VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2011/05/31(火) 20:35:03.31 ID:IXtDjfAAO<>注意

中二病を放置してこじらせた>>1が携帯の癖に生意気にも立てて投下します
誤字脱字原作と違う独自解釈すんな読解力無さ過ぎ、な所は生暖かい目でスルーしたり叩いたりして下さい

腐海より深い不快を与えられるような後味悪い内容でも許して下さい
言い回しうざくても怒らないで下さい
ヤンデレや俺TUEEEEEや稚拙作品が嫌いな方は腑が煮えくり返る前にお戻り下さい

先に謝ります、まじごめんなさい
エログロは無いと思う

大筋は原作ですが、全く違う内容です<>善吉「江迎怒江は俺の嫁!」 箱庭学園生「えっ?」 VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:36:02.38 ID:IXtDjfAAO<>
彼女は腐敗臭のように現れた。

何時の間にか其処にいて、強烈な印象を与えて、除去されるまで居座り続ける。

 −十三組所属江迎怒江。持ち得るスキルは荒廃した腐花(ラフラフレシア)。

 その手に触れたモノならば有機物も無機物も腐らせる力。

微生物達が時間をかけて作り替える作業を、触れるだけで行う異様で異質で歪な力。

 その力は結局、彼女の心を一番腐らせた。

彼女が一番欲しい愛情すら、腐らせた。

だから彼女は、愛を欲する。

 誰よりも異様で異質で歪な愛を与えながら。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:36:28.46 ID:IXtDjfAAO<>


「あなたなんか

――――これは、ありふれた高校生がありふれた恋愛をするだけのありふれた物語。


好きにならなければ良かった。」



序章
終わりへの始まり(ラスト プロローグ) <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:37:36.18 ID:IXtDjfAAO<>  
 彼女は走る。ひたすら。

二百メートルほど離れた場所から男が何か叫んでいるが知ったことか。

パニックながら冷静に判断した末の逃走に、思索を再試行する余裕は無い。

 「おーい、そんなに慌ててどうしたんだよ―?」

彼は、間延びした、子供のような無邪気な声を上げていた。

ぽかんとした顔の上には、クエスチョンマークが幾つもの浮かぶ。

だって女性が走り出した理由がとんと見当もつかないから、故に頭を捻って討論会を開く。

 そもそも、二人の見解は決定的に違う。

 女性は逃げると追うのハンティングの関係という認識であり、女性自身は哀れにも逃げる側でいた。

 追う側ならばどんなに安心出来ただろうか。

無意味な延命行為に過ぎないこの行動が、腐っていた筈の心を蝕んで行く。

 いつものように手でモノに触れたような事は無い。

まさしく菌類が根を張り胞子を撒き散らすように、ゆっくり着実にその毒糸を伸ばして。

中身を吸い上げ、改竄し、自分の身にしていく。

 一方男性の認識は、走り出した相手に取り残されたというだけである。

 常識的に考えていきなり目の前の相手が逃げ出したら混乱する。

何ら間違って無い。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:38:15.20 ID:IXtDjfAAO<>
 この認識はとどのつまり二人共正解だし、二人共不正解である。

男性は、彼女が思っているような狩人でもなければスナイパーでもない。

暗殺者でもストーカーでも悪魔でもヒーローでも超能力者でも宇宙人でも未来人でも神でも無い。

男性は非常に良識的な一般的な理由で彼女に今まで接していたしこれからも接する予定で、未来の事を言うなれば事実接し続けている。

逃げ出した時も悪意は無く聖人君子のようなまっさらで曇りない晴れやかで健やかな心持ちで接しようとした。

 だから彼女は間違っている。

 女性は、男性が思っているような常識人でも無ければ一般人でもない。

ジョギングしたいわけでも鬼ごっこをしたいわけでも秘密の花園へお花を摘みに行ったわけでも不意に何かを思い出したわけでも女の子特有の日が来てしまったわけでもマリッジブルーのような精神不安定感に襲われたわけでも背後に幽霊が見えたわけでも破廉恥な考えをしていたたまれなくなったわけでも無い。

 男性という彼女にとっての圧倒的な狂気から逃げ出した。

そう、生物特有の防御反応。防衛本能。

そして危機からの現実逃避に過ぎない。

 だから彼は間違っている。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:38:57.90 ID:IXtDjfAAO<>
 「待ってくれよ、怒江。」

呟く彼の言葉は届かない。届く筈がない。あまりに遠すぎる。

だが。

 「ひっ!」

彼女は小さな悲鳴を上げて、よりスピードを上げた。

振り向く事も無く、後方より何かをしたナニカに怯えて。

 こんな時、ドレスチックなフワフワした衣服が憎たらしい。ジャージとスニーカーならもっと素早く出来たろうに。

自分の服をチラリと見つめて、余計な事を考えてしまった。

 一瞬だけ脳が緊張から解放された。授業中にふと今晩のおかずを考えるように、だらけてしまった。

 テスト勉強中に掃除がしたくなるように、今必要無いものに無意識ながら首を突っ込んだのだ。

だからタイミング悪く発せられた、今一番聞きたくない言葉まで処理されてしまう。

 「うーん、とりあえず追い掛けるか。」

 追い掛ける?誰を?

私を?

彼が?

捕まったら、ドウナル?

 喫緊の課題は逃げる事。服がどうたらとか道がどうたらとか意識する余裕なぞ無いのだ。

大切なのは、手足がもげようが心臓が破砕しようが、後ろの悪夢からにげる事。

悪夢であって欲しい現実(あくま)から逃げる事。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:39:47.72 ID:IXtDjfAAO<>


手遅れと理解して絶望する前の、最後の悪足掻き。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:40:13.82 ID:IXtDjfAAO<>
 「でも何で急に鬼ごっこなんか……いやはや乙女心は複雑だな。」

その場でぴょんぴょんと垂直跳びをしながら、手足をほぐして首を鳴らす。

少しだけ足元を確認して、息を吐く。

肺の中を捨て去ってしまう直前、彼は口を噤み地を蹂躙した。

 走りながらも彼は考えていた。

全速力で行けばすぐに追い付く、だがそれで良いものかと。

 黒神めたがに並ぶ為に鍛えた自分を、可憐でか弱い彼女が撒けるのは不可能だ。

ならばそれを分かった上でワザと走っているに違いない。

 それはつまり……。

「どういう意味だ?まさか……。」

 ついつい弱気な言葉が漏れる。

まさか多分きっともしかしてひょっとしたら、自分は嫌われたのでは無いかと。

 見失わないように追い付かないように、彼は追いかけながら考えた。

雨でも無いのに視界が滲む。汗はかいて無い筈なのに。

 「俺の事、嫌いになっちまったのか……?」

 だとしたらどうだ。ヘドロのより穢らしい忌み嫌う俺が、同じ空気を吸うくらいなら産業廃棄物と寝た方が良いと思われている俺が追い掛ける事は、彼女を不幸せにしているではないか。

「女々しいストーカー野郎。気持ち悪い。死ね。」
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:40:42.89 ID:IXtDjfAAO<>
 愛しい人の声で幻聴が聴こえる。

 「死ね。死ね。死ね。腐れ砕けろ灰になれ、塵になれ融けろ鳥葬されろ。」

 今きっと彼女は、こんな風に思っているのだ。汚物を見るような目を向けて。

 「嫌われ、ちゃったのか……。」

 いつの間にか足が止まった。

さっきまで反発していた地面に今度は膝から吸い寄せられる。

雫が止まらない。

 男のクセに情けない。

頭で叱咤激励しても、心が追い付かない。

 胸にコンプレッサーでも入っているのだろうか、狂いそうだ、張り裂けそうだ。

 「でも、【泣いたけど、遠いあの子に……この愛を届けたいな……。】」

 そうだ、せめてこの気持ちだけ。

 もう振られたんだ。じゃあ諦めよう。諦めて死のう。

その前に、今までの御礼とお詫びをしておかなくちゃ。

 男は走り出す。今までの疑問など吹き飛ばして、ただ思いを伝える為だけに。

 待っててね。

 すぐ終わるから。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:43:58.94 ID:IXtDjfAAO<>


第一章

出逢い、病愛、i、崩壊


<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:44:33.41 ID:IXtDjfAAO<>
 やべえ。どれくらいヤバいかと言えばデビルやべえ。

神話とか詳しく無いが、ルシフェルとかベルゼブブとかリリスとかそういうとんでもないレベルのデビル並みにやべえ。

つまりサタンやべぇ!

あれ?サタンとデビルってどっちが……あれ?

 今の文明の五十年は先を行く斬新でくだらない表現を持ち出しながら人吉善吉は走っていた。

廊下も校庭も中庭も教室も構わずにこのデビル広い…失敬、このとても広い箱庭学園を。

 廊下を走ってはいけないのは日本全国共通のルールである。天変地異が起きても歩くのがマナーだ。

 だが、壁を登ったり校舎を破壊したり自転車で廊下をぶっちぎったりする半露出狂の生徒会長も居たりするので何とも難しい。

そう言えばその生徒会長を取締りに来た風紀委員も、鎖やメリケンサックや鍵爪や爆弾を振りかざしていた。

 彼らが特殊か異常なのだ、多分。

天才の事を凡才がいくら考えても理解出来ないように、彼らやそれを許す学園側を理解出来るわけがない。

 この際だから、バカと天才は紙一重という慣用句だか諺だかは、脇に置いてクシャクシャに丸めて屑籠に叩き込んで忘れておこう。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:45:56.81 ID:IXtDjfAAO<>
 「へっ、俺の逃げ方を見透かしても、それ以上の速さで逃げれば問題ない!」

免許をもったブラックジャック、過保護の化身(おかあさん)から絶賛心配され過ぎて生きるのが辛い善吉は、非常に馬鹿な理屈でダッシュをしていた。

 この角を曲がって、次は……。

 ルートの構築を開始した頃、ドンっと彼に衝撃が走る。

 いかにもベターに分かりやすい曲がり角で奇跡的にまかり間違って、本日来たばかりの転校生と衝突した。

この後で散々衝突する相手と激突したのだ。

 フリルのセーラーに薔薇色のリボン。

ご丁寧に尻餅をついて足はM字になりつつある。いや、正面からならへの字だ。

リボンと同色のストッキングが艶めかしく輝き、女性の大切な部分は長いスカートによって発生した影に隠されている。

その麻薬より魅惑的な魔の三角地帯(ゴールデントライ・アングル)も、しっかりすっぽり覆い隠していた。

パンは咥えていなかったのが悔やまれる。

 惜しい。

一瞬だが正常で健全な通常(ノーマル)の善吉少年はそう感じた。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:47:24.62 ID:IXtDjfAAO<>  ぶつかった瞬間に綺麗に捲れ上がって白と水色の縞模様がこんにちはしたりはしない。

男が前のめりに突っ込んで美しき太ももに挟まれたりもしないし、逆に女の子が男の顔面にてマウントポジションを取ったりだってしない。

そんな事は15歳以上のゲームか18歳以上の書籍か健全な月間漫画に任せるべきである。

 「あいたーっ!ちょっとあんた!」

彼女が抗議の声をあげる。

 パンツ事情に一瞬、というか六瞬くらい現を抜かしていた善吉も現実に戻される。

「馬鹿じゃない!?何でそんな所でぼーっと突っ立ってんのよ!!」

いや、突っ込んで行ったので突っ立ってはいませんよ。

なんて無粋な事は言わずに紳士的に女尊男卑のイケメンらしい大人な対応をする。

男女平等なんて精神はこの世に無い、絶対無い。

 「悪い、大丈夫か?」

咄嗟に片手を差し出し、にこやかに微笑む。

 江迎怒江との出逢いは、異質な程当たり前で異常な程平凡な気持ち悪い偶然であった。

 男の子から手を差し伸べられるなんて、初めて……

語尾にハートマークをつけ、頬と心の内をピンクに染める。

彼女は今明確に、初めての体験によって確実に、恋に堕ちていた。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 20:48:17.06 ID:IXtDjfAAO<>
 善良なる左手と腐りきった右手が触れ合う瞬間、咄嗟に二人の手は離れる。

「あっ……。」

彼女はついつい、触れ合いが取れなく切ない声を漏れてしまう。

 「追い付かれた!」

その場に居た怒江をお姫様抱っこし、鍵爪もスパイクも無しに壁を駆け上がる。

名付けてデビルクライム。

 かつて時計塔で都城王土がやったように体中の筋力を駆使して、スパイダーマンのように足でへばり付き、黒神めだかの立ち乗りのように目的地へと突っ切る。

そして屋上まで登りきってから彼は気付くのだ。

 この子連れてこなくても良かったじゃないか、と。

 そして連れてこない方が良かっただろう。

 彼の為にも彼女の為にも、それ以外の為にも。

 「あ、あのね……?」

江迎怒江、一世一代の決意表明が始まる。

 そういえば球磨川が応援すると言っていた。(言っていない)

彼も愛していると言っていた。(言っていない)

手を差し出して、「こんな美しい愛おしい君を跳ね飛ばすだなんて、何て罪深いのだろうか!」と泣いていた。(泣いていない)

そして何よりも、世界がちっぽけになる程の相思相愛。(片思い)

 これはつまり、結婚するしかない!

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/05/31(火) 20:49:08.74 ID:ZQ7jf3NAO<> これは期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2011/05/31(火) 20:59:52.10 ID:IXtDjfAAO<> ミスった、書き溜めに使ってたメモ帳を他のメモごとまとめて全削除とか馬鹿じゃねぇの俺
選択削除と全削除を間違えてんじゃねぇよ畜生


一章の途中でキリが悪いですが、今から復旧しますすいません。
今夜中に一章は最後までアップるつもりです。ああ本当にすいません
以下叩きまくってくだせぇ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(チベット自治区)<>sage<>2011/05/31(火) 21:05:39.01 ID:9wjLgdDGo<> めだかSSか
期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/05/31(火) 21:53:23.69 ID:z8L+L2AAO<> つまり…どういうことだってばよ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/05/31(火) 22:09:11.27 ID:CEbmGqino<> 期待 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)<>sage<>2011/05/31(火) 23:23:24.90 ID:XkP7ZlAA0<> 俺は!このSSを!応援する!! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:44:52.26 ID:IXtDjfAAO<> こんな奇形スレにありがとうございます

あ、分からない所は言って下されば、章と章の間で説明致します


では復旧させた一章の続きです <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:46:06.51 ID:IXtDjfAAO<>
 「マズいわ、あの子見たことがある。」

女一人を抱えたままで壁を駆け上がれる程に逞しく成長した息子を誇らしく思うながら、どう見ても小学生にしか見えない彼女は冷や汗を流した。

我が子を過負荷達から守る為に、過保護に徹する為に学校に転校して来たのに、早速逃げられるなど言語道断。

ましてや一緒に逃げた(というか拉致ってた)女の子は、その害悪たる過負荷(マイナス)の一員。

 「名前は確か、えっと……。」

『やぁ、人吉先生。お久しぶりですね。元気でしたか?』

ぞくり。

 異常と呼ばれて育った彼女は。

否、異常(アブノーマル)でも普通(ノーマル)でも関係なく、この不快感(マイナス)を誰だって大なり小なり感じる筈だ。

悪意とか最低とかそんなちゃちな過負荷(レベル)じゃない。

 負完全(マイナス)の過負荷(なかのマイナス)、球磨川禊。

 『どうかしましたか先生?』

『ひょっとして僕に告白ですか?』

『いやぁ嬉しいなぁ。』

 ふざけるな。構うな。関わるな。近付くな。話し掛けるな。

 誰だってそう思うし、誰だって気持ち悪い。

球磨川禊とはそんな奴だ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:46:36.80 ID:IXtDjfAAO<>
 「悪いけど、私は今忙しいのよ。」

『そんなツンデレな事言わないで下さいよ。僕と先生の仲じゃないですか―。』

彼はにんまりと不愉快に笑った。

ツンデレじゃないが、一々否定するも無駄で無意味な為に言葉を飲み込む。

 『そんな事よりデートしましょうよ人吉先生、本屋デート。インドア派の懸命なアウトドアですよ。』

クローズアップマジシャンもビックリな素早さと不可思議さで、ネジ職人もビックリな大きさと不気味さな得物を取り出す。

両手に螺子とは趣味が悪い。

 球磨川くんの場合は両手に華の方がもっと趣味が悪いけど。

 『人吉先生って僕の初恋の人ですから、良いですよね?行きましょうよデート。』

 初恋だなんて笑わせないで。

何のつもり?嫌がらせ?

