアンコールが有名ですよね」

律「うちらの売りだからね」

春菜「でも、最新戦闘機である、VF-33アマデウスを3台も、どうやって手に入れられたのですか?」

律「それはさぁ」


言いよどむ律に変わって、それまで黙っていた、特徴的な眉の少女、キーボード担当、琴吹紬が答える。


紬「それは、私達の企画に賛同してくれたスポンサーからの提供です」

春菜「すごいですね!
そのスポンサーってどこなんでしょうか?」

紬「それは秘密です」

春菜「お聞かせいただく分けにはいきませんか?」

紬「それも契約のひとつですので」


つむぎはあくまで柔和な笑顔で、物腰も柔らかだったが、春菜は、それ以上聞くことができなかった。


春菜「そうですか、残念です」

スタッフ「放課後ティータイムの皆さん、そろそろ準備お願いします」

律「よっしゃー、それじゃあいくか」
唯紬「おー!」

春菜「貴重なリラックスの時間をどうもすみませんでした」

律「いいっていいって」

春菜「それでは最後に、中継を見ているファンの皆さんへ一言」
律「みんな楽しんでねぇ!「

唯「がんばるね!」

紬「応援よろしくおねがいしまぁっす!」

春菜「ありがとうございます。
ではライブ、楽しみにしてますね」

律唯紬「がんばりま〜す」

春菜「以上、放課後ティータイムの楽屋から岡田がお伝えしました」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:01:27.59 ID:cOEQcqmm0<>
―――


春菜『以上、放課後ティータイムの楽屋から岡田がお伝えしました』

琴吹「始まるようだな」


サクラガオカ1内にある、琴吹・フィナンシャル・ホールディングスの本社ビルの1室で、テレビを見ていた琴吹会長は、秘書、斉藤に語りかける。


斉藤「お嬢様の晴れ姿、楽しみでございますね」

「ああ。
だが、まさか紬まで参加するとは思わなかった」

斉藤「ですが、お嬢様は、バンドに入られてから活き活きなさっております」

琴吹「ああ、紬が毎日楽しそうにしていて、私もうれしいよ。
まあ、この音楽は私には分からないが」

斉藤「私はなかなかすばらしいと思いますが」

琴吹「うぅむ、やはり歌がない音楽は、何か物足りなくてな」


琴吹会長は、テレビに映し出される愛娘に目を細めつつも、苦笑いを浮かべた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 20:04:23.59 ID:vdf4bzpDO<> マクロス一切解らなくても楽しめますかね? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:04:31.89 ID:cOEQcqmm0<>
―――

さわ子「ど〜ぞ〜」


美しい長い黒髪の少女が、山中少佐の執務室のドアをノックすると、中から間延びした女性の声が返ってきた。
少女は相変わらずだなと懐かしさに笑みをこぼすが、すぐに表情を引き締め、部屋に入っていった。


澪「本日ひとふたまるまるを持ちまして、山中少佐の部隊に配属になりました、秋山澪中尉であります」

さわ子「ご苦労様。
でも澪ちゃんも相変わらずね〜。
真面目と言うか、硬いと言うか」


自分の前できちんと敬礼をし、挨拶をする少女、秋山澪に、山中さわ子少佐は、懐かしげな眼差しを向ける。


澪「少佐こそ相変わらずで、嬉しく思います」

さわ子「も〜、二人っきりなんだから、そんな呼び方よしてよ。
昔みたいにさわ子先生でいいってぇ」

澪「そう言うわけには」

さわ子「じゃぁ、上官命令!
これからは作戦行動以外ではさわ子先生と呼ぶこと。
なんならさわちゃんでもいいわよ」

澪「ほんと、士官学校の教官されてたころとまったく変わりませんね」


そこで、やっと少女は、年齢相応の笑みをこぼした。

山中さわ子少佐は、秋山澪中尉が、士官学校に通っていたころの教官であった。
ざっくばらんな性格ゆえ、軍や士官学校上層部の覚えは悪かったが、面倒見のよさと、卓越した技術で生徒の人気は高かった。
マクシミリアン・ジーナスの再来と噂される秋山澪中尉ではあるが、山中さわこ少佐が教官でなければ、秋山澪中尉の才能も開花しなかったかも知れない。


澪「でもどうして、さわ子先生は士官学校やめられたんですか?」

さわ子「やっぱり、空飛んでないと感覚忘れちゃうからね。
大事な時に役に立てなきゃ困るでしょ」

澪「確かにそうですね。
軍人たるもの、市民を守れなければ意味ありませんから」

さわ子「そうね。でもね澪ちゃん」


そこでさわ子は初めて表情を引き締めた。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:05:17.39 ID:cOEQcqmm0<>

さわ子「いくら市民のためと言っても、自分を犠牲にしてはだめよ」

澪「は、はい」

さわ子「だってぇ、恋人も出来ず死んじゃったら死んでも死にきれないもんねぇ」


さわ子はあっと意馬に荘厳を崩し、くねくねと体をくねらせた。


澪「うふふ、まったく、さわ子先生はぁ」


つられて澪も笑顔を見せたその時だった。


アカネ「未確認艦隊接近中、ベア、レオ、タイガー、各隊、出撃準備。」


スピーカーを通し、部屋に館内管制士官、佐藤アカネの声が響いた。


さわ子「いきなり来るなんてね〜。
澪ちゃんって、敵女?」

澪「なんですかそれ?
雨女とかじゃないんですから」

さわ子「あはは」

澪「冗談言ってる場合じゃありません」

さわ子「まぁそうね」


二人は表情を引き締めると、艦載機格納庫へ向かって駆けだした。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:11:23.17 ID:cOEQcqmm0<>
―――

数分前、バトル・サクラガオカブリッジ


艦長「どうしたのかね」

パーマのかかった、白髪頭の初老の男性が入ってくるなり、眼鏡をかけた、理知的な少女に尋ねる。


和「2時の方角、距離3000にデフォールド反応。
どうやら、かなりの規模の船団のようです」

艦長「数は?」


真鍋和からの報告を受けると、今度はレーダー担当オペレーター、高橋風子に視線を向ける。


風子「具体的な数はわかりませんが、大小合わせ、1000程度。
その内、大型艦1、中型間18、小型艦50が接近中。
40分程度で接触します」

艦長「和君、戦闘準備だ。
偵察のため、キャッツアイXIIを発信。
艦載機も発信準備。
念のため、シェルダウンの準備、その旨、大統領にも連絡してくれ」

和「イエッサー」


その言葉と同時に、ブリッジクルーがいっせいに動き出す。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:12:27.76 ID:cOEQcqmm0<> >>7
なるべくマクロス未見の人にもわかるようにと思って書いてますが、どうでしょうか? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:15:40.53 ID:cOEQcqmm0<>
―――

ジャカジャカジャンジャン、ジャカジャンジャカジャン
ジャカジャカジャンジャン、ジャジャ、ジャジャ、ジャーン

「「「うぉーーー!!!」」」

「唯ちゃぁん!」


サクラガオカ1内のライブ会場。
ステージには、それぞれ赤、黄、ピンクに塗装された、3体のバトロイドが置かれ、その前で、3人の少女が演奏を行っていた。


唯「みんなぁー!ありがとうーーー!!!
それでは、次が最後の曲です!!!」

「「「えー!!!」」」

唯「ありがとー!
今日は本当に楽しかっ」


その時だった。
艦内にけたたましいサイレンの音が響いた。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:16:21.80 ID:cOEQcqmm0<>
―――
バトル・サクラガオカブリッジ


風子「艦長!
未確認艦隊より艦載機軍が発信!
キャッツアイXIIが攻撃を受け、全滅の模様」

艦長「やはり、友好的な相手ではないか。
優君、艦載機をすぐに発信させてくれ。
ベア、レオ、タイガー、各中隊もだ」」

優「スカル、パープル、イエロー大隊、発信!
アルファ352の敵の迎撃に向かってください」

「「「了解」」」


航空管制士官、真鍋優少尉の声に、次々とバルキリーが発艦していく。


優「ベア、レオ、タイガー、各中隊、発信してください」

さわ子「こちらベアリーダー、優ちゃん、敵のデータは?」

優「それが、偵察機が全滅してしまい、詳細不明なんです」


優は、さわ子の問いに、困惑した表情で答える。


さわ子「オッケー!じゃぁちゃちゃっと片付けてくるわ」


困惑している年少のオペレーターを安心させるように微笑むと、山中さわ子少佐は、表情を引き締めた。


さわ子「ベア中隊、発信!!」

澪「ベア8、秋山澪中尉、発艦準備完了」

優「澪さん、お久しぶりです」

澪「あぁ、優ちゃん、久しぶり」


こわばった表情の澪に、優が声をかけると、澪は少し口元を緩めた。
澪と、優の姉の和とは、パイロット科と、管制科と科が違ったものの、寮が同室だったこともあり、親友と呼べる間柄であった。
そして、和の妹である優も、姉の伝で澪と知り合い、士官学校時代は、3人でよく連れ立って遊んでいたものだった。


優「はい、気をつけてくださいね」

澪「うん、優ちゃんも管制、よろしく」

優「はい」

澪「じゃぁ、いってくる」


その言葉と同時に、青く塗装された、澪のVF-33アマデウスが、バトル・サクラガオカから飛び立った。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:17:57.97 ID:cOEQcqmm0<>
―――

サクラガオカ1、ライブ会場


しずか「ただ今、軍は未確認勢力と交戦中。
市民の皆さんは速やかに避難してください」


警報のサイレンとともに、館内放送が流れる。


律「デカルチャー!?(そんなばかな)」

唯「りっちゃん、それもう古いよ、おそまつだよ、おばさんみたいだよ」

律「うっせー」


パニック寸前の会場にありながら、少女たちはのんきな言葉を交わす。


紬「とりあえず、軍が戦闘状態に入ったのは間違いないみたいね」

唯「ってことは」

律「あぁ、私たちの出番ってこった」


少女たちは、顔を見合わせ、ニヒヒといたずらを思いついた子供のような笑みを交わすと、それぞれのバトロイドに駆け寄り、颯爽と乗り込む。


唯「みんなぁ!いってくるねぇ」


唯が叫ぶと、3体のバトロイドは、それぞれファイターへと形を変え、
その行為に唖然とするファン達を残して、空へと飛び立った。

<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:19:46.64 ID:cOEQcqmm0<> ―――

さわ子「ベアリーダーよりベア8、澪ちゃん」

澪「は、はい」


さわ子は、今日配属になったばかりの教え子に声をかける。


さわ子「緊張してる?」

澪「い、いえ、そんなことは」

さわ子「無理しなくていいわ。
まともな戦闘は初めてなんだから、緊張して当たり前よ」

澪「はい」

さわ子「まぁ貴方に限ったことではないけどね」


さわ子の言うとおり、澪をはじめとする若いパイロットは、今まで敵と接触する機会がなかったため、治安維持活動程度の経験しかなかったのだ。


さわ子「なぁんて言っててもしょうがないからね。
ベアリーダーより各期!
あわてず騒がず落ち着いてね!
帰ったらおいしいお茶とお菓子が待ってるわ!」

「「「了解!」」」


さわ子の声に、ベア中隊の少女達は、明るい返事を返した。


姫子「澪、久しぶり」


まもなく、敵機と接触しようかという時、
士官学校時代の同期である、立花姫子が、澪に話しかけてきた。


澪「姫子、余裕だな」

姫子「そんなことないわよ」


姫子は、澪の言葉にしれっと応えると続けた。


姫子「ねぇ、賭けしない?
1期でも落としたのが少ない方が、多い方にイチゴパフェおごるってことで」

澪「なに言ってるんだ。
命が掛かってる戦いで、不謹慎だぞ」


澪が、学生時代のシミュレーションと同じのりの姫子をたしなめると、姫子は悪びれることもなく微笑み、続けた。


姫子「命かけてるんだもん。
それぐらいなきゃやってられないわよ」


そう言うと、じゃぁ決まりねと一方的に宣言をし、通信を終えてしまった。


澪「姫子も相変わらずだ」


毒気を抜かれた澪は、あきれた様に微笑んだ。


澪「よし、いくぞ!」


士官学校時代の教官や同期、後輩達との懐かしいやり取りで、すっかり緊張がほぐれた澪は、気合を入れなおし、敵機へと向かっていった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 20:20:52.03 ID:gwgiQ/2DO<> わかる人もいるから説明は聴けばわかるさ

>>1は7がわかる人か
ReFIREは知ってるかい? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:21:00.03 ID:cOEQcqmm0<>
―――

フェレン「スミルス・ポードリー記録参謀、それで、敵の正体は分かったか?」


敵旗艦のブリッジ内で、10mを越えようかと言う大男が、彼よりは幾分小柄な男に問いかける。


スミルス「どうやら、彼奴らはマイクローンの模様です、フェレン・ダーオ閣下」


スミルス・ポードリーと呼ばれた男は、問いかけてきた男に、恭しく返答する。


フェレン「ううん、そうか」

スミルス「我々の古い言い伝えの中に、マイクローンとはかかわるなと言う物がありますが」

フェレン「ううむ……」

スミルス「なにか気になることでも?」

フェレン「うむ、彼奴らの兵器の中に、どことなく見覚えがあるものが見受けられるのが気になってな」

スミルス「それは私も気になっておりました。
彼奴らの兵器の中に、確かにゼントラーディの面影があるものがちらほらと」

フェレン「と言う事は、彼奴らはマイクローン化したゼントラーディと言うことか?」

スミルス「さぁ、そこまでは。
かなり形状の異なるものも含まれて降りますし、だいたいマイクローン化するメリットも思い当たりませんので」

フェレン「ううむ……では様子を見るしかあるまい」

スミルス「そうですな、そうするしかないでしょうな」

フェレン「ゼントラーディであれば、捨て置くわけにはいかんからな」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:23:06.58 ID:cOEQcqmm0<>
―――

さわ子「なによ、この速さ」


さわ子は少々あせりを覚えていた。
未知の敵と遭遇したまでは良かったが、敵の機動力が思ったより高かったのだ。


さわ子「澪ちゃん!?」


視界の端に、青く塗られた澪の機体と、それを追尾する敵機が入る。


さわ子「澪ちゃん!」


さわ子が、今にも撃墜されそうな澪を見て、叫んだ時だった。
澪はバルキリーの脚部だけを展開させ、急上昇すると、敵機をやり過ごし、背後から急降下しながら銃撃。
敵機を撃墜した。


さわ子「驚かせるんじゃないわよ」


さわ子は安心したように表情を緩めたが、またすぐに表情を引き締めた。


さわ子「澪ちゃんであれなら、ほかの子は心配だわ。
あんな方法、ほかの子には無理だもの。
あんな発想できないだろうし、出来たとしてもGに耐えられないわ」


さわ子はそう判断すると、回線を開いた。


さわ子「ベアリーダーより各期!
ベア2から4、5から7は、3期一組になりなさい!
3期一組で1期を追い詰めて、確実に1期ずつつぶしてくのよ!」


「「「了解」」」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:27:59.10 ID:cOEQcqmm0<> >>16
7は知ってます。と言うか、7のオマージュ盛りだくさんですww
ReFIREは知りませんでした。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 20:29:20.01 ID:BYORZh5SO<> ランカやシェリルは知ってるけど、これは別物なんですか? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:30:36.45 ID:cOEQcqmm0<>
―――

優「艦長!」


バトル・サクラガオカのブリッジ内に、優の悲痛な叫びがこだまする。


優「スカル、イエロー大隊、通信途絶、全滅の模様!
パープル大隊もすでに損耗が半数を超えています!」

艦長「なんだと!?」

優「レオ、タイガー中隊もそれぞれ2期損耗!」

艦長「精鋭部隊のレオとタイガーまでがか!
なんと言うことだ、まだ先端が開かれて1時間もたっていないというのに」

優「ベア中隊は、まだ被害はないようです」

艦長「…………」

優「艦長、どうなさいますか?
ゴーストを発信させますか?」

艦長「テストも終わっていない物を出すわけにはいかんだろう……」


無人戦闘機であるゴーストは、パイロットの負担を考慮する必要はないため、機動力が高い上、損耗しても人的被害がないことで、有効な兵器ではあったが、
導入から半世紀以上たった今でも、AIや通信での制御に未だ不安定要素があった。
それを克服したとされる、次世代ゴーストが導入されたのだが、まだロールアウトされたばかりで、テストもされていない現状だった。


優「ではどうなさいますか?」

艦長「……さわ子君を信じるしかあるまい」


そう言う、艦長の顔には苦渋の表情がにじみ出ていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海・関東)<>sage<>2011/06/08(水) 20:32:02.40 ID:7WYpcbSAO<> むしろFは古参からしたら邪道に映るな。
やっぱりバサラが好き。 <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:32:39.75 ID:cOEQcqmm0<> >>20
ランカやシェリルの出来事から10年後、別の船にけいおんキャラが乗っていたら?と言う感じで書いてます。 <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:34:50.26 ID:cOEQcqmm0<>
―――

敵旗艦ブリッジ


フェレン「敵もたいしたことはないようだな。
ソブギンだけで壊滅させられそうだ」

スミルス「確かに。ですが侮らない方がよろしいかと。
相手はマイクローンですから」

フェレン「先ほど言っていた、言い伝えというやつか」

スミルス「はい、やはり気になりますので。
ソブギンにも深追いさせない方がよろしいのではないかと」

フェレン「放っておけ。
ソブギンが全滅させられればそれもよし、出来なければまたその時に、その後のことを考えればいいだろう」

スミルス「それもそうですな」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:35:57.88 ID:cOEQcqmm0<> ―――

澪「くっ!」


澪の機体のすぐ横で、二つの敵機が炎を上げ、四散する。
澪は、2期の敵機に、挟み撃ちされそうになりながらも、巧みな機体コントロールで、同士討ちをさせることに成功した。


澪「これで5期……いったい何期落とせばいいんだ」


澪が、苦しそうに呟いた時だった。


律「みんなぁ!いっくぜー!!!
1、2、3、4」


軍の回線に、場違いな叫び声が飛び込んできた。
その叫び声に続けて、歪んだギターのリフが流れ出す。


―――

バトル・サクラガオカブリッジ内


優「艦長!所属不明機3期、戦闘宙域に侵入しました!
軍の通信回線に割り込み、音楽を流しています!」

艦長「なに?」

優「所属不明機、機体番号を明らかにしてください」

唯「私たち、放課後ティータイムだよぉ」

紬「唯ちゃん、それじゃあ分からないわ。
UNT-1127、DKO-0821、TKW-0702です」

風子「確認取れました。
放課後ティータイムと言う、女子高生バンドの3人の機体です」

艦長「……放課後ティータイム……か」

エリ「放課後ティータイム?」

アカネ「インディーズバンドの?
なんのつもりなんだろう?」

和「さぁね、ミンメイやバサラでも気取ろうってことかしら」

風子「まさか」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:37:04.08 ID:cOEQcqmm0<>
―――

敵旗艦ブリッジ


フェレン「なんだ、この音波は」

スミルス「さあ私にも分かりかねます」

フェレン「記録参謀のスミルスでも分からないとは」

スミルス「ただ、兵器の類ではないようです」

フェレン「では何のために行っているのだ?」

スミルス「おそらく通信手段の一つではないかと」

フェレン「通信手段?」

スミルス「まだ良くは分かりませんが、暗号通信のようなものかも知れません」

フェレン「なるほど」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 20:37:44.02 ID:gwgiQ/2DO<> 良いね良いね熱いねぇ

バサラと軽音のクロスは初めてかな? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:38:24.04 ID:cOEQcqmm0<>
―――

澪「お前達!何をしている!
ここは戦闘宙域だ!下がりなさい!!!」


澪は、乱入してきた3体のバルキリーに向かって叫ぶ。


律「そう言うわけにはいかないんだよな」

澪「なに!?お前達の行為は軍務の妨げになっている!
お前達のせいで、無辜の市民に被害が出たらどうするつもりだ!!!」

唯「大丈夫だよぉ、私達がこんなこと終わらせちゃうもん」

澪「な!」

律「私達の音楽で、戦争なんてくだらない事終わらせてやる」

澪「そんな夢物語を!」


澪が、激昂し、叫びかけた時だった。


さわ子「澪ちゃん、落ち着きなさい!
今は敵に集中して」


さわ子の檄が飛ぶ。


澪「はい……」


澪が、しぶしぶ返事をした時、姫この切羽詰った声が、通信機から響いた。


姫子「ベア5より、ベアリーダー!」

さわ子「どうしたの?」

姫子「ベア7、未知子が被弾。修理のため、帰艦を許可願います」

さわ子「了解、許可するわ」

未知子「私は大丈夫です」

さわ子「豆ちゃん、無理してはだめよ!
ベア5、6も護衛のため一緒に帰艦して」

「「了解」」

未知子「それでは戦力が」

さわ子「そう思うなら、応急処置してさっさと帰ってらっしゃい」

未知子「了解しました」

さわ子の言葉に、未知子は瞳を潤ませて応えた。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:39:56.74 ID:cOEQcqmm0<>
―――
バトル・サクラガオカブリッジ