 思考の迷子になりそうな、底無しの螺旋階段。

降り注ぐ螺子の雨と這い上がって来る球磨川(さいてい)の手。

善意も良心も幸福も禊ぎ、悪意と妬みと絶望を与える手。

 『それとも大事な善吉ちゃんが心配ですか?』

その手(マイナス)が、彼女の足を掠めた。

『気にすんなよ瞳。僕がお父さんとして善吉ちゃんを――

掠めた足には、逆鱗があった。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:48:04.39 ID:IXtDjfAAO<>
 「黙りなさい!」

背中のランドセルから巨大な待ち針を取り出し、真っ直ぐにその喉元へぶち込む。

 医者にあるまじき外科医らしい一撃。

心臓にも脳にも脊髄にも肺にも動脈にもリンパ腺にも纏めてダメージを与える人間の善意を払拭した一撃。

 殺人。

人類史上最も悪と言われるそれを、人を助けるべく存在する医者が行った。

ハズだった。

 『うわぁ、痛いよ人吉先生。僕ってばマゾじゃないのに、いきなり喉を犯すなんてさ。鬼畜過ぎ。』

すれ違った2つの影は、体中が螺子まみれの少女と。

「何も無かった」高校生の構図で、背中合わせに立っていた。

失敬、訂正する。

 そのままひれ伏した少女(ははおや)と、振り返って微笑む少年(あくま)である。

 『僕の大嘘憑き(オールフィクション)、気に入ってくれました?』

彼の肉体にも衣服にも傷どころか土埃すらつかない。いや、ついていない。

付いたけど憑いたから付いた所まで着いていない。

 「な、めるんじゃ無いわよ……!」

そんな絶対的な絶望的なスキルの差でも、彼女は立ち上がる。

息子を守る為。救う為。

それだけで理由は充分なのだ。

母は強し。

それが証明される。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:48:37.52 ID:IXtDjfAAO<>
 その頃屋上では、歪んだ愛情が開花していた。

いきなり、子供は〜などと言われ呆気に取られた善吉を置き去りにして。

 「私は三人欲しいな。女の子がふたり、男の子がひとりね。名前は人吉くんが決めてあげて。私ってあんまりネーミングセンスないから。」

目を輝かせて照れ笑い。

ちょっと可愛い。

「えへへ、どっちに似ると思う?私と人吉くんの子供だったら、きっと男の子でも女の子でも可愛いよね。それで庭付きの白い家に住んで大きな犬を飼うの。犬の名前くらいは私に決めさせてね。人吉くんは犬派?猫派?私は断然犬派なんだけど、あ、でも、人吉くんが猫の方が好きだっていうなら、勿論猫を飼う事にしようよ。私、犬派は犬派だけど動物ならなんでも好きだから。」

俺も犬派かな。ボルゾイ可愛かったし。

そういやあいつは元気にしてるかな……。

「だけど一番好きなのは勿論人吉くんなんだよ。人吉くんが私の事を一番好きなように。」

よ、よせよ照れるだろう。

俺らまだ知り合って五分も無いんだぞ。

ていうかお前誰だよ。

 普通に真面目な彼は心中で律儀に答えながら、密かにしっかりツッコミをしていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:49:04.48 ID:IXtDjfAAO<>
 「そうだ、人吉くんってどんな食べ物が好きなの?どうしてそんな事を聞くのかって思うかもしれないけれど、やだ明日からずっと私が人吉くんのお弁当を作る事になるんだから、ていうか明日から一生人吉くんの口に入るものは全部私が作るんだから、やっぱり好みは把握しておきたいじゃない。好き嫌いはよくないけれど、でも喜んで欲しいって言う気持ちは本当だもんね。最初くらいは人吉くんの好きなメニューで揃えたいって思うんだ。お礼なんていいのよ彼女が彼氏のお弁当を作るなんて当たり前の事なんだから。」

彼女か、そんなの考えた事無かったな。

俺はもっと強くならなきゃいけないし、俺はまだまだめだかちゃんを守れない。

「でもひとつだけお願い。私『あーん』ってするの、昔から憧れだったんだ。だから人吉くん、明日のお昼に『あーん』ってさせてね。照れて逃げないでねそんなことをされたら私傷ついちゃうもん。きっと立ち直れないわ。ショックで人吉くんを殺しちゃうかも。なーんて。」

こら、女の子が簡単に殺すなんて言うんじゃありません!

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:49:35.51 ID:IXtDjfAAO<>
 彼女の呪詛(プロポーズ)と狂気(ラブコール)は、この先まだまだ続く。

ついつい長々と話し込んで相手の言葉を聞く間も無いのが彼女の悪い癖。本人だって自覚してる。

「それでね人吉くん、怒らないで聞いてほしいんだけど私、中学生の頃に気になる男の子がいたんだ。」

 はっ?

今、何て言った?

 何か色々と言ってるみたいだけど、なんだよ言い訳かよ。

あぁ、そっか、そういうことか。

こいつあれだな、球磨川の差し金だな。

 皮肉にもここで彼は、本気の愛故の言葉だったので理解した。

嘘吐きめ。女狐ね。尻軽め。

彼の心に、彼自身も知らない何かが芽生え始まる。

 「だって可哀想だもんね私ばっかり幸せになったら。人吉くんもそう思うでしょう?」

「うん!そうだな!」

おかしいよな、そんなの。

俺を騙してお前だけ幸せなんて不公平だ不平等だ男女差別だ。

だってそうだろ?好きとか愛してるとか言うなら、その相手も幸せにしてこそだろう?

 ……ちょっと、試してみるかな……。

「あ、俺大切な用事思い出したからちょっと行くよ!」

引き止めろ、引き止めてくれ。

心を弄ぶ屑女じゃないって証明してくれよ。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:50:01.47 ID:IXtDjfAAO<>


「大切な事ってなによ?」



彼女は正解を引いた。

いや寧ろ、不正解を引いたと言うべきか。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:50:54.73 ID:IXtDjfAAO<>
どこからか取り出した包丁で彼の足が張り付けにされる。

だがそんな痛みなんて感じない。

蜂に刺された時と同じ。
アドレナリンが体中を駆け巡り、血管を広げ心拍数を上げテンションを上げる。

彼の感情は、歓喜で満ちていた。

 「私より大事な用なんてあなたにあるわけ無いじゃない。あんたは私を愛する為に生まれて来たんだしあんたは私に愛される為に生まれて来たんだし。私に出会ったあんたはもう何もしなくていいのよいいんだから。」

 光り輝き夢と幸せを語っていた瞳はどんよりと霞んで曇っていたが、それを向ける相手の瞳は狂喜にくすんでいた。

 「『おいおい最後は違うぞ、ちゃんとお返しくらいさせてくれよ。』」

 「私の息子に、色目使ってんじゃ無いわよ!」

目の前から桃色の女性が吹き飛ぶ。

過保護(母)の一撃(あい)によって、彼の言葉は騒音に埋もれてしまった。

 せっかく、中学デビュー以来の懸命にニヒルで格好つけた言葉を、母親を目の前にして言い直せる程勇気は無かったし、それくらいの恥は彼も感じていた。残念ながら。

<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>saga<>2011/05/31(火) 23:51:29.99 ID:IXtDjfAAO<>


結局、彼はそこまで愛やら恋には覚えてなどいなかったのだ。

幸いにも。今はまだ。



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 23:52:59.83 ID:IXtDjfAAO<>
 何だよお母さんってば、娘を嫁にやらん!ってのじゃあるまいし。

「母の愛ぃぃぃ?そーんな胡散臭いものであなた、相思相愛超運命的フォーエバー及びトゥルーエンドハッピーエンド超絶確定な私と人吉くんの仲裂こうっていうんですかあ?」

いやいや落ち着いて、嫁と姑は仲良くした方が幸せだって!

「やーね、私はそんな野暮なおばちゃんじゃないわよ。ただまぁ惚れた男をものにしたいなら、まずは母親くらい倒しとけって話だわ。」

 「はあぁぁぁ!?バカかお母さん!ちゃんと手加減しろよ?間違って(俺の嫁が)死んだら(心理ダメージとかが)大変なんだ(そん時は自殺する)からな!?」

「分かってるわよ、当たり前じゃない。(情報聞き出さなきゃいけないんだから)」

 余所見はいけません。とばかりに怒江は飛び込むが、それを瞳は蹴り飛ばす。

「足加減はしないけどね!」

「やりすぎだろっ!?」

包丁によって足とコンクリートと濃厚接吻中の彼は、ガビーンと音が鳴りそうなツッコミをしていた。 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage saga<>2011/05/31(火) 23:55:30.19 ID:IXtDjfAAO<>
 結論から言うと、結局怒江とは離れ離れになった。

名前は江迎怒江、というらしい。

過負荷(マイナス)とか言ってたが、国籍や人種や信仰やその他諸々は関係無い。

……母親といきなりいがみ合うとは思ってなかったけども。

片や空気を腐らせ、片や縫合格闘技で縛り付けて。

二世帯住宅は止めとこうかなあ。

なんて考えが、幻想だったなんて思わなかった。

 何故俺は、下を覗き続けてしまったのだろうか。

 腐敗して崩れた建物の下にて、怒江は結婚を連呼しながら去っていく。

そして全てを台無しにする男がやって来る。

言葉巧みに囁いて、手を掴んだ。

『大丈夫!』『君がどんな酷いことをしても』『僕が全部なかったことにしてあげるから!』

 そのまま事もあろうに自分の顔面に手を当てた。

更に抱き締めやがった。

 NTR好きとかふざけんな。

あっさり寝取られた怒江も怒江だ。

 ……いや。

いきなり怒江だなんて失礼だよな。

色んな恋をしたいお年頃なんだろう。

全く、ズルい女だよ。

バイバイ、ありがとう、さようなら。愛しい恋人。

次会ったら、素知らぬ顔して許してやろう。

抱き締めて微笑んで結婚を誓おう。

 愛のためなら夫を泣かし、より強い関係を結ぼうだなんてね。

洒落てんじゃないか、受けて立つよ。
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(新潟・東北)<>sage<>2011/06/01(水) 00:00:11.35 ID:n3ZDdyYAO<> あ、あるぇ……何故こんなに急展開になった……?

ともあれ一章完です、二章は出来てますが書き溜めしてないと不安なので、四章くらいまで出来上がってからあげます
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<>sage<>2011/06/01(水) 00:31:57.39 ID:dInubCcAO<> 良い、良いよ、俺得だよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/01(水) 00:43:34.72 ID:u+SIOoZIO<> 怒江ちゃんまじprpr <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)<>sage<>2011/06/01(水) 09:13:34.26 ID:VSVhWliAO<> 乙
善吉の方が過負荷に見えてきたぞ… <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/01(水) 09:34:00.88 ID:n3ZDdyYAO<> 虫歯あるのに頬が腫れだし、ひょっとしてかなりヤバいんじゃねぇか死ぬんじゃねぇかと思って病院行ったらおたふく風邪でした
悔しいから二章あげます

あとちょくちょくID変わるので、作家のすなる酉といふものをつけました <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage saga<>2011/06/01(水) 09:36:15.14 ID:n3ZDdyYAO<>


二章

悲哀、園太、eye、後悔



<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:36:58.53 ID:n3ZDdyYAO<>
 高度経済成長期に日本に輸入されたアメリカドラマは、日本人に多大な衝撃を与えた。

 芝生が敷き詰められた庭付きの大きな家。冷蔵庫にも食卓にも溢れんばかりに食べ物が並び、掃除機で絨毯やフローリングを綺麗にする。

部屋は明るく満ちて、夫婦はダーリン、ハニーなどと呼び合い朝から夜まで甘ったるくイチャイチャ。

 圧倒的な余裕。自分達が霞む裕福。敗戦した理由はここか、とすら思えた。錯覚を与えた。

その憧れ意識は未だに強く遺伝子に刻まれている。

 試しにお金持ちのお嬢様をイメージしてみて欲しい。

窓際には家には黒く輝くピアノがあり、白い犬が駆け回る庭。白くふんわりした帽子に、ワンピースを着て優雅にお紅茶なんかを楽しんでいたりしないだろうか?

確かに偏ったイメージだが、完全に否定出来るだろうか?

 誰だって夢見る少年少女でありたいのだから、花屋になりたかったOLやパイロットになりたかったサラリーマンだって、家くらいは夢を叶えたい。

 そんな絵に描いたような家に住み絵に描いたような服を着て絵に描いたようなイングリッシュシープドックと戯れ絵に描いたようなダージリンを飲むこの女性は、大変幸運で幸福だ。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:37:28.82 ID:n3ZDdyYAO<>
 「大好きな人のお嫁さんになる。」

 これがこの女性の夢だった。

だったとはつまり、今は夢が変わったのだ。

 「大好きな夫と愛すべき子供と可愛いペットに囲まれて、お爺ちゃんとお婆ちゃんになって子や孫に看取られながら夫婦で逝く。」

ありふれてつまらなくすこぶるむつかしい夢を、心踊らせながら見続けている。

 光の無い瞳で微笑みながら。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:38:38.15 ID:n3ZDdyYAO<>  風が吹き抜ける。彼女の帽子が舞い上がり、それに目掛けてペットの弾指が駆け出した。

雌なのに弾指だなんて、夫もなかなか趣味の悪い名前を付けるものだ。

 「あぁ、こういうのが、薫風って言うのかな。」

誰にというわけでも無く呟いた言葉は、天地の新緑に吸い込まれる。

 なんとなしに風に手を翳した。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:39:16.07 ID:n3ZDdyYAO<>


 遠くで、誰かが倒れた気がした。



<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:43:17.20 ID:n3ZDdyYAO<>
 「ママ―、【弾指が死んだ】よ?」

我が子が呼んでいる。

 ペットの、私の帽子を取りに行った弾指が。

死んだらしい。

何故だろう。

何てね。

 「ママ、どうしよう?」

息子がとてとてと駆け寄って来る。

亡骸になったペットを引きずって。

 「可哀想よ、目を掴むのは止めなさい。」

「はーい。」

彼女は犬だったモノを抉る手を離させ、自分の手で葬る。

息子は未だ不服そうだ。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:43:43.53 ID:n3ZDdyYAO<>
 内側から腐り始めていた元雌犬は、骨を残してとろけていく。

「ゆっくりお休み。」

咥えていた帽子も一緒に、やがて空気に混じっていなくなった。

 「赤ちゃん残して死んじゃったね。」

「そうね。代わりに貴方がパパになってあげて?」

「分かった!」

彼は、家の中で眠る家族の元に走り出す。

段ボールにタオルやクッションを詰め込んだ場所に、生後一週間程の子犬が寝ていた。

ついさっき死んだばかりの母犬から生まれた新たな命。

少年はその子に、刹那と名付けた。


<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/01(水) 09:44:24.35 ID:n3ZDdyYAO<>  きょおのにっき

だんしが死んじゃった、たぶんママがまた腐らせちゃったんだ
ママはうっかりさんだってパパがいってた
きょおのよるはころっけをたべた
おいしかった
だんしのこどもはせつなってなまえにした
18ひきめのボクたちのかぞく

<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/01(水) 09:46:52.50 ID:n3ZDdyYAO<> 二章 終了です
三章からは原作のように和気藹々学園物語に戻りますが、今日中には無理そうです

あと、顎いてぇ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/01(水) 15:14:54.40 ID:bNHlI3i90<> いいね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/01(水) 16:57:00.84 ID:kpI1psXF0<> 支援 <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/01(水) 17:54:32.09 ID:n3ZDdyYAO<> 『おたふく風邪が辛く不慮の事故とか大嘘憑きが欲しいんだってさ』『1ってば週刊少年ジャンプの読み過ぎだよね―』
『抗生物質や抗炎症剤は出たけど、僕としては解熱鎮痛剤も欲しかったな』
『それに睾丸や腋の下や膝裏や顔を冷やし寝るってなかなか辛いよね―』

『つまり一週間くらいは放置するって報告なんだ』

『暇つぶしに章のタイトルとか分かり易い伏線を』『勝手に解析しちゃってよ』『真黒ちゃんも真っ青な君達なら余裕だろ?』 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2011/06/02(木) 23:05:28.78 ID:oeDgNIUAO<> >>1

頑張れ! <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/04(土) 22:59:25.18 ID:dFHyd5DAO<> 一週間かかると言われたのに昨日には熱が七度台に下がり今日には腫れが引いて来ました。
皆様の支援やレスを見て一丁前に感動しニヨニヨしてます。
後は明日にでも治ってくれたら、古本屋に行ってコミック7〜9巻辺りを買って三章の肉付けをと思ってます

結論から言うと骨組みと皮張りとコラーゲン注入はスレ立て前から出来ていて、たとえるなら『地球にカカロットが来てベジータとピッコロとフリーザとセルとブウを倒す事』は決まったけど『どこで倒す』『どの順番で倒す』『仙豆は何個食う』『フュージョンやポタラはいつ使う』ってのが決まって無い感じです


余計に訳分からないですね、爆発してきます


では永久抗体が生まれ働き明日には復帰出来る事を願いながら生存報告終わります

追伸
格好つけた球磨川口調が滑って恥ずかしいんだぜ!
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/04(土) 23:55:27.65 ID:DKN/uakDO<> そんな失敗二秒で忘れてください <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/05(日) 00:29:52.11 ID:QKwuyLFDO<> 切り返しが早くて閃光"ライトニング"とか呼ばれてましたけど <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/05(日) 00:46:12.74 ID:njje13A6o<> ――と思っていたが 違った
<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/05(日) 19:20:20.56 ID:ykKlefrAO<> 皆様に悪い知らせが3つあります

1つ、古本屋に無かったので正規値で買い、心が折れた
2つ、熱が再び38度まで上がってまだ書けない
3つ、平戸ロワイヤルは出る予定がない

以上を踏まえ、今夜も本当にスイマセンでした
では完治した頃にまた

お送りしたのはわたくし>>1
滑るのを承知で西尾維新のように名乗るなら【SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS】でした
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東京都)<>sage<>2011/06/08(水) 20:52:13.27 ID:hbPvONvw0<> >>55
ブックオフはめだかボックスをジャンプコミックスのとこにおいてないよ。
高価買取品だから <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/13(月) 21:26:18.98 ID:UEM+uZyDO<> 「このスレ終了のお知らせ!」
「ギャハハハハハハハハハハハハ」 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/13(月) 23:20:36.26 ID:XmhaLFcGo<> ――と思っていたが 違った
<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage saga<>2011/06/14(火) 17:02:16.46 ID:QoqM2RMAO<> こんにちはお久しぶりです、いやはや感染症はおっかないですね
おたふく風邪のウイルスが頭に行ったら死んでましたよ全く
耳に行ったら聴こえなくなってましたよ全く
股間に行って睾丸炎でしたよ全く、もう少しで不妊症になるかと思った

ではでは、超々々々ショートですが、三章始まります
三章は長いので、ちまちま投下です

キチンと完結まで消えたりしないので、そこらへんは御安心をば
――――誰も待ってねぇよってツッコミは無しで <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/14(火) 17:30:30.31 ID:QoqM2RMAO<>


三章

具合、気合い、buy、戦い



<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/14(火) 17:31:03.10 ID:QoqM2RMAO<>
 箱庭学園旧校舎、今は軍艦塔(ゴーストバベル)と呼ばれる地にて、生徒会員+αたるメンバーが揃っていた。

江迎怒江の襲来や軍艦塔の一部腐敗倒壊があったが、古賀いたみの修繕修理の合間を縫い全員で今後の作戦を話し合う。

 結果として分かった事は、過負荷(マイナス)達はその過負荷(スキル)を無くすつもりもコントロールするつもりも無い事。

球磨川禊は−十三組が揃ってから行動を起こしたがっている事。

前生徒会長日之影空洞の発案で対過負荷用強化合宿、通称凶化合宿を行う事。

猫島先輩は頼めば手伝ってくれるだろうけど、卑怯だからなぁ…という事。

 問題は山積みである。

兎も角、夏休みはみっちりある。

凶化合宿をそこでしっかりこなせばいい。

一同はなんとなく、そんな感じで構えていた。

 球磨川に先手を打ちすぎるという事は無い。

 マイナスに考えなければ。

 そんな事を、忘れて。

終業式を迎えた。 <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/14(火) 17:31:58.60 ID:QoqM2RMAO<>
 事件は七月十七日。

箱庭学園一学期終業式の日に起きた。

よりにもよって、たった一日後に起きてしまったのだ。

 異常(アブノーマル)も特待(スペシャル)も通常(ノーマル)も過負荷(マイナス)にも、不幸な事に。

あまりに、早過ぎた。

彼は、まだまだ心の幼い思春期の、大人になりきっていない男だったから。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/14(火) 17:33:20.87 ID:QoqM2RMAO<>
 『やっほー』『箱庭学園の皆さん』『はじめまして!』

終業式を始める生徒会長の頬を引っ張り、最低(マイナス)の男(クマガワミソギ)が現れた、現れてしまった。

 『さて、冗談はおいといて』

球磨川は向きを変え、生徒会員しか上がれない壇上に書類をぶちまける。

膨大なる署名の書類。

一年から三年までの−13組の生徒名が書かれた署名。

本物かどうかは別にしても、間違いなく署名の束である

 『箱庭学園学校則第四十五条第三項に基づき』『生徒会長黒神めだか』『きみに解任請求(リコール)を宣言する』

体育館内が一挙にどよめきだした。

当然だ。

多少の問題はあれど、生徒会長及び生徒会役員達は紛れもない多大なる支持率を誇り、それに見合う素晴らしい働きをこなし続けて来たのだから。

リコールする理由が無いのである。

あくまで精神論として。

 『生徒会執行部に明白な不備がある場合、全校生徒の過半数の署名を持って役員は即日罷免される』

『副会長の不在は』『明らかに違反だよね?』

薄ら笑いを浮かべ続けている彼は非常に愉快そうで、今にも笑い転げそうなほどであった。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/14(火) 17:35:24.16 ID:QoqM2RMAO<>
 「名ばかりの署名を集めて過半数か」

舞い散る署名表の一つを手に取り、凛としたまま言い返した。

卑怯者への蔑みと怒りを込めて。

だがそれは過負荷(かれ)には通じない。

『おいおい』『名ばかりだろうと人数合わせだろうとこの箱庭学園の誇るべき生徒だぜ』『差別するなよ』

ギリ。

彼女の歯はいくつが砕け散っただろう。

 『無能な役員も共々解任さ』『そして行事運営に試食を来さぬよう』

男の言葉は続く。

四人の男女が、壇上へ加わった。

『臨時で僕らが生徒会執行部を引き継ぐ』『それが拘束されるべき』『学園の校則だよ』

 「不知火……!」

新鮮な白い粉末を吐き捨てて、めだかが吼えた。

「なるほど、貴様の入れ知恵か!」

視線が集まり様々な思惑が交錯する中、一人の男だけが全く違う事を考えていた。

 トラウマたる球磨川禊に至近距離で会話をしているにも関わらず、一切の震えも起こさない彼の頭は、非常に冷静に激昂していた。

 「そこで、何してるんだい?怒江ちゃん?」

「えっ?」

 改めて言おう。

球磨川の動きは、早過ぎた。

まだ善吉の心は、怒りに任せて動いてしまう程に、幼かった。

まだまだ幼い、恋を知ったばかりの。恋をしたばかりの。

思春期の一般的な通常(ノーマル)の、男の子だから。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/14(火) 17:38:41.98 ID:QoqM2RMAO<> ショートでしたが今日はこれにて
三章はまだまだ続きます。

善吉くんはどうなってしまうのか。怒江ちゃんはどうなってしまうのか。
不知火は、めだかは、球磨川はどうなってしまうのか。


では次回をお楽しみに。

追伸
壇上で唾吐いためだかちゃんは、人間としてちょっと問題だったねごめんね真黒さんがペロペロ掃除してくれるよ多分 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/06/14(火) 20:16:00.42 ID:hIYqazKAO<> 乙

善吉ちゃんが球磨川より過負荷らしいせいで球磨川より不吉で行動の読めない奴になってるなwwww <> 酉忘れたorz<>sage<>2011/06/16(木) 01:23:36.29 ID:wKSm5HbAO<> >>66
やだなぁ、善吉はただの普通(ノーマル)ですよ
普通に弱くて普通に怖がりで普通にがんばって普通に悔しがり普通に人を好きになり普通に誰かを守りたいと思ってる普通に怒りに任せて普通に嫉妬して普通に盲目になる一年一組の普通の男子高校生ですとも

そんな普通な善吉ちゃんが普通に生徒会戦挙に巻き込まれるだけの、ショートな更新を今夜行います
代理携帯ってやりにくいですねぇ… <> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:24:16.74 ID:wKSm5HbAO<>
 先に言ってしまうが、異常(アブノーマル)や特待(スペシャル)は、他の人間達よりも抜きん出た長所(スキル)を持っている。それによる優越感も。

過剰な反射神経や飛び抜けた運の良さ、電磁波を操って人心を操作出来るなど、異常(アブノーマル)な長所(スキル)。

格闘技を網羅する、絶息潜水を優々と行う、才能だけで優れている上に努力が出来る特待(スペシャル)な長所。

 過負荷(マイナス)とは他の人間達よりも抜きん出た短所(スキル)を持っている。それによる劣等感も。

そして過負荷達が球磨川につき従う理由も、その劣等感からだ。

 百点満点のテストでたった二十点しか取れなかったとして、自分以外が全員十九点以下の時、あなたは安心する筈だ。

自分が低い地位に居るのは辛い、苦しい、イヤだ。
だが自分より低い者がいると、そいつを見下せる、安心出来る。

 誰だって大なり小なり、そんな醜い感情を持っているものである。

それを極端にしたのが、過負荷(マイナス)だと思って欲しい。

それが『基本』だ。

<> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:24:42.76 ID:wKSm5HbAO<>
 蝶ヶ崎蛾ヶ丸が球磨川に従うのは、人後に落ちない劣等感(じしん)が打ち砕かれたからだ。

 志布志飛沫が球磨川に従うのは、最低だと思っていた自分より最低の人間に会ったからだ。

 とどのつまりこの二人も、球磨川ほど過負荷(マイナス)らしい過負荷(マイナス)を知らないから、従うのである。安心する為に。

 そして球磨川禊は、この世の誰よりも弱く、誰より強い劣等感を自負し、だからこそ他人の弱さすら見える。

そんな最弱(マイナス)で過負荷(マイナス)な男(マイナス)。

<> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:25:14.50 ID:wKSm5HbAO<>
 だがその関係が、ほんの少しだけ、綻ぶ。

「何をしているんだって聞いてるんだよ、一年−13組の江迎怒江ちゃん。」

リコール請求に沸く場にて場違い近寄り場違いに彼は質問した。

 「善吉何をして……」

生徒会長の言葉は、最低な冷やかしで潰される。

『邪魔をしないでよ善吉ちゃん』『怒江ちゃんは新役員の一人で』『僕の彼女だよ』

 それが、彼の逆鱗とも知らずに。

昨日彼の母親を豹変させた逆鱗より、深く硬く尖って敏感な逆鱗とも知らず。

 「で、何でかな?怒江ちゃん」

場面は、何も変わらなかった。

ただ一名が壇上でひれ伏した以外は。

<> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:25:42.33 ID:wKSm5HbAO<>
 「今、見ましたか?」

阿久根書記は、語弊ある質問をした。

それはただ単に、舌が回らずに噛んだだけで、それだけの同様をしただけの些細な間違いにすぎない。

彼はこう聞きたかったのだ。

「黒神生徒会長。今の善吉の動きを、並外れた動体視力を誇るあなたなら『見える事が出来た』んじゃないですか?」と。

 「あぁ…見えたよ阿久根書記、あまりの事に反射的に目を瞑りかけてしまったが、見えた。」

この回答の異常性が分かるだろうか。

反射神経を無効(オフ)にする事で攻撃を避けない事の出来る女が、反射神経を過剰(オン)にする事で攻撃に触れない事の出来る女が。

『反射的に目を瞑る』など異常だということが。

『巻き込まれそうで怖くて体が先に反射的に勝手に間合いを取って目を瞑り現実から一瞬ながら逃げ出した』など異常だということが。

 壇上の異変に全校生徒が気付くのは、そのほんの少し後の事。
<> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:26:09.24 ID:wKSm5HbAO<>
 「聞いてませんよ球磨川先輩。」

「あたしも初めてだ、なんだこの『気持ち悪さ』はよ…」

「……人吉?」

黒神めだかが半歩下がり目を瞑った時、新生生徒会メンバーは二歩以上下がっていた。

『動けなかった』江迎怒江と球磨川禊を除いて。

 「聞こえない?それとも、わざと無視してる?」

悪意とか憎悪とかそんな歪んだ感情(マイナス)でも無く、興味とか親切とかそんな歪な感覚(プラス)でも無い。

ただ純粋な理屈による行動。

「あ…の……その……。」

それだけの、裏の無い無邪気な彼に少女は震え上がっていた。

 「きゃああああ!」

「保健委員、いや先生は!?」

「馬鹿!それより救急車だ!」

ほんの少し、時間が過ぎた。

現場はにわかにどよめきだつ。

 壇上には下手から順に、不知火半袖、蝶ヶ崎蛾ヶ丸、志布志飛沫。

へたり込んで震える江迎怒江とそれを正面から見下ろす人吉善吉。

スピーチを行うセンターの台の後ろに横たわり、鮮血を垂れ流す球磨川禊。

そして台を挟んだ上手側に黒神めだか、阿久根高貴、喜界島もがな。

 動けない一名。動きたい一名。動くべきだが動けない六名。動いている一名である。
<> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:27:38.99 ID:wKSm5HbAO<>
 『いやぁ酷いよ善吉ちゃん』『鎖骨が折れて肺に突き刺さったかな―』『健全な高校生が吐血だなんてシャレにならないよ』

ふらり、と動けなかった男が立ち上がる。

口から垂れる血が袖口に吸い込まれ、如何にも気持ちの悪い起き上がる。

 「立ち上がって早々に悪いが球磨川、この場をサッサと収めたい。黒箱塾塾則第百五十九項を適用させて貰う。」

目の前で見るからに重傷で異常な相手を気遣うよりも、困惑を極める現状の打破を優先させた。

生徒会長として、優先させた。

黒神めだかとして、ではなく。

 『なんだいそれ』『まさかカビの生えた昔の規則を引っ張り出すのかい?』

「リコールのルールは決闘で決める。貴様のルールは今まで使用されていない条文だが、此方は過去三度、前例がある。」

 原則同士が対立した場合は、現生徒会長の判断に委ねられる。

よってリコール請求は一時保留され、五週に渡る生徒会「戦」挙が今始まる。

 「怒江ちゃん、また後で話そうか。今は忙しいみたいだからね。」

渦中の外で禍中を巻き起こし火中の栗の拾わんとする、無意識ながら善吉はその道を歩み始めていた。

残念ながら、それは壇上の人間達にしか伝わっていない。

<> 酉は無いけど1です<>saga<>2011/06/16(木) 01:29:12.66 ID:wKSm5HbAO<>
大衆は、何故突如として球磨川が倒れて血を吐き立ち上がったかも分からず。