優「艦長、どうなさいますか?
放課後ティータイムの乱入によって、ベア中隊にも混乱が広がっているようですが」

艦長「ううむ……」

和「まさか、艦長もミンメイやバサラの奇跡を期待しているんじゃ」

風子「そんな!このままではベア中隊まで全滅しかねません!」

エリ「艦長!」

アカネ「艦長!」


ブリッジクルーの緊迫した声を受け、艦長は口を開いた。


艦長「優君、放課後ティータイムには100下がるように伝えてくれ」

風子「艦長!なぜ撤退させないのですか!?」

エリ「そうです、命令に従わない場合は、撃墜も辞さないと言えば彼女達だって」

艦長「優君!」

優「放課後ティータイムのみなさん、現在地より100下がってください」


艦長の翻意はナイト知ると、優は通信を行った。

<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:41:20.29 ID:cOEQcqmm0<>
―――

唯「え〜」

律「折角乗ってきたのによぉ」

紬「ここは軍の支持に従いましょう」

律「そうだな、スピーカーポッドで音楽は届くんだし。
よぉし、100後退するぞ」

唯紬「「おー」」

澪「なぜ、なぜ後退だけなんだ!
艦長は何を考えているんだ!」

さわ子「澪ちゃん!」


さわ子は、澪の軍上層部への批判をたしなめる。


澪「す、すみません」

姫子「ベア5より、ベアリーダー。
新手5期に遭遇!
レオ中退を突破してきた敵と思われます!
救援、願います」

さわ子「次から次へと……
問題山積ね」


さわ子は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
姫子達は、手負いの未知子を含めた3期。
数の上だけでも分が悪いと言うのに、レオ中退を全滅に追い込んだ敵が相手だ。
その上、こちらも敵はまだ多く、余裕などはない。
それに後方とは言え、守るべき民間人が、戦闘宙域にいるのだ。
さわ子の判断がひとつでも間違えば、いや、間違わなくとも全滅の危機に瀕していると言っても良かった。


さわ子「こちらベアリーダー。
姫子ちゃん、澪ちゃんが救援に行くわ。
それまで持ちこたえなさい」

姫子「了解」

さわ子「聞いたわね、お願い澪ちゃん」

澪「はい」


澪は、返事と共に急旋回し、姫子達の救援に向かった。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(中国地方)<>sage<>2011/06/08(水) 20:43:49.09 ID:OXSGdi+20<> てっきりマクロスFかと思ったらマクロス7のほうかwwww
支援 <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:44:11.65 ID:cOEQcqmm0<> ―――

姫子「とはいったものの……
持ちこたえるのも一苦労ね」


未知子をかばいながらの戦いだからと言うのももちろんだが、1期、明らかに動きの異なる機体があった。


姫子「指揮官クラスってとこかしら。
それならこいつを倒せば活路が開けそうね」


とは言うものの、対峙している姫子には自分と敵機との実力差が、手に取るように分かった。


姫子「これは、澪でも無理かもね。
やれるとしたらさわちゃんぐらいかしら」


食いしばった歯の間から、悔しそうに呟く。


姫子「いちご、未知子つれて先に行って」

いちご「やだ」

姫子「やだじゃない!澪と私なら何とかできる!」

いちご「なら彼女が来るまで」

姫子「澪が来るぐらいまでなら何とか持ちこたえてみせるわ。
だから早く!」

いちご「……分かった」


いちごは、姫子の意思が変わらないことを悟り、指示に従い、未知子を連れて撤退した。
姫子は僚機が去ったのを確認すると、敵機へと集中した。
相手との実力差は認めざるを得ないが、それでもあきらめるわけにはいかない。
姫子はGの限界に挑戦するかのように、機体を振り、相手を揺さぶろうとする。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:44:51.72 ID:cOEQcqmm0<>

ソブギン「ふっ、この俺様に1期で向かってくるとは。なめられたもんだぜ」


だが、敵の指揮官、ソブギン・ビルオーは、不適な笑みを浮かべ、姫子を追い詰めていく。


ソブギン」そこだ」

姫子「しまった!」


ソブギンは、姫子のわずかな隙をつき、マニピュレーターで梗塞すると、ビームを放った。


姫子「な、何これ……力が抜・け・て……」

澪「姫子、いったん下がって」


ようやく到着した澪が叫ぶが、姫この反応はない。
姫この機体は、大きな損傷はなさそうだったが、宇宙空間をぷかぷかと漂っているだけだった。


澪「姫子!どうしたんだ姫子!」


澪の必死の叫びもむなしく、姫子からの応答は、とうとう来なかった。


ソブギン「ふははは、今度はこいつか」


ソブギンは、高笑いを挙げながら今度は澪に向かって突っ込んできた。


澪「お前かぁ!姫子をやったのはぁーーーー!!!」


澪は、般若のような形相を浮かべると、向かってくる敵機へと突っ込んでいった。
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:45:57.23 ID:cOEQcqmm0<>
―――

敵旗艦ブリッジ


スミルス「な、なんと!あのソブギンが押されているとは」

フェレン「彼奴ら、今まで手加減をしていたとでも言うのか?」

スミルス「まさか、何のために」

フェレン「ううむ、これがマイクローンの力とでも言うのか?」

スミルス「やはりマイクローンに関わるべきではないのです」

フェレン「だが、ゼントラーディとの関係も探らねばならん」

スミルス「確かに……そうではありますが……」

フェレン「ううむ……以後は慎重に事を運ぶとしよう。
とりあえず、ソブギンに撤退するように伝えてくれ」

スミルス「はっ」
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:47:06.77 ID:cOEQcqmm0<>
―――


ソブギン「なに、撤退だと?
待ってろ!こんなやつらなど俺様が全滅させてやる!」

サ・ジョーン「フェレン閣下のご命令です」

ソブギン「ちっ、あの糞おやじめ!」


冷ややかに返す、敵通信兵、サ・ジョーンに、そう、忌々しそうにはき捨てると、ソブギンは部下を連れて撤退を開始した。

澪「逃がさない!」

さわ子「澪ちゃん!深追いしちゃだめ!」


澪が撤退するソブギンたちを追おうとした時、さわ子がそれを制止した。
澪が視線を送ると、さわ子を含む残りのベア中隊が、合流するため、こちらに向かって来ていた。


さわ子「澪ちゃん、悔しいのは分かるけど、今は負傷者を回収するのが先よ」

澪「……はい」


優しく諭す、さわ子の言葉を受け、光るものが一筋、澪の頬に伝った。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/08(水) 20:48:05.22 ID:3aZQGv7AO<> はぐれ相手に随分と苦戦してるな
この時代のバルキリーはコスト気にしてVF-25以下の性能なのか?

あとマクロス知らない人の為にバルキリーの形態の違いとか大まかな概要書いた方がいいかも <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:49:11.03 ID:cOEQcqmm0<>
―――

バトル・サクラガオカブリッジ


風子「敵、撤退していきます!」

艦長「わがほうの被害は?」

優「スカル、パープル、イエロー大隊および、レオ中隊全滅。
タイガー中隊、帰艦1期、ベア中隊は、損耗1期です」

艦長「そうか……今回はなんとか持ちこたえた……と言うことか……」


地球を発して初めての異星人との戦闘で、あわや全滅と言えるほどの退廃を喫したバトル・サクラガオカのブリッジ内には、思い空気が充満していた。

―――
律「ちぇぇ、誰も私らの音楽聞かないんだもんな」


戦闘宙域からの帰途、律が詰まらなさそうに呟く。


唯「まあ初めてだしねぇ。
バサラも最初はうまくいかなかったって言うしぃ、これからだよ、りっちゃん」

紬「そうよ、唯ちゃんの言うとおりよ」

律「ま、そうだよなぁ、最初からうまくいくわけないか」

唯「そうだよぉ」

律「よっしゃぁ!
それじゃぁ気を取り直して、いっちょやるかぁ!
1、2、3、4!」


漆黒の宇宙空間に、3人の少女の奏でる音楽が響いた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 20:54:14.75 ID:vdf4bzpDO<> ガルウォーク?だっけ?

なんか変形するってのは解るよ!

支援 <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 20:55:18.11 ID:cOEQcqmm0<> 第一話終わりです。
>>31
7の影響が強いですが、いろいろ取り込みつつ、オリジナル展開を考えてます。
>>36
いや、敵が強いと言うことでww
そうですね。ある程度の用語は説明しておいたほうがいいかもですね。
とりあえず。

バルキリー:可変戦闘機の総称。
リアルな戦闘機状態から、ロボットタイプ、戦闘機に手足の生えたような形態のガウォーク形態に変形する。


ほかにも説明したほうがいいものがあったらお教えください。 <> マクロスS、次回予告<>sage<>2011/06/08(水) 20:57:11.40 ID:cOEQcqmm0<>
唯「りっちゃんりっちゃん、マクロスだよぉ!バルキリーだよぉ!なんだかかっこいいよぉ」

律「はぁいはいはい、それより次回予告だろ?」

唯「あぁ、忘れてたぁ!」

律「おい!」

唯「次回は、皆さんお待ちかねの、あの子が登場ですっ!」フンス

律「うぉ〜!
それってやっぱりまだ出てないあいつだよな!?
私たちの大事なk」

唯「そう、大事なクラスメイトの信代ちゃんです!」フンスフンス

律「なんでだよっ!」

唯「マクロスS第2話、再会」

律「よろしくな」

唯「私の歌をきけ!」

律「歌ってないだろ!」

唯「うっ」
<> おまけコーナー、マクロス後ティータイム<>sage<>2011/06/08(水) 21:00:40.99 ID:cOEQcqmm0<>
唯律「「ブーブーブーブーブー!!」」

澪「どうしたんだよ、二人とも」

律「なんかぁ!秋山さんだけぇ!かっこよすぎじゃありませんかぁ!」

唯「そうだそうだぁ!」

澪「仕方ないだろ……戦闘中心だったんだから……」

律「私らなんか、姫子より目立ってないじゃないかぁ!」

唯「もっと目立ちたぁい!」

澪「そんなこといったら和なんかはもっと……」

唯「え?和ちゃん出てたっけ?」
澪「おい!」

律「まぁそれはいいとして」

澪「いいんだ」

律「さわちゃんがかっこよすぎだよな!」

唯「あんなのさわちゃんのキャラじゃないよ」

さわ子「ちょっとぉ!あんたたちねぇ!」

律「うわっ、いつからいたんだよ」

さわ子「最初からいたわよ」

さわ子「いいじゃない、いつも貴方たちの引き立て役や汚れ役なんだから」

さわ子「たまには花を持たせなさいよ」

さわ子「それにそのうちどんどん貴方たちに食われてくんだろうし」

律(目立ってた割にはやさぐれてる)

唯「て言うかムギちゃん」

紬「え?」

唯「さっきからぼうっとしてるけどどうしたの?」

紬「あのね……マクロスって言えば三角関係でしょ?」

唯律「「うぉー!!!」」

澪「確かに」

紬「だからね、誰と誰と誰の三角関係になるの化気になっちゃってぇ……」

澪「わ、私は関係ないぞっ!」

律「そうかぁ?澪あたり、渦中の人物に一番なりそうだけどなぁ」

唯「私とりっちゃんで澪ちゃんを取り合うとか?」

澪「そんな、唯と律が私を取り合うなんて」///

紬「うふふ」

さわ子「まぁそのうち分かるでしょ?」

律「自分に関係ないと思ってさわちゃんはぁ」

唯「って言うか、さわちゃんはこの作品でも恋人できないのかな?」

さわ子「うわぁーん!」

さわ子「目立たなくていいから恋人欲しい!!!」

澪律「「おいおい」」

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/08(水) 21:00:49.63 ID:3aZQGv7AO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 21:03:50.77 ID:vdf4bzpDO<> 百合が入るのか… ちょっと残念だ


がんばれ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 21:07:19.99 ID:gwgiQ/2DO<> 過激に乙華麗!

説明は初代からの流れがいるかもしれんが俺しようか? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 21:12:53.09 ID:cOEQcqmm0<> 読んでくださったみなさん、ありがとうございます。

>>43
申し訳ないです。
マクロスといえば、音楽、可変戦闘機の戦闘、三角関係が三種の仁義なので、。
>>44
お手数でなければ、読んで、説明が必要だと思ったところ、お願いできますか?
列挙いただけるだけでも結構です。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 21:19:20.44 ID:gwgiQ/2DO<> >>45了解した
歴史書いてやろうと思ったけど長いから単語まとめてくるわ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 21:45:06.90 ID:gwgiQ/2DO<> 〜単語集@〜

マクロス…初代は墜落した異星人の戦艦を修復したもの。代名詞でもあり初代以降は移民船団の名を指す

バルキリー…マクロスのオーバーテクノロジーから作られた可変戦闘機。三型態に変形しあらゆる用途に使われる。ストーリーのキーのうちの1つ

ファイター…バルキリーの戦闘機型態

ガウォーク…バルキリーの型態。枝にとまっている鳥のような感じ

バトロイド…バルキリーの人型型態

歌…ストーリーのキーのうちの1つ。ZEROでは鳥の人、初代ではゼントラーディ、プラスでは人類、7ではプロトデビルン、Fではバジュラと関わりを持つ。各作品において扱いが違うが重要

三角関係…必ずストーリーに関わる恋愛要素。説明はあえてしない

プロトカルチャー…古代文明でありゼントラーディや人類を作った。プロトデビルンに滅ぼされた

ゼントラーディ…巨人の戦闘種族。プロトカルチャーに作られ文化を持たなかったが初代において人類と接触しある”少女“の歌により会得。ちなみに人類サイズ(マイクローン)になった場合は人類と次世代を残すことができる。ちなみに女性のゼントランをメルトランディーとも呼ぶ

プロトデビルン…プロトカルチャーを滅ぼした異空間精神体。7にて人類の生命力(スピリチア)を奪っていたがある“熱い男”によってスピリチアを自己生産出来るように進化させられた

バジュラ…超時空生命体。Fがわかる人が多いようなので質問があればその都度 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 22:19:17.98 ID:gwgiQ/2DO<> 時系列
ZERO→初代→プラス→7→ダイナマイト7→F

ifルート初代→U


〜単語集A〜

サラ・ノーム…マヤン島の巫女。鳥の人と言うプロトカルチャーの遺産を先祖代々守っていた。ちなみに妹が某銀河の妖精のお祖母さんにあたる

リン・ミンメイ…初代マクロスのアイドル。彼女の歌はゼントラーディとの和解の架け橋になった。ちなみに普通の歌が上手い女の子であった

シャロン…機械の歌姫であり、プラスではゴーストと言われる無人戦闘機や安置されていたマクロスを操るなどをした。歌声に催眠効果があった

熱気バサラ…唯一の男性歌手。歌に関しては熱い熱い熱い熱い!戦場に歌を歌うため乗り込んだり、ミサイルを使わないなど奇行をしているように見えるが彼の歌にはソウルがある。プロトデビルンを進化させたのはこの男。ちなみに7とダイナマイト7で活躍しているが操縦技術が異常であり、歌いながらギター型操縦捍を引きながらは当たり前。歌いながらアコースティックギターを引きながら操縦捍にギターをぶつけて操縦するという荒業をやってのける

ミレーヌ・フレア・ジーナス…全作中最強の天才マクシミリアン・ジーナスとゼントラのミリア・ファリーナとの間のハーフ。バサラと共にプロトデビルンに歌を聴かせた。操縦技術は親譲り

シェリル・ノーム…要望があれば
ランカ・リー…要望があれば
マクシミリアン・ジーナス…最強の天才であるそれ以下でもそれ以上でもない。マクロス7船団の艦長

イサム・ダイソン…空バカ。前述のシャロンが操ったマクロスを一人で破壊。操縦技術は異常であり、バルキリーの飛行機雲で龍鳥と言う生物の絵を描いたり、YF-24試作機一機であり得ないテスト結果を残した。ちなみに最高級の勲章を三度取って三度とも剥奪された問題児である


>>1ガルドとフォッカー隊長はいるかい? <> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 22:42:47.61 ID:cOEQcqmm0<> >>48
ありがとうございます。
助かりました。
フォッカーは例の勲章を出す予定でいますが、やっぱり説明はあった方がいいですかね?
<> マクロスS<>sage<>2011/06/08(水) 22:46:19.50 ID:cOEQcqmm0<> あ、そう言えばマクロス知っている人への補足です。
本作登場のバルキリーはあえて見た目の説明をしないので、好きな物を妄想してください。
ただ、澪機はマックス機のような塗装。唯、律、紬も同じパターンでそれぞれのパーソナルカラーとなっています。
ちなみにさわちゃんは黒です。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/08(水) 23:04:43.93 ID:gwgiQ/2DO<> 〜単語集B〜

一条輝…初代主人公。ミンメイと未沙と恋仲になり……。ちなみにフォッカーに鍛えられているため操縦技術は堅実なものだった

ロイ・フォッカー…輝の兄貴分。相当な腕を持ちZEROでも活躍。しかし部下であったマクシミリアンの援護をしようとして被弾、帰投後にオペレーターで恋人のクローディアの手料理パインサラダを待っている最中に死亡(アニメ版)。スカル小隊の隊長、マクロスのバルキリー隊隊長として活躍した功績は後にロイ・フォッカー勲章として制定される(イサムはこれを授与された)

柿崎速雄…輝の部下。マクロスのバリアシステム暴走の際に戦死(アニメ版)

早瀬未沙…マクロスのオペレーター。輝と恋仲になり…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/09(木) 00:52:11.16 ID:a4aXuqsRo<> おお、これは続きが楽しみな。
Sはサクラガオカと読めばいいのか。
百合三角関係になると聞いてwktk。

ところで憂は? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/09(木) 01:14:23.84 ID:fUrrwfKXo<> 澪が一人ハブなのは理由があるのかな

あと、1期2期→1機2機じゃね?
優ってのは憂のことじゃないよな……? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/06/09(木) 10:30:43.77 ID:H2yPZ7XAO<> 実はマクロスセレブラントで唯たちは量子コンピュータの世界で…… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/09(木) 10:56:36.08 ID:Hi+YT+gDO<> >>54ゼーガペ〇ンか

確かに人類を生き残らせるためってことではセレブラントとマクロス移民船団の目的は同じだな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/09(木) 13:47:05.22 ID:Hi+YT+gDO<> 読み直して足りない単語追加
〜単語集C〜

フォールド…ワープすること。実際にはスタート地点とゴールの間を切り取り、直接スタートとゴールを繋ぐイメージ

デフォールド…フォールド空間から出てくるor出ること

ガンポッド…バルキリーの機銃。機体によってマシンガンやビーム等が撃てる

スピーカーポッド…小さいスピーカーを相手に撃ち込むガンポッド。強制的に歌を聴かせるためマクロス7ではこれがバサラの歌と操縦技術と共に大活躍した <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/09(木) 21:59:22.55 ID:a4aXuqsRo<> まあ元が真面目キャラだし、軍人にしやすそうなキャラではあるかな。 >澪
そう考えると、2話で出るらしい梓も……?
あと、唯・紬・律の3人だと作詞担当がいないから歌なしバンドなのか。

そういや、けいおん!は原作しか読んでないんだけど、
今回出てきた日本人名の女子軍人って、けいおんアニメ版オリキャラが元ネタなのかな?
「和の妹である優」の存在が謎だけど。

>54-55
忘れるな我が痛み、か。懐かしい。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/17(金) 12:07:22.65 ID:lANRSsOm0<> レオ・フェンダー
ポール・リード・スミス
ギブソン・オービル
ジョン・サー
か。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/06/28(火) 17:21:28.50 ID:OTMV8xca0<> まだ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/03(日) 18:02:38.74 ID:ATNf8cOe0<> マクロスクロスか。
これは続きが楽しみだ。
>>59
IDにOTMとはマクロスらしいIDだ <> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:27:46.67 ID:W5HBytWl0<>
西暦2069年4月。
移住可能な星を求め、銀河の中心を目指し、航行を続けていた、新マクロス級27番艦、まくろす・サクラガオカを中心とした、
第27新マクロス級超長距離移民船団、マクロス・サクラガオカは、未知の異星人と接触、交戦状態へと突入した。
未知の異性人の戦闘力は高く、新統合軍の艦載機群は、全滅直前まで追い込まれた。

またその際、注目の女子高生インディーズバンド、放課後ティータイムが戦闘宙域に乱入し、歌で敵を追い払ったという、伝説のロックバンド、FIRE BOMBERさながらの演奏を行ったのだった。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:28:29.42 ID:W5HBytWl0<>

   第二話 再会!