ただ異常な程狂った男と、正義の生徒会が戦うらしい事だけを理解して。

一番異常であった、人吉善吉の動きなど見えず認識されず理解出来ず、ただ風が吹いたかのように海馬から消し去った。

 日之影空洞のように目を逸らされる事も無く、球磨川禊のように台無しにもされず、ただ誰にも気付かれず分かられず解られ無い。

一庶務が、少し壇上で動いて、ガヤガヤと会話に混ざっていただろうとしか。

<> 酉は無いけど1です<>sage<>2011/06/16(木) 01:37:51.61 ID:wKSm5HbAO<> さて、相変わらず一回の投稿が短くてごめんなさい
とりあえずキリの良い部分まで進めました

球磨川のマニフェストは意図的にカットです、もがなの「この人は本当に頭が終わってる」も意図的にカットです、校則塾則云々の猫先輩の会話も意図的にカットです

普通の嫉妬心を持った普通の善吉が普通に怒りに任せて邪魔しちゃいましたから、それどころではないんです

男の嫉妬は醜いですね、蠍の毒は後で利くんですね
そんな感じの第三章、いよいよ庶務戦が始まります


ではまた、次は少し遅れます。代理携帯じゃやりにくいので <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/06/16(木) 09:21:57.30 ID:sIL28ahAO<> ここまでやってる善吉を普通って言ってる>>1に尊敬の念を禁じ得ない

乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/16(木) 09:45:59.58 ID:Yf1SPqrk0<> 乙

善吉があまりにも普通すぎて怖い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/17(金) 19:56:38.40 ID:SxBWqVQDO<> フッ
善吉君のスタイルって僕、嫌いじゃないよ
っていうか自分が普通だってワガママは頼もしいぐらいだよ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西地方)<>sage<>2011/06/17(金) 20:05:16.53 ID:UXCx63jN0<> 違和感の正体がわかった!
『」』の前に『。』があるからだ。 <> お久しぶりです1です<>sage<>2011/06/19(日) 04:33:30.36 ID:NKQ6GDYAO<> >>76
特待(スペシャル)より努力して、異常(アブノーマル)より温もりを追い求めて、過負荷(マイナス)より悔しがる、それが通常(ノーマル)って事だと思って今作を綴ってみたりしてますので『笑』

>>77
狂った人間は怖いけど狂わない人間の方が恐いですよね、だってそれがその人の通常(ノーマル)なのだから

>>78
ワガママじゃなく事実なのです
めだかちゃんが自称人間から自称化け物になったけど本質の事実は変わらないのと同じ、どんな角度で認識するかじゃないですかね?重箱に作った箱庭の隅をつつくような理屈ですが


>>79
あ、本当だ…あちゃー失敗したな。「」と「。」を敢えて区別して使ってたのに…生暖かい目でスルーして下さいまし <> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:11:27.23 ID:IBQ0uCbAO<>
 黒神生徒会長が機転を利かせ、対−13組と生徒会戦挙に持ち込んだ。

いや、生徒の代表にして希望たる彼らが、志も希望も人格も理想も折られるかもしれない危機的状況持ち込んでしまった。

それはあの場では善策かも知れないが、良策とは言い難いものである。

ともあれ、終業式は終わって生徒達は帰宅し夏休みに耽っていく。その夏休みの間の死闘も知らず。

 生徒会メンバー+αは、恒例になりつつある軍艦塔へ集合していた。ただ一名を覗いて。

「蝶ヶ崎くんと球磨川くんっ志布志さんが向こうにいる時点で、既にこちらの三敗は確定しているようなものよ。」

元心療外科医の忠告に、天下の会長も黙らざるを得ない。

週一ペースで五週間、夏休み全てを費やす生徒会戦挙を前に、元々夏休み全てを費やす予定の凶化合宿が間に合う訳もない。

凶化合宿は最速で二週間、即ち初戦の庶務戦は棄権する事になる。

四人しか居ない生徒会メンバーなら、庶務の善吉を副会長に格上げし、凶化合宿を終えた四名で勝つのが常套手段。最善策であろう。

マイナスに考えなければ。

<> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:11:55.54 ID:IBQ0uCbAO<>
「ところで、」

沈黙が耐え難く結論は出し辛く、よって魔術師が話題を転換させる。

「なんでまた善吉くんがいないんだい?」

ただでさえ異常や過負荷といったイレギュラーに好かれ易い、イロモノズカレの彼が一人で行動するのは危険で問題であった。

 しかも球磨川と根深い関わりを持ち、最近おかしくなり始めた気がする彼だから。

 「人吉くんなら、終業式が終ると同時に食堂の方へ駆け出しましたよ。」

改心した破壊臣は絞り出す。

何故駆け出したのか、全く分からないわけでも無いから。

善吉の心が解らないのは変わらないけれども。
<> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:12:21.89 ID:IBQ0uCbAO<>
 そろそろかな。

 ざっと成人男性二十人分程の一日摂取目安カロリーを平らげた彼女が、鶏の骨付き照り焼きを貪りながら心中で呟いた。

 紛れもない正攻法にて過負荷達をけしかけた自分に、文句の一つでも言いに来るに違いない。

お嬢様なんかじゃなく、友達の人吉本人が。

いや、私に友達なんかいやしないか。

 学食の中央に、好奇というより狂気な目線が集う。

人間が喰える量じゃない食事達を、空気のように平らげた元一年一組の小柄な女の子に向けて。

式後からは事実上夏休みが始まってるのに、物好きに残ってる連中が。

 やがて、音が響いて来た。

肉を裂くわけでも骨の奏でるわけでも食器の重なるわけでも無い。

静かな廊下を踏みにじる駆け足の音。

 あひゃひゃ☆

遅かったじゃん、人吉ィ。

<> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:13:18.83 ID:IBQ0uCbAO<>
 「…やっほー人吉ィ、何息荒くして走ってんの?ばっかみたい☆」

暑かったのだろう、脱いだ上着を肩に持ちながら顔に大粒の汗を蓄えている彼に向けて。

少女は正直に正喰に嘲笑った。

「あぁ、愛しの怒江ちゃん探しかな?残念、もう帰ったんじゃない?」

ケラケラ茶化しながら、彼女は待った。

罵倒を、怒りを、憎しみを、暴力を、絶望を、ぶちまけられるのを。

 「お前、何で球磨川なんかに協力してんだ!」

甘い。

理由次第で許そうってか?甘いよ人吉。

まさか私が脅されたりしてるとでも思ったの?

友達だろ?分かれよ。わざとだよ。

そんで別れよう?

 「つまりお前は、自分の意志でアイツの所に居るってのか…?」

「だったらどうだって言うのさ☆」

人吉が黙った。

来るぞ。

裏切りにのたうち回る、人間の醜い面が。

 「そっか、なら良いんだ。」

彼女の思惑は全く見当違いで。

不知火が自分の意志(キャラ)で動き回って引っ掻き回して喰らい尽くしているなら、全く構わなくて。

彼の焦りはただ友達が心配なだけで。

その顔は、どこまでも晴れやかで。

<> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:13:45.22 ID:IBQ0uCbAO<>
「怒ってるに決まってるだろ。」

「お前はいつだって人を食ったような女だよ。」

「でも、そんな所が好きで俺はお前と連んでるんだからな。」

「だからこれだけは覚えとけ。」

<> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:15:09.12 ID:IBQ0uCbAO<>  

 
「敵でも友達だからな。」

「全部終わったら焼肉、食いに行こ―ぜ。」



<> 今宵もショートですみません<>saga<>2011/06/20(月) 03:16:42.87 ID:IBQ0uCbAO<>
 食いかけのパンを無理やり口に突っ込んで、彼は颯爽と帰って行った。

 「全く、あれだけやって見限らないとかどうかしてるよ…。」

嫌われるのは当たり前だった。

避けられるのは当たり前だった。


 そんな彼女に、彼は空気を吸うのと同じように近寄って来た。心臓を鳴らすのと同じように友達だと言った。

 黒神めだかが全員を家族のように愛するなら、人吉善吉は勇者のように許せる男だった。

自分に正直で、滅茶苦茶で、頑固で、でも完全には間違えてはいなくて。

誰より甘い男。

 「あひゃひゃ☆」

邪悪で意地っ張りでひねくれた笑みが漏れる。

 人を食ったような女、か。

それは間違えてるよ人吉。

世界中の全てを喰らっても、あんただけは喰えそうに無いから。

だって

 あまりに甘ったるくて、とても食べられそうにないもん。

 彼女の頬の紅葉は、恋だとか惚れたとかそんな簡単な言葉で片付けられない、季節外れの紅葉色。

一週間の命すら、空気を読んだかのよう今は鳴かない。

サッカリンより甘い彼を、いつまでも彼女は見つめていた。

 「でも人吉、食べかけのパンを口に突っ込むのは如何なものかな?」

少しだけ、悪態(照れ隠し)を口にして。
<> ふぅ<>sage<>2011/06/20(月) 03:21:48.94 ID:IBQ0uCbAO<> 今回の分終了―
個人的に大好きなシーンでしたので、単行本とにらめっこしながらどうにか書き上げました

頬が腫れて休んだけれど、ちょびっとずつ伏線を複線張れたかな?と思ってます


修理に出した携帯が帰って来るらしいんで、そしたら四章まで突っ切ります

追伸
庶務戦のデスマッチだけど、クマー降参後はめだかちゃんが飛び込んで善吉を穴の外にぶん投げちまえばイインジャネ?
無粋なツッコミはしないでね

ではまた、皆さんおやすみなさい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/06/20(月) 07:44:12.94 ID:vH6D5fuSO<> 乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/06/20(月) 11:49:42.54 ID:pbKKQSFLo<> むしろめだかちゃんが善吉抱き上げてれば虫除けスプレー発動してふたりとも助かるんじゃね?ってずっと疑問なんだが <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)<><>2011/06/20(月) 12:36:51.77 ID:ZAOq3XJAO<> 乙だぜ

俺もこの不知火と善吉の掛け合いはお気に入りだわ <> 酉復活Yahoo!
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/20(月) 13:09:24.05 ID:IBQ0uCbAO<>
 「じゃあ庶務戦は捨てて全員の凶化を急ごう。」

「ならば善吉くんは副会長にアップで構わないね、メンバー補充の必要も無い。」

英雄と魔法使いによる、RPGトップ2を中心に話し合った結果、マイナスに考える事無く決定されつつあった。

主役がやや悩む中、医者が危惧する中で。

「めだかさんもそれで問題ありませんか?」

「問題ねーわけねーよな、めだかちゃん」

遅れて来た彼が、その悩みを消し飛ばしその危惧を悪化させる。

 如何な内容でも如何な条件でも如何な困難でも如何な理不尽でも享受する。

「それが箱庭学園生徒会執行部だろ?目安箱の公約だろ!」

その手に持つは大量の投書が詰まっためだかボックス。

−13組のようなかさ増しではない、正真正銘の生徒達の声。

「ありがとう」

そして

「勝ってくれ」

 正しすぎる女が率いる彼らが、不戦敗だのとりあえず副会長だの狡い作戦を行わない。行ってはならない。行わせてはならない。

 「だろ?」

「だな。」

幼なじみは、ニヤリと笑みを交わした。

「頑張れ。」

「頑張る。」
<> 酉復活Yahoo!
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/20(月) 13:09:51.17 ID:IBQ0uCbAO<>
 同時刻二年十三組、現在−13組連中に使われている作戦本部では。

『庶務戦は僕が出るね。』

トラウマ中のトラウマとのカードが確定した。

 「善吉くん、自信満々なのは良いけど勝算はあるのかい?」

解析(アナリシス)の異常(スキル)を持つ彼ですら、その心は解らない。

恐らく狭き門(ラビットラビリンス)と呼ばれた行橋未造に頼まねばならぬ程に、今の善吉(かれ)の心は『変わっていた』のだ。

 皮肉にもそれは、同時刻同校舎内にて誰にも知られず証明される

「まぁ任せてくれみんな、」

『まぁ任せて頂戴みんな、』

「−13組(向こう)が残り四戦全て棄権したくなるくらい、」

『生徒会(向こう)が残り四戦全て棄権したくなるくらい、』

「純然な勝利を見せてみせるよ。」

『悲惨な試合を見せてあげるよ。』

 そしてまずは一週間後。

七月二十五日午後一時より、庶務戦が開かれる。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/20(月) 13:15:05.14 ID:IBQ0uCbAO<> 尻すぼみに投下数が減少しちまいましたが、三章完に御座います


次は四章、庶務戦から始まるよ!
原作ブレイクしまくりだから、出る筈の伽羅の出番が消えたり出ない筈の伽羅の出番が現れたりするよ
ネタバレだけど、古賀ちゃんはやっぱり拗ねるよ
ネタバレだけど、長者原二年生はやっぱり顔に布を巻いてるよ
ネタバレだけど、名瀬ちゃんはやっぱりツンデレだよ
ネタバレだけど、選管の黒子達は可愛いよ
ネタバレだけど、四章うpはちょっと遅れるよ

そんな感じで、四章タイトルだけうpってさようならするよ

ではまた <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/20(月) 13:18:00.97 ID:IBQ0uCbAO<> >>89
thx

>>90
善吉をお姫様抱っこ…きっとデビル格好悪いから没ったんだ多分

>>91
仲間ハケーンわーい
あのシーン見て「お前ら付き合え」と思った


皆様
いつも応援ありがとうございます
レスを全員に返せていなくてごめんなさい

ゆし、では改めて四章のタイトルのみうp
内容は想像してね← <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/20(月) 13:19:25.86 ID:IBQ0uCbAO<>


第四章

不快、炎相い、why、深海



<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/06/23(木) 14:31:59.10 ID:Fl9Msy0AO<> 第4章のタイトル出してから長いなww

焦らしプレイは嫌いじゃないぜ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/06/23(木) 16:20:21.45 ID:baucfxMgo<> >>97
レスを読んだうえで今一度考えろ、これは焦らしプレイじゃない、放置プレイだ!(精一杯のギャグ) <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/24(金) 22:58:35.17 ID:JHz5KTrAO<> ちょww「四章は章名だけうpするが本文は遅くなる」ってちゃんと書いたじゃないかwwww

まだちょっとしか書いてないんだからな、でも待ちわびてくれてる人がいるから少ないけどうpするよ
(あ、この1チョロいぞ) <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/24(金) 22:59:05.91 ID:JHz5KTrAO<>
 箱庭学園には宗像形という三年生がいる。
彼は異常なまでに人を殺したくなり異常なまでに人を殺す方法に長けた異常(アブノーマル)である。

だが彼自身は人間が大好きでもある。

故に、大好きな人間を殺さない為に殺人衝動を理性で抑えつけて大好きな人間を守る為に殺人衝動を暴露し大好きな人間を生かす為に殺意を振りまいて大好きな人間を逃がしている。

 彼は、大好きだから殺さない。

そこに、大好きだから殺したい。という感情があるかないかは分からない。

だが少なくともその二つは矛盾しないのではないか。

 黒神めだかの人間が好きと宗像形の人間が好きは同じなのではないか。

黒神めだかが宗像形の異常(アブノーマル)を完成させたいからといって、ただの殺人鬼になるとは限らないのではないか。

むしろその一点では、宗像形の方が人間を好きなのではないか。その思いは既に完成された代物なのではないか。

 生物の終着点は死だという。進化の終着点は死だという。

ならば愛の終着点もまた、死ではないのか。

 人吉瞳は、庶務戦の惨劇を見つめながらそう思った。

 彼の愛は、どこまで終着点に近いのかを考えながら。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/24(金) 22:59:38.52 ID:JHz5KTrAO<>
 生徒会戦挙受付会場へ、赤き戦装束へ身を包んだメンバーが進む。

阿久根書記、喜界島会計は日之影元生徒会長と魔法使い真黒と共に凶化合宿に勤しんでいる為この場にいない。

本来なら黒神めだか現生徒会長も合宿に集中すべきだが、二人に応援を焚き付けられた事もありこの場にいる。

大事な幼なじみを独りきりで戦わせるわけにもいかない、という意味合いも深いのだが。

対する過負荷組は、球磨川一人。

残念ながら、最悪ながら、幸運ながら、当然ながら。

 『あー、人吉先生見いーっけ!!』

人望が無いとかみんなは海水浴に行っているとか、週刊少年ジャンプを捲りながらふざけた彼が立ち上がった。

つかつか近寄り、五時間待っただのほざいている。

 『そういえば結局エロ本は怒江ちゃんと買いに行ったんですけど、なんと人吉先生にそっくりな女の子が載ってる一品を発見しましてね。』

まくし立てる会話に、善吉は跳び蹴りを放った。

「人の母親に下ネタ言うだけならまだ許したが、人の嫁を連れまわしてエロ本買うなんてどこまでも糞野郎だな!」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/24(金) 23:01:41.63 ID:JHz5KTrAO<>
 「相変わらず訳分かんねーし訳分かりたくもね―が、つくづく過負荷(マイナス)要因の過負荷(マイナス)要員でいやがるな球磨川…!」

『痛いなぁ…戦挙前の不意打ちだなんて反則じゃない?』

一触即発の空気が流れる。

螺子と靴をそれぞれ構えて。

「止めよ善吉!腹立たしいのは私も一緒だが、どうしょうも無い相手を貴様が螺子伏せては生徒会執行部とは言えんぞ。」

 肩を掴む彼女の手は、脱臼か粉砕骨折をさせてしまいそうな程に怒りに満ちていて。

それでも因縁の相手に彼女らしく正し過ぎていられたのは、乱心した乱臣を窘める事で平穏を保てたからで。

もしも彼が暴れなければ、恐らく彼女は球磨川に掴みかかり壁に拳を叩き込むくらいはしていたかもしれない。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage saga<>2011/06/24(金) 23:07:16.49 ID:JHz5KTrAO<> はい、今夜分はお仕舞いですっ!期待させたクセに三レスでごめんなさいっ!ちっちゃいネタ使ってごめんなさいっ!
冥利にいつか「うなっ」と言わせたい、じゃおやすみなさい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/06/24(金) 23:20:53.74 ID:9Xk4SnBAO<> この>>1は焦らし方を分かっているな

ひとまず乙 <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(東海)<>sage<>2011/06/24(金) 23:37:36.34 ID:SsM0eCjAO<> >>1
はい、バナナ。つ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関東・甲信越)<>sage<>2011/06/25(土) 00:37:01.77 ID:2q0TclOAO<> >>105
正しくはこうね?
つ バナナ <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/06/25(土) 02:11:35.47 ID:46TCnG3ko<> お疲れ様、そしておやすみなさい>>1、では>>1の夢の中に無数の不知火半纏を配置する作業があるのでこれで <> ◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/25(土) 22:55:01.68 ID:aSJJKhLAO<> 意外と契約者ネタは通じるんだな、俺歓喜
でも神撫手二巻はどこにも無くてエンディングが分からない程度の俺

実は微妙に行き詰まったので、今日はボツネタをうpします <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:00:40.55 ID:aSJJKhLAO<> ボツストーリー
  ミスター&ミセスWHO?


ケース1

宗像「いきなり機関銃(これ)だ」
右脳左脳「うおおおおっ!!H&KMP7!!」
ガガガガガガ、カチンッ
上峰「クス!なんだもうおしまいなんですかあ?」
「私はまだまだ食べ足りませんけど。」

不知火「アヒャヒャ☆私も私も!」モシャモシャ

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:09:45.02 ID:aSJJKhLAO<> ケース2

江迎「もっとも〜っと駄目(マイナス)になれる気がするんです☆」
ぐじゅぐじゅ

名瀬(やべえぞこの女!のびしろが途轍もなく半端ねえ!)

崩れかけだが凍らされた隙間から中を覗ける某地点

宗像「では試してみよう」

モシンナガンM1891
ボルトアクションを引き弾を装填、7.62mの口径から弾丸を発射

が、弾丸は彼女の直前で蒸発した。

右脳「狙撃を溶かすって異常なんてレベルじゃねえぞ!」

左脳「フォースフィールドかよ!あいつ民族浄化でもやる気か!?」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:14:19.16 ID:aSJJKhLAO<> ケース3


諫早「ウッ、ウソでしょ!?」

「あたしっ100メートル走12秒フラットなんだよ!?」

宗像「素晴らしい努力の賜物だね、殺したくなる」

めだか「そうかやるではないか、私はフルマラソン二時間フラットだから」

「100メートルあたりは17秒以上かかるぞ!」

宗像「呆れたスタミナだね、殺したくなる。」


善吉「その二人に余裕で追い付きあまつさえ殺害手段を選んで居られる先輩は、暗器をどれだけ持っててどれだけ外したんですか」


宗像 黙殺 <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:25:06.65 ID:aSJJKhLAO<> ケース4


直方「いくら出オチとは言え、あまりに似てないか?」

日之影「……光化静翔(テーマソング)手に入れてごめんな、しかもそれをあっさり捨ててごめんな」



百町「此方に比べれば百兆倍マシですよ」

蝶ヶ崎「似すぎてる上に偉そうですね、イラつきます」



鶴御崎「俺はどうすればいい、新伽羅とモロカブリだぞ」

希望が丘「機械的に考えて、作者の画力不足では?」



<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:30:42.92 ID:aSJJKhLAO<> ケース5


冥加「55544441126399044476」

冥利「62147、69412770846513248769(まぁ確かに、呼子のおっぱいは快適だよ)」

冥加「4266380?14669440012216678943350」

呼子「意味は分かりませんが不快になるのは何故でしょうか」

湯前「わー(棒)本当だー(棒)」

飛沫「あの姉弟殺していい?」

古賀「今なら全力を出せそうな気がする」



鬼瀬「……違う意味で粛正したくなりました」

阿蘇「さぁさぁ、面白くなって参りましたぁ!大乱闘の予感です!」



善吉「このピリピリした空気…不知火、お前何したんだよ」

不知火「ん―、呟いちゃ(ツイート)った☆」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:37:23.15 ID:aSJJKhLAO<> ケース6


ポーニー―テール―――

「無理であろうと不可能であろうと」


ゆーらしーながらー――

「私はがんばると決めた」


暴風雨(かぜ)の―なか――


だからがんばる!『黒神ダンシング』 <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:41:31.59 ID:aSJJKhLAO<> ケース7


都城「行橋よ、お前初登場の時と仮面が変わってるぞ?」

行橋「だから言ったろ?仮面は偽るものだってさ、えへへへへへ!」

都城「行橋よ……まさか黒門島の出身ではあるまいな?」

行橋『やだなぁ、そんなわけないじゃないか』

都城「……すがりつきたくなる嘘では無い事を祈るよ」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/06/25(土) 23:47:24.62 ID:aSJJKhLAO<> ケース8


糸島「二階の担当だ、水やり他は宗像がやってるがな!」

冥利「裏の六人のリーダーで格が違う、って設定なのにな(十一階)」

宗像「九階から歩いて調整に行くのもしんどいんだけどね」

高千穂「一階でみんな迷うから気にしないでやれよ」

右脳左脳「そもそも拒絶の扉を通れないから気にしないでやれよ」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/06/25(土) 23:58:10.23 ID:aSJJKhLAO<> おしまいっ!

もう一度言うが、本編うpは少ぉぉぉぉし遅れるんだ
だから今回のボツネタでしばらく我慢して許しておくれ


そんな>>1が一番好きな女性伽羅は、三年生で髪々の黄昏(トリック・オア・トリートメント)である筑前優鳥(ちくぜん ゆとり)さん
柔らかな関節、しなやかな手足、つなぎ一枚でけしからんおっぱいの湯前のせいでクローズアップされないが負けず劣らずの卑猥な衣装、緑の黒髪ロングで前髪っ子、ちゃんちゃん♪なんて言っちゃうお茶目ぶり……もうね、握手したい、それ以上は望まない、握手だけで一生幸せになれる気がする
ネウロの噛み切り美容師にだけは気をつけてねっ!

以上で異常な自分は落ちる…らしいんだ、仲良くしてね <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/06/26(日) 08:33:33.76 ID:GuwOdQkJo<> 他人の髪の毛を伸ばせる

他 人 の 髪 の 毛 も 伸 ば せ る <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/01(金) 01:59:47.47 ID:EKhm+0PAO<> >>118
素敵じゃないか!
クンカクンカしたいお!モフモフしたいお! <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:00:27.70 ID:EKhm+0PAO<>
 「それにしても球磨川、貴様は本当に何を考えている。どうしてそんなことを企む?」

呆れと疑問の支配した顔で彼女は目標を変えた。

「エリートを抹殺したとして、エリートを抹殺などした所で、平等で安定で幸せな世界が来ると本気で思っているのか?」
反語。

聖職者の悲痛な叫びに似た、質問。だがそんなプラスのものは届かない、届くわけがない。

『分からないクセに分かって貰おうとするなよ。』『めだかちゃん。』

ぐっ、と声が漏れる。らしくなく感情的になった証拠。

らしくなく、かき回された証拠。

 『でも、どうして僕がこうなのか。ね』『そうだね、たとえばの話だけどさあ。』

唸るように顎に当てた指先を、おまじないのようにヒラリを揺らして彼は疑問に答えた。

『「人生はプラマイゼロ」って言う奴いるじゃん?』『でもそういうのを言うのは、決まってプラスの奴なんだ。』

あっけらかんと、それこそ授業中に当てられ分かりきった答えを伝える程度に、悟りきった顔でしゃあしゃあと。

『幸せな奴だからそんな常套句(たわごと)を言えるんだよ。』

『少なくとも過負荷(僕達)は、プラス(いいこと)があったからってマイナス(やなこと)が帳消し(チャラ)だなんて思えた事は無い。』

失恋でもしたような薄ら笑いを浮かべ、目を伏せ気味に逸らしながらぼんやりと言葉は続く。

『なんのことはない。』『僕は幸せ(プラス)なみんなに不幸(マイナス)の気持ちを分かって欲しいだけなのかもね。』

「どうせそれも嘘なのだろう!球磨川、だから貴様は……!」

瞬間、長者原が二人の間に割って入る。

時刻は十三時ジャスト。

戦挙が始まるのだ。 <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:00:54.88 ID:EKhm+0PAO<>
 二年十三組、長者原融通。選挙管理委員会の副委員長。

持ちうる異常(アブノーマル)は公平。

容姿も性別も家系も過去も色眼鏡も下馬評も関係ない。

有り得ないほど公平に徹底的にフェアに圧倒的なルールの下で審判するだけの人間だ。

決められたルールには必ず従わねばならない。

仮に判定の結果自分が惨殺されようと、もしもジャッジの結果世界が破滅しようと、その信念を曲げる事は決して無い。

逆に言えばどんな融通も効かない石頭であり、役所仕事である。公平さを欠かなければ。

リカバリーもオマケも泣きの一回も認めらんない。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:01:24.96 ID:EKhm+0PAO<>
 ならば、負けなければ良い。

愛すべき怒江や友達の不知火とは出来る事なら戦いたくは無いが、寧ろ球磨川なら戦いやすい。勝ちやすい。

「めだかちゃんはいつもみたいに無駄に偉そうに、どっしり悠然と構えてくれよ。」

「この分からず屋に、人生はプラスだって叩き込んでやるからさ。」

二人の間にピシッと音の聞こえるほど、亀裂が雷鳴が衝撃が、走った。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:01:51.17 ID:EKhm+0PAO<>
 「それではただいまより生徒会戦挙――」

敵対する両者は向き合い、ルールを聞く。

 干支と人の書かれた十三枚からリコールした側が一枚選び、そのカードに書かれた文字に関する試合を行うというくじ引き形式。

若干現代風のアレンジを加えてはいるが、負傷及び死亡は事故と処理されるが、黒神めだかはやや躊躇したが。

双方代表者は「異議なし」であった。

そして球磨川が引いたのは巳。最も残虐なルールで行われる毒蛇の巣窟。

 この最も残虐(マイナス)な試合に、善吉は平常心(ノーマル)で臨む。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:02:30.19 ID:EKhm+0PAO<>
 この毒蛇の巣窟はいたってシンプルな戦いである。

一辺十メートルの立方体に掘った穴の底に大量のハブを放ち、その上に固定されていない金網を載せたステージで戦う。

球磨川は庶務の腕章を奪えば勝ち、善吉は腕章を守りながらギブアップさせれば勝ち、蛇の餌食になれば両者失格。

 不公平なルールではあるが、そもそもリコールをされる時点で生徒会側に問題がある事は明白である。

不備があるからリコールをされたのだ。

リコールを受け入れれば戦挙の必要は無いのだ。

それでも生徒会役員を続けるというならば、リコールで失墜させた王者の品格を示せ。

それが文武両道。否、武芸一辺倒の黒箱塾の教えなのである。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:02:57.26 ID:EKhm+0PAO<>
 皆がステージに狼狽し長者原とあれこれ話し合っている中で、善吉はじっとステージを眺めていた。

この時じんわりと流した汗は、恐怖でも不快感でも無かった事に誰も気付かない。

 臆病者であることをウリにし、恐怖する人間だからこそ彼は。

頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って。

今この場に立っている。

立っているのだが、その脳内は今じっくりと「憎たらしい男を叩きのめす」事しか考えていない。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 02:03:24.73 ID:EKhm+0PAO<>

 いつからこんな歪み方をしたのか、いつからこんな狂い方をしたのか。

果たしてこれが歪んで狂っているのかすら誰も分からないまま、物語は加速を続ける。

終わりのない崖を転がり落ちるように。


<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/01(金) 02:06:59.85 ID:EKhm+0PAO<>

メモ帳いっぱいになったんで一旦終了
いつも短くてごめんね

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:22:31.86 ID:EKhm+0PAO<>
 そんな善吉の思考は、傍らに現れた宿敵によって強制的に停止する。

『ねぇ善吉ちゃん』『この庶務戦なんだけどさぁ。』

肩を抱いて顔を近づけ、

『僕、わざと負けたげよっか?』

八百長を持ち掛けて来た。

『人吉先生の前で酷いことしたくないし、あと選管の皆がノリが良くて冷めちゃったし。』

小馬鹿にされた、少なくとも彼はそう感じたのだ。

 「球磨、川…てめぇって奴は…!」

肩に回された手を弾き飛ばして、善吉は試合前の不祥事を堪える。

そんな事すら球磨川のお遊戯(あそび)に過ぎないのだけれど。

 『あは!』『なに怒ったの?』『やーだー!』

相変わらずの彼の笑みは、寧ろ仲間を見つけたような微笑みであった。

『終業式の時もさっきもそうだ。』『何かあったらすぐ暴力で、』『そこら辺のチンピラだね。』

それは紛れもない、事実。真実。正論。

善吉の顔は、不甲斐なさと苦痛に歪んでしまうのは必然。当然。正当。

『そんなキレやすいゆとり世代の善吉ちゃんにアドバイス、』『そうやって僕を不快に思っている限り』『永久にきみは僕を止められないよ。』

 『受け入れる事だよ。善吉ちゃん。』

足取り軽く、鼻歌を交え。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:22:58.30 ID:EKhm+0PAO<>
『不条理を』『理不尽を』『堕落を』『混雑を』『冤罪を』『流れ弾を』『見苦しさを』『みっともなさを』『嫉妬を』『格差を』『裏切りを』『虐待を』『二次被害を』『巻き添えを』『密告を』『風評を』『不都合を』『不幸せを』『インチキを』『いかがわしさを』『嘘泣きを』『言い訳を』『偽善を』『偽悪を』