<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:31:17.45 ID:W5HBytWl0<>
―――

紬「りっちゃん、唯ちゃんおはよう」


紬は、合鍵で律と唯が住むアパートのドアを開け、挨拶をするが、部屋の中からは何の返事もない。
紬は、やっぱり二人はまだ寝ているのだと思い、二人の寝室へと向かった。


紬「ほら、りっちゃん、起きてぇ、唯ちゃんも」


ベッドが二つ置かれただけの、簡素な寝室に入ってみると、思ったとおり、二人はまだ、夢の世界を楽しんでいる最中だった。


律「うぅ、後5分」

紬「だめよ」

唯「今日は日曜日だもん、まだいいよぉ」

紬「だめだって、バイトに遅れちゃう」

律「まだ10時だろ?大丈夫だって」

紬「今日からバイト先、変わったでしょ」

律「あっ、しまった!」


律は紬の言葉で、ベッドから跳ね起きる。


律「おい、唯も起きろ!!」

唯「ほえぇ、りっちゃんとムギちゃんでいってきてぇ」

律「こら」

唯「あいったぁ」


唯は律に小突かれ、頭をさすりながら、やっとベッドから這い出してきた。


唯「りっちゃん酷いよぉ」

律「唯が起きて来ないからだろ〜」


涙目の唯に、律は笑って返す。


紬「それより二人とも、急いで顔洗ってきて」

唯「えぇ、朝ごはんはぁ?」

律「さすがに間に合わないだろ?」

唯「ぶー」

紬「唯ちゃん、今日は我慢して」

律「新しいとこで、いきなり遅刻って言うわけにもいかないからな」

唯「しょうがないかぁ」


律と紬の言葉に、唯はしぶしぶ動き出した。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:32:19.04 ID:W5HBytWl0<>
―――

澪「姫子……」


澪が軍病院の一室に入ると、そこには先の戦闘で負傷した、姫子が横たわっていた。


澪「どうしたんだよ、姫子……
賭けは私の勝ちだぞ……
イチゴパフェおごってくれるんだろ……」


澪は、姫子のベッドに近づきながら、静かに語りかける。
姫子は、バイタルチェックのための医療機器に繋がれてはいるものの、大きな外傷はないようだった。


澪「なぁ、パフェなんていいからさ……
起きてくれよ……
姫子……」


姫子の手を取り、語りかける澪の瞳に移る姫この姿が、涙で滲んだ。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:33:11.65 ID:W5HBytWl0<>
―――

艦長「意識が戻らない?」


軍医からの報告を受けた艦長は、驚愕の表情を浮かべ、問い返す。


軍医「はい、敵の攻撃を受けたパイロットのほとんどは、目立つ外傷はないものの、昏睡状態に陥り、目覚める様子はありません」

艦長「まさか、その症状は」

軍医「はい、24年前、マクロス7が遭遇した、プロトデビルンとの戦い似寄る負傷者の症状と酷似しております」

和「まさか!
プロトデビルンは、熱気バサラの活躍によって追い払われたはずじゃ」

艦長「ううむ、現段階で結論を出すには性急過ぎるだろう。
エリ君、マクロス7に連絡を取ってくれ。
エキセドル参謀と話がしたい」

エリ「イエッサー」

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:34:31.30 ID:W5HBytWl0<>
―――

唯「ムギちゃん、ありがとう」

律「ほんと悪いな」


紬が運転する車の後部座席で、二人がパンをかじりながらお礼を言う。


紬「いいのよ、私はきちんと食べてきたから。
それにしても、買い置きのパンがあってよかったね」

唯「ほんとよかったよぉ」


紬は、バックミラー越しにパンを頬張る二人を見、いつものポワポワした微笑を浮かべ、続ける。


紬「でも、これからバイト先、遠くなったんだから、もうちょっと早く起きてね」

唯律「「は〜い」」


つむぎの言葉に、唯と律は声をそろえ、無邪気に応えた。

唯と律は身寄りがなく、廃墟寸前のボロアパートに二人で暮らしていたが、生活費や学費を稼ぐため、週に何回かアルバイトをしていた。
人気バンドのギターとドラムとはいえ、まだ、インディーズで名前が売れ始めたというだけで、生活費をまかなえるほどの収入などはなかったからだ。
紬は、経済的に余裕はあったが、友人とバイトをすることに意義を見出し、二人と共にバイトをしていた。
3人は、今までも、娘々(ニャンニャン)と言う、中華料理チェーン店で働いていたのだが、
今日オープンする、バトル・サクラガオカにほど近い、トヨサト支店に3人そろって移動となったのだった。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:40:21.00 ID:W5HBytWl0<>
―――

エリ「艦長、エキセドル参謀に繋がりました」


エリの報告と共に、バトル・サクラガオカブリッジのスクリーンに、マクロス7の参謀、エキセドル・ホルモの顔が映し出される。


エキセドル『これはこれは、沖山艦長、お久しぶりですな。
ご壮健そうでなにより」

艦長「エキセドル参謀こそ、お元気そうで何よりです」

エキセドル「いやいや、私は、すっかり耄碌してしまっておりますわい」

艦長「何をおっしゃいます」

エキセドル「……ところで、わざわざ私にお話とは、どのようなご用件ですかな?」


エキセドルは、社交辞令を打ち切ると、表情を引き締め、本題を促した。


艦長「それが……」


艦長は、昨日、未知の異星人と戦闘状態に陥ったこと、
その敵により負傷したものが、24年前、マクロス7が遭遇した、プロトデビルンとの戦闘での負傷者の症状と告示していることを話した。


エキセドル『まさか!
プロトデビルンは宇宙のかなたに去ったはず」

艦長「艦載機から撮影した映像もご覧ください」

エキセドル『お!,なんと!……
まさか!そんなはずは!』


映像を見た、エキセドルの顔に驚愕の色が浮かぶ。


艦長「エキセドル参謀」

エキセドル『……これは失礼。
……だが、まさかこのようなことが……』

艦長「エキセドル参謀、彼らはいったい何者なのですか?」


要領を得ないエキセドルに、艦長は少しいら立たしげに問い返す。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:41:07.95 ID:W5HBytWl0<>
エキセドル『彼らは……監察軍です』

艦長「監察軍!?
ゼントラーディが50万年間戦い続けているという、あの監察軍ですか!?」

エキセドル『さよう。だが、この辺りは、ゼントラーディの勢力下。
監察軍の船がいるとは思えん』

艦長「と言うことは?」

エキセドル『……うぅむ、断言は出来んが、はぐれ監察軍ではないですかな?』

艦長「はぐれ監察軍?」

エキセドル『ゼントラーディ軍に殲滅された、艦隊の生き残りと言うことですな。
ただ、こうやって1000席程度で、ゼントラーディの勢力下で生き延びているところを見ると……』

艦長「かなりの実力を持っているということですな」

エキセドル『まぁ、まだほかにいないとは限りませんが』

艦長「確かに」

エキセドル『それと、負傷者の症状から考えると、スピリチア吸収装置を持ってると考えるのが妥当でしょうな』

艦長「ですが、監察軍がなぜその様なものを」

エキセドル『それを説明するには、我々の歴史から話さねばなりませんな』


エキセドルは、そう言うと、プロトカルチャーから始まる歴史を、とつとつと語り始めた。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:42:09.92 ID:W5HBytWl0<>
―――


50万年以上前、この宇宙には、プロトカルチャーと呼ばれる、超文明を持った人間サイズの種族がいた。
彼らは、勢力を拡大するにあたり、代理兵士として、巨人種族、ゼントラーディを生み出した。
彼ら、プロトカルチャーは、宇宙全体へとその生活圏を広げ、巨大な星間国家を樹立した。
だが、その平和も長くは続かず、やがて、その統一国家は、二つの勢力に分かれ、争うようになった。
プロトカルチャーは、その戦闘のさ中、更なる強力な生物兵器として、エビルシリーズを作り出した。
だが、稼動実験中のエビルシリーズに、別宇宙から来た、意思を持つエネルギー体が宿り、プロトデビルンとなってしまった。
プロトデビルンは、彼らの食料とも言うべき、精神エネルギー、スピリチアを求め、プロトカルチャーを襲撃し始めた。
その際、プロトデビルンは、プロトカルチャーとゼントラーディの一部を洗脳し、尖兵とした。
それが監察軍である。
その後、プロトデビルンは、アニマスピリチアと呼ばれる、特別なスピリチアを持つプロトカルチャーによって、バロータ星系、第4惑星に封印されたが、
わずかに生き残ったプロトカルチャーも、その後の永木に渡る戦闘の末、自ら生み出した巨人兵達に滅ぼされた。
主を失ったゼントラーディ軍と監察軍は、本能の赴くまま、その後も戦い続け、現在も宇宙のどこかで戦い続けている。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:43:24.42 ID:W5HBytWl0<>
―――

エキセドル『監察軍の一部は、プロトデビルンのため、スピリチュアを集めていたようですな』

艦長「なるほど、昨日遭遇したのはそのような部隊と?」

エキセドル『でも、本来の目的とは違い、兵器として利用してるのでしょうな。
なんせ彼らにはスピリチアは必要ない』

艦長「なるほど、参考になりました」

エキセドル『うぅむ、これはあくまで憶測でしかありませんがな』

艦長「いえ、ありがとうございます」

エキセドル『私で役に立つことがあれば、またいつでもお尋ねください』

和「艦長、今のお話」


エキセドル参謀の姿がスクリーンから消えると、それまで黙っていた和が、艦長に問いかける。


艦長「うぅむ、鵜呑みにするわけにはいかないが、現状では最も可能性の高い仮説ではあるな」

和「そうですね」

艦長「エキセドル参謀の話を踏まえ、少し検討してみなくてはな」
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:47:36.21 ID:W5HBytWl0<>
―――

澪「私は何をしているんだろう……」


澪は、重い足を引きずるように、一人、軍病院からの帰途にいた。


澪「みんなを守りたくて、軍に入ったはずなのに、仲間一人守れないなんて……」


澪は、右手で服の胸元を強く握りしめ呟いた。


和「あれ?澪じゃない?」


聞き覚えのある声に振り返ると、そこには和と優がいた。


澪「あぁ、和に優ちゃん。
二人そろって、こんなところでどうしたんだ?」

和「二人ともこれから非番なの」

優「それで、久しぶりに二人で食事でもしようって思って」

澪「そうか、相変わらず中がいいな」

澪は、楽しそうな二人の笑顔に、暖かいものを感じ、小さく微笑んだ。


優「ところで澪さんは、こんなところでどうしたんですか?
そろそろフォッカー勲章の授賞式の時間じゃ?」

澪「あぁ……」

和「行きたくないって顔ね」

優「どうして」

澪「私に受け取る刺客なんてないよ……」

優「澪さん……」


瞳を伏せる澪に、優が心配そうな眼差しを向ける。


和「気持ちは分かるけど、これも仕事の内よ」

澪「……あぁ分かってる。
市民の目を惨敗から逸らすために、英雄が必要なんだよな……それが虚像だったとしても……」

優「澪さん、そんな……」


自分を卑下するような澪の発言に、異論を唱えようとした優だったが、言葉が続かず、口ごもってしまった。
澪の武勲は、確かにフォッカー勲章に十分見合うものではあったが、軍上層部の思惑には、澪の言った理由が多分に含まれていることを、優も理解していたため、とっさに言葉が見つからなかったのだった。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:48:17.80 ID:W5HBytWl0<>
和「そうよ。だからプロパガンダとして、せいぜい笑顔でも振りまいてらっしゃい」

優「お姉ちゃん!」


辛辣な言葉を投げかける和を、優がたしなめる。


澪「いいんだ優ちゃん」

優「澪さん……」


澪は優の肩に優しく手を置くと、笑顔を見せ、続けた。


澪「はっきりいわれてなんか吹っ切れたよ」

優「澪さん」

澪「二人ともありがとう。
とりあえず行ってくるよ」


澪は、少し軽くなった足を、受賞式会場の法へ向け、歩き始めた。


澪(ありがとう、和、優ちゃん。
落ち込んでいる場合じゃないよな)


澪は、二人の優しさに触れ、思う。


澪(私には、和や優ちゃんをはじめ、守らなきゃいけない人がたくさんいる。
そして、このサクラガオカに暮らす人たちが、この子と同じ目にあわないようにするために……
私と同じ思いをさせないために……)


澪は、再び、右手で服の胸元をぎゅっと握る。

澪(そうだよな、尚子)

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:52:25.21 ID:W5HBytWl0<>
―――

紬「やっと落ち着いたわね」


正午を1時間ほど過ぎ、まばらになった娘々の店内で、紬がほっとしたように呟く。


唯「オープン初日ってすごいねぇ」

紬「キャンペーンもやってるしね」


ホールで二人がそんな会話をしていると、ドアが開き、二人の少女が入店してきた。


唯「いらっしゃいませぇ。
なんになさいますか?」


唯は、いつものように元気良く、オーダーを取りに行く。


優「えっと、私はこのラーメンとチャーハンのセットにしようかな?
あっ、このセットって大森も出来ます?」


少女がふっと顔を上げ、笑顔で唯に尋ねた、その時だった。


唯「…………」


唯は、なぜか切ない様な、苦しいような感情を覚え、息を呑み、少女の笑顔を見つめた。


優「あの……」


しばしの間、ただ少女の顔を見つめていた唯だったが、少女の訝しげな問いかけに、我を取り戻した。


唯「は、はい……」

優「これって、大森」

唯「あっ、はい、出来ますよ」


唯は、慌てて答えながら、考えていた。


唯(今の葉なんだったんだろう?
私、どうかしちゃったのかな?)


だが、その思考も、少女たちの楽しげな会話により中断させられた。


和「優、貴方そんなに食べられるの?」

優「大丈夫だよ、これから大変なんだから、しっかり食べて体力つけておかないと」

和「それはそうだけど」

優「で、お姉ちゃんは、何にするの?」


少女のその言葉を聞くと、唯の体がビクっと跳ねた。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:53:29.88 ID:W5HBytWl0<>
和「そうねぇ、じゃぁ、銀河チャーシューメンと天然チキンのから揚げで」

優「から揚げもおいしそうだよね」

和「大丈夫よ、分けてあげるから。

優「やったぁ」

和「その代わり、チャーハン、分けてもらうわよ」

優「うん♪」


二人の仲むつまじい会話を聞くうち、唯の屈託のない笑顔が、見る見るうちに曇っていく。


唯「え、えっと……オーダー繰り返します。
ラーメンとチャーハンのセット大盛り、銀河チャーシューメン、天然チキンのから揚げ、それぞれ一つずつでよろしかったですか?」


唯は、なんとかそこまで言い切ると、返事を聞くか聞かないかのうちに、逃げるようにその場を後にした。


唯「りっちゃん、ラーメンチャーハン大、銀河チャーシューメンとから揚げね」

律「お、おう」


律は、いつもと違い、元気のない唯に戸惑いながら返事をする。


唯「ねぇ、ムギちゃん、6番テーブルお願いしていいかな?」


紬は唯に言われ、6番テーブルに視線を送ると、二人の少女が談笑しているのが目に入った。


紬「うん、分かった」


それだけで、唯の元気がない理由を理解した紬は、やさしく微笑み、うなづいた。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:54:52.69 ID:W5HBytWl0<>
―――

ソブギン「畜生!なんで出ちゃいけねえんだ!」


敵艦の中で、ソブギンは苛立ち壁にこぶしを叩きつける。


ソブギン「あいつらなど一ひねりだと言うのによ!
フェレンのおやじ、なに考えてやがるんだ!」

ジマック「さあ?スミルスのやろうの入れ知恵らしいですが」


副審の、ジマック・ミューンが、興味なさげに返答すると、ソブギンはさらに声を荒げた。


ソブギン「あの野郎!
かまわねえ!俺達だけでいくぞ!」

ジマック「いいんですかい?」

ソブギン「ああ、いいに決まってるだろ!
このまま手をこまねいていたとありゃ、ソブギン一家の名折れだ!
野郎ども!出撃だ!!」


艦内にソブギンの咆哮が響いた。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 21:59:15.05 ID:W5HBytWl0<>
―――

さわ子「ど〜ぞ〜」


どことなくやつれた澪が、さわ子の執務室をノックすると、いつものように脱力仕切った返事が返ってきた。


澪「秋山澪中尉、入ります」

さわ子「はいはぁい」


暢気なさわ子の返事に、小さくため息をつくと、澪はさわ子の執務室へと入っていった。


澪「お呼びですか?」

さわ子「授賞式お疲れ様。
そしてフォッカー勲章おめでとう」

澪「……ありがとうございます」

さわ子「あら?パイロットとして最高の栄誉なのに、あんまり嬉しそうじゃないわね」

澪「えぇ、まぁ……」


さわ子は、げっそりとした澪の様子を見て、呆れたようにため息を吐く。


さわ子「そうとう取材構成がきつかったみたいねぇ」

澪「はぁ……まぁ……」

さわ子「まぁ、気持ちは分かるけど、これからはそんなことでめげてちゃぁだめよ、秋山澪大尉」

澪「はい……え?」


澪はさわ子の言葉に違和感を覚え、問い返す。


澪「昇進……ですか?」

さわ子「フォッカー勲章を受け取るような武勲をあげたんだもの、当然でしょ」

澪「はぁ……」

さわ子「そして、貴方に小隊を任せるわ」

澪「え!?私にですか!?
なぜ?」

さわ子「今度のことで人的被害が多くてね。
新たに部隊編成をやり直すことになったのよ」

澪「ですが、私は隊長の器ではありません。
実戦経験もまだ1回しかありませんし」

さわ子「なぁに?澪ちゃんは私の人選に文句でもあるわけ?」

澪「いえ、そう言うわけでは」


笑顔で凄むさわこの様子に、澪は思わず、後ずさりする。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:00:29.48 ID:W5HBytWl0<>
さわ子「まぁ、冗談は置いておいて、早急にレオ、タイガー中隊の穴を埋めなければならないのは分かるでしょ?」

澪「はい」

さわ子「それで、各バルキリー隊から、優秀な人材を集め、再編成することになったわけだけど、
実際、今回の敵との戦闘経験者は、私のベア中隊とタイガー中隊の生還者一人だけなの」

澪「えぇ、そうですね」

さわ子「そこで、私の隊から三花ちゃんと、澪ちゃん、貴方を小隊長とすることになったのよ」

澪「…………」

さわ子「元々貴方たちには将来的に隊を任せようとは思っていたの。
まぁ、私としても、二人にはもう少し経験を積んでから、と思ってはいたんだけど、そんなことを言ってられる状況じゃなくってね。
だから中隊ではなく、とりあえず小隊から任せることになったんだけど」

澪「……はい、分かりました。
小隊長、勤めさせていただきます」


澪は、おかれた状況と、さわ子の思いを聞き、覚悟を決め、辞令を受け取った。


さわ子「それでね、せめてもと思って、澪ちゃんのために優秀な人材を選んであげたから」

澪「ありがとうございます」

さわ子「入ってきて」


さわ子の言葉に、奥の扉が開き、二人の少女が入室して来ると、澪の表情が輝いた。


信代「このたび、秋山大尉の部下となりました、中島信代中尉であります」


二人のうち、大柄な少女が、いたずらっぽい笑みを浮かべ、敬礼をする。


澪「信代、タイガー中隊の生還者って、信代だったのか」


思わぬ所での、士官学校の同期との再開に、澪の顔がほころぶ。


信代「あぁ、これからは澪の下でがんばらせてもらうよ……
じゃなかった!澪隊長の下でがんばらせていただきます」

澪「ふふ」


コミカルな動きと共に、あわてて言い直す信代に、澪は思わず噴出した。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:01:45.47 ID:W5HBytWl0<>
梓「同じく、秋山大尉の部隊に配属となりました、中野梓少尉です。
澪せ、いえ、秋山隊長のお力になれるよう、微力ながら勤めさせていただきます」


今度は、小柄なツインテールの少女が、一歩前に出ると、生真面目そうに敬礼をする。


澪「梓……」

梓「お久しぶりです、澪先輩」

澪「と言っても一昨日まで同じ部隊だったじゃないか」


澪は、小柄な少女に、こぼれんばかりの笑顔で返す。
中野梓少尉は、澪の士官学校の後輩であっただけでなく、澪がベア中隊に配属になる、一昨日まで、同じバーミリオン大隊に所属していた。


澪「梓が一緒なら心強いよ」

梓「そんな」


他意のない澪の言葉に、梓は頬を赤らめ、俯いた。


さわ子「どう澪ちゃん。
これだけ優秀な二人ならいいでしょ?」

澪「はい!」

さわ子「でもね、澪ちゃん、これだけは覚えておきなさい」


見知った顔に喜び、いつになく浮き足立っている澪に対し、鋭い目つきになったさわ子が続ける。


さわ子「澪ちゃん、これからは、貴方がこの二人の命を預かるの。
貴方の判断一つで、子の子達が命を落とす琴だってあるわ。
それだけは、肝に銘じておきなさい」

澪「はい」


さわ子の真摯な訓示を受け、澪は決意のこもった瞳で復唱した。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:04:45.32 ID:W5HBytWl0<>
―――

律「よーし、飯出来た像」


午前の部を終えた、娘々の店内に、律の元気な声が響く。


律「今日のまかないは、りっちゃん特性天津飯とチャーシューメンだぞぉ」

紬「うわぁ、豪勢ね。
りっちゃん、こんなのいいの?
店長さんにばれたら」

律「大丈夫大丈夫、ばれないって!」


律は、歓声を上げる紬に笑顔で応えると、唯を手招きする。


律「ほーら唯、座って食べようぜい」

唯「うん……」

律「見てみろよ。いつもより卵もふっわふわだぞ」

唯(りっちゃん……ありがとね。
そうだね、落ち込んで経って始まんないからね。
うん、元気出さなくっちゃ)


昼以来、ずっとふさぎ気味だった唯だったが、自分の大好物ばかりを用意し、明るく振舞ってくれる律の心遣いに胸を打たれた。


唯「ふふふ、ほんとにふわふわだね」


唯は、律の気持ちに応えようと、笑顔を作る。


律「んじゃぁ、食おうぜい。
いっただっきまぁっす」

唯「隙あり!チャーシューも〜らいっ」

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:06:40.43 ID:W5HBytWl0<>
唯は、無理やりにでも元気になろうと、わざと明るい声を出し、天津飯に手を伸ばした律のラーメンどんぶりから、チャーシューをごそっとつまみ上げた。