『愛しい恋人のように受け入れることだ。』

金網が揺れ僅かに高度が下がる。

『そうすればきっと、僕みたいになれるよ。』

毒蛇蠢く狂気のステージで、彼はマイナスに舞う。

螺子を手元で遊ばせながら、ニンマリと笑って善吉ちゃん(獲物)を待っている。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:23:24.92 ID:EKhm+0PAO<>
 「ねぇ人吉、今からでも棄権するってアリだと私は思うよ?」

球磨川(あんちくしょう)に目を奪われ過ぎていたのだろうか、大袈裟に振り向いたその姿はこれから戦う人間としてはあまりに心もとない。

「あんたさっきからヘンに強がってるけど、それは心底ブルッてる裏返しでしょ?」

もしも、あんな場所(ステージ)で地下の二の舞(またパニック)になれば。

確実に死ぬ(おしまい)。

元ノーマルでアブノーマルを失った彼女だからこそ言えるのは、普通と異常を体感した彼女だから言えることは、

逃げることと恥ずかしいことは違うということ。

 「私は、負けると分かってて意地で逃げない方が、恥ずかしいと思う。」

真摯な真剣な心配した激励した眼差しが、彼のしがらみを払って行く。

 「……カッ!」

何かが、吹っ切れた。

「ご忠告ありがとう御座います古賀先輩!でも俺は、」

ガシャンと金網に踏み出す。

「恥知らずでいるよりも、恥ずかしがり屋でいたいと思う!」

 ステージに両者が揃った時点で、自動的に戦いは開始となる。

無論金網外に出た場合もギブアップ扱いであるので前半戦は通常とは別の注意が必要だ。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:23:50.60 ID:EKhm+0PAO<>
 「男子ってなんでこう意地っ張りかな。」

「勝算があるからこその行動だろ、一週間の準備期間で勝利不可能(マイナス)を覆す秘策があるってこった。」

古賀の脱力した溜め息に名瀬が肩を叩いて弁護する。

「それの心当たりはありますが、問題はどんな修行をしたかと言うことです。」

 『じゃあいきなり腕章を取ってもつまんないし―』『最初は遊ばせてよ?善吉ちゃん?』

迫る螺子は転がり飛び、走る球磨川は叩き伏せられた。

直前に鳴ったのは肩甲骨が砕ける音。

先制攻撃を決めたのは、善吉だった。

同時に約五センチほど、奈落の底へと近づいた。

 『痛いなぁ…右腕が動かないよ。』『また肋骨が折れて肺に刺さった?』『血も出て来たし呼吸も苦し――』

続けざまに蹴りが放たれる。

ちょうど立ち上がる最中であった為、回し蹴りの爪先が鳩尾に直撃。

衝撃だけで更に五センチは底に進んだ。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:24:16.42 ID:EKhm+0PAO<>
 球磨川が何度起き上がり、球磨川が何度飛びかかろうと、彼はあらゆる蹴り技を浴びせて吹き飛ばす。

一方的過ぎて虐めにすら見えるほどに。

「圧倒的じゃねぇか人吉の野郎!球磨川へのトラウマを完璧にクリアしてやがる!魔法使いと呼ばれる兄貴ですらこうはいかねえぞ!とんでもない名伯楽だ!!」

沈黙、そして、

「流石ですねお姉様。」

「名瀬さんはどんな修行をさせたの?」

「だから最近名瀬ちゃんは付き合い悪かったのか。」

わざとらしく驚愕していた名瀬だが、この一週間修行をさせていた事などとっくにバレていた。

「はいはいすいませんね俺ですよ俺が鍛え上げてやりました―ダメですか―」

名瀬夭歌、本名黒神くじら。

彼女は根っからの悪人では無いのだが性格はとても鬱陶しい森ガールである。

 「ちょ、人吉の奴…目瞑ってる!?」

首に、脇に、膝に、顔に、頭に、肩に、腹に。

彼はしこたま蹴りを叩き込んだ。目を瞑ったままで。

「兄貴が魔法使いなら俺は魔王だ。魔王名瀬ちゃん直伝マイナス無効化システム、」

べぇっと舌を出しながら邪悪に微笑む。

「マイナスを見たら心が折れるなら、見なきゃ良いんだよ。」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:24:42.67 ID:EKhm+0PAO<>
 人間の脳は非常にスパコンなんかより優秀ではあるが、実は膨大な視覚情報を処理出来ていない。

もっと言えば、脳味噌の能力をかなり偏って使っている。

常に十二分に百パーセント使いこなせたとしたら、シアン化カリウムやボツリヌス毒やモルヒネなんかより強力で危険なホルモンが膨大に溢れかえって死ぬからである。

六十キロで走るべき自動車に百八十キロもスピードを出せる機能をつけるのと同じ。

ある種の余力なのだ。

 善吉はその偏った脳の偏ったオーバースペックを、一部マニュアル操縦で使っている。

見なければ大丈夫、聴こえた場所を蹴れば良い、不快に感じる空間を破壊しろという自己暗示。

ただの小麦粉を薬と信じ込ませれば効果が現れるプラシーボ。

無意識に訴えかけて行動を誘導するサブリミナル。

一週間かけて彼はみっちりと脳を騙し、騙しの天才に対抗しているのだ。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:25:22.77 ID:EKhm+0PAO<>
 「おわかりかい?球磨川先輩。受け入れるも何も!最初から眼中にねーんだよお前のことなんか!!」

スポーツでもしているかのような爽やかな汗を流しながらフットワーク軽く言い放つ。

さながら勝利宣言に近い、少なくとも「今の球磨川」と「喧嘩する」としては負けない。

事実球磨川は地に伏せ金網に伏せ、血みどろにズタボロにされているのだから。

『やれやれ…目の前にいる僕を無視するなんて酷いなあ。』『これは週刊少年ジャンプなら規制されかねないいじめの描写だよ。』

まともに、やりあったとしたら。

まともな、相手だったとしたら。

ここまでは、まずまずと言ったところ。

球磨川相手に、まずまず。

 「ところで人吉、考え無しに蹴りまくるのは良いが金網はけっこう沈んでるぞ!」

機械的に反射的に戦っていた彼だが、ここで改めて脳の休ませていた部分を切り替える。

この庶務戦は、相手にギブアップをさせねば生徒会側の負けとなる。

つまり交渉をせねばならない。

とりあえずは、武力をちらつかせたままで簡単にいってみようか。

「目が見えなくてもどこにいるのか丸分かりなんだ、更に蹴られたくなきゃ降参しろ球磨川禊!」
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/01(金) 05:25:48.21 ID:EKhm+0PAO<>
『うん参った!』『僕の負けだよ!』

この発言に、流石に面食らったのを彼は後々後悔する。

サッサとデビルクライムで駆け上がって帰れば良かったのだ。

降参の宣言がされた時点で庶務戦は生徒会側の勝利、万々歳なのだから。

 『そうだ!』『どうせだからプレゼントをあげるよ!』

その言葉を境に、善吉の世界から光は消滅した。

続けて走るのは痛み、螺子のように硬く螺子のように冷たく螺子のように螺旋の物体が体を貫く衝撃。

『やったね善吉ちゃん、もう過負荷(ぼく)を見る必要なんか無いよ♪』『その螺子はオマケだから気にしないでね?』

見る見るうちに傷は治り服は直り、さながら試合前と変わらぬ姿で彼は微笑む。

「なんだあいつ、治癒能力でも持ってるのか?」

『違うよ名瀬さん、そんな前向きな真っ当な能力が』『僕みたいな過負荷(ねじれ)から生まれるわけないだろ?』

そして種の無い手品の種が明かされる。

あらゆる事象を、なんなら世界すらも、現実(すべて)を虚構(なかったこと)にする能力(マイナス)。

その名は大嘘憑き(オールフィクション)。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/01(金) 05:30:32.03 ID:EKhm+0PAO<> 今夜の分、てか朝になったが終了っと
四章も佳境です、もうすぐ五章になりますよ
今更ですが四章のタイトル「不快、炎相、why、深海」の「炎相」なんて言葉は存在しません。>>1の造語です
「火相」と同じ意味とか火相をグレードアップさせたとかそんな程度に思って下さい
ではまた

追伸
雲仙と鍋島を使う機会逃したけど、ちゃんと双眼鏡で覗いてるからね! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/07/01(金) 06:58:15.76 ID:5cXK0dEAO<> 乙

今回は投下量頑張ったな <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/01(金) 07:05:23.10 ID:EKhm+0PAO<> >>137
原作部分の取捨選択で迷って、予定より長引かせちゃったからこの程度ほんと申し訳ないですぬ
毎日これ以上の量をうpしてる人達が怪物に見える
<> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(北海道)<>sage<>2011/07/01(金) 09:10:53.10 ID:y2HNH3GAO<> このクオリティを出せるお前もバケモノに見える <> ◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/02(土) 03:30:42.81 ID:/A39q/kAO<> >>139
やだ、悔しい…調子に乗っちゃう…ビクンビクン

そんな気持ちで今夜分
投下します <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:31:13.78 ID:/A39q/kAO<>
 「カッ……!」

視力が虚構(なかったこと)になった?それがどうした馬鹿馬鹿しい!

元より俺の目は怒江ちゃんしか見ていね―、目を瞑ろうが目を潰そうが俺の世界にはあの子しか映っていないんだよ。

元々目を閉じて戦うつもりだったのが、瞼に使う筋力に回すカロリーを省略出来るようになったんだ。ありがとうよ!

 両腕は固く胴体を防御し、急な肉体の変化に汗は噴き出す。

不自然な状況に顔は強張り、武者震いは止まらない。

それはさながら、トラウマを再発させた時に良く似て、誰にもそう見えた

 「あああぁ!ならこれがプレゼントの御礼だよこの野郎!」

強大な凶悪なオーラに向けて、飛び後回し蹴り。
対象へ一旦背中を向ける隙の大きな攻撃。

勿論回避されるが、球磨川は隙を突くべく近づいた御陰(せい)で互いの距離はまさしく触れ合うほどに近い。

そして善吉は、

この戦いにおいて初めて、

踏ん張った。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:31:48.35 ID:/A39q/kAO<>  踵を地に付け重心を落とせば拳は重い、空手でも喧嘩でも変わらない。
フットワークを重視するあまり踵を上げ、スピードを重視するあまり重心を上げたボクシングなどでは決して味わえ無い鈍い鈍い一撃。

八卦掌のような「円」には軽くいなされ適わないが、「線」は紛れもなく強い。

当たらなければ意味は無いが、当たらなくとも威力が大きい事実は変わらない。

 竹は折れないが巨木は砕く。
影は消せないが螺子は折る。
過負荷(マイナス)は改心(たお)せないが球磨川(ひと)は殴れる。

 「歯食いしばった方がいいぞ、舌噛んで死んでも責任取らねーからな!」

沈み続ける金網という不安定な地盤でも、重心が落ちればそれでいい。

踏ん張るだけで、体を軸(カタパルト)にその拳を叩き込み(キャストオフ)さえすればそれでいい。

形意拳(コークスクリュー)よろしく少し回転し、螺旋の拳で。

修羅の誇る線の拳で。

螺旋で羅線で螺子伏せた。

 そして金網は、底へ落下する。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:32:59.59 ID:/A39q/kAO<>
 『えっ!?』『なんで!?』

背後を取ったと思った。肩に螺子を突き刺す予定だった。

だが見えない彼は、的確に自分を捉えて叩き伏せた。

そして馬乗りに、異常な信念の執着心。過負荷な肉体へのダメージ。

先程まで蹴りでやっていたように今は拳で金網を下ろし。否、落としている。

 「善吉止めろ!それ以上は本当に!」

『許して、仲直りしよう?』『目も戻すから、ね?』

人吉先生に羽交い締めされながら、命令のような願い事。

人吉善吉に押さえつけられながら、呪詛のような願い事。

「止めて、くれ…」「死なないでくれ。」

『ぼ、僕が悪かった』『まだ死にたくない。』

お願いだ、善吉(ちゃん)。

 「欠点(マイナス)まみれの不幸(マイナス)まみれのお前に、教えてやるよ。」

胸倉を掴む左手を、振りかざした右手を一瞬止めて彼はにこやかに微笑んだ。

「見ての通り、人生はプラスだろ?」

もう一発。

顎を確実に捉え骨を砕き意識を塗り潰す一撃。

それを皆が確認するより早く、毒蛇の巣窟は獲物に牙を向いた。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:33:34.47 ID:/A39q/kAO<>
 「早く血清を持って来い!ありったけだ!!「病院に運んでいる暇は無い!ここで処置する!!」「保健委員会への連絡を忘れるな!!」

飛散し飛び交う怒声。

A班は人吉をB班は球磨川を治療する。

助ける為に助かる為に、CからZ班が総出で押さえつけている乱神に捻り潰されない為に。

「がああああああああああああっ!善吉いいいいいっ!!」

悲惨さに咆哮する怒声。

 「うん?教室?」

さっきと違って制服が違う環境が違う。

さっきと違って光がある命がある。

「確かさっきまで球磨川をボコボコにして、ハブに噛まれて死んじまったか?」

なんとなく自分は居るのは死後の世界なのだろうと感じた。

果てしなく自分が捨てたのは勿体無い事なのだろうと感じた。

「まだ怒江ちゃんとデートしてねぇや、手料理も食いたかったなぁ。」

「やれやれ、教室でノロケるとか止めてくれよ。」

振り向いた先には、路傍の石がいた。

少し目をこすってから、それが人間だと分かる。

「どうにも君は、恋人以外の相手に無頓着気味だね?ぼくじゃあるまいし。」

何だか嫌な相手、直感的にそう感じた。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:34:01.11 ID:/A39q/kAO<>
 時計塔地下五階、駐車場。

「あたし達は酷い目に遭ってきた、だから酷いことをしてもいいんだ!!」

「いいわけねーだろ!てめえらはただの悪党だ!!」

悪だなんてヌルいものと一緒にするな。

あたし達は負(マイナス)だ。

庶務戦の裏側で、英雄たる日之影空洞は敗北し一緒にいた三名も重傷。

凶化合宿はまだ殆ど何も出来ていないままに頓挫した。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:34:28.01 ID:/A39q/kAO<>
 『あーあ、勘弁してよ』『死ぬのだけは本当に嫌なんだよ。嫌な奴に会わなくちゃいけないし。』

ショック死しても間違い無い激痛、暴行による多量のダメージ、全身を蝕んでいた筈の出血毒。

その全てを「無かった事」のように起き上がり、土埃を払いながら彼は呟いた。

「球磨川、貴様ぁぁぁ!」

驚く周りを余所に驚きも無く驚くべき乱神の力を振りかざす。

『止めろよめだかちゃん』『僕は病み上がりで蘇生直後の九死に一生を得た』『被害者だ。』

本日二度目の場外乱闘が、勃発。

しなかった。

 「あれ?眩しいな…。」

火種の彼が、生き返ったから。

「善吉いいいいいっ!」

「ぎゃあぁぁ!折れる折れる折れる!背骨と肋骨がくっ付く!」

奇跡としか言えない感動の復活。

絶対に有り得ない異常な復活。

因果律に関与して、絶対に取り返しのつかない大嘘憑き(オールフィクション)で消された視力の復活。

 『なるほど』『彼女の仕業だね……。』

それは彼の心を揺さぶるには充分で、一瞬だけ素の嫌悪や怒りを引きずり出した。

『まぁいいや勝利おめでとう。』『ついでに凶化合宿の方も「事故無く平和に終わるといいね」?』

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:35:02.17 ID:/A39q/kAO<>
 待てよ、俺はまだ聞きたい事が……!