律「おいこら!」

唯「ふっふっふ、油断してるりっちゃん隊長の方が悪いのです」

律「なぁにをぉ!
かぁえぇせぇ!」

唯「ふふぅん、もう私のものだも〜ん」


唯は律のチャーシューを自分のどんぶりに入れると、覆いかぶさるように抱きかかえた。


唯(そうだよね、私は一人ぼっちじゃないんだもんね。
りっちゃんもムギちゃんもいるんだから)

律「お前なぁ」

唯「きゃはは」


律の繭尻を下げた情けない表情を見て、結いは楽しそうな声を上げて笑った。


律「ちっくしょー。
ムギもなんとか言って」


律が紬に振り返ると、紬はつけてあったテレビの画面に釘付けになっていた。


律「どうしたんだムギ?」

紬「この子なんだけど……」


テレビには、自分達と同年代と思われる、美しい黒髪の少女が、インタビューを受けているところが映し出されていた。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:09:57.02 ID:W5HBytWl0<>
唯「うわぁ、きれいだねぇ、おねえさんって感じ」


春菜『秋山中尉、ロイ・フォッカー勲章、おめでとうございます』

澪『は、はい!
あ、ありがとございます』

春菜『ロイ・フォッカー勲章と言えば、パイロット最高の栄誉とされていますが、
それを受賞された、今のお気持ちは?』

澪『このような勲章をいたがけ、い、いたがけ……いただけて、こ、光栄です……』

律「ぷぷっ、噛みやがった」

唯「か、かわいい!」

律「そっかぁ?」


真っ赤になって受け答えをする、VTRの澪にはしゃぐ唯に、律は、興味なさげに返す。


律「で、ムギ、こいつがどうかしたのか?」

紬「うぅん……どこかで見たような記憶があるんだけど、思い出せなくって……」

律「客で来てたのを覚えてたとかじゃねえの?」

唯「これだけかわいかったら、覚えてるかもね」

紬「ううん、そんなんじゃないと思うんだけど……」


澪『は、はい、こ、これからもこのく、勲ちょ、勲章に恥じないよう、がんばりましゅ』

春菜『ははは、ありがとうございます。
このたびの功績で、ロイ・フォッカー勲章を受けられました、秋山澪中尉でした』


紬「え!?」


紬が突然大声を挙げる。


律「どうしたんだ?
思い出したのか?」

唯「ムギちゃん、誰なの?」

紬「ごめんなさい!
ちょっと電話かけてくるね」


そう言うと紬は、あわてて店外へと駆け出した。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:10:33.26 ID:W5HBytWl0<>
紬(なぜ?どうして彼女が軍人に?
あの事件の後、しばらくの間、音楽業界を探していたけど……
軍人になってたなんて……見つからないのも当然ね。
でもなんで軍人なんかに……)


紬は、店から少し離れた人通りのないところまで来ると、辺りを伺い、人がいないことを確認すると、携帯を取り出し、電話をかけた。


紬「あ、私です。
そう、お願いがあって。
秋山澪中尉について調べてほしいの。
そう、その秋山澪さん。
そうね、軍に入る前のこととかを特に。お願いします」

紬(もしも、彼女が私の思ったとおりの子だったとしたら……)


紬は、ゆっくり店に戻りながら考える。


紬(このプロジェクトのラストピースとして、彼女以外考えられないわ)

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:11:43.89 ID:W5HBytWl0<>
―――

敵艦ブリッジ

スミルス「閣下、ソブギンのやつめが、出撃いたしました」

フェレン「放っておけ」

スミルス「ですが」

フェレン「それより彼奴らの分析は進んだのか?」

スミルス「はい、未だゼントラーディとの関係性はつかめないままです。
ただ……」

フェレン「なんだ?」

スミルス「例の、暗号伝聞と思われる音波に関することですが」

フェレン「何か分かったか?」

スミルス「いえ、ただ、分析を進めている者達に不調を訴えるものが続出しております」

フェレン「やはり敵の攻撃手段だったと言う事か?」

スミルス「そこまではまだ……
ですが、やはりあの言い伝えと関わりがあるのかも知れません」

フェレン「マイクローンとは関わるな、か……」

スミルス「ここはサンプルを手に入れるのが近道かも知れませんな」

フェレン「よろしい。それではソブギンにサンプルの捕獲を命じよう」
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:12:40.46 ID:W5HBytWl0<>
―――

ジマック「隊長、フェレン閣下から通信が入ってますぜい」

ソブギン「あの糞おやじからだと?」

フェレン『ソブギン、出撃命令は出していないはずだが?』

ソブギン「うっせえな、演習だよ演習」

フェレン『そのような戯れ言が通用すると本気で思っているのか?』

ソブギン「…………」

フェレン『まあ良い。
お前に任務を与えよう。
彼奴らを捕獲し、生きたままつれて来い』

ソブギン「つれて来いだ?
あいつらなんか俺だけで全滅させてやるぜ!」

フェレン『ソブギン、これは命令だ。
そむく場合は、反逆と看做す。
また、作戦成功の場合、無断出撃についても不問としてやろう』

ソブギン「……分かったよ!!!」

ソブギンは、一瞬の逡巡の後、苛立たしげに叫ぶと、通信を切った。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:13:44.30 ID:W5HBytWl0<>
―――

敵旗艦ブリッジ

フェレン「スミルス、ジェイラと連絡を取ってくれ」

スミルス「なんと、ジェイラ・イスタームの部隊をお使いになりますか?」

フェレン「うむ、ソブギンだけでは何をやらかすかわからないのでな。
あの馬鹿を止められるのはジェイラぐらいしかおるまい」

スミルス「確かに」

ジェイラ『フェレン閣下、どのようなご用件で』


ブリッジのスクリーンに、フェレン等と同じく巨大な女性の映像が映し出された。


フェレン「ソブギンに協力し、敵艦隊よりサンプルを捕獲してくれ」

ジェイラ『なるほど、お目付け役と言うことですか』

フェレン「まあそう言うことだ」

ジェイラ『了解致しました』

フェレン「うむ、頼んだぞ」
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:14:33.76 ID:W5HBytWl0<>
―――

風子「艦長!デフォールド反応です!
11時の方向、距離2000!
代償あわせ100隻程度の艦艇がデフォールドした模様!」


バトル・サクラガオカブリッジ内に、高橋風この声が響く。


艦長「来たか。
すぐに第1級戦闘配備!」

「「「イエッサー」」」


艦長の言葉に、ブリッジオペレーターが一斉に復唱した。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:15:34.56 ID:W5HBytWl0<>
―――


「はぁあ、食った食ったぁ」


娘々の店内で、食事を終えた律が、満足気に背伸びをする。


唯「ほんとにおいしかったねぇ、
りっちゃんありがとう」

律「いいってことよ」

紬「じゃぁ、片付けて帰ろっか」

律「で、これからどうする?
ゲーセンでもい」

しずか「サクラガオカ行政府からお知らせいたします。
現在、我が船団は、敵の襲撃を受けております。
市民の皆さんは所定のシェルターへ非難してください」


ゲーセンでもいくか?と律がいい終わらないうちに、サクラガオカ1内に、けたたましいサイレンの音と、艦内放送が響いた。


紬「また来たみたいだね」

唯「今度こそ、私たちの音楽、届けようね」

律「おう!」


3人は言葉を交わすと、店内をそのままに、駆け出していった。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:18:20.16 ID:W5HBytWl0<>
―――

澪「ラビットリーダーよりラビット3、梓」

梓「は、はい!」


澪の通信を受け、梓は、バルキリーのコックピットで、素っ頓狂な声を挙げた。


澪「梓、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」

梓「緊張なんてしてません!」

澪「無理をしなくていい。
私も昨日はガチガチだったんだ」

梓「……澪先輩も、ですか?」


強張った表情で問いかける梓に、澪はやさしく話しかけた。


澪「あぁ、だから怖いのはお前だけじゃない。
大丈夫だ」

梓「はい」


少し表情を和らげたあずさに、澪は続ける。


澪「で、梓。
この前おいしいケーキ屋さんを見つけたんだ」

梓「はい?」

澪「終わったら食べに行こう」

梓「は、はい!」

梓の緊張をほぐすためにかけた澪の言葉だったが、梓の方は、思いもよらなかった澪の誘いに、作戦中だということも忘れ、頬を赤らめ、元気よくこたえた。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:19:39.59 ID:W5HBytWl0<>

澪「作戦の成功と3人の親睦尾兼ねてな」

梓「え?……あの……」

信代「はっはっは、澪先輩と二人っきりで行きたかったってか」


喜んだのもつかの間、澪の続けられた言葉に、落胆の表情を浮かべた梓に、信代が楽しげに話しかける。


梓「そ、そう言うわけじゃありません!」

信代「照れちゃってぇ、かっわいいなぁ。
隠さなくってもいいって」

梓「……信代先輩。
バルキリー乗りのジンクス知らないんですか?」


そんな信代に、少しむっとした梓が、低い声で返す。


信代『作戦中に同僚を女でからかうと、撃墜されるってやつだっけ?
大丈夫大丈夫、今まで一度も撃墜されてないからな。はっはっは』

梓「……そんな風にいつも人をからかってるんですか?」

信代『まあな』


あきれ気味の梓の言葉を、軽く受け流すと、信代はまた楽しげに哄笑した。


澪『二人とも、おしゃべりはここまでだ。
そろそろ敵と接触するぞ』

信代梓「「了解」」


二人の先輩に振り回された梓は、緊張していたことさへ、いつしか忘れてしまっていた。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:20:37.21 ID:W5HBytWl0<>
―――

ジェイラ艦ブリッジ


ジェイラ「クリスチン、クリスチン・チャーマンはいるか?」

クリスチン「はっ」


ジェイラ・イスタームの声に、巨大な少女が進み出る。

ジェイラ「ソブギンのやつが、フェレン閣下の言いつけで、マイクローンのサンプルを捕獲しようとしている。
後は分かるな?」

クリスチン「はっ、お任せください」


ジェイラの命を受けたクリスチンは、十数機の部下を引き連れ、出撃していった。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:22:57.83 ID:W5HBytWl0<>
―――

ブラウンリーダー「こちらブラウンリーダーからラビットリーダー、
敵主力部隊の攻撃を受け、苦戦中!援軍を請う」


澪「ラビットリーダー了解!
直ちに援護に向かう」


そう澪が、応答した時だった。


律「スピーカーポッド発射ぁ!」


戦場に似つかわしくない、楽しげな声が響いた。


唯「うぉー、ナイスだよりっちゃん!」

律「いくぜぇ!1、2、3、4!」

澪「またこいつらか!」


澪の表情が険しいものに変わる。

澪「そこの民間人!ここは戦闘宙域だ!
下がりなさい!」

律「なぁんだ、またお前かよぉ。
いちいちうっせえんだよ」


澪の言葉に、ドラムを叩きながら、律がめんどくさそうに応える。


澪「なっ」

唯「あれ?貴方澪ちゃん?
澪ちゃんだよね!?テレビで見たよぉ」

律「あっ、かみまくってたやつか」

澪「うっ……」


澪は、頬染め、唇をかむ。


澪「……そんなことより、下がりなさい!」

律「だからうっせえって言ってんだろ!
私たちにはやることがあるんだよ!」

澪「やることだと?
お前たちのやることって言うのは、軍務を妨げ、市民を危険にさらすことか!?」

唯「違うよ。
私たちの音楽で、争い自体終わらせるんだもん」


唯のその言葉を聞くと、澪の表情が一変した。


<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:24:58.07 ID:W5HBytWl0<>

澪「音楽で……音楽で争いが止められうモノ化ぁー!!」

梓「み、澪先輩……」

唯「止められるもん!」

澪「止められるわけないだろっ!!!」

さわ子「澪ちゃん、その子達は私に任せなさい」

澪「ですが!」

さわ子「貴方、ブラウン大隊の援護に行くんでしょ」


普段の冷静さを欠く澪を、さわ子がたしなめる。


澪「……了解」


澪は、悔しそうに復唱すると、自らの部隊へ指示を出した。


澪「ラビットリーダーからラビット2、3。
ラムダ047の、ブラウン大隊の援護に向かう」


信代梓「「了解!」」

梓(澪先輩、どうしたんだろう?
あんな澪先輩、見たことなかった……)


今まで見たことのない、激しい感情を露にした澪の姿に、梓は困惑の表情を浮かべた。


澪「梓、10時50分の方向から敵!」

梓「りょ、了解!」


だが、激しい戦闘のせいで、それ以上、そのことに思いをはせることはできなかった。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:26:00.23 ID:W5HBytWl0<>
―――

ソブギン「うわぁっはっは!なにがサンプルを捕獲白だ!
こんな無視けらども、捕獲するまでもないぜ!」


ソブギンは、高笑いをしながら、狩を楽しむように、バルキリーを撃墜していく。


ジマック「いいんですかい?また命令違反とか言われます税」

ソブギン「跡で、生き残りを何匹か捕まえりゃいいだろ。
何も、捕獲したサンプル以外を生かしておけなんて命令はされてないからな」

ジマック「まあ、それはそうですな」


ソブギンの言葉を受け、ジマックもいやらしい笑みを浮かべた。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:27:07.80 ID:W5HBytWl0<>
―――

梓「これは……」


目的宙域に到着した梓は、その惨状に思わず息を呑む。
そこにあったのは、二桁に及ぶ味方のバルキリーの残骸と、その中で残っている味方機を追い掛け回す、数機の敵機の姿だった。


信代「またあいつかよ!」


敵指揮官機を視認した信代が、いつになく、激しい感情をむき出しにして、はき捨てるように呟く。


梓「信代先輩?」

澪「信代、落ち着くんだ」

信代「……了解」



辛うじて冷静さを保っている信代を確認した澪は、梓に続けた。


澪「梓、あれは敵指揮官だ。
かなり強いが、私たち3人が力を合わせれば、どうってことない相手だ」

梓「了解!」


梓は、いつもの優しい声音に戻った澪に、安堵し、応えた。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:28:35.42 ID:W5HBytWl0<>

澪「ラビットリーダーより、ブラウンリーダー。
敵指揮官機は私たちに任せて。
ほかは頼む」

ブラウンリーダー「ブラウンリーダー了解」

澪「信代、梓、ラブリーハートだ」

信代梓「「了解!!」」



その言葉と同時に、3機のバルキリーが、ソブギンめざし突っ込んでいく。
そして、接触しようとした寸前、梓と信代のバルキリーは、左右に大きく展開し、澪とソブギンの視界から消えた。


ソブギン「ふははは、なんだ俺とタイマンはろうってか?
良い度胸だ!
この前の借り、返してやるぜ!!」


ソブギンは、そう言うと、急速に澪のバルキリーへと突っ込んでくる。


澪「こいつ、早いだけで、動きは直線的だ」


澪は、そう判断すると、ファイターをガウォーク形態に変え、トリッキーな動きで、ソブギンを翻弄する。


ソブギン「畜生!、ちょこまかと動きやがって!」


ただ突っ込み、ミサイルやビームを乱発するソブギンを、澪は、闘牛士のような華麗な動きで、ひらりひらりとかわしていく。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:31:33.27 ID:W5HBytWl0<>

ソブギン「くっそぉー!」

しだいに、近くに集中しだした澪の攻撃に、ソブギンが苛立ちの声をあげた時だった。
ソブギンの機体の右腕と左足が、同時に吹き飛んだ。


信代「いやぁ、隊長だけでも方がつきそうでしたが」

梓「私たち、お邪魔しちゃって良かったんでしょうか?」


ソブギン機の右腕と左足を吹き飛ばした、信代と梓が軽口を叩く。

信代と梓は、大きく旋回し、ソブギンの注意から離れ、背後を取ることに成功したのだった。


澪「このまま3人で確実にしとめるぞ」

信代梓「「了解!」」


その言葉と同時に、信代と梓も、バルキリーをガウォーク形態に変え、3法からソブギンを取り囲む。


ソブギン「この俺様がマイクローンなどに!」


ソブギンは、必死に退路を探そうとするが、3人の巧みな連携の前に、徐々に追い詰められていく。


信代「そこだ!」


ソブギンの僅かな隙を突いた信代が、ミサイルの雨を降らせる。


ソブギン「くっ!」


何とか急上昇して、その攻撃をかわしたソブギンだったが、そこには澪のバルキリーから放たれたミサイルが迫っていた。


ソブギン「糞が!」


それもなんとか旋回してかわしたが、かわした先には梓のガンポッドの銃口があった。


梓「これで終わりです!」



その言葉と同時に、閃光が走り、あたりに爆発音が轟いた。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:33:35.46 ID:W5HBytWl0<>

クリスチン「無様なもんだな、ソブギン」


梓のガウォークの右手をガンポッドごと吹き飛ばした、クリスチンが不適に微笑む。


ソブギン「クリスチン、貴様なにしにきやがった!」

クリスチン「おいおい、その言い方はないだろ?
せっかく助けてやったのに」

ソブギン「なにぉ!」

クリスチン「それより撤退だ」

ソブギン「なんだと?まだ任務は終わっちゃいねえー」


クリスチン「ふふふ、貴様が遊んでいるうちに、我々がサンプルを捕獲しておいた」

「ソブギン「くっ……
この借りは必ず返してやるぜ!」


ソブギンははき捨てると、クリスチンの後を追い、戦線を離脱していった。

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:34:45.72 ID:W5HBytWl0<>
―――

澪「梓!梓、大丈夫か!」


澪は、梓に駆け寄り叫ぶ。

梓「はい、大丈夫です、右腕以外に損傷はありません」

澪「馬鹿!梓自身は大丈夫なのか!?」

梓「はい、傷一つありません」

澪「よかった……」


澪は、右手を胸元に当て、心から安心したように呟いた。


梓(澪先輩のこの取り乱し様はなんなんだろう?
澪先輩が、私のことを心配してくれるのは、すごく嬉しいけれど……)


梓は、先ほどの放課後ティータイムとのやり取りを含め、初めて見る澪の一面に、戸惑いとかすかな不安を覚えていた。
<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:36:14.97 ID:W5HBytWl0<>
―――

律「ちっくしょう!今日もだめだった」

唯「やっぱり、バサラみたいに歌わないとだめなのかな?」


戦闘宙域からの帰途。
律が、悔しそうに叫ぶと、少し俯いた唯が、続けた。


紬「……そうかも知れないね」


紬は、そう応えながら思っていた。
そのためにも、自分達には、やはり彼女が必要なのだと。


<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:52:51.37 ID:W5HBytWl0<> 第二話終了です。
みなさん、レスありがとうございます。
大変はげみになります。

>>27
自分もそう思っていたのですが、ちょうどここにうpし始めた日に、百合ノートさんの方に、
澪「俺の歌をきけぇえーーーーーっ!!」と言うものがまとめられていました。
あちらは、軽音部のみんながマクロス7の世界に飛ばされたと言う内容でした。
なかなか熱く、面白かったですよ。
>>52
ありがとうございます。がんばります。
Sはサクラガオカと読んでください。
憂はそのうち言及されます。
>>53
見直してはいるのですが、どうしても見落としの誤字がありますね。
すみません。
憂もそのうち出てくると思います。
>>54-55
元ネタ見てなくてわかりませんでした、すみません。
>>52,56
またまたありがとうございました。

>>57
鋭すぎて驚きました。
全部見透かされていそうですw
でも、そこまでしっかり読んでいただけているということなので、とてもうれしいです。
おっしゃるとおり、名前のある女子はほとんどが、アニメの3年2組のキャラになります。
例外は優と尚子ですね。
ちなみに、今回名前が出てますが、艦長は校長先生ですw
>>58
これまたすごいですね。
こんなに早く気づく人がいるとは思いませんでした。
ご指摘のとおり、敵の名前はギターメーカーおよび、その関係者の名前のアナグラムになってます。
>>59
お待たせしてすみません。
>>60
ありがとうございます。
がんばります。 <> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:54:52.46 ID:W5HBytWl0<>    〜次回予告〜

唯「りっちゃんりっちゃんりっちゃん、予告の時間だよ!」

律「おー!
ってか、信代、本当に出るとは思わなかったぜ」

唯「私は嘘をつかないのです!フンス

律「はぁいはいはい、で?次はどんな話なんだ?」

唯「次は、信代ちゃんが大活躍の話です!」フンスフンス

律「誰得なんだよ!
てか信代好き過ぎだろ」

唯「マクロスS第3話、『作戦!』」

律「よろしくな!」

唯「過激にファイヤー!」

律「だから違うだろ!」

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:56:37.30 ID:W5HBytWl0<>    〜マクロス後ティータイム〜