 いいから。

人吉くん、今回は帰りなさい。

虚構(なかったこと)にされた視力なら、僕が元通りにしてあげたから。

ホントならサービスで貸しても良いんだけど、ちゃんと愛(スキル)があるみたいだし?

もうめだかちゃんを泣かせちゃダメだよ?

あと「怒江」なのか「怒江ちゃん」なのか呼び名もはっきりしなよ?

 カッ!

……わぁったよ。

よく知らねえ人。

 戦挙が終わればまたおいで。

 やなこった、死にたくねぇからな。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:36:24.04 ID:/A39q/kAO<>
 『でも現実はシビアだからさ、思いも寄らぬ不幸ってあるよね。』

『地下五階の駐車場なんてところでさ、』『きっと今頃棄権する肉体(状態)になっちゃったんじゃないかな?心配だなぁ。』

最初、彼の台詞の意味が分からなかった。

いや、いつも分からないものだけれども。

今回はすぐに皆理解した

 何故球磨川一人しかいなかったのか。何故凶化合宿の事を詳しく知っているのか。何故今頃になってそんな種明かしをしたのか。

既に四人は襲撃されている。

 一番最初にそれに気付いた善吉は、さながら乱神モードの如きスピードで走り出した。

「怒江、今行くよ。」

だって過負荷(マイナス)なんて悪い友達との付き合いは止めさせなくちゃいけないから。

だって四人が心配だったから。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:36:51.64 ID:/A39q/kAO<>
 「ほんじゃそろそろ帰ろっか―。」

完全に沈黙した三人となんとか意識を取り留めた一名に、志布志は振り返った。

「あたし達これから球磨川さんと合流して四人でカラオケに行こうと思ってんだけど、日之影先輩もどう?」

「……また今度な。」

英雄の気合いで張り詰めた意識は、幸いな事に途絶えた。

何が幸いかと言われれば、衝撃的な後輩を見なくて済んだ事だろうか。

 「へぇ、お前ら不知火とカラオケ行くのか。」

ハブによる傷の応急手当てで、体中にガーゼを貼り付けながら彼は呟いた。

それはとても小さな呟きともマイクを使った絶叫とも聞こえる、嫌な空気の振動。

階段に立ちふさがるように、善吉はそう言ったのだ。

「お待たせ怒江、帰ろうか。ところで日之影先輩達が見えないけどどこに居るんだ?」

先頭を歩いていた彼女に当然ながら馴れ馴れしく微笑む。

あまりに馴れ馴れしくて戦慄してしまうだなんて分かってなんかいなくて。

震えて泣いているのは感涙じゃなくて恐怖だなんて分かってなんかいなくて。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:41:53.64 ID:/A39q/kAO<>
 最初、両手から血が出た。

続けて顔や足や腹や、兎に角体中から血が吹き出した。

「どけよ、不知火は知らねーけどさ。あたし達はこの三人と球磨川さんでカラオケに行くんだから。」

先日は確かに驚いた、だが先手を打ってしまえば問題ない。

致死武器(スカーデット)で文字通り身も心も傷をこじ開けてしまえば、誰だろうと。

「そういや、何か言ってたな?」

血まみれのまま、善吉は首だけを志布志に向ける。

 「確か、『酷いことされたら酷いことしても良い』んだっけ?」

僅かな跳躍と頭上からの踵落とし。高校生一人の意識を朦朧となせるには充分な威力。

「あれだろ?日之影先輩達を痛めつけたんだよなお前?なんか分かんねーけど俺も体中傷だらけだし?つまり俺はお前に酷いことされたんだ、分かるか。今の体のリアルな傷と先輩達を傷だらけにした怒りという傷と怒江ちゃんをそんな現場に連れ込んだショックという傷。」

彼女は地を舐めるように悶え、でも体が痺れて動けない。脳震盪も起こしているのだろう。

「じゃあそんな酷いことされた俺は、お前の全身の骨を砕いて内臓をボロボロにして皮膚を剥ぐくらいしてもまだ足りないぜ?何て非道なんだマイナス。」

「あ、あなた…まさか痛みを感じないのですか?」

蝶ヶ崎の質問は、愚問だった。

「まさか!そりゃ痛いけどさ。」

傍らの女性を背中から抱き締めながら答える。

「俺はこんなに深い愛を24時間365日常に感じてるんだ。」

答えにならない答えを答える。

「俺の愛はだってだって、痛みよりもずっとずっと強いんだから、な!」

ただ強力なだけの踏みつけを、志布志に行いながら。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:42:34.27 ID:/A39q/kAO<>
心とは植物に似ている。

常に呼吸し、光合成(想像)で酸素(欲望)を生み、死ぬまで成長し、時には折れてしまう。


励ましとは、折れた心を粘土で繋ぎ添え木で補強する事だ。

 ならば黒神めだかは、皆の心に栄養剤を打ち込んで成長させている。

ならば雲仙冥利は、皆の心に縄を張り巡らして矯正させている。

ならば球磨川禊は、皆の心に水を与えて腐らせている。

 だが彼は違う。

徹底的に正面から明確な敵意を持って、「折った」。

腐りとろけ曲がりだれて朽ちている心を、無理やり引き抜き力ずくで粉砕し強制的にまとめあげて。

細かい肥料にして土に埋めて改めて心を作り直し発芽させてから、折ったのだ。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 03:43:14.02 ID:/A39q/kAO<>
 黒神一行がたどり着いたのは善吉が来てから十分程度しか変わらない。

一階迷路だけでなく幅広く複雑な地下ダンジョンだったが、腐った一本道が続いたから通常よりかなり早かった。

よって志布志飛沫は痣確定の傷だらけで気絶し、それを蝶ヶ崎がおんぶしている現場に遭遇した事になる。

「おぞましいですね黒神生徒会長。」

彼が呟いたのはその一言だけだった。

あんな人間とずっと一緒にいたなんて、あなたはとても人間じゃない。まさしく異常(いじょう)だ。

 日之影らはすぐさま名瀬の工房(ラボ)にて応急処置を施され、全員そのまま救急車で搬送された。

多少の差異はあったものの、凶化合宿の中断と阿久津及び喜界島の強制的棄権はマイナスの思惑通りに成功したのである。

志布志と蝶ヶ崎に恐怖を与え、江迎に異常な逃走をさせた程度の些細な差異だけ。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/02(土) 03:46:01.61 ID:/A39q/kAO<> 今夜分終了
ゴールデンタイムに投下したいのに、悩みすぎて明け方になるとかマヌケ過ぎるぜ俺…

なんか後味悪いと思うけど、四章はおしまいさ!
次は五章、実は最終回は目前だぜっ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(福岡県)<>sage<>2011/07/02(土) 05:24:47.65 ID:wziF8x9to<> 乙、次も期待している <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)<>sage<>2011/07/02(土) 07:57:00.95 ID:BUGECqTAO<> 乙
クオリティ高いしおもしろい <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/02(土) 08:55:54.11 ID:kE75xT7+o<> クオリティ高いから面白い <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/02(土) 14:44:48.65 ID:1p/rAifm0<> 乙、善吉ちゃん怖い
ここから冒頭に繋がるのかな? <>
◆Wm01vvGoQ2<>sage saga<>2011/07/02(土) 21:45:40.44 ID:/A39q/kAO<> こんな変態オナリストを誉めないでっ><絶頂しちゃう

善吉ちゃんがちょっとはっちゃけました。いつの世も、怖いのは普通の人間ですね。
魔女狩りとか拷問とか戦争とか民族浄化とか麻薬とか殺人とか怨みとかくわばらくわばら。

さて間に合ったぜゴールデンタイム投下の第五章
五章は外伝的な蛇足的なものだから超短編だよ、読んでくれなきゃ全身の骨を折り畳んじゃうんだからっ <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 21:46:08.34 ID:/A39q/kAO<>


第五章

縁合い、万歳、π、正解

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 21:46:41.02 ID:/A39q/kAO<>
 江迎怒江、二十一歳。

「誓いますっ!」

今日私は、人吉怒江になります。

 日曜日のチャペルで響かせる鐘。ロードに並ぶ知人親類。【草の名は、知らず珍し、花の咲く】。

 「幸せな家庭を築くが良い!」「これからバンバン仕込んで行くから覚悟しなさいよ?」『僕が壊したくなるくらい、幸せになってみてね♪』

割れんばかりの拍手、とめどない歓声、降り注ぐライスシャワー。

純白の花嫁は頬を染めながら、愛しの旦那に首を預ける。

「善吉、幸せで死んじゃいそうだよ私…。」

「これからもっと幸せになるんだから、何回死ぬか分からないな?」

二人の秘め事、小さな会話。

高校時代から温めた愛は、確かな形で身を結んだ。

 「ほら怒江、ブーケトスだよ。」

ひらりひらりと舞う花は、一直線に吸い込まれて、手にした男に視線は集う。

「ふむ、僕が貰ったということはやはりめだかちゃんとくじらちゃんの二人と結婚するしかな――」

その言葉はコンクリートを砕くキックと、ダンプカーのようなパンチにより阻まれ、その動きは突如発生した氷柱により阻まれた。

穏やかな午後、のどかな笑い。

そっと二人が交わすのは、【好きの印のキス】。
<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 21:47:08.85 ID:/A39q/kAO<>
 「つ、かれたぁ…。」

彼ってば、だらしない。

新居の椅子にダラリと腰掛けて、天井を仰ぎながら手で顔を扇いでいる。

いつだったか、私が逃げ出しちゃった時とおんなじだ。

あの時は公園のベンチだった。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 21:48:00.06 ID:/A39q/kAO<>
 追いつかれる。追いつかれた!

血みどろになりながら志布志さんを血まみれにした彼が。

すぐそこまで迫って、すぐに辿り着いた。

殺される。

私、

殺されるのかな?

私、

死ぬのかな?

 「どうしたんだ、怒江?」

「ううん、何でもないっ♪」

ウエットティッシュを差し出しながら、新妻は微笑む。

不覚にも目を逸らさずにはいられなかった。

 昔から何も変わっていない。

彼女の顔が眩しすぎて、彼女の髪は綺麗すぎて、彼女の姿は愛しすぎて、彼女の事が好きすぎる。

幼稚園児や小学生の初恋じゃあるまいし、顔真っ赤にして何してんだよ。

畜生、俺もしかして死ぬんじゃね?
萌え死に悶え死にするんじゃね?

 【恋しさや、慕い会いたし優しい子】、夢の中にも君を求めて。

時は流れて陽は沈み、二人の新居も夜を迎える。

深い深い、愛しい夜。

【長き夜の、遠の眠りの、皆目覚め、波乗り船の、音の良きかな】。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/02(土) 21:48:27.55 ID:/A39q/kAO<>
 「頑張れ怒江!」

「善吉、ああああっ!」

握り締め絡み合う諸手、苦悶する表情、流れ落ちる玉のような汗。

新たな命がこの世に誕生する瞬間。

 「負けんじゃないわよ…あんたは私の……。」

待合室に小さな影。二人の母にして義母。

「自慢の嫁なんだからね……!」

待合室に小さな影。やがて溢れる多数の影。

汗だくの愚息が、ハンディカム片手に戻って来た。

嫁より疲れた顔してんじゃないわよ、馬鹿たれ。

 人吉家の新たな家族。

過負荷(マイナス)と通常(ノーマル)の間に生まれた新たな生物。

通常(ノーマル)でも特待(スペシャル)でも異常(アブノーマル)でも過負荷(マイナス)でも悪平等(ノットイコール)でも無い。

新たな、人のカタチをした生き物。

人類史に組み込まれる小さな存在。

繋がり続く巡り終わらぬ数列のように。

 十数年後、この子が特異纏(イマジナリーナンバーズ)と呼ばれるのは、また別のお話。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage saga<>2011/07/02(土) 21:52:59.96 ID:/A39q/kAO<> 五章おしまいっ
次回は六章最終章

あ、ものっすごく分かり難い内容だから時間軸を説明するね
一章→三章→四章→序章→→六章→→→→→五章→二章だよ

じゃあ今夜はここまで、相変わらず一回の投下が少ないてごめんなさい!
お詫びに獅子座(7/23〜8/22)の善吉ちゃんを解析(某サイトのコピペ)してみたから許して

獅子座は主星が太陽で、プライドが高く、自己中心で、自己顕示欲が強く、人から褒められるのが大好きです。
人生とは、自分を中心に楽しく華やかに生きていくものと思っているのが獅子座の特徴。他人の派手なパフォーマンスを見て、たとえ自分の実力が伴っていなくても、負けずにそれをやろうとする傾向があります。
獅子座の人は、明るくユーモアのセンスも抜群で、アイデアが豊富で、演出も上手。また、負けず嫌いで人一倍働き、実績を積もうとする努力家です。
何事も自分で経験しないと納得しない、よくいえばこだわり屋、悪く言えばわからず屋でもあります。どんなに荒々しいことを言っても、罪が感じられないのは獅子座の人徳とも言えます。


西尾維新はここまで全て分かって作ったのか…パネェ… <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/07/03(日) 10:15:47.60 ID:rGhTLOxAO<> その頑張り屋で普通な善吉ちゃんをこんな恐怖の象徴みたいに仕立てあげたお前の方がぱねぇよ…… <> ◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:23:39.70 ID:yo/QIY3AO<> >>165
それはあなたの気のせいだよきみの気の迷いだよ私は気後れしちゃうよ
陳腐な僕が馬鹿な俺なりに書いただけだもの


ではでは、いよいよ最終章第六章です最後まで一気に突っ切るよ―


<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:24:18.47 ID:yo/QIY3AO<>


第六章

他愛、情愛、die、命題


<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:24:53.33 ID:yo/QIY3AO<>
 箱庭学園の理事長室、不知火袴の城にて。現在三者会談が行われていた。

正確には、一人はただそこにいるだけの人外である為、事実上二人の会談だが。

「楽しいね、善吉くんを見ているのは。」

にんまり、仮面のような典型的な笑みを浮かべる二人。

「そうですか、彼は非常に不思議ですからねぇ。」

老人は、更なる老人にほくそ笑む。

「彼の行動は非常に異常(アブノーマル)です、いや精神面は過負荷(マイナス)と言ってもいい。」

「いや、そんな事は無いさ。」

てっきり賛同されると思った見解を否定され、老体は細い目を更に細めた。

「これは通常(ノーマル)な感情で正常(ノーマル)な動作を平常(ノーマル)な思考で日常(ノーマル)な行動しかしてないよ。」

長い時間多数の人間を見たからこその見解。解析。教訓。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:25:35.05 ID:yo/QIY3AO<>
「はぁ、しかし…。」

納得など出来ようも無い。

そもそも普通(ノーマル)の見解が違う。

あんな常軌を逸した思考回路で非人道的に暴行を加えた善吉が普通だなんて理解し難い。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:27:25.39 ID:yo/QIY3AO<>
 「信じられないかい?」

難問に悩む教え子を諭すように、彼女はほくそ笑んだ。

「殺人のうち半数は身内によるものだって言うだろ?」

 愛憎は同じ。

みんな平等。

彼女達悪平等(ノットイコール)の理念と悪平等ならざる者が交差する瞬間は一つ。

我が子を守る為に外敵と戦う野生動物と同じ。


正義のためなら欲望のためなら復讐のためなら自分のためなら。

人間は誰よりも何よりも残酷になれる。

そこにあるのはただの愛。

正しかろうが間違えようが変わらない。

多種多様の醜く美しく純粋で歪な感情。

「人間が言う『愛』の前には、全てが平等(カス)だろ?」

「それは歴史が証明しているよ。」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:28:32.63 ID:yo/QIY3AO<>
 決定的に違う。

やはりこの生物は、自分の前に座る存在は、自称違わず人外だ。

「本当に、生き馬の目を抜くような人だ。」

自然と漏れた、本音。

色んな意味を含んだ、本音。

 「はは、そんな可哀想な事しないよ。」

わざとらしく腹を抱えて嫌味っぽく笑顔で嘘っぱちに笑いやがった。

「蹴られて死んだらどうするんだい?」

人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られてなんとやら。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:31:06.11 ID:yo/QIY3AO<>
 「ドッジボールをやるぞ!」

「うおおぉぉぉぉ!」

会長黒神の一声に、何故か盛り上がる一同達。

善吉が完全ランダムにくじを作り、これまた完全ランダムにすべくぶちまける。

ボールの数は馬鹿でかい籠一杯、チームの組み分けは五つ。グラウンドに五角形のラインを引けば、特製バトルフィールドの出来上がり。

 「何で俺一人で作るんだよ。」

愛しの怒江ちゃんは母親と一緒に花嫁修行的な何かを教わってそれどころじゃないし。

て言うか縫合格闘技とかチェーンソーで盆栽弄りとか飛び抜けた事を教えんな!