ガチャ


梓「こんにちは」

紬「梓ちゃん、いらっしゃい♪」

律「おー、梓もやっと合流か」

梓「どもです」

唯「あずにゃーん!」ダキッ

梓「唯先輩、いきなり抱きつかないでください!」

唯「もう、あずにゃんったら澪ちゃんべったりでずるい!」スリスリ

律「そうだよな」

梓「仕方ないじゃないですか、みなさんとはまだ戦場で出会っただけですし」

律「まぁ、そうなんだけどさぁ」

梓「それより唯先輩、そろそろ離れてくれませんか?」

澪「そうだぞ唯、梓が困ってるじゃないか」

唯「うぅ、澪ちゃん、あずにゃんを独り占めするつもりだねっ?」

澪「そ、そう言うわけじゃ」///

紬「そう言えば、三角関係、ちょっと輪郭は見えてきたのかしら?」

律「まぁ、一方ははっきりした感じだよなぁ」

唯「え?誰々?」

さわ子「私と澪ちゃんね」

澪「絶対ありませんからっ!」

さわ子「そんなに思いっきり否定しなくてもいいじゃない。私、泣くわよ」

律「よし、さわちゃん、私の胸で泣け」

さわ子「りっちゃぁん!」ダキッ

さわ子「これで三角関係成立ね」

唯「わ〜い」

紬「まあまあまあまあまあまあ」キラキラ

澪「おいおい」

梓「なんか先が不安になってきました……」

<> マクロスS<>saga<>2011/07/11(月) 22:59:07.88 ID:W5HBytWl0<> それではみなさん、第3話もよろしくお願いします。
あっ、マクロスシリーズの曲で、好きな曲や思い入れのある曲を聞かせていただけるとありがたいです。
なにか、参考になるかも知れないので。
それではまた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/12(火) 00:16:20.15 ID:Ay0hu+iTo<> 面白いけど遅いな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<><>2011/07/12(火) 21:48:37.87 ID:YUsXyi1AO<> おもしれー!
ドッグファイトに燃えた!
唯と澪の過去も気になるところ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<><>2011/07/12(火) 21:53:21.27 ID:YUsXyi1AO<> あっそうだ、好きな曲は、beautifull placeとか突撃ラブハートとかダイヤモンドクレバスあたりかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/12(火) 22:08:51.34 ID:48JGbVpDO<> 百合が入るのが残念でならん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)<>sage<>2011/07/12(火) 23:39:59.83 ID:IWLGEMzco<> SSスレにはよくあることだろ
とはいえ報告くらいはほしいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<><>2011/07/13(水) 00:21:04.04 ID:Wu2MF6sAO<> 百合展開に鳴る前に書かれてるじゃん <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/13(水) 09:20:26.23 ID:Tx2OGjnDO<> 復活してたのか!
submarine street
remember16
星屑ハイウェイ

あたりが好きかなバサラ全般おkなだけだけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/14(木) 15:38:01.91 ID:QGwoQG/DO<> 面白いのに誤字脱字が多すぎる
異常なレベル
投下前にも確認したらいいのに <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/07/15(金) 00:49:21.19 ID:EZQOHZgAO<> 月一連載だったのか、てっきり投げたモンだとばかり
乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/29(金) 01:56:22.94 ID:a/oNDJ++o<> どうせ百合にするなら全員一方通行の三角関係にしてほしい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<><>2011/07/31(日) 22:14:12.52 ID:ecj8tqh00<> 挿絵とか欲しいな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)<>sage<>2011/08/01(月) 02:05:14.61 ID:mvyLs17AO<> 挿し絵藁 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/02(火) 20:51:22.04 ID:5Nkl5YVDO<> マクロス=三角関係
けいおん=女子高生
けいおん×マクロス=百合
こうなるのは当然だろ、登場人物がマクロスメインじゃない時点で気づけ。

あと澪がいなくても唯が作詞と歌担当できるような、何にしても相当胸熱だ。 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:44:17.99 ID:FoJ5E9Bl0<> こんばんわ。
ご無沙汰しております、>>1です。
なかなか更新できなくてすみません。
第3話は書きあがってますが、なかなかまとめて投下する時間がとれずにいました。
そして、いろいろ考えた末、第1話、2話も誤字を修正しUPしなおすことにいたしました。
とりあえず、今日は第1話の修正版を投下させていただきたいと思います。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:46:01.67 ID:FoJ5E9Bl0<>
西暦2009年2月。
地球人類と異星巨人種族「ゼントラーディ」とのファースト・コンタクトを機に、第一次星間大戦が勃発。
1年余りに渡る戦いは、地球を死の星へと変貌させ、そこに住まう生命の大半を死滅に追いやった。
アイドル歌手、リン・ミンメイの貢献により決戦に勝利した人類は、文化に共鳴する一部のゼントラーディ人と共に、荒廃した地球環境の再生を目指した。
また、星間戦争の再発に備え、全宇宙への種の保存・拡散を目的とした「銀河播種計画」を立案。
巨大な居住艦を中心とした、大規模移民船団が次々と結成され、人の住むことのできる惑星を探して銀河の方々へと旅立っていった。

西暦2069年。
旗艦、サクラガオカ1を中核とした、第27次新マクロス級超長距離移民船団マクロス・サクラガオカは、移住可能な星を求め、銀河の中心を目指し、航行を続けていた。
 船団内の居住スペースには、かつての地球と同じ環境が整えられ、1500万人余りの住民が生活を送っていた。

今、そのマクロス・サクラガオカ船団のメイン居住艦、サクラガオカ1の中で、1年に1度行われる、インディーズバンドの集まる、ライブイベントが行われようとしていた。
それは、銀河ネットワークへも配信され、プロへの登竜門とされているイベントであった。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:46:51.27 ID:FoJ5E9Bl0<>
―――


   第1話 遭遇!


―――
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:51:17.80 ID:FoJ5E9Bl0<>

春菜「私は今、インディーズ界で注目の女子高生バンド、放課後ティータイムの楽屋の前に来ております。
ライブが30分後に迫っておりますが、彼女達はどうしているのでしょう。
早速楽屋に潜入してみたいと思います」


女性レポーター、岡田春菜がドアを開け、楽屋に入ると、少女達の賑やかな声に出迎えられた。


唯「あ〜んりっちゃん、ずーるーいぃ!
イチゴショートは私が狙ってたのにぃ」

律「いつも言ってるだろ?
早い者勝ちだって」

紬「まぁまぁ唯ちゃん、チーズケーキもおいしいわよ」

春菜「えぇ、これはいったいどういうことでしょうか?
間もなくライブだというのに、放課後ティータイムの皆さんは、お茶を楽しんでいるようです。
とりあえず、インタビューしてみましょう。
あのう、リーダーの律さん」


春菜が、黄色いカチューシャをつけた茶髪の少女、リーダーでドラム担当の田井中律に話しかけると、少女は振り返り、こちらも楽しくなるような笑顔で答える。


律「はい?」
あぁ、レポーターの人ですね。
聞いてますよ。ようこそ」

春菜「あ、ありがとうございます。
それより、これはどう言うことなんでしょうか?」

律「へ?」

春菜「もうすぐライブだと言うのに、こんなことしててよろしいんですか?」

律「あぁ、これ?
リラックスだよ、リラックス」

春菜「リラックス……ですか」


春菜が怪訝な顔で問い返すと、ヘアピンで前髪を留めた茶髪の少女、ギター担当の平沢唯が、人懐っこい笑みを浮かべ答える。


唯「そうそう、いい演奏するためにはリラックスしておかないとね」

春菜「はぁ、なるほど」

唯「リラックスにはムギちゃんのお茶とお菓子が一番なんだぁ」

春菜「そうなんですか。
なんか、バンド名そのまんまって感じですよね」

律「うちらいっつも放課後にお茶しててさ。
バンド名、そっからつけたんだ」

春菜「ははは、安直ですね」

律「悪かったな」

春菜「いえ、すみません」


冗談っぽく律に睨まれ、春菜は恐縮した。 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:52:24.08 ID:FoJ5E9Bl0<>

春菜「ところで、放課後ティータイムと言えば、楽曲のすばらしさだけでなく、
可変戦闘機アマデウスでのアクロバットをしながらのアンコールが有名ですよね」

律「うちらの売りだからね」

春菜「でも、最新戦闘機である、VF-33アマデウスを3台も、どうやって手に入れられたのですか?」

律「それはさぁ……」


言いよどむ律に変わって、それまで黙っていた、特徴的な眉の少女、キーボード担当、琴吹紬が答える。


紬「それは、私達の企画に賛同してくれたスポンサーからの提供です」

春菜「すごいですね!
そのスポンサーってどこなんでしょうか?」

紬「それは秘密です」

春菜「お聞かせいただく分けにはいきませんか?」

紬「それも契約の一つですので」


紬はあくまで柔和な笑顔で、物腰も柔らかだったが、春菜はそれ以上訊くことができなかった。


春菜「そうですか、残念です」

スタッフ「放課後ティータイムの皆さーん、そろそろ準備お願いしまーすっ!」

律「よっしゃー、それじゃあいくか」

唯紬「「おー!」」

春菜「貴重なリラックスの時間をどうもすみませんでした」

律「いいっていいって」

春菜「それでは最後に、中継を見ているファンの皆さんへ一言」

律「みんな楽しんでねぇ!「

唯「がんばるね!」

紬「応援よろしくおねがいしまぁっす!」

春菜「ありがとうございます。
ではライブ、楽しみにしてますね」

律唯紬「「「がんばりま〜す」」」

春菜「以上、放課後ティータイムの楽屋から、岡田がお伝えしました」


<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:55:37.67 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


春菜『以上、放課後ティータイムの楽屋から、岡田がお伝えしました』

琴吹「始まるようだな」


サクラガオカ1内にある、琴吹・フィナンシャル・ホールディングスの本社ビルの1室で、テレビを見ていた琴吹会長は、秘書、斉藤に語りかける。


斉藤「お嬢様の晴れ姿、楽しみでございますね」

琴吹「ああ。
だが、まさか紬まで参加するとは思わなかった」

斉藤「ですが、お嬢様はバンドに入られてから活き活きなさっております」

琴吹「ああ、紬が毎日楽しそうにしていて、私も嬉しいよ。
まあ、この音楽は私には分からないが」

斉藤「私はなかなか素晴らしいと思いますが」

琴吹「うぅむ、やはり歌がない音楽は、何か物足りなくてな」


琴吹会長は、テレビに映し出される愛娘に目を細めつつも、苦笑いを浮かべた。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 22:58:53.36 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


さわ子「ど〜ぞ〜」


美しい長い黒髪の少女が、山中少佐の執務室のドアをノックすると、中から間延びした女性の声が返ってきた。
少女は相変わらずだなと懐かしさに笑みをこぼすが、すぐに表情を引き締め、部屋に入っていった。


澪「本日ひとふたまるまるを持ちまして、山中少佐の部隊に配属になりました、秋山澪中尉であります」

さわ子「ご苦労様。
でも澪ちゃんも相変わらずね〜。
真面目と言うか、硬いと言うか」


自分の前できちんと敬礼をし、挨拶をする少女、秋山澪に、山中さわ子少佐は、懐かしげな眼差しを向ける。


澪「少佐こそ相変わらずで、嬉しく思います」

さわ子「も〜、二人っきりなんだから、そんな呼び方よしてよ。
昔みたいにさわ子先生でいいってぇ」

澪「そう言うわけには」

さわ子「じゃぁ、上官命令!
これからは作戦行動以外ではさわ子先生と呼ぶこと。
なんならさわちゃんでもいいわよ」

澪「ほんと、士官学校の教官されてたころとまったく変わりませんね」


そこで、やっと少女は、年齢相応の笑みをこぼした。

山中さわ子少佐は、秋山澪中尉が、士官学校に通っていたころの教官であった。
ざっくばらんな性格ゆえ、軍や士官学校上層部の覚えは悪かったが、面倒見のよさと、卓越した技術で生徒の人気は高かった。
マクシミリアン・ジーナスの再来と噂される秋山澪中尉ではあるが、山中さわこ少佐が教官でなければ、秋山澪中尉の才能も開花しなかったかも知れない。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:00:07.62 ID:FoJ5E9Bl0<>

澪「でもどうして、さわ子先生は士官学校やめられたんですか?」

さわ子「やっぱり、空飛んでないと感覚忘れちゃうからね。
大事な時に役に立てなきゃ困るでしょ?」

澪「確かにそうですね。
軍人たるもの、市民を守れなければ意味ありませんから」

さわ子「そうね。でもね澪ちゃん」


そこでさわ子は初めて表情を引き締めた。


さわ子「いくら市民のためと言っても、自分を犠牲にしてはだめよ」

澪「は、はい」

さわ子「だってぇ、恋人も出来ず死んじゃったら死んでも死にきれないもんねぇ」


さわ子は、あっと言う間に荘厳を崩し、くねくねと体をくねらせた。


澪「うふふ、まったく、さわ子先生はぁ」


つられて澪も笑顔を見せたその時だった。


アカネ「未確認艦隊接近中、ベア、レオ、タイガー、各隊、出撃準備!」


スピーカーを通し、部屋に艦内管制士官、佐藤アカネの声が響いた。


さわ子「いきなり来るなんてね〜。
澪ちゃんって、敵女?」

澪「なんですかそれ?
雨女とかじゃないんですから」

さわ子「あはは」

澪「冗談言ってる場合じゃありません」

さわ子「まぁそうね」


二人は表情を引き締めると、艦載機格納庫へ向かって駆け出した。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:02:05.45 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


数分前、バトル・サクラガオカブリッジ


艦長「どうしたのかね?」


パーマのかかった、白髪頭の初老の男性が入ってくるなり、眼鏡をかけた、理知的な少女に尋ねる。


和「2時の方角、距離3000にデフォールド反応。
どうやら、かなりの規模の船団のようです」

艦長「数は?」


真鍋和からの報告を受けると、今度はレーダー担当オペレーター、高橋風子に視線を向ける。


風子「具体的な数は分かりませんが、大小合わせ、1000程度。
その内、大型艦1、中型艦18、小型艦50が接近中。
40分程度で接触します」

艦長「和君、戦闘準備だ。
偵察のため、キャッツアイXIIを発進。
艦載機も発進準備。
念のため、シェルダウンの準備、その旨、大統領府にも連絡してくれ」

和「イエッサー」


和のその言葉と同時に、ブリッジクルーが一斉に動き出す。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:04:26.30 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


ジャカジャカジャンジャン、ジャカジャンジャカジャン
ジャカジャカジャンジャン、ジャジャ、ジャジャ、ジャーン

「「「うぉーーー!!!」」」

「唯ちゃぁん!」


サクラガオカ1内のライブ会場。
ステージには、それぞれ赤、黄、ピンクに塗装された、3体のバトロイドが置かれ、その前で、3人の少女が演奏を行っていた。


唯「みんなぁー!ありがとうーーー!!!
それでは、次が最後の曲です!!!」

「「「えー!!!」」」

唯「ありがとー!
今日は本当に楽しかっ」


その時だった。
艦内に、けたたましいサイレンの音が響いた。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:06:34.85 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

バトル・サクラガオカブリッジ


風子「艦長!
未確認艦隊より艦載機軍が発進!
キャッツアイXIIが攻撃を受け、全滅の模様」

艦長「やはり、友好的な相手ではないか。
優君、艦載機をすぐに発進させてくれ。
ベア、レオ、タイガー、各中隊もだ」

優「スカル、パープル、イエロー大隊、発進!
アルファ352の敵の迎撃に向かってください」

「「「了解」」」


航空管制士官、真鍋優少尉の声に、次々とバルキリーが発艦していく。


優「ベア、レオ、タイガー、各中隊、発進してください」

さわ子「こちらベアリーダー、優ちゃん、敵のデータは?」

優「それが、偵察機が全滅してしまい、詳細不明なんです」


優は、さわ子の問いに、困惑した表情で答える。


さわ子「オッケー!じゃぁちゃちゃっと片付けてくるわ」


困惑している年少のオペレーターを安心させるように微笑むと、山中さわ子少佐は、表情を引き締めた。


さわ子「ベア中隊、発進!!」

澪「ベア8、秋山澪中尉、発艦準備完了」

優「澪さん、お久しぶりです」

澪「あぁ、優ちゃん、久しぶり」


強ばった表情の澪に、優が声をかけると、澪は少し口元を緩めた。
澪と、優の姉の和とは、パイロット科と、管制科と科が違ったものの、寮が同室だったこともあり、親友と呼べる間柄であった。
そして、和の妹である優も、姉の伝で澪と知り合い、士官学校時代は、3人でよく連れ立って遊んでいたものだった。


優「はい、気をつけてくださいね」

澪「うん、優ちゃんも管制、よろしく」

優「はい」

澪「じゃぁ、いってくる」


その言葉と同時に、青く塗装された、澪のVF-33アマデウスが、バトル・サクラガオカから飛び立った。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:08:02.76 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

サクラガオカ1、ライブ会場


しずか「サクラガオカ行政府よりお知らせします。
ただ今、軍は未確認勢力と交戦中。
市民の皆さんは、速やかにお近くのシェルターに避難してください」


警報のサイレンと共に、艦内放送が流れる。


律「デカルチャー!?(ばかな)」

唯「りっちゃん、それもう古いよ、おそまつだよ、おばさんみたいだよ」

律「うっせー!」


パニック寸前の会場にありながら、少女たちは暢気な言葉を交わす。


紬「とりあえず、軍が戦闘状態に入ったのは間違いないみたいね」

唯「ってことは」

律「あぁ、私たちの出番ってこった」


少女達は、顔を見合わせ、ニヒヒといたずらを思いついた子供のような笑みを交わすと、それぞれのバトロイドに駆け寄り、颯爽と乗り込む。


唯「みんなぁ!いってくるねぇ!!」


唯が叫ぶと、3体のバトロイドは、それぞれ飛行形態のファイターへと形を変え、
その行為に唖然とするファン達を残して、空へと飛び立った。


<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:11:02.80 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


さわ子「ベアリーダーよりベア8、澪ちゃん」

澪「は、はい」


さわ子は、今日配属になったばかりの教え子に声をかける。


さわ子「緊張してる?」

澪「い、いえ、そんなことは」

さわ子「無理しなくていいわ。
まともな戦闘は初めてなんだから、緊張して当たり前よ」

澪「はい」

さわ子「まぁ貴方に限ったことではないけどね」


さわ子の言う通り、澪を始めとする若いパイロットは、今まで敵と接触する機会がなかったため、治安維持活動程度の経験しかなかったのだ。


さわ子「なぁんて言っててもしょうがないからね。
ベアリーダーより各機!
あわてず騒がず落ち着いてね!
帰ったらおいしいお茶とお菓子が待ってるわ!」

「「「了解!」」」


さわ子の声に、ベア中隊の少女達は、明るい返事を返した。 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:11:38.86 ID:FoJ5E9Bl0<>

姫子「澪、久しぶり」


まもなく、敵機と接触しようかという時、士官学校時代の同期である、立花姫子が、澪に話しかけてきた。


澪「姫子、余裕だな」

姫子「そんなことないわよ」


姫子は、澪の言葉にしれっと答えると続けた。


姫子「ねぇ、賭けしない?
1機でも落としたのが少ない方が、多い方にイチゴパフェおごるってことで」

澪「なに言ってるんだ。
命が賭かってる戦いで、不謹慎だぞ」


澪が、学生時代のシミュレーションと同じのりの姫子をたしなめると、姫子は悪びれることもなく微笑み、続けた。


姫子「命賭けてるんだもん。
それぐらいなきゃやってられないわよ」


姫子はそう言うと、じゃぁ決まりねと一方的に宣言をし、通信を終えてしまった。


澪「姫子も相変わらずだ」


毒気を抜かれた澪は、あきれた様に微笑んだ。


澪「よし、いくぞ!」


士官学校時代の教官や同期、後輩達との懐かしいやり取りで、すっかり緊張がほぐれた澪は、気合を入れなおし、敵機へと向かっていった。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:14:24.48 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


フェレン「スミルス・ポードリー記録参謀、それで、敵の正体は分かったか?」


敵旗艦のブリッジ内で、10mを越えようかと言う大男が、彼よりは幾分小柄な男に問いかける。


スミルス「どうやら、彼奴らはマイクローンの模様です、フェレン・ダーオ閣下」


スミルス・ポードリーと呼ばれた男は、問いかけてきた男に、恭しく返答する。


フェレン「ううん、そうか」

スミルス「我々の古い言い伝えの中に、マイクローンとは関わるなと言う物がありますが」

フェレン「ううむ……」

スミルス「なにか気になることでも?」

フェレン「うむ、彼奴らの兵器の中に、どことなく見覚えがあるものが見受けられるのが気になってな」

スミルス「それは私も気になっておりました。
彼奴らの兵器の中に、確かにゼントラーディの面影があるものがちらほらと」

フェレン「と言う事は、彼奴らはマイクローン化したゼントラーディと言うことか?」

スミルス「さぁ、そこまでは。
かなり形状の異なるものも含まれておりますし、だいたいマイクローン化するメリットも思い当たりませんので」

フェレン「ううむ……では様子を見るしかあるまい」

スミルス「そうですな、そうするしかないでしょうな」

フェレン「ゼントラーディであれば、捨て置くわけにはいかんからな」


<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:15:54.21 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


さわ子「なによ、この速さ」


さわ子は少々あせりを覚えていた。
未知の敵と遭遇したまでは良かったが、敵の機動力が思ったより高かったのだ。


さわ子「澪ちゃん!?」


視界の端に、青く塗られた澪の機体と、それを追尾する敵機が入る。


さわ子「澪ちゃん!」


さわ子が、今にも撃墜されそうな澪を見て、叫んだ時だった。
澪はバルキリーの脚部だけを展開させ、急上昇すると、敵機をやり過ごし、背後から急降下しながら銃撃。
敵機を撃墜した。


さわ子「驚かせるんじゃないわよ」


さわ子は安心したように表情を緩めたが、またすぐに表情を引き締めた。


さわ子「澪ちゃんであれなら、ほかの子は心配だわ。
あんな方法、ほかの子には無理だもの。
あんな発想できないだろうし、出来たとしてもGに耐えられないわ」


さわ子はそう判断すると、回線を開いた。


さわ子「ベアリーダーより各機!
ベア2から4、5から7は、3機一組になりなさい!
3機一組で1機を追い詰めて、確実に1機ずつつぶしてくのよ!」


「「「了解」」」

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:16:51.21 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

優「艦長!」


バトル・サクラガオカのブリッジ内に、優の悲痛な叫びがこだまする。


優「スカル、イエロー大隊、通信途絶、全滅の模様!
パープル大隊もすでに損耗が半数を超えています!」

艦長「なんだと!?」

優「レオ、タイガー中隊もそれぞれ2機損耗!」

艦長「精鋭部隊のレオとタイガーまでがか!
なんと言うことだ、まだ戦端が開かれて1時間もたっていないと言うのに」

優「ベア中隊は、まだ被害はないようです」

艦長「…………」

優「艦長、どうなさいますか?
ゴーストを発進させますか?」

艦長「テストも終わっていない物を出すわけにはいかんだろう……」


無人戦闘機であるゴーストは、パイロットの負担を考慮する必要はないため、機動力が高い上、損耗しても人的被害がないことで、有効な兵器ではあったが、
導入から半世紀以上たった今でも、AIや通信での制御に未だ不安定要素があった。
それを克服したとされる、次世代ゴーストが導入されたのだが、まだロールアウトされたばかりで、テストもされていない現状だった。


優「ではどうなさいますか?」

艦長「……さわ子君を信じるしかあるまい」


そう言う艦長の顔には、苦渋の表情が滲み出ていた。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:17:57.05 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

敵旗艦ブリッジ


フェレン「敵もたいしたことはないようだな。
ソブギンだけで壊滅させられそうだ」

スミルス「確かに。ですが侮らない方がよろしいかと。
相手はマイクローンですから」

フェレン「先ほど言っていた、言い伝えというやつか」

スミルス「はい、やはり気になりますので。
ソブギンにも深追いさせない方がよろしいのではないかと」

フェレン「放っておけ。
ソブギンが全滅させられればそれもよし、出来なければまたその時に、その後のことを考えればいいだろう」

スミルス「それもそうですな」

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:18:58.62 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


澪「くっ!」


澪の機体のすぐ横で、二つの敵機が炎を上げ、四散する。
澪は、2機の敵機に、挟み撃ちされそうになりながらも、巧みな機体コントロールで、同士討ちをさせることに成功した。


澪「これで7機……いったい何機落とせばいいんだ」


澪が、苦しそうに呟いた時だった。


律「みんなぁ!いっくぜー!!!
1、2、3、4!」


軍の回線に、場違いな叫び声が飛び込んできた。
その叫び声に続けて、歪んだギターのリフが流れ出す。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:19:50.26 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

バトル・サクラガオカブリッジ


優「艦長!所属不明機3機、戦闘宙域に侵入しました!
軍の通信回線に割り込み、音楽を流しています!」

艦長「なに?」

優「所属不明機、機体番号を明らかにしてください」

唯「私たち、放課後ティータイムだよぉ」

紬「唯ちゃん、それじゃあ分からないわ。
UNT-1127、DKO-0821、TKA-0702です」

風子「確認取れました。
放課後ティータイムと言う、女子高生バンドの3人の機体です」

艦長「……放課後ティータイム……か」

エリ「放課後ティータイム?」

アカネ「インディーズバンドの?
なんのつもりなんだろう?」

和「さぁね、ミンメイやバサラでも気取ろうってことかしら」

風子「まさか!?」

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:20:33.67 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

敵旗艦ブリッジ


フェレン「なんだ、この音波は」

スミルス「さあ私にも分かりかねます」

フェレン「記録参謀のスミルスでも分からないとは」

スミルス「ただ、兵器の類ではないようです」

フェレン「では何のために行っているのだ?」

スミルス「おそらく通信手段の一つではないかと」

フェレン「通信手段?」

スミルス「まだ良くは分かりませんが、暗号通信のようなものかも知れません」

フェレン「なるほど」

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:22:35.90 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


澪「お前達!何をしている!
ここは戦闘宙域だ!下がりなさい!!!」


澪は、乱入してきた3体のバルキリーに向かって叫ぶ。


律「そう言うわけにはいかないんだよな」

澪「なに!?お前達の行為は軍務の妨げになっている!
お前達のせいで、無辜の市民に被害が出たらどうするつもりだ!!!」

唯「大丈夫だよぉ、私たちがこんなこと終わらせちゃうもん」
澪「な!」

律「私たちの音楽で、戦争なんてくだらない事終わらせてやる」

澪「そんな夢物語を!」


澪が、激昂し、叫びかけた時だった。


さわ子「澪ちゃん、落ち着きなさい!
今は敵に集中して」


さわ子の檄が飛ぶ。


澪「はい……」


澪が、しぶしぶ返事をした時、姫この切羽詰った声が、通信機から響いた。 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:23:26.63 ID:FoJ5E9Bl0<>

姫子「ベア5より、ベアリーダー!」

さわ子「どうしたの?」

姫子「ベア7、未知子が被弾。修理のため、帰艦を許可願います」

さわ子「了解、許可するわ」

未知子「私は大丈夫です」

さわ子「豆ちゃん、無理してはだめよ!
ベア5、6も護衛のため一緒に帰艦して」

姫子いちご「「了解」」

未知子「それでは戦力が」

さわ子「そう思うなら、応急処置してさっさと帰ってらっしゃい」

未知子「了解しました」

さわ子の言葉に、未知子は瞳を潤ませて答えた。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:30:05.57 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

バトル・サクラガオカブリッジ


優「艦長、どうなさいますか?
放課後ティータイムの乱入によって、ベア中隊にも混乱が広がっているようですが」

艦長「ううむ……」

和「まさか、艦長もミンメイやバサラの奇跡を期待しているんじゃ」

風子「そんな!このままではベア中隊まで全滅しかねません!」

エリ「艦長!」

アカネ「艦長!」


ブリッジクルーの緊迫した声を受け、艦長はゆっくりと口を開いた。


艦長「優君、放課後ティータイムには100下がるように伝えてくれ」

風子「艦長!なぜ撤退させないのですか!?」

エリ「そうです、命令に従わない場合は、撃墜も辞さないと言えば彼女達だって」

艦長「優君!」

優「放課後ティータイムのみなさん、現在地より100下がってください」


艦長の翻意はないと知ると、優は通信を行った。


<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:31:54.55 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


唯「え〜」

律「折角乗ってきたのによぉ」

紬「ここは軍の指示に従いましょう」

律「そうだな、スピーカーポッドで音楽は届くんだし。
よぉし、100後退するぞ」

唯紬「「おー」」

澪「なぜ、なぜ後退だけなんだ!
艦長はなにを考えているんだ!」

さわ子「澪ちゃん!」


さわ子は、澪の軍上層部への批判をたしなめる。


澪「す、すみません」

姫子「ベア5より、ベアリーダー。
新手5機に遭遇!
レオ中隊を突破してきた敵と思われます!
救援、願います」

さわ子「次から次へと……
問題山積ね」


さわ子は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
姫子達は、手負いの未知子を含めた3機。
数の上だけでも分が悪いと言うのに、レオ中退を全滅に追い込んだ敵が相手だ。
その上、こちらも敵はまだ多く、余裕などはない。
それに後方とは言え、守るべき民間人が、戦闘宙域にいるのだ。
さわ子の判断がひとつでも間違えば、いや、間違わなくとも全滅の危機に瀕していると言っても良かった。


さわ子「こちらベアリーダー。
姫子ちゃん、澪ちゃんが救援に行くわ。
それまで持ちこたえなさい」

姫子「了解」

さわ子「聞いたわね、お願い澪ちゃん」

澪「はい」


澪は、返事と共に急旋回し、姫子達の救援に向かった。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:34:55.39 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


姫子「とはいったものの……
持ちこたえるのも一苦労ね」


未知子をかばいながらの戦いだからと言うのももちろんだが、1機、明らかに動きの異なる機体があった。


姫子「指揮官クラスってとこかしら。
それならこいつを倒せば活路が開けそうね」


とは言うものの、対峙している姫子には、自分と敵機との実力差が、手に取るように分かった。


姫子「これは、澪でも無理かもね。
やれるとしたらさわちゃんぐらいかしら」


食いしばった歯の間から、悔しそうに呟く。


姫子「いちご、未知子つれて先に行って」

いちご「やだ」

姫子「やだじゃない!澪と私なら何とかできる!」

いちご「なら彼女が来るまで」

姫子「澪が来るぐらいまでなら何とか持ちこたえてみせるわ。
だから早く!」

いちご「……分かった」


いちごは、姫子の意思が変わらないことを悟り、指示に従い、未知子を連れて撤退した。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:35:34.36 ID:FoJ5E9Bl0<> 姫子は僚機が去ったのを確認すると、敵機へと集中した。
相手との実力差は認めざるを得ないが、それでもあきらめるわけにはいかない。
姫子はGの限界に挑戦するかのように、機体を振り、相手を揺さぶろうとする。


ソブギン「ふっ、この俺様に1機で向かってくるとは。なめられたもんだぜ」


だが、敵の指揮官、ソブギン・ビルオーは、不適な笑みを浮かべ、姫子を追い詰めていく。


ソブギン」そこだ」

姫子「しまった!」


ソブギンは、姫子の僅かな隙をつき、マニピュレーターで拘束すると、ビームを放った。


姫子「な、何これ……力が抜・け・て……」

澪「姫子、一旦下がって」


漸く到着した澪が叫ぶが、姫この反応はない。
姫この機体は、大きな損傷はなさそうだったが、宇宙空間をぷかぷかと漂っているだけだった。


澪「姫子!どうしたんだ姫子!」


澪の必死の叫びもむなしく、姫子からの応答は、とうとう来なかった。


ソブギン「ふははは、今度はこいつか」


ソブギンは、高笑いを挙げながら、今度は澪に向かって突っ込んできた。


澪「お前かぁ!姫子をやったのはぁーーーー!!!」


澪は、般若のような形相を浮かべると、向かってくる敵機へと突っ込んでいった。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:36:29.39 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

敵旗艦ブリッジ


スミルス「な、なんと!あのソブギンが押されているとは」

フェレン「彼奴ら、今まで手加減をしていたとでも言うのか?」

スミルス「まさか、何のために」

フェレン「ううむ、これがマイクローンの力とでも言うのか?」

スミルス「やはりマイクローンに関わるべきではないのです」

フェレン「だが、ゼントラーディとの関係も探らねばならん」

スミルス「確かに……そうではありますが……」

フェレン「ううむ……以後は慎重に事を運ぶとしよう。
とりあえず、ソブギンに撤退するように伝えてくれ」

スミルス「はっ」

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:37:57.56 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


ソブギン「なに、撤退だと?
待ってろ!こんなやつらなど俺様が全滅させてやる!」

サ・ジョーン「フェレン閣下のご命令です」

ソブギン「ちっ、あの糞おやじめ!」


冷ややかに返す、敵通信兵、サ・ジョーンに、そう、忌々しそうにはき捨てると、ソブギンは部下を連れて撤退を開始した。

澪「逃がさない!」

さわ子「澪ちゃん!深追いしちゃだめ!」


澪が撤退するソブギン達を追おうとした時、さわ子がそれを制止した。
澪が視線を送ると、さわ子を含む残りのベア中隊が、合流するため、こちらに向かって来ていた。


さわ子「澪ちゃん、悔しいのは分かるけど、今は負傷者を回収するのが先よ」

澪「……はい」


優しく諭す、さわ子の言葉を受け、光るものが一筋、澪の頬を伝った。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:38:54.57 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――

バトル・サクラガオカブリッジ


風子「敵、撤退していきます!」

艦長「我が方の被害は?」

優「スカル、パープル、イエロー大隊および、レオ中隊全滅。
タイガー中隊、帰艦1機、ベア中隊は、損耗1機です」

艦長「そうか……今回はなんとか持ちこたえた……と言うことか……」


地球を発して初めての異星人との戦闘で、あわや全滅と言えるほどの大敗を喫したバトル・サクラガオカのブリッジ内には、重い空気が充満していた。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:40:06.60 ID:FoJ5E9Bl0<> ―――


律「ちぇぇ、誰も私らの音楽聴かないんだもんな」


戦闘宙域からの帰途、律がつまらなさそうに呟く。


唯「まあ初めてだしねぇ。
バサラも最初はうまくいかなかったって言うしぃ、これからだよ、りっちゃん」


紬「そうよ、唯ちゃんの言うとおりよ」


律「ま、そうだよなぁ、最初からうまくいくわけないか」

唯「そうだよぉ」


律「よっしゃぁ!
それじゃぁ気を取り直して、いっちょやるかぁ!
1、2、3、4!」


漆黒の宇宙空間に、3人の少女の奏でる音楽が響いた。



<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:41:28.14 ID:FoJ5E9Bl0<>    〜次回予告〜

唯「りっちゃんりっちゃん、マクロスだよぉ!バルキリーだよぉ!なんだかかっこいいよぉ」

律「はぁいはいはい、それより次回予告だろ?」

唯「あぁ、忘れてたぁ!」

律「おい!」

唯「次回は、皆さんお待ちかねの、あの子が登場ですっ!」フンス

律「うぉ〜!
それってやっぱりまだ出てないあいつだよな!?
私たちの大事な」

唯「そう、大事なクラスメイトの信代ちゃんです!」フンスフンス

律「なんでだよっ!」

唯「マクロスS第2話、再会!」

律「よろしくな」

唯「私の歌をきけ!」

律「歌ってないだろ!」

唯「うっ」
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:45:10.61 ID:FoJ5E9Bl0<>     〜マクロス後ティータイム〜

唯律「「ブーブーブーブーブー!!」」

澪「どうしたんだよ、二人とも」

律「なんかぁ!秋山さんだけぇ!かっこよすぎじゃありませんかぁ!」

唯「そうだそうだぁ!」

澪「仕方ないだろ……戦闘中心だったんだから……」

律「私らなんか、姫子より目立ってないじゃないかぁ!」

唯「もっと目立ちたぁい!」

澪「そんなこといったら和なんかはもっと……」

唯「え?和ちゃん出てたっけ?」

澪「おい!」

律「まぁそれはいいとして」

澪「いいんだ」

律「さわちゃんもかっこよすぎだよな!」

唯「あんなのさわちゃんのキャラじゃないよ」

さわ子「ちょっとぉ!あんたたちねぇ!」

律「うわっ、いつからいたんだよ」

さわ子「最初からいたわよ」

さわ子「いいじゃない、いつも貴方たちの引き立て役や汚れ役なんだから」

さわ子「たまには花を持たせなさいよ」

さわ子「それにそのうちどんどん貴方たちに食われてくんだろうし」

律(目立ってた割にはやさぐれてる)

唯「て言うかムギちゃん」

紬「え?」

唯「さっきからぼうっとしてるけどどうしたの?」

紬「あのね……マクロスって言えば三角関係でしょ?」

唯律「「うぉー!!!」」

澪「確かに」

紬「だからね、誰と誰と誰の三角関係になるの化気になっちゃってぇ……」

澪「わ、私は関係ないぞっ!」

律「そうかぁ?澪あたり、渦中の人物に一番なりそうだけどなぁ」

唯「私とりっちゃんで澪ちゃんを取り合うとか?」

澪「そんな、唯と律が私を取り合うなんて」///

紬「うふふ」

さわ子「まぁそのうち分かるでしょ?」

律「自分に関係ないと思ってさわちゃんはぁ」

唯「って言うか、さわちゃんはこの作品でも恋人できないのかな?」

さわ子「うわぁーん!」

さわ子「目立たなくていいから恋人欲しい!!!」

澪律「「おいおい」」

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage saga<>2011/08/19(金) 23:59:03.34 ID:FoJ5E9Bl0<> 皆さん、レスありがとうございます。
>>104
遅筆ですみません。
まったりとお付き合いいただければうれしいです。
>>105-106
大変うれしいお言葉ありがとうございます。
好きな曲もありがとうございます。
>>107-109
>>1に書けばよかったですね。
配慮が足らず、すみません。
>>110
復活といいますか、ただ遅いだけですorz
好きな曲、ありがとうございました。
>>111
すみませんでした。
これからは十分気をつけていきたいと思います。
>>112
できれば月2で行きたいのですが。
まったりとお付き合いいただければうれしいです。
>>113
どうなるか、見守ってやってください。
>>114
自分は絵は描けないので、もしよろしければ、自由に描いてやってください。
>>116
実はまだ唯は第1期5話ぐらいの実力と言う設定だったりするんです。


それでは、近いうちに2話、3話もUPしますので、よろしくお願いいたします。 <> 名無しに代わりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/08/24(水) 00:37:35.04 ID:jOh5NWYDO<> なんとも分かりやすくなったねぇ

ただageてくれないとわからないかな <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<><>2011/08/29(月) 03:22:09.88 ID:iYNbZpMAO<> 更バーーーローー番最初のはageた方が良いね、てかageんと来たの分からんし
乙 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:36:44.22 ID:Xr7U5f5a0<>
西暦2069年4月。
移住可能な星を求め、銀河の中心を目指し、航行を続けていた、新マクロス級27番艦、マクロス・サクラガオカを中心とした、
第27新マクロス級超長距離移民船団、マクロス・サクラガオカは、未知の異星人と接触、交戦状態へと突入した。
未知の異星人の戦闘力は高く、新統合軍の艦載機群は、全滅直前まで追い込まれた。

またその際、注目の女子高生インディーズバンド、放課後ティータイムが戦闘宙域に乱入し、歌で敵を追い払ったという、伝説のロックバンド、FIRE BOMBERさながらの演奏を行ったのだった。

<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:38:11.77 ID:Xr7U5f5a0<>
―――


   第二話 再会!


―――
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:43:30.23 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


紬「りっちゃん、唯ちゃんおはよう」


紬が、合い鍵で律と唯が住むアパートのドアを開け、挨拶をするが、部屋の中からは何の物音もない。
紬は、やっぱり二人はまだ寝ているのだと思い、二人の寝室へと向かった。


紬「ほら、りっちゃん、起きてぇ、唯ちゃんも」


ベッドが二つ置かれただけの、簡素な寝室に入ってみると、思った通り、二人はまだ、夢の世界を楽しんでいる最中だった。


律「うぅ、後5分」

紬「だめよ」

唯「今日は日曜日だもん、まだいいよぉ」

紬「だめだって、バイトに遅れちゃう」

律「まだ9時だろ?大丈夫だって」

紬「今日からバイト先、変わったでしょ」

律「あっ、しまった!」


律は紬の言葉で、ベッドから跳ね起きる。


律「おい、唯も起きろ!!」

唯「ほえぇ、りっちゃんとムギちゃんでいってきてぇ」

律「こら!」

唯「あいったぁ」


唯は律に小突かれ、頭をさすりながら、やっとベッドから這い出してきた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:45:51.31 ID:Xr7U5f5a0<>

唯「りっちゃん酷いよぉ」

律「唯が起きて来ないからだろ〜」


涙目の唯に、律は笑って返す。


紬「それより二人とも、急いで顔洗ってきて」

唯「えぇ、朝ご飯はぁ?」

律「さすがに間に合わないだろ?」

唯「ぶー」

紬「唯ちゃん、今日は我慢して」

律「新しいとこで、いきなり遅刻って言うわけにもいかないからな」

唯「しょうがないかぁ」


律と紬の言葉に、唯はしぶしぶ動き出した。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:47:40.05 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


澪「姫子……」


澪が軍病院の一室に入ると、そこには先の戦闘で負傷した、姫子が横たわっていた。


澪「どうしたんだよ、姫子……
賭けは私の勝ちだぞ……
イチゴパフェおごってくれるんだろ……?」


澪は、姫子のベッドに近づきながら、静かに語りかける。
姫子は、バイタルチェックのための医療機器に繋がれてはいるものの、大きな外傷はないようだった。


澪「なぁ、パフェなんていいからさ……
起きてくれよ……
姫子……」


姫子の手を取り、語りかける澪の瞳に映る姫この姿が、涙で滲んだ。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:50:05.64 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


艦長「意識が戻らない?」


軍医からの報告を受けた艦長は、驚愕の表情を浮かべ、問い返す。


軍医「はい、敵の攻撃を受けたパイロットのほとんどは、目立つ外傷はないものの、昏睡状態に陥り、目覚める様子はありません」

艦長「まさか、その症状は」

軍医「はい、24年前、マクロス7が遭遇した、プロトデビルンとの戦い似寄る負傷者の症状と酷似しております」

和「まさか!
プロトデビルンは、熱気バサラの活躍によって追い払われたはずじゃ」

艦長「ううむ、現段階で結論を出すには性急過ぎるだろう。
エリ君、マクロス7に連絡を取ってくれ。
エキセドル参謀と話がしたい」

エリ「イエッサー」
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:51:32.28 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