「てりゃっ!はっ!」

ほら、何か蹴り技を頑張ってるじゃないか!

怒江ちゃんってば勘違いし易いし思い込み激しいんだぞ?

恋の病を煩い過ぎて世間一般のヤンデレみたいな素質がちょびっとあるんだから!

サバットまで身に付けたら殺されるだろうが!

 「江迎さん、君の包丁捌きからして暗器の素質があるようだ。彼の友人として僕の道具を分けてあげるよ、幸せな二人への早めの御祝儀だ。」

宗像先輩ぃぃぃぃ!変なもん渡さないでぇぇぇ!!

「わぁ!大中小の出刃包丁に中華包丁、菜切り包丁!このよく似た奴は柳葉包丁と蛸引包丁ですね!」


受け取らないでよぉぉぉぉ!

「こっちは三徳包丁で、ハモ切りにウナギ裂きにマグロ包丁…嬉しい!」

なんでそんなに包丁に詳しいのさぁぁぁ!

なんでそんなに嬉しそうなのさぁぁぁ!

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:32:03.73 ID:yo/QIY3AO<>
 『ちょっと善吉ちゃん』『彼女に見惚れて無いで』『仕事してよね。』

お前何もしてねぇだろ!と叫びたかった善吉だが、血涙を堪えてライン引き片手に走り去った。

 「球磨川、そろそろ始めるぞ?よーい……。」

「スタート!」

なんというか、有り得ない戦場だった。

空中戦よろしく乱射する化け物とか、螺子もついでに投げる馬鹿者とか。

大声上げたりボールの衝撃をワイヤレスで他人に飛ばしたり。

スーパーボールや鉄球や反則が飛んできたり。

全く当たらない奴とかボールを切り刻む奴とか。

全体的に、

大人気ない。

 「お前らドッジボールのルール知ってんのかコラァァァァ!」

一番吼えたのは、庶務だったりする。

「そうだな善吉、ルール通りお前はアウトだぞ。」

真横に来た巨大な巨体が、ぽすっとボールを当てた。

「流石は知られざる英雄(ミスターアンノーン)…誰にも知られないうちにアウトを取るとは……」

……何故めだかちゃんは納得してるんだろうか。

すごすごと外野に回りながら、彼はしんみり呟いた。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:32:45.68 ID:yo/QIY3AO<>
 窓から見える光景に、安心院は安心したように目を細める。

「な、言った通りだろ?彼はノーマル中のノーマルだよ。」

「はぁ…。」

納得するしか無いような違うような、兎に角袴は頷いておいた。

「人吉善吉は平和な日本の一介の通常の普通の並大抵の通り一遍のただのありふれた一般的な高校生さ。」

老体はそんな彼女に聞いてみた。

「随分と彼の肩を持つのですね?」

決め顔で語りきった彼女の湯のみへお代わりを注ぎながら、まるで恋する乙女でもあるまいになんて考えながら、僅かに頬を緩ませながら。

 「ふぅむ、あまり考えた事なかったな。」

急激に稀有な怪訝した顔をする。

「そうだね……。この世が週刊少年ジャンプなら、黒神めだかは主人公って伝えたろ?善吉くんもそれに近いんだ。」

「俗に言う主人公体質だと……?」

飲もうとした茶を中断し、若干震える手でテーブルに戻す。

いつもより大きな音がなった気がするのは、焦っていたのだろうか。耄碌したものだ。

「映画スターとでも言おうかね。」

対する彼女は、相変わらず楽しそうに玉露で喉を潤していた。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:35:57.95 ID:yo/QIY3AO<>
 「【竹の根は草と柵はねのけた】。」

「はいっ?」

「回文だよ回文、【竹藪焼けた】とか【男子が死んだ】とか物騒なアレ。」

【ダンスが済んだ】とか普通のも沢山ある筈だが。

「つまり言うなればメアリー・スー。そうかもしれないしそうじゃないかもしれない。」

いまいち彼女のセリフは容量を得ない。分かりづらいし解りづらい。

 わからないみたいだね?

無理に理解しなくていいよ不知火くん。

いいいい、大丈夫だ。

四本足を持つ馬でさえ躓くんだ、立った二本の足で生きる人間が理解不能な事柄に躓くのは当然さ。

熟成した梨が美味い酒になるのを見つめるように、じっくり時間をかければいい。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:36:48.69 ID:yo/QIY3AO<>
 「そうそう、僕は人吉善吉は嫌いじゃないよ。」

もう何回目か分からない。はっ?と漏らした。意味が分からない。

平等に嫌い平等に好み平等にカスと見下す彼女のセリフとは思えない。

平等にプラスで平等にマイナスな彼女に、最初から「ゼロの外」の位置にいると認知させる存在があると。

「そうだね、確かにカスだが善吉は嫌いじゃない。」

茶を飲み干して、悪魔のように神妙に続ける。。

「ソバカスよりミソカス好きで、ミミカスよりはケシカスが好きさ。」

「平等な筈の僕が、好き嫌いの差異を持つだなんてらしくないが、」

「めだか(主人公)より球磨川(悪役)より阿久根(トリックスター)より喜界島(友達)よりも」

「僕は善吉(メアリー・スー)が好きだよ?」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:37:38.74 ID:yo/QIY3AO<>
 「そうそう、僕は人吉善吉は嫌いじゃないよ。」

もう何回目か分からない。はっ?と漏らした。意味が分からない。

平等に嫌い平等に好み平等にカスと見下す彼女のセリフとは思えない。

平等にプラスで平等にマイナスな彼女に、最初から「ゼロの外」の位置にいると認知させる存在があると。

「そうだね、確かにカスだが善吉は嫌いじゃない。」

茶を飲み干して、悪魔のように神妙に続ける。。

「ソバカスよりミソカス好きで、ミミカスよりはケシカスが好きさ。」

「平等な筈の僕が、好き嫌いの差異を持つだなんてらしくないが、」

「めだか(主人公)より球磨川(悪役)より阿久根(トリックスター)より喜界島(友達)よりも」

「僕は善吉(メアリー・スー)が好きだよ?」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:38:15.23 ID:yo/QIY3AO<>
「でもきみはどうしても、人吉善吉の愛(スキル)を分類したいみたいだから、名付けてみような。」

 鼻歌を漏らしながら、指で軽くテーブルを叩く彼女は生き生きしていた。

「愛の園は絶対不可侵、溢れる気持ちは炎のようで、一万種類なんかじゃ収まらない熱烈な愛情。」

「そうだね、この愛(スキル)は、僕では決して手に入れられずに使いこなせない。」

「愛園気炎万情【マダムアイアムアダム】と名付けよう。」

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:39:59.74 ID:yo/QIY3AO<>
 「だけど決してプラスの意味で好きじゃない。そんな事は有り得ない。」

付け加えた台詞に呼応し、湯のみがドロドロととろけ落ちた。

「あんな恐ろしい彼女さんに、腐り溶かされ殺されるたくは無いからね。」

やっぱり、生き馬の目を抜くような女だ。否、人外のメスらしきモノだ。

「悪平等なりに好きといえるだけさ。」

一京もスキルのあるインフレな存在なくせに。

 「ていうか、誰も当たらなくて暇なんだけど……。」

件の善吉(メアリー・スー)は、一人っきりの外野で暇そうだった。

 「それでね怒江ちゃん、綺麗なお造りを作る為にはそぎ切りする角度が――。」

「なるほど、分かりましたお義母様!」

未来の嫁姑は仲良く包丁を振り回している。

危ないし怖い。寿命縮まる。てか縮まってる。

「ほら善吉、パスだ!」

幼なじみからキヤノン砲のようなボールがパスされる。

俺じゃなきゃ死ぬぞ。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:40:44.25 ID:yo/QIY3AO<>
 「善吉!」「ほら人吉!」「そうだぞ虫のくせに。」『善吉ちゃん。』「ほら早く!」「行け、息子よ!」

あぁもう、仕方ねえな…振り回されてやるよ。

テメーらを野放しにしたドッジボールなんて、気が気でなくて見てらんね―し。

やりゃーいーんだろーがやりゃ―!

 「弾丸(デビル)ボレー!」

迫り来るボールを回し蹴りで弾き返す。

俺がこの箱庭学園(ガーデン)で暴れるお前らの、ブレーキくらいにはなってやるよ。

 「やだっ、ダーリンカッコいい♪」

「怒江ちゃん、ダーリンは止めてっ!」

「やだもう、私達婚約者なのに照れちゃって―!」

ほら、呆れて阿久根先輩が避け損ねてるし。てかクネクネしないで、周りかとひしひし伝わるリア充死ね視線(ビーム)が怖い。

主に球磨川。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:42:08.42 ID:yo/QIY3AO<>
 「『生徒会庶務、同級生に熱烈告白』。アヒャヒャ☆婚約だってさ!http://hungry-now。」

クリックされたURLは、とある動画に繋がっている。

そう、善吉が戦挙勝利祝いのパーティーで叫んだ若気の至りを記録した動画に。

 〔「だ―か―ら―、何回も言ってんだろ?」「あいつは…」「江迎怒江は…」「江迎怒江は俺の嫁!」〕

記事を見たフォロワー達は、再生したフォロワー達は、例外なく呟いた。

「えっ?」

「ええぇぇぇぇぇぇ!?!?」






お・し・ま・い!






<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 02:55:21.58 ID:yo/QIY3AO<> 六章構成の今作はこれにておしまいです
ありふれた高校生が織り成すありふれた恋愛物語でしたが、まともに恋愛をした事の無い自分じゃとても難しかったです
最初の宣言通り稚拙で申し訳ない…しかも最後なのに連投しちゃうし…

ではまた
この酉と下らない言葉遊びを見つけたら、荒らさない程度に嘲笑して下さいまし <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/04(月) 10:26:30.60 ID:iJz20Z+DO<> 乙です!

普通以上ばっかりの箱庭のなかで一際目立つ、善吉ちゃんの普通っぷりに惚れちゃいそうでした! <>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 14:01:27.36 ID:yo/QIY3AO<>


蛇足外伝(ほそくエピソード)

焼肉バイキングなう


<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 14:01:56.11 ID:yo/QIY3AO<>
 不知火と飯を食うコツ。

大型店舗の食い放題に行くこと。

元を取りたい人は、店を潰す勢いだから安心していい。

そして同じ食い放題の店には月一回以上行かない事。

不知火が起こす一日の被害額を、残り三十日でリカバリーして貰わないと確実に潰れてしまうからだ。

コイツは、暴食の大罪も食い尽くすんだろうか。

いやデビルを食えるかは知らないけど。

……デビルやべーのは変わんねーしいっか。

 食い放題の山盛り皿が、おぞましいスピードで減って行く。

底知れぬ穴にひたすら放り込むかのように消え続ける。

店員達が号泣してるような、してないような。

少なくともブラックリストには確実に載っただろう。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 14:02:22.78 ID:yo/QIY3AO<>
 「そういや戦挙ってさ、どんな感じだったわけ?」

コーンスープを鍋ごと抱え、缶ジュースを呷るように直通啜る不知火。

たまに思うが、こいつは熱さを感じないのだろうか。

 「どんな感じって、お前は知ってるんじゃないのか?」

「でも間近で見てはいないから。」

嘘つけ。箱庭学園で知らない事は無いだろう、比喩じゃなく。

てかこの一言二言の間にコーンスープを飲みきったのか、即刻鍋をトムヤムクンに変更してきてるし。

 あの後、名瀬師匠が自分を改造して過負荷(マイナス)に目覚めたり、日之影先輩が新しい異常(アブノーマル)を使ったり、球磨川が却本作りなんて訳分からんマイナスネジを振り回したり色々だった。

怒江ちゃんが棄権した勝ち星があるから大将戦は必要無いんだけど、まぁそこはめだかちゃんだから仕方無し。

……球磨川が副会長ってのは納得いかねーけど。

 「おい不知火、聞いてるか?」

網焼きした牛肉をガツガツ頬張りながら、野菜ジュース並みの勢いでサラダバーを駆逐していた。

「もちもち、メシウマだよ。」

「お前が言うと悪意がある。」

今日初めて来た焼肉主体のバイキング店さん、ごめんなさい。

<>
◆Wm01vvGoQ2<>saga<>2011/07/04(月) 14:02:49.73 ID:yo/QIY3AO<>
 「あれ?」

「どした人吉?」

相変わらず楽しそうな友人は、生野菜(焼き用)を貪りながらタレを飲み(ほぼ一気)肉(今度は豚肉)をかき込んでやがる。

行儀云々以前の問題だ。

「いやなんかな、今すげー沢山の敵が生まれた気がする。」

ちょうど、不知火が数秒触った携帯を置いたあたり。

頭を掻きながら虫の知らせのようなそれを伝えると、あいつは「あ―。」と納得した。

何か心辺りがあるんだろうか?

「あたしが人吉のノロケをツイートしたからね。特に祝杯あげてた時の馬鹿テンションのを。」

「何してんだこらぁぁぁ!」

あはっ☆とか、にししっ☆じゃねぇぞ!

 この日より彼は、卒業するまでずっとリア充死ね視線(ビーム)の標的にされ続けるハメになった。

「やっぱり人吉イジリは止めらんないね!」

「もういやぁぁぁぁ!」







今度こそおしまいっ!





<>
◆Wm01vvGoQ2<>sage<>2011/07/04(月) 14:04:53.02 ID:yo/QIY3AO<> 朝起きたら思い付いて書きたくて仕方無くなり、完全な蛇足(ほそく)でしたがやってしまった
反省はしている
でも本当にもうおしまいだので、沢山の温かいレスありがとうございました!

それじゃこれで失敬するよっ! <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(愛知県)<>sage<>2011/07/04(月) 16:23:56.82 ID:aiF37//Xo<> 乙でした <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)<>sage<>2011/07/05(火) 03:05:55.30 ID:aXqiFEEAO<> ・章が全部〜〜ai
・善吉のスキルが回文
・合縁奇縁+気炎万丈
・章ごとの二番目の単語を繋げれば愛園気炎万情になる

他に何か伏線っぽいのあったっけ? <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします<>sage<>2011/07/05(火) 23:57:46.50 ID:jvMPgC5bo<> おっすおっす <> VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
(関西・北陸)<>sage<>2011/07/06(水) 20:24:27.33 ID:LKAByCPAO<> 良かったよ、乙

作者のふてぶてしさには楽しませてもらったよ <>