唯「ムギちゃん、ありがとう」

律「ほんと悪いな」


紬が運転する車の後部座席で、二人がパンをかじりながらお礼を言う。


紬「いいのよ、私はきちんと食べてきたから。
それにしても、買い置きのパンがあってよかったね」

唯「ほんとよかったよぉ」


紬は、バックミラー越しにパンを頬張る二人を見、いつものポワポワした微笑を浮かべ、続ける。


紬「でも、これからバイト先、遠くなったんだから、もうちょっと早く起きてね」

唯律「「は〜い」」


紬の言葉に、唯と律は声をそろえ、無邪気に答えた。

唯と律は、身寄りがなく、廃墟寸前のボロアパートに二人で暮らしていたが、生活費や学費を稼ぐため、週に何回かアルバイトをしていた。
人気バンドのギターとドラムとは言え、まだ、インディーズで名前が売れ始めたと言うだけで、生活費をまかなえるほどの収入などはなかったからだ。
紬は、経済的に余裕はあったが、友人とバイトをすることに意義を見出し、二人と共にバイトをしていた。
3人は、今までも、娘々(ニャンニャン)と言う、中華料理チェーン店で働いていたのだが、
今日オープンする、バトル・サクラガオカにほど近い、トヨサト支店に3人そろって移動となったのだった。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:55:02.77 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


エリ「艦長、エキセドル参謀に繋がりました」


エリの報告と共に、バトル・サクラガオカブリッジのスクリーンに、マクロス7の参謀、エキセドル・ホルモの顔が映し出された。


エキセドル『これはこれは、沖山艦長、お久しぶりですな。
ご壮健そうでなにより」

艦長「エキセドル参謀こそ、お元気そうで何よりです」

エキセドル『いやいや、私は、すっかり耄碌してしまっておりますわい』

艦長「何をおっしゃいます」

エキセドル『……ところで、わざわざ私にお話とは、どのようなご用件ですかな?』


エキセドルは、社交辞令を打ち切ると、表情を引き締め、本題を促した。


艦長「それが……」


艦長は、昨日、未知の異星人と戦闘状態に陥ったこと、
その敵により負傷した者が、24年前、マクロス7が遭遇した、プロトデビルンとの戦闘での負傷者の症状と酷似していることを話した。


エキセドル『まさか!
プロトデビルンは宇宙の彼方に去ったはず』

艦長「艦載機から撮影した映像もご覧ください」

エキセドル『お!なんと!……
まさか!そんなはずは!』


映像を見た、エキセドルの顔に驚愕の色が浮かぶ。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:55:51.55 ID:Xr7U5f5a0<>

艦長「エキセドル参謀」

エキセドル『……これは失礼。
……だが、まさかこのようなことが……』

艦長「エキセドル参謀、彼らはいったい何者なのですか?」


要領を得ないエキセドルに、艦長は少しいら立たしげに問い返す。


エキセドル『彼らは……監察軍です』

艦長「監察軍!?
ゼントラーディが50万年間戦い続けているという、あの監察軍ですか!?」

エキセドル『さよう。だが、この辺りはゼントラーディの勢力下。
監察軍の船がいるとは思えん』

艦長「と言うことは?」

エキセドル『……うぅむ、断言は出来んが、はぐれ監察軍ではないですかな?』

艦長「はぐれ監察軍?」

エキセドル『ゼントラーディ軍に殲滅された、艦隊の生き残りと言うことですな。
ただ、こうやって1000隻程度で、ゼントラーディの勢力下で生き延びているところを見ると……』

艦長「かなりの実力を持っていると言うことですな」

エキセドル『まぁ、まだ他にいないとは限りませんが』

艦長「確かに」

エキセドル『それと、負傷者の症状から考えると、スピリチア吸収装置を持ってると考えるのが妥当でしょうな』

艦長「ですが、監察軍がなぜその様なものを」

エキセドル『それを説明するには、我々の歴史から話さねばなりませんな』


エキセドルは、そう言うと、プロトカルチャーから始まる歴史を、とつとつと語り始めた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:58:50.37 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


50万年以上前、この宇宙には、プロトカルチャーと呼ばれる、超文明を持った人間サイズの種族がいた。
彼らは、勢力を拡大するにあたり、代理兵士として、巨人種族、ゼントラーディを遺伝子操作により生み出した。
彼ら、プロトカルチャーは、宇宙全体へとその生活圏を広げ、巨大な星間国家を樹立した。
だが、その平和も長くは続かず、やがて、その統一国家は、二つの勢力に分かれ、争うようになった。
プロトカルチャーは、その戦闘の最中、更なる強力な生物兵器として、エビルシリーズを作り出した。
だが、稼動実験中のエビルシリーズに、別宇宙から来た、意思を持つエネルギー体が宿り、プロトデビルンとなってしまった。
プロトデビルンは、彼らの食料とも言うべき、精神エネルギー“スピリチア”を求め、プロトカルチャーを襲撃し始めた。
その際、プロトデビルンは、プロトカルチャーとゼントラーディの一部を洗脳し、尖兵とした。
それが監察軍である。
その後、プロトデビルンは、“アニマスピリチア”と呼ばれる、特別なスピリチアを持つプロトカルチャーによって、バロータ星系、第4惑星に封印されたが、
わずかに生き残ったプロトカルチャーも、その後の長きに渡る戦闘の末、自ら生み出した巨人兵達に滅ぼされた。
主を失ったゼントラーディ軍と監察軍は、本能の赴くまま、その後も戦い続け、現在も宇宙のどこかで戦い続けている。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 22:59:46.06 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


エキセドル『監察軍の一部は、プロトデビルンのため、スピリチアを集めていたようですな』

艦長「なるほど、昨日遭遇したのはそのような部隊と?」

エキセドル『でも、本来の目的とは違い、兵器として利用してるのでしょうな。
なんせ彼らにはスピリチアは必要ない』

艦長「なるほど、参考になりました」

エキセドル『うぅむ、これはあくまで憶測でしかありませんがな』

艦長「いえ、ありがとうございます」

エキセドル『私で役に立つことがあれば、またいつでもお尋ねください』

和「艦長、今のお話」


エキセドル参謀の姿がスクリーンから消えると、それまで黙っていた和が、艦長に問いかける。


艦長「うぅむ、鵜呑みにするわけにはいかないが、現状では最も可能性の高い仮説ではあるな」

和「そうですね」

艦長「エキセドル参謀の話を踏まえ、少し検討してみなくてはな」
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:04:17.64 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


澪「私は何をしているんだろう……」


澪は、重い足を引きずるように、一人、軍病院からの帰途にいた。


澪「みんなを守りたくて、軍に入ったはずなのに、仲間一人守れないなんて……」


澪は、右手で服の胸元を強く握りしめ呟いた。


和「あれ?澪じゃない?」


聞き覚えのある声に振り返ると、そこには和と優がいた。


澪「あぁ、和に優ちゃん。
二人揃って、こんなところでどうしたんだ?」

和「二人ともこれから非番なの」

優「それで、久しぶりに二人で食事でもしようって思って」

澪「そうか、相変わらず仲がいいな」

澪は、楽しそうな二人の笑顔に、暖かいものを感じ、小さく微笑んだ。


優「ところで澪さんは、こんなところでどうしたんですか?
そろそろフォッカー勲章の授賞式の時間じゃ?」

澪「あぁ……」

和「行きたくないって顔ね」

優「どうして?」

澪「私に受け取る資格なんてないよ……」

優「澪さん……」


瞳を伏せる澪に、優が心配そうな眼差しを向ける。


和「気持ちは分かるけど、これも仕事の内よ」

澪「……あぁ分かってる。
市民の目を惨敗から逸らすために、英雄が必要なんだよな……それが虚像だったとしても……」

優「澪さん、そんな……」


自分を卑下するような澪の発言に、異論を唱えようとした優だったが、言葉が続かず、口ごもってしまった。
澪の武勲は、確かにフォッカー勲章に十分見合うものではあったが、軍上層部の思惑には、澪の言った理由が多分に含まれていることを、優も理解していたため、とっさに言葉が見つからなかったのだ。


和「そうよ。だからプロパガンダとして、せいぜい笑顔でも振りまいてらっしゃい」

優「お姉ちゃん!」


辛辣な言葉を投げかける和を、優がたしなめる。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:04:59.86 ID:Xr7U5f5a0<>

澪「いいんだ優ちゃん」

優「澪さん……」


澪は優の肩に優しく手を置くと、笑顔を見せ、続けた。


澪「はっきり言われて、なんか吹っ切れたよ」

優「澪さん」

澪「二人ともありがとう。
とりあえず行ってくるよ」


澪は、少し軽くなった足を、受賞式会場の方へ向け、歩き始めた。


澪(ありがとう、和、優ちゃん。
落ち込んでいる場合じゃないよな)


澪は、二人の優しさに触れ、思う。


澪(私には、和や優ちゃんをはじめ、守らなきゃいけない人がたくさんいる。
そして、このサクラガオカに暮らす人達が、この子と同じ目にあわないようにするために……
私と同じ思いをさせないために……)


澪は、再び右手で服の胸元をぎゅっと握る。

澪(そうだよな、尚子)


歩き始めた澪の表情は、先ほどとは違い、決意のこもったものになっていた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:10:10.14 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


紬「やっと落ち着いたわね」


正午を1時間ほど過ぎ、まばらになった娘々の店内で、紬がほっとしたように呟く。


唯「オープン初日ってすごいねぇ」

紬「キャンペーンもやってるしね」


ホールで二人がそんな会話をしていると、ドアが開き、二人の少女が入店してきた。


唯「いらっしゃいませぇ!
なんになさいますか?」


唯は、いつものように元気良く、オーダーを取りに行く。


優「えっと、私はこのラーメンとチャーハンのセットにしようかな?
あっ、このセットって大盛りも出来ます?」


少女がふっと顔を上げ、笑顔で唯に尋ねた、その時だった。


唯「…………」


唯は、なぜか切ない様な、苦しいような感情を覚え、息を呑み、少女の笑顔を見つめた。


優「あの……」


しばらくの間、ただ少女の顔を見つめていた唯だったが、少女の訝しげな問いかけに、我を取り戻した。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:12:04.71 ID:Xr7U5f5a0<>

唯「は、はい……」

優「これって、大盛り」

唯「あっ、はい、出来ますよ」


唯は、慌てて答えながら、考えていた。


唯(今の葉なんだったんだろう?
私、どうかしちゃったのかな?)


だが、その思考も、少女たちの楽しげな会話により中断させられた。


和「優、貴方そんなに食べられるの?」

優「大丈夫だよ、これから大変なんだから、しっかり食べて体力つけておかないと」

和「それはそうだけど」

優「で、お姉ちゃんは何にするの?」


少女のその言葉を聞くと、唯の体がビクっと跳ねた。


和「そうねぇ、じゃぁ、銀河チャーシューメンと天然チキンの唐揚げで」

優「唐揚げもおいしそうだよね」

和「大丈夫よ、分けてあげるから。

優「やったぁ」

和「そのかわり、チャーハン、少し分けてもらうわよ」

優「うん♪」


二人の仲むつまじい会話を聞くうち、唯の屈託のない笑顔が、見る見るうちに曇っていく。


唯「え、えっと……オーダー繰り返します。
ラーメンとチャーハンのセット大盛り、銀河チャーシューメン、天然チキンの唐揚げ、それぞれ一つずつでよろしかったですか?」


唯は、なんとかそこまで言い切ると、返事を聞くか聞かないかのうちに、逃げるようにその場を後にした。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:15:43.17 ID:Xr7U5f5a0<>

唯「りっちゃん、ラーメンチャーハン大、銀河チャーシューメンと唐揚げね」

律「お、おう」


律は、いつもと違い、元気のない唯に戸惑いながら返事をする。


唯「ねぇ、ムギちゃん、6番テーブルお願いしていいかな?」


紬は唯に言われ、6番テーブルに視線を送ると、二人の少女が談笑しているのが目に入った。


紬「うん、分かった」


それだけで、唯の元気がない理由を理解した紬は、優しく微笑み、うなづいた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:17:40.15 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


ソブギン「畜生!なんで出ちゃいけねえんだ!」


敵艦の中で、ソブギンは苛立ち壁に拳を叩きつける。


ソブギン「あいつらなど一ひねりだと言うのによ!
フェレンのおやじ、なに考えてやがるんだ!」

ジマック「さあ?スミルスの野郎の入れ知恵らしいですが」


腹心の、ジマック・ミューンが、興味なさげに返答すると、ソブギンはさらに声を荒げた。


ソブギン「あの野郎!
かまわねえ!俺達だけでいくぞ!」

ジマック「いいんですかい?」

ソブギン「ああ、いいに決まってるだろ!
このまま手をこまねいていたとありゃ、ソブギン一家の名折れだ!
野郎ども!出撃だ!!」


艦内にソブギンの咆哮が轟いた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:25:32.42 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


さわ子「ど〜ぞ〜」


どことなくやつれた澪が、さわ子の執務室をノックすると、いつものように脱力しきった返事が返ってきた。


澪「秋山澪中尉、入ります」

さわ子「はいはぁい」


暢気なさわ子の返事に、小さくため息を吐くと、澪はさわ子の執務室へと入っていった。


澪「お呼びですか?」

さわ子「授賞式お疲れ様。
そしてフォッカー勲章おめでとう」

澪「……ありがとうございます」

さわ子「あら?パイロットとして最高の栄誉なのに、あんまり嬉しそうじゃないわね」

澪「えぇ、まぁ……」


さわ子は、げっそりとした澪の様子を見て、呆れたようにため息を吐く。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:26:44.59 ID:Xr7U5f5a0<>

さわ子「相当取材攻勢がきつかったみたいねぇ」

澪「はぁ……まぁ……」

さわ子「まぁ、気持ちは分かるけど、これからはそんなことでめげてちゃぁだめよ、秋山澪大尉」

澪「はい……え?」


澪はさわ子の言葉に違和感を覚え、問い返す。


澪「昇進……ですか?」

さわ子「フォッカー勲章を受け取るような武勲をあげたんだもの、当然でしょ」

澪「はぁ……」

さわ子「そして、貴方に小隊を任せるわ」

澪「え!?私にですか!?
なぜ?」

さわ子「今度のことで人的被害が多くてね。
新たに部隊編成をやり直すことになったのよ」

澪「ですが、私は隊長の器ではありません。
実戦経験もまだ1回しかありませんし」

さわ子「なぁに?澪ちゃんは私の人選に文句でもあるわけ?」

澪「いえ、そう言うわけでは」


笑顔で凄むさわこの様子に、澪は思わず、後ずさりする。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:27:10.56 ID:Xr7U5f5a0<>

さわ子「まぁ、冗談は置いておいて、早急にレオ、タイガー中隊の穴を埋めなければならないのは分かるでしょ?」

澪「はい」

さわ子「それで、各バルキリー隊から、優秀な人材を集め、再編成することになったわけだけど、
実際、今回の敵との戦闘経験者は、私のベア中隊とタイガー中隊の生還者一人だけなの」

澪「えぇ、そうですね」

さわ子「そこで、私の隊から恵ちゃんと、澪ちゃん、貴方を小隊長とすることになったのよ」

澪「…………」

さわ子「元々貴方たちには将来的に隊を任せようとは思っていたの。
まぁ、私としても、二人にはもう少し経験を積んでから、と思ってはいたんだけど、そんなことを言ってられる状況じゃなくってね。
だから中隊ではなく、とりあえず小隊から任せることになったんだけど」

澪「……はい、分かりました。
小隊長、勤めさせていただきます」


澪は、置かれた状況と、さわ子の思いを聞き、覚悟を決め、辞令を受け取った。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:31:01.51 ID:Xr7U5f5a0<>

さわ子「それでね、せめてもと思って、澪ちゃんのために優秀な人材を選んであげたから」

澪「ありがとうございます」

さわ子「入ってきて」


さわ子の言葉に、奥の扉が開き、二人の少女が入室して来ると、澪の表情が輝いた。


信代「このたび、秋山大尉の部下となりました、中島信代中尉であります」


二人のうち、大柄な少女が、いたずらっぽい笑みを浮かべ、敬礼をする。


澪「信代、タイガー中隊の生還者って、信代だったのか!?」


思わぬ所での、士官学校の同期との再会に、澪の顔がほころぶ。


信代「あぁ、これからは澪の下でがんばらせてもらうよ……
じゃなかった!澪隊長の下でがんばらせていただきます!」

澪「ふふ」


コミカルな動きと共に、あわてて言い直す信代に、澪は思わず噴出した。


梓「同じく、秋山大尉の部隊に配属となりました、中野梓少尉です。
澪せ、いえ、秋山隊長のお力になれるよう、微力ながら勤めさせていただきます」


今度は、小柄なツインテールの少女が、一歩前に出ると、生真面目そうに敬礼をする。


澪「梓……」

梓「お久しぶりです、澪先輩」

澪「と言っても一昨日まで同じ部隊だったじゃないか」


澪は、小柄な少女に、こぼれんばかりの笑顔で返す。
中野梓少尉は、澪の士官学校の後輩であっただけでなく、澪がベア中隊に配属になる、一昨日まで、同じバーミリオン大隊に所属していた。


澪「梓が一緒なら心強いよ」

梓「そんな」


他意のない澪の言葉に、梓は頬を赤らめ、俯いた。


さわ子「どう?澪ちゃん。
これだけ優秀な二人ならいいでしょ?」

澪「はい!」

さわ子「でもね、澪ちゃん、これだけは覚えておきなさい」


見知った顔に喜び、いつになく浮き足立っている澪に対し、鋭い目つきになったさわ子が続ける。


さわ子「澪ちゃん、これからは、貴方がこの二人の命を預かるの。
貴方の判断一つで、子の子達が命を落とす琴だってあるわ。
それだけは、肝に銘じておきなさい」

澪「はい!」


さわ子の真摯な訓示を受け、澪は決意のこもった瞳で復唱した。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:37:01.29 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


律「よーし、飯できたぞー」


午前の部を終えた、娘々の店内に、律の元気な声が響く。


律「今日のまかないは、りっちゃん特性天津飯とチャーシューメンだぞぉ」

紬「うわぁ、豪勢ね。
りっちゃん、こんなのいいの?
店長さんにばれたら」

律「大丈夫大丈夫、ばれないって!」


律は、歓声を挙げる紬に笑顔で答えると、唯を手招きする。


律「ほーら唯、座って食べようぜい」

唯「……うん」

律「見てみろよ。いつもより卵もふっわふわだぞ」

唯(りっちゃん……)


昼以来、ずっとふさぎ気味だった唯だったが、自分の大好物ばかりを用意し、明るく振舞ってくれる律の心遣いに胸を打たれた。

唯(……りっちゃんありがとね。
そうだね、落ち込んでたって始まんないからね。
うん、元気出さなくっちゃ)


唯「ふふふ、ほんとにふわふわだね」


唯は、律の気持ちに答えようと、笑顔を作る。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:37:32.59 ID:Xr7U5f5a0<>

律「んじゃぁ、食おうぜい。
いっただっきまぁっす」

唯「隙あり!チャーシューも〜らいっ」


唯は、無理やりにでも元気になろうと、わざと明るい声を出し、天津飯に手を伸ばした律のラーメンどんぶりから、チャーシューをごそっとつまみ上げた。


律「おいこら!」

唯「ふっふっふ、油断してるりっちゃん隊長が悪いのです!」

律「なぁにをぉ!
かぁえぇせぇ!」

唯「ふふぅん、もう私のものだも〜ん」


唯は律のチャーシューを自分のどんぶりに入れると、覆いかぶさるように抱きかかえた。


唯(そうだよね、私は一人ぼっちじゃないんだもんね。
りっちゃんもムギちゃんもいるんだから)

律「お前なぁ」

唯「きゃはは」


律の繭尻を下げた情けない表情を見て、唯は楽しそうな声を挙げて笑った。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:38:58.96 ID:Xr7U5f5a0<>

律「ちっくしょー。
ムギもなんとか言って」


律が紬に振り返ると、紬はつけてあったテレビの画面に釘付けになっていた。


律「どうしたんだムギ?」

紬「この子なんだけど……」


テレビには、自分達と同年代と思われる、美しい黒髪の少女が、インタビューを受けているところが映し出されていた。


唯「うわぁ、きれいだねぇ、おねえさんって感じ」


春菜『秋山中尉、ロイ・フォッカー勲章、おめでとうございます』

澪『は、はい!
あ、ありがとございます』

春菜『ロイ・フォッカー勲章と言えば、パイロット最高の栄誉とされていますが、
それを受賞された、今のお気持ちは?』

澪『こ、このような勲章をいたがけ、い、いたがけ……いただけて、こ、光栄です……』

律「ぷぷっ、噛みやがった」

唯「か、かわいい!」

律「そっかぁ?」


真っ赤になって受け答えをする、VTRの澪にはしゃぐ唯に、律は、興味なさげに返す。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:44:30.97 ID:Xr7U5f5a0<>

律「で、ムギ、こいつがどうかしたのか?」

紬「うぅん……どこかで見たような記憶があるんだけど、思い出せなくって……」

律「客で来てたのを覚えてたとかじゃないの?」

唯「これだけかわいかったら、覚えてるかもね」

紬「ううん、そんなんじゃないと思うんだけど……」


澪『は、はい、こ、これからもこのく、勲ちょ、勲章に恥じないよう、がんばりましゅ』

春菜『ははは、ありがとうございます。
このたびの功績で、ロイ・フォッカー勲章を受けられました、秋山澪中尉でした』


紬「え!?」


紬が突然大声を挙げる。


律「どうしたんだ?
思い出したのか?」

唯「ムギちゃん、誰なの?」

紬「ごめんなさい!
ちょっと電話かけてくるね」


そう言うと紬は、あわてて店外へと駆け出した。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:45:45.74 ID:Xr7U5f5a0<>

紬(なぜ?どうして彼女が軍人に?
あの事件の後、しばらくの間、音楽業界を探していたけど……
軍人になってたなんて……見つからないのも当然ね。
でもなんで軍人なんかに……)


紬は、店から少し離れた人通りのないところまで来ると、辺りを伺う。
そして、人がいないことを確認すると、携帯を取り出し電話をかけた。


紬「あ、私です。
そう、お願いがあって。
秋山澪中尉について調べてほしいの。
そう、その秋山澪さん。
そうね、軍に入る前のこととかを特に。お願いします」

紬(もしも、彼女が私の思ったとおりの子だったとしたら……)


紬は、ゆっくり店に戻りながら考える。


紬(このプロジェクトのラストピースとして、彼女以外考えられないわ)
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:46:48.40 ID:Xr7U5f5a0<> ―――

敵艦ブリッジ

スミルス「閣下、ソブギンのやつめが、出撃いたしました」

フェレン「放っておけ」

スミルス「ですが」

フェレン「それより、彼奴らについての分析は進んだのか?」

スミルス「はい、未だゼントラーディとの関係性はつかめないままです。
ただ……」

フェレン「なんだ?」

スミルス「例の、暗号伝聞と思われる音波に関することですが」

フェレン「何か分かったか?」

スミルス「いえ、ただ、分析を進めている者達に不調を訴えるものが続出しております」

フェレン「やはり敵の攻撃手段だったと言う事か?」

スミルス「そこまではまだ……
ですが、やはりあの言い伝えと関わりがあるのかも知れません」

フェレン「マイクローンとは関わるな、か……」

スミルス「ここはサンプルを手に入れるのが近道かも知れませんな」

フェレン「よろしい。それではソブギンにサンプルの捕獲を命じよう」
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:47:53.73 ID:Xr7U5f5a0<> ―――


ジマック「隊長、フェレン閣下から通信が入ってますぜい」

ソブギン「あの糞おやじからだと?」

フェレン『ソブギン、出撃命令は出していないはずだが?』

ソブギン「うっせえな、演習だよ演習」

フェレン『そのような戯れ言が通用すると本気で思っているのか?』

ソブギン「…………」

フェレン『まあ良い。
お前に任務を与えよう。
彼奴らを捕獲し、生きたまま連れて来い』

ソブギン「連れて来いだ?
あいつらなんか俺だけで全滅させてやるぜ!」

フェレン『ソブギン、これは命令だ。
背く場合は、反逆と看做す。
また、作戦成功の場合、無断出撃についても不問としてやろう』

ソブギン「……分かったよ!!!」

ソブギンは、一瞬の逡巡の後、苛立たしげに叫ぶと、通信を切った。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:49:07.94 ID:Xr7U5f5a0<> ―――

敵旗艦ブリッジ


フェレン「スミルス、ジェイラと連絡を取ってくれ」

スミルス「なんと、ジェイラ・イスタームの部隊をお使いになりますか?」

フェレン「うむ、ソブギンだけでは何をやらかすか分からないのでな。
あの馬鹿を止められるのはジェイラぐらいしかおるまい」

スミルス「確かに」

ジェイラ『フェレン閣下、どのようなご用件で』


ブリッジのスクリーンに、フェレン等と同じく巨大な女性の映像が映し出された。


フェレン「ソブギンに協力し、敵艦隊よりサンプルを捕獲してくれ」

ジェイラ『なるほど、お目付け役と言うことですか』

フェレン「まあそう言うことだ」

ジェイラ『了解致しました』

フェレン「うむ、頼んだぞ」
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/16(金) 23:54:13.76 ID:Xr7U5f5a0<> すみません、一気に上げようと思ったんですが、睡魔が限界です。
続きは明日にでも。

>>151-152
レスありがとうございます。
そしてすみません。
話が進んだわけでもないのに、上げるのはどうかと思って前回は上げませんでした。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/17(土) 08:54:52.44 ID:/PerZcTIO<> おつおつ <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:00:13.66 ID:9GGCkvJq0<> ―――


風子「艦長!デフォールド反応です!
11時の方向、距離2000!
大小合わせ、100隻程度の艦艇がデフォールドした模様!」


バトル・サクラガオカブリッジ内に、高橋風この声が響く。


艦長「来たか。
すぐに第1級戦闘配備!」

「「「イエッサー」」」


艦長の言葉に、ブリッジオペレーターが一斉に復唱した。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:01:15.66 ID:9GGCkvJq0<> ―――


律「はぁあ、食った食ったぁ」


娘々の店内で、食事を終えた律が、満足気に背伸びをする。


唯「ほんとにおいしかったねぇ、
りっちゃんありがとう」

律「いいってことよ」

紬「じゃぁ、片付けて帰ろっか」

律「で、これからどうする?
ゲーセンでもい」

しずか「サクラガオカ行政府からお知らせ致します。
現在、我が船団は、敵の襲撃を受けております。
市民の皆さんは所定のシェルターへ避難してください」


ゲーセンでもいくか?と律が言い終わらないうちに、サクラガオカ1内に、けたたましいサイレンの音と、艦内放送が響いた。


紬「また来たみたいだね」

唯「今度こそ、私たちの音楽、届けようね」

律「おう!」


3人は言葉を交わすと、店内をそのままに、駆け出していった。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:04:01.90 ID:9GGCkvJq0<> ―――


澪「ラビットリーダーよりラビット3、梓」

梓「は、はい!」


澪の通信を受け、梓は、バルキリーのコックピットで、素っ頓狂な声を挙げた。


澪「梓、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」

梓「緊張なんてしてません!」

澪「無理をしなくていい。
私も昨日はガチガチだったんだ」

梓「……澪先輩も、ですか?」


強張った表情で問いかける梓に、澪は優しく話しかけた。


澪「あぁ、だから怖いのはお前だけじゃない。大丈夫だ」

梓「はい」


少し表情を和らげた梓、澪は続ける。


澪「で、梓。
この前おいしいケーキ屋さんを見つけたんだ」

梓「はい?」

澪「終わったら食べに行こう」

梓「は、はい!」

梓の緊張をほぐすためにかけた澪の言葉だったが、梓の方は、思いもよらなかった澪の誘いに、作戦中だということも忘れ、頬を赤らめ、元気よく答えた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:04:52.69 ID:9GGCkvJq0<>

澪「作戦の成功と3人の親睦尾兼ねてな」

梓「え?……あの……」

信代「はっはっは、澪先輩と二人っきりで行きたかったってか」


喜んだのもつかの間、続けられた澪の言葉に落胆の表情を浮かべた梓に、信代が楽しげに話しかける。


梓「そ、そう言うわけじゃありません!」

信代「照れちゃってぇ、かっわいいなぁ。
隠さなくってもいいって」

梓「……信代先輩。
バルキリー乗りのジンクス知らないんですか?」


そんな信代に、少しむっとした梓が、低い声で返す。


信代「作戦中に同僚を女でからかうと、撃墜されるってやつだっけ?
大丈夫大丈夫、今まで一度も撃墜されてないからな。はっはっは」

梓「……そんな風にいつも人をからかってるんですか?」

信代「まあな」


あきれ気味の、梓の言葉を軽く受け流すと、信代はまた楽しげに哄笑した。


澪「二人とも、おしゃべりはここまでだ。
そろそろ敵と接触するぞ」

信代梓「「了解」」


二人の先輩に振り回された梓は、緊張していたことさへ、いつしか忘れてしまっていた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:05:45.43 ID:9GGCkvJq0<> ―――

ジェイラ艦ブリッジ


ジェイラ「クリスティン、クリスティン・チャーマンはいるか?」

クリスティン「はっ」


ジェイラ・イスタームの声に、巨大な少女が進み出る。

ジェイラ「ソブギンのやつが、フェレン閣下の言いつけで、マイクローンのサンプルを捕獲しようとしている。
後は分かるな?」

クリスティン「はっ、お任せください」


ジェイラの命を受けたクリスティンは、十数機の部下を引き連れ、出撃していった。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:09:05.91 ID:9GGCkvJq0<> ―――


三花「ブラウンリーダーからラビットリーダー、
敵主力部隊の攻撃を受け、苦戦中!援軍を請う」


澪「ラビットリーダー了解!
直ちに援護に向かう」


そう澪が、応答した時だった。


律「スピーカーポッド発射ぁ!」


戦場に似つかわしくない、楽しげな声が響いた。


唯「うぉー、ナイスだよりっちゃん!」

律「いくぜぇ!1、2、3、4!」

澪「またこいつらか!」


澪の表情が険しいものに変わる。


澪「そこの民間人!ここは戦闘宙域だ!
下がりなさい!」

律「なぁんだ、またお前かよぉ。
いちいちうっせえんだよ」


澪の言葉に、ドラムを叩きながら、律がめんどくさそうに答える。


澪「なっ」

唯「あれ?貴方澪ちゃん?
澪ちゃんだよね!?テレビで見たよぉ」

律「あっ、噛みまくってたやつか」

澪「うっ……」


澪は、頬を染め、唇を噛む。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:10:30.71 ID:9GGCkvJq0<>

澪「……そんなことより、下がりなさい!」

律「だからうっせえって言ってんだろ!
私たちにはやることがあるんだよ!」

澪「やることだと?
お前達のやることって言うのは、軍務を妨げ、市民を危険にさらすことか!?」

唯「違うよ。
私たちの音楽で、争い自体終わらせるんだもん」


唯のその言葉を聞くと、澪の表情が一変した。


澪「音楽で……音楽で争いが止められうものかぁー!!」

梓「み、澪先輩……」

唯「止められるもん!」

澪「止められるわけないだろっ!!!」

さわ子「澪ちゃん、その子達は私に任せなさい」

澪「ですが!」

さわ子「貴方、ブラウン大隊の援護に行くんでしょ」


普段の冷静さを欠く澪を、さわ子がたしなめる。


澪「……了解」


澪は、悔しそうに復唱すると、自らの部隊へ指示を出した。


澪「ラビットリーダーからラビット2、3。
ラムダ047の、ブラウン大隊の援護に向かう」


信代梓「「了解!」」

梓(澪先輩、どうしたんだろう?
あんな澪先輩、見たことなかった……)


今まで見たことのない、激しい感情を露にした澪の姿に、梓は困惑の表情を浮かべた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:11:16.61 ID:9GGCkvJq0<>

澪「梓、10時50分の方向から敵!」

梓「りょ、了解!」


だが、激しい戦闘のせいで、梓はそれ以上、そのことに思いをはせることはできなかった。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:12:11.09 ID:9GGCkvJq0<> ―――


ソブギン「うわぁっはっはっは!なにがサンプルを捕獲しろだ!
こんな虫けらども、捕獲するまでもないぜ!」


ソブギンは、高笑いをしながら、狩を楽しむように、バルキリーを撃墜していく。


ジマック「いいんですかい?また命令違反とか言われますぜい」

ソブギン「跡で、生き残りを何匹か捕まえりゃいいだろ。
何も、捕獲したサンプル以外を生かしておけなんて命令はされてないからな」

ジマック「まあ、それはそうですな」


ソブギンの言葉を受け、ジマックもいやらしい笑みを浮かべた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:14:14.20 ID:9GGCkvJq0<> ―――


梓「これは……」


目的宙域に到着した梓は、その惨状に思わず息を呑む。
そこにあったのは、二桁に及ぶ味方のバルキリーの残骸と、その中で残っている味方機を追い掛け回す、数機の敵機の姿だった。


信代「またあいつかよ!」


敵指揮官機を視認した信代が、いつになく、激しい感情をむき出しにして、はき捨てるように呟く。


梓「信代先輩?」

澪「信代、落ち着くんだ」

信代「……了解」



辛うじて冷静さを保っている信代を確認した澪は、梓に続けた。


澪「梓、あれは敵指揮官だ。
かなり強いが、私たち3人が力を合わせれば、どうってことない相手だ」

梓「了解!」


梓は、いつもの優しい声音に戻った澪に、安堵し、答えた。


澪「ラビットリーダーより、ブラウンリーダー。
敵指揮官機は私達に任せて。
他は頼む」

三花「ブラウンリーダー了解」

澪「信代、梓、ラブリーハートだ」

信代梓「「了解!!」」


澪のその言葉と同時に、3機のバルキリーが、ソブギン目指し突っ込んでいく。
そして、接触しようとした寸前、梓と信代のバルキリーは、左右に大きく展開し、澪とソブギンの視界から消えた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:17:08.53 ID:9GGCkvJq0<>

ソブギン「ふははは、なんだ俺とタイマンはろうってか?
良い度胸だ!
この前の借り、返してやるぜ!!」


ソブギンは、そう言うと、急速に澪のバルキリーへと突っ込んでくる。


澪「こいつ、早いだけで、動きは直線的だ」


澪は、そう判断すると、バルキリーを、ファイターからガウォークへ変形させ、トリッキーな動きで、ソブギンを翻弄する。


ソブギン「ちくしょー、ちょこまかと動きやがって!」


ただ突っ込み、ミサイルやビームを乱発するソブギンを、澪は、闘牛士のような華麗な動きで、ひらりひらりとかわしていく。


ソブギン「くっそぉー!」

次第に、近くに集中しだした澪の攻撃に、ソブギンが苛立ちの声をあげた時だった。
ソブギンの機体の右腕と左足が、同時に吹き飛んだ。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:18:36.34 ID:9GGCkvJq0<>

信代「いやぁ、隊長だけでも方がつきそうでしたが」

梓「私達、お邪魔しちゃって良かったんでしょうか?」


ソブギン機の右腕と左足を吹き飛ばした、信代と梓が軽口を叩く。

信代と梓は、大きく旋回し、ソブギンの注意から離れ、背後を取ることに成功したのだった。


澪「このまま3人で確実にしとめるぞ」

信代梓「「了解!」」


その言葉と同時に、信代と梓も、バルキリーをガウォーク形態に変え、3法からソブギンを取り囲む。


ソブギン「この俺様がマイクローンなどに!」


ソブギンは、必死に退路を探そうとするが、3人の巧みな連携の前に、徐々に追い詰められていく。


信代「そこだ!」


ソブギンの僅かな隙を突いた信代が、ミサイルの雨を降らせる。


ソブギン「くっ!」


何とか急上昇して、その攻撃をかわしたソブギンだったが、そこには澪のバルキリーから放たれたミサイルが迫っていた。


ソブギン「糞が!」


それもなんとか旋回してかわしたが、かわした先には梓のガンポッドの銃口があった。


梓「これで終わりです!」


その言葉と同時に、閃光が走り、あたりに爆発音が轟いた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:19:32.05 ID:9GGCkvJq0<>

クリスティン「無様なもんだな、ソブギン」


梓のガウォークの右手をガンポッドごと吹き飛ばした、クリスティンが不適に微笑む。


ソブギン「クリスティン、貴様なにしにきやがった!」

クリスティン「おいおい、その言い方はないだろ?
せっかく助けてやったのに」

ソブギン「なにぉ!」

クリスティン「それより撤退だ」

ソブギン「なんだと?まだ任務は終わっちゃいねえー」


クリスティン「ふふふ、貴様が遊んでいる間に、我々がサンプルを捕獲しておいた」

「ソブギン「くっ……
この借りは必ず返してやるぜ!」


ソブギンははき捨てると、クリスティンの後を追い、戦線を離脱していった。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:20:26.12 ID:9GGCkvJq0<> ―――


澪「梓!梓、大丈夫か!」


澪は、梓に駆け寄り叫ぶ。

梓「はい、大丈夫です、右腕以外に損傷はありません」

澪「バカ!梓自身は大丈夫なのか!?」

梓「はい、かすり傷一つありません」

澪「よかった……」


澪は、右手を胸元に当て、心から安心したように呟いた。


梓(澪先輩のこの取り乱し様はなんなんだろう?
澪先輩が、私のことを心配してくれるのは、すごく嬉しいけれど……)


梓は、先ほどの放課後ティータイムとのやり取りを含め、初めて見る澪の一面に、戸惑いと微かな不安を覚えていた。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:21:07.63 ID:9GGCkvJq0<> ―――


律「ちっくしょう!今日もだめだった」

唯「やっぱり、バサラみたいに歌わないとだめなのかな?」


戦闘宙域からの帰途。
律が、悔しそうに叫ぶと、少し俯いた唯が続けた。


紬「……そうかも知れないね」


紬は、そう答えながら思っていた。
そのためにも、自分達には、やはり彼女が必要なのだと。
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:25:18.62 ID:9GGCkvJq0<>    〜次回予告〜


唯「りっちゃんりっちゃんりっちゃん、予告の時間だよ!」

律「おー!
ってか、信代、本当に出るとは思わなかったぜ」

唯「私は嘘をつかないのです!フンス

律「はぁいはいはい、で?次はどんな話なんだ?」

唯「次は、信代ちゃんが大活躍の話です!」フンスフンス

律「誰得なんだよ!
てか信代好き過ぎだろ」

唯「マクロスS第3話、『作戦!』」

律「よろしくな!」

唯「過激にファイヤー!」

律「だから違うだろ!」
<> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:26:56.60 ID:9GGCkvJq0<>    〜マクロス後ティータイム〜


ガチャ


梓「こんにちは」

紬「梓ちゃん、いらっしゃい♪」

律「おー、梓もやっと合流か」

梓「どもです」

唯「あずにゃーん!」ダキッ

梓「唯先輩、いきなり抱きつかないでください!」

唯「もう、あずにゃんったら澪ちゃんべったりでずるい!」スリスリ

律「そうだよな」

梓「仕方ないじゃないですか、みなさんとはまだ戦場で出会っただけですし」

律「まぁ、そうなんだけどさぁ」

梓「それより唯先輩、そろそろ離れてくれませんか?」

澪「そうだぞ唯、梓が困ってるじゃないか」

唯「うぅ、澪ちゃん、あずにゃんを独り占めするつもりだねっ?」

澪「そ、そう言うわけじゃ」///

紬「そう言えば、三角関係、ちょっと輪郭は見えてきたのかしら?」

律「まぁ、一方ははっきりした感じだよなぁ」

唯「え?誰誰?」

さわ子「私と澪ちゃんね」

澪「絶対ありませんからっ!」

さわ子「そんなに思いっきり否定しなくてもいいじゃない。私、泣くわよ」

律「よし、さわちゃん、私の胸で泣け」

さわ子「りっちゃぁん!」ダキッ

さわ子「これで三角関係成立ね」

唯「わ〜い♪」

紬「まあまあまあまあまあまあ」キラキラ

澪「おいおい」

梓「なんだか先が不安になってきました……」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/09/21(水) 21:32:21.40 ID:Hjx15Eljo<> おっつー

露骨な澪推し <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:32:50.39 ID:9GGCkvJq0<> インデックス
第一話 「遭遇!」>>118-149
第二話「作戦!」>>153-181 >>184-200
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/09/21(水) 21:34:58.18 ID:vv30uSLDO<> 唯でも歌えるんじゃ?と思ったが邪推か。期待しとるで <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:39:30.79 ID:9GGCkvJq0<> 遅くなりましたが、2話修正版投下終了です。
第三話は近日中に。
>>182
レスありがとうございます。
遅筆ですが、応援していただけるとありがたいです。
>>201
レスありがとうございます。
主役は唯なんですけどね、バサラポジですし。
徐々に主役らしくなっていくはずです・・・うまく書ければですが。
なので生暖かく見守ってやってくださればありがたいです。 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>saga<>2011/09/21(水) 21:41:01.97 ID:9GGCkvJq0<> >>203
レスありがとうございます。
唯はまだ1期5話以前の実力と言う裏設定がありますので、これからです。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<><>2011/09/27(火) 12:17:04.72 ID:YGs95HAd0<> ソブギンってカムジンっぽいな。
名前も雰囲気もww <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage<>2011/10/19(水) 23:46:50.62 ID:EsW0kDp00<> すみません、作者です。
生存報告です。
ぜんぜん更新できなくて申し訳ありません。
近いうちに更新したいと思っておりますのでよろしくお願いします。 <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage<>2011/10/19(水) 23:50:08.41 ID:EsW0kDp00<> 作者です。
生存報告に来ました。
なかなか更新できなくてすみません。
近いうちに更新したいと思います。 <> マクロスs
◆uYkn28wwx9Nx<><>2011/11/20(日) 10:46:48.28 ID:5zYdoaLp0<> すみません、作者です。
もう少しで仕事も落ち着くので、今しばらくお待ちください。
と言っても、もう読んでる方もおられないと思いますが。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage<>2011/11/20(日) 21:39:00.02 ID:z/7QPytG0<> まってるよー <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)<>sage saga<>2011/12/06(火) 23:15:33.72 ID:jqWPpBOSO<> 生存報告だけレスするなら、一回削除して完成してから立て直した方がいいぞ <> マクロスS
◆uYkn28wwx9Nx<>sage<>2012/01/20(金) 17:37:32.17 ID:sazvC55a0<> こんにちは、作者です。

第3話をうpしようと思ったのですが、どうしましょう?
一度html化依頼して、全話書き上げてから、改めてスレ立てた方がいいのでしょうか? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2012/01/30(月) 20:59:27.62 ID:805Y+L60o<> 完成させる気があるなら完成してからまとめて投下したほうがいいと思うよ <>